JP2019220250A - 全固体型電池の製造方法及び全固体型電池 - Google Patents

全固体型電池の製造方法及び全固体型電池 Download PDF

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Abstract

【課題】正極と負極とで異種電極材料の組み合わせを可能にする全固体型電池の製造方法を提供する。【解決手段】正極活物質と固体電解質及び導電助剤から成る正極側コンポジット電極材料4と無機固体電解質2並びに負極活物質と固体電解質及び導電助剤から成る負極コンポジット電極材料1と無機固体電解質2とをそれぞれに適した焼結条件で別々に焼結させて正極側ペレット5と負極側ペレット3とを成形する工程と、正極側ペレット5の固体電解質2と負極側ペレット3の固体電解質2との間に無機系接着剤6を挟んで、加圧下に無機系接着剤6の溶融温度以上でかつ溶融温度が低い方の電極活物質が印加圧力の下で融解が起こる温度未満の温度で加熱することにより正極側ペレット5と負極側ペレット3とを接合して一体化する工程とを備えるようにしている。【選択図】図1

Description

本発明は、正極材料と負極材料と固体電解質材料の全てが固体・粉体から構成される全固体型電池の製造方法及び全固体型電池に関する。さらに詳述すると、本発明は、焼結によりバルク型電池を構成する全固体型電池の製造方法及び全固体型電池に関するものである。
従来のバルク型全固体型電池は、正極材料と負極材料及びそれらの間に介在される電解質材料の全てが固体・粉体から構成され、それらを順次積層させて焼結により一挙に固めて電池として機能させるようにしている。焼結に際しては、電極材料には、電極材料としての機能を失うことがなく、かつ緻密になり易い電極材料固有の温度並びに圧力の焼結条件が存在し、条件を満たすときには粉体粒子が溶けずにしっかりと接着されるが、その条件を超えた圧力と加熱下では粉体粒子が溶けてしまったり、電極材料として機能しなくなるし、条件に満たない圧力と加熱下には緻密に固まらず、電池として機能しないこととなる。そこで、従来の全固体形電池は、正極としても負極としても機能する電極材料例えばNVP(Na(PO)を使用することにより、正極材料と負極材料との焼結条件を両立させるようにしている。例えば、NVP(Na(PO)から成る正極と負極並びにNZSP(NaZr(SiOPO)の固体電解質とで構成され、ホットプレス焼成あるいはスパークプラズマシンタリング焼結プラズマ法(SPS:Spark Plasma Sintering)によって900℃で加熱されながら加圧成形されている(非特許文献1)。
F. Lalere, J.B. Leriche, M. Courty, S. Boulineau, V. Viallet, C. Masquelier, V. Seznec, J. Power Sources, 247, 975-980, 2014.
しかしながら、正極と負極に同じ電極材料を用いた全固体型電池では、エネルギー密度を上げることができずに低いエネルギー密度となってしまう問題がある(図8参照)。一度の充電で長時間使えるようにするには、より高いエネルギー密度とすることが望まれる。そこで、電池の性能改善のため、正極と負極とで異なる材料の組み合わせが望まれるが、一挙に焼結することにより全固体電池を製作する従来の製法では、粉体粒子が溶けてしまったり、あるいは粉体粒子が緻密に固まらず、電池として機能しなくなる虞があり、異種電極材料の組み合わせは困難である。
本発明は、かかる要望に応えるものであり、正極と負極とで異種電極材料の組み合わせを可能にする全固体型電池の製造方法及び全固体型電池を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するための全固体型電池の製造方法は、正極活物質と固体電解質及び導電助剤から成る正極側コンポジット電極材料と無機固体電解質並びに負極活物質と固体電解質及び導電助剤から成る負極コンポジット電極材料と無機固体電解質とをそれぞれに適した焼結条件で別々に焼結させて正極側ペレットと負極側ペレットとを成形する工程と、正極側ペレットの固体電解質と負極側ペレットの固体電解質との間に無機系接着剤を挟んで、加圧下に無機系接着剤の溶融温度以上でかつ溶融温度が低い方の電極活物質が印加圧力の下で融解が起こる温度未満の温度で加熱することにより正極側ペレットと負極側ペレットとを接合して一体化する工程とを備えるようにしている。
ここで、正極活物質と負極活物質とは異なる材料であることが好ましい。
また、無機系接着剤はホウ酸、メタホウ酸または酸化ホウ素のいずれかであることが好ましい。
さらに、正極活物質としてNCPP、固体電解質としてNZSP及び導電助剤としてCを含む正極コンポジット電極材料層と無機固体電解質層としてのNZSPとを500℃、255MPaで焼結して正極側ペレットを成形し、負極活物質としてNVP、固体電解質としてNZSP及び導電助剤としてCを含む負極コンポジット電極部材層と無機固体電解質層としてのNZSP層とを900℃、100MPaで焼結して負極側ペレットを成形し、正極側ペレットの固体電解質の面と負極側ペレットの固体電解質の面の間に無機系接着剤としてホウ酸、メタホウ酸または酸化ホウ素のいずれかを介在させ、500℃、50MPaで加圧しながら加熱することで、無機系接着剤を融解させて固体電解質同士を接合させることが好ましい。
