JP2012225536A - 熱交換器用アルミニウムフィン材 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロールコートまたはバーコートにより皮膜塗装を行い、熱伝導率、生産性、加工性や塗料使用量削減に優れ、且つ皮膜欠陥の発生量が抑制され孔食が発生しにくい、耐食性が良好な熱交換器用アルミニウムフィン材を提供する。
【解決手段】Feを0.05〜0.4質量%含有すると共に、必要に応じてSi、Cu、Tiを所定量含有し、残部をAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム板の表面に皮膜量が100〜1200mg/mである耐食性皮膜がロールコーターまたはバーコーターで形成され、且つ皮膜欠陥個数密度を300個/mm以下に制限すると共に、必要に応じて膜厚が1nm〜100nmである下地処理膜を形成し、皮膜量が50mg/m〜10000mg/mである親水性樹脂皮膜処理を行い、又は、アルミニウム板の表面における最大長3μm以上の金属間化合物の個数密度を2500個/mm以下に制限をする。
【選択図】図1

Description

本発明は、その表面に皮膜が形成されたアルミニウムまたはアルミニウム合金よりなるアルミニウムフィン材に係り、特に、エアコン等の熱交換器に好適に使用される熱交換器用アルミニウムフィン材に関する。
熱交換器は、ルームエアコン、パッケージエアコン、冷凍ショーケース、冷蔵庫、オイルクーラーおよびラジエータ等を代表として様々な分野に利用されている。そして、ルームエアコンおよびパッケージエアコン等の熱交換器において、そのフィン材には、熱伝導性および加工性が優れることからアルミニウム材もしくはアルミニウム合金材が使用されている。
エアコン等に供される熱交換器には、室内において熱交換することを目的とする室内機と、その熱を室外の大気と交換することを目的とする室外機がある。エアコン等の熱交換器が設置される環境には、室外機の場合は、高湿度環境、沿岸地域等の塩害環境、酸性雨による酸性環境、室内機の場合は、高湿度環境、特殊施設等の様々な腐食促進環境が存在し、こうした環境に熱交換器を設置することによってフィン材の腐食が進行しやすく、熱交換器の故障や劣化の促進、アルミニウム板の腐食による不快臭発生の原因になるという問題を有していた。
そこで、エアコン用フィン材に耐食性を付与する方法として、フィン材表面に耐食性皮膜を設けた。例えば、クロメート皮膜、チタンあるいはジルコニウム化合物によるノンクロメート皮膜、ベーマイト皮膜および水ガラスなどの無機皮膜をアルミニウムもしくはアルミニウム合金薄板の表面に形成させたり、アクリル樹脂等の有機系塗布剤をロールコートして皮膜形成されるようになった。
しかしながら、ベーマイト皮膜、クロメート皮膜などの無機皮膜は、熱交換器のアルミニウムフィン上で凝縮した水分が粗大な水滴となってフィン表面にとどまり、その水滴によりフィン間にブリッジを作り空隙を狭くし、通風抵抗を大きくして熱効率を大幅に低下させる結果を招来する。
また、有機皮膜の場合には、ロールコーターまたはバーコーターで皮膜塗装を行うと、皮膜表面上で塗布抜け等の皮膜欠陥が多数できてしまう。そのため膜厚を厚くしなければ希望する耐食性が得られないなどの欠点がある。しかし、膜厚を厚くすることは成形加工時に皮膜割れや剥離を引き起こしやすくし、また熱伝導率低下の要因ともなっている。さらに、焼付けや乾燥に時間が掛かるため生産性の向上の障害になるとともに、塗料使用量が多いのでコストアップや焼き付け乾燥時のVOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)発生量も多い。
このような問題を解決する手段として、例えば特許文献1に示される方法が提案されている。すなわち、電着塗装法によって極めて薄く均一な電着皮膜をアルミニウム板材上に形成することで、皮膜欠陥による耐食性低下や加工時の皮膜割れの問題を解決する方法が提案されている。
特公平05−041718号公報
しかしながら、従来のアルミニウムフィン材では以下に示すような問題点を有している。
特許文献1で提案された電着皮膜を有するプレコートフィン材の作製方法では、ロールコーターのように大量かつ連続的に作製ができないため生産性面で劣り、昨今の需要増に対応することは困難である。
そのためロールコートまたはバーコートによる塗装でアルミニウム合金板の表面に薄い耐食皮膜を形成させることにより、耐食性、生産性、熱伝導性、VOC発生量低減、および皮膜形成後のフィン成形時の加工性が優れたアルミニウムプレコートフイン材を提供することが求められている。
