JP2009257628A - 熱交換器用アルミニウムフィン材 - Google Patents

熱交換器用アルミニウムフィン材 Download PDF

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Abstract

【課題】赤外線吸収性能が高く、熱交換器としての性能を損なわない熱交換器用アルミニウムフィン材を提供する提供する。
【解決手段】熱交換器用のアルミニウムフィン材10Aは、アルミニウム(Al)またはAl合金からなる基板1と、基板1上に設けられたリン酸クロメート皮膜等の下地処理層2と、下地処理層2上に設けられた、アルミナ粒子9を親水性塗膜層に含有させてなるアルミナ含有親水性塗膜層3とを具備する。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を基材としてなり、ルームエアコン等の熱交換器に用いられるフィン材に関するものであり、特に、赤外線吸収性能を有する熱交換器用アルミニウムフィン材に関する。
一般に、ルームエアコンの室外機用のフィン材には、室内機と同様に、アルミニウム(Al)またはAl合金からなる基材の表面に、親水性を付与させるための樹脂皮膜が設けられたものが用いられており、これにより、結露水を水膜として除去することで抜熱され、熱交換機能が得られる。しかし、気温が低い冬季においては、結露水が霜となってフィン材に固着してしまうことによって通風障害が生じ、熱交換器が本来有している熱交換機能が低下する。そこで、このような熱交換機能の低下を防止する1つの手段として、エアコンに除霜運転を行う機能を設ける場合がある。
ところが、この除霜運転は、通常、熱交換運転を停止させて行われる。そのために、エアコンを連続運転できなくなることから、エアコンの使用者は、エアコンによる快適性を連続して受けられなくなるという問題がある。そこで、除霜運転が行われる頻度が少なくなるように、フィン材表面に施される親水性表面処理が、着霜を防止する手段としても検討されている(例えば、非特許文献1参照)。また、近年では、CO排出削減等の環境運動の高まりもあって、エアコン運転におけるエネルギー消費量を少なくする観点から、熱交換機能自体の向上に対する要求が強まってきている。
このような問題を解決する1つの手段として、赤外線を用いてフィン材自体を加熱することによって除霜する方法が考えられる。しかし、アルミニウムの表面は赤外線を殆ど吸収せず反射してしまうために、赤外線を照射するだけでは、十分な除霜効果は得られない。そこで、フィン材の色を黒色にする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
実開昭63−17976号公報 春日 司ら、「空調用熱交換器の除霜性に及ぼすフィン表面処理の影響」、住軽技報、Vol.34,No.1
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、フィン材の色を黒色とすることで可視光線は吸収しやすくなるが、赤外線が吸収されやすくなるわけではない。また、エアコンの室外機は、可視光線自体がフィン材に照射される構造とはなっていないため、除霜効果は実質的に得られない。
このような問題に対して、どのような有機物質、無機物質であっても、赤外線を全く吸収しないものは殆どないことを考慮すると、塗膜の膜厚を厚くすれば、赤外線吸収性能を向上させることができると考えられる。しかし、塗膜の膜厚を厚くすればするほど、フィン材と接合される銅管とフィン材の間の接触熱抵抗が大きくなっていくため、熱交換器としての特性が低下してしまうという問題が生じる。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、赤外線吸収性能が高く、しかも、熱交換器としての性能を損なわない熱交換器用アルミニウムフィン材を提供することを目的とする。
本発明の第1の観点に係る熱交換器用アルミニウムフィン材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる基板と、前記基板上に設けられた、無機酸化物または有機−無機複合化合物からなる下地処理層と、前記下地処理層上に設けられた、アルミナ粒子を親水性塗膜層に含有させてなるアルミナ含有親水性塗膜層と、を具備することを特徴とする。
このような構成によれば、アルミナ含有親水性塗膜層により十分な親水性が確保されると共に、アルミナ含有親水性塗膜層に保持されたアルミナによる高い赤外線吸収性能が得られる。これにより、アルミニウムフィン材の温度が上がりやすくなり、除霜性能が向上する。また、このアルミニウムフィン材では、アルミニウムフィン材に形成されるアルミナ含有親水性塗膜層の膜厚を熱交換器としての性能が損なわれない程度に十分に薄くしても、前記効果を得ることができる。
また、本発明の第1の観点に係る熱交換器用アルミニウムフィン材は、アルミナ含有親水性塗膜層上に、ヒドロキシル基を有する水溶性樹脂からなり、膜厚が0.1〜10μmの潤滑性塗膜層をさらに具備することが好ましい。
このような構成により、アルミニウムフィン材の成形性を向上させることができる。
本発明の第2の観点に係る熱交換器用アルミニウムフィン材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる基板と、前記基板上に設けられた、無機酸化物または有機−無機複合化合物からなる下地処理層と、前記下地処理層上に設けられた、アルミナ粒子を耐食性樹脂に含有させてなるアルミナ含有耐食性塗膜層と、前記アルミナ含有耐食性塗膜層上に設けられた親水性塗膜層と、を具備することを特徴とする。
