JP2010212062A - 電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な構成で出力特性に優れる全固体二次電池システムを提供する。
【解決手段】全固体二次電池と、熱源と、前記熱源からの排熱を用いて前記全固体二次電池を加温する加温手段と、前記全固体二次電池の温度変動の緩衝手段と、を備えるようにする。この電池システムによると、簡易な構成でも全固体二次電池の出力特性を向上させることができる。
【選択図】図1
【解決手段】全固体二次電池と、熱源と、前記熱源からの排熱を用いて前記全固体二次電池を加温する加温手段と、前記全固体二次電池の温度変動の緩衝手段と、を備えるようにする。この電池システムによると、簡易な構成でも全固体二次電池の出力特性を向上させることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、安定した出力特性を発揮できる、全固体二次電池を備えた電池システムに関する。
近年、各種装置のほか自動車などの輸送機における動力電源として二次電池の適用が期待されている。二次電池としては、リチウムが小さな原子量でしかも大きいイオン化エネルギーを有することから、高エネルギー密度が得られる電池としてリチウム二次電池が実用化されている。
現在、多くのリチウム二次電池では、有機溶媒を含む液体の電解質が用いられているが、液体電解質は発熱や発火等安全性に問題があることがわかっている。このため、液体の電解質に代えて固体の電解質を用いる全固体二次電池が注目されている。この種の電池構成要素は、全て固体であるため、電池の信頼性が向上するだけでなく、電池をコンパクト化することができる。
一般に、二次電池は、低温では電解質の伝導度が低く、その結果電池抵抗が高くなり出力が低下する。全固体二次電池では、固体電解質のイオン伝導度が液体電解質よりも低く、かつ電極活物質と固体電解質との接触率が低いことから、液体電解質を用いる二次電池よりも、内部抵抗が高く高出力が得られにくいことがわかっている。
始動時における昇温を容易に実現し、十分な出力を確保するために、全固体二次電池を加熱又は冷却する電池システムが開示されている(特許文献1)。このシステムでは、複数の電極群を効率的に加熱又は冷却するために、良好な熱伝導性を有する熱媒介部を設けている。
しかしながら、上記特許文献1に記載のシステムでは、良好な熱伝導性を確保するために、熱伝導構造は、複雑な構造を採らざるを得なかった。また、熱伝導構造が複雑化することで、結果として電極群の各部における熱変動が大きくなる傾向があり出力特性が変動し低下しやすくなることがわかった。これに対応するには、複雑な温度制御機構が必要であることもわかった。こうした熱伝導構造や温度制御機構の複雑さを考慮すると、上記システムは、対コストの観点からも現実的ではなかった。
そこで、本発明では、全固体二電池を備える電池システムにおいて、簡易な構成で出力特性を安定化し向上させることを一つの目的とする。
本発明者らは、全固体二次電池に適した出力安定化及び向上システムにつき種々検討したところ、全固体二次電池にあっては、熱伝導率の良好な熱媒介部を利用して積極的に温度制御するよりも、電池特性の変動因子である温度変動を抑制して全固体二次電池の出力を安定化することが重要であり、こうした手段こそが最終的に出力向上に効果的であるという知見を得、本発明を完成した。本発明によれば、以下の手段が提供される。
本発明によれば、全固体二次電池と、前記全固体二次電池の温度を緩衝する温度緩衝手段と、を備える、電池システムが提供される。本発明の電池システムは、自動車搭載用等のほか各種の電源や発電源を備える装置用とすることができる。
本発明の電池システムにおいては、前記温度緩衝手段は、比熱(J/g・K)が1以上3以下の材料を含むことが好ましい。また、前記温度緩衝手段は、樹脂又は樹脂と無機材料との複合材料を含むことが好ましい。
本発明の電池システムにおいては、さらに、前記全固体二次電池を前記温度緩衝手段を介して加温する加温手段を備えていてもよい。前記加温手段は、前記電池システムが配置される環境下で受容可能な外熱を利用して前記全固体二次電池を加温する手段であることが好ましい。また、前記加温手段は、エンジン、モーター及びインバーターから選択される熱源の排熱を利用する手段であることが、エネルギーの効率的な利用の観点から好ましい。
本発明によれば、上記電池システムを搭載した車両も提供される。
