JP5342147B2 - 粘着フィルム、及び粘着フィルムの製造方法 - Google Patents
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(1)熱可塑性樹脂からなる基材層と、表面粘着強度が0.15N/25mm以上である粘着層とが積層形成された粘着フィルムであって、
基材層と粘着層とは共押出成形法により積層形成されており、
粘着層が自着防止剤被覆ペレットを用いて形成されており、
前記自着防止剤被覆ペレットは、
粘着性を有するアクリル系樹脂を主としてなるペレットの表面に、平均粒子径2.5μm以下の粉体である自着防止剤を被覆して構成され、前記ペレットと前記自着防止剤との重量比が100:0.2〜100:2.0であり、且つ、自着防止剤被覆ペレットを溶融状態にして20μmの厚みとなるように熱可塑性樹脂からなる基材上に積層して層構造を形成した場合に、該層構造の表面粘着強度が0.15N/25mm以上を示すものであり、
前記粘着性を有するアクリル系樹脂が、式−(A1)−(B)−(A2)−で示されるアクリル系トリブロック共重合体を主としてなり、
前記式−(A1)−(B)−(A2)−において、
A1及びA2がそれぞれポリメタクリル酸メチル(PMMA)ブロック単位からなり、
Bが、ポリノルマルブチルアクリレート(PnBA)ブロック単位からなり、
前記アクリル系トリブロック共重合体100質量%中における前記ポリノルマルブチルアクリレートの占める割合が、60質量%以上90質量%以下であり、
粘着層中には、前記自着防止剤が前記粘着性を有するアクリル系樹脂100重量部に対し、0.2重量部以上2.0重量部以下の割合で含有されている、ことを特徴とする粘着フィルム、
(2)前記自着防止剤が、主としてアクリル系樹脂より形成されている粉体である、上記(1)に記載の粘着フィルム、
(3)基材層と、表面粘着強度が0.15N/25mm以上である粘着層とを積層形成した粘着フィルムの製造方法であって、
前記基材層を構成する樹脂材料として熱可塑性樹脂を一つのホッパーに投入し、
前記粘着層を構成する材料として自着防止剤被覆ペレットを他のホッパーに投入し、
前記基材層と前記粘着層とを共押出しすることにより基材層と粘着層とが積層形成されており、
前記他のホッパーに投入される前記自着防止剤被覆ペレットは、
粘着性を有するアクリル系樹脂を主としてなるペレットの表面に、平均粒子径2.5μm以下の粉体である自着防止剤を被覆して構成され、前記ペレットと前記自着防止剤との重量比が100:0.2〜100:2.0であり、且つ、自着防止剤被覆ペレットを溶融状態にして20μmの厚みとなるように熱可塑性樹脂からなる基材上に積層して層構造を形成した場合に、該層構造の表面粘着強度が0.15N/25mm以上を示すものであり、
前記粘着性を有するアクリル系樹脂が、式−(A1)−(B)−(A2)−で示されるアクリル系トリブロック共重合体を主としてなり、
前記式−(A1)−(B)−(A2)−において、
A1及びA2がそれぞれポリメタクリル酸メチル(PMMA)ブロック単位からなり、
Bが、ポリノルマルブチルアクリレート(PnBA)ブロック単位からなり、
前記アクリル系トリブロック共重合体100質量%中における前記ポリノルマルブチルアクリレートの占める割合が、60質量%以上90質量%以下である、ことを特徴とする粘着フィルムの製造方法、
(4)前記他のホッパーに投入される前記自着防止剤被覆ペレットを構成する前記自着防止剤は、主としてアクリル系樹脂より形成されている粉体である、上記(3)に記載の粘着フィルムの製造方法、
を要旨とするものである。
ペレット:
本発明において用いられるペレットは、本発明における粘着層を構成する樹脂を固形形状に形成したものである。ペレットの形成方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法によって適宜形成される。その形状は、略球状あるいは、楕円状、円柱状など任意の形状であってよい。またその大きさについても特に限定されるものではないが、共押出成形に用いられる材料としては、その最大径が略2mm以上6mm以下であることが一般的である。
本発明において用いられる自着防止剤とは、粘着性を有するアクリル系樹脂ペレットの表面に付着してその表面を被覆することのできる常温で固体の粉体である。上記粉体としては、粘着性を有するアクリル系樹脂ペレットの表面を被覆することによってペレット同士の自着を防止することができ、且つ、溶融するペレットに含有される結果、粘着層内に含有された際に、該粘着層の粘着性を有意に低下させることなく、且つ透明性を低下させることがないものであればよい。即ち、本発明において自着防止剤は、得られる粘着層の粘着性や透明性といったペレット本来の有する有利な性質から発揮される物性を低下させることなく、該ペレットの自着を防止することが重要である。
