JP2011192606A - 電解質・電極積層体の製造方法、電解質・電極積層体及び全固体電池 - Google Patents

電解質・電極積層体の製造方法、電解質・電極積層体及び全固体電池 Download PDF

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Abstract

【課題】固体電解質層と、該固体電解質層に焼結接合された電極層とを含む電解質・電極積層体であって、層間の剥離や層の亀裂等の発生が抑制され、固体電解質層と電極層との接合性に優れた電解質・電極積層体を提供する。また、内部抵抗の低い全固体電池を提供する。
【解決手段】少なくとも、固体電解質層と、該固体電解質層に焼結接合された電極層とを含む、電解質・電極積層体の製造方法であって、焼結温度がTS1である第1のセラミックス固体電解質及び焼結温度が前記焼結温度TS1より高いTS2である第2のセラミックス固体電解質を少なくとも含む固体電解質前駆層と、電極活物質及び焼結温度が前記焼結温度TS2より低いTS3である第3のセラミックス固体電解質を少なくとも含む電極前駆層とを、焼結接合する焼結接合工程を有する電解質・電極積層体の製造方法、該製造方法により得られる電解質・電極積層体、並びに該電解質・電極積層体を備える全固体電池。
【選択図】図1

Description

本発明は、電解質・電極積層体の製造方法、電解質・電極積層体及び該電解質・電極積層体を有する全固体電池に関する。
近年、パソコン、ビデオカメラ、携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車産業界においても、電気自動車やハイブリッド自動車用の高出力且つ高容量の電池の開発が進められている。各種電池の中でも、エネルギー密度と出力が高いことから、リチウム二次電池が注目されている。
一般的なリチウム二次電池は、正極活物質を含有する正極層と、負極活物質を含有する負極層と、これら正極層と負極層との間に介在する電解質層とを有する。正極層と負極層との間に配置される電解質層として、可燃性の有機電解液を用いるリチウム二次電池は、液漏れの他、短絡や過充電などを想定した安全対策が欠かせない。特に、高出力、高容量の電池には、さらなる安全性の向上が求められる。そこで、電解質として、硫化物系固体電解質や酸化物系固体電解質等、不燃性のセラミックス固体電解質(無機固体電解質)を用いた、全固体リチウム二次電池等の全固体電池の研究開発が進められている。
また、電極層(正極層や負極層)を構成する電極活物質としては、例えば、リチウム二次電池の正極活物質として、LiCoO2、LiMnO2、LiMn24、LiNiO2、Li32(PO43、LiCoMnO4等が用いられている。また、リチウム二次電池の負極活物質として、Li4Ti512に代表されるリチウム−チタン酸化物やカーボン等が用いられている。
電極層には、電極活物質の他、必要に応じて、電極層の電子伝導性を向上させる導電助材や、電極層のイオン伝導性を向上させる電解質、さらには、電極活物質や導電助材等を結着させるための結着材等の材料も含まれる。
全固体電池では、電解質層が固体電解質からなる固体電解質層であるのに加えて、電極層に用いられる電解質も固体電解質である。
このような全固体電池において、固体電解質層と各電極層は、例えば、固体電解質層の原料である固体電解質と、電極層の原料である電極合材とを、層状に重ねて積層した状態で焼結処理を行うことにより接合(焼結接合)することができる。
固体電解質層と電極層との界面における接合状態は、全固体電池の抵抗に大きく影響する。例えば、該界面に生じた剥離は、固体電解質層−電極層間のイオン伝導を低下させ、電池の内部抵抗を増大させる。
特許文献1には、電極層内において、電極活物質と固体電解質の接合面積を拡大して界面反応抵抗を低減することによって、全固体電池の内部抵抗を下げることを目的とした技術が開示されている。具体的には、非晶質ポリアニオン化合物からなる固体電解質材料が電極活物質材料と混合され、加熱焼成してなる電極部を備えた全固体電池が開示されている。
特開2009−140910号公報
特許文献1では、電極層内の固体電解質と電極活物質との界面における接合状態については検討されているが、電極層と固体電解質層との界面における接合状態については検討されていない。特許文献1の実施例において、実際に作製されている全固体電池は、次のようにして作製されている。すなわち、まず、LAGP[Li1.5Al0.5Ge1.5(PO]の結晶粉末を圧粉ペレットに成形し、840℃で焼成してLAGP固体電解質焼成体ペレットを作製している。次に、この焼成体ペレットの両表面に、LAGPのガラス粉末(LAGP結晶粉末を溶融急冷法によりガラス化したもの)とLVP[Li(PO]の結晶粉末と有機溶媒に溶解したバインダとを混合した電極ペーストを塗布、乾燥して正極及び負極を形成している。続いて、この正極及び負極が形成された固体電解質焼成ペレットを600℃で焼成することによって、固体電解質層(厚さ1mm)と正極及び負極(それぞれ厚さ20μm)とを接合している。
上記のように、特許文献1の固体電池は、電極層には、上記焼成温度(600℃)で焼結が進行する物質(LAGPのガラス粉末)と共に、該焼成温度で焼結が進行しない物質(LVPの結晶粉末)が含まれているのに対して、固体電解質層は、上記焼成加熱温度(600℃)で焼結が進行しない物質(結晶性LAGP焼成体)のみで構成されている。そのため、上記焼成時に、電極層には収縮が生じるのに対して、固体電解質層には収縮が生じない。その結果、電極層と固体電解質層との界面には、大きな応力がかかり、電極層−固体電解質層間の剥離や電極層の亀裂、さらには、電極層側面における反り等が発生してしまう。
