JP2010207196A - 含気チョコレート及び焼成含気チョコレート並びにそれらの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】気泡を多く含み軽い食感でありながら、なお且つなめらかな口どけを有する含気チョコレート及び焼成含気チョコレート、並びにこれらの製造方法を提供する。
【解決手段】チョコレート原液生地にデカグリセリンデカステアリン酸エステルを含有せしめて攪拌し、平均含気泡径が10〜100μmであり、且つ、比重が0.3〜0.7である含気チョコレートを得る。また、その含気チョコレートを焼成して焼成含気チョコレートを得る。焼成はシュバンクバーナーを用いて行うことが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、含気チョコレート、及び焼成含気チョコレート、並びにそれらの製造方法に関する。
含気チョコレート、又はこれを焼成してなる焼成含気チョコレートは、チョコレート生地に微小な気泡を取り込ませた後に、固化することにより製造され、その内部に包含された微小な気泡により、通常のチョコレートとは異なった軽い食感が味わえるという特徴を有する。
チョコレート生地に微小な気泡を取り込ませるには、例えばチョコレート生地を、必要に応じて加熱、冷却、加圧、減圧しながら、ミキサー、含気ミキサー装置等を用いて撹拌することなどにより行うのであるが、その際、チョコレート油脂成分の性状を調整し、十分な気泡をチョコレート中に安定に分散させるために、チョコレート生地に乳化剤を配合することが行われている。
例えば、特許文献1、2では、少ない乳化剤添加量で含気チョコレートを製造することを目的として、その乳化剤として、炭素数14、16、または18からなる飽和脂肪酸をその構成成分とするジグリセリンモノ脂肪酸エステルを主成分とするポリグリセリン脂肪酸エステル(特許文献1)や、モノ脂肪酸ジ有機酸グリセリンおよび/またはジ脂肪酸モノ有機酸グリセリン(特許文献2)が用いられている。また、特許文献3では、過剰に気体を含ませることなく、適度な含気量で、口当たりが軽く滑らかな食感を有する含気チョコレートを提供することを目的として、その乳化剤として、モノエステル体の含有量が50質量%以上であるトリグリセリン脂肪酸エステルが用いられている。
特開2001−136911号公報 特開2005−73610号公報 特開2007−236289号公報
含気チョコレートにおいて、気泡サイズとチョコレートの比重には、次のような関係が存在する。すなわち、気泡サイズを小さくしていくと、口溶けが良くなる。一方、含気チョコレートの比重を小さくしていくと、軽い食感となる。
従来、これらの一方のみの特性を制御する技術はあったが、気泡サイズが小さく、かつ、チョコレートの比重が軽くなるように双方の特性を両立させる技術は見当たらなかった。
したがって、本発明の目的は、気泡を多く含み軽い食感でありながら、なお且つなめらかな口どけを有する含気チョコレート及び焼成含気チョコレート、並びにこれらの製造方法の提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、含気チョコレートに含有させる気泡の含気量が多くても、その平均気泡径を小さくして微細にすることで、軽い食感でありながら、なお且つなめらかな口どけを有する含気チョコレートを得ることができること、並びに、それを焼成すると、表面はパリッとした食感でありながら、内部はなめらかで軽い食感がよく保たれることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の含気チョコレートは、平均含気泡径が10〜100μmであり、且つ、比重が0.3〜0.7であることを特徴とする。
本発明の含気チョコレートによれば、平均含気泡径が10〜100μmであり、且つ、比重が0.3〜0.7となるように調製されているので、軽い食感でありながら、なお且つなめらかな口どけを有する。
本発明の含気チョコレートにおいては、デカグリセリンデカステアリン酸エステルを含有することが好ましい。これによれば、微細な気泡をチョコレート中に安定して形成することができる。
本発明の含気チョコレートは、これを焼成して焼成含気チョコレートとしてもよい。含気チョコレートは、熱伝導性が良いためか、気泡を有していないチョコレートに比べ、一般的に焼成され易い性質を有する。ここで、含気チョコレートの焼成度合いを軽くして、表面は加熱により溶融性を示さない状態に熱変性し、内部は、熱変性しない状態を維持するようにすることにより、表面はパリッとした食感になるとともに、内部はなめらかで軽い食感とすることができるため、好ましい焼成チョコレートにすることができる。
