JP2010208987A - 口腔用組成物 - Google Patents
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Abstract
(B)アミノ酸(但し、塩基性アミノ酸及び含硫アミノ酸を除く)又はその塩、
(C)カルボキシビニルポリマー及び/又はポリアクリル酸塩、
(D)非イオン性界面活性剤
を含有してなることを特徴とする口腔用組成物。
【効果】本発明の銅化合物を含有する口腔用組成物は、歯周病の抑制効果に優れ、かつ銅化合物に由来する苦味や、経時での液分離が殆どなく、使用感及び保存安定性に優れ、歯周病の治療又は予防に有効である。
Description
本発明者らは、銅化合物、特にグルコン酸銅もしくは硫酸銅又はその水和物が、歯周病変部位の歯肉溝浸出液(GCF)中のトリプシン様活性抑制効果、即ち、ジンジパイン活性抑制効果を有し、かかる銅化合物にアミノ酸又はその塩と、カルボキシビニルポリマー及び/又はポリアクリル酸塩と、非イオン性界面活性剤とを組合せて口腔用組成物に配合することで、これら成分が相乗的に作用して、GCF中のトリプシン様活性の高い抑制効果が発揮され、歯周病を効果的に抑制できること、しかも、銅化合物に由来する苦味等が改善され嗜好性が向上するだけでなく、長期保存後の液分離が殆どなく、製剤の経時での保存安定性も改善することを見出したものである。
(A)グルコン酸銅、硫酸銅及びその水和物から選ばれる銅化合物、
(B)アミノ酸(但し、塩基性アミノ酸及び含硫アミノ酸を除く)又はその塩、
(C)カルボキシビニルポリマー及び/又はポリアクリル酸塩、
(D)非イオン性界面活性剤
を含有してなることを特徴とする口腔用組成物を提供する。
更に、非イオン性界面活性剤が、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の口腔用組成物は、更に非イオン性の水溶性高分子化合物を含有することが好ましく、また、ゲル剤として好適に調製される。
銅化合物の配合量は、組成全体の0.01〜2%(質量%、以下同様)、特に0.05〜1%、とりわけ0.1〜1%が好ましい。配合量が0.01%未満では銅化合物の配合効果が十分発揮されず、2%を超えると使用感の改善効果が満足に得られない場合がある。
ポリアクリル酸塩としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム等のポリアクリル酸のアルカリ金属塩、ポリアクリル酸モノエタノールアミン、ポリアクリル酸ジエタノールアミン、ポリアクリル酸トリエタノールアミン等のポリアクリル酸のアミン塩、ポリアクリル酸のアンモニウム塩などの1種又は2種以上が使用できる。
このようなポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、日光ケミカルズ社製のNIKKOL Hexaglyn 1−SV、Decaglyn 1−L、Decaglyn 1−SV、阪本薬品工業社製の、ML−750、ML−500、MO−7S、MSW−7S、SYグリスターDML−3などが挙げられる。
このようなポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては市販のものを用いることができ、例えば、日光ケミカルズ社製のHCO−5、HCO−10、HCO−20、HCO−30、HCO−40、HCO−50、HCO−60、HCO−80、HCO−100などが挙げられる。
このようなポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、日光ケミカルズ社製のBL−2、BL−21、BC−2、BC−7、BC−15、BC−25、BS−20、BO−10V、BB−10、日本エマルジョン社製のEMALEX115、520、625、730、750、BHA−30などがある。
このようなポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、日光ケミカルズ社製のTS−10MV、TS−30V、TO−10MVなどが挙げられる。
非イオン性の水溶性高分子化合物としては、セルロース系又はビニル系の非イオン性高分子物質が好適に使用できる。具体的には、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどが挙げられ、中でもヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンが好ましい。これら水溶性非イオン性高分子物質は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
このようなヒドロキシプロピルメチルセルロースとしては、信越化学工業社製のメトローズ(METROSE)90SH−100、90SH−4000、90SH−15000、90SH−100000などが挙げられる。
