JP5342147B2 - 粘着フィルム、及び粘着フィルムの製造方法 - Google Patents

粘着フィルム、及び粘着フィルムの製造方法 Download PDF

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本発明は、金属板や塗装板などの表面を保護するために被保護表面に貼り付け、且つ剥離可能な粘着フィルムに関し、より詳しくは、アクリル系の粘着層を備える粘着フィルムと、粘着フィルムを共押出成形方法によって製造する製造方法に関する。
従来から、金属板、塗装板、樹脂板、化粧鋼板、ガラス、液晶パネルなどの運搬、加工などの工程におけるこれら部材等の表面の汚れ、傷の防止のために、種々の保護フィルムが用いられている。したがって上記保護フィルムは、基材層の片面に粘着層が設けられて構成されることが一般的であり、被保護面に接着する該粘着層は、適度な貼着性と、被保護面を粘着剤で汚染することなく容易に剥離可能な剥離性が求められている。
上述する適度な貼着性と、剥離性の観点から、スチレン系ブロックポリマーを用いた粘着層を備える粘着フィルムが開示されている(下記特許文献1)。特許文献1に開示の表面保護フィルムは、熱可塑性樹脂からなる基材上に、一般式A−B−Aで表されるブロック共重合体及び一般式A−Bで表されるブロック共重合体(ただしAがスチレン系重合体ブロックである)を主体として構成される粘着層が形成されてなるものである。
上記スチレン系重合体ブロックを主として含んでなる粘着層が形成された表面保護フィルムは、被保護面に対する貼着性及び剥離性の点からは優れた性質を発揮するが、耐候性が悪いという問題点を有していた。また成形されたフィルムをロール状に巻き取った場合には、ロール解反性が悪いという問題も有していた。
これに対し、被保護面への貼着性及び剥離性が優れ、且つ耐候性にも優れる保護フィルムとして、ポリオレフィン基材の片面に、アクリル系ホットメルト粘着層を積層してなる表面保護用粘着シートの発明が開示されている(下記特許文献2)。このようにアクリル系樹脂を主としてなる粘着層であれば、被保護面に対する良好な貼着性及び剥離性を示すだけでなく、望ましい耐候性も示され好ましい。
ところで、基材層と、該基材層の一面側に積層される粘着層とから構成される保護フィルムの製造方法としては、通常、押出成形法が一般的である。上記押出成形法としては、あらかじめ基材層を製膜し、別工程で粘着層を塗布乾燥して製造する方法と、共押出成形法において基材層と粘着層とを同時に積層形成する方法とがある。特に、製造方法が簡単であり、またコスト面でも有利であるという観点から、上記保護フィルムの製造方法としては、共押出成形法が望ましい。上記共押出成形法において、基材層と粘着層とを同時に押出成形して積層させる場合には、押出成形装置における二つの独立したホッパーに、各層の材料が投入される。また上記各層の材料は、一般的にペレット状に加工されたものが用いられる。
特開平10−176148号公報 特開2001−64599号公報
しかしながら、粘着性を有するアクリル系樹脂よりなる粘着層を、基材層に積層させた粘着フィルムを製造するために、共押出成形法を行う場合には、以下の問題があった。即ち、粘着性を有するアクリル系樹脂を主としてなるペレットは、粘着層の材料としてホッパー内に投入されると、ペレット同士が互いに自着してブロッキングを起こしてしまう場合があった。このようにペレットがホッパー内で自着してしまうと、該ペレットがスムーズにホッパーからスクリューに送り込まれず、押出成形性が悪いという問題があった。そしてペレットがスムーズに装置内に送り込まれないため、材料の押出圧力が一定にならず、その結果、基材層の上に積層される粘着層の厚みが均一にならず問題であった(以下、上記問題を単に「押出成形性不良の問題」ともいう)。
本発明者の検討により、粘着性を有するアクリル系樹脂よりなる粘着層であっても、その粘着力が小さい場合には、上記押出成形性不良の問題は殆ど発生しないことがわかった。換言すると、共押出成形により、粘着性を有するアクリル系樹脂を主としてなるペレットを用いて一定の粘着強度を有する粘着層を基材層と積層形成しようとすると、上述のような押出成形性の不良の問題が発生することがわかった。
そこで本発明者が、上記ペレットの自着を防止するために、その表面に粉体をコーティングすることを検討した結果、用いられる粉体によっては、自着の問題が防止されない、あるいは、自着の問題は防止されるものの、得られた保護フィルムにおける粘着層の粘着力の有意な低下や透明性の低下が生じてしまうことがわかった。
本発明は、粘着性を有するアクリル系樹脂を主としてなる粘着層と基材層とからなる共押出粘着フィルムであって、被保護面に対する貼着性及び剥離性が良好で、且つ耐候性にも優れ、ロール状に巻き取った場合にロール解反性のよい粘着フィルムを提供すること、及び上記粘着フィルムの製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者は、粘着性を有するアクリル系樹脂を主としてなるペレットと、特定の粒子径の自着防止剤とを好ましい重量比率で混合させて、上記ペレットの表面に自着防止剤を被覆させることにより、ペレット同士の自着を防止可能であって、また、上記自着防止剤で被覆されたペレットを用いて押出成形された粘着層であれば、その厚みが略均一であって透明性も損なわれないということを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は、
