JP2010207782A - 水蒸気改質触媒、それを用いた水蒸気改質方法、および水蒸気改質反応装置 - Google Patents

水蒸気改質触媒、それを用いた水蒸気改質方法、および水蒸気改質反応装置 Download PDF

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Abstract

【課題】酸素ガスが存在しない環境や水蒸気と炭素とのモル比(S/C)が低い条件においてもコーキングが起こりにくく、酸素含有炭化水素を水蒸気により効率的に改質することが可能な水蒸気改質触媒、およびこれを用いた酸素含有炭化水素の水蒸気改質方法を提供すること。
【解決手段】セリアとアルミナ、必要に応じてジルコニアがnmスケールで分散された複合酸化物を含む担体と、該担体に担持された長周期型周期表の8族〜10族に属する少なくとも1種の金属元素とを含有し、酸素含有炭化水素を水蒸気により改質するための触媒であることを特徴とする水蒸気改質触媒、およびこの触媒に水蒸気の存在下で酸素含有炭化水素を接触させることを特徴とする酸素含有炭化水素の水蒸気改質方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、水蒸気改質触媒、それを用いた水蒸気改質方法、および水蒸気改質反応装置に関し、より詳しくは、酸素含有炭化水素を水蒸気により改質する方法、それに用いる触媒、およびこの触媒を備える反応装置に関する。
自動車などからの二酸化炭素の排出量の削減が求められる中、バイオマスから得られるエタノールがカーボンニュートラル、特にCOニュートラルな燃料として注目されている。しかしながら、エタノールは発熱量が小さく、自動車などの内燃機関の燃料として利用するには、その一部または全部を水素や一酸化炭素などに改質して使用することが望ましい。
一方、自動車などの内燃機関において、水蒸気改質反応により燃料の一部または全部から水素や一酸化炭素を生成させ、これらを内燃機関に供給することによって熱効率や内燃機関の始動性を向上させるという技術が知られている。この水蒸気改質反応は通常、吸熱反応であるため、内燃機関からの排熱を利用して水蒸気改質反応を行なうことによって熱効率を向上させることが可能となる。
エタノールなどの酸素含有炭化水素を水蒸気により改質するための触媒としては、特表2003−503295号公報(特許文献1)に記載のα−アルミナまたはシリカ上にニッケルまたはニッケルと銅の混合物を担持させた触媒、特開2005−131468号公報(特許文献2)に記載の酸化ジルコニウム、酸化セリウムおよびセリウムジルコニウム複合酸化物から選択される1種以上の金属酸化物上にルテニウムを担持させた触媒、特開2006−43587号公報(特許文献3)に記載のセリウムを含む担体にルテニウムおよびロジウムなどから選択された少なくとも1種の活性金属成分を担持させた触媒などが知られている。
しかしながら、これらの水蒸気改質触媒においてはコーキングが起こりやすく、酸素含有炭化水素の水蒸気改質反応において触媒活性が低下するという問題があった。このようなコーキングを防ぐためには水蒸気と炭素とのモル比(S/C)を高くする必要があるが、S/Cを高くすると水を蒸発させるために大量のエネルギーが必要となり、熱効率の面で内燃機関の排熱を利用する利点が損なわれる。
また、従来の水蒸気改質触媒においては、400℃以下の低温での水蒸気改質反応における触媒活性が低く、内燃機関の始動時には酸素含有炭化水素を水蒸気により十分に改質できないといった問題があった。さらに、内燃機関の定常運転時には水素改質触媒が600℃以上の高温で長時間使用されることが多く、このような高温環境下では担持された金属が凝集して触媒活性が低下するといった問題もあった。特に、セリアやセリア−ジルコニア固溶体を担体とする触媒においては、酸化雰囲気での反応時に比べて還元雰囲気での反応である水蒸気改質反応時に、担持された金属がより凝集しやすく、触媒活性が低下する傾向にあった。
なお、特開2003−24783号公報(特許文献4)には、炭化水素、酸素および水蒸気を含むガスから水素を生成するための触媒として、セリアとアルミナがともにnmスケールで分散してなる複合酸化物粉末を含有する担体に貴金属を担持させた水素生成触媒が開示されている。また、特開2003−245554号公報(特許文献5)には、炭化水素、酸素および水蒸気を含むガスから水素を生成するための触媒として、およびセリアとジルコニアがnmスケールで分散してなる複合酸化物を含有する担体に貴金属を担持させた水素生成触媒が開示されている。これらの触媒はアルカンなどの炭化水素から水素を生成するための触媒であり、また、特許文献4〜5に記載の反応系においては、酸素ガスが含まれているため、コーキングが発生しにくく、触媒活性の低下は起こりにくい。