有機皮膜の場合には、ロールコーターやバーコーターで皮膜量1200mg/m以下の皮膜塗装を行うと、アルミニウム板上への塗布量が微量であるため、素材の表面状態の影響を受け皮膜欠陥や皮膜ムラが生じやすくなっている。そして皮膜塗装材は皮膜欠陥の数や面積が増加すると孔食の面積率も増加するという相関関係を有しており、主に皮膜欠陥を起点として腐食が進行していると考えられる。また、皮膜塗装すると少しの皮膜ムラでも平均膜厚よりも数倍薄い皮膜厚の箇所が発生してしまう。そのため、その皮膜の薄い箇所においても皮膜の透水が起こりやすく腐食しやすくなっていると考えられる。以上のように耐食性樹脂をロールコーターによって皮膜塗装すると皮膜欠陥や皮膜ムラが発生して耐食性が劣化してしまうという問題が有る。
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたもので、ロールコートまたはバーコートにより皮膜量1200mg/m以下の皮膜塗装を行い、熱伝導率、生産性、加工性や塗料使用量削減に優れ、且つ皮膜欠陥の発生量が抑制され孔食が発生しにくい、耐食性が良好な熱交換器用アルミニウムフィン材を提供することを課題とする。
すなわち本発明に係る熱交換器用アルミニウムフィン材は、アルミニウム板と、前記アルミニウム板の表面にロールコーターまたはバーコーターで形成された耐食性皮膜とを備える熱交換機用アルミニウムフィン材であって、前記アルミニウム板は、Fe:0.05〜0.4質量%を含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、前記耐食性皮膜は、耐食性樹脂からなりその皮膜量が100〜1200mg/mであり、皮膜欠陥個数密度が300個/mm以下であることを特徴とする。
このような構成によれば、アルミニウム板がFeを0.05%以上含有することで、固溶強化により強度が向上する。さらに亜結晶粒が微細化され、伸びが向上し、またβ−Fiberが十分に生成する。またFe含有によりピン止め効果が期待でき、結晶粒粗大化が抑制されカラー割れを抑制できる。一方、アルミニウム板がFeを0.4%以下含有することで、金属間化合物の個数密度が抑制され、皮膜欠陥の減少に寄与する。また、耐食性樹脂皮膜の皮膜量が1200mg/m以下であることによって、皮膜の熱抵抗が少なくなり熱伝導性の向上に寄与する。そして耐食性皮膜の皮膜欠陥の個数密度300個/mm以下であることで、腐食の起点が少ないので皮膜量が少なくても耐食性が良好である。なお、本発明においては皮膜欠陥とは80mg/m以下の皮膜量の箇所をさしており、皮膜が欠落してAl素地が露出している部分のみをさすわけではない。
また、熱交換器用アルミニウムフィン材は、アルミニウム板がSi:0.15質量%以下を含むことが好ましい。
このような構成によれば、Siを所定量含有することで、さらに金属間化合物の個数密度が抑制され、皮膜欠陥の減少に寄与する。
さらに、熱交換器用アルミニウムフィン材は、アルミニウム板がCu:0.04質量%以下をさらに含むことが好ましい。
このような構成によれば、Cuを所定量以下に抑制することで、アルミニウム板の自己耐食性が向上し、仮にAl素地に水が達しても腐食しにくくする。
さらに、熱交換器用アルミニウムフィン材は、アルミニウム板がTi:0.01〜0.08質量%以下をさらに含むことが好ましい。
このような構成によれば、Tiを所定量含有することで、結晶粒が微細化して耐カラー割れ性が向上する。
また、熱交換器用アルミニウムフィン材は、アルミニウム板表面における最大長3μm以上の金属間化合物の個数密度が2500個/mm以下であることが好ましい。
このような構成によれば、均熱温度の低温化で最大長3μm以上の金属間化合物の個数密度を所定量以下に抑制することで膜厚に関わらず皮膜欠陥発生量を減少させることができる。
更に熱交換器用アルミニウムフィン材は、アルミニウム板と耐食性皮膜との間に下地処理膜をさらに備え、下地処理膜は、無機酸化物または有機―無機複合化合物からなり膜厚が1nm〜100nmであることが好ましい。
このような構成によれば、熱交換器用アルミニウムフィン材の耐食性が更に向上すると共に、耐食性皮膜の密着性も向上する。
加えて本発明のアルミニウムフィン材は、前記耐食性皮膜上に、親水性樹脂皮膜をさらに備え、前記親水性樹脂皮膜は、親水性樹脂を含み、その皮膜量が、50〜10000mg/mであることが好ましい。
このような構成にすれば、フィン上で凝縮した水分が大きな水滴となるのを防止できるため、本発明の熱交換器用アルミニウムフィン材を用いた熱交換器の熱効率の向上が図られる。
本発明に係る熱交換器用アルミニウムフィン材は、1200mg/m以下の皮膜量でも良好な環境に対する耐食性を維持できる。これにより熱交換器用アルミニウムフィン材の劣化を防止しつつフィンとしての熱交換効率を向上させることができる。さらにフィン材の製造時に耐食性皮膜が硬化しやすくなるので、焼付け・乾燥時間の短縮や炉温の低温化につながり生産性の向上に寄与する。また加工時の皮膜剥離が少なくなるとともに加工治具への負荷が軽減することや、塗料使用量が減るためVOC削減効果も有る。
本発明に係る熱交換器用アルミニウムフィン材の断面の模式図である。 EPMAのマッピング画像の図面代用写真である。 熱交換器の熱伝導性測定時の模式図である。 図3のX−X線の断面図である。
