JP2013538578A - 気泡入りチョコレート組成物およびその調製 - Google Patents

気泡入りチョコレート組成物およびその調製 Download PDF

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Abstract

本発明は、40%から200%の間、好ましくは50%超、より好ましくは60%超のオーバーランを有する、気泡入りチョコレート組成物に関するものであって、気泡入りチョコレート組成物は、9未満のHLB値を有する少なくとも1種のスクロースエステルを1〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%含有する。

Description

本発明は、気泡入りチョコレート組成物およびその調製、特に安定した泡入りチョコレート組成物およびその調製に関する。
芳しい風味および優れたテクスチャーは、チョコレートの2つの主要な特徴である。チョコレートは、室温で固体であり、なおかつ37℃の口の中で急速に融解して、滑らかな食感を与えなければならない。ブラックチョコレート(dark chocolate)、ミルクチョコレート(milk chocolate)およびホワイトチョコレート(white chocolate)が3つの主要な風味である。
チョコレートは、食品産業においてコーティングとして、しばしば使用される。本発明者らは、チョコレートのカロリー価を低下させるが、チョコレートコーティングによって提供される感覚的経験を低下させることのない手段を検討した。
気泡入りまたは起泡させたチョコレートは、市場においてよく知られている製品である。例は、Nestle aeroおよびMars Skye barである。気泡入りチョコレートの製造のための主な方法は、(1)溶解によってまたは高圧下、ガスをチョコレートの中へ混合し、続いてチョコレートを凝固し、次に急速に放出されたガスのセルを、固体チョコレートマトリックス中に閉じ込めうること、(2)融解したチョコレートを、連続的に撹拌して、起泡し、続いて冷却することであり、いわゆるホイップチョコレートである(欧州特許出願公開第1 166 639号)。
前記第一の方法において、空気または二酸化炭素などのガスは、撹拌の助けを借りてまたは借りずに、高圧下で、融解したチョコレート中に溶解できる。減圧後、溶解したガスが出てきて、チョコレート中にガスのセルを形成することになり、減圧工程の間に、温度がチョコレートの融点未満に急速に冷却されると、これらのガスのセルは、チョコレートマトリックス中に閉じ込められることになる。凝固したチョコレートは、ガスのセルを保持し、調製された泡入りチョコレートを安定化させることになる。しかし、ガスのセルは、通常大きく、エアレーションは、制御するのが容易でない。チョコレートが、その融点を超えている場合、泡入りチョコレートは、安定しておらず、したがってチョコレートの用途にとって一般的であるコーティング、ディッピングおよびローリングは、この方法によって調製された泡入りチョコレートに適用できない。
前記第二の方法において、融解したチョコレートを、撹拌して、起泡させるが、通常、追加の乳化剤およびショートニングが必要である。
欧州特許出願公開第1 166 639号
乳化剤およびエアレーションの条件を注意深く選択することによって、一定の条件下でチョコレートに気泡を入れることが可能であることが、ここに見出された。さらに、チョコレートが後で融解され、再凝固される場合、エアレーションの特徴は、大部分はそのままである。
ある種のスクロースエステルは、40℃を超える温度で、チョコレートに気泡を入れうることが、ここに見出された。結果として生じる気泡入りチョコレートは、チョコレートが融解している温度で、安定したままでありうる。調製された泡入りチョコレートは、肉眼では見ることができない気泡を有し、テクスチャー、食感、カロリー削減等に追加の利点を付加できる。調製された泡入りチョコレートはまた、融解して再凝固すると、極めて良好な安定性を有する。
試験および定義
スクロースエステル
