JP2010200308A - マルチバンド整合回路及びマルチバンド電力増幅器 - Google Patents

マルチバンド整合回路及びマルチバンド電力増幅器 Download PDF

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Abstract

【課題】マルチバンド対応のインピーダンス整合回路を低損失で実現する。
【解決手段】
信号経路上に直列に接続される、第1整合部と、第1直列整合手段と第1並列整合手段とからなる第2整合部と、第2直列整合手段とスイッチと第2並列整合手段とからなる第3整合部とにより構成され、第1の周波数では第1整合部を適宜設計することにより、第2の周波数では各直列・並列整合手段を適宜設計することにより整合対象のインピーダンスに整合される。第1並列整合手段は第1の周波数にて信号経路から切り離されるように設計され、第2整合部と第3整合部は、第2の周波数にて第2整合部と第3整合部との接続点から回路素子側を見たインピーダンスと整合対象のインピーダンスとの変換比が、第1整合部と第2整合部との接続点から回路素子側を見たインピーダンスと整合対象のインピーダンスとの変換比より小さくなるように設計される。
【選択図】図2

Description

本発明は、増幅器などに利用される整合回路に関する。より詳しくは、増幅素子など周波数特性を有する回路素子の入出力インピーダンスと特性インピーダンスとの整合を複数の周波数帯域で確立することができるマルチバンド整合回路の低損失化に関する。
無線機には複数の周波数帯域の信号を扱えること(マルチバンド化)が要求されている。無線機に含まれる不可欠な装置として電力増幅器がある。効率のよい増幅を行うには、各周波数帯域において、周波数特性を有する増幅素子(トランジスタなど)の入出力インピーダンス(入力インピーダンスをZ(f)、出力インピーダンスをZ(f)とする)と周辺回路の入出力インピーダンスZ(=系のインピーダンス)との間のインピーダンスを整合することが可能なマルチバンド整合回路が必要である。
以下、マルチバンド整合回路の従来構成について説明する。なお、本明細書においては、増幅器に適用される整合回路について説明するが、その他の機器に適用される整合回路についても同様の考え方が適用可能である。
マルチバンド整合回路の構成の一つとして、スイッチや可変容量素子を用いて回路定数を変更する構成がある。例えば非特許文献1では、図16に示すように主整合ブロック310と、主整合ブロック310に一端が接続された遅延回路321と、遅延回路321の他端にスイッチ322を介して接続された副整合ブロック323と、を備えた整合回路300が開示されている。
この整合回路300は、図17に示すような中心周波数をf、fとする2つの周波数帯域の信号に対する整合回路であり、例えば、Z(f)を有する回路素子20と、予め定められた系のインピーダンスZ(例えば50Ω、75Ω等)を有する系の回路が接続されたポートP1との間に挿入することにより、Z(f)およびZ(f)とZとの間の整合をそれぞれ達成する。具体的には以下のような原理で整合する。
まず、第1の周波数帯域b(中心周波数f)が動作帯域の場合には、スイッチ322をOFF状態(非導通状態)とする。この場合、主整合ブロック310は、Z(f)をZに変換する。このとき遅延回路321のbでの特性インピーダンスをZとすれば、bの信号に対して整合回路全体として整合がとれることになる。ここで用いる遅延回路321として、bにおける特性インピーダンスがZである伝送線路を用いることが例示されている。
一方、第2の周波数帯域b(中心周波数f)が動作帯域の場合には、スイッチ322をON状態(導通状態)とする。主整合ブロック310により、Z(f)はZ(f)に変換される。一般に、Z(f)≠Zである。しかし、Z(f)がどのような値であっても、遅延回路321での遅延量(伝送線路を用いた場合は線路長)とスイッチ322を介して接続された副整合ブロック323のリアクタンス値とをシングルスタブマッチの原理に基づき設定することにより、シングルスタブマッチングの原理に基づき、整合回路300の端子P1から端子P2側を見たインピーダンスをZにできる。すなわち、bの信号に対しても整合回路全体として整合がとれる。Z(f)に対しても、同様な原理による整合が可能である。
なお、上記の整合回路300では、スイッチ322のON、OFFにより副整合ブロック323の接続、切断を行い2つの周波数帯域での整合を実現するが、このようなスイッチと副整合ブロックとの直列接続の代わりに、リアクタンス素子やリアクタンス回路を用いてもよい。この場合、そのリアクタンス値を適宜設定することで、bではリアクタンスが装荷されず、bではリアクタンスが装荷されるという、スイッチと副整合ブロックとの直列接続を採用した場合と同様な作用効果を得ることができる。
上記マルチバンド整合回路を増幅素子の入出力端子に接続すれば、整合回路のスイッチがOFF状態のときにはbの信号に対する増幅器として動作し、スイッチがON状態のときにはbの信号に対する増幅器として動作するマルチバンド増幅器を実現することができる。
福田敦史他、「MEMSスイッチを用いたマルチバンド電力増幅器」、電子情報通信学会総合大会、2004年、C-2-4、p.39
2つの周波数帯域の信号を選択的に整合可能な図16に示す従来の整合回路300では、bにおいては、スイッチ322がON状態であるとして遅延回路321と副整合ブロック323とをシングルスタブマッチの原理に基づき設計する。しかし、シングルスタブマッチでは、図16のA点からP2側を見たインピーダンスZ(f)(以下、Z(f)と表記する。)とZのインピーダンス変換比|Γ|が大きい場合、スイッチ322に流れ込む電流が大きくなる。ここで、Z(f)は複素数であり、|Γ|は次式の関係を満たす。
Figure 2010200308
スイッチの挿入損失は、スイッチのON抵抗とスイッチに流れる電流量Iの2乗の積となる。そのため、|Γ|が大きい場合には小さい場合と比較して整合回路の通過損失が大きくなるという問題があった。このような通過損失劣化の問題は、スイッチと副整合ブロックとの直列接続の代わりに、リアクタンス素子やリアクタンス回路を用いた場合にも同様に生じる。
ここで、bとbにおける回路素子20のインピーダンスZ(f)とZ(f)は、増幅素子であるトランジスタによって決まる。また、主整合ブロック310はbにおける整合回路として設計される。つまり、Z(f)はトランジスタおよびb、bに依存して概ね決定される。
本発明の目的は、2以上の周波数帯域に対応可能なインピーダンス整合回路において、スイッチやリアクタンス素子などに流れる電流量を低減することで、スイッチの挿入損失を低減し、よって回路の低損失化を達成することにある。
本発明のマルチバンド整合回路は、周波数特性のあるインピーダンスZ(f)を有する回路素子と、予め定められた系の回路のインピーダンスZとの間のインピーダンス整合を、2つの周波数帯域において達成する回路であり、第1整合部と第2整合部と第3整合部とから構成される。
第1整合部は、上記回路素子に接続され、第1の周波数帯域における上記回路素子のインピーダンスをZに変換する。
第2整合部は、一端が上記第1整合部の他端に接続され、特性インピーダンスが系の回路のインピーダンスZに等しい伝送線路や少なくとも上記第1の周波数帯域で上記伝送線路に等価な回路である第1直列整合手段と、一端が上記第1直列整合手段の他端で上記信号経路に接続され、他端が接地される第1並列整合手段と、からなる。