次に、本発明に係る熱交換器用アルミニウムフィン材(以下、適宜、フィン材という)の実施形態について、図面を適宜参照して詳細に説明する。
<フィン材>
図1(a)〜(d)に示すように、本発明に係るフィン材は、アルミニウム板(1)と、アルミニウム板(1)の表面にロールコーターまたはバーコーターで形成された耐食性皮膜(3)とを備え、そのアルミニウム板(1)はFeを所定量含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるものである。そして、本発明に係るフィン材は、アルミニウム板(1)上に、皮膜量100〜1200mg/mであり、皮膜欠陥個数密度が300個/mm以下である耐食性皮膜(3)を要する。前記アルミニウム板(1)上には下地処理膜(リン酸クロメート処理膜など)(2)または親水性樹脂皮膜(4)が形成されることが好ましい。また、アルミニウム板中の金属間化合物の個数密度が2500個/mm以下に規定したものが好ましい。好ましくは、Si、Cu、Tiを所定量以下に抑制する。
以下、各構成について説明する。
(アルミニウム板)
本発明に用いられる金属板は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる板材であって、熱伝導性および加工性が優れることから、JIS H4000に規定する合金種1000系のアルミニウムおよびアルミニウム合金が好適に用いられる。本発明では下記の素材成分に規定したアルミニウムが使用される。
以下に、成分数値限定理由について説明する。
(Fe:0.05〜0.4質量%)
Feは、固溶強化による強度向上や耐食性の向上、亜結晶粒の微細化による伸びの向上のために添加する元素である。Fe含有量が0.05質量%未満では、それらの効果が得られない。またFeによるピン止め効果も期待できず結晶粒の粗大化につながり、カラー割れの要因となる。さらにFe含有量が0.05質量%未満では工場において造隗する際は釜洗いが必要となるため生産性が劣るという点や、Al地金価格が高く経済的ではないといった要因もある。一方、Fe含有量が0.4質量%を超えると、金属間化合物が粗大化し、これが耐食性皮膜の皮膜欠陥発生の要因となり耐食性劣化につながる。したがって、Fe含有量は、0.05〜0.4質量%とする。
(Si:0.15質量%以下(0質量%を含む))
Siは、不可避的不純物として混入する元素であるが、Si含有量が0.15質量%を超えると、金属間化合物が粗大化し、これが耐食性皮膜の皮膜欠陥発生の要因となり耐食性劣化につながる。したがって、Si含有量は、0.15質量%以下とする。なお、0質量%まで抑制してもよい。
(Cu:0.04質量%以下(0質量%を含む)
Cuは、固溶強化による強度向上や、亜結晶粒の微細化による伸びの向上、β−Fiberの生成を十分にするために微量添加する元素である。Cu含有量は0.04質量%を超えると、素材の自己耐食性の低下を招く。したがって、Cu含有量は、0.04質量%以下である。なお0質量%まで抑制してもよい。
(Ti:0.01〜0.08質量%)
Tiは、鋳塊組織の微細化のために、微量添加する元素である。Al−Ti−B中間合金として添加しても良い。すなわち、Ti:B=5:1あるいは5:0.2の割合としたAl−Ti−B鋳塊微細化剤を、ワッフルあるいはロッドの形態で溶湯(スラブ凝固前における、溶解炉、介在物フィルター、脱ガス装置、溶湯流量制御装置へ投入された、いずれかの段階での溶湯)へ添加してもよい。Al−Ti−B中間合金はTi量で、0.08質量%までの含有は許容される。Ti含有量が0.01質量%未満では、鋳塊組織微細化の効果が得られない。一方、Ti含有量が0.08質量%を超えると、金属間化合物が粗大化し、これが耐食層の皮膜欠陥発生の要因となり耐食性劣化につながる。したがって、Tiを添加する場合には、Ti含有量は、0.01〜0.08質量%とする。
(残部:Alおよび不可避的不純物)
アルミニウム板の成分は前記の他、残部がAlおよび不可避的不純物からなるものである。なお、不可避的不純物として、前記したSiの他、例えば、地金や中間合金に含まれている、通常知られている範囲内のMn、Cr、Mg、Zn、Ga、V、Ni等は、それぞれ0.02質量%までの含有は許容される。
(金属間化合物)
本発明のアルミニウム板(1)の表面における最大長3μm以上の金属間化合物の個数密度は2500個/mm以下が好ましい。
アルミニウム板中の金属間化合物の個数密度が2500個/mmを超えると、耐食性皮膜の皮膜欠陥発生の要因となりフィン材の耐食性劣化につながる。
最大長3μm以上の金属間化合物の個数密度の制御は、アルミニウム板(1)に含まれる各成分の含有量、均質化熱処理条件(温度と時間)により制御できる。
なお、金属間化合物の個数密度は、SEMにより測定する。
(板厚0.08〜0.3mm)
強度、熱伝導性および加工性等を考慮して、アルミニウム板は板厚0.08〜0.3mm程度のものが好ましい。
