JP2010222536A - セルロース及び高分子セルロース複合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高透明性、非着色性、低線膨張係数化、高弾性率を実現する高分子セルロース複合体を得ることができる、セルロースの製造方法を提供する
【解決手段】 原料セルロースを、水中で有機酸と接触する工程と、セルロースを解繊する工程を有することを特徴とすることによりセルロースを製造する。
【選択図】 なし
Description
更に、セルロースの精製方法において、例えば特許文献43のように硫酸等の酸処理の工程を入れることにより熱退色性を改良する方法が知られている。しかしながら本発明者らの検討によれば、硫酸で酸処理を行った場合、後のナノファイバー化の工程で解繊されにくくなり、得られたセルロースと高分子を複合化した際に、ヘイズが低下するという問題点があった。さらに、弾性率のような機械的物性も低下することが判明し、特にナノファイバーセルロースの製造において、硫酸のような無機酸で処理することは問題があった。
[原料セルロース]
本発明における原料セルロースとは、一般的な精製を経た粗セルロースである。例えば、ベンゼン及びエタノールまたは、炭酸ナトリウムで脱脂した後、ワイズ法で脱リグニン処理を行い、更にアルカリ中で脱ヘミセルロース処理を行ったものが挙げられる。もしくは一般的な製紙用パルプで用いられる化学パルプ化法を適用することもできる。
原料セルロースの由来としては、針葉樹や広葉樹等の木質、コットンリンターやコットンリント等のコットン、さとうきびや砂糖大根等の絞りかす、亜麻、ラミー、ジュート、ケナフ等の靭皮繊維、サイザル、パイナップル等の葉脈繊維、アバカ、バナナ等の葉柄繊維、ココナツヤシ等の果実繊維、竹等の茎幹繊維、バクテリアが産生するバクテリアセルロース、バロニアやシオグサ等の海草やホヤの被嚢等が挙げられる。これらの天然セルロースは、結晶性が高いので低線膨張率、高弾性率になり好ましい。バクテリアセルロースは微細な繊維径のものが得やすい点で好ましい。また、コットンも微細な繊維径なものが得やすい点で好ましく、さらに原料が得やすい点で好ましい。さらには針葉樹や広葉樹等の木質も微細な繊維径のものが得られ、かつ地球上で最大量の生物資源であり、年間約700億トン以上ともいわれる量が生産されている持続型資源あることから、地球温暖化に影響する二酸化炭素削減への寄与も大きく、経済的な点から優位である。このようなセルロース原料を一般的な精製を経て本発明の原料セルロースとする。
本発明の原料セルロースの繊維径は特に制限されるものではなく、数平均繊維径としては数μmから数mmである。一般的な精製を経たものは数mm程度であり、原料セルロースを解繊したものは数nmである。例えばチップ等の数cm大のものを精製したものである場合、リファイナーやビーター当の離解機で機械的処理を行い、数mm程度にすることが好ましい。
本発明の原料セルロースは上記由来のセルロース含有物を通常の方法で精製して得られる。例えば、ベンゼン−エタノールで脱脂した後、ワイズ法で脱リグニン処理を行い、アルカリで脱ヘミセルロース処理をすることにより得られる。または一般的な化学パルプの製造方法、例えばクラフトパルプ、サリファイドパルプ、アルカリパルプの製造方法によって得られる。一般的に、セルロース含有物を蒸解釜で加熱処理して脱リグニン等の処理を行い、更に漂白処理等を行うものである。
本発明は原料セルロースを有機酸と接触することにより、得られるセルロースもしくは高分子セルロース複合体の加熱による着色を抑制することを特徴とする。以下、有機酸と接触する工程について説明する。
<有機酸の種類>
有機酸とは、有機化合物の酸の総称である。有機酸は主にカルボン酸、スルホン酸である。カルボン酸としては、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸等の脂肪族カルボン酸、オレイン酸、リノール酸等の脂肪族不飽和カルボン酸、蓚酸、マロン酸、琥珀酸等の脂肪族ジカルボン酸、安息香酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸、ピルビン酸等のオキソカルボン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸等のカルボン酸が挙げられる。スルホン酸としては、メチルスルホン酸、エチルスルホン酸等の脂肪族スルホン酸、脂肪族不飽和スルホン酸、脂肪族ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸等が挙げられる。
有機酸の中でも特に酸解離定数pKaが5.0以下であるものが好ましい。好ましくは4.8以下であるものが好ましい。pKaが高すぎると酸としての働きが弱くなり、得られるセルロースまたはその高分子セルロース複合体の加熱時の着色が抑制されず好ましくない。また、pKaは0.1以上、好ましくは1.0以上であることが好ましい。pKaが小さすぎると、酸の働きが強すぎ、得られるセルロースまたはその高分子セルロース複合体の加熱時の着色は抑制されるかもしれないが、セルロース自身も攻撃され、収率が落ちたり線膨張係数が高くなったり、弾性率が低くなったりするため好ましくない。