脂肪酸のスクロースエステルは、スクロース分子の1個または複数のヒドロキシル基を脂肪酸でエステル化することによって得ることができる。脂肪酸は、1個または複数のヒドロキシル基と反応して、モノ、ジ、トリもしくは多脂肪酸エステル、またはそれらの混合物を形成する。好ましくは、スクロースエステル乳化剤は、混合エステルまたはホモエステルを含む。脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびそれらの混合物からなる群から、好ましくは選択される。
L-195(ラウリン酸スクロース)、S070(ステアリン酸スクロース)、S-170、S270、S370、S570、S770、S970、S1670、P170(パルミチン酸スクロース)、O170(オレイン酸スクロース)およびB370(ベヘン酸スクロース)等を含むスクロースエステルは、三菱化学フーズ株式会社、東京、日本から得た。CisternaからのSP10およびSP50もまた使用した。
チョコレート
用語「チョコレート」によって、ブラックチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート、フレーバーチョコレート、クーベルチュールチョコレート、合成チョコレート(ココアパウダー、ココアバター以外の植物性脂肪および甘味料の組合せから作られる)ならびにそれらの混合物を意味する。チョコレートはまた、木の実またはその小片、レーズンなどのドライフルーツまたはその小片、ビスケットおよびそれらの混合物などの含有物を含んでもよい。しかし、チョコレートは、実質的に無水のままでなければならない。用語「実質的に無水の」によって、水を5%w/w以下、好ましくは3%w/w以下、より好ましくは1%w/w以下含むことを意味する。
HLB値
HLB値は、式HLB=20×Mh/M(式中、Mhは、分子の親水性部分の分子質量であり、Mは、分子全体の分子質量である)によって与えられ、したがって、任意の尺度0〜20の値を示す。
脂肪酸エステルについて、HLB=20(1-S/A)である、
(式中
S=鹸化価
A=脂肪酸の酸価
である)。
したがって、HLB値0は、完全に疎水性の分子に相当し、HLB値20は、完全に親水性の分子に相当する。典型的なHLB値は、
O〜3 消泡剤
4〜6 油中水型乳化剤
7〜9 湿潤剤
8〜18 水中油型乳化剤
13〜15 洗浄剤
10〜18 可溶化剤またはヒドロトロープ
である。
オーバーラン(overrun)
「オーバーラン」は、アイスクリーム産業において一般的に使用されるエアレーションの尺度であり、以下の通り、パーセンテージで表すと定義される:
オーバーラン=(エアレーションの前および後の重量差/エアレーションの後の重量)×100
(式中、エアレーションの前と後のいずれの試料の重量も、同じ所与の一定の体積に対するものである)。
光学顕微鏡法
光学顕微鏡法を使用して、気泡入りチョコレート中の気泡形態を評価した。試料をスライドガラス上に置き、カバースリップで覆った。光学画像を、Polyvar顕微鏡(Reichert-Jung Limited)で撮った。泡の形態を調べるために、スライドとカバースリップとの間に200μmスペーサーを使用して、変形から気泡を保護した。
走査電子顕微鏡法
気泡入りチョコレートを、調製後直ちに50℃まで冷却し、直径5mmのくぼみを設けた直径10mmのアルミニウム製試料ホルダー上に置くことによって、クライオ走査電子顕微鏡法用に準備した。次に、試料ホルダーを、直ちに窒素スラッシュ中に投入し、Gatan Alto2500低温調製チェンバーに移し、破砕のために-90℃まで温め、2nmのAu/Pdでコーティングした。次に、コーティングされた試料を、Gatan冷却ステージを取り付けたJeol6301F電界放射型走査電子顕微鏡に移し、-150℃で調べた。5kVで、画像を得た。
気泡入りチョコレートの安定性
気泡入りチョコレート試料を、45℃で維持することによって、温かい温度での気泡入りチョコレートの安定性を調べ、決められた時点で、一定の体積での重量を測定して、経時的なオーバーランの変化を得た。顕微鏡画像も撮って、気泡入りチョコレート中の気泡の形態変化を比較した。
一般的な製造条件
乳化剤を含有するチョコレートの調製
高い融点のステアリン酸スクロース(リョートーS370、S270、S570)を、温かい温度で、ざっとおよそ1:2の重量比で、融解したチョコレート少量と完全に混合して、スラリーを生成し、次に、総重量500gまでさらなるチョコレートで希釈した。混合物中のリョートーS370の濃度は、0.5重量%から5重量%の範囲であった。混合物を、エアレーションの前に少なくとも1時間、65℃でオーブン中に保持して、確実に、全ての乳化剤をチョコレート中で溶解した。
