JP2013210144A - アルミニウムフィン材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミニウム板1と、アルミニム板1の表面に形成された塗膜とを備え、塗膜が、最表面に親水性皮膜2を有する1または複数の皮膜からなるフィン材10Aであって、親水性皮膜2は、水酸基、カルボキシル基およびスルホン酸基の少なくとも1種を有する親水性樹脂と、シリコーン系化合物とを含み、親水性皮膜2の付着量は10〜10000mg/m2であり、塗膜の最表面から深さ0.1μm以内の領域を高周波グロー放電発光分光分析で測定した際の珪素含有率の平均値が0.01〜10原子%であり、親水性皮膜2は、流動パラフィン滴下時の接触角が25度を超え、かつ、水滴下時の接触角が50度未満であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、ヘキサデカノール等が浮遊する環境下であっても熱交換器からの水飛び現象の発生がない、かつ、熱交換器を長時間使用した際にも、通風抵抗が増大しないアルミニウムフィン材を提供することを課題とする。
[第1実施形態]
図1(a)に示すように、フィン材10Aは、アルミニウム板1と、アルミニウム板1の表面に形成された親水性皮膜2(塗膜)とを備える。
アルミニウム板1は、純アルミニウムまたはアルミニウム合金からなり、熱伝導性および加工性に優れることから、好ましくはJIS H4000に規定される1000系のアルミニウム、より好ましくは合金番号1200のアルミニウムが好ましい。
なお、アルミニウム板1の板厚は0.06〜0.3mm程度のものが好ましい。板厚が0.06mm未満では、アルミニウム板1に必要とされる強度を確保することができず、一方、0.3mmを超えるとフィン材としての加工性が低下する。
親水性皮膜2は、親水性樹脂とシリコーン系化合物とを含み、その付着量は10〜10000mg/m2である。そして、親水性皮膜2は、親水性樹脂とシリコーン系化合物とを含有する親水性塗料をアルミニウム板1に塗布することによって形成される。
図1(b)に示すように、フィン材10Bは、親水性皮膜2が第1皮膜部2aと第2皮膜部2bとからなるものである。
図1(c)〜(e)に示すように、フィン材10C〜10Eは、アルミニウム板1と親水性皮膜2(塗膜)との間に耐食性皮膜をさらに備えるものである。そして、耐食性皮膜は、疎水性皮膜4(塗膜)および化成皮膜3の少なくとも一方からなる。具体的には、図1(c)に示すように、フィン材10Cは、アルミニウム板1と親水性皮膜2(塗膜)との間に疎水性皮膜4(塗膜)をさらに備える。図1(d)に示すように、フィン材10Dは、アルミニウム板1と親水性皮膜2(塗膜)との間に化成皮膜3をさらに備える。図1(e)に示すように、フィン材10Eは、アルミニウム板1と親水性皮膜2(塗膜)との間に、化成皮膜3および疎水性皮膜4(塗膜)をさらに備え、化成皮膜3がアルミニウム板1側に、疎水性皮膜4が親水性皮膜2側に形成されている。
疎水性皮膜4は、疎水性樹脂を含み、疎水性樹脂を含む疎水性塗料を、アルミニウム板1の表面、または、アルミニウム板1に形成された化成皮膜3の表面に、塗布することによって形成される(図1(c)、(e)参照)。疎水性塗料に使用される疎水性樹脂は、例えば、ポリエステル系、ポリオレフィン系、エポキシ系、ウレタン系の各種樹脂が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合したものを用いる。ポリエステル系樹脂としては日本合成化学製「ニチコーポリエスター(登録商標)WR−960」、ウレタン系樹脂としては東邦化学工業製「ハイテック(登録商標)S−6254」が挙げられる。
化成皮膜3は、アルミニウム板1の表面に対し、リン酸クロメート処理、塗布型ジルコニウム処理等の無機酸化物処理、有機−無機複合化合物による処理等の公知の化成処理を施すことによって形成されるものである。化成皮膜3を形成させることによって、フィン材10D、10Eの耐食性が向上する。また、化成皮膜3の付着量は、Cr換算で1〜100mg/m2が好ましい。さらに、これらの化成処理は、他の皮膜(疎水性皮膜4、親水性皮膜2)を形成する前に行う(図1(d)、(e)参照)。