一方、本発明の含気チョコレートの製造方法は、チョコレート生地にデカグリセリンデカステアリン酸エステルを含有せしめて攪拌し、平均含気泡径が10〜100μmであり、且つ、比重が0.3〜0.7である含気チョコレートを得ることを特徴とする。
本発明の含気チョコレートの製造方法によれば、チョコレート生地にデカグリセリンデカステアリン酸エステルを含有せしめて攪拌することにより、微細な気泡が安定して形成されるので、平均含気泡径が10〜100μmであり、且つ、比重が0.3〜0.7である含気チョコレートを容易に製造することができる。その結果、軽い食感でありながら、なお且つなめらかな口どけを有する含気チョコレートを得ることができる。
本発明においては、上記含気チョコレートの製造方法により含気チョコレートを得、その後該含気チョコレートを焼成することを特徴とする焼成含気チョコレートの製造方法も提供される。この製造方法により得られた焼成含気チョコレートは、前述したように、その表面だけが焼成により熱変性して、内部はそれほど熱変性しないため、表面はパリッとした食感となるが、内部はなめらかで軽い食感が保たれた状態になる。その焼成の程度としては、表面は、加熱により溶融性を示さない状態に熱変性し、内部は、熱変性しない状態を維持するように焼成されていることが好ましい。
本発明の焼成含気チョコレートの製造方法においては、シュバンクバーナーにより焼成することが好ましい。これによれば、表層の浅い部分のみが変性して硬い組織となり、表面ではパリパリ感がより際立ち、内部では軽くなめらかな食感が非常によく保たれる。
本発明によれば、軽い食感でありながら、なお且つなめらかな口どけを有する、従来にない食感の含気チョコレートを提供することができる。また、それを焼成することにより、表面はパリッとした食感でありながら、内部はなめらかで軽い食感の焼成チョコレートを得ることができる。
本発明の含気チョコレートは、気泡をチョコレート生地に包含させることにより調製され、その気泡の平均含気泡径が10〜100μmであり、且つ、含気チョコレート自体の比重が0.3〜0.7である含気チョコレートである。また、本発明の焼成含気チョコレートは、平均含気泡径が10〜100μmであり、且つ、比重が0.3〜0.7である含気チョコレートを焼成してなるものである。
本発明の含気チョコレートは、例えば以下のようにして製造することができる。
まず、常法に従い、チョコレート原料の微粒化、精練等を行ない、チョコレート生地を調製する。チョコレート原料としては、例えば、カカオマス及び/又はココア10〜40質量%、糖類20〜50質量%、粉乳5〜30質量%、ココアバター及び/又はココアバター代用脂20〜40質量%、乳化剤0〜5質量%、香料0〜1質量%等を含む配合からなるものを用いることができる。チョコレート生地の種別としては、例えば、純チョコレート生地、準チョコレート生地、その他の一般的に用いられているチョコレート生地を採用することができる。
上記糖類としては、例えば、砂糖に、必要に応じて乳糖等の他の糖類や、糖アルコールなどを配合したものが好ましく用いられる。また、粉乳としては、例えば全脂粉乳、脱脂粉乳等を用いることができる。
ココアバター及び/又はココアバター代用脂としては、ココアバター等のテンパリング型油脂だけを用いることもできるが、焼成する場合には、チョコレートを焼成した後、テンパリング操作を行うことができないので、ヤシ油、パーム核油を原料としたハードバター、エライジン酸を構成脂肪酸とするトランス型ハードバター等のノンテンパリング型の油脂を少なくとも一部に用いることが好ましい。
上記のチョコレート生地を、必要に応じて加熱、冷却、加圧、減圧しながら、激しく撹拌して、気泡を含有させる。撹拌は、例えばミキサー、含気ミキサー装置等を用いて行うことができる。気泡の含有量は、得られる含気チョコレートの比重が0.3〜0.7、より好ましくは0.3〜0.5、最も好ましくは0.3〜0.4となるようにする。また、気泡径は、平均含気泡径が10〜100μm、より好ましくは10〜50μm、最も好ましくは10〜25μmとなるようにする。比重が0.7を超えると軽い食感が得られないので好ましくない。また、比重が上記範囲にあっても平均含気泡径が100μmを超えると、ぼそつきのある食感となってしまうので好ましくない。