特表2003−503295号公報 特開2005−131468号公報 特開2006−43587号公報 特開2003−24783号公報 特開2003−245554号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、酸素含有炭化水素の水蒸気改質反応において、触媒活性が高く、さらに酸素ガスが存在しない環境や水蒸気と炭素とのモル比(S/C)が低い条件においてもコーキングが起こりにくい酸素含有炭化水素の水蒸気改質触媒、およびこれを用いた酸素含有炭化水素の水蒸気改質方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、セリアとアルミナ、必要に応じてジルコニアをnmスケールで分散させた複合酸化物を含む担体に、ロジウムなどの長周期型周期表の8族〜10族の金属原子を担持させることによって、酸素含有炭化水素の水蒸気改質反応において高い触媒活性を示し、コーキングが起こりにくい水蒸気改質触媒が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の水蒸気改質触媒は、セリアとアルミナとがともにnmスケールで分散された複合酸化物を含む担体と、該担体に担持された長周期型周期表の8族〜10族に属する少なくとも1種の金属元素とを含有し、酸素含有炭化水素を水蒸気により改質するための触媒であることを特徴とするものである。
前記複合酸化物としては、さらにジルコニアがnmスケールで分散されたものが好ましい。また、前記担体に担持された金属元素としてはロジウムが好ましい。
このような水蒸気改質触媒においては、前記複合酸化物を断面の直径が1nm以下の複数の微小領域に分割した場合に、全微小領域の90%以上において、微小領域内のセリウムおよびアルミニウムの含有率がそれぞれセリウムおよびアルミニウムの仕込み比率±20%の範囲内にあることが好ましく、さらに微小領域内のジルコニウムの含有率がジルコニウムの仕込み比率±20%の範囲内にあることがより好ましい。
本発明に用いられる前記複合酸化物中のセリアの含有量としては50〜99質量%が好ましい。前記複合酸化物がジルコニアを含むものである場合、前記複合酸化物中のセリアとジルコニアの含有量の合計としては50〜99質量%が好ましい。
本発明の酸素含有炭化水素の水蒸気改質方法は、水蒸気の存在下で、酸素含有炭化水素を本発明の水蒸気改質触媒に接触させることを特徴とする方法である。前記酸素含有炭化水素としてはエタノールが好ましい。本発明の水蒸気改質反応装置は、水蒸気改質触媒を備える触媒反応装置であり、本発明の酸素含有炭化水素の水蒸気改質方法に好適に使用することができる。
なお、本発明の水蒸気改質触媒によって酸素含有炭化水素の水蒸気改質反応における触媒活性が高くなる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の水蒸気改質触媒においては、担持された金属元素が水蒸気改質反応の際に酸化されたとしても、複合酸化物中にはセリアまたはセリア−ジルコニア固溶体が含まれているため、これらによって触媒表面の酸素が吸収され、前記金属元素が高い触媒活性を示すメタル状態に還元されて前記触媒活性が高くなるものと推察される。また、セリア、アルミナおよびジルコニアをnmスケールで分散させることによって複合酸化物の表面の吸着サイトが従来の水蒸気改質触媒に比べて増加し、水蒸気の吸着能が向上して酸素含有炭化水素と水蒸気とが効率的に接触して反応するため、前記触媒活性が高くなるものと推察される。
また、本発明の水蒸気改質触媒においてコーキングが発生しにくい理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。一般に、水蒸気改質触媒におけるコーキングは担体上の酸点で起こると考えられている。本発明に用いられる担体は、塩基性担体であるセリアと中性担体であるアルミナとを含み、必要に応じて中性担体であるジルコニウムを含む複合酸化物を含有するものであるため、担体上の酸点が少ない。このため、本発明の水蒸気改質触媒においてはコーキングが起こりにくく、触媒活性の低下が抑制されるものと推察される。また、担体の塩基度が高くなりすぎると担体に担持された金属元素が酸化されやすい傾向にあるが、本発明に用いられる担体は、塩基性担体と中性担体とを含有するため、適度な塩基度に保たれているものと推察される。なお、触媒担体として一般的な金属酸化物の塩基度は、シリカ<チタニア<アルミナ<ジルコニア<セリア<マグネシアの順に高くなる。
本発明によれば、酸素ガスが存在しない環境や水蒸気と炭素とのモル比(S/C)が低い条件においてもコーキングが起こりにくく、酸素含有炭化水素を水蒸気により効率的に改質して水素を生成させることが可能となる。
実施例1〜2で得た複合酸化物において、断面の直径が0.5nmの微小範囲内におけるCe、ZrおよびAlの原子比を示すグラフである。 実施例1〜2および比較例1〜6で得たペレット触媒についてのエタノールの水蒸気改質反応における触媒活性を示すグラフである。 実施例1〜2および比較例1〜6で得たペレット触媒についてのエタノールの水蒸気改質反応における耐コーキング性を示すグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明の水蒸気改質触媒について説明する。本発明の水蒸気改質触媒は、酸素含有炭化水素を水蒸気により改質するための触媒であり、セリアとアルミナと、必要に応じてジルコニアとがいずれもnmスケールで分散された複合酸化物を含む担体と、この担体に担持された長周期型周期表の8族〜10族に属する少なくとも1種の金属元素(以下、「担持金属元素」という。)とを含有するものである。
このようなセリアとアルミナと、必要に応じてジルコニアとをnmスケールで分散させた複合酸化物を含む担体を使用することによって、本発明の水蒸気改質触媒は、酸素含有炭化水素の水蒸気改質反応において高い触媒活性を示すものとなる。