さらには、本発明の全固体型電池の製造方法において、無機系接着剤はホウ酸水溶液として正極側ペレットの固定電解質と負極側ペレットの固体電解質との間に注入させることが好ましい。
また、本発明にかかる全固体型電池は、正極活物質と固体電解質及び導電助剤から成る正極側コンポジット電極材料と無機固体電解質とが焼結された正極側ペレットと、負極活物質と固体電解質及び導電助剤から成る負極コンポジット電極材料と無機固体電解質とが焼結された負極側ペレットと、前記正極側ペレットの固体電解質と前記負極側ペレットの固体電解質とが無機系接着剤で接合された、ことを特徴とするものである。
本発明の全固体型電池の製造方法によれば、正極側コンポジット電極材料と固体電解質との焼結体(正極側ペレット・正極層)と、負極側コンポジット電極材料と固体電解質との焼結体(負極側ペレット・負極層)とが別々に焼結される時点で所望の緻密な形態に成形され、それらを無機系接着剤で接合して一体化しているので、緻密な焼結体が得られる焼結条件が異なる電極材料を組み合わせて全固体電池が焼結により製作することができる。
本発明の全固体電池の製造方法の実施の一形態を示すフローチャート図である。 正極側コンポジット電極材料(NCPP+NZSP+C)、NCPP及びNZSPの加熱条件毎のX線回折パターンである。 本発明の全固体電池の製造方法によって製作された全固体電池の200℃、C/10の下の充放電曲線である。 (A)は同全固体電池の様々な電圧範囲およびC−レートの下の放電容量(mAh g-1)を示す図、(B)は相対放電容量(%)を示すレート特性およびサイクル特性の図である。 充放電テスト後の全固体電池における正極側コンポジット電極材料のX線回折パターンである。 放電プラズマ焼結の下の電極の熱安定性を示すグラフである。 正極側コンポジット電極材料(NCPP+NZSP+C)の加圧条件を変化させたときのX線回折パターンである。 従来の全固体電池の製法によって製作された、正極材と負極材とが同一電極材料で構成する全固体電池の性能を示す容量・電圧の充放電曲線およびレート特性・サイクル特性の図である。 (A)は従来の全固体電池の一製造方法によって、正極材と負極材とを異種電極材料で構成する全固体電池を製作するフローチャート図、(B)は同製法で製作された全固体電池の正極側を示す図、(C)は同製法で製作された全固体電池の負極側を示す図である。 図9の製法によって製作された、正極材と負極材とを異種電極材料で構成する全固体電池の充放電性能を示す容量・電圧の充放電曲線図である。
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1に本発明にかかる全固体電池の製造方法の一実施形態を示す。この全固体電池の製造方法は、負極材料1と固体電解質2とから成る負極側ペレット3並びに正極材料4と固体電解質2とから成る正極側ペレット5とを別々に成形してそれぞれに適した焼結条件で別々に焼結させる工程と、負極側ペレット3の固体電解質2と正極側ペレット5の固体電解質2との間に無機系接着剤6を挟んで、加圧下に無機系接着剤6の溶融温度以上でかつ溶融温度が低い方の電極活物質が印加圧力の下で融解が起こる温度未満の温度で加熱して無機系接着剤6を融解させて固体電解質2,2同士を接合させることにより負極側ペレット3と正極側ペレット5とを接合して一体化する工程とを備えるものである。
負極材料1は、例えば負極活物質と固体電解質及び導電助剤から成る負極側コンポジット電極材料として構成されている。そして、この負極材料の層(以下、負極側コンポジット電極層1と呼ぶ)と固体電解質2の層とが積層された2層の圧粉体に成形されてから焼結されて負極側ペレット3として一体化されている。また、正極材料4は、例えば正極活物質と固体電解質及び導電助剤から成る正極コンポジット電極材料として構成されている。そして、この正極材料の層(以下、正極側コンポジット電極層4と呼ぶ)と固体電解質2の層とが積層された2層の圧粉体に成形されてから焼結されて正極側ペレット5として一体化されている。
固体電解質は、固体電解質層2だけではなく電極層(コンポジッド電極層)1,4にも含まれ、電極活物質の粒子表面を覆いつつ当該電極活物質の粒子間に介在されている。そして固体電解質は、焼成によって結晶化することでイオン伝導度を発現する。本実施形態の全固体電池においては、正極側コンポジット電極材料及び負極側コンポジット電極材料のそれぞれに固体電解質及び導電助剤としての炭素が含有されている。このように、正極及び負極に固体電解質及び炭素が含有されていると、高出力であるとともに長寿命化することができる。これは、正極や負極を構成する活物質粒子間に固体電解質による三次元的なネットワークが形成されることで、正極活物質や負極活物質と固体電解質との接点となる界面の面積を飛躍的に拡大することが可能となり、その結果、界面電荷移動抵抗の大幅な低減を実現できるためであると推察される。