本発明は、上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、固体電解質層と、該固体電解質層に焼結接合された電極層とを含む電解質・電極積層体であって、層間の剥離や層の亀裂等の発生が抑制され、固体電解質層と電極層との接合性に優れた電解質・電極積層体を提供することを目的とするものである。また、本発明は、該電解質・電極積層体を搭載した、内部抵抗の低い全固体電池を提供することを目的とするものである。
本発明の電解質・電極積層体の製造方法は、少なくとも、固体電解質層と、該固体電解質層に焼結接合された電極層とを含む、電解質・電極積層体の製造方法であって、
焼結温度がTS1である第1のセラミックス固体電解質(C1)、及び焼結温度が前記焼結温度TS1より高いTS2である第2のセラミックス固体電解質(C2)を少なくとも含む固体電解質前駆層と、電極活物質、及び焼結温度が前記焼結温度TS2より低いTS3である第3のセラミックス固体電解質(C3)を少なくとも含む電極前駆層とを、焼結接合する焼結接合工程を有することを特徴とするものである。
上記のように、固体電解質前駆層と電極前駆層とを焼結接合することによって、固体電解質層と該固体電解質層に焼結接合された電極層とを含む電解質・電極積層体を得る場合に、固体電解質前駆層が、第1のセラミックス固体電解質(C1)と共に、該第1のセラミックス固体電解質及び電極前駆層に含まれる第3のセラミックス固体電解質(C3)よりも高い焼結温度を有する第2のセラミックス固体電解質(C2)を含有することによって、上記焼結接合時の固体電解質前駆層の収縮量と電極前駆層の収縮量との差を小さくすることができる。その結果、得られる電解質・電極積層体における、固体電解質層と電極層との界面における剥離や、固体電解質層及び/又は電極層の亀裂及び反り等の発生を抑制することができる。
焼結接合時の固体電解質前駆層の収縮量と電極前駆層の収縮量との差を、より確実に小さくできることから、前記焼結接合工程において、前記固体電解質前駆層と前記電極前駆層とを、前記焼結温度TS2よりも低く、且つ、前記焼結温度TS1及び前記焼結温度TS3よりも高い温度で焼結接合することが好ましい。
同様に、焼結接合時の固体電解質前駆層の収縮量と電極前駆層の収縮量との差をより確実に小さくすることができることから、前記電極活物質の焼結温度TSAが、前記第1のセラミックス固体電解質の焼結温度TS1及び前記第3のセラミックス固体電解質の焼結温度TS3よりも高いことが好ましい。
このとき、前記焼結接合工程において、前記固体電解質前駆層と前記電極前駆層とを、前記焼結温度TS2及び前記焼結温度TSAよりも低く、且つ、前記焼結温度TS1及び前記焼結温度TS3よりも高い温度で、焼結接合することが好ましい。焼結接合時の固体電解質前駆層の収縮量と電極前駆層の収縮量との差をさらに確実に小さくすることができるからである。
前記第1のセラミックス固体電解質(C1)と前記第3のセラミックス固体電解質(C3)とは、同じセラミックス固体電解質であることが好ましい。固体電解質前駆層に含まれる固体電解質の少なくとも一部と、電極前駆層に含まれる固体電解質の少なくとも一部とが、同じ温度で焼結し、且つ、同じ収縮率を有することによって、焼結接合時の固体電解質前駆層と電極前駆層との収縮量の差をさらに確実に小さくすることができるからである。
同様に、焼結接合時の固体電解質前駆層と電極前駆層との収縮量の差を確実に小さくできることから、前記固体電解質前駆層における前記第1のセラミックス固体電解質(C1)の体積比と、前記電極前駆層における前記第3のセラミックス固体電解質(C3)の体積比とが同じであることが好ましい。
本発明において、前記第1のセラミックス固体電解質(C1)の組成と、前記第2のセラミックス固体電解質(C2)の組成は、同じであることが好ましい。固体電解質層において、該第1のセラミックス固体電解質(C1)と該第2のセラミックス固体電解質(C2)とが互いに悪影響を及ぼすことがなく、第1及び第2のセラミックス固体電解質の特性を保持することができるからである。
上記のような本発明の電解質・電極積層体の製造方法によって製造された電解質・電極積層体は、固体電解質層と該固体電解質層に焼結接合された電極層との界面における接合性に優れることから、該界面における物質移動性に優れ、また、高い耐久性を有する。
本発明の電解質・電極積層体としては、例えば、少なくとも、固体電解質層と、該固体電解質層に焼結接合された電極層とを含む、電解質・電極積層体であって、
前記固体電解質層は、少なくとも第1のセラミックス固体電解質(C1’)と第2のセラミックス固体電解質(C2’)とを含み、
前記電極層は、少なくとも電極活物質と第3のセラミックス固体電解質(C3’)とを含み、
前記第2のセラミックス固体電解質(C2’)の焼結温度T’S2が、前記第1のセラミックス固体電解質(C1’)の焼結温度T’S1及び前記第3のセラミックス固体電解質(C3’)の焼結温度T’S3よりも高いことを特徴とするものが挙げられる。
本発明により提供される電解質・電極積層体を備える全固体電池は、固体電解質層−電極層間の接合状態や、製造過程において固体電解質層や電極層に生じた亀裂に起因する、内部抵抗の増加が抑制されており、優れた電池特性を呈するものである。このような本発明の全固体電池は、電子機器や自動車に搭載することができる。
