JP3936061B2 - 溶剤の増粘方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、膨潤してシリコーンゲル、シリコーンペースト又はシリコーン粉末となったシリコーンエラストマーの形態にある増粘されたシリコーンオイルを提供する。
【0002】
【従来の技術】
架橋は三次元網状構造体中のポリマーストランドの連結部である。架橋は、連続的な不溶性網状構造体又はゲルが形成されるほど多数存在する長鎖分岐として認識することができる。
【0003】
網状構造体を形成するために貴金属触媒型ヒドロシリル化反応がますます使用されてきている。白金触媒型ヒドロシリル化反応は典型的には幾つかの≡Si−H基を含有する低分子量ポリシロキサンと幾つかの≡Si−ビニル基を含有する高分子量ポリシロキサンの間の反応、又は幾つかの≡Si−H基を含有する高分子量ポリシロキサンと幾つかの≡Si−ビニル基を含有する低分子量ポリシロキサンの間の反応を伴う。
【0004】
この機構の魅力のある特徴としては、(i) 副生成物が形成されないこと、(ii)架橋部位が厳密に規定され、従って網状構造体の構造が厳密に規定されること、及び(iii) 室温でもヒドロシリル化が進行して網状構造体が形成されること、がある。この機構において、架橋は、二重結合を交差しての≡SiHの付加、すなわち、
【0005】
【化1】
【0006】
を伴う。
【0007】
我々はこの機構を利用したが、この機構の幾つかの明らかになってはいない独特の改良を加えたものを用いることによって、新規かつ独特の特性又は応用範囲を有する新しい分野の製品を製造した。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、(A)式:R3 SiO(R’2 SiO)a (R''HSiO)b SiR3 により表される第1の≡Si−H含有ポリシロキサン及び任意に式:HR2 SiO(R’2 SiO)c SiR2 H又は式:HR2 SiO(R’2 SiO)a (R''HSiO)b SiR2 Hにより表される第2の≡Si−H含有ポリシロキサン(前記式中、R、R’及びR''は炭素原子数1〜6のアルキル基であり、aは0〜250の値であり、bは1〜250の値であり、cは0〜250の値である);
(B)式:CH2 =CR''' R''''(式中、R''' は水素原子又は1〜40個の炭素原子を含有するアルキル基であり、R''''は1〜40個の炭素原子を含有するアルキル基である)により表されるα−オレフィン;並びに
(C)式:CH2 =CH(CH2 )x CH=CH2 (式中、xは1〜20の値である)により表されるα,ω−ジエン;
を反応させることによって、シリコーンオイル又は他の溶剤をゲル様稠度のものに増粘する方法に関する。この反応は貴金属触媒(D)及び式:(CH 3 ) 3 SiO{(CH 3 ) 2 SiO} y Si(CH 3 ) 3 (ここでyの値は0〜5である)により表される揮発性の線状メチルシロキサンおよび式:{(CH 3 ) 2 SiO} z (ここでzの値は3〜9である)により表される揮発性の環状メチルシロキサンから選ばれる溶剤(E)の存在下で実施される。
【0009】
前記反応は、まずα−オレフィンから長鎖アルキル基を≡Si−H含有ポリシロキサン上にグラフト化させ、次に、ゲルが形成されるまで、グラフト化≡Si−H含有ポリシロキサン中の≡Si−Hをα,ω−ジエン中の二重結合を交差して架橋及び付加させることにより実施される。
【0010】
その後、機械力を使用してシリコーンゲルはシリコーン粉末に粉砕される。
【0011】
続いて、粉砕されたゲルに追加の溶剤(E’)を加え、シリコーンペーストが形成されるまでこのオイル及びゲルに剪断力をかける。
追加の溶剤(E’)は低分子量シリコーンオイル(E’)(ii)であることが好ましい。追加の溶剤(E’)としては、揮発性又は不揮発性のオイルを使用できる。
【0012】
ここで、シリコーンエラストマーは、貴金属触媒(D)及び式:(CH 3 ) 3 SiO{(CH 3 ) 2 SiO} y Si(CH 3 ) 3 (ここでyの値は0〜5である)により表される揮発性の線状メチルシロキサンおよび式:{(CH 3 ) 2 SiO} z (ここでzの値は3〜9である)により表される揮発性の環状メチルシロキサンから選ばれる溶剤(E)の存在下での≡Si−H含有ポリシロキサン(A)、α−オレフィン(B)、α,ω−ジエン(C)の間のグラフト化及び架橋反応により調製される。結果として得られるエラストマーを、次に追加の溶剤により剪断力下で膨潤させる。溶剤を65〜98重量%含有するエラストマーは安定であり、広範な粘度範囲の均一なシリコーンペーストを形成する。
