JP2010222514A - 自己粘着型保護フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱可塑性樹脂とアクリル系又はアマイド系から選択される滑剤を含む樹脂組成物からなり、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して前記滑剤を0.01〜1.5重量部含有すれば、加熱処理あるいは保管時の温度上昇によって粘着層の粘着強度の増加を抑えることができるので、解反性に優れるものである。また、前記樹脂組成物に、高分子型帯電防止剤を前記熱可塑性樹脂100重量部に対して10〜100重量部添加すれば、解反性に加え、帯電防止性にも優れた自己粘着型保護フィルムとなる。
【選択図】なし
Description
尚、上記自己粘着性とは、被保護面に保護フィルムを貼り付ける際に接着剤などの手段を用いず、自己により発揮される粘着性によって被保護面に貼着することができる粘着力のことをいう。
しかしながら、これらの従来の保護フィルムが被保護面に貼り付けられた状態で、加熱処理が施され、あるいは保管時の温度上昇などにより高温環境に晒された場合に、その粘着強度が大きく増加する傾向にある。この結果、該フィルムを被保護面から剥離する際に糊残りが発生したり、基材フィルムが破断する問題点があった。
しかしながら、高分子型帯電防止剤を用いても、上記問題点である、加熱環境下での粘着強度増大を解決するものではなかった。
なお、“解反性に優れる”とは、フィルムをロール原反状に巻き取って保管した状態、または被保護面に貼着した状態で、高温環境下に置かれても、粘着層の粘着強度が大きく増加することなく、容易に粘着フィルムを原反から巻き出せる、または被保護面から剥離できることである。
また、前記樹脂組成物に、高分子型帯電防止剤を前記熱可塑性樹脂100重量部に対して10〜100重量部添加すれば、解反性に加え、帯電防止性にも優れた自己粘着型保護フィルムとなる。
また、本願発明は、滑剤としてビスアマイド系を用いることが好ましいものである。
さらに、高分子型帯電防止剤を添加すれば、帯電防止性を付与できるだけでなく、さらに解反性に優れる、自己粘着型保護フィルムとなる。
また、滑剤としてビスアマイド系を用いれば、被着体に貼り付けた後の時間経過に伴う粘着力増加を抑制し、さらにブリードアウトを軽減可能である。
本願発明で使用される熱可塑性樹脂は、自己粘着性を有するものであればよく、具体的には、ポリオレフィン系樹脂、エチレン−極性モノマー共重合体、ポリスチレンやABS樹脂およびAS樹脂などのポリスチレン系樹脂、6−ナイロンや6,6−ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリカーボネートやポリエステルカーボネートなどのポリカーボネート系樹脂、ポリエーテルスルフォンやポリアミンスルフォンなどのポリスルフォン系樹脂、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデンなどの塩素系樹脂、ポリメチルメタクリレートやポリエチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂などが挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、二種以上を混合して使用しても良い。
ポリオレフィン樹脂は例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン− α − オレフィン共重合体、プロピレン− α − オレフィン共重合体、ポリプロピレン等が挙げられ、これらは単独で用いられても併用されてもよい。なお、上記α − オレフィンとしては、エチレンと共重合可能であれば特に限定されず、例えば、プロピレン、1 − ヘキセン、4 − メチル− 1 − ペンテン、1 − オクテン、1 − ブテン、1 − ペンテン、1 − ヘプテン等が挙げられる。
エチレン−極性モノマー共重合体の極性モノマーとしては、例えば不飽和カルボン酸、その塩、そのエステル、そのアミド、ビニルエステル、一酸化炭素などを例示することができる。より具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸、これら不飽和カルボン酸のリチウム、ナトリウム、カリウムなどの1価金属の塩やマグネシウム、カルシウム、亜鉛などの多価金属の塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸nブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル等の不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、一酸化炭素、二酸化硫黄などの一種又は二種以上などを例示することができる。