第3整合部は、一端が上記第1直列整合手段の他端に接続され、他端が上記系の回路に接続され、特性インピーダンスが系の回路のインピーダンスZに等しい伝送線路や少なくとも第1の周波数帯域で上記伝送線路に等価な回路である第2直列整合手段と、一端が上記第2直列整合手段の他端で上記信号経路に接続されるスイッチと、一端が上記スイッチの他端に接続される第2並列整合手段と、からなる。
なお、上記第1並列整合手段は、上記第1の周波数帯域において、上記信号経路との接続点がインピーダンス開放状態となるように構成される。
また、上記スイッチがON状態において、第2の周波数帯域における上記第2整合部と上記第3整合部との接続点から上記回路素子側を見たインピーダンスZ´(f)と系の回路のインピーダンスZとのインピーダンス変換比が、上記第1整合部と上記第2整合部との接続点から上記回路素子側を見たインピーダンスZ(f)と系の回路のインピーダンスZとのインピーダンス変換比より小さくなるように第1直列整合手段及び第1並列整合手段を設計する。更に、上記インピーダンスZ´(f)がZに変換されるように第2直列整合手段及び第2並列整合手段を設計する。
そして、上記スイッチの開閉により上記第1の周波数帯域と上記第2の周波数帯域とで選択的に上記回路素子のインピーダンスをZに整合する。
本発明により、2以上の周波数帯域でのインピーダンス整合を行いつつ、スイッチやリアクタンス素子などに流れる電流量を低減し、よって低損失の整合回路を実現することができる。
スイッチに流れる電流量を低減できる原理を説明する図。 実施例1の機能ブロック図。 実施例2の機能ブロック図。 3つの周波数帯域の相関を示すイメージ図。 第1並列ブロックを2段のLC共振回路で構成するイメージ図。 図5の構成における周波数−インピーダンス特性図。 第1並列ブロックをm−1段のLC共振回路で構成するイメージ図。 従来構成において、スイッチ322をOFF状態として2.6GHzにおいて整合させた場合の通過損失特性図。 従来構成において、スイッチ322をON状態として0.9GHzにおいて整合させた場合の通過損失特性図。 従来構成において、0.9GHzにおける整合時にスイッチ322として抵抗値0Ωの理想スイッチを用いた場合の通過損失特性図。 従来構成におけるZ(f2)とZとのインピーダンス変換比を示すポーラーチャート図。 インピーダンス変換比からスイッチに流れる電流量を計算し、5Ωの抵抗で消費される電力に基づき求めたインピーダンス変換比−通過損失特性図。 本発明において、スイッチ132をON状態として0.9GHzにおいて整合させた場合の通過損失特性図。 本発明において、0.9GHzにおける整合時にスイッチ132として抵抗値0Ωの理想スイッチを用いた場合の通過損失特性図。 本発明におけるZ(f2)とZとのインピーダンス変換比を示すポーラーチャート図。 従来構成による機能ブロックの一例を示す図。 2つの周波数帯域の相関を示すイメージ図。 少なくともにbにおいて特性インピーダンスがZの伝送線路と等価な回路の構成例を示す図。 図18Aの具体的構成例を示す図。 図18Aの別の具体的構成例を示す図。 少なくともにbにおいて特性インピーダンスがZの伝送線路と等価な回路の別の構成例を示す図。 図19Aの具体的構成例を示す図。 図19Aの別の具体的構成例を示す図。 実施例1において、第1並列ブロックに並列共振回路を採用した場合の構成例を示す図。 実施例1において、第1並列ブロックに並列共振回路を採用した場合の別の構成例を示す図。 実施例1において、第1並列ブロックに直列共振器を採用した場合の構成例を示す図。 少なくともb及びbにおいて特性インピーダンスがZの伝送線路と等価な回路の構成例を示す図。 図23Aの具体的構成例を示す図。 図23Aの別の具体的構成例を示す図。 少なくともにb及びbにおいて特性インピーダンスがZの伝送線路と等価な回路の別の構成例を示す図。 図24Aの具体的構成例を示す図。 図24Aの別の具体的構成例を示す図。 図23Cの可変インダクタを可変キャパシタを用いて構成する例を示す図。 図24Bの可変インダクタを可変キャパシタを用いて構成する例を示す図。 実施例2において、第1並列ブロックに並列共振回路を採用した場合の構成例を示す図。 実施例2において、第1並列ブロックに並列共振回路を採用した場合の別の構成例を示す図。 実施例2において、第1並列ブロックに直列共振器を採用した場合の構成例を示す図。 実施例3において、第3整合部130を図23Aの回路とリアクタンス可変素子とを用いて構成する場合の構成例を示す図。 本発明のマルチバンド整合回路を用いたマルチバンド増幅器の構成例を示す図。 本発明の構成で第2整合部が抵抗成分を含んでいる場合の第3整合部のスイッチに流れる電流と整合回路全体の損失との関係を示す図。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
まず、実施例の説明に先立ち、本発明によりスイッチに流れる電流量を低減できる原理について説明する。本発明の整合回路の基本構成を図1に示す。基本構成に係る整合回路1は、整合回路300の主整合ブロック310にあたる第1整合部110と、整合回路300の遅延回路321とスイッチ322と副整合ブロック323との組にあたる第3整合部130との間に、更に第2整合部120を追加した構成をとる。第2整合部120は、bでの整合には影響を与えず、bにおけるZ(f)をB点からP2側を見たインピーダンスZ´(f)に変換する。bでの整合は、第3整合部130で達成される。そして、第3整合部130のスイッチ132に流れる電流は、Z´(f)とZとのインピーダンス変換比|Γ´|に依存する。そのため、第2整合部120は|Γ´|<|Γ|となるように設計する。このように設計することで、スイッチに流れる電流量は第2整合部120を用いない場合と比較して低減できるため、スイッチのON抵抗による損失、つまりスイッチの挿入損失を低減することができる。ここで、第2整合部120は、線路、インダクタ、キャパシタなど、寄生成分を含めて抵抗成分が小さい素子で設計することが望ましい。また、一般に低い挿入損失と高いアイソレーション特性とを両立するスイッチを実現することは困難である。しかし、本発明によればスイッチに流れる電流量が低減されるため、スイッチの挿入損失に対する要求条件を緩和でき、高いアイソレーション特性を有するスイッチを用いることができる。
以下、整合回路1の第2整合部120を具体化した実施例である整合回路100について、図2を用いて説明する。
整合回路100は、2つの周波数帯域の信号に対する整合回路であり、Z(f)とZ(f)とを有する回路素子20と、Zを有する系の回路10との間に挿入することにより、Z(f)とZ(f)をそれぞれZに整合させる。また、各手段・ブロックの設計に際してのスイッチの状態は、bにおいてはOFF状態であるとし、bにおいてはON状態であるとする。
整合回路100は、上記のとおり第1整合部110と第2整合部120と第3整合部130とから構成される。また、第2整合部120は第1直列整合手段121と第1並列整合手段122とから構成され、第3整合部130は第2直列整合手段131とスイッチ132と第2並列整合手段133とから構成される。
第1整合部110は、一端が回路素子20に接続され、回路素子20のbにおけるインピーダンスZ(f)を、他端(図1のA点)からP2側を見てZとなるように変換する。第1整合部110の構成は任意であり、例えば、伝送線路とスタブによる構成、直列インダクタと並列キャパシタによる構成等が考えられる。なお、回路素子20のbにおけるインピーダンスZ(f)については、ここで一旦Z(f)に変換される。