本発明によれば、固体電解質層と、該固体電解質層に焼結接合された電極層とを含む電解質・電極積層体であって、層間の剥離や層の亀裂等の発生が抑制され、固体電解質層と電極層との接合性に優れた電解質・電極積層体を提供することができる。また、本発明によれば、該電解質・電極積層体を搭載した、内部抵抗の低い全固体電池を提供することが可能である。
本発明の電解質・電極積層体の製造方法における、固体電解質層−電極層間の接合性の向上効果を説明するための模式図である。 実施例1の電解質・電極積層体の評価結果を示す模式図である。 比較例1の電解質・電極積層体の評価結果を示す模式図である。
本発明の電解質・電極積層体の製造方法は、少なくとも、固体電解質層と、該固体電解質層に焼結接合された電極層とを含む、電解質・電極積層体の製造方法であって、
焼結温度がTS1である第1のセラミックス固体電解質(C1)及び焼結温度が前記焼結温度TS1より高いTS2である第2のセラミックス固体電解質(C2)を少なくとも含む固体電解質前駆層と、電極活物質及び焼結温度が前記焼結温度TS2より低いTS3である第3のセラミックス固体電解質(C3)を少なくとも含む電極前駆層とを、焼結接合する焼結接合工程を有することを特徴とする。
ここで、図1を用いて、本発明の電解質・電極積層体の製造方法による、固体電解質層−電極層の接合性向上の原理について説明する。
図1の(1−A)において、層100(焼結処理前)は、焼結温度TS100がt℃以下のセラミックス1のみで構成されている。このような層100を、t℃以上の温度Tで加熱(焼結処理)すると、セラミックス1は焼結により寸法収縮し、層全体としても収縮する(焼結処理後のセラミックス1’、焼結処理後の層100’)。ここで、層100の焼結による層100’への収縮量[(層100’の体積)/(層100の体積)]を100とする。
一方、図1の(1−B)において、層200(焼結処理前)は、焼結温度TS100がt℃以下のセラミックス1と、焼結温度TS200がT℃より高いセラミックス2と、から構成されている。層200におけるセラミックス1とセラミックス2の体積比は、50:50である。このような層200を、層100同様、t℃以上の温度Tで加熱(焼結処理)すると、セラミックス1は焼結により寸法収縮し、層全体としても収縮する(焼結処理後のセラミックス1’、焼結処理後の層200’)。但し、上記温度Tでの加熱では、層200を構成するセラミックス2(層200における体積比;50/100)は、焼結が進まず、寸法収縮も起こらない。その結果、層200の焼結による層200’への収縮率は、層100の層100’への収縮率の50%、すなわち収縮量50となる。
上記のような層100と層200とを重ね合わせ、t℃以上の温度Tで加熱して焼結接合すると、焼結による各層の収縮量の違いによって、層間の界面に大きな応力が発生する。その結果、焼結接合後の層100’と層200’との界面において剥離が生じたり、焼結によって大きく収縮した層100’において側面の反りや層200’との界面の割れ等が生じる。
このように焼結接合された層が、固体電解質層と電極層である場合、層間の界面における剥離や割れは、固体電解質層と電極層との間のイオン伝導等の物質移動の妨げとなる。さらに、これら剥離、割れ、反り等は、電解質・電極積層体の耐久性低下の原因の1つにもなる。
一般的に、固体電解質前駆層と電極前駆層との焼結接合時の加熱温度は、固体電解質層と電極層との接合性の観点から、固体電解質前駆層、電極前駆層に含有されるセラミックス固体電解質の焼結温度以上とするが、固体電解質前駆層と電極前駆層の化学反応による組成変化の観点から、電極前駆層に含有される電極活物質の焼結温度未満であることもある。その場合、焼結接合時の固体電解質前駆層の収縮量が、電極前駆層の収縮量を大きく上回ることになり、上記したような問題が発生しやすい。
そこで、本発明では、固体電解質前駆層と電極前駆層とを焼結接合することにより、固体電解質層と該固体電解質層に焼結接合された電極層とを含む電解質・電極積層体を製造する際に、焼結接合時の固体電解質前駆層の収縮量と電極前駆層の収縮量との差を小さくすることによって、上記焼結接合に起因する、固体電解質層と電極層との界面における剥離や割れの発生、さらには層側面の反り等の発生を抑制する。
具体的には、固体電解質前駆層には、焼結温度の異なる少なくとも2種以上のセラミックス固体電解質、すなわち、第1のセラミックス固体電解質(C1)[焼結温度TS1]及び第2のセラミックス固体電解質(C2)[焼結温度TS2、TS1<TS2]を含有させ、一方、電極前駆層には、電極活物質と共に、固体電解質前駆層に含まれる第2のセラミックス固体電解質(C2)よりも焼結温度が低い第3のセラミックス固体電解質(C3)[焼結温度TS3、TS3<TS2]を含有させる。
固体電解質前駆層と電極前駆層に含有させるセラミックス固体電解質として、上記のような焼結温度の高低関係を有するセラミックス固体電解質を用いることで、焼結接合時の固体電解質前駆層の収縮量を小さくし、固体電解質前駆層の収縮量と電極前駆層の収縮量の差を小さくすることができる。
すなわち、本発明によれば、焼結処理によって固体電解質層と電極層との界面に生じる応力を小さくし、上記したような剥離、反り、割れ等の発生を抑制することが可能である。
以下、本発明の電解質・電極積層体の製造方法における焼結接合工程について、詳しく説明する。