アマイド系滑剤は、分子内に長鎖アルキル基と、極性の強いアミド基を持ち、水素結合により会合しているため、脂肪族化合物の中で、高い融点を持っている。よって、アマイド系滑剤は、融点が90℃〜170℃と高いものであるので、加熱処理あるいは保管時の温度上昇(最高80℃程度)による粘着力の増加を抑えることができる。アクリル系滑剤は、樹脂と相溶性のあるメチルメタクリレートと、非相溶性である滑性付与成分がグラフト重合で繋がった構造になっており、主成分のメチルメタクリレートが高いガラス転移点を示す。よって、アクリル系滑剤は、ガラス転移点が80℃〜120℃と高いものであるので、アマイド系滑剤と同様に加熱処理あるいは保管時の温度上昇(最高80℃程度)による粘着力の増加を抑えることができる。そのため、アマイド系及びアクリル系滑剤を用いれば、長期間、解反性の低下を抑えることができ、さらに、熱可塑性樹脂の粘着力が0.002N〜0.5N/25mmであれば、セパレータを介さなくとも、解反性に優れた保護フィルムとなる。
アマイド系滑剤として、具体的には、ステアリン酸アマイド、パルミチン酸アマイド、ベヘン酸アマイド、ヒドロキシステアリン酸アマイド、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、メチレンビスラウリン酸アマイド、メチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、エチレンビスカプリル酸アマイド、エチレンビスカプリン酸アマイド、エチレンビスラウリン酸アマイド、メチレンビスオレイン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイドなどの脂肪酸アマイドを挙げることができ、これらは単独で使用しても良いし、二種以上を混合して使用しても良い。
また、アクリル系として、ポリテトラフルオロエチレンのアクリル変性、分子量の異なるメチルメタクリレート系、メチルメタクリレートを主成分として活性付与を有する成分をグラフト重合、架橋構造を有するメチルメタクリレート系等を挙げることができ、これらは単独で使用しても良いし、二種以上を混合して使用しても良い。
これらのなかでも特に、メチレンビスステアロアマイド、エチレンビスステアロアマイド等の脂肪酸ビスアマイドが好ましい。ビスアマイドは、モノアマイドよりも分子量が大きく、ブリードアウト性を抑制し、更に融点が高く、加熱処理あるいは保管時の温度上昇(最高80℃程度)による粘着力の増加を抑えることができるので、解反性がより良好となり、滑剤としての機能も長期間持続できる。
さらに、アマイド系又はアクリル系の滑剤に他の滑剤を併用する場合、総量が、熱可塑性樹脂100重量部に対して、2.5重量部を超えない範囲で併用するのが好ましい。滑剤の総量が多すぎると、ブルームを起こす傾向があるからである。
滑剤の添加方法としては、熱可塑性樹脂にそのまま添加するドライブレンド法や、マスターバッチとして添加する方法が挙げられる。
前記高分子型帯電防止剤とは、ポリオレフィンのブロックと親水性ポリマーのブロックとがエステル結合、アミド結合、エーテル結合、イミド結合およびウレタン結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合を介して繰り返し交互に結合した構造を有するブロックポリマーである。このような高分子型帯電防止剤であれば、持続性の高い帯電防止性が得られ、またブリードアウトし難く、被保護面に貼着して剥離しても、被保護面の汚染を軽減できるものである。
このような高分子型帯電防止剤として、親水性ポリマーにはポリエーテルが好ましく、具体的には、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体、ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、ポリエーテルアミド、ポリエーテルアミドイミド、ポリアルキレンオキシド共重合体等を挙げることができる。その中でも、上記熱可塑性樹脂で、ポリオレフィン系やアクリル系、ウレタン系樹脂と相溶性の高いポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体を使用することが好ましい。