本発明において、「nmスケールの分散」とは、複合酸化物を断面の直径が1nm以下の複数の微小領域に分割してその組成を高分解能を有するミクロ分析装置を用いて測定した場合に、前記微小領域の大部分が複数の成分によって形成されている状態をいう。このようなミクロ分析が可能な装置としては、例えば、日立製作所製「HD−2000」などの電界放射型走査透過顕微鏡(FE−STEM)が挙げられる。なお、「断面の直径が1nm以下の微小領域」とは、ミクロ分析装置を用いた測定において直径が1nm以下のビームを複合酸化物に照射した場合にこのビームが透過した複合酸化物中の領域を意味する。
本発明に用いられる複合酸化物としては、この複合酸化物を断面の直径が1nm以下の複数の微小領域に分割した場合に、前記微小領域内のセリウムおよびアルミニウムの含有率がそれぞれセリウムおよびアルミニウムの仕込み比率±20%(好ましくは±10%)の範囲内にあり且つこのような微小領域が全微小領域の90%以上であるものが好ましく、また、前記微小領域内のジルコニウムの含有率がジルコニウムの仕込み比率±20%(好ましくは±10%)の範囲内にあり且つこのような微小領域が全微小領域の90%以上であるものがより好ましい。このように大部分の微小領域の組成が仕込み組成とほぼ同一である複合酸化物は組成がほぼ均一であり、酸素含有炭化水素の水蒸気改質反応においてより高い触媒活性を示す傾向にある。なお、「セリウム、アルミニウムおよびジルコニウムの仕込み比率」とは、それぞれ複合酸化物を形成する金属の全仕込み量に対するセリウム、アルミニウムおよびジルコニウムの仕込み量の割合(単位:%)を意味する。また、「仕込み比率±20%の範囲内」とは、例えば、仕込み比率が70%の場合には50〜90%を意味する。
本発明の水蒸気改質触媒は、高温での酸素含有炭化水素の水蒸気改質反応においても高い触媒活性を示す傾向にある。この理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明に用いられる複合酸化物には、金属酸化物との固相反応性が低いセリアまたはセリア−ジルコニア固溶体が含まれており、前記担持金属元素が酸化され且つ600℃以上の高温に曝されたとしても、前記複合酸化物との固相反応が進行しにくく、酸化物の状態で安定化せずに高い触媒活性を示すメタル状態に還元されるため、前記触媒活性が高くなるものと推察される。また、前記複合酸化物と前記担持金属元素は強い相互作用を示し、600℃以上の高温においても前記複合酸化物を含む担体上の前記担持金属元素の粒成長が抑制されるため、前記触媒活性が高くなるものと推察される。さらに、セリアやセリア−ジルコニア固溶体は通常、水蒸気改質反応のような還元性雰囲気においては酸化性雰囲気に比べて粒成長しやすいが、互いに固溶しないセリアとアルミナまたはセリア−ジルコニア固溶体とアルミナが互いに障壁として作用して高温時における複合酸化物の粒成長が抑制され、これに担持された前記金属元素の粒成長も抑制されるため、前記触媒活性が高くなるものと推察される。
また、前記担持金属元素を酸化物の状態からメタル状態に還元する作用はセリアでも発現するが、セリアがジルコニアと固溶体を形成している場合に、より効果的に発現する。したがって、本発明に用いられる複合酸化物においては、セリアとジルコニアのそれぞれ少なくとも一部が立方晶系のセリア−ジルコニア固溶体を形成していることが好ましい。
さらに、本発明の水蒸気改質触媒は、高温に曝露された後においても複合酸化物のメソ細孔の細孔容積を高く維持することが可能となる。これは、前記障壁作用によって高温時の複合酸化物のシンタリングを抑制されるためであると推察される。なお、本発明におけるメソ細孔の細孔直径の範囲は、原理上、水銀ポロシメータを用いて測定可能な下限値3.5nmから100nmまでの範囲を意味する。本発明に用いられる複合酸化物の場合、細孔直径が3.5〜100nmの細孔の容積は、600℃で5時間の焼成後において0.07cm/g以上であり且つ800℃で5時間の焼成後において0.04cm/g以上であることが好ましく、600℃で5時間の焼成後において0.13cm/g以上であり且つ800℃で5時間の焼成後において0.10cm/g以上であることがより好ましく、600℃で5時間の焼成後において0.19cm/g以上であり且つ800℃で5時間の焼成後において0.15cm/g以上であることが特に好ましい。
本発明に用いられる複合酸化物としては、X線回折によるCeO(220)のピークの半値幅から計算したセリアの結晶子径が、600℃で5時間の焼成後において5〜10nmであり、800℃で5時間の焼成後において10〜20nmであり、さらに1000℃で5時間の焼成後において35nm以下であるものが好ましい。セリア結晶子径が前記範囲にあると高温時のシンタリングがより一層抑制され、高温に曝露された後においても十分な細孔容積を確保することができる傾向にある。
このように細孔容積が十分に確保された複合酸化物を含む担体に前記金属元素を担持させると、この金属元素はメソ細孔に高分散状態で担持される。また、このメソ細孔は、酸素含有炭化水素の水蒸気改質反応における反応場となるとともに、高温でも十分な細孔容積が確保されている。このため、本発明の水蒸気改質触媒は高温での酸素含有炭化水素の水蒸気改質反応においても高い触媒活性を示すものと推察される。