【0013】
結果として得られるシリコーンペーストは、透明性、チキソトロピー、剪断減粘性を含む優れた特性を有し、皮膚上で滑らかに拡がる。このシリコーンペーストは、化粧品及び医薬品においてベースオイルとして応用される。前記シリコーンエラストマーを粉砕してシリコーン粉末を形成することができる。従って、この粉末は皮膚に容易にすり付けられるという独特の特性を有し、皮膚に適用される配合物の直接性(substantivity)を改良するためにこの粉末にシリコーン樹脂を混合することができる。これらの材料が発汗抑制剤及び脱臭剤のような固形化粧品に使用されるのが理想的である。
【0014】
前記≡Si−H含有ポリシロキサン(A)は、本明細書においてA1 型と表す式:R3 SiO(R’2 SiO)a (R''HSiO)b SiR3 により表される化合物、及び本明細書においてA2 型と表す式:HR2 SiO(R’2 SiO)c SiR2 H又は式:HR2 SiO(R’2 SiO)a (R''HSiO)b SiR2 Hにより表される化合物に代表される。これらの式において、R、R’及びR''は炭素原子数1〜6のアルキル基であり、aは0〜250の値であり、bは1〜250の値であり、cは0〜250の値である。これらの化合物のモル比A2 :A1 は0〜20、好ましくは0〜5の値である。本発明の最も好ましい態様において、A1 型及びA2 型の化合物が反応に使用されるが、A1 型の化合物のみを使用して反応を首尾よく実施することもできる。
【0015】
前記α−オレフィン(B)は式:CH2 =CR''' R''''(式中、R''' は水素原子又は1〜40個の炭素原子を含有するアルキル基であり、R''''は1〜40個の炭素原子を含有するアルキル基である)により表される化合物である。本発明において使用するのに適切なα−オレフィンの代表例には、プロペン、1−ブテン、イソブチレン(2−メチルプロペン)、1−ペンテン(C5)、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、2−メチル−1−ヘプテン、1−ノネン、1−デセン(C10)、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン(C15)、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン(C20)、1−ヘプタコセン、並びにテキサス州ヒューストン所在のChevron Chemical Companyにより商品名GULFTENE(商標)24-28 及びGULFTENE(商標)30+ のもとに市販されている種々の量のC22〜C30+ α−オレフィンを含むα−オレフィン留分がある。
【0016】
前記α,ω−ジエン(C)は、式:CH2 =CH(CH2 )x CH=CH2 (式中、xは1〜20の値である)により表される化合物である。適切な例には、1,4−ペンタジエン;1,5−ヘキサジエン;1,6−ヘプタジエン;1,7−オクタジエン;1,8−ノナジエン;1,9−デカジエン;1,11−ドデカジエン;1,13−テトラデカジエン;及び1,19−エイコサジエンがある。
【0017】
本発明におけるグラフト化反応、付加反応及び架橋反応は、≡SiH含有ポリシロキサン、α−オレフィン及びα,ω−ジエンの間の反応を引き起こす触媒(D)を必要とする。適切な触媒は第VIII族遷移金属、すなわち貴金属である。そのような触媒は米国特許第3,923,705号明細書に記載されており、この特許明細書には、白金触媒が示されている。好ましい白金触媒の1つはカルステット(Karstedt's)触媒であり、この触媒は米国特許第3,715,334号及び第3,814,730号明細書により詳細に記載されている。カルステット触媒は、トルエンのような溶剤中に典型的には1重量%の白金を含有する白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体である。もう1つの好ましい白金触媒は、クロロ白金酸と末端脂肪族性不飽和を含有する有機ケイ素化合物との反応生成物である。この後者の触媒は米国特許第3,419,593号明細書により完全に記載されている。貴金属触媒は、≡SiH含有ポリシロキサン100重量部当たり0.00001〜0.5部、好ましくは0.00001〜0.02部、最も好ましくは0.00001〜0.002部の量で使用される。
【0018】
本発明は、上記の揮発性の線状メチルシロキサンおよび揮発性の環状メチルシロキサンから選ばれる溶剤(E)のみを用いてシリコーンエラストマーを膨潤させることに限定されない。シリコーンエラストマーを膨潤させるために他の種類の溶剤を使用することもできる。すなわち、ただ1種の溶剤が使用されても、溶剤の混合物が使用されてもよい。