後述のように、水中で有機酸と接触する工程を行うため、有機酸は水溶性であることが好ましい。例えば、20℃における100gの水への溶解度は0.1g以上であることが好ましく1g以上であることが更に好ましく、5g以上であることが特に好ましい。水への溶解度が0.1gより小さい場合、酸としての働きが弱くなり、得られるセルロースまたはその高分子セルロース複合体の加熱時の着色が抑制されず好ましくない。
有機酸と接触する工程における有機酸の添加量に関しては、特に制限はないが、原料セルロースに対して0.1重量倍以上が好ましく、1重量倍以上が更に好ましく、2重量倍以上が特に好ましい。また1000重量倍以下が好ましく、500重量倍以下が更に好ましく、300重量倍以下が特に好ましい。少なすぎると酸としての働きが弱くなり、得られるセルロースまたはその高分子セルロース複合体の加熱時の着色が抑制されず好ましくない。また、多すぎると大量の有機酸が必要であり、生産性の点で好ましくない。
ましくない。また、小さすぎると酸の働きが強すぎ、得られるセルロースまたはその高分子セルロース複合体の加熱時の着色は抑制されるかもしれないが、セルロース自身も攻撃され、収率が落ちたり線膨張係数が高くなったり、弾性率が低くなったりするため好ましくない。
脱ヘミセルロースや、蒸解や漂白工程の後に行う場合、それぞれの処理の後、水洗浄を行ってから酸処理しても構わないし、処理液を除去してからそのまま行っても構わない。処理液及び洗浄水をある程度除去した原料セルロースに上記条件に入るような酸処理液を添加し、原料セルロースによく接触するように攪拌する。この状態で例えば上記温度、時間で酸処理を行った後、処理液を除去する。その後、中性になるまで水洗浄を行うことが好ましい。
本発明の製造方法により得られるセルロースは着色が抑制されたものであるが、その効果は加熱処理を行った際の着色度合いで測定することができる。
また、本発明者らの検討によれば、加熱による着色の抑制と、セルロースの示差熱熱重量同時測定装置(以下、TG−DTAと称す)における熱分解温度には相関があり、熱分解温度は300℃以上であることが好ましく、310℃以上であることが好ましい。
本発明において、ナノファイバーセルロースを得るために解繊工程を行うが、その方法について説明する。解繊工程は、精製後の原料セルロースに行う場合もあるし、原料セルロースを有機酸で接触した後に行う場合もある。
解繊工程の具体的な方法としては、特に制限はないが、例えば、直径1mm程度のセラミック製ビーズをセルロース濃度0.1〜10重量%、例えば1重量%程度のセルロース分散液に入れ、ペイントシェーカーやビーズミル等を用いて振動を与え、セルロースを解繊する方法などが挙げられる。
噴出時の高圧条件は高い程、圧力差により大きなへき開現象でより一層の微細化を図ることができるが、装置仕様の上限として、通常245MPa以下である。
同様に、高圧条件から減圧下への圧力差も大きいことが好ましいが、一般的には、増圧機による加圧条件から大気圧下に噴出することで、圧力差の上限は通常245MPa以下である。
噴出時の温度(分散液温度)には特に制限はないが、通常5℃以上100℃以下である。温度が高すぎると装置、具体的には送液ポンプや高圧シール部等の劣化を早める恐れがあるため好ましくない。
なお、このような高圧ホモジナイザーによる処理のみでも、本発明の微細セルロース繊維分散液を得ることは可能であるが、その場合には、十分な微細化度とするための繰り返し回数が多くなり、処理効率が悪いことから、1〜5回程度の高圧ホモジナイザー処理後に後述の超音波処理を行って微細化することが好ましい。
セルロース含有物分散液に照射する超音波の周波数は15kHz〜1MHz、好ましくは20kHz〜500kHz、更に好ましくは20kHz〜100kHzである。照射する超音波の周波数が小さ過ぎると後述のキャビテーションが発生しにくく、大き過ぎると発生したキャビテーションが物理的な作用を発生させるまでに大きく成長することなく消滅してしまうため、微細化効果が得られない。また、超音波の出力としては、実行出力密度として1W/cm2以上であり、好ましくは10W/cm2以上、更に好ましくは20W/cm2以上である。超音波の出力が小さ過ぎると微細化効率が低下して、十分な微細化を行うために長時間の照射が必要であり、実用的ではない。なお、超音波の実行出力密度の上限は振動子やホーン等の耐久性の点から500W/cm2以下である。
P=(T/s)×4.18×500/A …(1)
ここで、Pは超音波の実効出力密度(W/cm2)、Tは上昇温度(℃)、sは時間(秒)、Aは超音波の振動部の面積(cm2)であり、ホーンタイプの場合はその端面の面積である。また、浴槽式の場合は振動子取り付け面の面積に相当する。
超音波の照射方法には特に制限はなく、各種の方法が利用できる。例えば、超音波振動子の振動を伝えるホーンを直接上記のセルロース含有物分散液に挿入することにより、直接セルロース繊維を微細化する方法や、セルロース含有物分散液を入れた容器の床や壁の一部に超音波振動子を設置してセルロース繊維を微細化する方法や、超音波振動子を装着した容器に水等の液体を入れ、その中にセルロース含有物分散液を入れた容器を漬すことにより、水等の液体を介して間接的に超音波振動をセルロース含有物分散液に与えて微細化する方法が採用できる。中でも、ホーンを直接セルロース含有物分散液に挿入する方法は直接超音波エネルギーを伝達することできエネルギー密度を高くできるので効率がよく、好適に利用される。