L195(Tm=22℃)などの低融点乳化剤について、決められた重量の乳化剤を融解したチョコレートに加え、よく撹拌した。乳化剤が溶解してしまうまで、混合物を、温度およそ45℃のオーブン中に保持した。
チョコレートのエアレーション
ステアリン酸スクロース(S270、S370およびS570)については、65℃の温度で、一定の時間(5分〜20分)、異なる速度(最低速度l〜最高速度7)で、Kenwood KMX50 Mixerを使用して、エアレーションを実行した。気泡入り混合物を、温かい温度(40〜50℃)で保持または室温まで冷却した。L195について、L195とのチョコレート混合物に、30℃から45℃の温度で気泡を入れた。
泡立て器法(Krupp手動泡立て器)をまた適用し、チョコレートに気泡を入れた。泡立て方法において、チョコレート混合物100mlを、オーブン中のビーカー(400ml)中に調製した。最大速度を使用して、決められた温度で5分間チョコレートに気泡を入れて、気泡入りチョコレートを得た。
本発明の第一の態様において、気泡入りチョコレート組成物が提供され、気泡入りチョコレート組成物は、40%から200%の間、好ましくは50%超、より好ましくは60%超のオーバーランを有し、9までHLB値を有する少なくとも1種のスクロースエステルを1〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%含有する。より好ましくは、HLB値は、1を超え、さらにより好ましくは、HLB値は、3から8の間である。さらにより好ましくは、HLB値4から8の間である。
好ましくは、累積面積加重粒径分布(cumulative area weighted size distribution)の80%は、100μm未満、好ましくは90μm未満、より好ましくは80μm未満、最も好ましくは60μm未満である。
好ましくは、累積面積加重粒径分布の95%は、125μm未満、好ましくは100μm未満である。
好ましくは、累積面積加重粒径分布の99%は、150μm未満である。
好ましくは、チョコレート組成物は、実質的に無水である。
好ましくは、気泡入りチョコレート組成物のオーバーランは、安定している。それは、組成物を少なくとも40℃の温度で保持する場合、組成物のオーバーランが、24時間にわたって、20%超、好ましくは10%、最も好ましくは5%減少しないことを意味する。例えば、安定したオーバーランが、20%超は減少しないものであると定義される場合、初期のオーバーラン200%は、たった180%までしか減少し得ず、これを超えると、オーバーランは安定していない。
したがって、気泡入りチョコレート組成物の体積の一部がガスを含むので、体積ベースで、気泡を入れていないチョコレート組成物より低いカロリー価を有するチョコレート組成物が、ここに提供された。
かかるチョコレート組成物のさらなる利点は、組成物の消費における舌上ではじけるガス気泡の存在による、かかる組成物が気泡を入れていないチョコレート組成物に対して有する、異なる感覚効果である。
安定した泡入りチョコレート組成物の特別な利点は、ガス気泡が、ヒトの眼に見えず、したがってチョコレート組成物の眼に見える外観を損なわないことである。これは、組成物がコーティングを提供するために使用される場合、特に重要である。
別の重要な利点は、オーバーランが再融解時に維持されることである。これは、チョコレート組成物が固体形態でしばしば供給され、使用直前に再融解されるので重要である。この利点は、使用者が、使用直前にチョコレート組成物に気泡を入れることを不要にして、設備費用および時間を節約することである。典型的には、再融解の間のオーバーランの減少は、10%未満である。
本発明の第二の態様において、安定したチョコレートの気泡入り組成物を製造するための方法が提供され、方法は、
(a)本発明の第一の態様のチョコレート組成物を提供するステップであって、少なくとも1種のスクロースエステルを含有するチョコレート組成物を、少なくとも1種のスクロースエステルの融点と、少なくとも1種のスクロースエステルの融点を30℃、好ましくは20℃、より好ましくは15℃、最も好ましくは10℃超えた温度との間の温度で融解させるステップ、次に、