【0019】
ここで、上記の揮発性の線状メチルシロキサンおよび揮発性の環状メチルシロキサンから選ばれる溶剤(E)に加えて、他の材料を溶解させるため、懸濁させるため、又は他の材料の物理的特性を変化させるために工業規模で使用される(E’)(i) 有機化合物、(E’)(ii)前述の通りのケイ素原子を含有する化合物、(E’)(iii) 有機化合物の混合物、(E’)(iv)ケイ素原子を含有する化合物の混合物、又は(E’)(v) 有機化合物とケイ素原子を含有する化合物との混合物を使用することができる。
【0020】
概して、上記有機化合物(E’)(i) は、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、アルコール、アルデヒド、ケトン、アミン、エステル、エーテル、グリコール、グリコールエーテル、ハロゲン化アルキル又はハロゲン化芳香族化合物である。幾つかの一般的な有機溶剤のうちの代表的なものは、メタノール、エタノール、1-プロパノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、2−オクタノール、エチレングリコール、プロピレングロコール及びグリセロールのようなアルコール;ペンタン、シクロヘキサン、ヘプタン、VM&P溶剤及びミネラルスピリットのような脂肪族炭化水素;クロロホルム、四塩化炭素、ペルクロロエチレン、塩化エチル及びクロロベンゼンのようなハロゲン化アルキル;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン及びキシレンのような芳香族炭化水素;エチルアセテート、イソプロピルアセテート、エチルアセトアセテート、アミルアセテート、イソブチルイソブチレート及びベンジルアセテートのようなエステル;エチルエーテル、n−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン及び1,4−ジオキサンのようなエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及びプロピレングリコールモノフェニルエーテルのようなグリコールエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、メチルアミルケトン及びジイソブチルケトンのようなケトン;鉱油、ガソリン、ナフサ、ケロセン、軽油、重油及び原油のような石油炭化水素;スピンドル油及びタービン油のような潤滑油;並びにトウモロコシ油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、綿実油、イワシ油、ニシン油及び鯨油のような脂肪油である。
【0021】
アセトニトリル、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、プロピレンオキシド、トリオクチルホスフェート、ブチロラクトン、フルフラール、パイン油、ターペンタイン及びm−クレゾールのような他の種々の有機溶剤を使用することもできる。
【0022】
追加の溶剤(E’)は、さらに揮発性香味料、例えば、ウインターグリーン油;ペパーミント油;スペアミント油;メントール;バニラ油;シナモン油;丁子油;ベイ油(bay oil );アニス油;ユーカリ油;タイム油(thyme oil );セダーリーフ油(cedar leaf oil);ナツメグ油;セージ、カッシア、カカオ、甘草の油;高フルクトースコーンシロップ;レモン、オレンジ、ライム及びグレープフルーツのような柑橘属植物の油;リンゴ、ナシ、モモ、ブドウ、イチゴ、キイチゴ、サクランボ、プラム、パイナップル及びアプリコットのような果物のエッセンス;並びにシンナミルアセテート、シンナマルアルデヒド、オイゲノールホルメート、p−メチルアニソール、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、シトラール、ネラール、デカナール、バニリン、トリルアルデヒド、2,6−ジメチルオクタナール及び2−エチルブチルアルデヒドのようなアルデヒド及びエステルを包含する他の有用な香味料を包含する。
【0023】
さらに、追加の溶剤(E’)には、天然物及び芳香油のような揮発性芳香剤が含まれる。幾つかの代表的な天然物及び芳香油としては、アンバーグリース、ベンゾイン、霊猫香、クローブ油、リーフ油(leaf oil)、ジャスミン油、マテ(mate)油、ミモザ(mimosa)油、ジャコウ、ミルラ樹脂(myrrh )、イリス油、ビャクダン油及びベチバー油;アミルサリチレート、アミルシンナミンアルデヒド、ベンジルアセテート、シトロネロール、クマリン、ゲラニオール、イソボルニルアセテート、アンブレット及びテルピニルアセテートのような芳香性化学物質;並びに花束系、東洋系、ビャクダン系、木質系、柑橘系、カヌー系、皮革系、スパイス系及び草本系のような種々の古典的な系統の芳香油がある。