(1)熱可塑性樹脂からなる基材層と、表面粘着強度が0.15N/25mm以上である粘着層とが積層形成された粘着フィルムであって、
基材層と粘着層とは共押出成形法により積層形成されており、
粘着層が自着防止剤被覆ペレットを用いて形成されており、
前記自着防止剤被覆ペレットは、
粘着性を有するアクリル系樹脂を主としてなるペレットの表面に、平均粒子径2.5μm以下の粉体である自着防止剤を被覆して構成され、前記ペレットと前記自着防止剤との重量比が100:0.2〜100:2.0であり、且つ、自着防止剤被覆ペレットを溶融状態にして20μmの厚みとなるように熱可塑性樹脂からなる基材上に積層して層構造を形成した場合に、該層構造の表面粘着強度が0.15N/25mm以上を示すものであり、
前記粘着性を有するアクリル系樹脂が、式−(A1)−(B)−(A2)−で示されるアクリル系トリブロック共重合体を主としてなり、
前記式−(A1)−(B)−(A2)−において、
A1及びA2がそれぞれポリメタクリル酸メチル(PMMA)ブロック単位からなり、
Bが、ポリノルマルブチルアクリレート(PnBA)ブロック単位からなり、
前記アクリル系トリブロック共重合体100質量%中における前記ポリノルマルブチルアクリレートの占める割合が、60質量%以上90質量%以下であり、
粘着層中には、前記自着防止剤が前記粘着性を有するアクリル系樹脂100重量部に対し、0.2重量部以上2.0重量部以下の割合で含有されている、ことを特徴とする粘着フィルム、
(2)前記自着防止剤が、主としてアクリル系樹脂より形成されている粉体である、上記(1)に記載の粘着フィルム、
(3)基材層と、表面粘着強度が0.15N/25mm以上である粘着層とを積層形成した粘着フィルムの製造方法であって、
前記基材層を構成する樹脂材料として熱可塑性樹脂を一つのホッパーに投入し、
前記粘着層を構成する材料として自着防止剤被覆ペレットを他のホッパーに投入し、
前記基材層と前記粘着層とを共押出しすることにより基材層と粘着層とが積層形成されており、
前記他のホッパーに投入される前記自着防止剤被覆ペレットは、
粘着性を有するアクリル系樹脂を主としてなるペレットの表面に、平均粒子径2.5μm以下の粉体である自着防止剤を被覆して構成され、前記ペレットと前記自着防止剤との重量比が100:0.2〜100:2.0であり、且つ、自着防止剤被覆ペレットを溶融状態にして20μmの厚みとなるように熱可塑性樹脂からなる基材上に積層して層構造を形成した場合に、該層構造の表面粘着強度が0.15N/25mm以上を示すものであり、
前記粘着性を有するアクリル系樹脂が、式−(A1)−(B)−(A2)−で示されるアクリル系トリブロック共重合体を主としてなり、
前記式−(A1)−(B)−(A2)−において、
A1及びA2がそれぞれポリメタクリル酸メチル(PMMA)ブロック単位からなり、
Bが、ポリノルマルブチルアクリレート(PnBA)ブロック単位からなり、
前記アクリル系トリブロック共重合体100質量%中における前記ポリノルマルブチルアクリレートの占める割合が、60質量%以上90質量%以下である、ことを特徴とする粘着フィルムの製造方法、
(4)前記他のホッパーに投入される前記自着防止剤被覆ペレットを構成する前記自着防止剤は、主としてアクリル系樹脂より形成されている粉体である、上記(3)に記載の粘着フィルムの製造方法
を要旨とするものである。
本発明の粘着フィルムに用いられる自着防止剤被覆ペレットは、該自着防止剤被覆ペレットを用いて形成される粘着層において、ペレットを構成する母材樹脂の本来有する粘着性や透明性といった物性を損なうことがないように、上記自着防止剤の粒子径及び用いられる量が一定の範囲に特定されている。
また本発明の粘着フィルムに用いられる自着防止剤被覆ペレットは、自着防止剤がペレットの表面に被覆されているため、押出成形装置のホッパー内に投入された際に自着によりブロッキングを起こすことがない。したがって、ホッパーからスクリューへのペレットの送り出しがスムーズであって、良好な押出成形性を示すことができる。また、ペレットの状態で保存した場合であっても、室温において、ペレット表面のべたつきが発生しない。
したがって、自着防止剤被覆ペレットを用いて共押出成形により形成された本発明の粘着フィルムは以下の優れた効果を有する。第一番目の効果としては、本発明における粘着層は、用いられるペレットの母材樹脂が本来備える粘着性、透明性を良好に維持し、且つ、0.1N/25mm以上の粘着性を発揮することができることが挙げられる。即ち、上記ペレットの表面に付着する自着防止剤は、共押出成形の過程において、溶融する該ペレットと混合し、結果として得られる粘着層に含有されることとなるが、本発明では、用いる自着防止剤の平均粒子径を2.5μm以下と特定し、且つ、粘着層の主体と自着防止剤との配合比率が、主体100重量部に対し、自着防止剤0.2重量部以上2.0重量部以下の割合になることから、これを用いて形成される粘着層の透明性を損なうことがなく、且つ、その粘着性を有意に低下させる虞がない。
第二番目の効果としては、基材層上に形成された粘着層の厚みが、一定の押出圧力条件下においても、成形開始から終了まで略均一形成されることが挙げられる。粘着層の厚みは、一般的に用途によって決定されるが、例えば設計された粘着層の厚みを100%としたときに、部分的にその厚みが90%未満になったり、あるいは部分的に110%を上回ったりした場合には、その粘着力にムラが生ずる虞がある。これに対し、本願発明の自着防止剤被覆ペレットを用いて共押出成形された粘着フィルムでは、ペレットがホッパー内で自着してブロッキングを起こすことがないので、押出圧力が良好に維持される結果、基材層上に形成される粘着層の厚みが略均一となり、被保護面に対する粘着性及び剥離性がともに優れた粘着フィルムを提供することが可能である。
