JP2010208987A - 口腔用組成物 - Google Patents

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Abstract

【解決手段】(A)グルコン酸銅、硫酸銅及びその水和物から選ばれる銅化合物、
(B)アミノ酸(但し、塩基性アミノ酸及び含硫アミノ酸を除く)又はその塩、
(C)カルボキシビニルポリマー及び/又はポリアクリル酸塩、
(D)非イオン性界面活性剤
を含有してなることを特徴とする口腔用組成物。
【効果】本発明の銅化合物を含有する口腔用組成物は、歯周病の抑制効果に優れ、かつ銅化合物に由来する苦味や、経時での液分離が殆どなく、使用感及び保存安定性に優れ、歯周病の治療又は予防に有効である。

Description

本発明は、歯周病の抑制効果に優れ、かつ使用感や保存安定性が良好な口腔用組成物に関する。
銅化合物は抗菌性を持つことから、口腔内の特定の細菌が原因となる口腔疾患、例えばポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)が原因となる歯周病を予防する口腔用組成物への配合成分として有効であり、特許文献1〜3などが提案されている。
しかし、銅の抗菌性は他の金属イオンや殺菌剤には及ばず、その効果は十分ではなかった。銅化合物の配合量を増加することで効果を高めることはできるが、銅には金属特有の渋味、苦味があり、口腔用組成物に配合して用いるには嗜好性に課題があった。また、銅化合物は組成物中の安定性が悪く、経時保存により変色や液分離が生じ易いという課題もあった。
銅化合物等による嗜好性を改善する方法として、非イオン性の界面活性剤と特定のカルボキシメチルセルロースナトリウムとを組み合わせる方法(特許文献4)、キシリトールと特定のポリフェノールとを組み合わせる方法(特許文献5)、縮合リン酸塩等と水溶性遷移金属化合物との配合による収斂性及び金属味を、アミノ酸やタンパク質を配合することで改善する方法(特許文献6)などが提案されている。
銅の変色や液分離を抑制する方法としては、両性の界面活性剤を組み合わせて配合する方法(特許文献7)、電離基を有するカルボキシルメチルセルロースやカルボキシビニルポリマーなどの増粘剤と亜鉛イオンとの反応により生じる粘度低下や液分離を、特定のキレート剤により抑制する方法(特許文献8)などが提案されている。
しかし、これら技術の効果は十分とは言い難く、銅化合物に由来する嗜好性と保存安定性の課題を同時に解決するには更に検討の余地があった。よって、銅化合物の配合による優れた嗜好性と保存安定性を満足させることは困難であった。
特開平05−163125号公報 特開平07−165544号公報 特開2006−176416号公報 特開2000−178150号公報 特開平11−180840号公報 特開2000−159647号公報 特開平04−128217号公報 特開平07−291821号公報 特開2008−150325号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、歯周病の抑制効果に優れ、かつ銅化合物由来の嗜好性低下や製剤の保存安定性低下も改善され、良好な使用感及び保存安定性を有し、歯周病の治療又は予防に有効な、銅化合物を含有する口腔用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、グルコン酸銅、硫酸銅及びその水和物から選ばれる銅化合物に、アミノ酸(但し、塩基性アミノ酸及び含硫アミノ酸を除く)又はその塩と、カルボキシビニルポリマー及び/又はポリアクリル酸塩と、非イオン性界面活性剤とを併用して口腔用組成物に配合することにより、歯周病の抑制効果に優れ、かつ、使用感及び経時保存安定性も良好となることを知見し、本発明をなすに至った。
歯周病原因菌ポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)が産生するプロテアーゼ、ジンジパインは、タンパク質のアルギニンC末端を特異的に切断するトリプシン様活性を示すシステインプロテアーゼであり、このジンジパインが歯周病の原因となることから、歯周病の治療及び予防を目的としてジンジパイン阻害剤の開発が行われている(特許文献9参照)。
本発明者らは、銅化合物、特にグルコン酸銅もしくは硫酸銅又はその水和物が、歯周病変部位の歯肉溝浸出液(GCF)中のトリプシン様活性抑制効果、即ち、ジンジパイン活性抑制効果を有し、かかる銅化合物にアミノ酸又はその塩と、カルボキシビニルポリマー及び/又はポリアクリル酸塩と、非イオン性界面活性剤とを組合せて口腔用組成物に配合することで、これら成分が相乗的に作用して、GCF中のトリプシン様活性の高い抑制効果が発揮され、歯周病を効果的に抑制できること、しかも、銅化合物に由来する苦味等が改善され嗜好性が向上するだけでなく、長期保存後の液分離が殆どなく、製剤の経時での保存安定性も改善することを見出したものである。