【0024】
「低分子量シリコーンオイル」なる用語は、(i) 揮発性の低分子量線状及び環状メチルシロキサン、(ii)揮発性及び不揮発性の低分子量線状及び環状のアルキル及びアリールシロキサン、並びに(iii) 低分子量の線状及び環状官能シロキサンのようなケイ素原子を含有する化合物を包含する。しかしながら、揮発性の低分子量線状及び環状メチルシロキサン(VMS)が最も好ましい。
【0025】
VMS化合物は、式:(CH3 )a SiO(4-a)/2 (式中、aは2〜3の平均値を有する)により表される平均単位に対応する。これらの化合物は、≡Si−O−Si≡結合により結合しているシロキサン単位を含む。代表的な単位は単官能性「M」単位(CH3 )3 SiO1/2 及び2官能性「D」単位(CH3 )2 SiO2/2 である。
【0026】
3官能性「T」単位CH3 SiO3/2 が存在すると、揮発性の枝分かれした線状又は環状メチルシロキサンが生成する。4官能性「Q」単位SiO4/2 が存在すると、揮発性の枝分かれした線状又は環状メチルシロキサンが生成する。
【0027】
線状VMS化合物は、式:(CH3 )3 SiO{(CH3 )2 SiO}y Si(CH3 )3 により表される。ここでyの値は0〜5である。環状VMS化合物は、式:{(CH3 )2 SiO}z により表される。ここでzの値は3〜9である。これらのVMSは、沸点が250℃未満であり、粘度が0.65〜5.0センチストークス(mm2 /s)であるものであることが好ましい。
【0028】
代表的な線状VMSは、沸点が100℃、粘度が0.65mm2 /sの式:Me3 SiOSiMe3 により表されるヘキサメチルジシロキサン(MM);沸点が152℃、粘度が1.04mm2 /sの式:Me3 SiOMe2 SiOSiMe3 により表されるオクタメチルトリシロキサン(MDM);沸点が194℃、粘度が1.53mm2 /sの式:Me3 SiO(Me2 SiO)2 SiMe3 により表されるデカメチルテトラシロキサン(MD2 M);沸点が229℃、粘度が2.06mm2 /sの式:Me3 SiO(Me2 SiO)3 SiMe3 により表されるドデカメチルペンタシロキサン(MD3 M);沸点が245℃、粘度が2.63mm2 /sの式:Me3 SiO(Me2 SiO)4 SiMe3 により表されるテトラデカメチルヘキサシロキサン(MD4 M);及び沸点が270℃、粘度が3.24mm2 /sの式:Me3 SiO(Me2 SiO)5 SiMe3 により表されるヘキサデカメチルヘプタシロキサン(MD5 M)である。
【0029】
代表的な環状VMSは、沸点が134℃の式:{(Me2 )SiO}3 により表されるヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3 );沸点が176℃、粘度が2.3mm2 /sの式:{(Me2 )SiO}4 により表されるオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4 );沸点が210℃、粘度が3.87mm2 /sの式:{(Me2 )SiO}5 により表されるデカメチルシクロペンタシロキサン(D5 );沸点が245℃、粘度が6.62mm2 /sの式:{(Me2 )SiO}6 により表されるドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6 )である。
【0030】
代表的な分枝VMSは、沸点が192℃、粘度が1.57mm2 /sの式:C10H30O3 Si4 により表されるヘプタメチル−3−{(トリメチルシリル)オキシ}トリシロキサン(M3 T);沸点が222℃、粘度が2.86mm2 /sの式:C12H36O4 Si5 により表されるヘキサメチル−3,3,ビス{(トリメチルシリル)オキシ}トリシロキサン(M4 Q);及び式:C8 H24O4 Si4 により表されるペンタメチル{(トリメチルシリル)オキシ}シクロトリシロキサン(MD3 )である。
【0031】