負極側ペレット3並びに正極側ペレット5は、それぞれの電極材料固有の緻密化に適した温度と圧力とで別々に焼結される。正極材料と負極側材料とをそれぞれ固有の緻密になり易い温度と圧力で焼結することで緻密化することが可能となる。そして、これら負極側ペレット3並びに正極側ペレット5との間に無機系接着剤6を挟んで加圧しながら加熱することで無機系接着剤を融解させて両ペレットの固体電解質同士を接合させ、イオン伝導性を確保して電池として機能させる構造を得る。
上述の製法によって製作される全固体電池は、異種電極材料から成る正極材料と負極材料とを組み合わせたものであり、かつ正極材料並びに負極材料の固有の緻密化される焼結条件で別々に焼結させた負極側ペレット3と正極側ペレット5とを、両ペレット3,5の固体電解質層2同士を無機系接着剤6によって接合することで電池として機能させるようにしたものである。したがって、電極材料(コンポジット電極材料)同士が無機系接着剤によって直接に接合されるものではない。依って、本発明の製法において、電極材料の選定や組み合わせには何ら制約を受けるものでもないし、また焼結の際の圧力や温度は電極材料固有の最適条件が存在するものであって、選択する電極材料によって適宜変更されることは言うまでもない。また、本実施形態にかかる全固体電池は、異種電極材料から成る正極材料と負極材料とを組み合わせたものであるが、これに特に限定されるものではなく、同じ熱的安定性の電極活物質、即ち同じ電極材を採用する場合にも本発明の製法は適用できることはいうまでもない。
本実施形態では、全固体ナトリウム電池の例を挙げて全固体型電池の製造方法をさらに詳細に説明する。尚、本実施形態では、例えば放電プラズマ焼結(SPS:Spark Plasma Sintering)装置を利用して負極側ペレット3及び正極側ペレット5の焼結並びに負極側ペレット3と正極側ペレット5との接合を行う例を挙げて主に説明する。放電プラズマ焼結は、ホットプレス焼結(HP)と同じ、固体圧縮焼結法の一種であり、粉体あるいは固体を充填したグラファイト(黒鉛)製焼結型を、加圧しながら加熱する。急速昇温・冷却が可能であり、加圧並びに急速昇温により、粒成長を抑制した緻密な焼結体の作成が期待できる。
ここで、全固体ナトリウム電池は、例えば正極活物質としてはNaCo(PO(P)(以下、NCPPと呼ぶ)、負極活物質としてはNa(PO(以下、NVPと呼ぶ)、固体電解質としてはNaZr(SiOPO(以下、NZSPと呼ぶ)の採用が好ましい。そして、これら正極部材と負極部材とは、各々電極活物質と固体電解質と導電助剤としてのカーボン(C)との合成物・複合材即ちコンポジット電極部材として構成することが好ましい。具体的には、正極側コンポジッド電極部材としては、例えばNCPPとNZSPとCとの合成物であり、負極側コンポジッド電極部材としては、例えばNVPとNZSPとCとの合成物である。
また、無機固体電解質としては、特定の結晶構造や材質には限定されないものであるが、例えばリチウムイオン系無機固体電解質、ナトリウムイオン系無機固体電解質と限らずに、NASICON結晶やガーネット型結晶構造、LISICON型結晶構造が挙げられる。なかでもナトリウムイオン伝導性に優れるNASICON結晶の使用が好ましい。NASICON結晶としては、例えば、NaZr(SiOPO、Na+xZrSixP−xO12(但し、x=0〜3)などが挙げられる。NASICON結晶以外のナトリウムイオン系無機固体電解質としてNa(B12120.5(B10100.5、Na11SnPS12、Na+5xP−xS(但し、x=0〜3)などが挙げられるが、好ましくはNaZr(SiOPO(以下、NZSPと呼ぶ)の採用である。勿論、固体電解質はNZSPに限られない。ホウ素と反応する固体電解質としては、例えば、ガーネット型結晶構造やリシコン型結晶構造が知られているし、ホウ素酸化物の非晶質化(ガラス化)が起こることによって接着力が得られる場合には、全ての固体電解質で適用可能と考えられる。本実施形態の正極材料と負極材料並びに固体電解質は好適な一例を示すものであって、特にこれらの組み合わせに限定されるものではない。
尚、負極側コンポジッド電極材料1並びに正極側コンポジッド電極材料4の電極活物質と固体電解質と導電性カーボンとの混合比率は、特定の比率に限定されるものではないが、例えば、電極活物質:固体電解質:炭素=20〜70:75〜20:5〜15wt%であることが好ましい。この数値の範囲は、全固体電池の分野では、経験的に期待した性能が得られるものとして一般的な数値であり、例えば、電極活物質を例に挙げると、20wt%よりも小さい値になっても、また70wt%よりも大きな値となっても、期待している性能(ここでは、容量)よりも低下するものと考えられる。即ち、電極活物質の割合が20wt%よりも少なくなると、単位質量当りのエネルギー密度特性や出力密度特性の観点から、電池特性が低下する傾向にある。また、導電助剤は、コンポジット電極部材の粉体のうち、5〜15 wt%、好ましくは15 wt%含有させることである。導電助剤の含有量が少なすぎると、電極合材の高容量化やハイレート化の達成が困難になる傾向がある。他方、導電助剤の含有量が多すぎると、電極合材の単位質量あたりの活物質量が減少するため、充放電容量が低下する傾向がある。また、焼結が阻害されることにより、イオン電導パスが切断され、充放電容量が低下したり放電電圧が低下する傾向がある。一方、70wt%よりも活物質の割合が大きな値となると、電極層内の固体電解質によるネットワークが途切れる場合がある。そこで、正負極の各コンポジッド電極材料は、上述の混合比率の範囲内で適宜調整される。例えば、本実施形態では、正極側コンポジッド電極材料は、NCPP:NZSP:C=25:60:15wt.%、負極側コンポジッド電極材料は、NVP:NZSP:C=25:60:15wt.%で混合されている。