超音波処理を行うと、与えたエネルギーが熱に変換されてセルロース含有物分散液の温度が上昇する。従って、一定の処理条件で微細化処理を行うために、冷却もしくは加熱などにより、セルロース含有物分散液の温度を一定にすることが好ましい。超音波処理時の温度は1〜80℃が好ましく、より好ましくは10〜60℃、更に好ましくは15〜40
℃である。この温度が低過ぎると水を分散媒に用いた場合、凍結してしまい、処理不能となる。即ち、固体の氷ではキャビテーションの発生が困難であり、また、水と氷が混在している場合には、氷の表面でキャビテーションが発生してエネルギーを消費するため、セルロースの微細化効率が低下する。逆に、処理温度が高過ぎると超音波振動子面に微小な水蒸気等の蒸気が発生し、エネルギー効率が低下するため、好ましくない。
超音波処理によりセルロース繊維が微細化される原理は完全に解明されているわけではないが、以下の現象が発生していると推測される。
[シートの製造方法]
セルロースシートは前述の本発明の有機酸と接触する工程を施したセルロースを用いて製造してもよいが、解繊する工程を施したものを用いて製造したものの方が高透明性、低線膨張係数、高弾性率のものが得られる。具体的には、前述の解繊する工程を施したセルロース分散液(以下、解繊セルロース分散液)を濾過することにより、或いは適当な基材に塗布することにより製造されたシートである。
セルロースシートはその製造方法により、様々な空隙率を有することができる。空隙率の大きなセルロースシートを得る方法としては、濾過による製膜工程において、セルロースシート中の水を最後にアルコール等の有機溶媒に置換する方法を挙げることができる。これは、濾過により水を除去し、セルロース含量が5〜99重量%になったところでアルコール等の有機溶媒を加えるものである。又は、解繊セルロース分散液を濾過装置に投入
した後、アルコール等の有機溶媒を分散液の上部に静かに投入することによっても濾過の最後にアルコール等の有機溶媒と置換することができる。
原料セルロースを解繊後に有機酸処理する場合には、上記の濾過または塗布を行なう際に有機酸を加え、好ましくは均一に接触するように攪拌してから、また好ましくは1分以上おいてから、濾過または塗布を行う。洗浄が必要な場合は、セルロース含量が5〜99重量%になったところで水または有機溶媒で置換する。その後、必要に応じてアルコール等の有機溶剤で置換した後、乾燥する。
本発明の製造方法で得られるセルロースは、セルロース粒子とすることができる。これらのセルロース粒子は特に熱可塑性樹脂と混練によって複合化する際に好適に用いられ、その高弾性率、低線膨張率、表面平滑性といった特性を生かして、各種の構造材、特に表面の意匠性に優れた自動車用パネルや建築物の外壁パネル等に有用である。
によって得られたセルロースを液体窒素などで冷却した後、グラインダーや回転刃などで粉砕する方法が挙げられる。
[高分子セルロース複合体]
本発明のセルロースの製造方法により得られたセルロースまたはセルロースシートまたはセルロース粒子は高分子と複合化することで高分子セルロース複合体が得られる。該高分子セルロース複合体は、その高透明性、低線膨張率、非着色性といった特性を生かして、各種ディスプレイ基板材料、太陽電池用基板、窓材等に有用であり、また、その高弾性率、低線膨張率、表面平滑性といった特性を生かして、各種の構造材、特に表面の意匠性に優れた自動車用パネルや建築物の外壁パネル等に有用である。
本発明の高分子セルロース複合体は、上述の本発明の製造方法で得られたセルロースまたはセルロースシートまたはセルロース粒子と、セルロース以外の高分子とを複合化させたものであり、好ましくは、本発明のセルロースシートまたはセルロース粒子とマトリクス材料であるセルロース以外の高分子とが複合化したものである。
このマトリクス材料として好適なのは、加熱することにより流動性のある液体になる熱可塑性樹脂、加熱により重合する熱硬化性樹脂、紫外線や電子線などの活性エネルギー線を照射することにより重合硬化する、活性エネルギー線硬化性樹脂等から得られる少なくとも1種の樹脂である。
(a) セルロースシート又は粒子にモノマーを含浸させて重合する方法
(b) セルロースシート又は粒子に熱硬化性樹脂前駆体又は光硬化性樹脂前駆体を含浸させて硬化させる方法
(c) セルロースシート又は粒子に樹脂溶液を含浸させて乾燥した後、加熱プレス等で密着させる方法
(d) セルロースシート又は粒子に熱可塑性樹脂の溶融体を含浸させ、加熱プレス等で密着させる方法
(e) 熱可塑性樹脂シートとセルロース不織布又はシートを交互に配置し、加熱プレス等で密着させる方法
(f) セルロースはシートの片面もしくは両面にモノマーや熱硬化性樹脂前駆体もしくは光硬化性樹脂前駆体を塗布して硬化させる方法
(g) セルロースシートの片面もしくは両面に樹脂溶液を塗布して、溶媒を除去することにより複合化する方法
(h) セルロース粒子と熱可塑性樹脂を溶融混練した後、シート状や目的の形状に成形する方法