(b) 40℃と、少なくとも1種のスクロースエステルの融点を30℃、好ましくは20℃、より好ましくは15℃、最も好ましくは10℃超えた温度との間の温度で、所望のオーバーランまで、チョコレート組成物に機械的に気泡を入れ、それによって気泡入りチョコレート組成物を生成するステップ、および次に、
(c)場合によって、気泡入りチョコレート組成物を冷却するステップ
を含む。
用語「機械的に気泡を入れた」は、亜酸化窒素などの高圧ガスを使用する気泡を入れる手段は含まない。好ましくは、チョコレート組成物は、高速攪拌器、高速泡立て器またはホモジナイザーを使用して、機械的に気泡を入れる。
本発明は、以下の実施例においてさらに説明される。
(実施例)
(実施例1および2)
ステアリン酸スクロース(三菱化学株式会社、東京、日本から入手可能なリョートーS370(70%ステアリン酸スクロース、融点51℃およびHLB=3))を、65℃で、チョコレート(Barry Callebaut(UK)Limitedによって供給されたブラックチョコレート)50gと完全に混合して、スラリーを生成し、次に、総重量500gまで、さらなるチョコレートで希釈した。混合物中のリョートーS370の濃度は、1.5重量%または3重量%であった。混合物を、1時間、65℃で撹拌し、その後、温度65℃で、5分間、最大速度(速度7)でKenwood KMX50 Mixerを使用して、エアレーションを実行した。次に、気泡入り混合物を、室温まで冷却し、そのオーバーランを、再融解する前および後に、室温で測定した。オーバーランが再融解で維持されることが観察された。結果は、table1(表1)にまとめられる。
Figure 2013538578
結果は、乳化剤のより高い濃度で、より高いオーバーランが達成されることを示す。さらに、再融解でのオーバーランは、再融解する前と同じであり、したがって、オーバーランは、再融解で非常に安定している。
(実施例3〜10)
全て三菱化学株式会社、東京、日本から入手可能なステアリン酸スクロース(リョートーS270(融点52℃およびHLB=2)、S570(融点50℃およびHLB=5))を使用して、table2(表2)に指示された温度で、上記の通り、各実施例500gを調製し、気泡を入れた。気泡を入れた混合物を、室温まで冷却し、再融解する前および後に、そのオーバーランを室温で測定した。結果は、table2(表2)にまとめられる。
結果は、泡入りチョコレート組成物が、HLB値1から9の範囲の様々な乳化剤を使用して、満足なオーバーランで得られうることを示す。さらに、再融解でのオーバーランは、再融解する前と同じであり、したがってオーバーランは、再融解で非常に安定している。
Figure 2013538578
正規化した面積加重累積直径度数分布は、以下の表にまとめられる。
Figure 2013538578
(実施例11)
リョートーS370(ステアリン酸スクロース)3重量%を含む追加の実施例を、以上に記載されている通りだが、温度55℃で調製した(実施例11)。気泡入り混合物を、室温まで冷却し、そのオーバーランを測定した。結果をtable3(表4)に示し、泡入りチョコレート組成物が、多様なエアレーション温度で、満足なオーバーランで、リョートーS370を使用して得られうることを示す。
Figure 2013538578
(実施例12)
リョートーS970(ステアリン酸スクロース)3重量%を含む追加の実施例を、以上に記載されている通りだが、温度70℃で調製した(実施例12)。気泡入り混合物を、室温まで冷却し、そのオーバーランを、再融解する前および後に、室温で測定した。結果は、table4(表5)にまとめられ、異なる乳化剤であるが、実施例11の結論を再現する。さらに、再融解でのオーバーランは、再融解する前と同じであり、したがってオーバーランは、再融解で非常に安定している。
Figure 2013538578
(実施例17)
リョートーS370(ステアリン酸スクロース)3重量%を含む追加の実施例を、以上の実施例1に記載されている通りだが、最高速度でのKenwood KMX50 Mixerの代わりに、手動泡立て器(Krupp)を使用して調製した(実施例17)。気泡入り混合物を、室温まで冷却し、そのオーバーランを測定した。結果は、table7(表6)にまとめられ、ミキサーのほうが、手動泡立て器より、チョコレート組成物中に空気をホイップするのにより効果的であることを示す。