そして、各コンポジッド電極材料と固体電解質とが、各電極材料固有の緻密な焼結体を得るに適した温度と圧力で焼結させられて、緻密な電極材料のペレット3,5が得られる。例えば、NCPPを正極活物質として用いるコンポジット電極材料の正極側ペレット3の場合は500℃、255Mpaの焼結であり、NVPを負極活物質として用いてるコンポジット電極材料の負極側ペレット5の場合は900℃、100MPaの焼結である。尚、本実施形態において、正極の焼結の際に印加する圧力(255Mpa)は、使用装置の加圧能力の最大限の圧力を加えるようにしたものであって、必ずしもこれに特に限られものではなく、より高い圧力をかけるようにしても良いし、場合にはよっては低い圧力でも良い。上述の焼結条件はあくまで一例であって、特に限定されるものでない。例えば、NCPPコンポジット電極材料(正極)と無機固体電解質との焼結条件は、255MPaにおける加熱温度の上限が500℃ということであって、500℃未満であっても焼結体を得ることができる。例えば、正極材料としてNaCo15を用いた実験では、4kN、450℃の放電プラズマ焼結でも正極は安定であった(図6参照)。他方、放電プラズマ焼結における温度を500℃で固定して加圧力を切り替えてXRDパターンの変化を確認する実験を行った結果、使用した装置限界加圧力の20kN(255MPa)まではX線回折ピークが消失せず安定だったことが確認できた(図7参照)。つまり、正極を作製するときには、圧力を上げるだけでは不十分であり、融解を起こさない範囲の温度でかつ可能な限り高温例えば500℃にしないと、緻密にはならなかった。500℃は正極をつくる上限値の好ましい値の1つとなる。しかし、これに特に限られるものではなく、500℃に達するまでの温度でも実施可能である。このことは負極においても同様である。
上述したように、電極材料固有の適した温度と圧力で焼結すると、無加圧条件下で焼成した場合に比して緻密な焼結体を得ることが可能となる。このため、固体電解質と電極活物質間の界面が良好な状態で形成されるとともに、コンポジット電極材料内の固体電解質同士あるいはコンポジット電極材料内の固定電解質とコンポジット電極材料と隣接する無機固体電解質層との間の粒子間がより緻密化され、より内部抵抗の低い全固体電池を形成することが可能となる。
次いで、別々に最適条件で焼結させられた負極側ペレット3の固体電解質2と正極側ペレット5の固体電解質2との間に無機系接着剤6を挟んで、加圧下に無機系接着剤6の融点以上の温度でかつ溶融温度が低い方の電極活物質を含む電極材料例えば正極材料の融点未満の温度で加熱して接合することにより一体化される。
ここで、無機系接着剤6としては、融点が低い方の電極材料例えば正極材料よりもさらに低い温度で溶けて固体電解質同士の接合ができるもの、例えばホウ酸((HBO)またはB(OH))、メタホウ酸(HBO)、酸化ホウ素(B)、四ホウ酸ナトリウム+水和物(10水塩ほう砂とも呼ばれる。Na−10HO)、三フッ化ホウ素(BF)などが使用可能である。なかでも、無機系接着剤6としては、ホウ酸、メタホウ酸または酸化ホウ素のいずれかの形態での使用が好ましく、より好ましくはホウ酸水溶液としての使用である。尚、実験時には、無機系接着剤としてBを用いることを試みた。ところが、試薬瓶からその粉末を取り出して、X線回折測定を行った結果、Bとしてではなく、HBOのα相とβ相の混合物が主成分として存在し、ほんの少しB(OH)3が入っていた状態であった。これは、保管中に空気中の水と反応して、Bとして残っていなかったものと思われる。つまり、酸化ホウ素(B)は水に溶解して容易にメタホウ酸、ホウ酸と変化するものであり、他方、ホウ酸(融点169℃)は加熱により水分を失い、脱水素化していき、HBO(融点300℃)を経てB2O3(融点480℃)へと変化していくものである。したがって、ホウ酸、メタホウ酸または酸化ホウ素のいずれの形態で使用しても、固体電解質と反応するときのホウ素の化学形態はおそらくBであるだろうと推測される。
無機系接着剤6は粉体のまま使用しても良いが、水に溶け易い材の場合には水に溶かして有機系接着剤と同じように取り扱うことが好ましい。例えば、無機系接着剤としてホウ酸、メタホウ酸または酸化ホウ素のいずれかを使用する場合には、水に溶かしてホウ酸水溶液とすることができるので、これを各固体電解質の面に塗布することにより、あるいは負極側ペレット3並びに正極側ペレット5の各固体電解質の間に注入することにより、有機溶媒のような使い勝手で均一に分散配置させることができる。その後100℃で乾燥させて水分を蒸発させることで薄く均一なホウ酸の粉体の膜を容易に形成することができる。即ち、水に溶かした無機系接着剤を流し込み、あるいは各固体電解質の面に塗布することによ、均一に分散させることができる。