本発明の粘着フィルムは、インフレーション法、あるいはTダイ法などの一般的な共押出成形法により形成される、基材層と粘着層とを有する粘着フィルムである。用途としては、金属板、塗装板、樹脂板、化粧鋼板、ガラス、液晶パネルなどの運搬、加工などの工程におけるこれら部材等の表面の汚れ、傷の防止のために、被保護面に貼着される保護フィルムとしての使用が挙げられる。
本発明の粘着フィルムにおける基材層は、熱可塑性樹脂から構成される。熱可塑性樹脂は、用途に応じて適宜選択して用いることができ、汎用の熱可塑性樹脂あれば特に限定されるものではない。より具体的な樹脂の例としては、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン系、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体などが挙げられる。上記基材層を構成する樹脂は、単独で使用されてもよいし、適宜組み合わせて使用されてもよい。また本発明における基材層は、単層構造、多層構造を問わない。上記熱可塑性樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、無機充填剤、顔料、滑剤などを添加してもよい。
本発明の粘着フィルムにおける粘着層は、式−(A1)−(B)−(A2)−で示されるアクリル系トリブロック共重合体を母材としてなる樹脂を用いて構成され、層内には、上記アクリル系トリブロック共重合体100重量部に対し、0.2重量部以上2.0重量部以下の割合で自着防止剤が含有されている。即ち、本発明における粘着層は、上述する本発明の自着防止剤被覆ペレットを用いて形成される。
本発明の製造方法は、熱可塑性樹脂よりなる基材層と、アクリル系樹脂よりなる表面粘着強度が0.15N/25mm以上である粘着層とを備える粘着フィルムを製造する方法であって、上述のとおり共押出成形法が採用される。本発明の製造方法において、粘着層を形成する材料として、本発明の自着防止剤被覆ペレットを用いることによって、良好な押出成形性が提供される。
表1に粘着層の欄に示すペレット形状のアクリル系樹脂である粘着層構成樹脂*4〜*8のいずれかと、自着防止剤*9〜*16のいずれかとを、表1に示す組合せ及び配合比率で混合させて、自着防止剤被覆ペレットを形成した。次いで、共押出成形装置において一つのホッパーに上記自着防止剤被覆ペレットを投入し、他のホッパーに、表1の基材層欄に示す基材層構成樹脂*1〜*3のいずれかを表1に占める割合で投入し、基材層の押出圧力194kgf/cm2、粘着層の押出圧力119kgf/cm2の条件下で、厚み30μmの基材層の片側面に、厚み約20μmの粘着層が積層されるよう粘着フィルムを形成しロール状に巻き取り、実施例1〜9とした。
粘着層の構成樹脂、基材層の構成樹脂、及び自着防止剤を表2に示すとおりの組合せ及び配合にした以外は、実施例と同様に、粘着フィルムを形成し、比較例1〜6とした。尚、比較例における粘着層の厚みは、約20μmとなるよう初期の製造条件(押出圧力)を設定したが、押出成形性の不良により、設計を大きくはずれるものがあった。
また粘着層の表面粘着強度と自着性の関係を示すために、表2の基材層の欄に示す基材層構成樹脂、粘着層の欄に示す粘着層構成樹脂、及び自着防止剤を用い、実施例と同様の方法において参考例1を形成した。即ち、参考例1は、自着防止剤を使用しない場合に、自着性の問題が発生する粘着層の表面粘着強度の下限領域を示すことを趣旨とする。尚、参考例1に対し、自着防止剤を用いた以外は同様に製造された粘着フィルムが、実施例9に相当する。
粘着層におけるPnBAの含有量が多いことにより、良好な自着防止効果が得られなかった例を示すために、表2の基材層の欄に示す基材層構成樹脂、粘着層の欄に示す粘着層構成樹脂、及び自着防止剤を用い、実施例と同様の方法において参考例2を形成した。
粘着層におけるPnBAの含有量が少ないことにより、所望の表面粘着強度が得られなかった例を示すために、表2の基材層の欄に示す基材層構成樹脂、粘着層の欄に示す粘着層構成樹脂、及び自着防止剤を用い、実施例と同様の方法において参考例3を形成した。
*1 PE ペトロセン180(東ソー株式会社製)
*2 PP WINTEC WFX6 (日本ポリプロ株式会社製)