本発明の方法は、それぞれ式:R3 SiO(R2 SiO)y SiR3 及び(R2 SiO)z により表される揮発性及び不揮発性の低分子量線状及び環状のアルキル及びアリールシロキサンを使用することも含む。ここでRは炭素原子数2〜20のアルキル基又はフェニルのようなアリール基である。yの値は0〜80、好ましくは5〜20である。zの値は3〜9、好ましくは4〜6である。これらのポリシロキサンは概して1〜100センチストークス(mm2 /s)の粘度を有する。yが100〜1,000センチストークス(mm2 /s)の範囲内の粘度をポリマーに付与するのに十分な値であるポリシロキサンを使用することもできる。典型的には、yは80〜375の値である。そのようなポリシロキサンの具体例には、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、及びポリジフェニルシロキサンがある。
【0032】
低分子量官能ポリシロキサンを使用することもでき、低分子量官能ポリシロキサンは、式:R3 SiO(RQSiO)y SiR3 (式中、Qは官能基である)により表されるものに代表される。そのようなポリシロキサンの例には、アクリルアミド官能シロキサン流体、アクリレート官能シロキサン流体、アミド官能シロキサン流体、アミノ官能シロキサン流体、カルビノール官能シロキサン流体、カルボキシ官能シロキサン流体、クロロアルキル官能シロキサン流体、エポキシ官能シロキサン流体、グリコール官能シロキサン流体、ケタール官能シロキサン流体、メルカプト官能シロキサン流体、メチルエステル官能シロキサン流体、ペルフルオロ官能シロキサン流体及びシラノール官能シロキサンがある。
【0033】
本発明の方法は、≡SiH含有ポリシロキサン、α−オレフィン、α,ω−ジエン、溶剤(E)並びに触媒を組み合わせること、次にこれらの成分をゲルが形成されるまで室温で混合することにより実施される。所望であれば、当該方法を加速するためにより高い温度を使用することができる。
【0034】
次に、追加量の低分子量シリコーンオイル又は溶剤(E’)をゲルに加え、得られた混合物を剪断力にかけてペーストを形成する。これらの工程を実施するために、回分混合機、遊星形混合機、一軸又は多軸スクリュー押出機、動的又は静的混合機、コロイドミル、ホモジナイザー、ソノレーター又はこれらの組み合わせのような任意の種類の混合及び剪断装置を使用してよい。
【0035】
典型的には、本発明の方法は、α−オレフィン及びα,ω−ジエンからのビニル基に対してモル比が約1:1の≡SiH含有ポリシロキサンを使用して実施される。≡SiH含有シロキサン又はビニル含有化合物を過剰に使用して本発明の方法を実施することによっても有用な材料を調製できることが予測されるが、原料をあまり有効に利用していないと見なされるであろう。この組成物の残りは、当該組成物の概して65〜98重量%、好ましくは80〜98重量%の範囲内の量の上記の揮発性の線状メチルシロキサンおよび揮発性の環状メチルシロキサンから選ばれる溶剤(E)からなる。
【0036】
しかしながら、上記の揮発性の線状メチルシロキサンおよび揮発性の環状メチルシロキサンから選ばれる溶剤(E)は、2段階法でシリコーンエラストマーにより増粘されることが最も好ましい。第1工程において、≡SiH含有ポリシロキサンを触媒の存在下でα−オレフィンと接触させることにより≡SiH含有ポリシロキサンは長鎖アルキル基によりグラフト化される。第2工程において、α−オレフィンからの長鎖アルキル基によりグラフト化された≡SiH含有ポリシロキサンは、溶剤(E)及び白金触媒の存在下でのα,ω−ジエンとの接触により架橋される。それによって、α,ω−ジエンのみを使用することにより製造されたエラストマーに対し、2種の炭化水素特性を備えたエラストマーが製造される。この2段階法を以下に示す:
【0037】
【化2】
【0038】
代わりに、本発明におけるシリコーンエラストマーによる増粘は、≡SiH含有ポリシロキサン、α−オレフィン、α,ω−ジエン、溶剤及び貴金属触媒を含む混合物をゲル化することにより1段階で実施される。1段階又は2段階で製造されるシリコーンエラストマーは剪断力下で低分子量シリコーンオイルにより同様に膨潤することができ、両方の方法で均一なシリコーンペーストが提供される。これらのシリコーンペーストはこすり付けた際に優れた塗布性を示すものであって、チキソトロープ性及び剪断減粘性であるという点で独特の流動学的性質を有し、さらに鉱油のような疎水性物質との混和性がより高いという利点も有する。
【0039】