正負極の固体電解質の接合に必要な無機系接着剤の添加量は、両ペレットの接合に必要十分な適量であることが望まれる。例えば、固体電解質のほぼ全面に薄く均一に分散される程度の量であり、1.27mg/cm〜12.74mg/cm(換言すれば1〜10 mg/層)とすることが好ましい。
正極側ペレットの固体電解質層と負極側ペレットの固体電解質層とは、融点が低い方の電極材料例えば正極側電極材料が溶けたり、電池性能を失うことがない範囲で加熱しながら加圧するだけでは互いに接合されない。つまり、焼結後の正極側ペレットと負極側ペレットとの間では、無機系接着剤の存在なしには、接合できない。また、正極側ペレットの固体電解質層と負極側ペレットの固体電解質層との間に無機系接着剤を挟んでこの無機系接着剤が融解するように加熱するだけでも接合されなかった。融点が低い方の電極材料例えば正極側電極材料よりも低い温度で無機系接着剤を加熱して融解させると共に圧力をかけることが必要である。例えば、無機系接着剤としてホウ酸、メタホウ酸または酸化ホウ素のいずれかを用いる場合には、500℃に加熱しながら50MPaの圧力を加えることが好ましい。この場合に、融解した酸化ホウ素を介して負極側ペレットと正極側ペレットの無機固体電解質同士を接合することができた。
正極材料のX線回折を示す図2から明らかなように、圧力をかけない状態(大気圧下)で加熱する場合には、600℃まで加熱しても、正極材料(NCPP)と固体電解質(NZSP)との双方の組成由来の回折ピークが明確に出現しており、組成は安定していると認められる。しかしながら、圧力がかかると、譬え50MPa程度であっても、600℃の加熱で正極材料の組成由来のピークが消えて固体電解質の組成由来の回折ピークのみとなることが確認された。つまり、正極材料が溶けて消失し、電極として機能していないことが示唆されている。他方、50MPaの圧力をかけた状態でも、500℃では正極材料並びに固体電解質の双方の組成由来の回折ピークが明確に出現することが確認された。即ち、500℃、50MPaの条件下では、正極材料と固体電解質の双方において、組成は安定している。このことから、無機系接着剤による正極側ペレットと負極側ペレットとの固体電解質同士の接合は、正極材料が溶けない温度範囲で加圧させることによって実施可能であることが判明した。
ここで、上述の実施形態における加熱の上限値は、加圧条件下で正極側コンポジット電極材料が溶融する温度未満、例えば500℃である。加圧条件下では500℃までは、正極材料が安定であるが、550℃から電極材料の構造が壊れ始め、600℃で融解した。したがって、加圧条件下では500℃までが接合させるに適した条件となる。ただし、500℃のみに限定されるものではなく、酸化ホウ素の融点は480℃であり、しかも加圧によってさらに低い温度に低下するので、本実施形態では上限値が500℃までの温度範囲で実施可能であると理解されるべきである。
本発明者等の実験によれば、無機系接着剤6としてホウ酸を使用し、ホウ酸の融点以上の200℃、あるいは300℃で加熱しても、良好な接合状態が得られなかった。しかも、200℃〜300℃の加熱では、HBOあるいは酸化ホウ素の形のままで残り、水酸化ホウ素に戻って接合された正極側ペレットと負極側ペレットとを分離させる可能性が懸念される。他方、酸化ホウ素の融点以上で正極部材が溶けない温度でかつ可能な限り高温、例えば500℃にまで加熱しながら加圧すれば、固体電解質と反応させて不可逆的に接着剤として機能させられることを知見した。具体的には、500℃、50MPaで加熱しながら加圧することで上述の組成の正極側ペレットと負極側ペレットとの固体電解質同士を接合させ、電池として機能させ得ることを知見した。このときのXRDパターンではBの回折ピークが存在しておらず消失していることが確認された(換言すれば、酸化ホウ素は固体電解質と反応して、Bという形態では残っていないと思われる)。このことから、同条件ではBとして存在することができない状況にあるものと考えられる。Bの回折線が消失する可能性としては、固体電解質と反応する、またはBが非晶質化する、の二つが考えられる。どちらの場合にも、Bの回折線は見られない。そして、ナシコン型結晶構造のNZSP、その他ガーネット型結晶構造やリシコン型結晶構造の固体電解質の場合、酸化ホウ素(B)と反応することが知られている。固体電解質とホウ素酸化物(酸化ホウ素)が反応すると、ホウ素が固体電解質の結晶構造のなかに入り、いずれかの元素と置換する、または母構造とは異なる結晶構造に変化する、と考えられる。他方、Bが非晶質化する場合であれば、固体電解質と無関係に非晶質化するので、全ての固体電解質に適用できると考えられる。いずれにしても、無機系接着剤の化学形態の変化(溶解・凝固反応または固体電解質との化学反応)が利用されて、正極層と負極層との接合が図られ、電池として機能させられることが確認された。