また、本発明の水蒸気改質触媒は、セリアとアルミナと、必要に応じてジルコニアとを含む複合酸化物からなる担体を使用しているため、耐コーキング性に優れている。上述したように、この耐コーキング性は、担体が適度な塩基度を有することによるものであるという観点から、前記複合酸化物が、塩基性担体であるセリアと中性担体であるアルミナとを含むものである場合には、この複合酸化物100質量%に対して、セリアの含有量が50〜99質量%であり且つアルミナの含有量が1〜50質量%であることが好ましく、セリアの含有量が70〜95質量%であり且つアルミナの含有量が5〜30質量%であることがより好ましい。セリアの含有量が前記下限未満になると(すなわち、アルミナの含有量が前記上限を超えると)担体の塩基度が低下してコーキングが起こりやすい傾向にあり、他方、セリアの含有量が前記上限を超えると(すなわち、アルミナの含有量が前記下限未満になると)担体の塩基度が高くなりすぎ、前記担持金属元素が酸化されやすくなるとともに、担体の熱安定性が低下する傾向にある。
また、前記複合酸化物がセリアとアルミナと中性担体であるジルコニアとを含むものである場合には、この複合酸化物100質量%に対して、セリアとジルコニアの含有量の合計が50〜99質量%であり且つアルミナの含有量が1〜50質量%であることが好ましく、セリアとジルコニアの含有量の合計が70〜95質量%であり且つアルミナの含有量が5〜30質量%であることがより好ましい。セリアとジルコニアの含有量の合計が前記下限未満になると(すなわち、アルミナの含有量が前記上限を超えると)担体の塩基度が低下してコーキングが起こりやすい傾向にあり、他方、前記上限を超えると(すなわち、アルミナの含有量が前記下限未満になると)担体の塩基度が高くなりすぎ、前記担持金属元素が酸化されやすくなるとともに、担体の熱安定性が低下する傾向にある。また、この場合、複合酸化物100質量%に対してジルコニアの含有量は1〜50質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。ジルコニアの含有量が前記下限未満になると前記担持金属元素を酸化物の状態からメタル状態に還元する作用がセリアとアルミナのみの場合と同等になる傾向にあり、他方、前記上限を超えてもこの作用がセリアとアルミナのみの場合よりも低くなる傾向にある。
本発明に用いられる複合酸化物は、例えば、以下の方法により製造することができる。先ず、セリウム化合物およびアルミニウム化合物が溶解した水溶液または水を含む溶液からセリア前駆体およびアルミナ前駆体を沈殿物として析出させる。このとき、必要に応じて前記水溶液または水を含む溶液にジルコニウム化合物を溶解させて、ジルコニア前駆体を沈殿物として析出させることもできる。また、セリア前駆体とジルコニア前駆体を沈殿物として同時に析出させると、その少なくとも一部が固溶体を形成する。
セリウム化合物、アルミニウム化合物およびジルコニウム化合物としては、一般には硫酸塩、硝酸塩、塩化物、酢酸塩などの塩が用いられる。また、塩を溶解する溶媒としては水およびアルコール類が挙げられる。さらに、例えば、硝酸アルミニウムを含む水溶液として水酸化アルミニウムと硝酸と水とを混合したものを使用することもできる。
前記前駆体の沈殿物は、前記水溶液または水を含む溶液にアルカリ性溶液を添加して溶液のpHを調節することによって析出させることができる。このとき、アルカリ性溶液を瞬時に添加して強撹拌したり、過酸化水素水などを添加して各前駆体が沈殿し始めるpHを調節した後、アルカリ性溶液などを添加したりすることによって各前駆体の沈殿物をほぼ同時に析出させることができる。一方、アルカリ性溶液を時間をかけて、例えば10分以上かけて添加して中和時間を長くしたり、溶液のpHをモニタリングして各前駆体の沈殿物が析出するpHに段階的に調節したり、溶液のpHが各前駆体の沈殿物が析出するpHに保たれるように緩衝溶液を添加したりすることによってアルミナ前駆体の沈殿物を他の前駆体の沈殿物よりも先に(またはその逆)析出させることができる。
前記アルカリ性溶液としては、アンモニア水や、炭酸アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどが溶解した水溶液またはアルコール溶液が挙げられる。中でも、複合酸化物を焼成する際に揮発することからアンモニア水、炭酸アンモニウムの水溶液またはアルコール溶液が好ましい。また、前記前駆体の沈殿物の析出反応を促進させるという観点から、アルカリ性溶液のpHは9以上であることが好ましい。
その後、このようにして得られた前駆体の沈殿物を、必要に応じて熟成させた後、焼成することによって本発明にかかる複合酸化物が得られる。
前記複合酸化物の製造方法において、前駆体の沈殿物を熟成させると加温の熱によって沈殿物の溶解、再析出が促進されるとともに得られる複合酸化物粒子を成長させることができ、比較的結晶性が高く適度な粒子径を有する結晶子からなる複合酸化物を得ることができる。熟成温度としては、室温以上が好ましく、100〜200℃がより好ましく、100〜150℃が特に好ましい。熟成温度が前記下限未満になると熟成による促進効果が小さく、熟成に要する時間が長くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると水蒸気圧が極めて高くなるため、耐圧容器が必要となり製造コストが高くなる傾向にある。