このようなポリビニルピロリドンとしては、アイエスピー・ジャパン社製のポピドンK−15、ポピドンK−30、ポピドンK−60、ポピドンK−90、K−120、日本触媒社製のポリビニルピロリドンK−30、ポリビニルピロリドンK−85、ポリビニルピロリドンK−90などが挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ミリストイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N−パルミトイルグルタミン酸ナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩、N−メチル−N−アシルタウリンナトリウム、N−メチル−N−アシルアラニンナトリウム、α−オレフィンスルフォン酸ナトリウムなどが挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム、アルキルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。両性の界面活性剤としては、酢酸ベタイン、イミダゾリニウムベタイン、レシチンなどが挙げられる。
これら任意成分として界面活性剤を配合する場合、その配合量は通常0.01〜2%である。
着色剤としては、青色1号、黄色4号、二酸化チタン等が挙げられる。防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム等の安息香酸又はその塩などが挙げられる。香料としては、l−メントール、カルボン、アネトール、リモネン等のテルペン類又はその誘導体やペパーミント油等が挙げられる。
pH調整剤としては、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸などが挙げられる。
表1〜3に示す組成の口腔用組成物(ゲル剤)を常法により調製し、容量40gのアルミニウムチューブに充填した。下記方法により液分離、使用感、有効性の評価を行った。結果を表1〜3に示す。
液分離の評価は、ゲル剤を60℃で2週間保存する過酷試験により実施した。ゲル剤は3本ずつ保存し、液分離の度合いを下記評価基準により評価し、その平均値により下記判定基準により判定をした。
0点:液分離は全く観察されない。
1点:押し出した時、口元だけに僅かに液分離が認められる。
2点:押し出した時、口元だけに液分離が認められる。
3点:押し出した時、全体に僅かに液分離が認められる。
4点:押し出した時、全体に液分離が認められる。
<液分離の判定基準>
◎ :平均値が0点以上1点未満
○ :平均値が1点以上2点未満
△ :平均値が2点以上3点未満
× :平均値が3点以上
使用感の評価は、専門家3名により、ゲル剤約0.5gを指で下顎歯肉へ塗布した後、1分後の使用感を下記評価基準により評価し、その平均値により下記判定基準により判定をした。
0点:苦みを殆ど感じない。
1点:苦みを僅かに感じる。
2点:苦みを感じるが使用できる。
3点:使用に耐えがたい苦みを感じる。
4点:使用に耐えがたい苦みを強く感じる。
<使用感の判定基準>
◎ :平均値が0点以上1点未満
○ :平均値が1点以上2点未満
△ :平均値が2点以上3点未満
× :平均値が3点以上
有効性は、ビーグル犬を用い、歯周病変部位の歯肉溝浸出液(GCF)中のトリプシン様活性の阻害作用により評価した。この活性は、主に歯周病原因菌であるポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)が産生する組織破壊酵素に起因し、歯周病との関連性が高いことが知られている。
なお、GCF採取量は、GCF採取前後のGCFコレクション ストリップス(ぺリオペーパー(登録商標)、ヨシダ社製)の質量差から求めた。
A=(薬剤処置前の活性)/(薬剤処置前の採取GCF質量)
B=(薬剤処置後の活性)/(薬剤処置後の採取GCF質量)
◎ :平均値が90%以上
○ :平均値が50%以上90%未満
△ :平均値が10%以上50%未満
× :平均値が10%未満
5mmol/Lシステインを含む20mmol/Lのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.5)を反応バッファー*2)とし、GCF抽出液*3)10μLと、反応バッファーにより10μmol/Lに調製した基質(Bz−Arg−MCA:カルボベンゾキシ−L−フェニルアラニル−L−アルギニン−4−メチルクマリル−7−アミド、ペプチド研究所製)140μLを混合し、37℃で60分間反応させた。反応により生成したAMC(7−アミノ−4−メチルクマリン)の蛍光強度を励起波長390nm、測定波長460nmで測定し(フルオロスキャン アセント、大日本製薬社製)、GCF中のトリプシン様活性とした。蛍光強度が強いほどトリプシン様活性が高く、評価したゲル剤の歯周病抑制効果が低いことになる。