以上、正極材料と負極材料とが別々にそれぞれに適した温度と圧力で焼結されるので、緻密な焼結体を得ることが可能となる。このため、固体電解質と電極活物質間の界面が良好な状態で形成されるとともに、コンポジット電極材料内の固体電解質同士あるいはコンポジット電極材料内の固定電解質とコンポジット電極材料と隣接する無機固体電解質層との間の粒子間がより緻密化され、より内部抵抗の低い全固体電池を形成することが可能となる。
しかも、正極側ペレットと負極側ペレットとの無機系接着剤による接合は、全固体電池の比較的高温例えば200℃程度の環境下での使用を可能とする(図3参照)。比較的高温の環境下での全固体電池の使用は、全固体電池の抵抗を減らして円滑に充放電を実施可能とする。勿論、本実施形態の全固体電池は、上述の温度以下でも充放電できる。例えば、本発明者の実験によれば、70℃でも充放電の実施が可能であった。
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では、放電プラズマ焼結装置を利用して負極側ペレット3及び正極側ペレット5の焼結並びに負極側ペレット3と正極側ペレット5との接合を行う例を挙げて主に説明したが、これに特に限られるものではなく、場合によってはホットプレス(HP)、熱間等方圧加圧焼結(HIP)、ガス圧焼結でも作製可能である。
また、本実施形態では、全固体ナトリウム電池について実施した例を挙げて主に説明したが、これに特に限定されるものではなく、例えば全固体リチウム電池などの他の全固体電池に対して適用可能であることはいうまでもない。即ち、本発明の製法は、粉体のコンポジット電極材料と無機固体電解質材料とから成る正極側ペレットと負極側ペレットとをを各々にとって最適な焼結条件で別々に焼結させて形成する一方、これら両ペレットの固体電解質同士を無機系接着剤によって接合することで電池として機能させるものであって、電極材料同士が無機系接着剤によって直接に接合されるものではない。依って、本発明の製法は電極材料には因らず、様々な電極材料の組み合わせに適用可能であることは言うまでもない。したがって、緻密な焼結体が得られる焼結時の圧力や温度条件については、電極材料固有のものであることから、実施形態の中で挙げられている焼結の圧力、温度には絶対的意義はない。また、両ペレットの固体電解質同士を無機系接着剤によって接合する際の圧力と温度の条件についても、無機系接着剤を固体電解質と反応させて不可逆的に接着剤として機能させることが望ましいので、可能なかぎり高温にすることが好ましいが、電極材の溶融温度未満の温度とすることが必要であることから、採用する電極活物質によって左右される。つまり、本明細書中において挙げている数値は単なる一例であって、実施形態の中で挙げられている値の接合の圧力、温度には絶対的意義はない。
正極と負極とをそれぞれが緻密な焼結体を得るに必要な固有の最適条件で焼結し、それらを後に無機系接着剤で接合して成る全固体電池は、正極と負極とで異なる熱的安定性の電極活物質を採用することが可能となる。勿論、同じ熱的安定性の電極活物質、即ち同じ電極材を採用しても良いが、全固体電池としての性能をより改善できる電極材料の組み合わせを可能とすることができる。
他方、上述の実施形態では、高い化学・熱的安定性を示す全固体電池の実現のため、酸化物固体電解質(NASICON型の酸化物結晶系電解質)を採用した例を挙げて主に説明しているが、これに特に限定されるものではなく、その他の酸化物固体電解質でも、硫化物ガラス系固体電解質であっても良い。
バルク型全固体ナトリウム電池を以下の方法で作製し、その電池性能を検証した結果を示す。
まず、負極材料、正極材料、固体電解質材料を合成した。例えば、負極層の負極活物質としてはNa(PO(所謂、NVP)、正極層の正極活物質としてはNa(PO)2P(所謂、NCPP)、及び固体電解質材料としてはNaZr(SiO)2PO(所謂、NZSP)を用いた。例えば、VとNaHPOを1:3(モル比)で混合し、アルゴン−水素(水素:5体積%)雰囲気中、900℃で20時間焼成した後、得られた焼成物を粉砕して、Na(POで表される電極活物質の材料粉末(以下、単に「NVP材料粉末」ともいう)を得た。また、硝酸M水和物(M=Co、Ni,Mn,Fe), NaNO3、 NH4H2PO4を 3:4:4(モル比)で混合し、空気雰囲気、700℃で24時間焼成した後、得られた焼成物を粉砕して、Na(PO)2Pで表される電極活物質の材料粉末(以下、単に「NCPP材料粉末」ともいう)を得た。
さらに、固体電解質は、Sol−Gel法で前駆体溶液を得た。得られた前駆体溶液を加水分解してゲル化させて1日放置し、ゲルを熟成させた後、120℃で24時間乾燥させた。その後、擂潰し、750℃で5時間仮焼して前駆体粉末を得た。得られた粉末を1000℃で5時間焼成して、その組成がNa3Zr2(SiO4)2(PO4)で表される固体電解質の材料粉末(以下、単に「NASICON材料粉末」ともいう)を得た。尚、本実施例で利用した固体電解質には、イオン伝導を阻害する不純物は存在しなかった。