図2(a)、(b)に示すように、フィン材10F、10Gは、疎水性皮膜4、または、親水性皮膜2に抗菌剤がさらに含有されているものである。抗菌剤の含有によって、フィン材10F、10Gに抗菌性が付与される。
潤滑性皮膜は、潤滑性樹脂を含み、潤滑性樹脂を含む潤滑性塗料を親水性皮膜の表面に塗布することによって形成される。潤滑性皮膜の付着量は、10〜1000mg/m2であることが好ましい。潤滑性樹脂としては、例えば、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩よりなる群から選択される1種以上を含むもの等が挙げられる。
フィン材の製造方法としては、図1〜図2に示す皮膜構成に従って、例えば、アルミニウム板1、または、表面に化成皮膜3が形成されているアルミニウム板1に対し、疎水性塗料および親水性塗料(抗菌剤を添加したものも含む)を、バーコーターまたはロールコート装置等を用いて、塗布、乾燥を繰り返し行うことで、疎水性皮膜4および親水性皮膜2を形成する。バーコーターまたはロールコート装置のどちらを使用しても、同等の性能を有するフィン材10A〜10Gを作製できるが、生産性の観点から、ロール状のアルミニウム板1等に対し、ロールコート装置等を適用して、連続的に、脱脂、塗装、加熱、及び、巻き取り等を行うことが好ましい。なお、フィン材10A〜10Gの製造方法はこれら方法に限られるものではない。
まず、以下の方法により、フィン材を作製した。
従来公知の製造方法により、純アルミニウム系のA1200(JIS H4000)からなるアルミニウム板(板厚0.10mm)を製造した。次に、アルミニウム板をアルカリ性薬剤(日本ペイント社製「サーフクリーナー(登録商標)360」)へ浸漬することにより脱脂を5秒間行った。又、リン酸クロメート液に浸漬してリン酸クロメートの皮膜(Cr換算で30mg/m2)をアルミニウム板表面に形成した。そして、このリン酸クロメート処理を施したアルミニウム板に表1に示す親水性樹脂およびシリコーン系化合物を含む親水性塗料をバーコーターで塗布して焼き付けた。
(A):ポリエチレンオキサイド(住友精化製、PEO−1(登録商標))
(B):カルボキシメチルセルロース(第一工業製薬製 セロゲンPR)
(C):アクリル酸/スルホン酸系モノマー共重合体塩(株式会社日本触媒製、アクアリック GL)
(D):ポリビニルアルコール(日本合成化学株式会社製、完全ケン化タイプ、NM11(登録商標))、特許文献1で使用された樹脂
(E):ポリエチレングリコール(三洋化成製、PEG6000S(登録商標))
(U):ウレタン変性樹脂エマルジョン、ハイテック(登録商標)S−6254)
(V):ポリアクリル酸エステル共重合体、ジュリマー(登録商標)AT−210)
(W):ポリエステル系樹脂塗料(日本合成化学株式会社製、水分散テイプポリエステル樹脂、ニチコーポリエスター(登録商標)WR−960)
高周波グロー放電発光分光分析装置((株)堀場製作所製、JY−5000RF)により、パルスモード(周波数300HZ,デューティサイクル0.3125)でアルゴンスパッタリングして、親水性皮膜における珪素の含有率を測定した。ここで、親水性皮膜の付着量が100mg/m2未満である場合には皮膜全部の珪素含有率を測定し、付着量が100mg/m2以上である場合には最表面から膜厚方向に深さ0.1μmの領域での珪素含有率を測定した。測定された珪素含有率の積算平均値を表1に示す。また、図5は、高周波グロー放電発光分光分析結果の例(後記する試料No.3の分析結果)を示しており、珪素含有率の積算平均値が0.6原子%であった。
フィン材を、流量が0.1リットル/分であるイオン交換水の流水に8時間浸漬した後、80℃で16時間乾燥する工程を1サイクルとして、5サイクル行った。その後、フィン材を室温に戻して、表面に約0.5μLの純水、または、0.5μLの流動パラフィンを滴下し、接触角測定器(協和界面科学社製:CA−05型)を用いて接触角を測定した。評価基準は以下の通りである。
○(良好):接触角が40度以下
△(概ね良好):接触角が40度を超え50度未満
×(不良):接触角が50度以上
(流動パラフィン滴下時)
○(良好):接触角が30度以上