加えて、本発明の保護フィルムは、粘着性を有するアクリル系樹脂を用いて形成される粘着層を備えているため、被保護面に対する貼着性、剥離性が良く、且つ耐候性に優れている。
さらに本発明の保護フィルムの製造方法では、上述のとおり自着防止剤で被覆されたペレットを用いて粘着フィルムを形成する際に得られる効果、即ち、良好な押出成形性、製造された粘着フィルムにおける粘着層の粘着性、透明性、その厚みの均一さなどを提供することができる上、以下の効果も有する。即ち、基材層の上に粘着剤を塗布乾燥する方法によって粘着層を形成する方法では、粘着剤を有機溶媒に溶解させてこれを基材に塗布し、有機溶媒を乾燥させる工程を必要としているため、蒸発する有機溶媒による大気汚染性の問題があったが、これらの問題は、ペレット形状の材料を用いて共押出する成形法を採用する本発明の製造方法ではいずれも解決される。
以下に、自着防止剤被覆ペレットを用いて形成される保護フィルム、及び上記保護フィルムの製造方法の順に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
(自着防止剤被覆ペレットについて)
ペレット:
本発明において用いられるペレットは、本発明における粘着層を構成する樹脂を固形形状に形成したものである。ペレットの形成方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法によって適宜形成される。その形状は、略球状あるいは、楕円状、円柱状など任意の形状であってよい。またその大きさについても特に限定されるものではないが、共押出成形に用いられる材料としては、その最大径が略2mm以上6mm以下であることが一般的である。
本発明に用いられるペレットを主として構成する樹脂は、粘着性を有するアクリル系樹脂である。上記粘着性を有するアクリル系樹脂としては、ペレット形状に形成されることが可能であって、基材層上に粘着層を構成するための材料となり得るものが適宜選択される。
粘着性を有するアクリル系樹脂は、ペレット形状としたときに、形成直後は表面粘着性に問題がない場合でも、経時的に表面にべとつきが発生し、あるいは粘着層を形成するために共押出成形装置のホッパー内に投入された後にペレット表面にべとつきが発生し、ペレット同士が自着する場合がある。ペレットの備える粘着性は、熱可塑性樹脂からなる基材上に、ペレットを溶融して形成される厚み略20μmの粘着層を形成し、その表面粘着強度を測定することにより評価することができる。自着防止剤被覆ペレットの備える粘着性を評価する場合も同様である。上記粘着性の評価により、粘着層の表面粘着強度が大きい値を示すペレットほど、上述する自着の問題を発生させる傾向にある。
上記表面粘着強度は、上記基材層上に粘着層を形成した試験片を幅25mm、長さ100mmにカットして、清浄としたSUS板に貼付ける。このとき貼り付けは、試験片をSUS板の清浄面に重ねて、圧力5880N/mのかかったゴムロール(ゴム硬度80度;ショアーゴム硬度計にて測定)間に2m/分の速度で通して互いを圧着する方法で行い、貼付けた後30分放置し、次いで該試験片と水平方向(180度剥離)に200mm/分の速度で該試験片を剥離した時の剥離力を6回測定し、その平均値を表面粘着強度とする。
上記ペレットの備える粘着性の評価において、粘着層の表面粘着強度が0.15N/25mm以上の粘着性を示すアクリル系樹脂ペレットにおいて上述するペレット同士の自着の問題が発生する虞があり、上記表面粘着強度が1N/25mm以上になると上記自着の問題は顕著になり、特に5N/25mm以上の表面粘着強度を示す粘着層を形成することのできるアクリル系樹脂ペレットでは、ホッパー内における自着により押出成形性が非常に悪くなる傾向にある。
本発明においてペレットの備える粘着性を規定する趣旨は、そもそも上記表面粘着強度が0.15N/25mm未満であれば、これを形成するための材料であるアクリル系樹脂ペレットの自着の問題が発生せず、該ペレットを自着防止剤で被覆する必要がないためである。つまり、上記表面粘着強度が0.15N/25mm未満を示すペレットであれば、その表面に自着防止剤が被覆されていなくても共押出成形において自着により押出成形性を不良とすることがないことを意味するものであって、表面粘着強度0.15N/25mm未満を示すペレットの表面に自着防止剤を被覆させたことにより、得られる粘着層の物性の低下などの不都合が発生することを意味するものではない。
上記粘着性を有するアクリル系樹脂の中でも、特に式−(A1)−(B)−(A2)−で示されるアクリル系トリブロック共重合体を母材としてなるものが好ましく使用される。また該アクリル系トリブロック共重合体は、その全体の数平均分子量が10000〜1000000の範囲内にあるのがよく、15000〜700000の範囲であることがより好ましい。上記式の態様としては、重合体ブロックA1−重合体ブロックB−重合体ブロックA2、重合体ブロックA1−重合体ブロックB−重合体ブロックA2―重合体ブロックB、重合体ブロックA1−重合体ブロックB−重合体ブロックA2―重合体ブロックCなどが挙げられる。またA1とA2はそれぞれ異なるアクリル系ブロック共重合体ブロックであってもよいし、同一のアクリル系ブロック共重合体ブロックであってもよい。