本実施例では、負極層並びに正極層は、負極活物質並びに正極活物質と固体電解質と導電性黒鉛との複合体即ちコンポジット電極材料として構成されている。コンポジット電極材料の組成並びにセル構成の混合割合は以下の通りである。
(セル構成の混合割合)
a)負極側コンポジット電極材料(NVP : NZSP : C = 25 : 60 : 15wt.%)40mg
b)無機固体電解質材料(NZSP) 150 mg
c)無機系接着剤(HBO2) 1mg
d)無機固体電解質材料(NZSP) 150 mg
e)正極側コンポジット電極材料(NCPP : NZSP : C = 25 : 60 : 15wt.%)20mg
(焼結装置)
放電プラズマ焼結装置(ドイツのFCT Systeme GmbH社製HP D 10)
手順1) 電極活物質250mg、無機固体電解質600mg、炭素150mgを秤量した後、乳鉢
・乳棒を用いて3つの異種材料を30分間混合して正極及び負極のそれぞれのコ
ンポジット電極材料を得た。
手順2) 放電プラズマ焼結装置を用いて正極用無機固体電解質と負極用無機固体電解質
のグリーン・ペレットを作製する。即ち、放電プラズマ焼結装置の成形用金型(
内径10mm)に、無機固体電解質150mgを入れて、円盤状の圧粉体(グリーン
・ペレット)を成形する。ここで、成形用金型の内周面には、通電と焼結する際
に焼結冶具を傷めないためにカーボンペーパーで覆われている。因みに、手順1
)の固体電解質と手順2)の無機固体電解質とは、同じ材料であり、ともに例え
ばNZSPを用いた。
手順3) 正極側コンポジット電極材料20mg、負極側コンポジット電極材料40mgをそ
れぞれ秤量して、放電プラズマ焼結装置の成形用金型内の固体電解質のグリーン
・ペレットの上にそれぞれのせ、再度プレスしてペレット状に固める。
手順4) 正負極の各グリーン・ペレットのコンポジット電極材料の上にカーボンペーパ
ー(集電体となる炭素シート)を入れる。
手順5) 放電プラズマ焼結装置にてそれぞれの活物質固有の焼結で緻密化される条件、
温度と圧力で焼結して、正極側コンポジット電極材料と固体電解質とのペレット
(以下、正極材ペレットと呼ぶ)並びに負極側コンポジット電極材料と固体電解質
とのペレット(以下、負極材ペレットと呼ぶ)を製作した。放電プラズマ焼結の
条件は、正極材ペレットでは500℃、255MPaで5分間焼結、負極材ペレットで
は900℃、100MPaで2分間焼結である。
手順6) 正極材ペレット並びに負極材ペレットの温度を室温まで下げ、各ペレットの固
体電解質側に無機系接着剤を適量付着させる。本実施例の場合には、直径10mm
の各ペレットの固体電解質の面に対し、乾燥粉体重量で1mg(1.27mg/
cm)程度を付着させた。具体的には、ホウ酸水溶液(1wt%)を50μLず
つ固体電解質の面に付着させ、100℃で乾燥させることにより、固体電解質の表
面に1mg程度の薄く均一なホウ酸の膜を形成した。
手順7) 正極材ペレットと負極材ペレットとの固体電解質側同士を対向させるように組
み合わせた状態(両ペレットの無機固体電解質の間に無機系接着剤を介在させた
状態)で、放電プラズマ焼結装置により、50MPaの圧力をかけながら2分間500
℃に加熱した。これにより、正極材ペレットの固体電解質と負極材ペレットの固
体電解質との間の無機系接着剤を融解させて、固体電解質と反応させ、固体電解
質同士を接合させた。尚、異種材料の混合・焼結後のX線回折測定から、不純
物が生成しない温度と圧力条件で、異種材料の接合を行っている。ただし、その
条件を外れると、電極材料のガラス化がおきた。一方、固体電解質は安定であっ
た。
手順8) 放電プラズマ焼結装置の金型内から全固体電池を取り出してから、電池側面の
カーボンペーパーを除去した。
上述の手順1)〜8)によって、直径10 mm、長さ4.2 mmのバルク型全固体ナトリウム電池を製作した。尚、バルク型全固体ナトリウム電池の厚みの内訳は、集電材としての炭素シート 1mm 、負極側コンポジット電極材料400μm 、NZSP 800μm、NZSP 800μm、正極側コンポジット電極材料 200μm 、集電材としての炭素シート 1mmであった。
以上のようにして製作された全固体ナトリウム電池の充放電サイクルを図3に示す。この図から明らかなように、様々な電圧範囲の下で充電−放電テストを行った結果、本実施例の全固体ナトリウム電池は、正常に充放電し、また充放電サイクルを繰り返しても、容量が急に落ちるようなこともなかったことが判明した。つまり、全固体ナトリウム電池として機能し、尚且つ電池性能も安定しているものと思われる。さらに、従来の製造方法によるバルク型全固体ナトリウム電池の場合の出力(図8参照)と比較しても、性能が上がった(1.5V→2V強の40〜50%増)ことから、性能改善が見込まれることが示唆された。
また、実際に充放電できた結果を図4に示す。図4には、さまざまな電圧範囲およびCレートの下の全固体電池の放電容量(mAh g-1)および関連放電容量(%)の関係を示す充放電性能を示す。充放電の電圧の範囲を振ってみることで、容量が電圧に依存して増えたという結果が得られた。小さな電流で充放電したり、大きな電量で充放電したときに、どのように変化するかCレート(Capacity rate)の依存性について検討した。10時間で充放電させる場合の性能は、500℃で正負極を一体焼結した従来の全固体電池よりも良かった。また、3時間かけて充放電させる場合には20%程度と、10時間率の場合よりも落ちるが、充放電ができていることが明らかになった。