焼結接合工程は、固体電解質前駆層と電極前駆層とを焼結接合する工程である。
まず、焼結接合の対象である固体電解質前駆層と電極前駆層について説明する。
(固体電解質前駆層)
固体電解質前駆層は、少なくとも、焼結温度がTS1である第1のセラミックス固体電解質(C1)と、焼結温度が前記焼結温度TS1より高いTS2である第2のセラミックス固体電解質(C2)とを含む。
第1のセラミックス固体電解質(C1)及び第2のセラミックス固体電解質(C2)としては、上記したような焼結温度の高低関係(TS1<TS2)を満たせば、特に限定されず、以下に例示するセラミックス固体電解質の中から、適宜選択して組み合わせて用いることができる。
具体的なセラミックス固体電解質としては、例えば、Li1+xAlGe2−x(POのガラス体及び結晶体が挙げられ、具体的には、Li1.5Al0.5Ge1.5(POのガラス体及び結晶体等が挙げられる。本発明において、セラミックス固体電解質は、これらに限定されず、例えば、リチウム二次電池において使用可能なその他のリチウムイオン伝導性セラミックス固体電解質や、リチウムイオン以外のイオン伝導性を有するセラミックス固体電解質を用いることができる。
セラミックス固体電解質の焼結温度は、セラミックス固体電解質を昇温した際の体積変化を観察することで、測定することができる。具体的な測定方法としては、各焼結温度で熱処理を行った焼結体を作製し、その寸法変化を測定する方法が挙げられる。尚、セラミックス固体電解質の焼結温度の測定には、例えば、熱膨張計等の装置を用いることができる。
通常、セラミックス固体電解質や電極活物質の焼結温度は、これら材料の合成工程や処理工程における加熱温度より高くなる。例えば、セラミックス固体電解質のガラス体を加熱することによって得られた、セラミックス固体電解質の結晶体は、該ガラス体を結晶化する際の加熱温度よりも高い焼結温度を有する。また、固体電解質前駆層や電極前駆層に含有されるセラミックス固体電解質は、焼結接合後、焼結接合処理の温度よりも高い焼結温度を示すようになる。
第1のセラミックス固体電解質(C1)の焼結温度TS1及び第2のセラミックス固体電解質(C2)の焼結温度TS2は、TS1<TS2の関係を満たせば、具体的な温度差(TS2−TS1)の範囲、各焼結温度(TS2、TS1)の具体的な範囲は特に限定されない。
固体電解質前駆層と電極前駆層の収縮量の差をより確実に小さくする観点から、焼結温度TS2と焼結温度TS1との差は、50℃以上であることが好ましく、特に100℃以上であることが好ましく、さらに150℃以上であることが好ましく、中でも200℃以上であることが好ましい。
第1のセラミックス固体電解質(C1)と第2のセラミックス固体電解質(C2)は、上記したように、焼結温度が異なれば特に限定されず、適宜組み合わせることができるが、第1のセラミックス固体電解質(C1)と第2のセラミックス固体電解質(C2)が同じ組成を有するセラミックス固体電解質であることが好ましい。固体電解質層において、第1のセラミックス固体電解質(C1)と第2のセラミックス固体電解質(C2)とが、互いに悪影響を及ぼすことなく、その特性を維持することができるからである。
ここで、第1のセラミックス固体電解質(C1)と第2のセラミックス固体電解質(C2)の組成が同じであるとは、セラミックス固体電解質の平均組成式が同じであることを意味する。
典型的には、同じ平均組成式で表されるセラミックス固体電解質のガラス体と結晶体とを、第1のセラミックス固体電解質(C1)[ガラス体]及び第2のセラミックス固体電解質(C2)[結晶体]として用いることが好ましい。セラミックス固体電解質のガラス体は、加熱されることによって結晶体になる。通常、加熱温度が該ガラス体の焼結温度以上であれば、該ガラス体の結晶化は進む。すなわち、第1のセラミックス固体電解質(C1)及び第2のセラミックス固体電解質(C2)として、同じ平均組成式を有するセラミックス固体電解質のガラス体(C1)と結晶体(C2)を用いる場合、焼結接合の際に該ガラス体の焼結温度以上の温度で充分に加熱することよって、該ガラス体(C1)は結晶体になる。そのため、焼結接合処理により得られる電解質・電極積層体の固体電解質層を構成するセラミックス固体電解質は、通常、結晶体のみとなる。通常、同じ平均組成式で表されるセラミックス固体電解質のガラス体と結晶体とでは、結晶体の方が高い燒結温度を有する。
固体電解質前駆層において、第1のセラミックス固体電解質(C1)と第2のセラミックス固体電解質(C2)の比率は特に限定されず、適宜選択することができる。
固体電解質前駆層の収縮量と電極前駆層の収縮量との差を小さくする観点からは、固体電解質前駆層における第1のセラミックス固体電解質(C1)の体積比[C1の体積/固体電解質前駆層の体積]と、電極前駆層における第3のセラミックス固体電解質(C3)の体積比[C3の体積/電極前駆層の体積]とを、同じにすることが好ましい。後述するように、本発明において焼結接合の温度は、典型的には、第2のセラミックス固体高分子電解質(C2)の焼結温度TS2よりも低く、且つ、第1のセラミックス固体高分子電解質(C1)の焼結温度TS1及び第3のセラミックス固体高分子電解質(C3)の焼結温度TS3よりも高い温度であることが好ましく、このような温度で焼結接合する場合に、[C1の体積/固体電解質前駆層の体積]と、[C3の体積/電極前駆層の体積]とを同じにすることによって、固体電解質前駆層と電極前駆層の収縮量をより近づけることが可能になるからである。このとき、[C1の体積/固体電解質前駆層の体積]及び[C3の体積/電極前駆層の体積]は、電極前駆層に用いられるセラミックス固体電解質と電極活物質に応じて適宜決定することが好ましい。また、第1のセラミックス固体電解質(C1)と、第3のセラミックス固体電解質(C3)とが、同じセラミックス固体電解質である場合には、特に、収縮量の差をより小さくすることができる。