前記複合酸化物の製造方法において、沈殿物の焼成は大気中で行なうことができる。焼成温度としては300〜800℃が好ましい。焼成温度が前記下限未満になると得られる複合酸化物が担体としての安定性に欠ける傾向にあり、他方、前記上限を超えると複合酸化物の比表面積が低下する傾向にある。
以上、本発明に用いられる複合酸化物の好適な製造方法について説明したが、前記複合酸化物の製造方法は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、前駆体の沈殿物を含む溶液をそのまま加熱して溶媒を蒸発させて沈殿物を乾固させ、そのその後、焼成することもできる。この場合、沈殿物の乾固中に沈殿物が熟成されるため、沈殿物の乾固は前記熟成温度で実施することが好ましい。
本発明の水蒸気改質触媒に用いられる担体は、このような複合酸化物を含むものであれば特に制限はなく、前記複合酸化物のみからなるものであっても、前記複合酸化物と他の多孔質酸化物との混合物からなるものであってもよい。前記他の多孔質酸化物としては、アルミナ、セリア、ジルコニア、チタニア、シリカなどが挙げられ、これらの酸化物は1種を単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。前記複合酸化物と他の多孔質酸化物との混合物において、前記複合酸化物の含有量としては50質量%以上が好ましい。前記複合酸化物の含有量が前記下限未満になると酸素含有炭化水素の水蒸気改質反応における触媒活性が低下する傾向にある。
本発明の水蒸気改質触媒は、このような複合酸化物を含む担体と、これに担持された長周期型周期表の8族〜10族に属する少なくとも1種の金属元素を含有するものである。前記周期表8族〜10族に属する金属元素のうち、酸素含有炭化水素の水蒸気改質反応において高い触媒活性を示すという観点からロジウム、ルテニウム、ニッケル、コバルト、イリジウムが好ましく、ロジウム、ルテニウム、ニッケルがより好ましい。また、前記周期表8族〜10族に属する金属元素は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
本発明の水蒸気改質触媒中の担持金属元素の含有量としては、担体100質量部に対して0.02〜50質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。担持金属元素の含有量が前記下限未満になると酸素含有炭化水素の水蒸気改質反応において十分な触媒活性が得られない傾向にあり、他方、前記上限を超えると担持金属元素が粒成長して前記触媒活性が向上しない傾向にある。
前記金属元素の担持方法としては、例えば、前記金属元素の化合物を所定の濃度で含有する溶液に前記複合酸化物を含む担体を浸漬して所定量の金属元素を含む溶液を前記担体に含浸させ、これを焼成する方法などが挙げられる。このとき、前記複合酸化物を含む担体はペレットなどの粉末状で使用してもよいし、予め、コーティングなどにより前記複合酸化物を含む担体をコージェライト製ハニカム基材などの公知の基材に固定化して使用してもよい。
このような担持方法における焼成は大気中で実施することができる。焼成温度としては200〜600℃が好ましい。焼成温度が前記下限未満になると前記金属元素の化合物が十分に熱分解せず、メタル状態になりにくくなるため、活性が低くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると担持させた金属元素が粒成長して酸素含有炭化水素の水蒸気改質反応における触媒活性が低下する傾向にある。また、焼成時間としては0.1〜100時間が好ましい。焼成時間が前記下限未満になると前記金属元素の化合物が十分に熱分解せず、メタル状態になりにくくなるため、活性が低くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えてもそれ以上の効果は得られず、触媒を調製するためのコストの増大に繋がる。
本発明の水蒸気改質触媒の形状は特に制限されず、用途に応じて、ペレット状、モノリス状、ハニカム状またはフォーム状など各種形状に成形することができる。
このような本発明の水蒸気改質触媒は、酸素含有炭化水素を水蒸気によって改質するために使用されるものであり、この酸素含有炭化水素の水蒸気改質反応において高い触媒活性を示すものである。
次に、本発明の酸素含有炭化水素の水蒸気改質方法について説明する。本発明の酸素含有炭化水素の水蒸気改質方法は、水蒸気の存在下で、酸素含有炭化水素を本発明の水蒸気改質触媒に接触させて水素を生成させる方法である。
このような水蒸気改質方法に用いられる水蒸気改質反応装置としては、本発明の水蒸気改質触媒を備えるものであれば特に制限はなく、固定床流通式反応装置、流動床式反応装置など従来公知の触媒反応装置を使用することができる。
前記酸素含有炭化水素としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールといったアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、といったエーテル類などが挙げられる。これらの酸素含有炭化水素のうち、常温で液体であるため取り扱いやすく、安全性が高く、水(水蒸気)との親和性が高く、入手がしやすいという観点から、本発明の水蒸気改質方法を、メタノール、エタノール、ジエチルエーテルに対して適用することが好ましく、メタノール、エタノールに対して適用することがより好ましい。