図5には、充電−放電テスト後の全固体電池における正極側コンポジット電極材料のX線回折パターンを示す。この結果では、3.9Vの高い電圧に上げても安定だという結果が得られた。
以上の実験から、本発明の製法によって製作されたNCPP正極ペレットとNVP負極ペレットとが酸化ホウ素で接合された全固体電池は、電池として機能することが確認された。具体的には、全固体ナトリウム電池は200℃において動作し、70 mAh/gを示した。
(比較例1)
図9に示す従来の製法によって、正極と負極に異なる電極材料を採用した以下のセル構成の全固体型電池を製作した場合について検討した。
a)負極側コンポジット電極材料(NVP : NZSP : C = 25 : 60 : 15wt.%)40mg
b)無機固体電解質材料(NZSP) 150 mg
c)正極側コンポジット電極材料(NCPP : NZSP : C = 25 : 60 : 15wt.%)20mg
即ち、図9に示すように、負極用の電極活物質と固体電解質を含む負極コンポジット101、及び固体電解質103並びに正極用の電極活物質と固体電解質を含む正極コンポジット102がこの順に積層されてサンドイッチ構造とし、正極活物質が融解しない500℃、255MPaで一挙に焼結されることによって全固体電池の製作が試みられた。サンドイッチ構造のうち、正極材料に適した焼結条件例えば500℃,255Mpaで焼結しても、負極は緻密に固まらなかった。このため、正極側コンポジット電極材102は固体電解質103に付着したが、負極側コンポジット電極材101の75〜80%(30〜32mg)が剥落した。そして、負極側コンポジット電極材101の一部(8〜10mg)と固体電解質103と正極側コンポジット電極材102との焼結体から成る電池が得られた。この全固体電池は、図10に示すように、電池として安定して機能しなかった。起動時の1回だけは理論値以上の充電が行われたが、2回目からは充電できなかった。
1 負極側コンポジット電極材
2 固定電解質
3 負極側ペレット
4 正極側コンポジット電極材
5 正極側ペレット
6 無機系接着剤

Claims (6)

  1. 正極活物質と固体電解質及び導電助剤から成る正極側コンポジット電極材料と無機固体電解質並びに負極活物質と固体電解質及び導電助剤から成る負極コンポジット電極材料と無機固体電解質とをそれぞれに適した焼結条件で別々に焼結させて正極側ペレットと負極側ペレットとを成形する工程と、
    前記正極側ペレットの固体電解質と前記負極側ペレットの固体電解質との間に無機系接着剤を挟んで、加圧下に前記無機系接着剤の溶融温度以上でかつ溶融温度が低い方の前記電極活物質が印加圧力の下で融解が起こる温度未満の温度で加熱することにより前記正極側ペレットと前記負極側ペレットとを接合して一体化する工程とを備える、
    ことを特徴とする全固体型電池の製造方法。
  2. 前記正極活物質と前記負極活物質とは異なる材料であることを特徴とする請求項1記載の全固体型電池の製造方法。
  3. 前記無機系接着剤はホウ酸、メタホウ酸または酸化ホウ素のいずれかであることを特徴とする請求項1または2記載の全固体型電池の製造方法。
  4. 前記正極活物質としてNCPP、前記固体電解質としてNZSP及び前記導電助剤としてCを含む前記正極コンポジット電極材料層と前記無機固体電解質層としてのNZSPとを500℃、255MPaで焼結して前記正極側ペレットを成形し、
    前記負極活物質としてNVP、前記固体電解質としてNZSP及び前記導電助剤としてCを含む前記負極コンポジット電極部材層と前記無機固体電解質層としてのNZSP層とを900℃、100MPaで焼結して前記負極側ペレットを成形し、
    前記正極側ペレットの固体電解質の面と前記負極側ペレットの固体電解質の面の間に前記無機系接着剤として前記ホウ酸、メタホウ酸または酸化ホウ素のいずれかを介在させ、500℃、50MPaで加圧しながら加熱することで、前記無機系接着剤を融解させて前記固体電解質同士を接合させることを特徴とする請求項1記載の全固体電池の製造方法。
  5. 前記無機系接着剤はホウ酸水溶液として前記正極側ペレットの固定電解質と前記負極側ペレットの固体電解質との間に注入させることを特徴とする請求項4記載の全固体型電池の製造方法。
  6. 正極活物質と固体電解質及び導電助剤から成る正極側コンポジット電極材料と無機固体電解質とが焼結された正極側ペレットと、
    負極活物質と固体電解質及び導電助剤から成る負極コンポジット電極材料と無機固体電解質とが焼結された負極側ペレットと、
    前記正極側ペレットの固体電解質と前記負極側ペレットの固体電解質とが無機系接着剤で接合された、
    ことを特徴とする全固体型電池。
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