固体電解質前駆層は、第1のセラミックス固体電解質(C1)及び第2のセラミックス固体電解質(C2)を必須成分とするが、その他成分を含有していてもよい。その他成分としては、例えば、結着材等が挙げられる。
固体電解質前駆層の形成方法は特に限定されない。例えば、第1のセラミックス固体電解質(C1)及び第2のセラミックス固体電解質(C2)とその他必要に応じて任意の成分とを混合した固体電解質合材を、粉末成形法により層状に加圧成形することで任意の形状の固体電解質前駆層を形成することができる。上記混合の方法としては、特に限定されない。
また、固体電解質前駆層は、上記固体電解質合材を、溶媒に分散して固体電解質合材スラリーを調製し、該スラリーを基材表面に塗布、乾燥する方法でも形成することができる。上記溶媒としては、特に限定されない。また、固体電解質合材スラリーの塗布方法としては、例えば、スプレー法、ダイコート法等の一般的な方法を採用することができる。固体電解質合材スラリーを塗布する基材は、例えば、電極前駆層でもよいし、剥離用基材でもよい。剥離用基材は、焼結接合前又は焼結接合後、固体電解質前駆層又は固体電解質層から剥離される。
固体電解質前駆層の厚さは、特に限定されないが、電池のエネルギー密度向上の観点から、通常、焼結接合後に得られる固体電解質層の厚さが、0.1μm〜1mmの範囲、特に0.1μm〜10μmの範囲となるようにすることが好ましい。
(電極前駆層)
電極前駆層は、少なくとも、電極活物質と、焼結温度がTS3である第3のセラミックス固体電解質(C3)とを含む。
第3のセラミックス固体電解質(C3)としては、第2のセラミックス固体電解質(C2)との間で、上記したような焼結温度の高低関係(TS3<TS2)を満たせば、特に限定されず、上記固体電解質前駆層の説明において記載した、セラミックス固体電解質の中から適宜選択して用いることができる。
第3のセラミックス固体電解質(C3)の焼結温度TS3は、TS3<TS2の関係を満たせば、第2のセラミックス固体電解質の焼結温度との具体的な温度差(TS2−TS3)の範囲、焼結温度TS3の具体的な範囲は特に限定されない。
固体電解質前駆層と電極前駆層の収縮量の差をより確実に小さくする観点から、焼結温度TS2と焼結温度TS3との差は、50℃以上であることが好ましく、特に100℃以上であることが好ましく、さらに150℃以上であることが好ましく、中でも200℃以上であることが好ましい。
また、第3のセラミックス固体電解質(C3)の焼結温度TS3と第1のセラミックス固体電解質(C1)の焼結温度TS1との関係は、特に限定されない。固体電解質前駆層と電極前駆層の収縮量の差を小さくする観点からは、焼結温度TS3と焼結温度TS1が近ければ近いほどよく、具体的には、焼結温度TS3と焼結温度TS1の差が0〜100℃であることが好ましく、特に0〜50℃であることが好ましく、さらに0〜10℃であることが好ましい。既述したように、第3のセラミックス固体電解質(C3)としては、第1のセラミックス固体電解質(C1)と同じセラミックス固体電解質であることが好ましい。
電極活物質としては、特に限定されず、目的とする電極層に適した正極活物質及び/又は負極活物質を用いることができる。例えば、リチウム二次電池の電極活物質としては、リン酸バナジウムリチウム[Li(PO]、コバルト酸リチウム(LiCoO2);ニッケル酸リチウム(LiNiO2);Li1+xNi1/3Mn1/3Co1/32(0≦x≦1);マンガン酸リチウム(LiMn24);Li1+xMn2-x-yy4(MがAl、Mg、Co、Fe、Ni及びZnから選ばれる1種以上であり、0≦x≦0.06、0.03≦y≦0.15)で表される組成の異種元素置換Li−Mnスピネル;チタン酸リチウム(LixTiOy、0.36≦x≦2、1.8≦y≦3);リン酸金属リチウム(LiMPO4、MはFe、Mn、Co及びNiから選ばれる1種以上);酸化バナジウム(V25)、酸化モリブデン(MoO3)等の遷移金属酸化物;硫化チタン(TiS2);グラファイト、ハードカーボン等の炭素材料(C);リチウムコバルト窒化物(LiCoN);リチウムシリコン酸化物(LixSiyz、x+4y−2z=0);リチウム金属(Li);リチウム合金(LiM;MはSn、Si、Al、Ge,Sb、P等から選ばれる1種以上);リチウム貯蔵性金属間化合物(MgxM;MはSn、Ge及びSbから選ばれる1種以上、又は、NySb;NはIn、Cu及びMnから選ばれる1種以上);これらの誘導体;等が挙げられる。
ここで、正極活物質及び負極活物質それぞれには、明確な区別はなく、2種類の化合物の充放電電位や酸化還元電位を比較し、貴な電位を示すものを正極活物質として、また、卑な電位を示すものを負極活物質として、組み合わせることで、任意の電圧の電池を構成することができる。尚、本発明において、電極活物質は上記に例示したものに限定されず、例えば、リチウム二次電池において使用可能なその他の電極活物質や、リチウム二次電池以外の電池で使用可能な電極活物質を用いることができる。
