JP2010189602A - 硬化性フルオロポリエーテル組成物、該組成物から得られる微粉末状又はペースト状の重合生成物、及び該重合生成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)分子鎖両末端にアルケニル基を2個有するポリフルオロジアルケニル化合物、(B)一分子中にパーフルオロ基を有し、かつケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を2個以上有するフッ素変性有機珪素化合物、(C)25℃における粘度が50mm2/s以下の含フッ素有機化合物液体、及び(D)ヒドロシリル化反応触媒を含有してなる硬化性フルオロポリエーテル組成物、該組成物から得られる微粉末状又はペースト状重合生成物、及び該組成物を攪拌しながら付加重合させ、更に剪断力を加える微粉末状又はペースト状重合生成物の製造方法。
【選択図】なし
Description
特に、特許第3487744公報(特許文献1)に示されるようなゲル状組成物は、耐薬品性、耐油性に優れ、透湿性も低いことから、電気・電子部品のポッティングや封止用の材料として幅広い工業分野で使用されている。
一方、特開平5−221829号公報(特許文献2)、特開平8−323187号公報(特許文献3)、特開2004−26681号公報(特許文献4)、『機能性化粧品』日本化粧品科学研究会編、1990年版、284〜296頁(非特許文献1)に示されるように、パーフルオロポリエーテルオイルと呼ばれるフッ素オイルは、耐水性、耐油性に優れ、また、独特の使用感から化粧品の原料として用いられている。
また、特公平6−55897号公報(特許文献5)に示されるようなシリコーン樹脂を低粘度シリコーンオイルで膨潤させたゲル状組成物も化粧品の原料として多く用いられている。
しかしながら、フッ素オイル特有のさらっとした使用感を有し、かつペースト状或いはゲル状の触感、性質を持つような組成物はこれまでには存在しなかった。
(A)分子鎖両末端にアルケニル基を2個有するポリフルオロジアルケニル化合物:100質量部、(B)一分子中に1個以上のパーフルオロ基を有し、かつ一分子中にケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を2個以上有するフッ素変性有機ケイ素化合物:(A)成分中のアルケニル基に対する(B)成分中のSiH基のモル比が0.5〜5.0となる量、(C)25℃における粘度が50mm2/s以下の含フッ素有機化合物液体:(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対する(C)成分が10〜1000質量部となる量、及び(D)ヒドロシリル化反応触媒:触媒量を含有してなる硬化性フルオロポリエーテル組成物、
該組成物から得られる微粉末状又はペースト状の重合生成物、及び
該組成物を攪拌しながら付加重合させ、更に剪断力を加えてなる微粉末状又はペースト状の重合生成物の製造方法が、
耐水性、耐油性に優れ、パーフルオロポリエーテルオイル特有のさらっとした使用感を有し、安定性が高く、そのまま或いは増粘剤等の配合剤として使用される化粧料基材に有用であることを見出し、本発明をなすに至った。
請求項1:
(A)下記一般式(1):
(B)一分子中に1個以上のパーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキレン基又はパーフルオロアルキレン基を有し、かつ一分子中にケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を2個以上有するフッ素変性有機ケイ素化合物:(A)成分中のアルケニル基に対する(B)成分中のSiH基のモル比が0.5〜5.0となる量、
(C)25℃における粘度が50mm2/s以下の含フッ素有機化合物液体:(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対する(C)成分が10〜1000質量部となる量、及び
(D)ヒドロシリル化反応触媒:触媒量
を含有してなる硬化性フルオロポリエーテル組成物。
請求項2:
請求項1記載の硬化性フルオロポリエーテル組成物から得られる微粉末状又はペースト状の重合生成物。
請求項3:
請求項1記載の硬化性フルオロポリエーテル組成物を攪拌しながら付加重合させ、更に剪断力を加えてなる微粉末状又はペースト状の重合生成物の製造方法。
(A)成分
(A)成分は、下記一般式(1)で示されるポリフルオロジアルケニル化合物である。
中でも1番目の式に示す構造、もしくは上記一般式(iii)で示される構造の二価の基が好ましい。
(B)成分は、一分子中に1個以上のパーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキレン基又はパーフルオロアルキレン基を有し、かつ一分子中にケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を2個以上有するフッ素変性有機ケイ素化合物である。