本発明は、全固体二次電池を備える電池システム及びその利用に関する。本発明の電池システムによれば、全固体二次電池の温度緩衝手段を備えることで、全固体二次電池が配置される環境温度の変動の影響を抑制して、全固体二次電池の温度変動及び温度分布の不均一化が抑制される。この結果、出力特性は安定化され、全体としての出力特性が向上される。また、温度緩衝手段を備えることで、熱伝達構造を簡素化又は省略できるほか、複雑な温度制御機構を要することもなくなり、全体の構成を簡素化することができる。また、温度緩衝手段は、その比熱特性から蓄熱機能を発揮することができ、全固体二次電池の良好な作動温度を容易に保持することができる。
本発明の電池システムに、さらに、全固体二次電池の加温手段を備えることで、安定して高い出力を発揮できるようになる。加温手段を備える場合に、熱伝導性の良好な熱伝達構造を備えることが好ましく、温度緩衝手段を備えることは、一見、熱の効率的な利用の観点からは好ましくないようにみえる。しかしながら、あえて、温度緩衝手段を介して加温手段等から供給される熱を全固体二次電池に伝達することで、かえって複雑な熱伝達構造を回避して全体構造を簡素化でき、複雑な温度制御機構の構築も回避できるため、結果として排熱を有効利用できるようになる。
以下、本発明の実施形態につき、適宜図面を参照して説明する。図1は、本発明の電池システムの一例の概略を示す図である。なお、この図面は、本発明の一実施形態を説明するものであって、本発明の電池システムをこの態様に限定するものではない。
(電池システム)
本発明の電池システム100は、図1に示すように、全固体二次電池10と、温度緩衝手段40と、を備えている。
本発明の電池システム100は、図1に示すように、全固体二次電池10と、温度緩衝手段40と、を備えている。
(全固体二次電池)
本発明の電池システム100が備える全固体二次電池10は、正極12及び負極14並びにセラミックスの焼成体である固体電解質16を備えるセル20を備えている。電池システム100は、1個のセル20を備えるものであってもよいし、複数個のセル20を備えるものであってもよい。
本発明の電池システム100が備える全固体二次電池10は、正極12及び負極14並びにセラミックスの焼成体である固体電解質16を備えるセル20を備えている。電池システム100は、1個のセル20を備えるものであってもよいし、複数個のセル20を備えるものであってもよい。
正極12及び負極14の各活物質としては、従来公知の活物質を利用できる。例えば、正極12及び負極14につき、それぞれ、リン酸化合物からなる電極活物質材料を用いることができる。こうした電極活物質材料としては、ナシコン型材料を用いることができ、特に、LVP:LimV2(PO4)3を用いることが好ましい。ここで、mは1≦m≦5である。また、正極12に用いるリン酸化合物からなる正活物質材料として、オリビン型材料を用いることができ、特に、LNP:LiNiPO4、LCP:LiCoPO4、LFP:LiFePO4のいずれかを用いることが好ましい。
また、本実施の形態においては、リン酸化合物からなる固体電解質材料と電極活物質材料として、共に加熱焼成した後にナシコン型である材料を用いることができる。この場合、固体電解質材料がLAGP:Li1+xAlxGe2-x(PO4)3、電極活物質材料が正極及び負極共にLVP:LimV2(PO4)3であるシンメトリ構造を用いることが好ましい。ここで、xは0≦x≦1であり、更に好ましくは0.3≦x≦0.7、mは1≦m≦5である。
固体電解質16は、特に限定しないで、従来から公知の固体電解質を用いることができる。例えば可動イオンとしてのリチウムを含むものを好適に用いることができ、Li3PO4をはじめ、Li3PO4に窒素を混ぜたLiPON、Li2S−SiS2、Li2S−P2S5、Li2S−B2S3等のリチウムイオン伝導性ガラス状固体電解質や、これらのガラスにLiI等のハロゲン化リチウム、Li3PO4等のリチウム酸素酸塩をドープしたリチウムイオン伝導性固体電解質等を挙げることができる。なかでも、リチウムとチタンと酸素を含むチタン酸化物型の固体電解質、例えばLixLayTiO3(但し、xは0≦x≦1、yは0≦y≦1)及びナシコン型のリン酸化合物、例えばLi1+xAlxGe2-x(PO4)3やLi1+xAlxTi2-x(PO4)3(但し、xは0≦x≦1)等は酸素雰囲気下での焼成においても安定な性能を示すため好ましい。