第1整合部110の他端には第1直列整合手段121の一端が接続され、第1直列整合手段121の他端は第2直列整合手段131の一端に接続される。そして、第2直列整合手段131の他端は、系の回路10に接続される。
第1直列整合手段121と第2直列整合手段131は、特性インピーダンスがZの伝送線路や少なくともbにおいて上記伝送線路に等価な回路による遅延回路により構成される。少なくともbにおいて上記伝送線路に等価な回路による遅延回路の構成例を、図18A、図19Aに示す。ここで、Z、Zは純虚数とする。Z、Zがbにおいて図18Aでは、
Figure 2010200308
の関係を、図19Aでは、
Figure 2010200308
の関係をもつ場合、それぞれbでの整合には影響を与えない。図18A、図19Aに示す構成を用いることで、第1整合部110で変換されたbにおける整合状態は上記の遅延回路の遅延量にかかわらず維持される。ここで、Z、Zはこれらの関係が規定されているだけであり、インダクタやキャパシタ、またはそれと同様な特性を有する分布定数回路または回路素子群等、具体的な構成は適宜選択できる。従って、各素子値をbにおけるインピーダンスの整合をとるために適宜設定することも可能となる。一方、第1直列整合手段121と第2直列整合手段131を伝送線路等の遅延回路で構成した場合には、遅延量に関わらずbでの整合は維持される。そのため、伝送線路による遅延量は任意に設定でき、その遅延量はbにおけるインピーダンスの整合をとるために適宜設定することが可能となる。そのため、bにおける整合に本来必要であった遅延量の一部を、第1直列整合手段121の遅延量で賄うことができる。そしてその結果、第2直列整合手段131の遅延量を低減でき、第2直列整合手段131を小型に構成できるという効果を得ることができる。図18Aの具体例として、図18Bと図18Cを示す。また、図19Aの具体例として、図19Bと図19Cを示す。また、これらの直列接続またはそれに相当する回路により同様な効果が得られる。
第1整合部110と第1直列整合手段121と第2直列整合手段131は、系の回路10と回路素子20とを結ぶ信号経路上に直列に設けられる。一方、第1並列整合手段122と第2並列整合手段133はその信号経路から枝分かれする形で、系の回路10や回路素子20と並列に設けられる。
第1並列整合手段122は、一端が第1直列整合手段121の他端で信号経路に接続され、他端は接地される。第1並列整合手段122はbのインピーダンス整合を行うため、適宜リアクタンス値を設定し、インピーダンスを調整する機能を担う。しかし、第1並列整合手段122は、第1整合部110でZ(f)からZに変換されたbにおけるインピーダンスに影響を与えるものであってはならない。このような機能、要件を満たすべく、第1並列整合手段122は2つのブロックの直列接続により構成する。第1並列ブロック122aは、bに対し、第1並列整合手段122を信号経路から切り離すためのスイッチの役割をなすブロックである。また、第2並列ブロック122bは、bにおけるインピーダンス変換に際し、適切なリアクタンス値を設定するためのブロックである。なお、第2並列ブロック122bは、先端開放線路を用い容量性のリアクタンスブロックとして構成しても構わない。
第1並列ブロック122aは、bにおいて信号経路との接続点がインピーダンス開放状態(=接続点から第1並列整合手段122側を見たインピーダンスが無限大又はbでの整合に影響を与えない程度に大)となるように設計する。その結果、bにおいてあたかもオフ状態の物理スイッチが挿入されているかのように、第1並列整合手段が回路から切り離されていると考えることができる。ここで、第1並列ブロック122aにスイッチのON抵抗のような抵抗成分がない場合には、そこに流れ込む電流量によって損失は生じない。bにおいてインピーダンス開放状態とするには、第1並列ブロック122aを容量CのキャパシタとインダクタンスLのインダクタによる並列共振回路(共振周波数f)で構成すること等が考えられる。この場合、bにおいて信号経路との接続点から第1並列整合手段122側を見たインピーダンスが無限大という条件を満たせば、任意の方法で構成して構わない。第1並列ブロック122aを並列共振回路で構成し、第2並列ブロック122bを先端開放線路で構成した場合のブロック図を図20に示す。なお、第1並列ブロック122aを並列共振回路で構成する場合、fとCとLとの関係は次式のようになる。
Figure 2010200308
ここで、bでは第1並列整合手段122は特定のリアクタンスとして存在する状態となり、第1並列ブロック122aと第2並列ブロック122bとが一体となり第1並列整合手段122を構成する。第1並列整合手段122は、第1直列整合手段121とともにbにおけるインピーダンス変換のためのリアクタンス値の設定機能を担う。第1並列ブロック122aを並列共振回路で構成した場合、第1並列ブロック122aのfにおけるリアクタンスZLCは次式となる。
Figure 2010200308
そのため、第1並列ブロック122aを並列共振回路で構成した場合には、式(3)を満たし、かつ、式(4)のZLCがbにおけるインピーダンスの整合に必要なリアクタンスとなるCとLを設定すれば、第2並列ブロック122bは不要となり、図21に示すように第1並列整合手段122を第1並列ブロック122aのみで構成することができる。
また、第1並列ブロック122aは、図22に示すようにfの波長λの1/4波長の長さの伝送線路122as1とL、Cからなる共振周波数がfである直列共振器との組み合わせにより構成することもできる。この構成ではbにおいて、伝送線路122as1の直列共振器が接続された一端がインピーダンス短絡状態になるため、第2並列ブロック122bの構成に関わらず、伝送線路122as1の他端がインピーダンス開放状態になり、よって第1並列整合手段が回路から切り離されたと考えることができる。一方、bにおいて、直列共振器は特定のリアクタンスとして存在する状態となる。その結果、第1並列ブロック122aと第2並列ブロック122bとが一体として第1並列整合手段122を構成し、特定のリアクタンスとして存在する状態となる。そして、第1並列整合手段122は第1直列整合手段121とともにbにおけるインピーダンス変換のためのリアクタンス値の設定機能を担う。
なお、第1並列ブロック122aと第2並列ブロック122bは、図2においては第1並列ブロック122aを信号経路側に、第2並列ブロック122bを接地側に配しているが、この並びは逆でも構わない。ただし、逆にする場合には、bでのインピーダンス開放部分が両ブロックの接続点に発生するため、信号経路に接続された第2並列ブロック122bがbにおけるインピーダンスの整合状態に影響を与えてしまう。このような場合には第2並列ブロック122bを集中定数素子により構成することで影響を低減できる。これにより、信号経路との接続点をbでのインピーダンス開放状態とみなすことができ、第1並列整合手段122が信号経路から切り離されていると考えることができる。また、このように第1並列ブロック122aが接地側にある場合はインピーダンス開放状態を例えば、第1並列ブロック122aをfにおける波長の4分の1の長さの伝送線路で構成してもよい。この場合、伝送線路のインピーダンスは任意であり、このインピーダンスをbにおけるインピーダンス変換のための設計パラメータとして用いてもよい。
第2並列整合手段133は、第2直列整合手段131の他端でスイッチ132を介して信号経路に接続され、第1並列整合手段122と同様、bの整合のために適宜リアクタンスを設定し、インピーダンスを調整する機能を担う。