このような構成によれば、表面に設けられた親水性塗膜層により十分な親水性が確保され、また、アルミナ含有耐食性塗膜層によりアルミニウムフィン材の耐久性が向上すると共に、アルミナによる高い赤外線吸収性能が得られる。こうして、アルミニウムフィン材の温度が上がりやすくなり、除霜性能が向上する。さらに、このアルミニウムフィン材では、アルミニウムフィン材に形成される各膜層の総膜厚を熱交換器としての性能が損なわれない程度に十分に薄くしても、前記効果を得ることができる。
この本発明の第2の観点に係る熱交換器用アルミニウムフィン材は、親水性塗膜層上に、ヒドロキシル基を有する水溶性樹脂からなり、膜厚が0.1〜10μmの潤滑性塗膜層をさらに具備することが好ましい。
このような構成により、アルミニウムフィン材の成形性を向上させることができる。
本発明の第3の観点に係る熱交換器用アルミニウムフィン材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる基板と、前記基板上に設けられた、無機酸化物または有機−無機複合化合物からなる下地処理層と、前記下地処理層上に設けられたアルミナ層と、前記アルミナ含有耐食性塗膜層上に設けられた、カルボキシル基を有する樹脂を含む親水性塗膜層と、を具備することを特徴とする。
このような構成によれば、最表面の親水性塗膜層により十分な親水性と耐久性が確保され、親水性塗膜層を透過した赤外線がアルミナ層に吸収されて、優れた赤外線吸収性能が得られる。こうしてアルミニウムフィン材の温度が上がりやすくなり、除霜性能が向上する。また、このアルミニウムフィン材では、アルミニウムフィン材に形成される各膜の総膜厚を熱交換器としての性能が損なわれない程度に十分に薄くしても、前記効果を得ることができる。なお、アルミナ層は、具体的には、アルミナゾルを塗布し、焼き付けることにより形成される塗膜であり、実質的にアルミナで構成されている。この点で、アルミナ層は、前記したアルミナ含有親水性塗膜層及びアルミナ含有耐食性塗膜層と、構造上区別される。
本発明の第3の観点に係る熱交換器用アルミニウムフィン材は、前記親水性塗膜層上に設けられ、ヒドロキシル基を有する水溶性樹脂からなり、膜厚が0.1〜10μmの潤滑性塗膜層をさらに具備することが好ましい。
このような構成により、アルミニウムフィン材の成形性を向上させることができる。
本発明の第3の観点に係る熱交換器用アルミニウムフィン材は、前記アルミナ層と前記親水性塗膜層との間に設けられた、耐食性樹脂からなる耐食性塗膜層をさらに具備することが好ましい。
このような構成により、アルミニウムフィン材の耐食性を向上させることができる。なお、耐食性塗膜層を設けても、赤外線の殆どは耐食性塗膜層を透過するために、アルミナ層の除霜性能が実質的に低下することはない。
上記の通り、本発明に係る各種の熱交換器用アルミニウムフィン材は、アルミナの赤外線吸収を利用して除霜性能を得ると共に、耐久性のある親水性塗膜層によってフィン材に求められる親水性を備えている点で共通する構成を有するものである。
なお、一般的に、熱交換器においては接触熱抵抗の観点から、フィン材に設ける樹脂膜等はできるだけ薄いことが好ましい。そのため、赤外線吸収性能に優れている材料を用いることが好ましく、こうした観点から、アルミナを適用することは望ましいと考えられる。すなわち、アルミナは赤外線吸収性能に優れているために、少量を薄膜状に分布させても、赤外線を多く吸収することができ、これにより除霜効果を得ることができる。換言すれば、フィン材では、除霜効果を発現させるためには、赤外線をフィン材に照射する必要がある。
ここで、一般的に、フィン材の表面に照射される赤外線の強度が強ければ強いほど、フィン材の温度は上昇しやすくなり、除霜性能が向上すると考えられる。つまり、フィン材の除霜性能は、赤外線光源自体の出力と赤外線光源からフィン材までの距離との影響を受ける。ところが、熱交換器の形状や寸法によって、所望の除霜効果を得るために必要かつ十分な赤外線の強度は異なるものと推定される。そのため、熱交換器の形状に応じて、赤外線光源での消費エネルギー(消費電力)ができるだけ小さく抑えられるように、赤外線光源が設計されていることが好ましい。
しかしながら、そのような赤外線光源の設計は必ずしも容易ではなく、しかも、熱交換器の形状や寸法が多岐にわたるために、フィン材の赤外線吸収性能を普遍的な指標により表すことは極めて困難である。そこで、本発明では、フィン材に一定距離から一定強度の赤外線を照射したときの温度上昇が大きいほど、赤外線吸収性能に優れていると判断した。
本発明に係る交換器用アルミニウムフィン材では、アルミナを親水性樹脂または耐食性樹脂に含有させ、またはアルミナ層を形成することにより、アルミナによる高い赤外線吸収性能を得ることができ、これにより除霜性能が向上する。また、最表面に潤滑性塗膜層を設けることにより、成形性を向上させることができる。さらに、基板に形成する各種膜層の膜厚を厚くする必要がないために、熱交換器としての性能が損なわれないという利点がある。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
《第1実施形態》
図1(a)に本発明の第1実施形態に係る熱交換器用アルミニウムフィン材(以下「フィン材」という)の概略構造を表した断面図を示す。このフィン材10Aは、アルミニウム(Al)またはAl合金からなる基板1と、基板1上に設けられた下地処理層2と、下地処理層2上に設けられたアルミナ含有親水性塗膜層3とを備えており、アルミナ含有親水性塗膜層3は、親水性塗膜層にアルミナ粒子9を含有させた層である。
なお、図1(a)には、基板1の片面のみに下地処理層2とアルミナ含有親水性塗膜層3とが設けられた形態を示しているが、フィン材10Aは、下地処理層2とアルミナ含有親水性塗膜層3を基板1の両面に備えていてもよい(後記する本発明に係る各種フィン材についても同様)。以下、各構成要素について説明する。