また、上記範囲で添加してなる保護フィルムの表面抵抗値は109〜1013Ωであり、帯電防止性を有するものである。特に、30〜50重量部添加した場合であれば、表面抵抗値が109〜1010Ωであり、十分に優れた帯電防止性が得られ、コスト面にも優れる。
さらに、高分子型帯電防止剤を添加する場合、添加しない場合よりも解反性に優れるものとなる。すなわち、高分子型帯電防止剤を添加すれば、帯電防止性が付与されるばかりでなく、滑剤の効果をより高めることができる。
例えば、熱可塑性樹脂からなる基材層に、本願樹脂組成物からなる粘着層を積層させてもよい。この場合、基材層となる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
また、基材層となる熱可塑性樹脂には、上記に示した滑剤及び高分子型帯電防止剤を添加してもよく、その添加量は上記で示した範囲内であることが好ましい。この場合、基材層と粘着層共に高分子型帯電防止剤を添加すれば、基材層または粘着層のどちらか一方に帯電防止剤を添加した場合と比較して、より本発明の自己粘着フィルムを被着体から剥離する際の剥離帯電を抑えることができる。
さらに必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐熱安定剤、難燃剤などの各種添加剤、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、長石、シリカなどの無機充填剤等を効果的かつ支障とならない範囲で添加してもよく、顔料、染料などを添加することにより着色しても良い。この場合、添加剤の種類および添加量は、特に限定されるものではなく、従来からこの種の保護フィルムに使用されている添加剤を、滑剤や高分子型帯電防止剤の効果を阻害しない範囲で添加することができる。
上記保護フィルムの製造方法のうち、特に溶融押出成形方法は、低コストで本発明のフィルムを製造することができ好ましい方法である。一般的に、2種以上の樹脂を用いて押出成形方法によりフィルム成形する際には、各樹脂を含有する組成物をそれぞれ選択し、あるいは調製し、その複数の組成物を溶融混練してフィルム成形用材料を調整した後、これを押出成形機などに供することによりフィルムを成形する。
上記押出成形方法により、押出機より押出されたフィルムは、続いて巻取りロールに巻き取って成形することができる。本発明の保護フィルムは、弱粘着性であって、解反性に優れるものであるので、原反状に巻き取る際に粘着層にセパレータを設けなくとも、押出されたフィルムのみをロールに巻き付けることができる。
例えば、自動ラミネート装置によって、被保護面上に重ねられた保護フィルム上面から圧力をかけることにより、良好に保護フィルムを被保護面貼り付けることができる。このときの圧力は、本発明における弱粘着性フィルムの表面の粘着強度と、被保護面の材質や性状などにより適宜決定される。このようにして被保護面に貼り付けられた保護フィルムは、該被保護面を有する被保護体がさらに製造工程に付され、あるいは運搬された場合であっても該被保護面から自然に剥がれ落ちる虞がない。そして被保護面より剥離する際には、フィルム伸びが生じることなく容易に剥離することができるので、被保護面は清浄な状態で維持される。
自己粘着型保護フィルムを構成する樹脂材料として、ポリエチレン系樹脂を含有する樹脂組成物を、表1に示す割合にて調整した。この樹脂組成物を、温度200℃にて、テスト押出機(サーモプラスチックス工業(株)製 商品名“テストφ40mm押出機”)によりフィルム状に成形し、幅寸法30cm、厚さ50μmの保護フィルムとした。
基材層に本願発明の自己粘着型保護フィルムからなる粘着層を積層させた保護フィルムであって、基材層、粘着層を構成する樹脂組成物を表2、3に示す割合にて調整した。そして、これらの樹脂組成物を、温度200℃にて、テスト押出機(サーモプラスチックス工業(株)製 商品名“テストφ40mm押出機”)により、厚さ20μmの粘着性フィルムと、厚さ30μmの基材層とを共押出成形によって積層させ、幅寸法30cm、厚さ50μmの2層構造の保護フィルムを成形した。
・樹脂1:ポリエチレン(カーネルKS340T、MFR=3.5、日本ポリエチレン(株)社製)
・樹脂2:ポリプロピレン(WINTEC WFX6、MFR=2、日本ポリプロ(株)社製)