このような構成の下、A点でのbにおけるインピーダンスZ(f)は、第2整合部120と第3整合部130とにより、bでの整合に影響を与えることなくZへ段階的に変換される。具体的には、bにおける|Γ´|が、|Γ|より小さくなるように、スイッチなどの寄生抵抗分を有する素子を含まない、第1直列整合手段121及び第1並列整合手段122を設計する。そして、スイッチ132がON状態であるとし、Z´(f)について、第3整合部130の直列整合手段131及び第2並列整合手段133を適宜設定することにより、任意のZ´(f)に対してP1におけるインピーダンスをZに整合させることができる。
以上のように各整合部を構成することで、スイッチ132がOFF状態では、bにおいて回路素子20のインピーダンスZ(f)を系の回路10のインピーダンスZに整合させることができる。一方、スイッチ132がON状態では、bにおいて回路素子20のインピーダンスZ(f)を系の回路10のインピーダンスZに整合させることができ、なおかつ、第2整合部120が無い場合と比較して、スイッチ132に流れる高周波電流を低減して、ON抵抗による損失が低減された低損失のマルチバンド整合回路を実現することができる。
なお、整合回路100を構成する各部、各手段、及び各ブロックは、それぞれが担う機能を実現可能な限り、分布定数線路、素子、若しくはこれらの組み合わせ、又は、複数の分布定数線路、複数の素子、若しくはこれらの組み合わせにより構成して構わない。素子は、抵抗(可変抵抗を含む)、キャパシタ(可変キャパシタを含む)、インダクタ(可変インダクタを含む)のような線形素子やダイオードなどの非線形二端子素子など、格別の限定は無い。
また、bとbとの大小関係は問わないが、f>fとするのが望ましい。これは、このように構成した方が帯域幅を十分確保しやすいこと、スイッチの損失(等価抵抗)が一般に周波数が高いほど増加するためON状態で整合する方(f)を低周波側にしたほうが損失を抑えられること、また第2並列ブロック122bを4分の1波長線路で構成する場合には、高い方の周波数をfとした方が線路長を短くできること等の理由からである。
なお、以上の説明では、Z(f)からZへのインピーダンス変換を第1整合部110が単独で行う(つまりA点においてP2側を見たインピーダンスがZとなる)ものとして説明をしてきたが、bにおけるZへのインピーダンス変換は、第1整合部110と第2整合部120(この場合、第2整合部120はいかなる構成であっても構わない)とで行っても(つまりB点においてP2側を見たインピーダンスがZとなる)、bにおいてΓ>Γ´を満たしていれば本発明の目的は達成される。以下の実施例でも同様なことが言えるが、説明の便宜上、以下においても第1整合部110が単独でZ(f)をZに変換するものとして説明する。
実施例2の整合回路200を図3に示す。整合回路200は、図2に示す実施例1の整合回路100の第1整合部110に、背景技術として説明した整合回路300を適用した構成である。第1整合部110は、回路素子20のbにおけるインピーダンスZI(f)とbにおけるインピーダンスZI(f)を、スイッチ322の切り替えにより選択的にZに変換する。すなわち、図3のA点からP2側を見たbにおけるインピーダンスは、スイッチ322のOFF状態時にZとなり、bにおけるインピーダンスはスイッチ322のON状態時にZとなる。そして、スイッチ132がOFF状態において、第1整合部110でスイッチ322の状態に応じてb又はbのいずれかについてとられた整合状態(インピーダンスZ)は、第2、3整合部を経てもそのまま維持され、整合回路全体としてb又はbのいずれかについて整合がとれることになる。
一方、図4に示すような第3の周波数帯域b(中心周波数f)における、回路素子20のインピーダンスZI(f)は第1整合部110により変換され、A点からP2側を見たインピーダンスはZ(f)となる(なおこのとき、第1整合部110のスイッチ322はONかOFFかいずれかに決めておく)。そしてこのbにおけるインピーダンスZ(f)は実施例1と同様に、第2整合部120と第3整合部130とにより、bおよびbでの整合に影響を与えることなくZへ段階的に変換される。具体的には、bにおけるA点からP2側を見たインピーダンスZ(f)からZへの変換比|Γ|よりも、B点からP2側を見たインピーダンスZ´(f)からZへの変換比|Γ´|が小さくなるように、スイッチなどの寄生抵抗分を有する素子を含まない、第1直列整合手段121と第1並列整合手段122を設計する。そして、スイッチ132がON状態であるとし、Z´(f)について、第3整合部130の直列整合手段131と第2並列整合手段133を設計することにより、P1におけるインピーダンスをZに整合させることができる。
なお、整合回路200においては、第1直列整合手段121と第2直列整合手段131は、特性インピーダンスがZの伝送線路や少なくともb及びbにおいて上記伝送線路と等価な回路による遅延回路により構成される。このように構成することで、第1整合部110で変換されたb及びbにおける整合状態は上記の遅延回路の回路構成にかかわらず維持される。従って、これらの回路の特性は、bにおける整合をとるために、適宜設定することが可能である。少なくともb及びbにおいて上記伝送線路と等価な回路による遅延回路の構成例を図23A、図24Aに示す。ここで、Z、Zが少なくともb及びbのそれぞれにおいて、図23Aでは式(1)を図24Aでは式(2)を満たすように可変素子を調整する。図23Aの具体例として、図23Bと図23Cを示す。また、図24Aの具体例として、図24Bと図24Cを示す。また、これらの直列接続またはそれに相当する回路によっても同様な効果が得られる。ここで、可変インダクタは製造上困難を伴うことが多い。しかし、シャントインダクタであれば可変キャパシタを用いて可変インダクタを構成できる。図25A及び図25Bに、図23C及び図24Bの可変インダクタをそれぞれ可変キャパシタを用いて構成した例を示す。図25Aでは、一端が接地されたインダクタンスLのインダクタと容量Cのキャパシタとの直列接続は直列共振器を構成し、その共振周波数は第nの周波数帯域bの中心周波数fとなるように設計する。このとき、直列共振器の他端はfでインピーダンス短絡状態となり、シャントインダクタのインダクタンスはLとなる。一方、その他の周波数では、直列共振器の他端はインピーダンス短絡状態とならず、シャントインダクタのインダクタンスをL+Lとすることができる。また、直列共振器を構成するキャパシタを可変キャパシタとすることで、fを可変とすることができる。さらに多くの直列共振器を用いることで、より多くのインダクタンスに対応できる。加えて、インダクタンスLのインダクタと可変キャパシタとの直列接続を無限大でないリアクタンス素子とし、シャントインダクタと一体としてZを構成することもできる。図25Bでは、シャントインダクタに一端が接地された容量Cのキャパシタが接続されている。シャントインダクタの一部であるインダクタンスLのインダクタと容量Cのキャパシタとの直列接続は直列共振器を構成し、その共振周波数はfとなるように設計する。このとき、シャントインダクタと直列共振器の接続部はfでインピーダンス短絡状態となり、シャントインダクタのインダクタンスはLとなる。一方、その他の周波数では、インピーダンス短絡状態となる位置は異なるため、周波数ごとにシャントインダクタのインダクタンスを変更することができる。また、キャパシタを可変キャパシタとすることでより多くのインダクタンスに対応できる。加えて、インダクタンスLのインダクタと可変キャパシタとの直列接続を無限大でないリアクタンス素子とし、シャントインダクタと一体としてZを構成することもできる。シャントインダクタの可変化については、同様なシャントリアクタンスを用いる他の実施例においても適用できる。よって、上記の実施例について、シャント可変インダクタを用いることなく、可変キャパシタのみを用いた構成が可能となる。