上記範囲の比重及び平均気泡径にするには、チョコレート原料の配合や、気泡を含有させる攪拌の際の条件を適宜選択することによっても行うことができるが、後述する実施例で示されるように、特に、チョコレート生地に配合する乳化剤が、得られる含気チョコレートの比重やその気泡の平均含気泡径についての変動要因となる。したがって、本発明においては、乳化剤として、ポリグリセリンの水酸基が脂肪酸によりエステル化してなる、ポリグリセリン脂肪酸エステルを用いることが好ましく、ポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸の構成としてはステアリン酸などを好ましく例示できる。また、ポリグリセリンの重合度が3〜10であることが好ましく、エステル化度が3〜10であることが好ましく、HLB値が5以下であることが好ましい。このような特性を有する乳化剤としては、デカグリセリンデカステアリン酸エステルが最も好ましく例示できる。なお、チョコレート生地に配合する乳化剤が、得られる含気チョコレートの比重やその気泡の平均含気泡径についての変動要因となるのは、乳化剤がチョコレート油脂成分の性状を調整して、十分な気泡をチョコレート中に安定に分散させるのに寄与しているからであると考えられる。
上記乳化剤の添加量は、チョコレート生地中に0.1〜5質量%含有させることが好ましく、0.5〜3質量%含有させることがより好ましい。
従来、チョコレートに用いられる乳化剤は、その添加により、粘度の上昇をもたらすため、粘度の上昇を抑制し、チョコレートの加工特性を維持する目的で、他の種類の乳化剤を併用する場合があった。この場合、チョコレートに対する乳化剤の総添加量が増えるため、乳化剤特有の異質な臭いやチョコレート風味の劣化を引き起こすことになり、好ましくない。しかし、上記乳化剤は、それ自身に粘度上昇抑制効果があるため、他の種類の乳化剤を用いる必要がなくその総添加量を抑えることができるので、チョコレート本来の風味を活かすことが可能である。
上記のようにして得られる含気チョコレートには、副原料として、例えば、ナッツ類破砕物、膨化型スナック食品、ビスケットチップ、キャンディーチップ、チョコレートチップ等を含有させてもよい。その場合、十分な気泡をチョコレート中に安定に分散させるのを妨げないようにするために、含気させた後にチョコレート生地中に含有させることが好ましい。例えば、含気させた後であって生地の流動性が失われていない間に添加することによって、その副原料をチョコレート生地の内部にも包含させることができる。
ナッツ類の破砕物としては、アーモンド、ピーナッツ、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、マカダミアナッツ、クルミ等を所望の大きさに破砕したものが好ましく用いられる。また、膨化型スナック食品としては、例えば、とうもろこし、小麦、米等の原料をエクストルーダで加圧、加熱して押出して膨化させたものや、小麦粉、米粉、各種澱粉等の澱粉質原料に、副原料、調味料、水等を加えて加熱糊化し、膨化させたもの等が好ましく用いられる。
また、上記のようにして得られる含気チョコレートは、所望の形状に成形することができる。成形方法は、特に限定されない。例えば、含気させた後であって生地の流動性が失われていない間に、モールド(型)に入れて成形する方法、押出機のダイから所定形状に押出して切断する方法、コンベア等の上にチョコレート生地を直接落として固化させるドロップ成形方法等によって、好ましく成形することができる。また、含気チョコレートの外周に、気泡を含有しないチョコレート生地をコーティングしたり、気泡を含有しないチョコレート生地でシェルを形成した後、このシェルの中に含気チョコレートを充填するなど、気泡を含有しないチョコレート生地と、含気チョコレートとを組み合わせて成形してもよい。
本発明においては、上記のようにして得られた含気チョコレートを焼成して、焼成含気チョコレートを製造することができる。含気チョコレートは、熱伝導性が良いためか、気泡を有していないチョコレートに比べ、一般的に焼成され易い性質を有する。ここで、含気チョコレートの焼成度合いを軽くして、表面は加熱により溶融性を示さない状態に熱変性し、内部は、熱変性しない状態を維持するようにすることにより、表面はパリッとした食感になるとともに、内部はなめらかで軽い食感とすることができるため、好ましい焼成チョコレートにすることができる。
なお、本発明において「加熱により溶融性を示さない状態」とは、得られる焼成チョコレートの表層では焼成により、新たな硬い組織を形成した状態を意味する。この状態になると、ヒトの体温の37℃付近にしても、通常のチョコレートのように流動化することがない。また、「熱変性しない状態」とは、得られる焼成チョコレートの表層より深い内部では、そのような変質が起こらずに、又はその程度が低く、チョコレート本来の風味や滑らかさが維持された状態となっていることを意味する。すなわち、ヒトの体温の37℃付近に加温されれば、通常のチョコレートのように流動化する。