<基板1>
基板1は、AlまたはAl合金よりなる板材であって、熱伝導性及び加工性に優れるJIS H4000規定の1000系のAl材料が好適に用いられ、より好ましくは合金番号1200のAl合金が用いられる。なお、フィン材10Aにおいては、強度、熱伝導性及び加工性等を考慮して、板厚が0.08〜0.3mm程度のものが好適に使用される。
<下地処理層2>
下地処理層2は、フィン材10Aの耐食性を高めると共に、基板1とアルミナ含有親水性塗膜層3との密着性を向上させる役割を担う層であり、無機酸化物または有機−無機複合化合物よりなる。無機酸化物としては、主成分としてクロム(Cr)またはジルコニウム(Zr)を含むものが好適に用いられ、例えば、リン酸クロメート処理、リン酸ジルコニウム処理、クロム酸クロメート処理を行うことにより形成された皮膜が挙げられる。
下地処理層2は、耐食性を奏するものであれば、これらに限定されず、例えば、リン酸亜鉛処理あるいはリン酸チタン処理を行うことによって形成されたものであってもよい。また、有機−無機複合化合物としては、塗布型クロメート処理または塗布型ジルコニウム処理を行うことにより形成されたもので、アクリル−ジルコニウム複合体等が挙げられる。なお、下地処理層2を形成する前に、基板1の表面にアルカリ性脱脂液をスプレー等して、基板1の表面を予め脱脂することが好ましく、これにより基板1と下地処理層2との密着性を向上させることができる。
下地処理層2は、基板1の単位面積(1m)あたりの塗布量で、CrまたはZrを1〜100mg/mの範囲で含有するものが好ましく、また、下地処理層2の膜厚は1〜100nmとすることが好ましい。但し、これらの設定値は、使用目的等に合わせて適宜変更が可能である。
<アルミナ含有親水性塗膜層3>
アルミナ含有親水性塗膜層3は、フィン材10Aの表面の結露水の流動性を向上させる。これにより、フィン材10Aの表面に臭気物質等の汚染物質が付着しても、この結露水で洗い落とすことが可能になる。アルミナ含有親水性塗膜層3の母材となる材料(つまり、親水性塗膜層として用いられる材料)には、アルミナ粒子9に赤外線吸収性能を発揮させるために、赤外線を一定量透過する性質を有していることが要求される。アルミナ含有親水性塗膜層3の母材として好適に用いられる材料としては親水性樹脂が挙げられ、特に、親水性の持続性に優れた樹脂が好適に用いられる。
ここで、親水性樹脂としては、ポリアクリル酸やポリアクリル酸塩(具体的には、ナトリウム塩やカリウム塩、アンモニウム塩)(以下「ポリアクリル酸類」という)に、ヒドロキシル基を有する水溶性樹脂を1種または2種以上添加して均一に混合した樹脂が好適に用いられる。ヒドロキシル基を有する水溶性樹脂に特に限定はないが、具体例としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド等を挙げることができる。これらの水溶性樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
アルミナ粒子9を分散させた親水性樹脂を、下地処理層2上に所定の方法で所定の膜厚に塗布成膜した後、所定温度(例えば、200〜300℃程度)で焼き付けることにより、強固で密着性のあるアルミナ含有親水性塗膜層3を形成することができる。これは、ポリアクリル酸類が、元来、密着性が高いことに加えて、ヒドロキシル基とカルボキシル基との脱水縮合反応によるエステル化が部分的に同時に起こってエステル結合が生じることによる。アルミナ含有親水性塗膜層3を、強固で密着性の高い皮膜とすることにより、ヒドロキシル基を含有する水溶性樹脂の流出が抑制され、親水性が持続するようになり、また、汚染物質が固着し難くなって、親水持続性が低下し難くなる。
アルミナ含有親水性塗膜層3の膜厚は、0.1μm以上であることが望ましい。膜厚が0.1μm以下では親水性が得られ難い。一方、アルミナ含有親水性塗膜層3の膜厚の上限値は、例えば、フィン材10Aの加工性や伝熱性、アルミナ含有親水性塗膜層3を形成するための材料コスト等を考慮して、3μm以下とすることが、現実的である。
アルミナ含有親水性塗膜層3は、アルミナ粒子9を含有しているが、アルミナの比重(物性値)は樹脂の一般的な比重よりも大きいため(アルミナは3程度、樹脂は1程度)、図1(a)に示されるように、アルミナ粒子9はアルミナ含有親水性塗膜層3の下層部に多く分布しているものと考えられる。アルミナ含有親水性塗膜層3の表面側にアルミナ粒子9が少ない場合には、アルミナ含有親水性塗膜層3の表面の親水性が高められる。また、フィン材10Aの加工性が向上する。一方で、アルミナ粒子9はアルミナ含有親水性塗膜層3の上層部を透過した赤外線を吸収することができる。
<アルミナ粒子9>
アルミナ粒子9は、赤外線を吸収してフィン材10Aの温度を上昇させる役割を果たす。フィン材10Aに霜が着いている場合には、フィン材10Aの温度上昇に利用される熱エネルギーが、霜を溶かすために用いられ、除霜される。したがって、フィン材10Aは、赤外線吸収性能の高いアルミナ含有親水性塗膜層3を形成することにより、高い除霜性能が得られると考えてよい。
アルミナ粒子9は、アルミナ含有親水性塗膜層3に用いられる親水性樹脂に分散させることができるものであればよいが、好ましくは、最大粒径がアルミナ含有親水性塗膜層3の膜厚よりも小さいものが好適に用いられる。これにより、アルミナ粒子9の表面露出によってアルミナ含有親水性塗膜層3の表面の親水性が低下することを防止することができる。アルミナ粒子9の形状には制限はない。これは、赤外線吸収性能の形状依存性が小さいからである。なお、アルミナ粒子9として針状(棒状)のものを用いる場合には、前記した最大粒径とは針状長手方向の長さを指す。