また、第1並列ブロック122aは、b及びbにおいて共に信号経路との接続点をインピーダンス開放状態(=接続点から第1並列整合部122側を見たインピーダンスが無限大又はb及びbでの整合に影響を与えない程度に大)となるように設計する。このようにインピーダンス開放状態を作ることにより、あたかもオフ状態の物理スイッチが挿入されているかのように、第1並列整合手段を回路から切り離されていると考えることができる。ここで、第1並列ブロック122aにスイッチのON抵抗のような抵抗成分がない場合には、そこに流れ込む電流量によって損失は生じない。b及びbにおいて共にインピーダンス開放状態とするためには、例えば、第1並列ブロック122aをキャパシタとインダクタの並列共振回路として構成し、共振周波数がf以上でf以下になるように設計すること等が考えられる。特に、両周波数が離れている場合には各中心周波数を平均した周波数を共振周波数とするキャパシタとインダクタの並列共振回路として構成することが考えられる。低損失な可変素子があれば、それを用いて共振周波数を設定してもよい。
更に、図5で示すような各周波数帯域に対応するキャパシタとインダクタの並列共振回路122a1、122a2を直列接続する構成や図26、27に示すようなbについての並列共振回路122a1とそれにインダクタ又はキャパシタを付加したbについての共振回路122a2とからなる構成によっても、各周波数帯域においてインピーダンス開放状態を実現することができる。また、図5の構成において、並列共振回路122a1の信号経路側や並列共振回路122a1と並列共振回路122a2との間に伝送線路を挿入すれば、その長さを適宜設定することで、その伝送線路をb、bでの整合に用いることができる。図6は、図5の構成において122a1が2.6GHzで共振する並列共振回路であり、122a2が1.5GHzで共振する並列共振回路である場合の周波数−インピーダンス特性を示す図である。実線は並列共振回路122a1の特性であり、点線は並列共振回路122a1と並列共振回路122a2とを直列に接続したときの特性である。図6の点線から、これら2つの周波数帯域においてインピーダンス開放状態を実現できることがわかる。なお、図5ではキャパシタとインダクタの並列共振回路を2段構成にしているが、キャパシタかインダクタのいずれか一方又は双方に可変のものを用いることで、1段で構成することも可能である。
更に、第1並列ブロック122aは、図28に示すようにfの波長λの1/4波長の長さの伝送線路122as1とL、Cからなる直列共振器(共振周波数f)との組み合わせと、fにおいて伝送線路122as1とのセットでfの波長λの1/4波長となる長さの伝送線路122as2とL、Cからなる直列共振器(共振周波数f)との組み合わせとにより構成することもできる。この構成ではbにおいて、伝送線路122as1のL、Cからなる直列共振器が接続された一端がインピーダンス短絡状態となるため、伝送線路122as1の他端がインピーダンス開放状態になり、よって第1並列整合手段が回路から切り離されたと考えることができる。bにおいては、伝送線路122as2のL、Cからなる直列共振器が接続された一端がインピーダンス短絡状態となるため、伝送線路122as2と一体的に波長λの1/4波長線路を構成する伝送線路122as1の信号経路側端がオープンになり、よって第1並列整合手段が回路から切り離されたと考えることができる。一方、bにおいては第1並列整合手段122は特定のリアクタンスとして存在する状態となり、第1並列ブロック122aと第2並列ブロック122bとが一体として第1並列整合手段122を構成し、bにおけるインピーダンス変換のためのリアクタンス値の設定機能を担う。図28に示す構成は、整合バンド数を増加させる場合にも同様に適用することができる。また、伝送線路122as1、122as2は、長さを調整することによりb、bの整合に用いることもできる。
なお、第1並列ブロック122aと第2並列ブロック122bは、図3においては第1並列ブロック122aを信号経路側に、第2並列ブロック122bを接地側に配しているが、実施例1と同様にこの並びは逆でも構わない。ただし、逆にする場合には、インピーダンス開放部分が両ブロックの接続点に発生するため、信号経路に接続された第2並列ブロック122bがbにおけるインピーダンスの整合状態に影響を与えてしまう。このような場合には第2並列ブロック122bを集中定数素子により構成することで影響を低減できる。これにより、信号経路との接続点をインピーダンス開放状態とし第1並列整合手段122が信号経路から切り離されていると考えることができる。また、このように第1並列ブロック122aが接地側にある場合はインピーダンス開放状態を例えば、第1並列ブロック122aをfにおける波長の4分の1以上で、fにおける波長の4分の1以下の長さの伝送線路で構成することによっても作ることができる。特に、両周波数が離れている場合には、各中心周波数を平均した周波数における波長の4分の1の長さとすることが考えられる。
なお、整合回路200の構成や整合の原理に係るその他の事項は整合回路100と同様であるため、ここでの説明は省略する。
以上のように、本発明により3つの周波数帯でのインピーダンス整合を行いつつ、スイッチに流れる電流量を低減し、低損失の整合回路を実現することができる。
図2に示す実施例1の整合回路100の第1整合部110には、実施例2で挙げた構成のほか、更にそこに整合回路100を適用したり、3つ以上の周波数帯域の信号を整合する任意の整合回路を適用したりすることもできる。
第1整合部110に、3個以上である(m−1)個の周波数帯域のうち複数又は1つを整合可能な整合回路を適用すると、スイッチ132の開閉により第1から第m−1の周波数帯域の複数又は1つと、第mの周波数帯域b(中心周波数f)とで選択的にインピーダンス整合可能な整合回路300(図2参照)を構成することができる。この場合、第1整合部110は、回路素子20のbからbm-1でのインピーダンスZI(f)、ZI(f)、・・・、ZI(fm−1)をそれぞれZに変換する。そして、スイッチ132がOFF状態において、第1整合部110でbからbm-1のそれぞれについてとられた整合状態(インピーダンスZ)は、第2、3整合部を経てもそのまま維持され、整合回路全体としてbからbm-1のそれぞれについて整合がとれることになる。
一方、bにおける回路素子20のインピーダンスZI(f)は第1整合部110により変換され、A点からP2側を見たインピーダンスはZ(f)となる。そしてこのbにおけるインピーダンスZ(f)は実施例1と同様に、第2整合部120と第3整合部130とにより、bからbm-1の周波数帯域での整合に影響を与えることなく、かつ、スイッチなどの寄生抵抗分を有する素子を含まずに、Zへ段階的に変換される。具体的には、bにおけるA点からP2側を見たインピーダンスZ(f)からZへの変換比|Γ|よりも、B点からP2側を見たインピーダンスZ´(f)からZへの変換比|Γ´|が小さくなるように、第1直列整合手段121と第1並列整合手段122を設計する。そして、スイッチ132がON状態であるとし、Z´(f)について、第3整合部130の直列整合手段131と第2並列整合手段133を適宜設計することにより、P1におけるインピーダンスをZに整合させることができる。