(耐食性皮膜)
耐食性皮膜(3)は、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン系樹脂およびアクリル系樹脂のうちの少なくとも1種よりなる耐食性樹脂で形成される。また、前記耐食性樹脂は、主成分がウレタン樹脂やエポキシ樹脂やアクリル樹脂やポリエチレン樹脂であり、ポリエステル系ウレタン樹脂や変性エポキシ樹脂、アクリル・スチレン共重合体樹脂、ウレタン変性ポリエチレン樹脂等の変性樹脂や共重合体樹脂も含む。これにより、アルミニウム板の腐食(酸化)が抑制され、フィン材に耐食性が付与される。例えば、酸性雰囲気などにおける苛酷な多湿環境においても、親水性樹脂皮膜等の他膜を浸透してきた凝縮水がアルミニウム板(1)と接触するのを抑制できる。耐食性皮膜(3)の形成は、例えば、疎水性樹脂の水系溶液をバーコートまたはロールコートにより塗布、焼付けすることによって行われる。
一般的な熱交換器においては、フィン材を貫いて構成される伝熱管には銅管が使用されることが多い。そして、耐食性皮膜(3)の皮膜量が多いと、耐食性皮膜(3)によるフィン材と銅管との接触熱抵抗が大きくなり、伝熱性能が低下してしまう恐れがある。しかし、1200mg/m以下の少ない皮膜量であれば優れた熱伝導性を示すことができる。また、皮膜量100mg/m未満の皮膜量の場合においては、皮膜が非常に薄いため水を透しやすくなるとともに、フィン材等の素材の表面状態に関わらず皮膜ムラや皮膜欠陥が多量に発生するため腐食の起点が増える。これらの理由により皮膜量100mg/m未満の皮膜量は耐食性の劣化が顕著であるため適用できない。よって皮膜量は前記のとおり100mg/m〜1200mg/mとする。より好ましくは200〜1000mg/mである。さらに好ましくは250〜800mg/mである。
また、前記耐食性皮膜(3)の皮膜欠陥個数密度は300個/mm以下である。皮膜欠陥個数密度の制御は耐食性樹脂の量および素材表面の金属間化合物個数により制御する。皮膜欠陥個数密度の測定は後述するように、SEMで行う。
そして、皮膜は複数存在してもよく最表面に親水性樹脂皮膜(4)が形成されていることが望ましい(図1(c)(d))。
さらに耐食性皮膜(3)はフィン材の所望耐食性能および使用皮膜樹脂の性能を考慮して、複数積層形成することが望ましい。
なお、皮膜量は蛍光X線、赤外膜厚計、皮膜剥離による重量測定、またはEPMA(電子プローブ・マイクロアナライザー)等で測定する。
(下地処理膜)
アルミニウム板(1)と耐食性皮膜(3)との間には下地処理膜(2)が形成されていてもよい。下地処理膜(2)は、無機酸化物または有機−無機複合化合物よりなる。無機酸化物としては、主成分としてクロム(Cr)またはジルコニウム(Zr)を含むものが好ましく、例えば、リン酸クロメート処理、リン酸ジルコニウム処理、クロム酸クロメート処理を行うことにより形成されたものである。しかし、本発明においては、耐食性を奏するものであれば、これらに限定されず、例えば、リン酸亜鉛処理、リン酸チタン酸処理を行うことによっても下地処理膜(2)を形成することができる。また、有機−無機複合化合物としては、塗布型クロメート処理または塗布型ジルコニウム処理を行なうことにより形成されたもので、アクリル−ジルコニウム複合体等が挙げられる。
この下地処理膜(2)の形成により、フィン材に耐食性が付与される。また、耐食性皮膜(3)を形成する際に、アルミニウム板の上に直接に耐食性皮膜(3)が存在する場合よりも、下地処理膜(2)の上に耐食性皮膜(3)が存在する場合の方が、耐食性皮膜(3)のアルミニウム板(1)に対する密着性が向上する。これにより、プレコートフィン材の加工時における耐食性皮膜(3)の密着性を高めることができる。また、エアコン等の設置環境によるフィン材の腐食をより抑制することができる。
下地処理膜(2)は、CrまたはZrをCrまたはZrに換算して1mg〜100mg/mの範囲で含有するものが好ましい。前記下地処理膜(2)の膜厚としては、1nm〜100nmとするのが好ましい。また、前記下地処理膜の膜厚は使用目的等に合わせて適宜変更が可能であることはいうまでもない。前記下地処理膜(2)の膜厚が1nm未満では、フィン材の耐食性が低下しやすくなり、前記膜厚が100nmを超えると、下地処理膜(2)と耐食性皮膜(3)との密着性が低下しやすくなる。また、経済的な観点からも、前記膜厚は100nm以下とするのが好ましい。
(親水性樹脂皮膜)
耐食性皮膜(3)の表面には親水性樹脂皮膜(4)が形成されていてもよい。これにより、フィン材に親水性を付与することができる。その結果、凝縮した水分が粗大な水滴となってフィン表面にとどまり、通風抵抗を大きくして熱交換器の熱効率を大幅に低下させることがなくなる。