焼成は、例えば、オーブン、シュバンクバーナー、ガスバーナー、電子レンジ等を用いて行うことができるが、オーブンの場合には、200〜270℃で1〜10分間行うことが好ましい。また、シュバンクバーナーの場合には、そのヒータ表面温度を400℃〜1200℃に設定して、ヒータと含気チョコレート表面との距離を10〜150mmにして、1〜10秒間行うことが好ましい。このような条件下で焼成することにより、その表面だけが焼成により熱変性して、内部はそれほど熱変性しないため、表面はパリッとした食感となるが、内部はなめらかで軽い食感が保たれた状態になる。特に、シュバンクバーナーを用いて焼成すると、表層の浅い部分のみが硬い組織となっており、表面のパリパリ感がより際立ち、快い歯触りとなるので、より好ましい。なお、本発明において用いられるシュバンクバーナーとは、当業者がその意味で用いている焼成装置一般を意味するものであり、主に赤外線の照射により焼成対象物の表面から内部に向けて熱伝導させることができるシュバンクヒータを具備してなる焼成装置を意味する。
こうして焼成した後には、好ましくは放冷又は送風等による強制冷却を行うことにより、除熱することができる。
上記のようにして得られた含気チョコレートについては、例えば冷却前の流動性を有する状態のチョコレートを200ml容のカップにすり切り入れてその質量を測定する方法などで、その比重を測定することができる。また、チョコレート断面の顕微鏡写真を画像解析する方法などで、そのチョコレート内部の平均含気泡径を測定することができる。具体的には、例えば、冷却固化したチョコレートを割り、その断面の顕微鏡写真を画像解析に付することによって、多数の気泡径を偏りなく計測し、これらの気泡径を統計処理して、その平均含気泡径を求めることができる。また、公知の測定手段、例えばBL型粘度計などで、冷却前の流動性を有する含気前のチョコレート生地について、その粘度を測定することができる。
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
下記表1は、以下の実施例又は比較例に用いたチョコレート生地の配合表である。
〈実施例1〉
表1に示す割合で乳化剤としてデカグリセリンデカステアリン酸エステルを配合し、常法に従って微粒化、精練を行って、チョコレート生地を得た。この生地を25℃まで冷却し、加圧式のミキサーに入れて、3気圧下に2分間撹拌した後、常圧に戻して半流動状の気泡を含有したチョコレート生地(含気チョコレート生地)を得た。得られた含気チョコレート生地を、枠付きの平板に、厚さ10mmとなるように流し込み、冷却、固化させた後、20mm×20mmに切断して、含気チョコレートを得た。
〈実施例2〉
実施例1と同様にして、20mm(縦)×20mm(横)×10mm(厚さ)の含気チョコレートを得た。次に、得られた含気チョコレートを固定式オーブンに入れ、200℃で3分間焼成した後冷却し、焼成含気チョコレートを得た。
〈実施例3〉
実施例1と同様にして、20mm(縦)×20mm(横)×10mm(厚さ)の含気チョコレートを得た。次に、得られた含気チョコレートをシュバンクバーナーに入れ、表面を800℃のシュバンクヒータの直火で3秒間焼成し、その後、冷却して焼成含気チョコレートを得た。なお、このときのヒータと含気チョコレート表面との距離は60mm、含気チョコレートの表面温度は180〜200℃であった。
〈実施例4〉
実施例1と同様に、表1に示す割合で乳化剤としてデカグリセリンデカステアリン酸エステルを配合し、常法に従って微粒化、精練を行って、チョコレート生地を得た。この生地を25℃まで冷却し、加圧式のミキサーに入れて、1.5気圧下に5分間撹拌した後、常圧に戻して半流動状の気泡を含有したチョコレート生地(含気チョコレート生地)を得た。得られた含気チョコレート生地を、枠付きの平板に、厚さ10mmとなるように流し込み、冷却、固化させた後、20mm×20mmに切断して、含気チョコレートを得た。
〈比較例1〉
乳化剤として、デカグリセリンデカステアリン酸エステルに代えてジグリセリンモノステアリン酸エステルを配合し、更に、粘度調製のために、ポリグリセリンポリリシノレートを0.2質量部配合する以外は実施例1と同様にして、20mm(縦)×20mm(横)×10mm(厚さ)の含気チョコレートを得た。
〈比較例2〉
比較例1と同様に、表1に示す割合で乳化剤として、デカグリセリンデカステアリン酸エステルに代えてジグリセリンモノステアリン酸エステルを配合し、更に、粘度調製のために、ポリグリセリンポリリシノレートを0.2質量部配合し、常法に従って微粒化、精練を行って、チョコレート生地を得た。この生地を25℃まで冷却し、加圧式のミキサーに入れて、3気圧下に2分間撹拌した後、常圧に戻してトレーに入れ、150Torrの減圧下で冷却、膨化させた。その後、20mm(縦)×20mm(横)×10mm(厚さ)に切断して、含気チョコレートを得た。