△(概ね良好):接触角が25度を超え30度未満
×(不良):接触角が25度以下
作製したフィン材を用いて、図3に示すような熱交換器を作製した。その熱交換器を風洞設備内に設置し、冷暖房運転を所定時間行い、隣接するフィン同士間での結露水のブリッジ(図4(b)参照)の発生を確認した。
○(良好):長時間(3時間結露、1時間乾燥を3サイクル実施)の運転中、ブリッジの発生が2つ以下の状態が持続した。
△(概ね良好):長時間(3時間結露、1時間乾燥を3サイクル実施)の運転中、ブリッジの発生が2つを超えた。
×(不良):通常時間(3時間結露、1時間乾燥を1サイクル実施)の運転中、ブリッジの発生が2つを超えた。
作製した熱交換器を密閉容器に入れ、これの下方においてヘキサデカノールを100℃以上に加熱してヘキサデカノールのミストを発生させ、強制的にヘキサデカノールが付着するような環境で1時間暴露した。その後,暴露済みの熱交換器を風洞設備内に設置して冷房運転を行い、熱交換器からの結露水の飛び出しを確認した。
○(良好):霧状の水滴を含む結露水の飛び出しなし
△(概ね良好):霧状の水滴を含む結露水の飛び出しが僅かにあり
×(不良):結露水の飛び出しが多い
次に、作製したフィン材(試料No.18〜23)について、実施例1と同様にして、通風抵抗および耐汚染性を評価し、その結果を表2に示す。さらに、下記の手順で耐食性および抗菌性について評価し、その結果を表2に示す。
作製したフィン材を、40℃でフィン材表面が結露するような環境に500時間放置した。放置後のフィン材表面について腐食の有無を確認した。
○(良好):腐食の発生なし
△(概ね良好):腐食は発生しているが、比較的軽微
×(不良):腐食の発生が著しい
作製したフィン材を用いて、JISZ2801に規定する抗菌性評価試験をフィルム密着法で行い、抗菌性の発現を確認した。
○(良好):抗菌性が発現、×(不良):抗菌性なし
2 親水性皮膜
3 化成皮膜
4 疎水性皮膜
6 抗菌剤
10A、10B、10C、10D、10E、10F、10G フィン材
Claims (6)
- アルミニウム板と、前記アルミニム板の表面に形成された塗膜とを備え、前記塗膜が、最表面に親水性皮膜を有する1または複数の皮膜からなるアルミニウムフィン材であって、
前記親水性皮膜は、水酸基、カルボキシル基およびスルホン酸基の少なくとも1種を有する親水性樹脂と、シリコーン系化合物とを含み、
前記親水性皮膜の付着量は10〜10000mg/m2であり、
前記塗膜の最表面から深さ0.1μm以内の領域を高周波グロー放電発光分光分析で測定した際の珪素含有率の平均値が0.01〜10原子%であり、
前記親水性皮膜は、流動パラフィン滴下時の接触角が25度を超え、かつ、水滴下時の接触角が50度未満であることを特徴とするアルミニウムフィン材。 - 前記親水性皮膜は、前記アルミニウム板の表面に形成され、水酸基、カルボキシル基およびスルホン酸基の少なくとも1種を有する親水性第1樹脂を含む第1皮膜部と、前記第1皮膜部の表面に形成され、水酸基、カルボキシル基およびスルホン酸基の少なくとも1種を有し、前記親水性第1樹脂と異なる親水性第2樹脂を含む第2皮膜部とからなることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウムフィン材。
- 前記塗膜は、前記アルミニウム板と前記親水性皮膜との間に、疎水性樹脂を含む疎水性皮膜をさらに有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアルミニウムフィン材。
- 前記疎水性皮膜に抗菌剤がさらに含有されていることを特徴とする請求項3に記載のアルミニウムフィン材。
- 前記アルミニウム板と前記塗膜との間に、化成皮膜をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のアルミニウムフィン材。
- 前記親水性皮膜に抗菌剤がさらに含有されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のアルミニウムフィン材。
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