中でもセルロースシートに対しては(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)の方法が好ましく、セルロース粒子に対しては(h)の方法が好ましい。
(b)熱硬化性樹脂前駆体又は光硬化性樹脂前駆体を含浸させて硬化させる方法としては、エポキシ樹脂モノマー等の熱硬化性樹脂前駆体、又はアクリル樹脂モノマー等の光硬
化性樹脂前駆体と硬化剤の混合物を、セルロースシート又は粒子に含浸させ、熱又は活性エネルギー線等により上記熱硬化性樹脂前躯体又は光硬化性樹脂前躯体を硬化させることにより高分子セルロース複合体を得る方法が挙げられる。
(d)熱可塑性樹脂の溶融体を含浸させ、加熱プレス等で密着させる方法としては、熱可塑性樹脂をガラス転移温度以上又は融点以上で熱処理することにより溶解させ、セルロースシート又は粒子に含浸し、加熱プレス等で密着することにより高分子セルロース複合体を得る方法が挙げられる。熱処理は加圧下で行うことが望ましく、真空加熱プレス機能を有する設備の使用が有効である。
このようにして製造したセルロースシートと樹脂の複合体を複数枚重ねて積層体を得ることもできる。その際に、セルロースシートを含む複合体と含まない樹脂シートを積層してもよい。複合体同士や樹脂と複合体を接着させるために、接着剤を塗布したり接着シートを介在させてもよい。また、積層体に加熱プレス処理を加えて一体化することもできる。
本発明において、セルロースシート又はセルロース粒子に複合化させるセルロース以外の高分子材料を以下に例示するが、本発明で用いる高分子材料は何ら以下のものに限定されるものではない。また、本発明における熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光(活性エネルギー線)硬化性樹脂は2種以上混合して用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、芳香族ポリカーボネート系樹脂、脂肪族ポリカーボネート系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリスルホン系樹脂、非晶性フッ素系樹脂等が挙げられる。
アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド等の重合体及び共重合体が挙げられる。ここで「(メタ)アクリル」とは、「アクリル及び/又はメタクリル」を意味する。
れる共重合体である。脂環式ジオールとしてはシクロヘキサンジメタノールやイソソルバイト等が挙げられる。
芳香族ポリエステル系樹脂としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のジオール類とテレフタル酸等の芳香族カルボン酸との共重合体が挙げられる。また、ポリアリレートのように、ビスフェノールA等のジオール類とテレフタル酸やイソフタル酸等の芳香族カルボン酸との共重合体も挙げられる。
脂肪族ポリオレフィン系樹脂としては、具体的には、例えば炭素数2〜8程度のα−オレフィンの単独重合体、それらのα−オレフィンと炭素数2〜18程度の他のα−オレフィン等との二元或いは三元の共重合体等が挙げられ、これらのオレフィン系重合体は2種以上が併用されていてもよい。
ポリアミド系樹脂としては、6,6−ナイロン、6−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、4,6−ナイロン、6,10−ナイロン、6,12−ナイロン等の脂肪族アミド系樹脂や、フェニレンジアミン等の芳香族ジアミンと塩化テレフタロイルや塩化イソフタロイル等の芳香族ジカルボン酸又はその誘導体からなる芳香族ポリアミド等が挙げられる。
ポリイミド系樹脂としては、無水ポリメリット酸や4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の共重合体であるピロメリット酸型イミド、無水塩化トリメリット酸やp−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミンやジイソシアネート化合物からなる共重合体であるトリメリット酸型ポリイミド、ビフェニルテトラカルボン酸、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミン等からなるビフェニル型ポリイミド、ベンゾフェノンテトラカルボン酸や4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等からなるベンゾフェノン型ポリイミド、ビスマレイミドや4,4’−ジアミノジフェニルメタン等からなるビスマレイミド型ポリイミド等が挙げられる。
ポリスルホン系樹脂としては、4,4’−ジクロロジフェニルスルホンやビスフェノールA等の共重合体が挙げられる。
非晶性フッ素系樹脂としては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、ペルフルオロアルキルビニルエーテル等の単独重合体又は共重合体が挙げられる。
<硬化性樹脂>