親水性樹脂皮膜(4)は、主に親水性樹脂からなる。用いられる親水性樹脂としては、親水性官能基を有する有機化合物、その親水性官能基を有する有機化合物の誘導体であることが好ましい。なお親水性官能基としては、スルホン基、スルホン基誘導体、カルボキシル基、カルボキシル基誘導体、水酸基、水酸基誘導体等が挙げられる。親水性官能基を有する有機化合物、その親水性官能基を有する有機化合物の誘導体は、親水性官能基を有するモノマーの重合体(ポリマー)または、共重合体や、前記親水性官能基を有するポリマーをブレンドしたものが挙げられる。例えば、カルボキシル基を有するポリマーとしては、ポリアクリル酸等、水酸基を有するポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール等が挙げられる
親水性樹脂皮膜(4)は、アクリルアミド系樹脂等の窒素化合物を含有しない樹脂や物質であることが好ましい。なお、窒素化合物を含有する場合における、その含有量は、GD−OES(グロー発光分光分析)による窒素存在比率測定において1原子%以下が好ましい。窒素化合物が1原子%を超えて含まれていると、酸性環境や高湿度環境等厳しい環境下では窒素化合物が酸化されて、異臭の発生原因となりやすい。
親水性皮膜(4)の皮膜量は50〜10000mg/mである。前記皮膜量が50mg/m未満では、フィン材の親水性が低下しやすくなる。一方、前記皮膜量が10000mg/mを超えると、親水性のさらなる向上は認められない。同時に、前記皮膜量が10000mg/mを超えて付与することは、経済的にも好ましくない。特に好ましくは、前記皮膜量が150〜2000mg/mである。このような皮膜量により、経済性を損なわずに、フィン材の親水性がより一層高くなる。なお、皮膜量は蛍光X線、赤外膜厚計、皮膜剥離による重量測定等で測定する。
(耐力:130N/mm以上)
本発明のフィン材(10)は、フィン作製において、ドローレスプレス成形やコンビネーションプレス成形を行うものであるため、耐力は130N/mm以上が好ましい。耐力が130N/mm未満では、強度が不足し、ドローレスプレスやコンビネーションプレス成形の際にカラー割れが多数生じる。したがって、耐力は130N/mm以上が好ましい。なお、好ましくは130N/mm超である。また、強度が高過ぎると、ドローレスプレス成形の際にカラー割れが生じやすくなるため、上限値は170N/mmとすることが好ましい。
≪フィン材の製造方法≫
フィン材(10)の製造方法は、アルミニウム板製作工程と、表面処理工程とを含むものである。
(アルミニウム板製作工程)
アルミニウム熱交換器用フィン材に係るアルミニウム板(1)は、鋳塊作製工程と、熱処理工程と、熱間圧延工程と、冷間加工工程と、調質焼鈍工程により製造される。
以下、各工程について説明する。
(鋳塊作製工程)
鋳塊作製工程は、アルミニウム合金を溶解、鋳造してアルミニウム合金鋳塊を作製する工程である。
鋳塊作製工程では、前記した組成を有するアルミニウム合金を溶解した溶湯から、所定形状の鋳塊を作製する。アルミニウム合金を溶解、鋳造する方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いればよい。例えば、真空誘導炉を用いて溶解し、連続鋳造法や、半連続鋳造法を用いて鋳造することができる。
(熱処理工程)
熱処理工程は、前記の化学成分を有するアルミニウム合金鋳塊に、450℃〜560℃の温度で1時間〜10時間の熱処理(均質化熱処理)を施す工程である。
熱処理温度が450℃未満では、鋳塊の組織の均質化が不十分となる。また、熱間加工性の低下を招く。一方、熱処理温度が560℃を超えると、加熱中で微細化する微細金属間化合物が粗大化し、亜結晶粒が粗大化して伸びが低下する。また、固溶量の増加を招く。したがって、熱処理温度は、450℃〜560℃とする。好ましくは、480℃〜540℃である。また、熱処理は1時間以上行うことが通常であり、10時間を超えると効果が飽和することから、熱処理時間は1時間〜10時間とする。
(熱間圧延工程)
熱間圧延工程は、前記熱処理後に、熱間仕上げ圧延の終了温度が250℃以上300℃未満となる条件で熱間圧延を施す工程である。
熱間仕上げ圧延の終了温度が250℃未満では、材料の圧延性が低下し、圧延自体が困難となったり、板厚制御が難しくなったりして、生産性が低下する。一方、300℃以上では、熱延板で再結晶組織となるために、調質焼鈍後に繊維状の同一結晶方位群が生成し、ピアス&バーリング工程時にくびれを生じる。したがって、熱間仕上げ圧延の終了温度は、250℃以上300℃未満とする。より好ましくは、260℃から290℃である。
(冷間加工工程)
冷間加工工程は、前記熱間圧延後に、冷間加工率96%以上の冷間加工(冷間圧延)を施す工程である。
熱間圧延終了後、冷間加工を1回、あるいは複数回行なって、フィン材を所望の最終板厚とする。ただし、冷間加工率が96%未満では、調質焼鈍後に亜結晶粒が粗大化し、さらにβ−Fiberの生成が不十分となる。したがって、冷間加工における冷間加工率は、96%以上とする。