Figure 2013538578
(実施例18〜21)
リョートーS370(ステアリン酸スクロース)3重量%を含む追加の実施例を、実施例1に記載された通りだが、ミキサー速度1(実施例18)、3(実施例19)、4(実施例20)および5(実施例21)で調製した。気泡入り混合物を、室温まで冷却し、そのオーバーランを測定した。結果は、table8(表7)にまとめられ、チョコレート組成物中へ空気をホイップすることについてのミキサーの有効性が、ミキサー速度に依存することを示す。
Figure 2013538578
(実施例22〜26)
リョートーS370(ステアリン酸スクロース)3重量%を含む追加の実施例を、実施例1に記載された通り調製し、1時間(実施例22)、2時間(実施例23)、4時間(実施例24)、6時間(実施例25)および72時間(実施例26)、45℃で(すなわち、液体状態で)貯蔵し、その後、気泡入り混合物を、室温まで冷却し、そのオーバーランを測定した。結果は、table9(表8)にまとめられ、泡入りチョコレート組成物が数日間安定していることを示す。
Figure 2013538578
(実施例27〜28(比較例))
リョートーS1170(ステアリン酸スクロース(融点49℃およびHLB=11))(実施例27)ならびにリョートーS1670(ステアリン酸スクロース(融点49℃およびHLB=16))(実施例28)を、3重量%含んで、実施例1に記載された方法にしたがって、実施例を調製し、その後、気泡入り混合物を、室温まで冷却し、そのオーバーランを測定した。結果は、table10(表9)にまとめられ、HLB値9超のスクロースエステル乳化剤では、エアレーションが可能ではないことを示す。実施例28について得られたオーバーランの非常に低いレベルは、安定しておらず、非常に大きな気泡の形態であり、したがって、本発明の泡入りチョコレート組成物のオーバーランと、本質的にかなり異なっていた。
Figure 2013538578
(実施例29)
実施例500gを、リョートーS370(ステアリン酸スクロース(融点51℃およびHLB=3))3重量%を使用して、実施例1に記載された通り調製した。気泡入り混合物を室温まで冷却し、そのオーバーランは79.0%と測定された。
次に、試料を、調製後直ちに50℃まで冷却し、直径5mmのくぼみを作った直径10mmのアルミニウム製試料ホルダー上に置くことによって、走査電子顕微鏡法用に準備した。次に、試料ホルダーを、窒素スラッシュ中に直ちに投入し、Gatan Alto2500低温調製チェンバーに移し、破砕のために-90℃まで温め、2nmのAu/Pdでコーティングした。次に、コーティングされた試料を、Gatan冷却ステージを取り付けたJeol6301F電界放射型走査電子顕微鏡に移し、-150℃で調べた。5kVで、拡大率、×100および×300で、画像を得た。Matlabソフトウエアを使用して、空気の気泡を示す画像から画像分析を行って、空気の気泡について、数によるサイズ分布を得た。数平均サイズ(直径)は、肉眼で見ることが可能なサイズよりはるかに小さい、20.8ミクロンであった。実際、空気の気泡の全てではないにせよ、空気の気泡の大多数は、肉眼で見ることが不可能である。
(実施例30)
実施例500gを、リョートーS370(ステアリン酸スクロース(融点51℃およびHLB=3))1.5重量%を使用して、実施例1に記載された通り調製した。気泡入り混合物を、室温まで冷却し、そのオーバーランを、50.0%と測定した。
次に、試料を、走査電子顕微鏡法および実施例29に記述されているのと同じ方法で得られる画像のために準備した。Matlabソフトウエアを使用して、これらの画像から画像分析を行って、空気の気泡について、数によるサイズ分布を得た。数平均サイズ(直径)は、肉眼で見ることが可能なサイズよりはるかに小さい、24.2ミクロンであった。実際、空気の気泡の全てではないにせよ、空気の気泡の大多数は、肉眼で見ることが不可能である。したがって、空気の気泡の数平均サイズは、乳化剤の量を、チョコレート組成物の3重量%から1.5重量%に半減することによって、著しくは影響されない。
(実施例31)