L−システイン(シグマ アルドリッチ社製): 0.0788g
リン酸二水素ナトリウム二水和物(和光純薬工業社製): 0.312g
1N 水酸化ナトリウム(和光純薬工業社製): 適量(pH7.5に調整)
蒸留水: 残
(全量を100mLにメスアップ)
GCFコレクション ストリップスを各被験部位の歯周ポケットに30秒間挿入することで、GCFを採取し、10mmol/Lリン酸ナトリウムバッファー(pH6.0)100μLに浸漬し、十分に撹拌することで、GCFを抽出した。
*2 グリシン:湘南和光社製
*3 カルボキシビニルポリマー:B.F.Goodrich社製、カーボポール980
*4 POE(60)硬化ヒマシ油:日光ケミカルズ社製、HCO−60
**2 グルコン酸銅:富田製薬社製
**3 グリシン:味の素社製
**4 アラニン:湘南和光社製
**5 フェニルアラニン:湘南和光社製
**6 セリン:湘南和光社製
**7 プロリン:湘南和光社製
**8 アスパラギン酸:湘南和光社製
**9 アスパラギン:湘南和光社製
**10 カルボキシビニルポリマー:
B.F.Goodrich社製、カーボポール980
**11 ポリアクリル酸ナトリウム:日本純薬社製、レオジック250H
**12 POE(60)硬化ヒマシ油:日光ケミカルズ社製、HCO−60
**13 POE(20)ソルビタンステアリン酸エステル:
日光ケミカルズ社製、TS−10MV
**14 モノラウリン酸デカグリセリル:
日光ケミカルズ社製 Decaglyn 1−L
**15 ショ糖ステアリン酸エステル:
三菱化学フーズ社製、サーフホープJ−1816
**16 POE(9)ラウリルエーテル:日光ケミカルズ社製、BL−9EX
***2 グリシン:湘南和光社製
***3 カルボキシビニルポリマー:
B.F.Goodrich社製、カーボポール980
***4 POE(60)硬化ヒマシ油:日光ケミカルズ社製、HCO−60
***5 ヒドロキシプロピルメチルセルロース:
信越化学工業社製、メトローズ90SH−4000
***6 ポリビニルピロリドン:アイエスピー・ジャパン社製、ポピドンK−90
硫酸銅5水和物(関東化学社製) 0.2
モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 0.3
(日光ケミカルズ社製、商品名TS−10MV)
ショ糖ラウリン酸エステル 0.5
(三菱化学フーズ社製、商品名サーフホープJ−1216)
カルボキシビニルポリマー 1.5
(B.F.Goodrich社製、カーボポール980)
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.3
(信越化学工業社製、メトローズ90SH−4000)
ポリビニルピロリドン 0.5
(アイエスピー・ジャパン社製、ポピドンK−90)
グリシン(湘南和光社製) 0.5
グリセリン 10.0
水酸化ナトリウム 0.25
香料 1.0
水 バランス
合計 100.0%
無水ケイ酸 15.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
ポリアクリル酸ナトリウム 1.2
(日本純薬社製、レオジック250H)
グルコン酸銅(富田製薬社製) 0.1
ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル 0.3
(日光ケミカルズ社製、商品名NIKKOL BS−20)
グリシン(湘南和光社製) 0.2
サッカリンナトリウム 0.1
ソルビトール 10.0
香料 1.0
水 バランス
合計 100.0%
Claims (5)
- (A)グルコン酸銅、硫酸銅及びその水和物から選ばれる銅化合物、
(B)アミノ酸(但し、塩基性アミノ酸及び含硫アミノ酸を除く)又はその塩、
(C)カルボキシビニルポリマー及び/又はポリアクリル酸塩、
(D)非イオン性界面活性剤
を含有してなることを特徴とする口腔用組成物。 - 非イオン性界面活性剤が、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の口腔用組成物。
- (A)成分/(B)成分が質量比で0.01〜5である請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
- 更に、非イオン性の水溶性高分子化合物を含有する請求項1、2又は3に記載の口腔用組成物。
- ゲル剤として調製される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
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