(A)成分の架橋剤ないし鎖長延長剤としての観点から、(B)成分は、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を2個以上、好ましくは3個以上有する。
また、(A)成分との相溶性、分散性、硬化後の均一性等の観点から、一分子中に1個以上の一価のパーフルオロオキシアルキル基、一価のパーフルオロアルキル基、二価のパーフルオロオキシアルキレン基又は二価のパーフルオロアルキレン基を有する。
一価のパーフルオロアルキル基:
CgF2g+1−
(式中、gは1〜20、好ましくは2〜10の整数である。)
二価のパーフルオロアルキレン基:
−CgF2g−
(式中、gは1〜20、好ましくは2〜10の整数である。)
一価のパーフルオロオキシアルキル基:
二価のパーフルオロオキシアルキレン基:
−(CF2CF2O)J(CF2O)KCF2−
(式中、J及びKは1以上の整数であり、J+Kの平均は2〜200、好ましくは2〜100である。)
−CH2CH2−,
−CH2CH2CH2−,
−CH2CH2CH2OCH2−,
−CH2CH2CH2−NH−CO−,
−CH2CH2CH2−N(Ph)−CO−,
−CH2CH2CH2−N(CH3)−CO−,
−CH2CH2CH2−O−CO−,及び
−Ph’−N(CH3)−CO−
(式中、Phはフェニル基、Ph’はフェニレン基である。)
等の炭素原子数2〜12のものが挙げられる。
また、この架橋剤は均一な硬化物を得るために(A)成分と相溶するものを使用するのが望ましい。
(C)成分は、25℃における粘度が50mm2/s以下の含フッ素有機化合物液体(低粘度フッ素オイル)であり、特に25℃における粘度が30mm2/s以下であることが好ましい。粘度が高すぎると、化粧料基材として使用した場合の使用感にべたつきを生じる恐れがあるため好ましくない。
下記式で示されるフッ素変性シロキサン化合物
中でも特に部分フッ素化エーテル系化合物や過フッ素化エーテル系化合物が、フルオロポリエーテル重合物との溶解性、親和性などが良いため、好適に用いられる。
(D)成分は、(A)成分のアルケニル基に(B)成分のヒドロシリル基を付加重合硬化させるヒドロシリル化反応触媒である。
このような(D)成分のヒドロシリル化反応触媒としては、入手が比較的容易である点から、白金化合物がよく用いられる。白金化合物としては、例えば、塩化白金酸;塩化白金酸とエチレン等のオレフィン、アルコール、ビニルシロキサン等との錯体;シリカ、アルミナ、カーボン等に担持された金属白金等を挙げることができる。白金化合物以外の白金族金属触媒としては、ロジウム、ルテニウム、イリジウム及びパラジウム系化合物、例えば、RhCl(PPh3)3、RhCl(CO)(PPh3)2、Ru3(CO)12、IrCl(CO)(PPh3)2、Pd(PPh3)4等(なお、前記式中、Phはフェニル基である。)を挙げることができる。
本発明の硬化性フルオロポリエーテル組成物においては、上記(A)〜(D)成分以外にも、各種配合剤を任意に添加することができる。
例えば、可塑剤、粘度調節剤として、下記式(2)のポリフルオロモノアルケニル化合物を併用することができる。本化合物は、付加重合反応時に(A)〜(D)成分と同時に添加して使用する。添加量は所望する粘度、性状によって最適な量は異なるが、通常1〜200質量部、好ましくは5〜100質量部である。この範囲より添加量が少ないと可塑化させる効果が得られず、また、この範囲より添加量が多いと、重合体の架橋密度が低くなりすぎるため、微粉末状もしくはペースト状の性状が得られないことがあるため、好ましくない。
このような硬化性フルオロポリエーテル組成物を重合させて得られる重合生成物及びその製造方法は以下の通りである。
まず、適当なプラネタリーミキサー等の撹拌装置を備えた反応器を用いて、前述の通り、(A)成分及び(B)成分をそれぞれのアルケニル基及びヒドロシリル基の比を考慮しながら、所定量に配合し、これに(C)成分を、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対し、10〜400質量部、より好ましくは20〜200質量部配合するとともに、更に(D)成分を配合し、約20〜150℃の温度下で撹拌する(攪拌工程)。なお、(A)〜(D)成分以外の任意成分を配合する場合もこの工程で適量配合することができる。
このような操作により、容易に、(C)成分には不溶であるが十分膨潤する性質を有する、(A)成分と(B)成分の重合体が、内部に(C)成分を包蔵した状態で得られる。また、撹拌下での重合反応の進行とともに、その性状は、液状から次第に軟かい塊状を経て、崩壊により粉末状となる。
ここで、(C)成分の配合が10質量部未満であると重合体の膨潤が不十分で増粘効果が不足する場合があり、また、400質量部を超えると重合体が過度に膨潤してしまい、これに剪断力を加えることが困難になる場合があるため好ましくない。
この剪断工程2における(C)成分の配合は、これと上記攪拌工程における(C)成分の配合量との合計が、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対し、20〜1000質量部、より好ましくは30〜900質量部となるようにする。