*3 PBT NOVADURAN 5505S (三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)
*4 アクリル系樹脂1:PMMA−PnBA−PMMAである(A1)−(B)−(A2)トリブロック共重合体であり、PnBA含有量が77%である。
*5 アクリル系樹脂2:PMMA−PnBA−PMMAである(A1)−(B)−(A2)トリブロック共重合体であり、PnBA含有量が50%である。
*6 アクリル系樹脂3:PMMA−PnBA−PMMAである(A1)−(B)−(A2)トリブロック共重合体であり、PnBA含有量が68%である。
*7 アクリル系樹脂4:PMMA−PnBA−PMMAである(A1)−(B)−(A2)トリブロック共重合体であり、PnBA含有量が95%である。
*8 スチレン系樹脂:タフテックH1221(旭化成ケミカルズ株式会社製)である。
*9 ダイヤナールLP−3106 アクリルパウダー粒径0.6μm(三菱レイヨン株式会社製)
*10 ダイヤナールLP−3108 アクリルパウダー粒径0.7μm(三菱レイヨン株式会社製)
*11 J−4PY アクリルパウダー粒径2.2μm(根上工業株式会社製)
*12 MX−150 アクリルパウダー粒径1.5μm(綜研化学株式会社製)
*13 MP−1000 アクリルパウダー粒径0.4μm(綜研化学株式会社製)
*14 TS100 シリカ2次粒径2μm (デグサ・ジャパン株式会社製)
*15 ミネックス#7 長石 平均粒径5.5μm(白石工業株式社製)
*16 ビスアミドLA アマイド フレーク状 (日本化成株式会社製)
上述のとおり作成した実施例1〜9、比較例1〜6及び参考例1〜3について、下記のとおり評価を行った。尚、実施例の評価結果については表1において、比較例の評価結果については表2において、それぞれ示した。
実施例、比較例及び参考例の製造においてホッパーにペレットを投入した際の自着性について評価した。評価は目視観察により、以下の通り評価した。
○(自着無し):ホッパー内でペレットの自着によりブロッキングすることなくスムーズに押出機のスクリューに供給され良好な押出成形性が示された。
×(自着有り):ホッパー内でペレットの自着によりブロッキングする状態が観察されスムーズに押出機のスクリューに材料が供給され難く押出成形性が不良であった。
得られた粘着フィルムにおける粘着層の透明性について評価した。該透明性は、東洋精機株式会社製のLIGHT SCATERRING METERを用いて粘着層のNAS値を測定し、以下の通り評価した。尚、参考例1により明らかなとおり、アクリル系樹脂を用いて粘着層を形成した場合に、自着防止剤を用いない場合には、樹脂本来の透明性として、得られる粘着層の透明性は35未満のものが一般的に得られる。
○(透明性良好):NAS値が35未満
×(透明性低下):NAS値が35以上
得られた粘着フィルムにおける粘着層の表面粘着強度を測定した。測定は、SUS304板を用い、以下のとおり測定試験を行った。実施例、比較例、及び参考例それぞれの粘着フィルムを幅方向に幅25mm、長さ100mmにカットして試験片を作成した。そして表面の汚れ(油、ホコリ、粉等)をとるため乾布で充分に清掃されたSUS試験板の清掃面に、各試験片を貼付けた。このときの貼り付け方法は、試験片をSUS試験板の清掃面に設置し、その状態で、圧力5880N/mのかかったゴムロール(ゴム硬度80度;ショアーゴム硬度計にて測定)間に2m/分の速度で通して、互いを圧着させる方法で行なった。上述のとおりSUS試験板に貼付けた試験片を室温において30分放置後、該試験片と水平方向(180度剥離)に200mm/分の速度で該試験片を剥離した時の剥離力を6回測定し、その平均値を表面粘着強度とした。
得られた粘着層の粘着保持率を評価した。即ち、自着防止剤の使用により、本来発揮されるはずの粘着層の表面粘着強度に対して、どの程度の表面粘着強度が発揮されているかを評価した。具体的には、各実施例、比較例、参考例について、自着防止剤を用いない以外は、同様に粘着フィルムを製造し、該粘着フィルムにおける粘着層の表面粘着強度を評価3と同様に測定し、これを基礎粘着力とした。そして評価3で得られた各実施例、比較例、及び参考例における粘着層の表面粘着強度の上記基礎粘着力に対する割合を、粘着保持率をした。尚、粘着層の厚みに誤差のある粘着層では、特に設計厚みである20μmに近い部分を試験片部位として選択して基礎粘着力を測定した。また、比較例及び参考例において、自着防止剤を用いないで製造された粘着フィルムにおいては、上記評価3で得られた表面粘着強度を基礎粘着力と同等とし、粘着保持率を100%とした。