本発明の酸素含有炭化水素の水蒸気改質方法において、前記酸素含有炭化水素と水蒸気はそれぞれ独立して反応装置に供給してもよいし、予めこれらを混合した後、反応装置に供給してもよい。
前記酸素含有炭化水素と水蒸気との混合比は特に制限はないが、例えば、酸素含有炭化水素がエタノールの場合においては、水蒸気と炭素のモル比(S/C)が0.2〜2であることが好ましく、0.4〜1であることがより好ましい。本発明の水蒸気改質触媒を用いることによって、従来、コーキングが発生していた低S/Cの条件下においても酸素含有炭化水素を改質することができる。すなわち、本発明の酸素含有炭化水素の水蒸気改質方法は、S/C=0.2〜0.6(好ましくは0.4〜0.6)の低S/Cの条件下での改質反応に特に有効である。
前記改質反応の温度としては250〜650℃が好ましく、350〜600℃がより好ましい。本発明の水蒸気改質触媒を用いることによって、従来、触媒活性が低く、酸素含有炭化水素の水蒸気改質が困難であった400℃以下の低温や600℃以上の高温においても酸素含有炭化水素を改質させることが可能となる。すなわち、本発明の酸素含有炭化水素の水蒸気改質方法は、400℃以下の低温や600℃以上の高温での改質反応に特に有効である。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、複合酸化物および混合酸化物の各物性は以下の方法により測定した。
<比表面積>
全自動比表面積測定装置を用いて、液体窒素温度(−196℃)におけるN吸着を利用したBET一点法により算出した。
<粒子の各金属原子の分散性>
電界放射型走査透過顕微鏡(FE−STEM、(株)日立製作所製「HD−2000」)を用いて、ロジウムを担持させる前の複合酸化物粒子の金属原子の分散性を以下の方法により観察した。
すなわち、前記FE−STEMにおいて、複合酸化物粉末中の重なりのない1つの粒子に直径0.5nmの電子線ビームを加速電圧200kVで照射し、試料から発生した特性X線を、前記FE−STEMに装着されたEDX検出器(NCRAN社製「Vatage EDX system」)により検出して、複合酸化物粒子について、断面の直径が0.5nmの微小領域内の元素分析を行なった。この元素分析を5箇所の微小領域について行なった。なお、「断面の直径が0.5nmの微小領域」とは、前記複合酸化物粒子に照射された直径0.5nmの電子線ビームが透過した複合酸化物中の領域を意味する。
(実施例1)
硝酸アルミニウム9水和物0.2モル(75.1g)を2000mlのイオン交換水に添加し、プロペラ撹拌器で5分間撹拌して溶解した。この溶液にCeO換算の濃度が28質量%の硝酸セリウム水溶液304g(CeO換算で0.5モルに相当)を添加して5分間撹拌した。得られた混合水溶液に25質量%のアンモニア水177gを添加して10分間撹拌し、沈殿物を含む水溶液を得た。この水溶液を2気圧の加圧下、120℃で2時間加熱処理し、沈殿物を熟成させた。
熟成させた沈殿物を含む水溶液を100℃/時間の昇温速度で400℃まで加熱し、さらに400℃で5時間仮焼成した後、600℃で5時間焼成してセリア−アルミナ複合酸化物粉末を調製した。得られた複合酸化物粉末は、約89質量%のCeOと約11質量%のAlによって構成されており、その比表面積は90m/gであった。
また、上述した方法に従って、得られた複合酸化物の粒子について、断面の直径が0.5nmの微小領域内の元素分析を行なった。その結果を図1に示す。なお、図1中の「●」は仕込み比を表し、「○」は前記方法により元素分析した組成比を表す(以下、他の実施例においても同じ)。この結果から明らかなように、得られた複合酸化物粉末は、元素分析を行なったいずれの微小領域においてもCeおよびAlの含有率がそれぞれこれらの仕込み比率(Ce=71%、Al=29%)±約10%の範囲内(図1中の点線の範囲内)のものであった。すなわち、前記複合酸化物粉末は、断面の直径が0.5nmの微小領域のいずれにおいてもほぼ仕込み比率の金属元素を含むものであり、その粒子においてセリアとアルミナがnmスケールで分散されたものであることが確認された。
次いで、この複合酸化物粉末に所定濃度の硝酸ロジウム水溶液を所定量含浸させた後、大気中、500℃で3時間焼成して複合酸化物粉末100質量部当り3質量部のロジウムを担持させた。その後、このロジウム担持複合酸化物粉末を定法によりペレット状に成形して粒径1.0〜1.7mmのペレット触媒を得た。
(実施例2)
硝酸アルミニウム9水和物0.2モル(75.1g)を2000mlのイオン交換水に添加し、プロペラ撹拌器で5分間撹拌して溶解した。この溶液にCeO換算の濃度が28質量%の硝酸セリウム水溶液265g(CeO換算で0.43モルに相当)を添加して5分間撹拌した。次いで、この混合水溶液に、硝酸ジルコニル2水和物0.068モル(18.1g)をイオン交換水30gに溶解した水溶液を添加して5分間撹拌した。得られた混合水溶液に25質量%のアンモニア水177gを添加して10分間撹拌し、沈殿物を含む水溶液を得た。