熱硬化性樹脂、光(活性エネルギー線)硬化性樹脂とは、硬化する前の前駆体もしくは硬化してなる樹脂硬化物のことを意味する。ここで前駆体は、常温では液状、半固体状又は固形状等であって常温下又は加熱下で流動性を示す物質を意味する。これらは硬化剤、触媒、熱又は光の作用によって重合反応や架橋反応を起こして分子量を増大させながら網
目状の三次元構造を形成してなる不溶不融の樹脂となり得る。また、樹脂硬化物とは、上記熱硬化性樹脂前駆体又は光(活性エネルギー線)硬化性樹脂前駆体が硬化してなる樹脂を意味する。
本発明における熱硬化性樹脂としては、特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、珪素樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の前駆体が挙げられる。
スチレン系化合物としては、スチレン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
これらの中でも、含脂環骨格ビス(メタ)アクリレート化合物が好適に用いられる。
例えばビス(アクリロイルオキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、ビス(メタクリロイルオキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、(アクリロイルオキシ−メタクリロイルオキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、ビス(アクリロイルオキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、ビス(メタクリロイルオキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、(アクリロイルオキシ−メタクリロイルオキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、ビス(アクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、ビス(メタクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、(アクリロイルオキシメチル−メタクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、ビス(アクリロイルオキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、ビス(メタクリロイルオキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、(アクリロイルオキシメチル−メタクリロイルオキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、ビス(アクリロイルオキシエチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、ビス(メタクリロイルオキシエチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、(アクリロイルオキシエチル−メタクリロイルオキシエチル)トリシクロ[5.2.1.
02,6]デカン、ビス(アクリロイルオキシエチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、ビス(メタクリロイルオキシエチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン、(アクリロイルオキシエチル−メタクリロイルオキシエチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン等、及びこれらの混合物等を挙げることが出来る。
ユリア樹脂前駆体としては、尿素等とホルムアルデヒド等の重合反応物が挙げられる。
メラミン樹脂前駆体としては、メラミン等とホルムアルデヒド等の重合反応物が挙げられる。
珪素樹脂前駆体としては、オルガノポリシロキサン類を主骨格とするものが挙げられる。
ポリウレタン樹脂前駆体としては、グリコール等のジオール類と、ジイソシアネートからなる重合反応物等が挙げられる。
これら熱硬化性樹脂の硬化剤、硬化触媒としては特に限定はないが、例えば、硬化剤としては多官能アミン、ポリアミド、酸無水物、フェノール樹脂等が挙げられ、硬化触媒としてはイミダゾール等が挙げられる。これらは単独又は2種以上の混合物として使用することができる。
本発明における光硬化性樹脂としては、特に限定されるものではないが、上述の熱硬化性樹脂の説明において例示したエポキシ樹脂、アクリル樹脂、オキセタン樹脂等の前駆体が挙げられる。
これら光硬化性樹脂の硬化剤としては特に限定はないが、例えばジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等が挙げられる。