電極活物質は、その焼結温度TSAが、第1のセラミックス固体電解質の焼結温度TS1及び第3のセラミックス固体電解質の焼結温度TS3よりも高いことが好ましい。電極活物質の焼結温度と、第1のセラミックス固体電解質及び第3のセラミックス固体電解質の焼結温度との間に、上記のような高低関係がある場合、固体電解質前駆層と電極前駆層の収縮量の差をより確実に小さくすることができるからである。
電極活物質の焼結温度TSAは、特に限定されない。
電極前駆層において、電極活物質と第3のセラミックス固体電解質(C3)との比率は特に限定されず、使用する電極活物質及び第3のセラミックス固体電解質(C3)に応じて、適宜選択することができる。上述したように、固体電解質前駆層の収縮量と電極前駆層の収縮量との差を小さくする観点からは、固体電解質前駆層における第1のセラミックス固体電解質(C1)の体積比[C1の体積/固体電解質前駆層の体積]と、電極前駆層における第3のセラミックス固体電解質(C3)の体積比[C3の体積/電極前駆層の体積]とを、同じにすることが好ましい。
電極前駆層は、電極活物質及び第3のセラミックス固体電解質(C3)を必須成分とするが、その他成分を含有していてもよい。その他成分としては、例えば、結着材、導電助材等が挙げられる。導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンファイバー等を挙げることができる。
電極前駆層の形成方法は特に限定されない。例えば、電極活物質及び第3のセラミックス固体電解質(C3)とその他必要に応じて任意の成分とを混合した電極合材を、粉末成形法により層状に加圧成形することで任意の形状の電極前駆層を形成することができる。上記混合の方法としては、特に限定されない。
また、電極前駆層は、上記電極合材を、溶媒に分散して電極合材スラリーを調製し、該スラリーを基材表面に塗布、乾燥する方法でも形成することができる。上記溶媒としては、特に限定されない。また、電極合材スラリーの塗布方法としては、例えば、スプレー法、ダイコート法等の一般的な方法を採用することができる。電極合材スラリーを塗布する基材は、例えば、固体電解質前駆層でもよいし、剥離用基材でもよい。剥離用基材は、焼結接合前又は焼結接合後、電極前駆層又は電極層から剥離される。
電極前駆層の厚さは、特に限定されないが、電池のエネルギー密度向上の観点から、通常、焼結接合後に得られる電極層の厚さが、1〜1000μmの範囲となるようにすることが好ましい。
次に、焼結接合工程における、固体電解質前駆層と電極前駆層との焼結接合について、説明する。
焼結接合工程において、固体電解質前駆層と電極前駆層は、積層された状態で加熱されて焼結接合される。焼結接合される固体電解質前駆層と電極前駆層は、1つの固体電解質前駆層と1つの電極前駆層とが積層された2層型の形態の他、2つの電極前駆層(正極前駆層及び負極前駆層)の間に1つの固体電解質前駆層が配置された3層型の形態であってもよい。また、これら2層型積層体及び/又は3層型積層体が複数積層された形態であってもよい。固体電解質前駆層と電極前駆層の積層体は、加熱前に、予め、加圧しておくことが好ましい。
固体電解質前駆層と電極前駆層を焼結接合するための加熱温度は、固体電解質層と電極層を焼結接合することができれば特に限定されないが、固体電解質層と電極層との接合性、耐久性の観点から、第2のセラミックス固体電解質(C2)の焼結温度TS2よりも低く、且つ、第1のセラミックス固体電解質(C1)の焼結温度TS1及び第3のセラミックス固体電解質(C3)の焼結温度TS3よりも高い温度であることが好ましい。また、同様の観点から、電極活物質の焼結温度TSAが、第1のセラミックス固体電解質の焼結温度TS1及び第3のセラミックス固体電解質の焼結温度TS3よりも高い場合には、焼結接合時の加熱温度は、第2のセラミックス固体電解質(C2)焼結温度TS2及び電極活物質の焼結温度TSAよりも低く、且つ、第1のセラミックス固体電解質の焼結温度TS1及び第3のセラミックス固体電解質の焼結温度TS3よりも高い温度であることが好ましい。
このような温度で焼結接合処理された各セラミックス固体電解質(C1’)、(C2’)及び(C3’)、並びに電極活物質のうち、焼結接合処理後の第1のセラミックス固体電解質(C1’)及び第3のセラミックス固体電解質(C3’)は、焼結により焼結接合処理前と比較して収縮しているが、焼結接合処理後の第2のセラミックス固体電解質(C2’)及び電極活物質は、焼結せず収縮していない。このように固体電解質前駆層を構成するセラミックス固体電解質として、焼結接合時の加熱温度で焼結しないセラミックス固体電解質(第2のセラミックス固体電解質)を用いることで、固体電解質前駆層と電極前駆層の収縮率の差を小さくすることができる。
上記したように、固体電解質前駆層に含有される第1のセラミックス固体電解質(C1)及び第2のセラミックス固体電解質(C2)として、同じ平均組成式を有するセラミックス固体電解質のガラス体(C1)と結晶体(C2)を用いる場合、固体電解質前駆層と電極前駆層の焼結接合によってガラス体(C1)は結晶体になる。すなわち、得られる電解質・電極積層体の固体電解質層において、第1のセラミックス固体電解質(C1’)=第2のセラミックス固体電解質(C2’)=結晶体となる。