この冷間加工工程中において中間焼鈍を行なうと、96%以上の冷間加工率達成が困難となる。このため、冷間加工工程中において中間焼鈍は行なわない。この冷間加工工程中で中間焼鈍を行なった場合の冷間加工率は中間焼鈍後から最終板厚までの間の加工率を指す。
なお、冷間加工率は高いほど好ましいため、上限は特に設けない。
(調質焼鈍工程)
調質焼鈍工程は、前記冷間加工後に、160℃〜250℃の温度で1〜6時間保持する調質焼鈍(仕上げ焼鈍)を施す工程である。
調質焼鈍の温度が160℃未満では、充分な組織の回復効果が得られない。一方、調質焼鈍の温度が250℃を超えると、焼鈍後に再結晶粒を生じ、これを起点に割れが生じる。また、亜結晶粒の微細化が促進されず、さらにβ−Fiberの生成が不十分となる。したがって、調質焼鈍の温度は、160℃〜250℃とする。
(表面処理工程)
フィン材(10)が、下地処理膜(2)、耐食性皮膜(3)および親水性樹脂皮膜(4)を備える場合には、以下のようにして行う。
下地処理膜(2)の形成は、アルミニウム板(1)にリン酸クロメート処理、リン酸ジルコニウム処理等の化成処理液をスプレー等により塗布することで行われる。また、下地処理膜形成の前処理としてアルミニウム板(1)表面の脱脂処理を行うことが好ましい。このアルミニウム板(1)表面の脱脂処理は、アルミニウム板(1)の表面にアルカリ水溶液をスプレー等した後、水洗をするなどして行われる。
耐食性皮膜(3)、親水性樹脂皮膜(4)の形成は、樹脂塗料をバーコーターまたはロールコーターで塗布した後、焼付けすることで行われる。焼付け温度(アルミニウム板の到達温度)は、塗布する樹脂塗料によって、適宜設定するが、一般的に100℃〜300℃の範囲で行う。
以上、本発明を実施するため形態について述べてきた。以下に、本発明の効果を確認した実施例について説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(供試材の作製方法)
まず、以下の方法により、フィン材を作製した。表1に示す組成のアルミニウム合金を溶解、鋳造して鋳塊とし、この鋳塊に面削を施した後に、480℃または540℃で4時間の均質化熱処理を施した。この均質化した鋳塊に、熱間仕上げ圧延の終了温度を270℃となるように制御して熱間圧延を施し、板厚3.0mmの熱間圧延板とした。さらに、前記熱間圧延板にそれぞれ97%程度の冷間加工率で冷間圧延を施して板厚を0.1mmとし、表1に示す温度および保持時間の調質焼鈍を施してアルミニウム板とした。そして、以下の表面処理を行った。アルミニウム板のアルカリ性脱脂液への浸漬により脱脂を5秒間行い、次にリン酸クロメート液に浸漬してリン酸クロメートの皮膜15〜40mg/mをアルミニウム板表面に形成した。このリン酸クロメート処理板にエポキシ樹脂の耐食性樹脂塗料を表1に示す皮膜量になるようにバーコーターで塗装し260℃で10秒焼付けを行い、最後に水溶性セルロース系樹脂塗料を皮膜量200mg/m上塗りして230℃で10秒焼付けを行いフィン材(試料1〜31)とした。
(金属間化合物個数密度)
アルミニウム板について金属間化合物個数密度を以下の方法で測定した。
アルミニウム板の3μm以上の金属間化合物の個数密度は、(日本電子製SEMにより)観察倍率500倍で、面積1.0mmの試料表面を撮影した走査電子顕微鏡(SEM)組織を、画像解析することにより算出した(撮影箇所は20箇所)。その画像解析方法は、日本電子のEDSソフト(ParticleFinder)により、撮影したCOMPO画像中の一定値以上の明るさの部位を抽出しカウントした。なお、金属間化合物のサイズとは個々の化合物の最大の長さをいう。
(皮膜欠陥の個数密度)
EPMA(電子プローブ・マイクロアナライザー)(日本電子製)により観察倍率200倍でフィン材表面の炭素元素での面分析(15kV)を実施した(n=10、平均値を1.0mm辺りに換算)。前記面分析結果であるマッピング画像において炭素の特性X線強度が皮膜量換算で80mg/m以下相当である部位を皮膜欠陥部位であると規定した。そして、マッピング画像を基に日本ローパ製ソフトImage−Pro Plus上で画像解析を実施して皮膜欠陥数を測定し、供試材の皮膜欠陥個数密度を算出した。これらマッピング画像と画像解析の一例を図2に示す。なお、前記皮膜欠陥部位に○印をつけて明確化した。
(耐力)
耐力の測定は、フィン材から、引張方向が圧延方向と平行になるようにJIS5号による引張試験片を切り出し、JIS Z 2241による引張試験を実施することで行なうことができる。なお、本実施例および比較例の評価における引張速度は5mm/minで行った。
作製したフィン材(試料1〜31)を用いて、耐カラー割れ性、耐食性、熱伝導性を以下の方法で評価し、その結果を表1に示す。
(耐カラー割れ性評価)
作製した表面処理フィン材にドローレス成形によりプレス成形を実施し、耐カラー割れ性を評価した。具体的には、プレスを行うにあたり水系プレス油として、出光製のAF2ASを使用した。加工速度200spm、しごき率40%のプレス条件下でポンチ加工を行った。