従って、本発明は、
(A)グルコン酸銅、硫酸銅及びその水和物から選ばれる銅化合物、
(B)アミノ酸(但し、塩基性アミノ酸及び含硫アミノ酸を除く)又はその塩、
(C)カルボキシビニルポリマー及び/又はポリアクリル酸塩、
(D)非イオン性界面活性剤
を含有してなることを特徴とする口腔用組成物を提供する。
更に、非イオン性界面活性剤が、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の口腔用組成物は、更に非イオン性の水溶性高分子化合物を含有することが好ましく、また、ゲル剤として好適に調製される。
本発明の銅化合物を含有する口腔用組成物は、歯周病の抑制効果に優れ、かつ銅化合物に由来する苦味や、経時での液分離が殆どなく、使用感及び保存安定性に優れ、歯周病の治療又は予防に有効である。
以下、本発明につき更に詳細に説明する。本発明の口腔用組成物は、(A)グルコン酸銅、硫酸銅及びその水和物から選ばれる銅化合物、(B)アミノ酸又はその塩、(C)カルボキシビニルポリマー及び/又はポリアクリル酸塩、(D)非イオン性界面活性剤を含有する。
(A)成分の銅化合物としては、グルコン酸銅、硫酸銅が用いられ、1種単独でも2種を併用してもよい。グルコン酸銅及び硫酸銅は、それぞれ無水物であっても、水和物であってもよく、例えば硫酸銅5水和物などの結晶水を含む水和物を用いることもできる。
銅化合物の配合量は、組成全体の0.01〜2%(質量%、以下同様)、特に0.05〜1%、とりわけ0.1〜1%が好ましい。配合量が0.01%未満では銅化合物の配合効果が十分発揮されず、2%を超えると使用感の改善効果が満足に得られない場合がある。
(B)成分のアミノ酸は、塩基性アミノ酸と含硫アミノ酸とを除き、その他のアミノ酸であれば制限なく使用でき、含硫アミノ酸を除く脂肪族アミノ酸、イミノ酸、芳香族アミノ酸及び中性アミノ酸から選ばれる中性アミノ酸、酸性アミノ酸が使用できる。具体的には、中性アミノ酸としてグリシン、アラニン、バリン、セリン、トレオニン、チロシン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、グルタミン、アスパラギン、トリプロファンが、酸性アミノ酸としてグルタミン酸、アスパラギン酸が挙げられ、中でもグリシン、アラニン、プロリン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパラギンが好ましい。これらアミノ酸としては、塩酸塩などの塩を用いることもできる。
なお、塩基性アミノ酸と含硫アミノ酸は、銅化合物と併用すると銅化合物の安定性や有効性が損なわれるため、本発明の(B)成分として相応しくない。リジン、アルギニン、ヒスチジンといた塩基性アミノ酸は、等電点が高いため銅イオンとの相溶性が悪く、システイン、メチオニンといった含硫アミノ酸は、硫黄原子の還元作用により銅イオンが還元されるため、いずれも銅化合物の安定性や有効性が損なわれると考えられる。
(B)成分のアミノ酸又はその塩は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて配合でき、その配合量は組成全体の0.01〜2%、特に0.1〜1%が好適である。配合量が0.01%未満では液分離を十分抑制できない可能性があり、2%を超えると銅化合物の配合効果が十分発揮されない場合がある。
(A)成分と(B)成分の配合比は、(A)/(B)が質量比で0.01〜5、特に0.1〜1が好ましい。配合比率が0.01未満では銅化合物由来の有効性(トリプシン様活性抑制効果)が十分に発揮されず、5を超えると液分離や使用感の改善効果が満足に得られない場合がある。
(C)成分のカルボキシビニルポリマー及びポリアクリル酸塩は、アニオン性の水溶性高分子化合物である。
ポリアクリル酸塩としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム等のポリアクリル酸のアルカリ金属塩、ポリアクリル酸モノエタノールアミン、ポリアクリル酸ジエタノールアミン、ポリアクリル酸トリエタノールアミン等のポリアクリル酸のアミン塩、ポリアクリル酸のアンモニウム塩などの1種又は2種以上が使用できる。
カルボキシビニルポリマー及びポリアクリル酸塩としては、0.2%水溶液の粘度(25℃)が、BH型粘度計(東機産業(株)製、ローターNo.3〜7、回転数20rpm、測定時間2分)で測定した時に2,000〜100,000mPa・s、特に20,000〜60,000mPa・sであるものが好ましい。
なお、カルボキシビニルポリマーは、必要に応じて塩基性物質で中和し、その中和度でゲル性状を調整して使用できる。中和に使用する物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基やトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミンなどを用いることができる。