上記式−(A1)−(B)−(A2)−において、特に、A1及びA2は、主としてメタクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。メタクリル酸アルキルエステルの例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸などのモノマーを主として構成される重合体ブロックを挙げることができ、特にはポリメタクリル酸メチル(PMMA)ブロック単位であることが好ましい。
また上記Bは、主としてアクリル酸アルキルエステル及び/またはメタクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチルなどのモノマーを主として構成される重合体ブロックを挙げることができ、特にはポリノルマルブチルアクリレート(PnBA)ブロック単位であることが望ましい。
上記アクリル系トリブロック共重合体としては、A1及びA2がいずれもポリメタクリル酸メチル(PMMA)ブロック単位であり、Bがポリノルマルブチルアクリレート(PnBA)ブロック単位である、A1−B−A2の共重合体であることが特に好ましく、このとき、アクリル系トリブロック共重合体100重量%中におけるポリノルマルブチルアクリレートブロック単位の占める割合は、これを用いて形成される粘着層を備える粘着フィルムの具体的な用途や被保護面の材質などによって適宜決定することができるが、特には60質量%以上90質量%以下であることが望ましい。上記ポリノルマルブチルアクリレートブロック単位が90質量%を超えると、ペレットと上記自着防止剤との重量比が100:0.2〜100:2.0の範囲では自着を良好に防止できない虞があり、また自着防止剤をさらに増加させると自着は防止できるものの、得られる粘着層の透明性の損失や表面粘着強度の低下が問題となる場合がある。また上記ポリノルマルブチルアクリレートブロック単位が60質量%を下回った場合には、粘着力が低く、所望の表面粘着強度が得られない虞がある。
尚、上記ペレットには、本発明の効果を損なわない範囲で光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、無機充填剤、滑剤などを添加してもよい。また本発明の効果を損なわない範囲でペレットの備える粘着性を向上させるために、粘着性を有するアクリル系樹脂に加えて、さらに粘着性向上剤を、上記ペレットを形成する際に添加してもよい。粘着性向上剤としては、ロジン系樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂など、母材樹脂に粘着性を付与することが可能な化合物を1種または2種以上使用することができる。
自着防止剤:
本発明において用いられる自着防止剤とは、粘着性を有するアクリル系樹脂ペレットの表面に付着してその表面を被覆することのできる常温で固体の粉体である。上記粉体としては、粘着性を有するアクリル系樹脂ペレットの表面を被覆することによってペレット同士の自着を防止することができ、且つ、溶融するペレットに含有される結果、粘着層内に含有された際に、該粘着層の粘着性を有意に低下させることなく、且つ透明性を低下させることがないものであればよい。即ち、本発明において自着防止剤は、得られる粘着層の粘着性や透明性といったペレット本来の有する有利な性質から発揮される物性を低下させることなく、該ペレットの自着を防止することが重要である。
上記観点から、自着防止剤である粉体の平均粒子径は、2.5μm以下のものが用いられる。ペレットの表面に被覆される粉体は、該ペレットがフィルム成形工程において溶融状態となり粘着層を形成する際に、該ペレットを構成するアクリル系粘着剤と混合し、該粘着層に含有されることになる。このとき、粉体の平均粒子径が2.5μmを上回ると、該自着防止剤に被覆されたペレットを用いて形成された粘着層では、該粘着層の透明性が低下するため望ましくない。特に、パネルなどは、パネル表面に保護フィルムが貼着された状態で試験を受ける場合があるため、保護フィルムの透明性が損なわれるとパネルの試験の妨げになるため望ましくない。
上記自着防止剤(即ち粉体)の平均粒子径はレーザー光による動的光散乱法により測定される。
また、自着防止剤は、上記アクリル系樹脂ペレット100重量部に対し、0.2重量部以上2.0重量部以下の割合で使用される。より具体的には、上記アクリル系樹脂ペレット100重量部と、0.2重量部以上2.0重量部の自着防止剤とが混合され、その結果、該ペレットの表面に自着防止剤が被覆される。このとき、自着防止剤の量が0.2重量部未満であると、良好にペレットの自着性が防止されない虞がある。一方、上記自着防止剤被覆ペレットを用いて、共押出成形法により基材層上に粘着層が積層されてなる粘着フィルムを形成した際には、該粘着層中に上記自着防止剤が含有されることとなるが、このとき、粘着層中に、2.0重量部を上回る量の自着防止剤が含有されていると、ペレット本来の性質により発揮されるべき粘着層の表面粘着強度を有意に下げ、あるいは粘着層の透明性を損なう可能性があり望ましくない。
上記自着防止剤の母材としては、上述のとおり得られる粘着層の粘着性や透明性といったペレット本来の有する有利な性質から発揮される物性を低下させることなく、該ペレットの自着を防止することができるものであって、平均粒子径2.5μm以下である粉体であれば限定されるものではない。例えば、自着防止剤として用いられ得る粉体としては、有機系材料よりなる粉体であってもよいし、無機系材料よりなる粉体であってもよい。また透明性のある顔料のいずれかを用いてもよい。上記有機系材料よりなる粉体としては、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、及びスチレン−アクリル共重合体樹脂を主としてなる粉体が挙げられる。また上記無機系材料よりなる粉体としては、主としてシリカよりなる粉体などがある。