耐カラー割れ性評価は、プレス成形品計400穴(100個×4列)に対して、カラー部に生じた割れを目視にてカウントすることで評価した。
「割れ数/400×100(%)」を発生率とし、発生率が10%未満を合格(○)とし、10%以上を不合格(×)として表1に示す。
(素材の耐食性評価)
表面処理なしのアルミニウム板についてJIS Z 2371に示された塩水噴霧試験方法のうち、中性塩水噴霧試験を実施し耐食性を評価した。試験時間は500時間とした。
塩水噴霧試験後の耐食性はISO8407:2009に示された腐食重量減測定方法に準じて実施した腐食重量減結果により評価した。腐食生成物除去液としては前記腐食重量減測定方法に記載のうち100℃のリン酸とクロム酸の混合水溶液(85%リン酸35mL/L、無水クロム酸20g/L)を用いた。腐食試験前後のフィン材の重量変化を求め、腐食重量減の割合を算出した。腐食重量減2%未満:○、2%以上2.5%未満:△、2.5%以上:×とし表1に示す。
各種試験片のブランク材(腐食試験未実施材)を用意して、リン酸クロム水溶液に溶けだすAl分の重量誤差を測定し、腐食重量減の補正を行った。
(表面処理材の耐食性評価)
表面処理を行ったアルミニウム板から作成したフィン材においても前記塩水噴霧を500時間実施した。供試材の腐食状況を目視によって観察し、腐食面積率に応じて、JIS Z 2371に規定されたレイティングナンバ法によって点数を付した。RtNo9.5以上(◎)、RtNo9.3以上9.5未満(○)、RtNo9以上9.3未満(○△)の以上3つを合格とし、RtNo9未満を不合格(×)として表1に示す。
(熱伝導性)
図3、図4に示すように後述する大きさの熱交換器を作製し、列を越えて互いに隣接する銅管(A)(B)に水50℃を(流量3L/分)流し、それ以外の銅管では何も流さずに熱を逃がした。そして、銅管(A)と同じ列であって銅管(A)に隣接すると共に、隣接する列であって銅管(B)に隣接する銅管(C)の表面温度が30℃に達するまでの時間を測定する。
熱伝導性評価で30℃に達するまでの時間が15秒未満(◎)、15秒以上20秒未満(○)の以上2つを合格とし、20秒以上30秒未満(△)、30秒以上(×)の以上2つを不合格として表1に示す。
測定時の環境は室温23℃、相対湿度50%(通風無し)である。
作成した熱交換器は、7φドローレスでプレスしたアルミフィン10枚を用いて測定した。本発明のアルミニウム板からなるアルミフィンに14mm間隔で銅管を2列で交互に通した。フィンの大きさ:約210mm×約25mm、プレス数:1列10穴×2列、銅管の内径:約7mm、銅管の厚さ:0.25mm、銅管の本数:20本、銅管の長さ:約100mmである。
銅管(A)および銅管(C)の温度測定場所はアルミフィン末端から10mm離れた銅管の表面である。
一般的に皮膜の熱抵抗はモデル式で表すことができるので、下式(1)から皮膜の熱抵抗理論値を求めた。プレコート皮膜の(平均)熱伝導率は、小野木重治著 高分子材料科学 昭和48年刊およびアルミニウムハンドブック第5版による。皮膜の熱抵抗を12.54×10−3(J/m・hr・℃)以下:(◎)、12.54×10−3より大きく25.08×10−3以下:(○)、25.08×10−3より大きく62.70×10−3以下:(△)、62.70×10−3より大きい:(×)と区分して、その結果を表1に示す。
なお、(1)式でH:耐食性皮膜の熱抵抗、δf:耐食性皮膜の厚み、kf:耐食性皮膜[樹脂]の熱伝達率とする。
また一般的に熱交換器の熱交換率と皮膜の熱伝導性は相関関係があり下式(2)のようなモデル式で表すこともできる。これにより、皮膜が薄くなると総括伝熱係数に影響することが説明できる。
なお、(2)式でK:総括伝熱係数、E:銅管内熱伝達部分の熱抵抗、F:空気側熱伝達部分の熱抵抗、G:銅管の熱抵抗、H:プレコート皮膜の熱抵抗、I:銅管とフィンの接触熱抵抗とする。
これら耐食性皮膜の熱抵抗と総括伝熱係数の計算結果を表1に示す。なお、請求項1ないし請求項5いずれか一項に係る本発明の範囲および好ましい範囲を満たさないものについては、数値に下線を引いて示す。
表1に示すように、実施例No.1〜20は、本発明の請求項1を満たすため、表面処理後の耐食性、皮膜の熱伝導性、耐カラー割れ性に優れていた。
なお、No.12はSi含有量が規定値を超えているため3μm以上の金属間化合物が増加し、その結果、皮膜欠陥個数密度が増加している。しかし皮膜欠陥個数密度は規定値(300個/mm2)以下であることや、素材の自己耐食性は大きく劣化していないことから、表面処理後の耐食性能は確保されている。
また、No.6No.11No.13はCu含有量が規定値を超えているので、Cu含有した金属間化合物が増えて素材の自己耐食性は劣化したものの、表面処理後の耐食性は確保されている。