その後、実施例1と同様にして、沈殿物を熟成させ、400℃での仮焼成と600℃での焼成を施してセリア−ジルコニア−アルミナ複合酸化物粉末を調製した。得られた複合酸化物粉末は、約80質量%のCeOと約9質量%のZrOと約11質量%のAlによって構成されており、その比表面積は100m/gであった。
また、上述した方法に従って、得られた複合酸化物について、断面の直径が0.5nmの微小領域内の元素分析を行なった。その結果を図1に示す。この結果から明らかなように、得られた複合酸化物粉末は、元素分析を行なったいずれの微小領域においてもCe、ZrおよびAlの含有率がそれぞれこれらの仕込み比率(Ce=61%、Zr=10%、Al=29%)±約10%の範囲内(図1中の点線の範囲内)のものであった。すなわち、前記複合酸化物粉末は、断面の直径が0.5nmの微小領域のいずれにおいてもほぼ仕込み比率の金属元素を含むものであり、その粒子においてセリアとジルコニアとアルミナがnmスケールで分散されたものであることが確認された。
次いで、この複合酸化物粉末に、実施例1と同様にして複合酸化物粉末100質量部当り3質量部のロジウムを担持させた後、ペレット状に成形して粒径1.0〜1.7mmのペレット触媒を得た
(比較例1)
前記複合酸化物粉末の代わりにα−アルミナ(昭和電工(株)製、比表面積20m/g)粉末に、実施例1と同様にしてα−アルミナ粉末100質量部当り3質量部のロジウムを担持させた後、ペレット状に成形して粒径1.0〜1.7mmのペレット触媒を得た。
(比較例2)
前記複合酸化物粉末の代わりにγ−アルミナ(昭和電工(株)製、比表面積150m/g)粉末に、実施例1と同様にしてγ−アルミナ粉末100質量部当り3質量部のロジウムを担持させた後、ペレット状に成形して粒径1.0〜1.7mmのペレット触媒を得た。
(比較例3)
前記複合酸化物粉末の代わりにジルコニア(第一稀元素化学工業(株)製、比表面積100m/g)粉末に、実施例1と同様にしてジルコニア粉末100質量部当り3質量部のロジウムを担持させた後、ペレット状に成形して粒径1.0〜1.7mmのペレット触媒を得た。
(比較例4)
前記複合酸化物粉末の代わりにセリア(阿南化成(株)製、比表面積120m/g)粉末に、実施例1と同様にしてセリア粉末100質量部当り3質量部のロジウムを担持させた後、ペレット状に成形して粒径1.0〜1.7mmのペレット触媒を得た。
(比較例5)
前記セリア−アルミナ複合酸化物粉末の代わりにセリア−ジルコニア複合酸化物(阿南化成(株)製、比表面積120m/g)粉末に、実施例1と同様にしてセリア−ジルコニア複合酸化物粉末100質量部当り3質量部のロジウムを担持させた後、ペレット状に成形して粒径1.0〜1.7mmのペレット触媒を得た。
(比較例6)
セリア(阿南化成(株)製、比表面積120m/g)粉末とγ−アルミナ(昭和電工(株)製、比表面積150m/g)粉末を質量比89:11の割合で回転式ブレンダーに入れて十分に混合した。この混合酸化物粉末中のセリアとγ−アルミナの含有率は実施例1で得た複合酸化物粉末全体のセリアとγ−アルミナの含有率と同じである。また、ここで使用したセリアの粒子径は約10nmであり、アルミナの粒子径は20nm以下であった。従って、これらの酸化物粉末を上記のように物理的に混合してもnmスケールで分散した状態にならないことは明らかである。
次いで、前記セリア−アルミナ複合酸化物粉末の代わりにこのセリアとγ−アルミナとの混合酸化物粉末に、実施例1と同様にしてセリアとγ−アルミナとの混合酸化物粉末100質量部当り3質量部のロジウムを担持させた後、ペレット状に成形して粒径1.0〜1.7mmのペレット触媒を得た。
<エタノールの水蒸気改質反応>
実施例および比較例で得たペレット触媒1.34gをそれぞれ内径9.8mmの石英反応管に充填し、この石英反応管を固定床流通式反応装置に装着した。このペレット触媒に
水素(20容量%)と窒素(80容量%)の混合ガスを3.5L/分、500℃で1時間流通させて前処理を施した。
次に、このペレット触媒にエタノール水溶液(エタノール:水(モル比)=1:2)を0.120モル/分(エタノール0.040モル/分、水0.080モル/分)と窒素ガス0.8L/分を連続的に供給し、以下のようにして所定温度におけるペレット触媒の活性を測定した。なお、前記条件における水蒸気と炭素のモル比(S/C)は1.0である。
先ず、ペレット触媒を650℃で30分間保持した後、ペレット触媒からの出ガスを、氷冷却した凝縮器に通してドライガスとし、ガスクロマトグラフ法によりドライガス中のH、CO、COの濃度を測定して出ガス濃度が安定したことを確認した。次に、ペレット触媒を所定の温度に降温した後、上記と同様にして出ガス濃度を測定して安定したことを確認し、ドライガス中のH、CO、COの濃度を求めた。触媒温度400℃におけるHとCOの生成濃度の合計を図2に示す。
図2に示した結果から明らかなように、触媒担体として、本発明にかかるセリア−アルミナ複合酸化物を用いた場合(実施例1)およびセリア−ジルコニア−アルミナ複合酸化物を用いた場合(実施例2)には、α−アルミナを用いた場合(比較例1)、γ−アルミナを用いた場合(比較例2)、ジルコニアを用いた場合(比較例3)、セリアを用いた場合(比較例4)およびセリア−ジルコニア複合酸化物を用いた場合(比較例5)に比べて、HとCOの生成濃度の合計値が高く、同じ担持量でもロジウムが有効に利用され、高い触媒活性を示すことが確認された。