正極12及び負極14は、固体電解質16を構成する多数の粉末粒子が焼結によってつながって、その表面から内部にかけて三次元的に連通する多数の細孔が形成された多孔体の形態となっており、さらに、この多孔体の多数の細孔に電極活物質16が充填されたような形態になっていることが好ましい。この固体電解質16を構成する多数の粉末粒子が焼結によってつながって構成される多孔体のことを「電解質ネットワーク」とも記す。
正極12及び負極14の厚みは、特に制限はないが、好ましくは5μm〜1mm、さらに好ましくは5μm〜500μmである。また、固体電解質16の厚みは、特に制限はないが、好ましくは5μm〜1mm、さらに好ましくは5μm〜100μmである。
固体電解質16に正極12及び負極14を形成する方法としては、正極12を構成するための第1ペーストと、負極14を構成するための第2ペーストとを固体電解質(焼成体)14にスクリーン印刷法等で印刷して正極12及び負極14となる電極パターンを形成する方法が挙げられる。
第1ペースト及び第2ペーストは、既に説明した電極活物質材料の粉末と、固体電解質材料の粉末に、有機溶剤に溶解したバインダを適量投入し、混練して調製することができる。そして、固体電解質(焼成体)16に印刷形成された第1ペースト及び第2ペーストによる電極パターンを、固体電解質16を作製する際の温度よりも低い温度にて焼成することによって、正極12及び負極14を形成することができる。このとき、正極12及び負極14は、多孔体の多数の細孔に電極活物質16が充填されたような形態となる。特に、本実施の形態では、加圧した状態で加熱焼成することによって、正極12及び負極14とする。これにより、加圧しない場合と比して内部抵抗が1桁低下することとなる。さらに詳細には、活物質と電解質の界面における抵抗(界面電荷移動抵抗)部分の値では約2桁も低下した。これは、加圧しながら加熱焼成することで、正極12及び負極14の緻密化が促進された結果、活物質粒子の表面積がより有効に活用され、活物質と電解質との界面面積がさらに拡大したものと考えられる。
また、加圧しながら加熱焼成する方法としては、以下の方法が挙げられる。すなわち、固体電解質16に第1ペースト及び第2ペーストが形成された電池前駆体を、高温と等方的な圧力を混合物に同時に加えながら熱処理を行う方法(HIP:Hot Isostatic Pressing)や、ホットプレス用金型に電池前駆体を収容し、上方からパンチで加圧しながら金型ごと熱処理する方法(ホットプレス法)等がある。HIPによる方法は、例えばアルゴン等のガスを圧力媒体として用いることで電池前駆体に対して等方的な圧力を加えることができるため、好ましく採用される。
なお、固体電解質16に形成される正極12、負極14を共に電極活物質と固体電解質12とを混合したセラミックスとして構成した例を示したが、これに限定するものではない。例えば、負極14を金属LiやLi合金等の金属膜22によって構成するようにしてもよい。
そして、本実施の形態において、正極12及び負極14は、これらに添加される固体電解質材料が非晶質ポリアニオン化合物であり、且つ、加熱焼成して構成されていてもよい。また、正極12及び負極14は、これらに添加される固体電解質材料が非晶質リン酸化合物であり、且つ、加熱焼成して構成されていてもよい。リン酸化合物からなる固体電解質材料は、加熱焼成した後にナシコン型である材料を用いることができ、特に、LAGP:Li1+xAlxGe2-x(PO4)3あるいは、LATP:Li1+xAlxTi2-x(PO4)3を用いることが好ましい。ここで、xは0≦x≦1である。
正極12、負極14及び固体電解質16で構成されるセル20は、各種形態を採ることができ、特に限定されない。
全固体二次電池10は、セル20の積層構造を備えていることが好ましい。典型的には、図1に例示するような、少なくとも積層方向に複数個のセル20を備える積層体とすることができる。全固体二次電池10における温度の分布を考慮すると、積層体の厚みとしては10mm以下程度であることが好ましい。なお、図示しないが、全固体二次電池10は、適宜集電体を備えることができる。
(温度緩衝手段)
本発明の電池システム100は、全固体二次電池の温度緩衝手段40を備えている。温度緩衝手段40は、全固体二次電池10が配置される環境下の温度(環境温度)の変動による全固体二次電池10の温度の変動や分布の不均一化を抑制し、それにより全固体二次電池10の出力特性の変動を抑制して出力特性の安定化及び向上を図ることができる。また、温度緩衝手段40を備えることで、環境温度が全固体二次電池10の作動温度上限近傍又は耐熱温度近傍であったとしても、全固体二次電池10が直ちに環境温度に到達するわけではないので、全固体二次電池10の少なくとも冷却システムの作動を抑制し又は回避することができる。