本発明において用いられるペレットが粘着性を有するアクリル系樹脂ペレットであるため、該ペレットとの相溶性の観点から、特に主としてアクリル系樹脂よりなる粉体が自着防止剤として用いられることが望ましい。特に、ペレットの構成樹脂と、粉体の構成樹脂とのSP値(溶解パラメータ)が近い組合せであることが望ましい。
(粘着フィルムについて)
本発明の粘着フィルムは、インフレーション法、あるいはTダイ法などの一般的な共押出成形法により形成される、基材層と粘着層とを有する粘着フィルムである。用途としては、金属板、塗装板、樹脂板、化粧鋼板、ガラス、液晶パネルなどの運搬、加工などの工程におけるこれら部材等の表面の汚れ、傷の防止のために、被保護面に貼着される保護フィルムとしての使用が挙げられる。
基材層:
本発明の粘着フィルムにおける基材層は、熱可塑性樹脂から構成される。熱可塑性樹脂は、用途に応じて適宜選択して用いることができ、汎用の熱可塑性樹脂あれば特に限定されるものではない。より具体的な樹脂の例としては、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン系、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体などが挙げられる。上記基材層を構成する樹脂は、単独で使用されてもよいし、適宜組み合わせて使用されてもよい。また本発明における基材層は、単層構造、多層構造を問わない。上記熱可塑性樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、無機充填剤、顔料、滑剤などを添加してもよい。
基材層の厚みについても、保護フィルムとしての用途などにあわせて適宜設計することができるが、一般的には、0.008mm以上0.25mm以下である。
粘着層:
本発明の粘着フィルムにおける粘着層は、式−(A1)−(B)−(A2)−で示されるアクリル系トリブロック共重合体を母材としてなる樹脂を用いて構成され、層内には、上記アクリル系トリブロック共重合体100重量部に対し、0.2重量部以上2.0重量部以下の割合で自着防止剤が含有されている。即ち、本発明における粘着層は、上述する本発明の自着防止剤被覆ペレットを用いて形成される。
上記粘着層の表面粘着強度は、0.15N/25mm以上であり、かかる表面粘着強度は、上述するペレットの物性を評価する上で実施される表面粘着強度の測定方法と同様の方法で測定することができる。本発明において粘着層の表面粘着強度を規定する趣旨は、そもそも表面粘着強度が0.15N/25mm未満であれば、これを形成するための材料であるアクリル系樹脂ペレットの自着の問題が発生せず、ペレットを自着防止剤で被覆する必要がないためである。したがって、上記表面粘着強度の特定は、表面粘着強度0.15N/25mm未満の粘着層であれば、表面に自着防止剤が付着していないアクリル系樹脂ペレットを用いて共押出成形法により粘着フィルムを製造することができるので、該粘着層中に自着防止剤が含有されている必要がないことを意味するものであって、表面粘着強度0.15N/25mm未満の粘着層に自着防止剤が含有されている場合に表面粘着強度の低下や、透明性の低下などの不都合が発生することを意味するものではない。
上記粘着層の厚みは、保護フィルムとしての用途などにあわせて適宜設計することができるが、一般的には、2μm以上100μm以下である。
(粘着フィルムの製造方法について)
本発明の製造方法は、熱可塑性樹脂よりなる基材層と、アクリル系樹脂よりなる表面粘着強度が0.15N/25mm以上である粘着層とを備える粘着フィルムを製造する方法であって、上述のとおり共押出成形法が採用される。本発明の製造方法において、粘着層を形成する材料として、本発明の自着防止剤被覆ペレットを用いることによって、良好な押出成形性が提供される。
尚、本発明の製造方法は、本発明の自着防止剤被覆ペレットを予め入手するのではなく、粘着性を有するアクリル系樹脂ペレットと、上記自着防止剤である粉体とを準備し、これらを本発明で特定する重量比において混合して該ペレットの表面に該粉体を被覆させる被覆工程を備えることを除外するものではない。
自着防止剤被覆ペレットを用いた本発明の粘着フィルムの製造方法において、ペレットの表面に自着防止剤を被覆させる方法は、特に限定されるものではない。例えば、適当な容器に所定の量のペレットを入れ、該容器に該ペレットの量に対し適切な量の自着防止剤をさらに入れ、攪拌棒などで両者を良く混合させてもよいし、あるいは適当な袋に所定の量のペレットを入れ、該袋に該ペレットの量に適切な自着防止剤を更に入れ、該袋の口を結び密封した後、袋を振るなどして内容物であるペレットと自着防止剤を混合させてもよい。尚、上記ペレットとしては、上述するアクリル系樹脂ペレットを用いることができ、また上記自着防止剤についても上述のとおりである。
そして予め入手した自着防止剤被覆ペレットあるいは上述のとおり準備した自着防止剤被覆ペレットを押出成形装置の一つのホッパーに投入し、且つ、他のホッパーに上述する基材層構成樹脂を投入し、共押出成形することにより、基材層と粘着層とが積層形成された粘着フィルムが完成される。