このような操作により、塊状又は粉末状の重合生成物はさらに均一に混練され、目的のペースト状重合生成物が得られる。
ここで(C)成分の配合が20質量部未満であると、均一なペースト状とならず、また、1000質量部を超えると、十分な増粘性を獲得できず、同様に良好なペースト状とはならない。
なお、上記攪拌工程における攪拌は、上記各成分を均一に混合できれば特に制限されるものではなく、例えば、プラネタリーミキサー、ロスミキサー、ホバートミキサーなどで行うことができる。中でも、通常、プラネタリーミキサーを使用することが好ましい。
また、これらの化粧料の性状としては、液状、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、粉末状等が適宜選択でき、使用形態としては、ムース状、スプレー状、スティック状、上記性状の適当な組合せからなる多層状等が適宜選択できる。
プラネタリーミキサーを用いて下記式(3)で示されるポリマー:100部に下記式(4)で示される化合物3.1部とガルデンHT−200(フッ素オイル、ソルベイソレクシス社製、粘度:3mm2/s):120部を混合した。更に、90℃で塩化白金酸/ビニルシロキサン錯体のエタノール溶液(白金金属濃度2.0質量%):0.1部を添加し、そのまま110〜130℃で2時間攪拌を続けた。得られた重合生成物は白色で弾力のある粉体状の固形物であった。
実施例1と同様の方法で得られた重合生成物((3)及び(4)式の化合物の合計):100部とガルデンHT−200:400部の配合物を、三本ロールの代わりにプラネタリーミキサーで室温下2時間攪拌を行ったが、得られた組成物は粘度が58Pa・sと低く、また、粒状物が残っており、滑らかな感触のペースト状組成物は得られなかった。
このように三本ロールを用いて十分な剪断力を加えることにより、重合生成物粉体が低粘度フッ素オイルに均一膨潤し、増粘性が高く、滑らかな感触のペースト状組成物が得られたが、剪断力が加わらない条件ではそのようなペースト状組成物は得られなかった。
プラネタリーミキサーへの仕込み物質を、上式(3)で示されるポリマー100部に上式(4)で示される化合物3.1部と塩化白金酸/ビニルシロキサン錯体のエタノール溶液(白金金属濃度2.0質量%)0.1部とした以外は、実施例1と同様にして重合生成物を粉体として得た。
この重合生成物((3)及び(4)式の化合物の合計):100部とガルデンHT−200(粘度:3mm2/s):980部を配合し、すなわち実施例1と、最終組成物中に含まれるフルオロポリエーテル架橋重合体含有量が等しくなるように配合した以外は、実施例1と同様にしてフルオロポリエーテル組成物を得た。このフルオロポリエーテル組成物は、外観が白濁しており、粘度は34Pa・sであった。
このように、低粘度フッ素オイルを共存させないで付加重合した場合には、外観が白濁し、また増粘性に乏しいことが明らかである。
プラネタリーミキサーを用いて下記式(5)で示されるポリマー(分子量:約4100):100部に下記式(6)で示される化合物:3.4部とガルデンHT−200:120部を混合した。更に、90℃で塩化白金酸/ビニルシロキサン錯体のエタノール溶液(白金金属濃度2.0質量%):0.1部を添加し、そのまま110〜130℃で2時間攪拌を続けた。得られた重合生成物は白色で弾力のある粉体状の固形物であった。
プラネタリーミキサーを用いて上式(5)で示されるポリマー(分子量:約4100):100部に下記式(8)で示される化合物:6.4部とフォンブリンHC/04(フッ素オイル、ソルベイソレクシス社製、粘度:40mm2/s):70部を混合した。更に、90℃で塩化白金酸/ビニルシロキサン錯体のエタノール溶液(白金金属濃度2.0質量%):0.1部を添加し、そのまま90〜110℃で2時間攪拌を続けた。得られた重合生成物は白色で弾力のある粉体状の固形物であった。
Claims (3)
- (A)下記一般式(1):
(B)一分子中に1個以上のパーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキレン基又はパーフルオロアルキレン基を有し、かつ一分子中にケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を2個以上有するフッ素変性有機ケイ素化合物:(A)成分中のアルケニル基に対する(B)成分中のSiH基のモル比が0.5〜5.0となる量、
(C)25℃における粘度が50mm2/s以下の含フッ素有機化合物液体:(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対する(C)成分が10〜1000質量部となる量、及び
(D)ヒドロシリル化反応触媒:触媒量
を含有してなる硬化性フルオロポリエーテル組成物。 - 請求項1記載の硬化性フルオロポリエーテル組成物から得られる微粉末状又はペースト状の重合生成物。
- 請求項1記載の硬化性フルオロポリエーテル組成物を攪拌しながら付加重合させ、更に剪断力を加えてなる微粉末状又はペースト状の重合生成物の製造方法。
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