本発明の電池システム100は、全固体二次電池の温度緩衝手段40を備えている。温度緩衝手段40は、全固体二次電池10が配置される環境下の温度(環境温度)の変動による全固体二次電池10の温度の変動や分布の不均一化を抑制し、それにより全固体二次電池10の出力特性の変動を抑制して出力特性の安定化及び向上を図ることができる。また、温度緩衝手段40を備えることで、環境温度が全固体二次電池10の作動温度上限近傍又は耐熱温度近傍であったとしても、全固体二次電池10が直ちに環境温度に到達するわけではないので、全固体二次電池10の少なくとも冷却システムの作動を抑制し又は回避することができる。
温度緩衝手段40は、全固体二次電池10の温度の変動や分布の不均一化を抑制するのに有効な温度緩衝能は発揮できる範囲で各種態様を採ることができる。通常、全固体二次電池10の少なくとも一部を被覆しあるいは全体を収納又は囲繞する形態を採ることができる。例えば、積層型の全固体二次電池10の場合には、面積の大きい平面部分を主として被覆するような形態を採ることができる。また、全固体二次電池10のほぼ全体を包囲するような形態を採ることができる。実質的に全体を包囲する形態を採ることで、全固体二次電池10の全体において温度変動や分布の温度不均一等を効果的に抑制できる。温度緩衝手段40は、典型的には、図1に示すように、全固体二次電池10の全体を収納して包囲する形態を採ることができる。このような外装形態は、適宜開閉可能な容器状であってもよいし、封止状であってもよい。
なお、全固体二次電池10の一部において、温度緩衝能の発揮すべき箇所がある場合には、当該の一部を含む領域にのみ温度緩衝手段40を備えていてもよい。このような場合とは、例えば、全固体二次電池10が配置される環境下において、特定の一部が温度変動に暴露される等の事情がある場合が挙げられる。
温度緩衝手段40は、全固体二次電池10の表面を、温度変動の可能性のある電池外雰囲気から遮断するように備えられることが好ましい。例えば、図1に示すように、全固体二次電池10の表面と温度緩衝手段40の間に環境温度の熱を伝導するような媒体(ガス等)の浸入を抑制又は回避できるようが密封構造を備えることができる。
なお、密封構造は、温度緩衝能のために有効な程度の密封状態を形成できるものであればよく、完全なガス密状態を必ずしも要求するものではない。密封構造の形成は、温度緩衝手段40に用いる材料の種類にもよるが、適当なシール材を介したネジ等による機械的な固定手段を用いてもよいし、接着剤による接着、樹脂溶着、金属の溶融等などを用いてもよい。樹脂などで全体を囲繞又は封止するものであってもよい。
また、温度緩衝手段40が全固体二次電池10の外表面に密着している必要はなく、空隙を有していてもよい。空隙は、温度緩衝能を妨げないもものであることが好ましく、当該緩衝能を妨げない範囲で空気のほか、Ar、N2などの不活性ガスなどの媒体が充填されていてもよい。また、空隙には、温度緩衝能を最適化するために異種の温度緩衝手段40などをさらに充填することもできる。
温度緩衝手段40が有することが好ましい温度緩衝能は、全固体二次電池10が晒される環境温度によっても異なるが、全固体二次電池10においては、環境温度範囲において、単位電流密度あたりの端子間電圧の変動幅が200Ωcm2以下であることが好ましく、より好ましくは同変動幅が150Ωcm2以下であり、さらに好ましくは、同変動幅が100Ωcm2以下である。なお、かかる端子間電圧は、交流インピーダンス法で測定することができる。
温度緩衝手段40は、全体として一定範囲の熱容量を備えることになるが、電池システムの構成上、温度緩衝手段40は、例えば、20℃における比熱が、1J/g・K以上である材料を用いることが好ましい。温度緩衝手段40の材料が当該比熱以上であると、少ない質量で全固体二次電池10おいて可能性ある環境温度範囲あるいは加温範囲において、固体電解質16の温度変動を抑制して安定した出力特性は発揮させることができる。また、当該材料は、20℃における比熱が3J/g・K以下であることが好ましい。当該数値を超えると、加温によって全固体二次電池10の出力特性の向上させることがしにくくなるからである。より好ましくは、2.5J/g・K以下であり、さらに好ましくは2J/g・K以下である。
20℃における比熱は、DSC(示差走査熱量測定)法によって測定することができる。DSC(示差走査熱量測定)法による測定にあたっては、例えば、20℃から60℃の条件を採用することが好ましい。