また、セリアとアルミナがnmスケールで分散している場合(実施例1)には、セリアとアルミナの分散スケールがnmオーダーよりも大きい場合(比較例6)に比べて、触媒のバルク組成が同じであるにも関わらず、HとCOの生成濃度の合計値が高くなった。この結果から、本発明の水蒸気改質触媒においてはセリアとアルミナがnmスケールで分散しているため、酸素含有炭化水素の水蒸気改質反応における触媒活性が向上したことが確認された。
<耐コーキング性>
前記エタノールの水蒸気改質反応を実施した後、前記石英反応管に充填されたペレット触媒に、エタノール水溶液(エタノール:水(モル比)=1:1)を0.080モル/分(エタノール0.040モル/分、水0.040モル/分)を連続的に供給しながら触媒温度を400℃に保持した。なお、前記条件におけるS/Cは0.5であり、S/C=1.0の場合よりコーキングが起こりやすい条件である。
供給開始直後および供給開始から5時間経過後において、上記と同様にしてドライガス中のH、CO、COの濃度を測定した。供給開始直後および供給開始から5時間経過後のHとCOの生成濃度の合計を図3に示す。
図3に示した結果から明らかなように、本発明の水蒸気改質触媒(実施例1〜2)においては、コーキングがほとんど起こらず、高い触媒活性が維持されていることが確認された。一方、触媒担体として、α−アルミナを用いた場合(比較例1)、γ−アルミナを用いた場合(比較例2)およびジルコニアを用いた場合(比較例3)においては、供給開始から5時間経過後には触媒活性が著しく低下し、触媒が黒く変色していた。これらの触媒を大気中で焼成し、上記と同様にしてエタノールの水蒸気改質反応を実施したところ、触媒温度400℃におけるHとCOの生成濃度の合計は、8%(比較例1)、9%(比較例2)、18%(比較例3)であり、触媒活性はほぼ回復した。これらの結果から、比較例1〜3で得た触媒においては、それらの担体がアルミナまたはジルコニアであるため、酸点に炭素が付着しやすく、コーキングが発生して触媒活性が低下したものと推察される。また、触媒担体としてセリアとγ−アルミナとの混合酸化物を用いた場合(比較例6)においては、アルミナの酸点がセリアと相互作用していないため、この混合酸化物中のアルミナの含有量に相当する分の酸点が存在し、コーキングが発生して触媒活性が低下したものと推察される。
以上説明したように、本発明によれば、コーキングを起こすことなく、エタノールなどの酸素含有炭化水素を水蒸気によって効率的に改質して水素を生成させることが可能となる。
したがって、本発明の水蒸気改質触媒は、酸素含有炭化水素の水蒸気改質反応における触媒活性が高く、耐コーキング性にも優れるため、自動車などの内燃機関においてエタノールなどの酸素含有炭化水素を燃料として使用した場合に、これを水蒸気により改質して水素や一酸化炭素を生成させる際の触媒などとして有用である。

Claims (10)

  1. セリアとアルミナとがともにnmスケールで分散された複合酸化物を含む担体と、該担体に担持された長周期型周期表の8族〜10族に属する少なくとも1種の金属元素とを含有し、酸素含有炭化水素を水蒸気により改質するための触媒であることを特徴とする水蒸気改質触媒。
  2. 前記複合酸化物を断面の直径が1nm以下の複数の微小領域に分割した場合に、全微小領域の90%以上において、微小領域内のセリウムおよびアルミニウムの含有率がそれぞれセリウムおよびアルミニウムの仕込み比率±20%の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の水蒸気改質触媒。
  3. 前記複合酸化物中のセリアの含有量が50〜99質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の水蒸気改質触媒。
  4. 前記複合酸化物は、さらにジルコニアがnmスケールで分散されたものであることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の水蒸気改質触媒。
  5. 前記複合酸化物を断面の直径が1nm以下の複数の微小領域に分割した場合に、全微小領域の90%以上において、微小領域内のジルコニウムの含有率がジルコニウムの仕込み比率±20%の範囲内にあることを特徴とする請求項4に記載の水蒸気改質触媒。
  6. 前記複合酸化物中のセリアとジルコニアの含有量の合計が50〜99質量%であることを特徴とする請求項4または5に記載の水蒸気改質触媒。
  7. 前記担体に担持された金属元素がロジウムであることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の水蒸気改質触媒。
  8. 水蒸気の存在下で、酸素含有炭化水素を請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の水蒸気改質触媒に接触させることを特徴とする酸素含有炭化水素の水蒸気改質方法。
  9. 前記酸素含有炭化水素がエタノールであることを特徴とする請求項8に記載の水蒸気改質方法。
  10. 請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の水蒸気改質触媒を備えることを特徴とする水蒸気改質反応装置。
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