このようなカルボキシビニルポリマーとしては、B.F.Goodrich社製のカーボポール980、981、2984、5984、1382、住友精化社製のアクペックHV−501E、HV−504E、HV−505E、日本純薬社製のジュロンPW−110、PW−111、日本触媒社製のアクアリックAS等の市販品を使用できる。ポリアクリル酸ナトリウムとしては、日本純薬社製のレオジック250H、252L、日本触媒社製のアクアリックMHなどの市販品を使用できる。
(C)成分としては、カルボキシビニルポリマー又はポリアクリル酸塩を配合しても、カルボキシビニルポリマー及びポリアクリル酸塩を配合してもよく、その配合量は、組成物中0.1〜3%、特に0.5〜2%が好ましい。配合量が0.1%未満では液分離が起こりやすくなる場合があり、3%を超えると銅化合物由来の有効性が低下する場合がある。
(D)成分の非イオン性界面活性剤としては、多価アルコールと脂肪酸がエステル結合でつながっている多価アルコール型、高級アルコールやアルキルフェノール等の水酸基を持つ疎水性原料に主として酸化エチレン(エチレンオキサイド)が付加したタイプ、脂肪酸や多価アルコール脂肪酸エステルに酸化エチレンを付加したタイプのポリエチレングリコール型のものが好適である。
多価アルコール型は、多価アルコールとしてはショ糖、ソルビタン、又はポリグリセリンが好適であり、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられ、中でもショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
ショ糖脂肪酸エステルは、脂肪酸炭素数が10〜22、特に12〜18のものが好ましい。エステル化可能な脂肪酸の数は、最大6つあるが、1つの脂肪酸をエステル化したモノエステルの割合が50%以上、好ましくは70%以上のものが好ましい。このようなショ糖脂肪酸エステルは市販品を用いることができ、例えば、三菱化学フーズ社製の、サーフホープJ−1811、J−1815、J−1816、J−1216、J−1416などがある。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、グリセリンの重合度が4〜20、特に6〜10のものが好ましい。脂肪酸の炭素数は8〜22、特に10〜18で、脂肪酸エステルはモノエステルが好ましい。
このようなポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、日光ケミカルズ社製のNIKKOL Hexaglyn 1−SV、Decaglyn 1−L、Decaglyn 1−SV、阪本薬品工業社製の、ML−750、ML−500、MO−7S、MSW−7S、SYグリスターDML−3などが挙げられる。
ポリエチレングリコール型としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油などが挙げられ、中でも、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが好ましい。
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、エチレンオキサイドの平均付加モル数が5〜100、好ましくは20〜100のものを用いることができる。
このようなポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては市販のものを用いることができ、例えば、日光ケミカルズ社製のHCO−5、HCO−10、HCO−20、HCO−30、HCO−40、HCO−50、HCO−60、HCO−80、HCO−100などが挙げられる。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、エチレンオキサイドの平均付加モル数が2〜50、特に6〜40で、アルキル基の炭素数が12〜22、特に12〜18のものを用いることができる。
このようなポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、日光ケミカルズ社製のBL−2、BL−21、BC−2、BC−7、BC−15、BC−25、BS−20、BO−10V、BB−10、日本エマルジョン社製のEMALEX115、520、625、730、750、BHA−30などがある。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、エチレンオキサイドの平均付加モル数が5〜30、特に10〜20であり、脂肪酸の炭素数が12〜22、特に14〜18ものが好ましく、脂肪酸のモノエステルが好ましい。
このようなポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、日光ケミカルズ社製のTS−10MV、TS−30V、TO−10MVなどが挙げられる。
これら非イオン性界面活性剤は、1種又は2種以上を使用できるが、特に使用感改善効果の高い多価アルコール型のショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルを用いることが好ましい。
なお、非イオン性界面活性剤の配合量は、組成全体の0.01〜3%、特に0.1〜1.5%が好ましい。配合量が0.01%未満であったり、3%を超えると、非イオン性界面活性剤による使用感改善効果が満足に得られない場合がある。
更に、本発明の口腔用組成物には、(E)水溶性の非イオン性高分子化合物を配合することが好ましく、これにより歯周病の抑制効果及び使用感の改善効果がより向上する。
非イオン性の水溶性高分子化合物としては、セルロース系又はビニル系の非イオン性高分子物質が好適に使用できる。具体的には、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどが挙げられ、中でもヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンが好ましい。これら水溶性非イオン性高分子物質は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ヒドロキシプロピルメチルセルロースとしては、2%水溶液の粘度(20℃)が単一円筒形回転粘度計((株)トキメック製TVB−20L型、ローターNo.L、M2又はM4を使用、回転数60rpm、測定時間4分)で測定した時に50〜100,000mPa・s、特に4、000〜10,000mPa・sのものが好適である。
このようなヒドロキシプロピルメチルセルロースとしては、信越化学工業社製のメトローズ(METROSE)90SH−100、90SH−4000、90SH−15000、90SH−100000などが挙げられる。
ポリビニルピロリドンとしては、K値が15〜120、特に60〜90のものが好ましい。K値とは、日本薬局方第二部医薬品各条、ポピドンの項に記載された測定法により求められる特性値である。
このようなポリビニルピロリドンとしては、アイエスピー・ジャパン社製のポピドンK−15、ポピドンK−30、ポピドンK−60、ポピドンK−90、K−120、日本触媒社製のポリビニルピロリドンK−30、ポリビニルピロリドンK−85、ポリビニルピロリドンK−90などが挙げられる。
(E)成分の水溶性の非イオン性高分子物質を配合する場合、その配合量は組成全体の0.1〜3%、特に0.5〜1.5%が好ましい。配合量が0.1%より少ないと歯周病の抑制効果が十分向上せず、3%を超えると使用感向上効果が満足に得られない場合がある。
本発明の口腔用組成物は、練歯磨、潤製歯磨、液体歯磨等の歯磨剤、洗口剤、ゲル剤、軟膏剤、口中清涼剤、うがい用錠剤、口腔用パスタ、ガム等の各種剤型に調製することができるが、特に歯磨剤及びゲル剤、とりわけゲル剤として好適に調製される。これら製剤は、上記必須成分に加えて、必要によりその剤型に応じたその他の成分を本発明の効果を損ねない範囲で配合することができ、通常の方法で調製することができる。
その他の成分としては、例えば歯磨類の場合には、各種研磨剤、湿潤剤、粘結剤、界面活性剤、甘味料、香料、着色剤、防腐剤、pH調整剤、その他の有効成分などを配合でき、ゲル剤の場合には、湿潤剤、粘結剤、界面活性剤、甘味料、香料、着色剤、防腐剤、pH調整剤、アルコール、油性成分、その他の有効成分などを配合できる。
研磨剤としては、沈降性シリカ、シリカゲル、アルミノシリケート、ゼオライト、ジルコノシリケート、第2リン酸カルシウム・2水和物及び無水物、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、不溶性メタリン酸カリウム、酸化チタン、ハイドロキシアパタイト、合成樹脂系研磨剤等が挙げられる(配合量;通常、組成物全体に対して5〜50%)。
湿潤剤としては、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコールが挙げられる。湿潤剤を配合する場合、その配合量は通常10〜50%である。
粘結剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸誘導体、キサンタンガム、ジェランガム、アラビアガム等のガム類、ゼラチン、寒天等の天然物が挙げられる。これら粘結剤を配合する場合、その配合量は通常0.1〜5%である。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤の他に、アニオン性界面活性剤、及びカチオン性界面活性剤、両性界面活性剤を配合し得る。
アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ミリストイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N−パルミトイルグルタミン酸ナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩、N−メチル−N−アシルタウリンナトリウム、N−メチル−N−アシルアラニンナトリウム、α−オレフィンスルフォン酸ナトリウムなどが挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム、アルキルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。両性の界面活性剤としては、酢酸ベタイン、イミダゾリニウムベタイン、レシチンなどが挙げられる。
これら任意成分として界面活性剤を配合する場合、その配合量は通常0.01〜2%である。
なお、本発明では、アニオン性界面活性剤、特にラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩は使用感を低下する傾向があるため配合しないほうが好ましい。アニオン性界面活性剤を配合する場合、その配合量は0.5%以下、特に0.1%以下が好ましく、無配合とすることがとりわけ好ましい。
甘味料としては、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルヒドロカルコン、ペリラルチン等が挙げられる。
着色剤としては、青色1号、黄色4号、二酸化チタン等が挙げられる。防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム等の安息香酸又はその塩などが挙げられる。香料としては、l−メントール、カルボン、アネトール、リモネン等のテルペン類又はその誘導体やペパーミント油等が挙げられる。
pH調整剤としては、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸などが挙げられる。
アルコールとしては、エタノール等の炭素数3以下の低級アルコールが挙げられる。アルコールを配合する場合、その配合量は通常1〜20%である。
油性成分としては、流動パラフィン、軽質流動パラフィン、パラフィンワックス、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン、スクワレン等の炭化水素油、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウロレイン酸、オレイン酸、アラキドン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸等の脂肪酸、アマニ油、ゴマ油、サフラワー油、大豆油、トウモロコシ油、ナタネ油、綿実油、オリーブ油、椿油、ひまし油、カカオ脂、パーム油、ヤシ油等の植物油、牛脂、豚脂、馬脂、羊脂の動物油等が挙げられる。この中でも、滞留性の点から炭化水素油が好ましく、より好ましくは流動パラフィン、軽質流動パラフィンである。油性成分を配合する場合、その配合量は通常0.1〜10%である。
有効成分としては、上記銅化合物の他に、アスコルビン酸塩、トコフェロールエステル等のビタミン類、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム等の酵素、オウバクエキス、オウゴンエキス、チョウジエキス等の生薬成分、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化デカリニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、ヒノキチオール等の殺菌剤、塩化ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、オルソリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、乳酸アルミニウム、キトサン等の無機塩類や有機塩類などが挙げられる。なお、これら有効成分の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量とすることができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、以下の例において配合量はいずれも質量%である。
〔実施例、比較例〕
表1〜3に示す組成の口腔用組成物(ゲル剤)を常法により調製し、容量40gのアルミニウムチューブに充填した。下記方法により液分離、使用感、有効性の評価を行った。結果を表1〜3に示す。
1.液分離の評価