反応を均一に進行させる目的等で硬化性組成物は連鎖移動剤を含んでも良い。例えば、分子内に2個以上のチオール基を有する多官能メルカプタン化合物を用いることができ、これにより硬化物に適度な靱性を付与する事が出来る。メルカプタン化合物としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、トリス[2−(β−チオプロピオニルオキシエトキシ)エチル]トリイソシアヌレートなどの1種又は2種以上を用いるのが好ましい。
メルカプタン化合物を入れる場合は、ラジカル重合な可能化合物の合計に対して、通常30重量%以下の割合で含有させる。
例えば、熱硬化、又は放射線硬化等が挙げられる。好ましくは放射線硬化である。放射線としては、赤外線、可視光線、紫外線、電子線等が挙げられるが、好ましくは光である。更に好ましくは波長が200nm〜450nm程度の光であり、更に好ましくは波長が300〜400nmの紫外線である。
本発明の製造方法で得られる高分子セルロース複合体は、本発明の製造方法で得られるセルロースシートの層と、前述したセルロース以外の高分子よりなる平面構造体層との積層構造体であっても良く、また、本発明の製造方法で得られるセルロースシートの層と、本発明の製造方法で得られる高分子セルロース複合体の層との積層構造であっても良く、その積層数や積層構成には特に制限はない。
本発明の製造方法で得られる高分子セルロース複合体は、その用途に応じて、高分子セルロース複合体層に更に無機膜が積層されたものであっても良く、上述の積層構造体に更に無機膜が積層されたものであっても良い。
ここで用いられる無機膜は、高分子セルロース複合体の用途に応じて適宜決定され、例えば、白金、銀、アルミニウム、金、銅等の金属、シリコン、ITO、SiO2、SiN、SiOxNy、ZnO等、TFT等が挙げられ、その組み合わせや膜厚は任意に設計することができる。
以下に本発明の製造方法で得られる高分子セルロース複合体の好適な特性ないし物性について説明する。
<セルロース含有量>
本発明の高分子セルロース複合体中のセルロースの含有量は通常1重量%以上99重量%以下であり、セルロース以外の高分子の含有量が1重量%以上99重量%以下である。低線膨張性を発現するには、セルロースの含有量が1重量%以上、セルロース以外の高分子の含有量が99重量%以下であること必要である。透明性を発現するにはセルロースの含有量が99重量%以下、セルロース以外の高分子の含有量が1重量%以上であることが必要である。好ましい範囲はセルロースが5重量%以上90重量%以下であり、セルロース以外の高分子が10重量%以上95重量%以下であり、さらに好ましい範囲はセルロースが10重量%以上80重量%以下であり、セルロース以外の高分子が20重量%以上90重量%以下である。特に、セルロースの含有量が30重量%以上70重量%以下で、セルロース以外の高分子の含有量が30重量%以上70重量%以下であることが好ましい。
本発明の製造方法により得られる高分子セルロース複合体の厚みは、好ましくは10μm以上10cm以下であり、このような厚みとすることにより、構造材としての強度を保つことができる。高分子セルロース複合体の厚さはより好ましくは50μm以上1cm以下であり、さらに好ましくは80μm以上250μm以下である。
なお、本発明の製造方法により得られる高分子セルロース複合体は、例えば、このような厚さの膜状(フィルム状)又は板状であるが、平膜又は平板に限らず、曲面を有する膜状又は板状とすることもできる。また、その他の異形形状であっても良い。また、厚さは必ずしも均一である必要はなく、部分的に異なっていても良い。
本発明の製造方法により得られる高分子セルロース複合体は、着色が小さい。
セルロースは、特に木質由来の原料を用いることで黄色味がつく場合がある。これは、セルロース自身の着色の場合と、精製度合いによって残ったセルロース以外の物質が着色する場合がある。一般的に、セルロースのみの段階では着色しないが、高分子と複合化する際の加熱によって着色することがある。本発明の製造方法により得られるセルロース及び高分子セルロース複合体は、加熱の工程が入っても着色が小さい。本発明の製造方法により得られる高分子セルロース複合体の着色を示すYIは20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましく、10以下であることがさらに好ましい。YIは例えば、スガ試験機製カラーコンピューターを用いて測定することができる。
本発明の製造方法により得られる高分子セルロース複合体は、透明性の高い、すなわちヘーズの小さい高分子セルロース複合体とすることができる。各種透明材料として用いる
場合、この高分子セルロース複合体のヘーズ値は、好ましくは20以下、より好ましくは10以下であり、特にこの値は1以下であることが好ましい。
本発明の製造方法により得られる高分子セルロース複合体は、透明性の高い、すなわちヘーズの小さい高分子セルロース複合体とすることができる。各種透明材料として用いる場合、この高分子セルロース複合体は、JIS規格K7105に準拠してその厚み方向に測定された全光線透過率が60%以上、更には70%以上、特に80%以上、とりわけ90%以上であることが好ましい。この全光線透過率が60%未満であると半透明又は不透明となり、透明性が要求される用途への使用が困難となる場合がある。全光線透過率は例えば、厚み10〜100μmの複合体について、スガ試験機製ヘーズメータを用いて測定することができ、C光の値を用いる。