温度緩衝手段40は、全固体二次電池10の作動温度において十分な耐熱性を備えていることが好ましい。
このような温度緩衝手段40のための材料としては、例えば、各種樹脂を用いることができる。樹脂は、常温近傍における比熱がおおよそ1〜2程度であるからである。例えば、こうした樹脂としてはABS樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルホン、ポリエチレンテレフタレート、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、四フッ化エチレン、ポリ塩化ビニル、シリコーン樹脂が挙げられる。また、天然ゴム、EPDMゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴムのゴムが挙げられる。なかでも、耐熱性等の観点から、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、四フッ化エチレン等を好ましく用いることができる。樹脂は、1種を用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
温度緩衝手段40のための材料としては、上記した樹脂に金属、セラミックス、ガラス等の無機材料との複合材料を用いることもできる。これらは、一般に、樹脂よりも比熱が小さいが、比熱の他、強度、耐熱性、熱伝導性の調節のために樹脂と混合して用いることができる。複合形態としては、ラミネートフィルムなどの積層体であってもよいし、樹脂マトリックス中にフィラーとして無機材料を含んでいてもよい。金属としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル等が挙げられる。また、セラミックスとしては、アルミナ、フォルステライト、ステアタイト等が挙げられる。複合化のための樹脂としては、特に限定しないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンなどが用いられる。
(加温手段)
本発明の電池システム100は、温度緩衝手段40を介して全固体二次電池10を加温する手段60を備えることができる。電池システム100は、後述するように、通常、駆動手段や発電手段等の熱源の近傍に配置されることが多いため、これら熱源からの排熱、太陽熱等などによって加熱された雰囲気に暴露されるため、これらの熱もそのまま特に積極的に全固体二次電池10に供給するようにしなくともある程度加温されることも多い。しかしながら、全固体二次電池10を積極的に加温することで、高い出力を安定して呈することができるようになる。
本発明の電池システム100は、温度緩衝手段40を介して全固体二次電池10を加温する手段60を備えることができる。電池システム100は、後述するように、通常、駆動手段や発電手段等の熱源の近傍に配置されることが多いため、これら熱源からの排熱、太陽熱等などによって加熱された雰囲気に暴露されるため、これらの熱もそのまま特に積極的に全固体二次電池10に供給するようにしなくともある程度加温されることも多い。しかしながら、全固体二次電池10を積極的に加温することで、高い出力を安定して呈することができるようになる。
加温手段60は、上記のとおり、全固体二次電池10を積極的に加温する手段である。かかる加温手段60としては、全固体二次電池10のための熱源を備えるものであってもよいが、電池システム100が配置される環境下で受容可能な外熱を利用して前記全固体二次電池を加温する手段とすることができる。かかる外熱の熱源は、本発明の電池システム100を適用する装置あるいはその一部にある各種熱源や太陽光であってもよい。熱源としては、例えば、エンジン、モーターなどの駆動装置や及び各種インバーター等とすることができる。
加温手段60は各種形態を採ることができ、特に限定されない。例えば、図1に示すように、熱源からの排熱を含んだ空気等のガスや液体などの良熱伝導性の媒体が供給されるキャビティ80を設け、このキャビティ80の内部あるいはこれらの外部近傍にキャビティ80内の媒体の熱を伝達可能に電池システム100を配置するようにすることができる。
キャビティ80は、良熱伝導性の媒体が通過、循環又は少なくとも一時的に貯留される流路や貯留部などの形態を採ることができる。
キャビティ80は、良熱伝導性の媒体が通過、循環又は少なくとも一時的に貯留される流路や貯留部などの形態を採ることができる。