液分離の評価は、ゲル剤を60℃で2週間保存する過酷試験により実施した。ゲル剤は3本ずつ保存し、液分離の度合いを下記評価基準により評価し、その平均値により下記判定基準により判定をした。
<液分離の評価基準>
0点:液分離は全く観察されない。
1点:押し出した時、口元だけに僅かに液分離が認められる。
2点:押し出した時、口元だけに液分離が認められる。
3点:押し出した時、全体に僅かに液分離が認められる。
4点:押し出した時、全体に液分離が認められる。
<液分離の判定基準>
◎ :平均値が0点以上1点未満
○ :平均値が1点以上2点未満
△ :平均値が2点以上3点未満
× :平均値が3点以上
2.使用感の評価
使用感の評価は、専門家3名により、ゲル剤約0.5gを指で下顎歯肉へ塗布した後、1分後の使用感を下記評価基準により評価し、その平均値により下記判定基準により判定をした。
<使用感の評価基準>
0点:苦みを殆ど感じない。
1点:苦みを僅かに感じる。
2点:苦みを感じるが使用できる。
3点:使用に耐えがたい苦みを感じる。
4点:使用に耐えがたい苦みを強く感じる。
<使用感の判定基準>
◎ :平均値が0点以上1点未満
○ :平均値が1点以上2点未満
△ :平均値が2点以上3点未満
× :平均値が3点以上
3.有効性評価
有効性は、ビーグル犬を用い、歯周病変部位の歯肉溝浸出液(GCF)中のトリプシン様活性の阻害作用により評価した。この活性は、主に歯周病原因菌であるポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)が産生する組織破壊酵素に起因し、歯周病との関連性が高いことが知られている。
具体的評価法としては、固形飼料(商品名、DS−1A、オリエンタル酵母社製)を水で、飼料:水が質量比で7:5の割合で練状にした飼料で飼育することで歯周病を誘発したビーグル犬(5歳齢、雌)を用いた。下顎3歯(P3、P4、M1)を被験部位とし、表1,2に示す組成のゲル剤を処置した(n=3)。処置は、3時間毎に3回、各被験部位にゲル剤約0.5mLをシリンジで塗布することで行った。処置前及び全処置終了3時間後のGCF中のトリプシン様活性を測定し*1)、活性阻害効果を下記式により求め、その平均値から下記の判定基準により判定した。
なお、GCF採取量は、GCF採取前後のGCFコレクション ストリップス(ぺリオペーパー(登録商標)、ヨシダ社製)の質量差から求めた。
トリプシン様活性阻害効果(%)={(A−B)/A}×100
A=(薬剤処置前の活性)/(薬剤処置前の採取GCF質量)
B=(薬剤処置後の活性)/(薬剤処置後の採取GCF質量)
<有効性の判定基準>
◎ :平均値が90%以上
○ :平均値が50%以上90%未満
△ :平均値が10%以上50%未満
× :平均値が10%未満
*1)トリプシン様活性測定法
5mmol/Lシステインを含む20mmol/Lのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.5)を反応バッファー*2)とし、GCF抽出液*3)10μLと、反応バッファーにより10μmol/Lに調製した基質(Bz−Arg−MCA:カルボベンゾキシ−L−フェニルアラニル−L−アルギニン−4−メチルクマリル−7−アミド、ペプチド研究所製)140μLを混合し、37℃で60分間反応させた。反応により生成したAMC(7−アミノ−4−メチルクマリン)の蛍光強度を励起波長390nm、測定波長460nmで測定し(フルオロスキャン アセント、大日本製薬社製)、GCF中のトリプシン様活性とした。蛍光強度が強いほどトリプシン様活性が高く、評価したゲル剤の歯周病抑制効果が低いことになる。
*2)反応バッファー:100mL中の質量
L−システイン(シグマ アルドリッチ社製): 0.0788g
リン酸二水素ナトリウム二水和物(和光純薬工業社製): 0.312g
1N 水酸化ナトリウム(和光純薬工業社製): 適量(pH7.5に調整)
蒸留水: 残
(全量を100mLにメスアップ)
*3)GCF抽出液
GCFコレクション ストリップスを各被験部位の歯周ポケットに30秒間挿入することで、GCFを採取し、10mmol/Lリン酸ナトリウムバッファー(pH6.0)100μLに浸漬し、十分に撹拌することで、GCFを抽出した。
Figure 2010208987
*1 硫酸銅・5水和物:関東化学社製
*2 グリシン:湘南和光社製
*3 カルボキシビニルポリマー:B.F.Goodrich社製、カーボポール980
*4 POE(60)硬化ヒマシ油:日光ケミカルズ社製、HCO−60
Figure 2010208987
**1 硫酸銅・5水和物:関東化学社製
**2 グルコン酸銅:富田製薬社製
**3 グリシン:味の素社製
**4 アラニン:湘南和光社製
**5 フェニルアラニン:湘南和光社製
**6 セリン:湘南和光社製
**7 プロリン:湘南和光社製
**8 アスパラギン酸:湘南和光社製
**9 アスパラギン:湘南和光社製
**10 カルボキシビニルポリマー:
B.F.Goodrich社製、カーボポール980