本発明の製造方法により得られる高分子セルロース複合体は、線膨張係数(1Kあたりの伸び率)の低いセルロースを用いることにより線膨張係数の低い高分子セルロース複合体とすることができる。この複合体の線膨張係数は1〜50ppm/Kであることが好ましく、1〜30ppm/Kであることがより好ましく、1〜20ppm/Kであることが特に好ましい。
なお、線膨張係数は、後述の実施例の項に記載される方法により測定される。
本発明の製造方法により得られる高分子セルロース複合体は、JIS規格K7209(D法)に準拠して測定した吸水率が3%以下となる吸水率の低い複合体であることが好ましい。この吸水率は2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。吸水率が3%を超えると、加工プロセス上で脱水した複合体が空気中に放置された際、空気中の水分を吸収して伸び、寸法変形を起こすため、好ましくない。
本発明の製造方法により得られる高分子セルロース複合体の引張強度は、好ましくは40MPa以上であり、より好ましくは100MPa以上である。引張強度が40MPaより低いと、十分な強度が得られず、構造材料等、力の加わる用途への使用に影響を与えることがある。
本発明の製造方法により得られる高分子セルロース複合体の引張弾性率は、好ましくは0.2〜100GPaであり、より好ましくは1〜50GPaである。引張弾性率が0.2GPaより低いと、十分な強度が得られず、構造材料等、力の加わる用途への使用に影響を与えることがある。
本発明の製造方法により得られる高分子セルロース複合体は、透明性が高く、高強度、低吸水性、高透明性、低着色およびヘーズが小さく光学特性に優れるため、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等のディスプレイや基板やパネルとして好適である。
また、シリコン系太陽電池、色素増感太陽電池などの太陽電池用基板に好適である。基板としては、バリア膜、ITO、TFT等と積層してもよい。また、自動車用の窓材、鉄道車両用の窓材、住宅用の窓材、オフィスや工場などの窓材などに好適に使われる。窓材としては、必要に応じてフッ素皮膜、ハードコート膜等の膜や耐衝撃性、耐光性の素材を積層してもよい。
尚、本発明の製造方法により得られるセルロースのYI及び熱分解温度、高分子セルロース複合体のセルロース含量、YI、ヘーズ、線膨張係数及び弾性率の測定方法は以下の通りである。
セルロースシートを温度23℃、湿度50%に48時間以上調湿し、これをTG−DTA(示差熱熱重量同時測定装置)を用いて窒素下、室温から600℃まで10℃/分で昇温していったときのTGから求めた接線の交点を熱分解温度とした。
〔高分子セルロース複合体中のセルロース含量〕
複合化に用いたセルロースシートの重量と、複合体の重量からセルロース含量(重量%)を求めた。
スガ試験機製カラーコンピュータを用いてYI値を測定した。
〔高分子セルロース複合体のヘーズ〕
スガ試験機製ヘーズメータを用いてC光によるヘーズ値を測定した。
〔高分子セルロース複合体の線膨張係数〕
高分子セルロース複合体をレーザーカッターにより、3mm幅×40mm長にカットした。
これをSII製TMA6100を用いて引張モードでチャック間20mm、荷重10g、窒素雰囲気下、室温から180℃まで5℃/min.で昇温し、次いで180℃から25℃まで5℃/min.で降温し、更に25℃から180℃まで5℃/min.で昇温した際の2度目の昇温時の60℃から100℃の測定値から線膨張係数を求めた。
高分子セルロース複合体をレーザーカッターにより、10mm幅×40mm長にカットした。これを、SII社製DMS6100を用いて引張モードでDMA(動的粘弾性)測定を行い、周波数10Hz、23℃における貯蔵弾性率E’(単位;GPa)を測定した。
木粉((株)宮下木材、米松100)を炭酸ナトリウム2重量%水溶液で80℃にて6時間脱脂した。これを脱塩水で洗浄した後、亜塩素酸ナトリウムを用いて酢酸酸性下、80℃にて5.5時間脱リグニンした。脱塩水洗浄した後にさらに水酸化カリウム5重量%水溶液に16時間浸漬して脱ヘミセルロースした。脱塩水洗浄した。以下、製造例1で得られたものを原料セルロースとする。
製造例1で得られた粗原料セルロースを固形分として5g量り取り、33重量%酢酸水溶液600g中で全体が動く程度に攪拌しながら40℃3hr処理した。処理液のpHは、1.4であった。その後、濾過、水洗を中性になるまで行った。
<実施例2>
実施例1で得られたセルロースを、0.5重量%の水懸濁液とし、増幸産業株式会社の石臼式摩砕機スーパーマスコロイダーMKCA6−2を用い、GC6−80の石臼を用いて、ギャップ間を80μmにして回転数1500rpmにて、原料投入口から、投入した。摩砕機を通った処理済みセルロース分散液を再び原料投入口に投入し、合計2回摩砕機を通した。その後、超高圧ホモジナイザー(スギノマシン製アルティマイザー)に245MPaで10回通した。
このセルロースシートを、190℃の真空オーブン中で4時間加熱した後のYIは10であった。また、熱分解温度は319℃であった。
この高分子セルロース複合体の物性を表1に示す。