〈比較例3〉
乳化剤として、デカグリセリンデカステアリン酸エステルに代えてジグリセリンモノステアリン酸エステルを配合し、更に、粘度調製のために、ポリグリセリンポリリシノレートを0.2質量部配合する以外は実施例1と同様にして、20mm(縦)×20mm(横)×10mm(厚さ)の含気チョコレートを得た。次に、得られた含気チョコレートを固定式オーブンに入れ、250℃で3分間焼成した後冷却し、焼成含気チョコレートを得た。
〈試験例1〉
実施例1〜4、及び比較例1〜3で得られた含気チョコレート又は焼成含気チョコレートに関し、その冷却前の流動性を有する状態のチョコレートについて、これを200ml容のカップにすり切り入れ質量を測定することで、比重を測定した。その結果をまとめて下記表2に示す。
〈試験例2〉
実施例1〜4、及び比較例1〜3で得られた含気チョコレート又は焼成含気チョコレートについて、チョコレート断面の顕微鏡写真を画像解析して気泡径を偏りなく計測し、これらの気泡径を統計処理して、チョコレート内部の平均含気泡径を求めた。その結果をまとめて下記表2に示す。
〈試験例3〉
実施例1及び比較例1で得られた含気チョコレートに関し、その含気前のチョコレート生地について、品温40℃での粘度をBL型粘度計(4号ローター,12rpm)(東京計器株式会社製)で測定した。その結果をまとめて下記表3に示す。
〈評価〉
比重が0.8であり平均気泡径が10μmである比較例1の含気チョコレートは、なめらかだが重い食感であった。またそれを固定式オーブンで焼成して得られた比較例3の焼成含気チョコレートは、チョコレート表面がこげにくく、焼成を続けて表面にこげが生じると同時に内部にまで焼成が及び、チョコレートのなめらかな食感が損なわれていた。また、比重が0.3であり平均気泡径が150μmである比較例3の含気チョコレートは、軽いがぼそつきのある食感となってしまった。
これに対して、比重が0.3〜0.7の範囲であり、且つ、平均含気泡径が10〜100μmの範囲である実施例1、4の含気チョコレートは、軽くなめらかな食感を有していた。また、実施例1の含気チョコレートを固定式オーブンで焼成して得られた実施例2の焼成含気チョコレートは、表面はパリッとしており内部は軽くなめらかな食感であった。また、実施例1の含気チョコレートをシュバンクバーナーで焼成して得られた実施例3の焼成含気チョコレートは、表面はパリッとしており内部は焼成前と変わらず非常に軽くなめらかな食感であった。
更に、実施例1のチョコレート生地の粘度と比較例1のチョコレート生地の粘度とを比較すると、比較例1のチョコレート生地では、乳化剤としてジグリセリンモノステアリン酸エステルのみの配合では、粘度が高くなりチョコレートの加工特性を維持できなかった。したがって、ポリグリセリンポリリシノレートを添加して、粘度調製しなければならなかった。これに対して乳化剤としてデカグリセリンデカステアリン酸エステルを配合した実施例1のチョコレート生地は、ポリグリセリンポリリシノレートを添加しなくても、適度な粘度を有しチョコレートの加工特性が維持されていた。

Claims (8)

  1. 平均含気泡径が10〜100μmであり、且つ、比重が0.3〜0.7であることを特徴とする含気チョコレート。
  2. デカグリセリンデカステアリン酸エステルを含有する請求項1記載の含気チョコレート。
  3. 請求項1又は2記載の含気チョコレートを焼成して得られたものであることを特徴とする焼成含気チョコレート。
  4. 表面は、加熱により溶融性を示さない状態に熱変性し、内部は、熱変性しない状態を維持するように焼成されている請求項3記載の焼成含気チョコレート。
  5. チョコレート生地にデカグリセリンデカステアリン酸エステルを含有せしめて攪拌し、平均含気泡径が10〜100μmであり、且つ、比重が0.3〜0.7である含気チョコレートを得ることを特徴とする含気チョコレートの製造方法。
  6. 請求項5記載の方法により含気チョコレートを得、その後該含気チョコレートを焼成することを特徴とする焼成含気チョコレートの製造方法。
  7. 表面は、加熱により溶融性を示さない状態に熱変性し、内部は、熱変性しない状態を維持するように焼成する請求項6記載の焼成含気チョコレートの製造方法。
  8. シュバンクバーナーにより焼成する請求項6又は7記載の焼成含気チョコレートの製造方法。
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