一方、固体電解質前駆層に含有される第1のセラミックス固体電解質(C1)及び第2のセラミックス固体電解質(C2)として、異なる組成のセラミックス固体電解質を組み合わせて用いる場合には、焼結接合によって得られる電解質・電極積層体は、固体電解質層に焼結温度の異なるセラミックス固体電解質(C1’)とセラミックス固体電解質(C2’)とを含む場合もある。このとき、電極前駆層に含有される第3のセラミックス固体電解質(C3)として、上記第2のセラミックス固体電解質(C2)の焼結温度TS2よりも低い焼結温度TS3を有するセラミックス固体電解質を用いた場合に、焼結温度TS2よりも低く、且つ、焼結温度TS3よりも高い温度で焼結接合処理すると、焼結接合後の第3のセラミックス固体電解質(C3’)は、焼結後の第2のセラミックス固体電解質(C2’)の焼結温度T’S2よりも低い焼結温度T’S3を呈することになる。
すなわち、本発明によれば、少なくとも第1のセラミックス固体電解質(C1’)と第2のセラミックス固体電解質(C2’)とを含む固体電解質層と、少なくとも電極活物質と第3のセラミックス固体電解質(C3’)とを含む電極層とが焼結接合された電解質・電極積層体であって、第2のセラミックス固体電解質(C2’)の焼結温度T’S2が、第1のセラミックス固体電解質(C1’)の焼結温度T’S1及び第3のセラミックス固体電解質(C3’)の焼結温度T’S3よりも高い電解質・電極積層体が得られる。
尚、電解質・電極積層体を構成する固体電解質層及び電極層に含まれるセラミックス固体電解質の焼結温度は、例えば、熱膨張計等によって、確認することができる。
上記のような本発明の電解質・電極積層体の製造方法により製造された電解質・電極積層体は、固体電解質層と電極層との層間界面の剥離や割れ、固体電解質層側面の反りの発生が抑制されており、固体電解質層と電極層との接合性に優れている。従って、本発明により提供される電解質・電極積層体は、固体電解質−電極層界面における物質移動、さらには、耐久性にも優れるものである。
本発明により提供される電解質・電極積層体は、全固体電池の構成部材として用いることができる。例えば、1つの固体電解質前駆層と1つの電極前駆層とが積層された2層型積層体を焼結接合して得られた2層型の電解質・電極積層体は、固体電解質層の電極層が焼結接合された面とは反対側の面に、該電極層の対極となる電極層を形成することで単電池を作製することができる。対極となる電極層の形成方法は特に限定されない。例えば、上記にて説明した電極前駆層と同様にして、対極の電極前駆層を電解質・電極積層体の固体電解質層上に形成し、必要に応じて、焼結処理する方法が挙げられる。一方、正極前駆層と固体電解質前駆層と負極前駆層とがこの順序で積層された3層型積層体を焼結接合して得られた3層型の電解質・電極積層体は、そのまま単電池として用いることができる。
正極層、固体電解質層及び負極層がこの順序で配置された単電池には、さらに、通常正極層及び負極層にそれぞれ集電体が設けられる。集電体としては、銅、ニッケル、銀、SUS、ルミニウム、アルミニウム合金、等、一般的な金属材料を用いることができる。
単電池は、通常、任意数積層し、全固体電池が作製される。積層された単電池の両端に位置する単電池には、負極端子、正極端子がそれぞれ設けられ、任意の電池ケースに収容される。尚、全固体電池は、単電池1つを備える形態であってもよい。
本発明の全固体電池は、様々な分野における幅広い用途で用いることができる。例えば、自動車や電子機器に搭載することができる。
[電解質・電極積層体の作製]
(実施例1)
まず、正極活物質[Li(PO、焼結温度:約900℃以上]と、セラミックス固体電解質[Li1.5Al0.5Ge1.5(POガラス体、焼結温度:約600℃以上]とを、体積比50:50で混合し、正極合材を調製した。
一方、焼結温度の異なる2種類のセラミックス固体電解質[Li1.5Al0.5Ge1.5(PO結晶体、焼結温度:約850℃以上/Li1.5Al0.5Ge1.5(POガラス体、焼結温度:約600℃以上]を、体積比50:50で混合し、固体電解質合材を調製した。
また、負極活物質[Li(PO、焼結温度:約900℃以上]と、セラミックス固体電解質[Li1.5Al0.5Ge1.5(POガラス体、焼結温度:約600℃以上]とを、体積比50:50で混合し、負極合材を調製した。
次に、上記にて調製した正極合材、固体電解質合材、及び負極合材を、それぞれ、0.1g、0.4g、0.1g秤量し、50MPaでプレスすることによって、正極前駆層と固体電解質前駆層と負極前駆層とが積層した、積層圧粉体を作製した(正極前駆層0.4mm/固体電解質前駆層1.6mm/負極前駆層0.4mm)。
続いて、得られた積層圧粉体を、600℃で2時間焼結することにより、電解質・電極積層体(正極層/固体電解質層/負極層)を作製した。
(比較例1)
実施例1において、固体電解質前駆層を1種類のセラミックス固体電解質[Li1.5Al0.5Ge1.5(POガラス体、焼結温度:約600℃以上]を用いて形成したこと以外は、同様にして、電解質・電極積層体を作製した。
[全固体電池の評価]
実施例1及び比較例1の電解質・電極積層体を光学顕微鏡にて観察した。
尚、図2は、実施例1の電解質・電極積層体の光学顕微鏡観察結果の模式図である。また、図3は、比較例1の電解質・電極積層体の光学顕微鏡観察結果の模式図である。
図3に示すように、比較例1の電解質・電極積層体6には、固体電解質層8の側面に反りが生じた。さらに、比較例1の電解質・電極積層体では、固体電解質層8と電極層7との界面に割れ(剥離)が生じたことが確認された。