また、No.4はNo.1に比べ均熱温度が高いため3μm以上の金属間化合物が2500個/mmを超えた。このため、規定の皮膜厚内ではわずかに皮膜欠陥の数が増えるものの、素材の自己耐食性も表面処理後の耐食性も良好である。
No.7は、No.2、No.3に比べ、均熱温度が高いので3μm以上の金属間化合物が2500個/mmを超える。また、規定皮膜厚内でもわずかに皮膜欠陥の数が増えるものの、素材の自己耐食性も表面処理後の耐食性も良好である。
また、No.1、No.15、No.16、No.17では耐食性樹脂が異なるため多少の差異はあるものの、耐食性や熱伝導性は良好である。
No.2、No.18、No.19、No.20でも上記と同様に耐食性樹脂が異なるため多少の差異はあるものの、耐食性や熱伝導性は良好である。
ただし熱交換器の熱伝導性や樹脂の熱伝導性理論値はエポキシ≒アクリル>ウレタン>ポリエチレンの順に高い値であった。
一方、比較例21〜34は本発明の範囲を満たさないため、以下の結果となった。
No.21〜No.23は本発明の皮膜量の範囲を満たしているため熱伝導性は良好であるが、皮膜欠陥の個数密度が上限値を超えているため、腐食の起点が多く、耐食性に劣った。
No.24、No.25、No.32、No.33、No.34は皮膜欠陥の個数密度の範囲を満たしているため表面処理後の耐食性は良好であるが、皮膜量の上限値を超えているため、皮膜の熱抵抗が高くなり熱伝導性に劣った。
No.26、No.27は皮膜量が下限値を下回るため皮膜が水を透しやすくなるとともに、表面未処理のフィン材の状態に関わらず皮膜欠陥の個数密度が上限を超えるため腐食の起点が多くなり、耐食性が劣った。
No.28は皮膜量や皮膜欠陥個数密度を満たしているため耐食性や熱伝導性は良好である。しかし、アルミニウム板のFe含有量が規定範囲を下回るため、結晶粒が粗大化して耐カラー割れ性に劣った。
No.29〜No.31は皮膜量や皮膜欠陥個数密度を満たしているため耐食性や熱伝導性は良好である。しかし、Fe含有量が規定範囲を上回るため金属間化合物が粗大化し耐カラー割れ性に劣った。
以上、本発明に係る熱交換器用アルミニウムフィン材について最良の実施の形態および実施例を示して詳細に説明した。なお、本発明の内容は、前記実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲内において適宜改変・変更等することができることはいうまでもない。
1 アルミニウム板
2 下地処理膜
3 耐食性皮膜
4 親水性樹脂皮膜
10 フィン材(熱交換器用アルミニウムフィン材)

Claims (7)

  1. アルミニウム板と、前記アルミニウム板の表面にロールコーターまたはバーコーターで形成された耐食性皮膜とを備える熱交換機用アルミニウムフィン材であって、
    前記アルミニウム板は、Fe:0.05〜0.4質量%を含み、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、
    前記耐食性皮膜は、耐食性樹脂からなりその皮膜量が100〜1200mg/mであり、皮膜欠陥個数密度が300個/mm以下である
    ことを特徴とする熱交換機用アルミニウムフィン材。
  2. 前記アルミニウム板は、Si:0.15質量%以下をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器用アルミニウムフィン材。
  3. 前記アルミニウム板は、Cu:0.04質量%以下をさらに含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱交換器用アルミニウムフィン材。
  4. 前記アルミニウム板は、Ti:0.01〜0.08質量%をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の熱交換器用アルミニウムフィン材。
  5. 前記アルミニウム板は、その表面における最大長3μm以上の金属間化合物の個数密度が2500個/mm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の熱交換器用アルミニウムフィン材。
  6. 前記熱交換器用アルミニウムフィン材は、アルミニウム板と耐食性皮膜との間に下地処理膜をさらに備え、下地処理膜は、無機酸化物または有機―無機複合化合物からなり膜厚が1nm〜100nmであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の熱交換機用アルミニウムフィン材。
  7. 前記熱交換器用アルミニウムフィン材は、前記耐食性皮膜上に、親水性樹脂皮膜をさらに備え、前記親水性樹脂皮膜は、親水性樹脂を含み、その皮膜量が、50〜10000mg/mであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の熱交換機用アルミニウムフィン材。
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