アルミナ含有親水性塗膜層3におけるアルミナ粒子9の含有量は、50〜3000mg/mとすることが好ましい。含有量が50mg/m未満の場合には、十分な赤外線吸収がなされず、逆に3000mg/mを超える場合には、アルミナ含有親水性塗膜層3の熱伝導性が低下するおそれがある。
《第2実施形態》
図1(b)に本発明の第2実施形態に係るフィン材の概略構造を表した断面図を示す。このフィン材10Aは、図1(a)に示した本発明の第1実施形態に係るフィン材10Aのアルミナ含有親水性塗膜層3上に、潤滑性塗膜層4を設けた構造を有している。そのため、フィン材10Aを構成している基板1、下地処理層2、アルミナ含有親水性塗膜層3は、フィン材10Aを構成している基板1、下地処理層2、アルミナ含有親水性塗膜層3とそれぞれ同じであるので、これらについては、ここでの説明は省略する。
<潤滑性塗膜層4>
潤滑性塗膜層4には、実用性能には特に影響が無く、ヒドロキシル基を有する水溶性樹脂が用いられ、潤滑性塗膜層4により、フィン材10Aの加工時に、アルミナ含有親水性塗膜層3が保護される。さらに、ヒドロキシル基を有する水溶性樹脂は摩擦係数が小さいため、フィン材10Aの加工性が向上する。
潤滑性塗膜層4は、フィン材10Aを加工する際に、直接にアルミナ含有親水性塗膜層3に加工工具が接触することを避けて、工具磨耗を抑制する役割をも担う。図1(a)に示したフィン材10Aにおいて、アルミナ含有親水性塗膜層3の表面には、アルミナ粒子9が全く露出していないというわけではなく、赤外線吸収性能を高めるためにアルミナ含有親水性塗膜層3におけるアルミナ粒子9の含有率を高める必要がある場合には、アルミナ粒子9の露出面積が増えると考えられる。この場合、フィン材10Aを所定形状に加工する場合に、加工工具である金型等がアルミナ粒子9により摩耗するおそれがある。そこで、フィン材10Aのように、最表面に潤滑性塗膜層4を設けることによって、工具摩耗を軽減することができる。
潤滑性塗膜層4には、具体的には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレンオキサイド等が用いられる。潤滑性塗膜層4は結露水によってやがて流失し、潤滑性塗膜層4の溶出(溶解)によって、その下層であるアルミナ含有親水性塗膜層3が露出することになり、アルミナ含有親水性塗膜層3による親水性が発揮されることとなる。潤滑性塗膜層4の膜厚は、0.1〜10μmとすることが好ましい。膜厚が0.1μm未満では、加工性向上の効果が実質的に得られず、また、10μm超とすると、加工性が逆に低下するおそれがある。
《第3実施形態》
図2(a)に本発明の第3実施形態に係るフィン材の概略構造を表した断面図を示す。このフィン材10Bは、基板1上に設けられた下地処理層2と、下地処理層2上に設けられたアルミナ含有耐食性塗膜層5と、アルミナ含有耐食性塗膜層5上に設けられた親水性塗膜層6とを備えており、アルミナ含有耐食性塗膜層5はアルミナ粒子9を含有している。
フィン材10Bを構成する基板1と下地処理層2及びアルミナ粒子9は、フィン材10Aを構成する基板1、下地処理層2及びアルミナ粒子9とそれぞれ同じであるので、ここでの説明を省略するものとし、以下、アルミナ含有耐食性塗膜層5と親水性塗膜層6について説明する。
<アルミナ含有耐食性塗膜層5>
アルミナ含有耐食性塗膜層5は、耐食性樹脂にアルミナ粒子9を分散させてなる層であり、フィン材10Bの腐食を抑制する役割を担う。耐食性樹脂としては、塗膜となったときに水濡れ性を示さない樹脂(疎水性樹脂)が用いられる。アルミナ含有耐食性塗膜層5を構成する耐食性樹脂としては、具体的には、ウレタン系樹脂やエポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂のうち少なくとも1種が用いられる。アルミナ含有耐食性塗膜層5を設けることにより、塩害地等の過酷な環境下でもフィン材10Bの腐食が抑制され、基板1上に形成された各種膜層が脱落し難くなって、耐久性が維持される。
図2(a)に示されるように、フィン材10Bでは、アルミナ含有耐食性塗膜層5に、アルミナ粒子9の粒径に対して十分な膜厚を持たせている。この場合、アルミナはアルミナ含有耐食性塗膜層5に用いられる耐食性樹脂よりも比重が大きいため、図2(a)に示されるように、アルミナ含有耐食性塗膜層5において、アルミナ粒子9はアルミナ含有耐食性塗膜層5の下層部に多く分布しているものと考えられる。但し、アルミナ含有耐食性塗膜層5の膜厚は、所望される赤外線吸収性能が得られるだけのアルミナ粒子9を含有させることができる限りにおいて、より薄くすることが可能である。なお、アルミナ含有耐食性塗膜層5におけるアルミナ粒子9の含有量は、フィン材10Aのアルミナ含有親水性塗膜層3に準ずる。
なお、ウレタン系樹脂とポリエステル系樹脂について、広義には、ポリエステル系樹脂の概念の中にウレタン系樹脂を含める場合もあるため、前記記載のウレタン系樹脂とポリエステル系樹脂を次の通りに定義する。すなわち、ここでは、ウレタン系樹脂とは、組成中にウレタン結合を繰返し持つ化合物であり、イソシアネート基を2個以上持ったポリイソシアネート化合物(O=C=N−R−N=C=O)と、ヒドロキシル基を2個以上持ったポリオール化合物(HO−R1−OH)、ポリアミン(HN−R2−NH)または活性水素(−NH、−NH、−CONH−等)を持った化合物等とが反応して得られるものである。なお、R、R1、R2は脂肪族アルキルまたは芳香族アルキル等を指す。
一方、ポリエステル系樹脂とは、多価カルボン酸(ジカルボン酸)とポリアルコール(ジオール)との重縮合体を指し、ポリアルコール(アルコール性の官能基−OHを複数有する化合物)と、多価カルボン酸(カルボン酸官能基−COOHを複数有する化合物)を反応(脱水縮合)させて合成されることを基本とする。
<親水性塗膜層6>