本願発明の粘着フィルムの製造方法では、上述のとおり自着防止剤被覆ペレットが用いられるため、自着によりホッパー内でペレットがブロッキングするという問題が発生しない。したがって、押出成形性が良好であり、成形工程の開始から一定の押出圧力条件の下でも、得られるフィルムにおける粘着層の厚みが略均一である。例えば、20μmの厚みの粘着層を形成するよう押出量及び押出圧力などの成形条件を設定した場合に、本発明の製造方法では、粘着層の厚み18μm〜22μmの範囲内で形成される。即ち、その厚みの誤差は、粘着層の厚みとして設定された厚みを100%としたときに、上記設定された厚みに対し、実際に得られる粘着層の厚みを90%以上、110%以内の誤差内に納めることが可能である。
一方、0.15N/25mm以上の表面粘着強度を示す粘着層を形成するにあたり、自着防止剤を用いずに、粘着性を有するアクリル系樹脂ペレットを用いて共押出成形した場合には、粘着層の構成材料の自着によりその押出圧力が一定に維持されない虞があり、上記押出成形不良の現象の発生は、1N/25mm以上の表面粘着強度を有する粘着層をアクリル樹脂ペレットを用いて形成しようとした場合により問題であり、特に5N/25mm以上の表面粘着強度を有する粘着層を形成しようとした場合には顕著である。したがって、20μmの厚みの粘着層を形成するよう押出量及び押出圧力などの成形条件を設定して粘着フィルムを形成しても、得られる粘着層の厚みは、設定厚み100%に対し、部分的に90%未満の厚みになるか、あるいは部分的に110%を上回る厚みになる虞がある。特に設定厚みよりも実際に得られる厚みが極端に薄くなる箇所が発生する傾向にある。
これに対し、本発明の粘着フィルムの製造方法は、表面粘着強度が0.15N/25mm以上である粘着層を備える粘着フィルムを製造するにおいて、設定された押出圧力下において、工程途中に押出圧力の調整を要することなく、一定の厚みの粘着層を備える粘着フィルムを形成することができる。
以下、実施例、比較例及び参考例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜9)
表1に粘着層の欄に示すペレット形状のアクリル系樹脂である粘着層構成樹脂*4〜*8のいずれかと、自着防止剤*9〜*16のいずれかとを、表1に示す組合せ及び配合比率で混合させて、自着防止剤被覆ペレットを形成した。次いで、共押出成形装置において一つのホッパーに上記自着防止剤被覆ペレットを投入し、他のホッパーに、表1の基材層欄に示す基材層構成樹脂*1〜*3のいずれかを表1に占める割合で投入し、基材層の押出圧力194kgf/cm、粘着層の押出圧力119kgf/cmの条件下で、厚み30μmの基材層の片側面に、厚み約20μmの粘着層が積層されるよう粘着フィルムを形成しロール状に巻き取り、実施例1〜9とした。
(比較例1〜6)
粘着層の構成樹脂、基材層の構成樹脂、及び自着防止剤を表2に示すとおりの組合せ及び配合にした以外は、実施例と同様に、粘着フィルムを形成し、比較例1〜6とした。尚、比較例における粘着層の厚みは、約20μmとなるよう初期の製造条件(押出圧力)を設定したが、押出成形性の不良により、設計を大きくはずれるものがあった。
(参考例1)
また粘着層の表面粘着強度と自着性の関係を示すために、表2の基材層の欄に示す基材層構成樹脂、粘着層の欄に示す粘着層構成樹脂、及び自着防止剤を用い、実施例と同様の方法において参考例1を形成した。即ち、参考例1は、自着防止剤を使用しない場合に、自着性の問題が発生する粘着層の表面粘着強度の下限領域を示すことを趣旨とする。尚、参考例1に対し、自着防止剤を用いた以外は同様に製造された粘着フィルムが、実施例9に相当する。
(参考例2)
粘着層におけるPnBAの含有量が多いことにより、良好な自着防止効果が得られなかった例を示すために、表2の基材層の欄に示す基材層構成樹脂、粘着層の欄に示す粘着層構成樹脂、及び自着防止剤を用い、実施例と同様の方法において参考例2を形成した。
(参考例3)
粘着層におけるPnBAの含有量が少ないことにより、所望の表面粘着強度が得られなかった例を示すために、表2の基材層の欄に示す基材層構成樹脂、粘着層の欄に示す粘着層構成樹脂、及び自着防止剤を用い、実施例と同様の方法において参考例3を形成した。
尚、表1に示す基材層を構成する樹脂*1〜*3の詳細は以下のとおり、いずれも汎用の熱可塑性樹脂を用いた。
*1 PE ペトロセン180(東ソー株式会社製)
*2 PP WINTEC WFX6 (日本ポリプロ株式会社製)
*3 PBT NOVADURAN 5505S (三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)
また粘着層を構成する樹脂*4〜*8の詳細は以下のとおりである。*4及び*6は、本発明の実施例に用いられるアクリル系樹脂として、式(A1)−(B)−(A2)で表されるアクリル系トリブロック共重合体であって、A1及びA2がそれぞれポリメタクリル酸メチル(PMMA)ブロック単位からなり、Bが、ポリノルマルブチルアクリレート(PnBA)ブロック単位からなり、アクリル系トリブロック共重合体100質量%中における上記ポリノルマルブチルアクリレートの占める割合が60質量%以上90質量%以下であるアクリル系樹脂である。一方、*5は、ポリノルマルブチルアクリレートの占める割合が60%を下回っており、また*7は、ポリノルマルブチルアクリレートの占める割合が90質量%を上回っており、粘着層の透明性あるいは表面粘着強度の低下の生じる虞のある例として参考例に用いたアクリル系樹脂である。また*8は、アクリル系以外の樹脂の例として比較例に用いた樹脂である。
*4 アクリル系樹脂1:PMMA−PnBA−PMMAである(A1)−(B)−(A2)トリブロック共重合体であり、PnBA含有量が77%である。