加温手段60の熱は、温度緩衝手段40を介して全固体二次電池10に供給される。熱は、温度緩衝手段40で緩衝されるため、加温手段60の温度制御の精度が高くなく意図しない低い温度あるいは高い温度のガス等が供給されても全固体二次電池10の温度には大きな影響を及ぼさない。また、一旦、温度緩衝手段40が加温されれば、安定して全固体二次電池10を加温することができる。本発明の電池システム100では、温度緩衝手段40を採用した上で、システム外の熱源の排熱を用いた加温手段60を採用することで、短時間で最適温度に加熱するのでなく徐加熱によって熱伝達構造や温度制御機構を複雑化せずに排熱を有効利用できるようになっている。このため、温度緩衝手段40を備えることは一見非効率的に見えるが、結果的には効率的な利用が可能となっている。
(電池システムを搭載した車両)
本発明の車両は、本発明の電池システム100を搭載している。車両においては、多くの熱源が存在するため、これらの熱源からの排熱を利用することで、全固体二次電池10の出力特性を簡易な構成で向上させることができる。熱源としては、エンジン、モーター等の他、インバーターを利用できる。熱源からの排熱の利用形態は、特に限定しないが、こうした熱源からの排熱を、温度緩衝手段40を介して全固体二次電池10に供給する加温手段60とすることが好ましい。加温手段60の形態は、既に説明したように、熱源からの熱を伝達する媒体が通過等するキャビティ80等が利用できるが、車両における熱源、熱分布状況及び電池システム100の設置スペース等を考慮して適宜決定される。
本発明の車両は、本発明の電池システム100を搭載している。車両においては、多くの熱源が存在するため、これらの熱源からの排熱を利用することで、全固体二次電池10の出力特性を簡易な構成で向上させることができる。熱源としては、エンジン、モーター等の他、インバーターを利用できる。熱源からの排熱の利用形態は、特に限定しないが、こうした熱源からの排熱を、温度緩衝手段40を介して全固体二次電池10に供給する加温手段60とすることが好ましい。加温手段60の形態は、既に説明したように、熱源からの熱を伝達する媒体が通過等するキャビティ80等が利用できるが、車両における熱源、熱分布状況及び電池システム100の設置スペース等を考慮して適宜決定される。
本実施例では、固体電解質材料と電極活物質材料として共にナシコン型リン酸化合物を用いた。具体的には、以下の通りである。
固体電解質材料:LAGP:Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3
電極活物質材料:LVP:Li3V2(PO4)3
固体電解質材料:LAGP:Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3
電極活物質材料:LVP:Li3V2(PO4)3
[結晶粉末の調製]
先ず、Li2CO3、GeO2、Al2O3及びNH4H2(PO4)3の粉末を化学量論組成で混合し、大気中、900℃で焼成する固相合成法により、固体電解質材料「Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3」(LAGP)の結晶粉末(以下、LAGP結晶粉末を記す)を得た。
先ず、Li2CO3、GeO2、Al2O3及びNH4H2(PO4)3の粉末を化学量論組成で混合し、大気中、900℃で焼成する固相合成法により、固体電解質材料「Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3」(LAGP)の結晶粉末(以下、LAGP結晶粉末を記す)を得た。
また、Li2CO3、V2O3及びNH4H2(PO4)3の粉末を化学量論組成で混合し、Ar気流中、930℃で焼成する固相合成法により、正極(負極)活物質「Li3V2(PO4)3」(LVP)の結晶粉末(以下、LVP結晶粉末を記す)を得た。
[固体電解質焼成体の作製]
上述のようにして得られたLAGP結晶粉末を金型プレス成形により直径16mm、厚み約1mmの圧粉ペレットに成形した。プレスの成形圧力は500kg/cm2で行った。このペレットを大気雰囲気中840℃にて焼成して、LAGPの固体電解質焼成体ペレットを得た。
上述のようにして得られたLAGP結晶粉末を金型プレス成形により直径16mm、厚み約1mmの圧粉ペレットに成形した。プレスの成形圧力は500kg/cm2で行った。このペレットを大気雰囲気中840℃にて焼成して、LAGPの固体電解質焼成体ペレットを得た。
[ガラス粉末の調製(LAGP固体電解質のガラス化)]