これは、比較例1の電解質・電極積層体6では、上記積層圧粉体の焼結処理による、固体電解質前駆層の収縮量と該固体電解質前駆層を挟む2つの電極前駆層の収縮量とに大きな差が生じたためである。すなわち、比較例1の電解質・電極積層体において、固体電解質前駆層は、積層圧粉体の焼結温度で焼結が進行するセラミックス固体電解質(焼結温度約600℃)のみで構成されているために、焼結処理によって大きく収縮する。これに対して、比較例1の電極前駆層は、積層圧粉体の焼結温度で焼結が進行するセラミックス固体電解質(焼結温度約600℃)と該焼結温度で焼結が進行しない電極活物質(焼結温度約900℃)とで構成(体積比50:50)されているために、焼結処理によって生じる収縮量は、固体電解質前駆層の収縮量の約50%になる。
このように隣接して接合される2つの層間で、焼結による収縮量に大きな差が生じた結果、これら層の界面に応力が発生し、上記したような剥離が起きたと推測できる。また、固体電解質前駆層内の厚み方向で収縮量の違いが生じ(図3参照)、その結果、上記したような固体電解質層8側面における反りが生じたと推測できる。
これに対して、実施例1の電解質・電極積層体3では、固体電解質層5の側面の反りも、固体電解質層5と電極層4との界面に割れ(剥離)も、生じなかった(図2参照)。
これは、実施例1の電解質・電極積層体では、上記積層圧粉体の焼結処理による、固体電解質前駆層の収縮量と該固体電解質前駆層を挟む2つの電極前駆層の収縮量とに差が生じなかったためである(図2参照)。すなわち、実施例1の電解質・電極積層体において、固体電解質前駆層は、積層圧粉体の焼結温度で焼結が進行するセラミックス固体電解質(焼結温度約600℃)と該焼結温度で焼結が進行しないセラミックス固体電解質(焼結温度約850℃)とで構成(体積比50:50)されている。同様に、電極前駆層も、積層圧粉体の焼結温度で焼結が進行するセラミックス固体電解質(焼結温度約600℃)と該焼結温度で焼結が進行しない電極活物質(焼結温度約900℃)で構成(体積比50:50)されている。そのため、実施例1の電解質・電極積層体の製造過程における、固体電解質前駆層と電極前駆層の収縮量は同じになり、比較例1のような反りや剥離が生じなかったと推測できる。
1…セラミックス固体電解質(焼結前)
1’…セラミックス固体電解質(焼結後)
2…セラミックス固体電解質(焼結前)
2’…セラミックス固体電解質(焼結後)
3…実施例1の電解質・電極積層体
4…電極層(正極層・負極層)
5…固体電解質層
6…比較例1の電解質・電極積層体
7…電極層(正極層・負極層)
8…固体電解質層
100…層(焼結前)
100’…層(焼結後)
200…層(焼結前)
200’…層(焼結後)

Claims (9)

  1. 少なくとも、固体電解質層と、該固体電解質層に焼結接合された電極層とを含む、電解質・電極積層体の製造方法であって、
    焼結温度がTS1である第1のセラミックス固体電解質(C1)及び焼結温度が前記焼結温度TS1より高いTS2である第2のセラミックス固体電解質(C2)を少なくとも含む固体電解質前駆層と、電極活物質及び焼結温度が前記焼結温度TS2より低いTS3である第3のセラミックス固体電解質(C3)を少なくとも含む電極前駆層とを、焼結接合する焼結接合工程を有することを特徴とする、電解質・電極積層体の製造方法。
  2. 前記焼結接合工程において、前記固体電解質前駆層と前記電極前駆層とを、前記焼結温度TS2よりも低く、且つ、前記焼結温度TS1及び前記焼結温度TS3よりも高い温度で焼結接合する、請求項1に記載の電解質・電極積層体の製造方法。
  3. 前記電極活物質の焼結温度TSAが、前記焼結温度TS1及び前記焼結温度TS3よりも高い、請求項1又は2に記載の電解質・電極積層体の製造方法。
  4. 前記焼結接合工程において、前記固体電解質前駆層と前記電極前駆層とを、前記焼結温度TS2及び前記焼結温度TSAよりも低く、且つ、前記焼結温度TS1及び前記焼結温度TS3よりも高い温度で焼結接合する、請求項3に記載の電解質・電極積層体の製造方法。
  5. 前記第1のセラミックス固体電解質(C1)と前記第3のセラミックス固体電解質(C3)とが同じセラミックス固体電解質である、請求項1乃至4のいずれかに記載の電解質・電極積層体の製造方法。
  6. 前記固体電解質前駆層における前記第1のセラミックス固体電解質(C1)の体積比と、前記電極前駆層における前記第3のセラミックス固体電解質(C3)の体積比とが同じである、請求項1乃至5のいずれかに記載の電解質・電極積層体の製造方法。
  7. 前記第1のセラミックス固体電解質(C1)の組成と、前記第2のセラミックス固体電解質(C2)の組成とが、同じである、請求項1乃至6のいずれかに記載の電解質・電極積層体の製造方法。
  8. 少なくとも、固体電解質層と、該固体電解質層に焼結接合された電極層とを含む、電解質・電極積層体であって、
    前記固体電解質層は、少なくとも第1のセラミックス固体電解質(C1’)と第2のセラミックス固体電解質(C2’)とを含み、
    前記電極層は、少なくとも電極活物質と第3のセラミックス固体電解質(C3’)とを含み、
    前記第2のセラミックス固体電解質(C2’)の焼結温度T’S2が、前記第1のセラミックス固体電解質(C1’)の焼結温度T’S1及び前記第3のセラミックス固体電解質(C3’)の焼結温度T’S3よりも高いことを特徴とする、電解質・電極積層体。
  9. 前記請求項1乃至7のいずれかに記載の方法で作製された電解質・電極積層体又は前記請求項8に記載の電解質・電極積層体を備えることを特徴とする、全固体電池。
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