*5 アクリル系樹脂2:PMMA−PnBA−PMMAである(A1)−(B)−(A2)トリブロック共重合体であり、PnBA含有量が50%である。
*6 アクリル系樹脂3:PMMA−PnBA−PMMAである(A1)−(B)−(A2)トリブロック共重合体であり、PnBA含有量が68%である。
*7 アクリル系樹脂4:PMMA−PnBA−PMMAである(A1)−(B)−(A2)トリブロック共重合体であり、PnBA含有量が95%である。
*8 スチレン系樹脂:タフテックH1221(旭化成ケミカルズ株式会社製)である。
また自着防止剤*9〜*16の詳細は以下のとおりである。*9〜*13はいずれもアクリル系の粉体であって、その平均粒径が2.5μm以下であって、実施例における自着防止剤として用いたものである。また*14はアクリル系以外の自着防止剤であって平均粒径が2.5μm以下の粉体であり上記*9〜*13と同様に実施例に用いた自着防止剤である。*15は、平均粒子径が本発明で特定する数値より大きい粉体であり比較例に用いた。また*16は、フレーク状の化合物であって、平均粒径が2.5μmを上回るものを含み、且つ、その粒径や形状が不均一のものであって、比較例の自着防止剤として用いた。
*9 ダイヤナールLP−3106 アクリルパウダー粒径0.6μm(三菱レイヨン株式会社製)
*10 ダイヤナールLP−3108 アクリルパウダー粒径0.7μm(三菱レイヨン株式会社製)
*11 J−4PY アクリルパウダー粒径2.2μm(根上工業株式会社製)
*12 MX−150 アクリルパウダー粒径1.5μm(綜研化学株式会社製)
*13 MP−1000 アクリルパウダー粒径0.4μm(綜研化学株式会社製)
*14 TS100 シリカ2次粒径2μm (デグサ・ジャパン株式会社製)
*15 ミネックス#7 長石 平均粒径5.5μm(白石工業株式社製)
*16 ビスアミドLA アマイド フレーク状 (日本化成株式会社製)
(実施例、比較例及び参考例の評価)
上述のとおり作成した実施例1〜9、比較例1〜6及び参考例1〜3について、下記のとおり評価を行った。尚、実施例の評価結果については表1において、比較例の評価結果については表2において、それぞれ示した。
(評価1)
実施例、比較例及び参考例の製造においてホッパーにペレットを投入した際の自着性について評価した。評価は目視観察により、以下の通り評価した。
○(自着無し):ホッパー内でペレットの自着によりブロッキングすることなくスムーズに押出機のスクリューに供給され良好な押出成形性が示された。
×(自着有り):ホッパー内でペレットの自着によりブロッキングする状態が観察されスムーズに押出機のスクリューに材料が供給され難く押出成形性が不良であった。
(評価2)
得られた粘着フィルムにおける粘着層の透明性について評価した。該透明性は、東洋精機株式会社製のLIGHT SCATERRING METERを用いて粘着層のNAS値を測定し、以下の通り評価した。尚、参考例1により明らかなとおり、アクリル系樹脂を用いて粘着層を形成した場合に、自着防止剤を用いない場合には、樹脂本来の透明性として、得られる粘着層の透明性は35未満のものが一般的に得られる。
○(透明性良好):NAS値が35未満
×(透明性低下):NAS値が35以上
(評価3)
得られた粘着フィルムにおける粘着層の表面粘着強度を測定した。測定は、SUS304板を用い、以下のとおり測定試験を行った。実施例、比較例、及び参考例それぞれの粘着フィルムを幅方向に幅25mm、長さ100mmにカットして試験片を作成した。そして表面の汚れ(油、ホコリ、粉等)をとるため乾布で充分に清掃されたSUS試験板の清掃面に、各試験片を貼付けた。このときの貼り付け方法は、試験片をSUS試験板の清掃面に設置し、その状態で、圧力5880N/mのかかったゴムロール(ゴム硬度80度;ショアーゴム硬度計にて測定)間に2m/分の速度で通して、互いを圧着させる方法で行なった。上述のとおりSUS試験板に貼付けた試験片を室温において30分放置後、該試験片と水平方向(180度剥離)に200mm/分の速度で該試験片を剥離した時の剥離力を6回測定し、その平均値を表面粘着強度とした。
(評価4)
得られた粘着層の粘着保持率を評価した。即ち、自着防止剤の使用により、本来発揮されるはずの粘着層の表面粘着強度に対して、どの程度の表面粘着強度が発揮されているかを評価した。具体的には、各実施例、比較例、参考例について、自着防止剤を用いない以外は、同様に粘着フィルムを製造し、該粘着フィルムにおける粘着層の表面粘着強度を評価3と同様に測定し、これを基礎粘着力とした。そして評価3で得られた各実施例、比較例、及び参考例における粘着層の表面粘着強度の上記基礎粘着力に対する割合を、粘着保持率をした。尚、粘着層の厚みに誤差のある粘着層では、特に設計厚みである20μmに近い部分を試験片部位として選択して基礎粘着力を測定した。また、比較例及び参考例において、自着防止剤を用いないで製造された粘着フィルムにおいては、上記評価3で得られた表面粘着強度を基礎粘着力と同等とし、粘着保持率を100%とした。
(評価5)
得られた粘着フィルムについて耐候性の評価を行った。耐候性はJIS Z 0237に準じて、幅方向に幅25mm、長さ100mmにカットした試験片をSUS304板に貼り合わせ、サンシャインウェザーメーター(WOM)による促進耐候試験(ブラックパネル温度 63℃)を300時間行った後、剥離しその剥離形態を観察した。
〇(耐候性良好):糊残りがない。
×(耐候性不良):糊残りが見られる。
(評価6)