・樹脂3:ポリプロピレン(WINTEC WFX4、MFR=7、日本ポリプロ(株)社製)
・帯電防止1:ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体(ペレスタット303、三洋化成工業株式会社製)
・帯電防止2:ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体(ペレスタット230、三洋化成工業株式会社製)
・ 帯電防止3:グリセリンモノ脂肪酸エステル
・滑剤1:エチレンビスステアリン酸アマイド
・滑剤2:ステアリン酸アマイド
・滑剤3:ステアリン酸亜鉛
実施例及び比較例について、(1)粘着力、(2)解反性(3)帯電防止性、(4)フィルム外観を下記の方法で評価し、評価結果を表1及び表2に示す。
(1)粘着力
ステンレス(以後、SUS)板を被保護面として用い、以下のとおり試験を行った。SUS樹脂板の試験面は、油、誇り、粉などの表面の汚れをとるため乾布で充分に清掃した後使用した。試験片は、テスト押出機より押出されたフィルムを、幅方向に25mm、長さ方向に150mmの寸法でカットして作成した。試験片の貼付けは、水平姿勢に配置したSUS板の上面に粘着フィルムと該SUS板とが対面する向きで試験片を重ね、該試験片の上面において、5880N/m2の圧力のかかったゴムロール(ゴム硬度80度;ショアーゴム硬度計にて測定)を当て、2m/分の速度で移動させて圧着させることにより行った。貼付けた試験片を30分放置後、試験片をSUS板に対して水平方向(180度剥離)に200mm/分の速度で剥離した時の剥離力を6回測定し、その平均値を粘着力(N/25mm)とした。
(2)解反性
試験片は、テスト押出機より押出されたフィルムを、幅方向に25mm、長さ方向に200mmの寸法で2枚カットし、基材層と粘着層が重なるように合わせ、80℃×8時間×40g荷重/cm2処理後に上記(1)と同様な方法で粘着力(N/25mm)を測定した。
(3)帯電防止性
本願明細書における帯電防止性は、三菱化学社製 商品名“ロレスタ・GP”を用いて、4端針法によって表面抵抗(Ω)を測定している。通常、帯電防止性を発揮するためには、表面抵抗値が1013Ω以下であればよい。
(4)フィルム汚染性
上記(1)と同様にアクリル板に試験片を貼り付け、80℃×24時間処理後に目視にてフィルム表面を観察。
○:曇りなし、△:少し曇りが観察される、×:はっきり曇りが確認される
また、上記測定方法で測定される解反性は10N/25mm以下であれば好ましく、特に5N/25mm以下であれば、極めて優れた解反性を有する保護フィルムとなる。
また、実施例5において、帯電防止剤2を添加した場合、帯電防止性はもちろんのこと、解反性においても、より優れるものとなった。
さらに、実施例12,17及び比較例9において、ビスアマイド系滑剤であれば、フィルム汚染性も良好で、極めて優れた解反性を有する保護フィルムが得られた。
高分子型帯電防止剤の添加量としては、熱可塑性樹脂100重量部に対して、10〜100重量部が好ましく、100重量部を超えて添加した場合、熱可塑性樹脂の粘着力を損なう上、被保護面を汚染してしまい、一方、10重量部未満の場合、帯電防止性が不十分である保護フィルムとなった(実施例9及び比較例7)。特に30〜50重量部であれば、十分に帯電防止性に優れるフィルムが得られた(実施例12,13及び15,16)。
さらに、基材層または粘着層のどちらか一方に高分子型帯電防止剤を添加すれば、帯電防止性に優れるものであった(実施例7及び8)。その上、基材層と粘着層共に高分子型帯電防止剤を添加すれば、剥離帯電も抑えることができるため、より優れた保護フィルムとなった(実施例12)。
Claims (3)
- 熱可塑性樹脂とアクリル系又はアマイド系から選択される滑剤を含む樹脂組成物からなり、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して前記滑剤が0.01〜1.5重量部を含有することを特徴とする自己粘着型保護フィルム。
- 高分子型帯電防止剤を前記熱可塑性樹脂100重量部に対して10〜100重量部添加してなる樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1に記載の自己粘着型保護フィルム。
- 前記滑剤がビスアマイド系であることを特徴とする請求項1又は2記載の自己粘着型保護フィルム。
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