アルミナ含有耐食性塗膜層5を構成する耐食性樹脂は疎水性であるため、フィン材10Bの表面に親水性を付与するために、親水性塗膜層6が設けられる。親水性塗膜層6を構成する材料には、アルミナ含有耐食性塗膜層5に含まれるアルミナ粒子9に赤外線吸収性能を発揮させるために、赤外線を一定量透過する性質を有していることが要求される。親水性塗膜層6を構成する材料としては、前記したアルミナ含有親水性塗膜層3の母材として用いられる材料を用いることができ、親水性の持続性に優れた樹脂が好適に用いられる。
親水性の持続性に優れた樹脂とは、水に一部溶け出す成分を含有しており、水になじみやすい層であるが、水によって完全に洗い落とされるものではない樹脂をいい、このような樹脂として、カルボキシル基を有する樹脂を必須成分として含有する樹脂が、親水性塗膜層6に特に好適に用いられる。カルボキシル基を有する樹脂としては、ポリアクリル酸類が好適に用いられる。なお、水によって完全に洗い落とされる親水性の塗膜層を、例えば24時間の純水流水でフィン材表面に全く残っていない状態となる塗膜層と定義すると、この場合には塗膜層がなくなることによって親水性を持続できなくなるが、これに対して、フィン材10Bを構成する親水性塗膜層6は、成分の一部が溶出することはあっても、フィン材10Bの表面に残存するために、フィン材10Bの親水性を持続させることができるものと定義される。
具体的に、親水性塗膜層6としては、アルミナ含有親水性塗膜層3に好適に用いられる親水性樹脂、すなわち、ポリアクリル酸類にヒドロキシル基を有する水溶性樹脂を1種または2種以上添加して均一に混合した樹脂が好適に用いられ、これにさらにスルホン酸基またはスルホン酸塩、アミド結合またはエーテル結合を有する樹脂から選ばれる1種または複数種を添加して均一に混合した樹脂を混合してもよい。また、ポリアクリル酸類に、スルホン酸基またはスルホン酸塩、アミド結合またはエーテル結合を有する樹脂から選ばれる1種または複数種を添加して均一に混合した樹脂も、好適に用いられる。
なお、水酸基を有する樹脂としてはポリビニルアルコールやカルボキシメチルセルロースが、アミド結合を有する樹脂としてはポリアクリルアミドが、スルホン酸基を有する樹脂としてはスルホエチルアクリレートとアクリル酸の共重合体が、エーテル結合を有する樹脂としてはポリエチレングリコール等が、それぞれ挙げられる。また、親水性塗膜層6にカルボキシル基を有する親水性樹脂を含有させることにより、アルミナ含有耐食性塗膜層5との密着性が向上すると共に、汚染物質による親水性劣化を抑制する効果が高められる。
《第4実施形態》
図2(b)に本発明の第4実施形態に係るフィン材の概略構造を表した断面図を示す。このフィン材10Bは、フィン材10Bの親水性塗膜層6上に潤滑性塗膜層4が設けられた構造を有している。そのため、フィン材10Bを構成している基板1、下地処理層2、アルミナ含有耐食性塗膜層5及び親水性塗膜層6は、フィン材10Bを構成している基板1、下地処理層2、アルミナ含有耐食性塗膜層5及び親水性塗膜層6とそれぞれ同じである。また、潤滑性塗膜層4は、図1(b)に示したフィン材10Aが具備する潤滑性塗膜層4と同じである。そのため、ここではフィン材10Bの各構成要素についての説明は省略する。
フィン材10Bは、アルミナ粒子9による優れた赤外線吸収性能を有し、また、耐食性樹脂により耐久性に優れ、親水性塗膜層6により親水性を有すると共に、潤滑性塗膜層4により優れた加工性を備える。
《第5実施形態》
図3(a)に本発明の第5実施形態に係るフィン材の概略構造を表した断面図を示す。このフィン材10Cは、基板1と、基板1上に設けられた下地処理層2と、下地処理層2上に設けられたアルミナ層7と、アルミナ層7上に設けられた親水性塗膜層6とを備えている。基板1、下地処理層2は、図1(a)に示したフィン材10Aを構成する基板1、下地処理層2とそれぞれ同じであるため、また、親水性塗膜層6は、図2(a)に示したフィン材10Bを構成する親水性塗膜層6と同じであるため、これらについてのここでの詳細な説明は省略する。
なお、フィン材10Cが具備する親水性塗膜層6には、アルミナ層7に赤外線吸収性能を発揮させるために赤外線を一定量透過する性質を有していることが要求されるが、前記の通りに、フィン材10Bが具備する親水性塗膜層6は、アルミナ含有耐食性塗膜層5に含まれるアルミナ粒子9に赤外線吸収性能を発揮させるために赤外線を一定量透過する性質を有しているため、前記要求は満たされる。また、フィン材10Bが具備する親水性塗膜層6に好適に用いられるカルボキシル基を有する親水性樹脂は、アルミナ層7とも高い密着性を示す。
<アルミナ層7>
アルミナ層7は、アルミナ粒子9と同様に、赤外線を吸収してフィン材10Cの温度を上昇させる役割を果たす。そのため、フィン材10Cに霜が着いている場合には、フィン材10Cの温度上昇に利用される熱エネルギーが、霜を溶かすために用いられ、除霜される。
アルミナ層7は、例えば、アルミナゾル(アルミナ微粒子の分散液)を塗布した後、所定の温度で焼き付けることにより形成される。前記したアルミナ含有親水性塗膜層3とアルミナ含有耐食性塗膜層5は、樹脂にアルミナ粒子が分散した構造となるが、アルミナ層7は実質的にアルミナからなり、不可避不純物(焼き付けにより焼失しなかった有機物を含む)を含む層であり、通常は緻密質膜である。アルミナ層7は、下地処理層2上に形成することにより、下地処理層2との密着性が高められる。
アルミナ層7の被着量は50〜3000mg/mとすることが好ましい。アルミナ層7の被着量が50mg/m未満では十分な赤外線吸収がなされず、3000mg/mを超える場合には、フィン材10Cの熱伝導性に悪影響を与えるおそれがあり、また、膜厚が厚くなることによってクラックが入りやすくなる。
《第6実施形態》