得られた粘着フィルムを成形後24時間放置し、その後、ロールを解反し、そのロール解反性を以下のとおり評価した。
○(ロール解反性が良好):スムーズにロールを解反することができ、解反時にフィルムの変形がない。
×(ロール解反性が不良):ロールを解反するのに力が入り、解反時にフィルムが変形する。
(評価7)
粘着層の厚みの均一性を観察するために、粘着層の厚みを、粘着フィルムの幅方向略中央部分において、ロールの巻取り方向に10cm間隔でその粘着層の厚みを測定し、該粘着フィルムにおける粘着層の最大厚みと最小厚みを得た。尚、上記測定には、キーエンス社製偏光顕微鏡LV100POLを用いた。
上記評価1〜評価6において、実施例1〜9はいずれも所望の評価が得られた。また評価7において粘着層の最大厚み及び最小厚みを測定した実施例1〜4及び8〜9は、設計厚みである2μmに対し、最大厚み、最小厚みとも90%以上110%以内の小さな誤差であることがわかった。
一方、自着防止剤を使用しない以外は実施例2と同様に製造された比較例1及び自着防止剤の使用量を本発明で特定する重量比以下で使用した比較例2は、いずれもペレットの自着によりホッパー内でブロッキングが生じた。また比較例2に対し、本発明で特定する重量比以上で自着防止剤を使用した比較例3、粒子径が本発明で特定するサイズ以上の自着防止剤を用いた比較例5、粒子の径が不均一なフレーク状である自着防止剤を用いた比較例6は、いずれも自着性の点では良好な結果が得られたものの、得られた粘着層の透明性が損なわれていることがわかった。また比較例6についてはその粘着性保持率も非常に低かった。さらに、粘着層の構成樹脂としてスチレン系樹脂が用いられた比較例4では、自着性、透明性は良好であったが、耐候性、ロール解反性の点で不良であって、アクリル性樹脂を用いることの有用性が示された。
Figure 0005342147
Figure 0005342147

Claims (4)

  1. 熱可塑性樹脂からなる基材層と、表面粘着強度が0.15N/25mm以上である粘着層とが積層形成された粘着フィルムであって、
    基材層と粘着層とは共押出成形法により積層形成されており、
    粘着層が自着防止剤被覆ペレットを用いて形成されており、
    前記自着防止剤被覆ペレットは、
    粘着性を有するアクリル系樹脂を主としてなるペレットの表面に、平均粒子径2.5μm以下の粉体である自着防止剤を被覆して構成され、前記ペレットと前記自着防止剤との重量比が100:0.2〜100:2.0であり、且つ、自着防止剤被覆ペレットを溶融状態にして20μmの厚みとなるように熱可塑性樹脂からなる基材上に積層して層構造を形成した場合に、該層構造の表面粘着強度が0.15N/25mm以上を示すものであり、
    前記粘着性を有するアクリル系樹脂が、式−(A1)−(B)−(A2)−で示されるアクリル系トリブロック共重合体を主としてなり、
    前記式−(A1)−(B)−(A2)−において、
    A1及びA2がそれぞれポリメタクリル酸メチル(PMMA)ブロック単位からなり、
    Bが、ポリノルマルブチルアクリレート(PnBA)ブロック単位からなり、
    前記アクリル系トリブロック共重合体100質量%中における前記ポリノルマルブチルアクリレートの占める割合が、60質量%以上90質量%以下であり、
    粘着層中には、前記自着防止剤が前記粘着性を有するアクリル系樹脂100重量部に対し、0.2重量部以上2.0重量部以下の割合で含有されている、ことを特徴とする粘着フィルム。
  2. 前記自着防止剤が、主としてアクリル系樹脂より形成されている粉体である、請求項1に記載の粘着フィルム。
  3. 基材層と、表面粘着強度が0.15N/25mm以上である粘着層とを積層形成した粘着フィルムの製造方法であって、
    前記基材層を構成する樹脂材料として熱可塑性樹脂を一つのホッパーに投入し、
    前記粘着層を構成する材料として自着防止剤被覆ペレットを他のホッパーに投入し、
    前記基材層と前記粘着層とを共押出しすることにより基材層と粘着層とが積層形成されており、
    前記他のホッパーに投入される前記自着防止剤被覆ペレットは、
    粘着性を有するアクリル系樹脂を主としてなるペレットの表面に、平均粒子径2.5μm以下の粉体である自着防止剤を被覆して構成され、前記ペレットと前記自着防止剤との重量比が100:0.2〜100:2.0であり、且つ、自着防止剤被覆ペレットを溶融状態にして20μmの厚みとなるように熱可塑性樹脂からなる基材上に積層して層構造を形成した場合に、該層構造の表面粘着強度が0.15N/25mm以上を示すものであり、
    前記粘着性を有するアクリル系樹脂が、式−(A1)−(B)−(A2)−で示されるアクリル系トリブロック共重合体を主としてなり、
    前記式−(A1)−(B)−(A2)−において、
    A1及びA2がそれぞれポリメタクリル酸メチル(PMMA)ブロック単位からなり、
    Bが、ポリノルマルブチルアクリレート(PnBA)ブロック単位からなり、
    前記アクリル系トリブロック共重合体100質量%中における前記ポリノルマルブチルアクリレートの占める割合が、60質量%以上90質量%以下である、ことを特徴とする粘着フィルムの製造方法。
  4. 前記他のホッパーに投入される前記自着防止剤被覆ペレットを構成する前記自着防止剤は、主としてアクリル系樹脂より形成されている粉体である、請求項3に記載の粘着フィルムの製造方法。
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