固相法により得たLAGP結晶粉末をPt坩堝に入れ、1200℃に加熱した大気炉中に投入。1時間保持した後に取り出し氷水により急冷しガラス化したLAGPを得た。これを乳鉢、及びボールミル等で粉砕し、微粒化したLAGPガラス粉末を得た。
固相法により得たLAGP結晶粉末をPt坩堝に入れ、1200℃に加熱した大気炉中に投入。1時間保持した後に取り出し氷水により急冷しガラス化したLAGPを得た。これを乳鉢、及びボールミル等で粉砕し、微粒化したLAGPガラス粉末を得た。
[全固体電池の作製]
LAGPガラス粉末と、LVP結晶粉末に、有機溶剤に溶解したバインダを適量投入し乳鉢で混練してスクリーン印刷用の電極ペーストとした。基体となる直径13mm、厚み1mmの固体電解質焼成体の両面に、上述のように調製した電極ペーストを用いて直径12mmの電極パターンを印刷・乾燥して、正極及び負極の電極を形成して電池前駆体とした。
LAGPガラス粉末と、LVP結晶粉末に、有機溶剤に溶解したバインダを適量投入し乳鉢で混練してスクリーン印刷用の電極ペーストとした。基体となる直径13mm、厚み1mmの固体電解質焼成体の両面に、上述のように調製した電極ペーストを用いて直径12mmの電極パターンを印刷・乾燥して、正極及び負極の電極を形成して電池前駆体とした。
次に、Ar雰囲気の焼成炉により600℃で40Hr焼成し電極を固体電解質基体の両面に焼付を行った。特に、この実施例1では、ホットプレス用金型に電池前駆体を収容し、電池前駆体を固体電解質基体の厚み方向にプレス加圧(荷重1500kg/cm2)しながらホットプレス用金型ごと熱処理を行って、電極を固体電解質基体の両面に焼き付けた。焼成後の正極電極膜厚は約30μmで、約4mgの活物質量であった。
本実施例では、作製した全固体二次電池を以下に示す3種類の外装材で密封し、恒温槽に投入して、10分程度当初温度(150℃)で保持した後、各温度(50℃、100℃、150℃)に変化させ、各温度での抵抗を交流インピーダンス法で測定した。なお、各外装材の質量は同一とした。結果を表1及び図2に示す。
(実施例1)アルミラミネートフィルム(アルミニウムとPETとのラミネートフィルム、比熱:1.8J/g・K)
(実施例2)エポキシ樹脂(比熱:1.1J/g・K)
(比較例1)ステンレス鋼(比熱::0.5J/g・K)
(実施例1)アルミラミネートフィルム(アルミニウムとPETとのラミネートフィルム、比熱:1.8J/g・K)
(実施例2)エポキシ樹脂(比熱:1.1J/g・K)
(比較例1)ステンレス鋼(比熱::0.5J/g・K)
表1及び図2に示すように、いずれの実施例も比較例に比べて抵抗値の変動が小さかった。すなわち、実施例1及び実施例2では、温度変化100℃に対して、抵抗値の変動は100Ωcm2以下であった。これに対して比較例1では、300Ωcm2を超えていた。以上のことから、外装材の比熱を調整することで良好な出力特性を安定して得られることがわかった。
10 全固体二次電池、12 正極、14 負極、16 固体電解質、20 セル、40 温度緩衝手段、60 加温手段、100 電池システム
Claims (8)
- 全固体二次電池と、
前記全固体二次電池の温度を緩衝する温度緩衝手段と、
を備える、電池システム。 - 前記温度緩衝手段は、比熱(J/g・K)が1以上3以下の材料を含む、請求項1に記載の電池システム。
- 前記温度緩衝手段は、樹脂又は樹脂と無機材料との複合材料を含む、請求項1又は2に記載の電池システム。
- さらに、前記全固体二次電池を前記温度緩衝手段を介して加温する加温手段、
を備える、請求項1〜3のいずれかに記載の電池システム。 - 前記加温手段は、前記電池システムが配置される環境下で受容可能な外熱を利用して前記全固体二次電池を加温する手段である、請求項4に記載の電池システム。
- 前記加温手段は、エンジン、モーター及びインバーターから選択される熱源の排熱を利用する手段である、請求項4又は5に記載の電池システム。
- 自動車搭載用である、請求項1〜6のいずれかに記載の電池システム。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の電池システムを搭載した車両。
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-
2009
- 2009-03-10 JP JP2009056387A patent/JP2010212062A/ja active Pending
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