なお、この場合、第1直列整合手段121と第2直列整合手段131は、特性インピーダンスがZの伝送線路や少なくともbからbm-1のすべての周波数帯域において上記伝送線路と等価な回路による遅延回路により構成される。このように構成することで、第1整合部110で変換されたbからbm-1のすべての周波数帯域における整合状態は上記の遅延回路の構成にかかわらず維持される。また、これらの回路は、bにおける整合をとるために、適宜設計することが可能となる。少なくともbからbm-1のすべての周波数帯域において上記伝送線路に等価な回路は図23A、図23B、図23C、図24A、図24B、図24C、図25A、図25Bなどを用いることで達成できる。
また、第1並列ブロック122aは、bからbm-1のすべてについて信号経路との接続点をインピーダンス開放状態(=接続点から第1並列整合部122側を見たインピーダンスが無限大又はbからbmー1のすべての整合に影響を与えない程度に大)となるように設計する。このようにインピーダンス開放状態を作ることにより、あたかもオフ状態の物理スイッチが挿入されているかのように、第1並列整合手段を回路から切り離されていると考えることができる。ここで、第1並列ブロック122aにスイッチのON抵抗のような抵抗成分がない場合には、そこに流れ込む電流量によって損失は生じない。bからbm-1のすべてについてインピーダンス開放状態とするためには、例えば、第1並列ブロック122aをキャパシタとインダクタの並列共振回路として構成し、共振周波数がfm−1以上でf以下になるように構成することが考えられる。特に、両周波数が離れている場合には各中心周波数を平均した周波数を共振周波数とするキャパシタとインダクタの並列共振回路として構成することが考えられる。更に、図7で示すような各周波数帯域に対応するキャパシタとインダクタの並列共振回路122a1、122a2、・・・、122a(m−1)を直列接続する構成によっても、各周波数帯域においてインピーダンス開放状態を実現することができる。また、並列共振回路を構成するインダクタやキャパシタを可変デバイスとすれば、122a1のみでも実現できる。
第1並列ブロック122aと第2並列ブロック122bは、図3においては第1並列ブロック122aを信号経路側に、第2並列ブロック122bを接地側に配しているが、実施例1と同様にこの並びは逆でも構わない。ただし、逆にする場合には、インピーダンス開放部分が両ブロックの接続点に発生するため、信号経路に接続された第2並列ブロック122bがbからbm-1におけるインピーダンスの整合状態に影響を与えてしまう。このような場合には第2並列ブロック122bを集中定数素子により構成することで影響を低減できる。これにより、信号経路との接続点をインピーダンス開放状態とし第1並列整合手段122が信号経路から切り離されていると考えることができる。また、このように第1並列ブロック122aが接地側にある場合はインピーダンス開放状態を例えば、第1並列ブロック122aをfにおける波長の4分の1以上で、fm−1における波長の4分の1以下の長さの伝送線路で構成することによっても作ることができる。特に、両周波数が離れている場合には、各中心周波数を平均した周波数における波長の4分の1の長さとすることが考えられる。
第3整合部130の第2直列整合手段131はbにおける整合回路の一部であり、スイッチ132がオンのとき、第2並列整合手段133とともにZ´(f)をZに変換する。ここで、第2直列整合手段131は上記のとおり、bからbm-1のすべての周波数帯域における整合状態を維持し、bでは整合に必要な遅延量を提供できなければならない。しかし、図23A、図23B、図23C、図24A、図24B、図24C、図25A、図25Bのような可変回路を用いれば、各周波数帯域で独立にリアクタンス値を設定できるため、第2直列整合手段131に対するbからbにおける上記の条件は満足できる。さらに、第3整合部130で整合する周波数を増加させるには、第3整合部130に整合回路100など、3つ以上の周波数帯域の信号を整合する任意の整合回路を適用すればよい。また、第3整合部130に図29に示す回路を適用してもよい。図29に示す回路は、第2直列整合手段131を図23Aの可変回路を用いて構成し、スイッチ132と第2並列整合手段133との直列接続の代わりに、リアクタンスが可変な素子又は回路である第3並列整合手段233により構成したものである。第3並列整合手段233のリアクタンス値を適宜設定することで、一方の周波数帯域(b〜bm-1のいずれか)ではリアクタンスが装荷されず、他方の周波数帯域(b)ではリアクタンスが装荷されるという、スイッチと副整合ブロックとの直列接続を採用した場合と同様な作用効果を得ることができる。第2直列整合手段131には図23A、図23B、図23C、図24A、図24B、図24C、図25A、図25Bなどの可変回路を適用できる。また、第3並列整合手段233は例えば、可変インダクタ、可変キャパシタ、並びに図25Aや図25Bなどの回路及びそれらと等価な回路によって構成できる。ここで、図23A、図23B、図23C、図24A、図24B、図24C、図25A、図25Bにおけるシリーズ素子、シャント素子は複数の素子の並列接続、直列接続によって置き換えてもよい。
なお、整合回路300の構成や整合の原理に係るその他の事項は整合回路100と同様であるため、ここでの説明は省略する。
以上のように、本発明によりスイッチの開閉によりbからbm-1の周波数帯域のうち複数又は1つと、bとで選択的にインピーダンスを整合可能としつつ、スイッチに流れる電流量を低減し、低損失の整合回路を実現することができる。
実施例1〜3で説明した各整合回路を用いることで、マルチバンド電力増幅器500を構成することができる。具体的には、例えば図30に示すように、増幅素子21と、その入力側及び出力側に各整合回路100(又は200、300)を配することにより構成することができる。なお、増幅素子の種類については特に限定は無く、例えばFET(Field Effect Transistor)、HBT(Heterojunction Bipolar Transistor)等が挙げられる。
〔効果の確認〕
1.従来構成の場合
図8〜10に、図16に示す従来技術によるデュアルバンド整合回路300(f:2.6GHz、f:0.9GHz)におけるP1からP2への通過損失の周波数特性のシミュレーション結果を示す。
この回路においては、回路素子20のインピーダンスZ(f)は計算の簡略化のため周波数によらず5Ωとし、これを系の回路10のインピーダンス50Ωに整合する。主整合ブロック310は分布定数線路により構成され、fで回路素子20のインピーダンスZ(f)をインピーダンスZに整合する。また、fでの整合に影響しないよう、遅延回路321としてfにおいて整合インピーダンスと同じ50Ωとなる分布定数線路を用い、これとキャパシタで構成した副整合ブロック323とで、主整合ブロック310の他端のインピーダンスZ(f2)をfでインピーダンスZに整合した。なお、スイッチ322には等価回路として抵抗を用い、ON状態を5Ω、OFF状態を無限大とした。