得られた粘着フィルムについて耐候性の評価を行った。耐候性はJIS Z 0237に準じて、幅方向に幅25mm、長さ100mmにカットした試験片をSUS304板に貼り合わせ、サンシャインウェザーメーター(WOM)による促進耐候試験(ブラックパネル温度 63℃)を300時間行った後、剥離しその剥離形態を観察した。
〇(耐候性良好):糊残りがない。
×(耐候性不良):糊残りが見られる。
得られた粘着フィルムを成形後24時間放置し、その後、ロールを解反し、そのロール解反性を以下のとおり評価した。
○(ロール解反性が良好):スムーズにロールを解反することができ、解反時にフィルムの変形がない。
×(ロール解反性が不良):ロールを解反するのに力が入り、解反時にフィルムが変形する。
粘着層の厚みの均一性を観察するために、粘着層の厚みを、粘着フィルムの幅方向略中央部分において、ロールの巻取り方向に10cm間隔でその粘着層の厚みを測定し、該粘着フィルムにおける粘着層の最大厚みと最小厚みを得た。尚、上記測定には、キーエンス社製偏光顕微鏡LV100POLを用いた。
Claims (4)
- 熱可塑性樹脂からなる基材層と、表面粘着強度が0.15N/25mm以上である粘着層とが積層形成された粘着フィルムであって、
基材層と粘着層とは共押出成形法により積層形成されており、
粘着層が自着防止剤被覆ペレットを用いて形成されており、
前記自着防止剤被覆ペレットは、
粘着性を有するアクリル系樹脂を主としてなるペレットの表面に、平均粒子径2.5μm以下の粉体である自着防止剤を被覆して構成され、前記ペレットと前記自着防止剤との重量比が100:0.2〜100:2.0であり、且つ、自着防止剤被覆ペレットを溶融状態にして20μmの厚みとなるように熱可塑性樹脂からなる基材上に積層して層構造を形成した場合に、該層構造の表面粘着強度が0.15N/25mm以上を示すものであり、
前記粘着性を有するアクリル系樹脂が、式−(A1)−(B)−(A2)−で示されるアクリル系トリブロック共重合体を主としてなり、
前記式−(A1)−(B)−(A2)−において、
A1及びA2がそれぞれポリメタクリル酸メチル(PMMA)ブロック単位からなり、
Bが、ポリノルマルブチルアクリレート(PnBA)ブロック単位からなり、
前記アクリル系トリブロック共重合体100質量%中における前記ポリノルマルブチルアクリレートの占める割合が、60質量%以上90質量%以下であり、
粘着層中には、前記自着防止剤が前記粘着性を有するアクリル系樹脂100重量部に対し、0.2重量部以上2.0重量部以下の割合で含有されている、ことを特徴とする粘着フィルム。 - 前記自着防止剤が、主としてアクリル系樹脂より形成されている粉体である、請求項1に記載の粘着フィルム。
- 基材層と、表面粘着強度が0.15N/25mm以上である粘着層とを積層形成した粘着フィルムの製造方法であって、
前記基材層を構成する樹脂材料として熱可塑性樹脂を一つのホッパーに投入し、
前記粘着層を構成する材料として自着防止剤被覆ペレットを他のホッパーに投入し、
前記基材層と前記粘着層とを共押出しすることにより基材層と粘着層とが積層形成されており、
前記他のホッパーに投入される前記自着防止剤被覆ペレットは、
粘着性を有するアクリル系樹脂を主としてなるペレットの表面に、平均粒子径2.5μm以下の粉体である自着防止剤を被覆して構成され、前記ペレットと前記自着防止剤との重量比が100:0.2〜100:2.0であり、且つ、自着防止剤被覆ペレットを溶融状態にして20μmの厚みとなるように熱可塑性樹脂からなる基材上に積層して層構造を形成した場合に、該層構造の表面粘着強度が0.15N/25mm以上を示すものであり、
前記粘着性を有するアクリル系樹脂が、式−(A1)−(B)−(A2)−で示されるアクリル系トリブロック共重合体を主としてなり、
前記式−(A1)−(B)−(A2)−において、
A1及びA2がそれぞれポリメタクリル酸メチル(PMMA)ブロック単位からなり、
Bが、ポリノルマルブチルアクリレート(PnBA)ブロック単位からなり、
前記アクリル系トリブロック共重合体100質量%中における前記ポリノルマルブチルアクリレートの占める割合が、60質量%以上90質量%以下である、ことを特徴とする粘着フィルムの製造方法。 - 前記他のホッパーに投入される前記自着防止剤被覆ペレットを構成する前記自着防止剤は、主としてアクリル系樹脂より形成されている粉体である、請求項3に記載の粘着フィルムの製造方法。
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