実施例29の試料を、1ヶ月間、-20℃で貯蔵し、再融解し、カバースリップからスライドを離す厚さ200ミクロンのスペーサー付きのスライドガラス上に置いた。室温でPolyvar顕微鏡(Reichert-Jung Limited)上で、光学画像を撮ったが、一方、試料は、まだ液体であった。空気の気泡は、肉眼で見ることが不可能なサイズである。したがって、空気の気泡のサイズは、貯蔵1ヶ月後、肉眼で見ることが不可能な大きさで維持されている。
(実施例32)
実施例29の調製において、試料を、冷却し、45℃で(すなわち、液体状態で)貯蔵し、貯蔵1、2、6および96時間後に、実施例31に記述された方法を使用して、光学画像を撮った。画像は、空気の気泡が肉眼では見ることが不可能なサイズであることを示す。したがって、空気の気泡のサイズは、45℃で、96時間貯蔵後、肉眼でみることが不可能な大きさで維持されている。
(実施例33〜35)
実施例500gを、リョートーS370(ステアリン酸スクロース(融点51℃およびHLB=3))3重量%を使用するが、Barry-Callebaut Limitedによって供給されたブラックチョコレートの代わりに、ホワイトチョコレート(実施例33)、ミルクチョコレート(実施例34)およびクーベルチュールチョコレート(実施例35)(全てBarry Callebaut(UK)Limitedから入手可能)を使用して、実施例1に記載された通り調製した。気泡入り混合物を、室温まで冷却し、再融解する前および後に、そのオーバーランを室温で測定した。各実施例についての初期および再融解オーバーランは、table11(表10)に記述され、リョートーS370と一緒に使用される場合、満足なオーバーランを有する泡入りチョコレート組成物が、チョコレートの異なる種類で得られうることを示す。さらに、再融解でのオーバーランは、再融解する前と同じであり、したがってオーバーランは、再融解で非常に安定している。
Figure 2013538578
実施例31に記述された方法を使用して、実施例33、34および35のそれぞれの光学顕微鏡写真を撮った。図面は、200ミクロンマーカーと比較すると、肉眼で見ることが不可能なサイズである空気の気泡を示す。したがって、本発明は、チョコレートの様々な異なる種類に対して機能する。

Claims (7)

  1. 40%から200%の間、好ましくは50%超、より好ましくは60%超のオーバーランを有する、気泡入りチョコレート組成物であって、9未満のHLB値を有する少なくとも1種のスクロースエステルを1〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%含有する気泡入りチョコレート組成物。
  2. HLB値が、1を超える、請求項1に記載の気泡入りチョコレート組成物。
  3. HLB値が、3から8の間、好ましくは4から8の間である、請求項2に記載の気泡入りチョコレート組成物。
  4. 累積面積加重粒径分布の80%が、100μm未満であり、好ましくは90μm未満であり、より好ましくは80μm未満であり、最も好ましくは60μm未満である、請求項1から3のいずれか一項に記載の気泡入りチョコレート組成物。
  5. 累積面積加重粒径分布の95%が、125μm未満であり、好ましくは100μm未満である、請求項4に記載の気泡入りチョコレート組成物。
  6. 累積面積加重粒径分布の99%が、150μm未満である、請求項5に記載の気泡入りチョコレート組成物。
  7. a.チョコレート組成物を提供するステップであって、少なくとも1種のスクロースエステルを含有するチョコレート組成物を、少なくとも1種のスクロースエステルの融点と、少なくとも1種のスクロースエステルの融点を20℃、好ましくは15℃、より好ましくは10℃超えた温度との間の温度で融解させるステップ、次に、
    b.少なくとも40℃で、かつ少なくとも1種のスクロースエステルの融点より高い温度で、所望のオーバーランまで、チョコレート組成物に機械的に気泡を入れ、それによって気泡入りチョコレート組成物を生成するステップ、ならびに次に、
    c.場合によって、気泡入りチョコレート組成物を冷却するステップ
    を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の気泡入りチョコレート組成物を製造するための方法。
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