製造例1で得られたセルロースを用いたこと以外は実施例2と同様にして、セルロースシートを得た。
このセルロースシートを、190℃の真空オーブン中で4時間加熱した後のYIは97であった。また、熱分解温度は296℃であった。
このセルロースシートを実施例2と同様にして複合化して高分子セルロース複合体を得た。その物性を表1に示す。
先に挙げた特許文献4(特開2005−105426号公報)の実施例1に基づき硫酸処理を行った。すなわち、製造例1で得られた原料セルロースを固形分として5g量り取
り、硫酸を添加してpHを3.1に調整した。これを100rpmで攪拌しながら90℃で150分処理した。その後、濾過、水洗を中性になるまで行った。これを実施例2と同様にして、セルロースシートを得た。
このセルロースシートを実施例2と同様にして複合化して高分子セルロース複合体を得た。その物性を表1に示す。
実施例2で得られたセルロース分散液を、更にSMT社製超音波ホモジナイザーUH−600S(周波数20kHz、実効出力密度22W/cm2)を用いて超音波処理を行った。
36mmφのストレート型チップ(チタン合金製)を用い、アウトプットボリウム8でチューニングを行い、最適なチューニング位置で30分間超音波処理を行った。セルロー
ス分散液は処理容器の外側から5℃の冷水で冷却し、また、マグネティックスターラーにて撹拌しながら処理を行った。
この上澄みのセルロース分散液を用いて、実施例2と同様にして、セルロースシートを得、実施例2と同様にして複合化して高分子セルロース複合体を得た。その物性を表2に示す。
製造例1で得られた原料セルロースを0.5重量%の水懸濁液とし、増幸産業株式会社の石臼式摩砕機スーパーマスコロイダーMKCA6−2を用い、GC6−80の石臼を用いて、ギャップ間を80μmにして回転数1500rpmにて、原料投入口から、投入した。摩砕機を通った処理済みセルロース分散液を再び原料投入口に投入し、合計2回摩砕機を通した。その後、超高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製アルティマイザー)に245MPaで10回通した。
このセルロースシートを、190℃の真空オーブン中で4時間加熱した後のYIは38であった。
このセルロースシートを実施例2と同様にして複合化して高分子セルロース複合体を得た。その物性を表3に示す。
実施例4において、有機酸に蓚酸を用いたこと以外は、実施例4と同様にしてセルロースシートを得た。有機酸処理工程のpHは4であった。
このセルロースシートを、190℃の真空オーブン中で4時間加熱した後のYIは48であった。
このセルロースシートを実施例2と同様にして複合化して高分子セルロース複合体を得た。その物性を表3に示す。
実施例4において、有機酸の変わりに塩酸を用いたこと以外は、実施例4と同様にしてセルロースシートを得た。
このセルロースシートを、190℃の真空オーブン中で4時間加熱した後のYIは72であった。
このセルロースシートを実施例2と同様にして複合化して高分子セルロース複合体を得
た。その物性を表3に示す。
比較例1と同様にして、セルロースシートを得た。このセルロースシートを33重量%酢酸水溶液に浸漬し、40℃3hr処理した。処理液のpHは、1.4であった。その後、水で洗浄し、更に2−プロパノールで置換した後、120℃、0.14MPaで5分間プレス乾燥して白色のセルロースシートを得た。
このセルロースシートを実施例2と同様にして複合化して高分子セルロース複合体を得た。その物性を表4に示す。
更に、実施例4,5及び比較例3からわかるように、原料セルロースを解繊したセルロース分散液に、有機酸を添加した後、濾過して得られたセルロースシートも非着色性を実現した。この際も無機酸より有機酸を用いた方が、非着色性、高透明性を両立した。
Claims (7)
- 原料セルロースを、水中で有機酸と接触する工程と、セルロースを解繊する工程を有することを特徴とするセルロースの製造方法。
- 有機酸の酸解離定数pKaが5.0以下であることを特徴とする請求項1に記載のセルロースの製造方法。
- 原料セルロースを、水中で有機酸と接触する工程のpHが5以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセルロースの製造方法。
- 原料セルロースを、水中で有機酸と接触する工程の後に、セルロースを解繊する工程を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のセルロースの製造方法。
- 原料セルロースを、解繊する工程の後に、水中で有機酸と接触する工程を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のセルロースの製造方法。
- 原料セルロースを、解繊する工程を行った後、得られた解繊セルロースをシートに成形し、その後水中で有機酸と接触する工程を行うことを特徴とする請求項5に記載のセルロースの製造方法。
- 請求項1〜6で得られたセルロースを高分子と複合化する高分子セルロース複合体の製造方法。
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