図8は、スイッチ322をOFF状態とし(抵抗値無限大)、2.6GHzにおいて整合させた場合、図9は、スイッチ322をON状態とし(抵抗値5Ω)、0.9GHzにおいて整合させた場合、図10は、0.9GHzにおける整合時にスイッチ322として抵抗値0Ωの理想スイッチを用いた場合の通過損失特性である。2.6GHzの整合時、0.9GHzの整合時それぞれにおいて、スイッチのON抵抗の影響が無い図8と図10は損失が小さい(2.6GHz:0.6dB、0.9GHz:0.06dB)。一方、図9はスイッチのON抵抗の影響により2.5dB近い損失となっている。また、図11はこのシミュレーションの構成におけるZ(f2)とZとのインピーダンス変換比を示すポーラーチャートである。図11より、0.9GHzでのインピーダンス変換比はおよそ0.8であることがわかる。更に、図12はインピーダンス変換比からスイッチに流れる電流量を計算し、抵抗(5Ω)で消費される電力に基づき求めたインピーダンス変換比−通過損失特性である。この図において、インピーダンス変換比が0.72の場合に損失が2.5dBとなり、図9、図11で得られた結果にほぼ一致する。
2.本発明の構成の場合
図13、14に、図2に示す本発明のデュアルバンド整合回路100(f:2.6GHz、f:0.9GHz)におけるP1からP2への通過損失の周波数特性のシミュレーション結果を示す。
この回路においても、回路素子20のインピーダンスZ(f)は計算の簡略化のため周波数によらず5Ωとし、これを系の回路10のインピーダンス50Ωに整合する。主整合ブロック110は分布定数線路により構成され、fで回路素子20のインピーダンスZ(f)をインピーダンスZに整合する。また、fでの整合に影響しないよう、第1直列整合手段121及び第2直列整合手段131として、fにおいて系の回路10と同じ50Ωとなる分布定数線路を用いた。第1並列ブロックにはキャパシタを用い、第2並列ブロックには共振周波数がfである2.6GHzになるよう、1nHのインダクタと3.8pFのキャパシタとによる並列共振回路として構成した。また、第2直列整合手段131とキャパシタで構成した第2並列整合手段133とで、第2整合ブロック120の他端のインピーダンスZ´(f2)をfでZに整合した。なお、スイッチ132には等価回路として抵抗を用い、ON状態を5Ω、OFF状態を無限大とした。
図13は、スイッチ132をOFF状態とし(抵抗値無限大)、2.6GHzにおいて整合させた場合、図14は、スイッチ132をON状態とし(抵抗値5Ω)、0.9GHzにおいて整合させた場合の通過損失特性である(2.6GHz:0.6dB、0.9GHz:0.9dB)。図9、図14の比較からわかるように、0.9GHzの整合時において従来技術の構成と比べおよそ1.5dB改善している。また、図15はこのシミュレーションの構成におけるZ(f2)とZとのインピーダンス変換比を示すポーラーチャートであり、0.9GHzでのインピーダンス変換比がおよそ0.6と、図11より0.3小さくなっていることがわかる。なお、図12に示すインピーダンス変換比−通過損失特性において、インピーダンス変換比が0.6の場合の損失が0.9dBであり、ほぼ図13で得られた結果に一致する。
以上のことから、第2整合部120を挿入しインピーダンス変換比を小さくすることで、スイッチに流れる電流量を低減し、スイッチの損失を低減できることが確認できた。
なお、これまでの説明では第2整合部120は抵抗成分を含まない素子で構成するという前提で説明してきた。しかし、たとえ抵抗成分を含んでいたとしても、整合回路全体としては低損失化できることを以下に示す。ここで、説明を簡単にするために、第2整合部120がない場合に第3整合部のスイッチに流れる電流を1(A)とする。この場合、スイッチの抵抗を1オームとすると、スイッチでの損失は1(W)となる。第2整合部の第1並列整合手段が1オームの抵抗成分を含んでいると仮定し、そこに流れる電流量が0.5(A)であるとき、第3整合部に流れる電流を低減させた場合の整合回路全体の損失の計算結果を図31に示す。図31から、第1並列整合手段が抵抗成分を含んでいたとしても、第3整合部のスイッチに流れる電流量を低減することで、整合回路全体を低損失化することができることがわかる。つまり、第2整合部に低損失なものであればスイッチを導入することができるため、第2整合部の設計の自由度を増すことができる。
10 系の回路
20 回路素子
21 増幅素子
100、200、300 整合回路
110 第1整合部
120 第2整合部 121 第1直列整合手段 122 第1並列整合手段
122a 第1並列ブロック 122b 第2並列ブロック
130 第3整合部 131 第2直列整合手段 132 スイッチ
133 第2並列整合手段 233 第3並列整合手段
310 主整合ブロック 321 遅延回路 322 スイッチ
323 副整合ブロック
500 マルチバンド電力増幅器

Claims (13)

  1. 周波数特性のあるインピーダンスZI(f)を有する回路素子と、予め定められたインピーダンスZ0を有する回路(以下、「系の回路」という。)との間の信号経路に挿入され、2つの周波数帯域において回路素子のインピーダンスZI(f)を系の回路のインピーダンスZ0に整合するマルチバンド整合回路であって、
    一端が上記回路素子に接続され、第1の周波数帯域における上記回路素子のインピーダンスをZに変換する第1整合部と、
    一端が上記第1整合部の他端に接続され、特性インピーダンスが系の回路のインピーダンスZに等しい伝送線路や少なくとも上記第1の周波数帯域で上記伝送線路に等価な回路である第1直列整合手段と、一端が上記第1直列整合手段の他端で上記信号経路に接続され、他端が接地される第1並列整合手段と、からなる第2整合部と、
    一端が上記第1直列整合手段の他端に接続され、他端が上記系の回路に接続され、特性インピーダンスが系の回路のインピーダンスZに等しい伝送線路や少なくとも第1の周波数帯域で上記伝送線路に等価な回路である第2直列整合手段と、一端が上記第2直列整合手段の他端で上記信号経路に接続されるスイッチと、一端が上記スイッチの他端に接続される第2並列整合手段と、からなる第3整合部と、
    を備え、
    上記第1並列整合手段は、上記第1の周波数帯域において、上記信号経路との接続点がインピーダンス開放状態となるように構成され、
    上記スイッチがON状態において、第2の周波数帯域における上記第2整合部と上記第3整合部との接続点から上記回路素子側を見たインピーダンスZ´(f)と系の回路のインピーダンスZとのインピーダンス変換比が、上記第1整合部と上記第2整合部との接続点から上記回路素子側を見たインピーダンスZ(f)と系の回路のインピーダンスZとのインピーダンス変換比より小さくなるように第1直列整合手段及び第1並列整合手段を設計し、更に上記インピーダンスZ´(f)がZに変換されるように第2直列整合手段及び第2並列整合手段を設計し、
    上記スイッチの開閉により上記第1の周波数帯域と上記第2の周波数帯域とで選択的に上記回路素子のインピーダンスをZに整合するマルチバンド整合回路。
  2. 請求項1に記載のマルチバンド整合回路において、
    上記第1並列整合手段は、一端が上記信号経路に接続される第1並列ブロックと、一端が当該第1並列ブロックの他端と接続され、他端が接地される第2並列ブロックとからなり、
    上記第1並列ブロックは、上記第1の周波数帯域において、上記信号経路との接続点がインピーダンス開放状態となるように構成される
    マルチバンド整合回路。
  3. 請求項1に記載のマルチバンド整合回路において、
    上記第1並列整合手段は、一端が上記信号経路に接続される第2並列ブロックと、一端が当該第2並列ブロックの他端と接続され、他端が接地される第1並列ブロックとからなり、
    上記第2並列ブロックは、集中定数素子により構成され、
    上記第1並列ブロックは、上記第1の周波数帯域において、上記第2並列ブロックとの接続点がインピーダンス開放状態となるように構成される