図3(b)に本発明の第6実施形態に係るフィン材の概略構造を表した断面図を示す。このフィン材10Cは、フィン材10Cの親水性塗膜層6上に潤滑性塗膜層4が設けられた構造を有している。そのため、フィン材10Cを構成している基板1、下地処理層2、アルミナ層7及び親水性塗膜層6は、フィン材10Cを構成している基板1、下地処理層2、アルミナ層7及び親水性塗膜層6とそれぞれ同じである。また、潤滑性塗膜層4は、図1(b)に示したフィン材10Aが具備する潤滑性塗膜層4と同じである。そのため、ここではフィン材10Cの各構成要素についての説明は省略する。
フィン材10Cは、アルミナ層7による優れた赤外線吸収性能を有し、また、親水性塗膜層6により親水性を有すると共に、潤滑性塗膜層4により優れた加工性を備える。
《第7実施形態》
図3(c)に本発明の第7実施形態に係るフィン材の概略構造を表した断面図を示す。このフィン材10Cは、フィン材10Cのアルミナ層7と親水性塗膜層6との間に耐食性塗膜層8が設けられた構造を有している。そのため、フィン材10Cを構成している基板1、下地処理層2、アルミナ層7及び親水性塗膜層6は、フィン材10Cを構成している基板1、下地処理層2、アルミナ層7及び親水性塗膜層6とそれぞれ同じであるので、ここでの説明は省略する。
<耐食性塗膜層8>
耐食性塗膜層8は、塗膜となったときに水濡れ性を示さない樹脂、すなわち、先に説明したフィン材10Bが具備するアルミナ含有耐食性塗膜層5を構成する耐食性樹脂からなる。この耐食性塗膜層8を設けることによって、フィン材10Cの耐食性を大幅に向上させることができる。耐食性塗膜層8の膜厚は、0.1〜5μmとすることが好ましい。耐食性塗膜層8の膜厚が0.1μm未満では十分な耐食性が得られず、5μmより厚いと、熱交換器としての特性が低下し、また、製造コストが高くなるというデメリットがある。なお、アルミナ層7は、親水性塗膜層6と耐食性塗膜層8とを透過する赤外線を吸収するため、赤外線吸収性能が確保される。
《第8実施形態》
図3(d)に本発明の第8実施形態に係るフィン材の概略構造を表した断面図を示す。このフィン材10Cは、フィン材10Cのアルミナ層7と親水性塗膜層6との間に耐食性塗膜層8が設けられた構造を有している。そのため、フィン材10Cを構成している基板1、下地処理層2、アルミナ層7、親水性塗膜層6及び潤滑性塗膜層4は、フィン材10Cを構成している基板1、下地処理層2、アルミナ層7、親水性塗膜層6及び潤滑性塗膜層4とそれぞれ同じであり、耐食性塗膜層8は、フィン材10Cを構成している耐食性塗膜層8と同じであるので、各構成要素について説明は省略する。
フィン材10Cは、アルミナ層7による優れた赤外線吸収性能を有し、また、耐食性塗膜層8により優れた耐食性を有し、親水性塗膜層6により良好な親水性を有すると共に、潤滑性塗膜層4により優れた加工性を備える。
上記の通り、本発明の実施の形態に係る各種フィン材は、アルミナの赤外線吸収を利用して除霜性能を得ると共に、耐久性のある親水性樹脂によってフィン材に求められる親水性を備えている点で共通する構成を有している。
《フィン材の製造方法》
ここでは、フィン材10Aとフィン材10Cを例に挙げて、これらの製造方法について簡単に説明する。
<フィン材10Aの製造方法>
まず、基板1の片面または両面(下地処理層2を形成する面)にアルカリ性脱脂液をスプレー等することにより、その処理面を脱脂した後、リン酸クロメート処理またはリン酸ジルコニウム処理等を施すことにより、下地処理層2たる皮膜を形成する。ここで、リン酸クロメート処理等には、基板1に化成処理液をスプレー等により塗布する方法を用いることができる。
続いて、アルミナ粒子9を均一分散させた水溶性樹脂等を下地処理層2上に、スプレー塗布やバーコーターやロールコーター等の公知の塗布方法で塗布し、所定の温度で焼き付ける。こうして、アルミナ含有親水性塗膜層3が形成される。このときの焼き付け温度(基板温度)は、用いた親水性樹脂等によって異なるが、大凡、200〜300℃とすることが好ましい。続いて、潤滑性塗膜層4を形成するための親水性樹脂を、アルミナ含有親水性塗膜層3上にスプレー塗布等により塗布し、所定温度で焼き付けることにより、潤滑性塗膜層4を形成する。こうしてフィン材10Aが作製される。
なお、フィン材10Bを構成するアルミナ含有耐食性塗膜層5は、アルミナ含有親水性塗膜層3と同様に形成することができ(但し、使用される材料は異なる)、親水性塗膜層6は潤滑性塗膜層4と同様に形成することができる(但し、使用される材料が異なる)。
<フィン材10Cの製造方法>
まず、フィン材10Aの製造方法と同様にして、基板1の片面または両面を脱脂した後、下地処理層2を形成する。続いて、例えば、ゾル−ゲル法によりアルミナ層7を形成する。ゾル−ゲル法では、一般に金属アルコキシドからなるゾルを加水分解・重縮合反応させ、流動性を失ったゲルとし、このゲルを加熱して酸化物を得る。具体的には、下地処理層2上に、アルミナゾルをスプレー塗布等の公知の塗布方法で塗布し、その後、所定の温度で焼き付けることにより、アルミナ層7が形成される。アルミナ層7の形成のための焼き付け温度(基板温度)は、用いるゾル(Alアルコキシド)によって異なるが、大凡、200〜300℃である。次に、アルミナ層7上に親水性樹脂を塗布して、所定温度で焼き付けることにより、親水性塗膜層6を形成する。こうして、フィン材10Cが作製される。
以上、本発明を実施するための最良の形態について述べてきたが、以下に、本発明の効果を確認した実施例について説明する。但し、本発明はこのような実施例に限定されるものではない。表1に作製した試料の概略構成を示す。
Figure 2009257628
《試料作製》
<基板の脱脂処理;試料1〜10,12〜15>