**11 ポリアクリル酸ナトリウム:日本純薬社製、レオジック250H
**12 POE(60)硬化ヒマシ油:日光ケミカルズ社製、HCO−60
**13 POE(20)ソルビタンステアリン酸エステル:
日光ケミカルズ社製、TS−10MV
**14 モノラウリン酸デカグリセリル:
日光ケミカルズ社製 Decaglyn 1−L
**15 ショ糖ステアリン酸エステル:
三菱化学フーズ社製、サーフホープJ−1816
**16 POE(9)ラウリルエーテル:日光ケミカルズ社製、BL−9EX
表1,2の結果から、本発明にかかわる(A)〜(D)成分を含有することで、液分離及び使用感が改善され、かつ、銅化合物由来のGCF中のトリプシン様活性抑制効果、即ち、歯周病予防効果が高く発揮されることがわかった。これらの効果は、組成物中にアニオン性界面活性剤のラウリル硫酸ナトリウムを含有しない組成ではより高く、また、(A)成分/(B)成分の質量比が0.1〜1のときにより高くなることがわかった。更に、非イオン性界面活性剤としては、多価アルコール型のポリグリセリン脂肪酸エステル(モノラウリン酸デカグリセリル)、あるいはショ糖脂肪酸エステル(ショ糖ステアリン酸エステル)の使用感改善効果が高かった。
Figure 2010208987
表3の結果から、非イオン性界面活性剤の配合量は0.1〜1.5%がより好ましく、また、本発明にかかわるゲル剤に更に非イオン性の水溶性高分子物質であるヒドロキシプロピルメチルセルロースやポリビニルピロリドンを配合すると、使用感及び有効性改善効果がより向上することがわかった。
***1 硫酸銅・5水和物:関東化学社製
***2 グリシン:湘南和光社製
***3 カルボキシビニルポリマー:
B.F.Goodrich社製、カーボポール980
***4 POE(60)硬化ヒマシ油:日光ケミカルズ社製、HCO−60
***5 ヒドロキシプロピルメチルセルロース:
信越化学工業社製、メトローズ90SH−4000
***6 ポリビニルピロリドン:アイエスピー・ジャパン社製、ポピドンK−90
〔実施例36〕ゲル剤
硫酸銅5水和物(関東化学社製) 0.2
モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 0.3
(日光ケミカルズ社製、商品名TS−10MV)
ショ糖ラウリン酸エステル 0.5
(三菱化学フーズ社製、商品名サーフホープJ−1216)
カルボキシビニルポリマー 1.5
(B.F.Goodrich社製、カーボポール980)
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.3
(信越化学工業社製、メトローズ90SH−4000)
ポリビニルピロリドン 0.5
(アイエスピー・ジャパン社製、ポピドンK−90)
グリシン(湘南和光社製) 0.5
グリセリン 10.0
水酸化ナトリウム 0.25
香料 1.0
水 バランス
合計 100.0%
〔実施例37〕歯磨剤
無水ケイ酸 15.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
ポリアクリル酸ナトリウム 1.2
(日本純薬社製、レオジック250H)
グルコン酸銅(富田製薬社製) 0.1
ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル 0.3
(日光ケミカルズ社製、商品名NIKKOL BS−20)
グリシン(湘南和光社製) 0.2
サッカリンナトリウム 0.1
ソルビトール 10.0
香料 1.0
水 バランス
合計 100.0%

Claims (5)

  1. (A)グルコン酸銅、硫酸銅及びその水和物から選ばれる銅化合物、
    (B)アミノ酸(但し、塩基性アミノ酸及び含硫アミノ酸を除く)又はその塩、
    (C)カルボキシビニルポリマー及び/又はポリアクリル酸塩、
    (D)非イオン性界面活性剤
    を含有してなることを特徴とする口腔用組成物。
  2. 非イオン性界面活性剤が、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の口腔用組成物。
  3. (A)成分/(B)成分が質量比で0.01〜5である請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
  4. 更に、非イオン性の水溶性高分子化合物を含有する請求項1、2又は3に記載の口腔用組成物。
  5. ゲル剤として調製される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
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