    マルチバンド整合回路。
  4. 請求項2又は3のいずれかに記載のマルチバンド整合回路において、
    上記第1並列ブロックは、共振周波数が上記第1の周波数帯域の中心周波数fに等しい、キャパシタとインダクタの並列共振回路であるマルチバンド整合回路。
  5. 請求項3に記載のマルチバンド整合回路において、
    上記第1並列ブロックは、上記第1の周波数帯域の中心周波数fにおける波長の4分の1の長さの伝送線路であるマルチバンド整合回路。
  6. 周波数特性のあるインピーダンスZI(f)を有する回路素子と、予め定められたインピーダンスZを有する回路(以下、「系の回路」という。)との間の信号経路に挿入され、第1から第mの周波数帯域(m≧3、中心周波数f>f>・・・>f)において回路素子のインピーダンスZI(f)を系の回路のインピーダンスをZに整合するマルチバンド整合回路であって、
    一端が上記回路素子に接続され、第1から第m−1の各周波数帯域における上記回路素子のインピーダンスをZに変換する第1整合部と、
    一端が上記第1整合部の他端に接続され、特性インピーダンスが系の回路のインピーダンスZに等しい伝送線路や少なくとも第1から第m−1の各周波数帯域で上記伝送線路に等価な回路である第1直列整合手段と、一端が上記第1直列整合手段の他端で上記信号経路に接続され、他端が接地される第1並列整合手段と、からなる第2整合部と、
    一端が上記第1直列整合手段の他端に接続され、他端が上記系の回路に接続され、特性インピーダンスが系の回路のインピーダンスZに等しい伝送線路や少なくとも第1から第m−1の各周波数帯域で上記伝送線路に等価な回路である第2直列整合手段と、一端が上記第2直列整合手段の他端で上記信号経路に接続されるスイッチと、一端が上記スイッチの他端に接続される第2並列整合手段と、からなる第3整合部と、
    を備え、
    上記第1並列整合手段は、上記第1から第m−1の周波数帯域において、上記信号経路との接続点がインピーダンス開放状態となるように構成され、
    上記スイッチがON状態において、上記第mの周波数帯域における上記第2整合部と上記第3整合部との接続点から上記回路素子側を見たインピーダンスZ´(f)と系の回路のインピーダンスZとのインピーダンス変換比が、上記第1整合部と上記第2整合部との接続点から上記回路素子側を見たインピーダンスZ(f)と系の回路のインピーダンスZとのインピーダンス変換比より小さくなるように第1直列整合手段及び第1並列整合手段を設計し、更に上記インピーダンスZ´(f)がZに変換されるように第2直列整合手段及び第2並列整合手段を設計し、
    上記スイッチの開閉により上記第1から第m−1の周波数帯域のうち複数又は1つと、上記第mの周波数帯域とで選択的に上記回路素子のインピーダンスをZに整合するマルチバンド整合回路。
  7. 周波数特性のあるインピーダンスZI(f)を有する回路素子と、予め定められたインピーダンスZを有する回路(以下、「系の回路」という。)との間の信号経路に挿入され、第1から第mの周波数帯域(m≧3、中心周波数f>f>・・・>f)において回路素子のインピーダンスZI(f)を系の回路のインピーダンスをZに整合するマルチバンド整合回路であって、
    一端が上記回路素子に接続され、第1から第m−1の各周波数帯域における上記回路素子のインピーダンスをZに変換する第1整合部と、
    一端が上記第1整合部の他端に接続され、特性インピーダンスが系の回路のインピーダンスZに等しい伝送線路や少なくとも第1から第m−1の各周波数帯域で上記伝送線路に等価な回路である第1直列整合手段と、一端が上記第1直列整合手段の他端で上記信号経路に接続され、他端が接地される第1並列整合手段と、からなる第2整合部と、
    一端が上記第1直列整合手段の他端に接続され、他端が上記系の回路に接続され、特性インピーダンスが系の回路のインピーダンスZに等しい伝送線路や少なくとも第1から第m−1の各周波数帯域で上記伝送線路に等価な回路である第2直列整合手段と、一端が上記第2直列整合手段の他端で上記信号経路に接続されるリアクタンスが可変な素子又は回路である第3並列整合手段と、からなる第3整合部と、
    を備え、
    上記第1並列整合手段は、上記第1から第m−1の周波数帯域において、上記信号経路との接続点がインピーダンス開放状態となるように構成され、
    上記第3並列整合手段の周波数特性により上記第3並列整合手段が装荷された状態において、上記第mの周波数帯域における上記第2整合部と上記第3整合部との接続点から上記回路素子側を見たインピーダンスZ´(f)と系の回路のインピーダンスZとのインピーダンス変換比が、上記第1整合部と上記第2整合部との接続点から上記回路素子側を見たインピーダンスZ(f)と系の回路のインピーダンスZとのインピーダンス変換比より小さくなるように第1直列整合手段及び第1並列整合手段を設計し、更に上記インピーダンスZ´(f)がZに変換されるように第2直列整合手段及び第3並列整合手段を設計し、
    上記第3並列整合手段の周波数特性により上記第1から第m−1の周波数帯域のうち複数又は1つと、上記第mの周波数帯域とで選択的に上記回路素子のインピーダンスをZに整合するマルチバンド整合回路。
  8. 請求項6又は7のいずれかに記載のマルチバンド整合回路において、
    上記第1並列整合手段は、一端が上記信号経路に接続される第1並列ブロックと、一端が当該第1並列ブロックの他端と接続され、他端が接地される第2並列ブロックとからなり、
    上記第1並列ブロックは、上記第1の周波数帯域において、上記信号経路との接続点がインピーダンス開放状態となるように構成される
    マルチバンド整合回路。
  9. 請求項6又は7のいずれかに記載のマルチバンド整合回路において、
    上記第1並列整合手段は、一端が上記信号経路に接続される第2並列ブロックと、一端が当該第2並列ブロックの他端と接続され、他端が接地される第1並列ブロックとからなり、
    上記第2並列ブロックは、集中定数素子により構成され、
    上記第1並列ブロックは、上記第1の周波数帯域において、上記第2並列ブロックとの接続点がインピーダンス開放状態となるように構成される
    マルチバンド整合回路。
  10. 請求項8又は9のいずれかに記載のマルチバンド整合回路において、
    上記第1並列ブロックは、共振周波数が上記第m−1の周波数帯域の中心周波数fm−1以上で、上記第1の周波数帯域の中心周波数f以下である、キャパシタとインダクタの並列共振回路であるマルチバンド整合回路。
  11. 請求項8又は9のいずれかに記載のマルチバンド整合回路において、
    上記第1並列ブロックは、共振周波数がそれぞれ第1から第m−1の周波数帯域の中心周波数f、f、・・・、fm−1である、m−1段のキャパシタとインダクタの並列回路の直列接続であるマルチバンド整合回路。
  12. 請求項9に記載のマルチバンド整合回路において、
    上記第1並列ブロックは伝送線路で構成され、その長さが上記第1の周波数帯域の中心周波数fにおける波長の4分の1以上で、上記第m−1の周波数帯域の中心周波数fm−1における波長の4分の1以下であるマルチバンド整合回路。
  13. 増幅素子と請求項1乃至12のいずれかに記載のマルチバンド整合回路とを備え、複数の周波数帯域の信号を増幅可能なマルチバンド電力増幅器。
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