基板として、JIS H4000に規定する合金番号1200のAlよりなる板厚0.1mmのAl板を用いた。表1に示すように、試料1〜10,12〜15について、Al板の片面にアルカリ性脱脂液(日本ペイント株式会社製サーフクリーナー(登録商標)EC370)による脱脂処理を実施した。
<下地処理層の形成>
[リン酸クロメート処理:試料1〜4、6〜10,12〜15]
下地処理層の一種として、リン酸クロメート処理〔化成処理液として、日本ペイント株式会社製アルサーフ(登録商標)401/45を使用〕によりリン酸クロメート皮膜を形成した。形成された下地処理層(リン酸クロメート皮膜)の膜厚は40nmであり、蛍光X線法〔(株)島津製作所製の波長分散型蛍光X線装置(LAB CENTER XRF−1800)〕で測定した被着量のCr換算値は20mg/mであった。
[塗布型ジルコニウム処理;試料5]
下地処理層の一種として、塗布型ジルコニウム処理〔塗布液として、日本ペイント株式会社製サーフコート(登録商標)147/148を使用〕を行った。塗布液を、バーコーターを使用し、焼き付け後の被着量がZr換算値で40mg/mとなるように基板に塗装し、200℃で20秒間焼き付けをすることにより、有機−無機複合皮膜を形成した。なお、焼き付け温度はAl板の温度を基準とし、以下同様とする。なお、塗布型ジルコニウム処理により形成された下地処理層には、有機成分としてポリアクリル酸が含まれる。
<アルミナ層の形成;試料6,8,10,13>
アルミナ層は、アルミナゾル〔日産化学工業株式会社製、アルミナゾル200(商品名)〕を、バーコーターを使用して塗装し、200℃で20秒間焼き付けすることにより形成した。アルミナ層の被着量は、約500mg/mとした。
<アルミナ含有耐食性塗膜層の形成;試料12>
アルミナ含有耐食性塗膜層には、ウレタン系樹脂塗料〔東邦化学社製、ウレタン変性樹脂エマルジョン、ハイテック(登録商標)S−6254〕に前記のアルミナゾルを添加したものを用い、バーコーターを使用して塗布膜を形成した後、200℃で20秒間焼き付けた。こうして、アルミナの含有量が500mg/mのアルミナ含有耐食性塗膜層を形成した。なお、アルミナ分を含まない樹脂の塗布量(以下「樹脂塗布量」という)は、1000mg/mとした。
<耐食性塗膜層の形成;試料13〜15>
前記ウレタン系樹脂塗料(アルミナゾルを含まない)を、バーコーターを使用して塗布膜を形成し、200℃で20秒間焼き付けることにより、樹脂塗布量が1000mg/mの耐食性塗膜層を形成した。
<アルミナ含有親水性塗膜層の形成;試料3〜5,7>
アルミナ含有親水性塗膜層を形成するための塗料として、100重量部のポリアクリル酸ナトリウム(平均重合度:2000)と、30重量部のカルボキシメチルセルロースナトリウム(平均重合度:500)、60重量部のポリエチレンオキサイド(平均分子量:15万)を混合したもの(以下「親水性樹脂A」とする)に、前記したアルミナゾルを所定量添加したものを準備し、バーコーターを使用して塗布膜を形成した後、200℃で20秒間焼き付けた。こうして、アルミナの含有量が50mg/mまたは500mg/mのアルミナ含有親水性塗膜層を形成した。なお、親水性樹脂Aの樹脂塗布量は500mg/mとした。
<親水性塗膜層の形成(1);試料1,2,6,8>
前記した親水性樹脂Aを用い、バーコーターを使用して塗布膜を形成した後、220℃で20秒間焼き付けることにより、樹脂塗布量が500mg/mの親水性塗膜層を形成した。
<親水性塗膜層の形成(2);試料12〜14>
カルボキシル基を有する樹脂としてポリアクリル酸(分子量:10万)、エーテル基を含有する樹脂としてポリエチレングリコール(分子量:6000)、ヒドロキシル基を含有する樹脂としてポリビニルアルコール(ケン化度:98%)を、ポリアクリル酸が30質量%、ポリエチレングリコールが30質量%、ポリビニルアルコールが40質量%となるように混合した樹脂水溶液(「親水性樹脂B」として表1に示す)を用い、バーコーターを使用して塗布膜を形成した後、240℃で9秒間焼き付けることにより、樹脂塗布量が500mg/mの親水性塗膜層を形成した。
<潤滑性塗膜層の形成;試料1,3〜6>
ポリビニルアルコール(平均重合度:1200、ケン化度:75%)及びポリエチレングリコールの樹脂水溶液を、バーコーターを使用して塗布膜を形成した後、150℃で9秒間、焼き付けを行うことにより、樹脂塗布量が300mg/mの潤滑性塗膜を形成した。
なお、前記各種の樹脂からなる膜は、一般的な樹脂の比重から推察して、樹脂塗布量が1000mg/mのときに、膜厚が1μm程度になっているものと考えられる。アルミナ粒子を含有させた樹脂塗膜層及びアルミナ層では、アルミナ量を膜厚で評価することが困難であるため、アルミナ量についてそれぞれ、含有量及び被着量を用いて膜性状を表すこととした。
《試料の評価》
試料評価には、前記の通りに作製した各種試料(フィン材)から10cm角でサンプリングしたものを、さらにフィン材の耐久性を加味した評価とするために、純水に240時間浸漬し、その後乾燥させ、さらに屋外環境(幹線道路沿い)に1ヶ月間暴露したもの(以下「供試材」という)を用いた。評価結果を表1に併記する。
<親水性評価>
供試材に純水を1μL(マイクロリットル)滴下し、それによって生じた水滴の接触角θをゴニオメーター〔協和界面科学(株)製 CA−X250型〕を用いて測定し、接触角θが、30°未満であれば合格とし(表1に「○」で示す)、30°以上であれば不合格とした(表1に「×」で示す)。
<赤外吸収性能の評価>
供試材(フィン材)に赤外線を照射したときに供試材がどのような昇温挙動を示すかについての試験を、図4に示す装置構成により行った。すなわち、図4は供試材の赤外線吸収性能を評価する装置構成の概略図である。断熱材22として発泡スチロールを用い、この断熱材22の上に、温度センサ21〔株式会社チノー製、表面温度測定用センサ(測温抵抗体)R060・36〕を配置し、温度センサ21上に供試材20を載せ、供試材20から30cmの距離に配置されたカーボンランプヒータ23〔(株)八光製、型番:LNC0600、100V−600W〕から赤外線を供試材20に向けて照射した。温度センサ21は、データロガー〔株式会社キーエンス製、モバイル温度レコーダ:NR1000〕を介してパーソナルコンピュータ(図示せず)に取り込まれるようにした。
カーボンランプヒータ23のスイッチを入れてから、30秒経過後と60秒経過後の温度センサ21の温度(℃)、すなわち供試材20の温度を測定して、その温度差ΔTを算出し、金属Al(Al基板)の比熱:0.902J/g・℃を用いて、0.902×ΔTの値から、供試材20が受け取ることができた熱量を求め、比較した。ここでは、アルミナを含有しない所定の試料(表1に対比する試料番号を示す)との対比を実施し、アルミナを含有しない場合と比較して、20%以上の熱量増加効果が認められた場合を合格とし(表1に「○」で示す)、20%未満であれば不合格とした(表1に「×」で示す)。
《試験結果》
Al基板そのものである試料11は、他の試料に比べて、カーボンランプヒータ23から受け取った熱量が最も小さかった。また、Al基板に下地処理層のみを形成した試料9では、赤外線吸収性能の実質的な変化はない結果が得られた。試料1,2,14,15の結果から、耐食性塗膜層と親水性塗膜層のいずれか一方または両方を形成することにより、赤外線吸収性能が向上することがわかるが、その効果は十分ではない。試料10では、アルミナ層を形成しているために、赤外線吸収性能は向上しているが、親水性塗膜層を形成していないために、フィン材に求められる親水性が得られなかった。
これに対して、試料3〜8,12,13は、アルミナ層、アルミナ含有耐食性塗膜層及びアルミナ含有親水性塗膜層のいずれかを備えているために、類似構造でアルミナを含有していない試料との対比において、赤外線吸収性能の向上が確認された。
(a)は本発明の第1実施形態に係るフィン材の概略断面図であり、(b)は本発明の第2実施形態に係るフィン材の概略断面図である。 (a)は本発明の第3実施形態に係るフィン材の概略断面図であり、(b)は本発明の第4実施形態に係るフィン材の概略断面図である。 (a)は本発明の第5実施形態に係るフィン材の概略断面図であり、(b)は本発明の第6実施形態に係るフィン材の概略断面図であり、(c)は本発明の第7実施形態に係るフィン材の概略断面図であり、(d)は本発明の第8実施形態に係るフィン材の概略断面図である。 供試材の赤外線吸収性能を評価する装置構成の概略図である。
符号の説明
10A,10A フィン材
10B,10B フィン材
10C,10C〜C フィン材
1 基板
2 下地処理層
3 アルミナ含有親水性塗膜層
4 潤滑性塗膜層
5 アルミナ含有耐食性塗膜層
6 親水性塗膜層
7 アルミナ層
8 耐食性塗膜層
9 アルミナ粒子
20 供試材(フィン材)
21 温度センサ
22 断熱材(発泡スチロール)
23 カーボンランプヒータ

Claims (7)

  1. アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる基板と、
    前記基板上に設けられた、無機酸化物または有機−無機複合化合物からなる下地処理層と、
    前記下地処理層上に設けられた、アルミナ粒子を親水性塗膜層に含有させてなるアルミナ含有親水性塗膜層と、を具備することを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン材。
  2. 前記アルミナ含有親水性塗膜層上に、ヒドロキシル基を有する水溶性樹脂からなり、膜厚が0.1〜10μmの潤滑性塗膜層をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の熱交換器用アルミニウムフィン材。
  3. アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる基板と、
    前記基板上に設けられた、無機酸化物または有機−無機複合化合物からなる下地処理層と、
    前記下地処理層上に設けられた、アルミナ粒子を耐食性樹脂に含有させてなるアルミナ含有耐食性塗膜層と、
    前記アルミナ含有耐食性塗膜層上に設けられた親水性塗膜層と、を具備することを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン材。
  4. 前記親水性塗膜層上に、ヒドロキシル基を有する水溶性樹脂からなり、膜厚が0.1〜10μmの潤滑性塗膜層をさらに具備することを特徴とする請求項3に記載の熱交換器用アルミニウムフィン材。
  5. アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる基板と、
    前記基板上に設けられた、無機酸化物または有機−無機複合化合物からなる下地処理層と、
    前記下地処理層上に設けられたアルミナ層と、
    前記アルミナ層上に設けられた、カルボキシル基を有する樹脂を含む親水性塗膜層と、を具備することを特徴とする熱交換器用アルミニウムフィン材。
  6. 前記親水性塗膜層上に設けられ、ヒドロキシル基を有する水溶性樹脂からなり、膜厚が0.1〜10μmの潤滑性塗膜層をさらに具備することを特徴とする請求項5に記載の熱交換器用アルミニウムフィン材。
  7. 前記アルミナ層と前記親水性塗膜層との間に設けられた、耐食性樹脂からなる耐食性塗膜層をさらに具備することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の熱交換器用アルミニウムフィン材。
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