下記実施例1〜3に従って調製されたシリコーンペーストは鉱油以外の皮膚緩和油、例えばピーナッツ油、ゴマ油、アボカド油、ヤシ油、ココアバター、アーモンド油、ベニバナ油、トウモロコシ油、綿実油、ヒマシ油、オリーブ油、ホホバ油、パラフィン油、タラ肝油、パーム油、大豆油、コムギの胚種油、アマニ油及びヒマワリ種子油;イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、オクチルパルミテート、イソプロピルステアレート、ブチルステアレート、セチルステアレート、ジイソプロピルアジペート、イソデシルオレエート、ジイソプロピルセバケート及びラウリルラクテートのような脂肪酸エステル;ラウリン酸、ミリスチン酸、パリミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸及びベヘン酸のような脂肪酸;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、リシノレイルアルコール、エルシルアルコール及び2−オクチルドデカノールのような脂肪アルコール;ラノリン、ラノリン油、ラノリンワックス、ラノリンアルコール、ラノリン脂肪酸、イソプロピルラノレート、エトキシル化ラノリン、及びAmerchol Corporation(ニュージャージー州エジソン所在)の商標及び製品であるACETULANのようなアセチル化ラノリンアルコールのようなラノリン及びその誘導体; 石油及びスクアランのような炭化水素;並びにExxon Chemical Company(テキサス州ヒューストン所在)製の商標ISOPARのもとに市販されている分枝炭化水素の混合物とも混和性である。
【0040】
本発明のシリコーンエラストマー、シリコーンゲル、シリコーンペースト及びシリコーン粉末組成物はパーソナルケア分野において特別な価値がある。これらの組成物のVMS成分の独特の揮発特性のために、種々の医師の処方不要(OTC)のパーソナルケア製品を形成するためにこれらの組成物は単独で使用することも又は他の化粧品用流体と配合して使用することもできる。
【0041】
例えば、本発明の組成物は乾燥した触感を残し、蒸発時に皮膚を冷やさないために、発汗抑制剤及び脱臭剤中のキャリヤーとして有用である。本発明の組成物は平滑潤滑性であり、スキンクリーム、スキンケアローション、加湿剤、アクネ除去剤又はしわ取り剤のような顔面処理剤、パーソナルクレンザー又は顔面クレンザー、バスオイル、香水、コロン、サッシェ(sachet)、日焼け止め剤、プレシェーブローション(pre-shave lotion)及びアフターシェーブローション(after-shave lotion)、液体石鹸、ひげそり用石鹸及びひげそり用石鹸泡の特性を改良する。光沢を高め、乾燥時間を短縮し、そして状態調節する利点を提供するために、本発明の組成物をヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアスプレー、ムース、パーマネント、脱毛剤及びキューティクルコート中に使用することができる。
【0042】
化粧品において、本発明の組成物は、化粧品、有色化粧品、ファンデーション、ほお紅、口紅、リップバルム剤(lip balm)、アイライン、マスカラ、油除去剤、有色化粧品除去剤及びパウダー中の顔料用の均展剤及び展着剤として作用する。本発明の組成物は、ビタミンのような油溶性及び水溶性物質のためのデリバリーシステムとして有用である。スティック(stick )、ゲル、ローション、エアゾール及びロールオン(roll-on )に本発明の組成物を含めた場合には、本発明の組成物はさらさらした絹のような滑らかさを付与する。
【0043】
さらに、本発明の組成物は、透明性、保存性及び製造のし易さのような他の利点及び有益な特性を示す。それ故、本発明の組成物の用途は広く、特に発汗抑制剤、脱臭剤、香水中のキャリヤーとしての用途、及び毛髪を状態調節する用途がある。
【0044】
本発明のシリコーンエラストマー、ゲル、ペースト及び粉末は、パーソナルケア分野以外で、電気ケーブル用の充填材若しくは絶縁材料、イングラウンド安定化用の土壌若しくは水バリヤー、又は電子産業においてコイルオンプラグの設計に使用されるエポキシ材料の代替物としてそれらを使用することを含む用途を有する。
【0045】
本発明のシリコーンエラストマー、ゲル、ペースト及び粉末は、架橋シリコーンゴム粒子用のキャリヤーとしても有用である。この用途において、(i) 本発明のシリコーンエラストマー、ゲル、ペースト及び粉末は、シーラント、ペイント、コーティング、グリース、接着剤、消泡剤及び注封材料のようなシリコーン又は有機相中に粒子を導入し易くし、(ii)本発明のシリコーンエラストマー、ゲル、ペースト及び粉末は、ニート又は仕上がった状態でそのような相の流動学的性質、物理的性質又はエネルギー吸収性を改良する。
【0046】
さらに、本発明のシリコーンエラストマー、ゲル、ペースト及び粉末は、医薬品、殺生物剤、除草剤、農薬及び他の生物学的に活性な物質用のキャリヤーとして作用することができ、また本発明のシリコーンエラストマー、ゲル、ペースト及び粉末を、水及び水溶性物質を疎水性系に導入することに使用することもできる。幾つかの水溶性物質の例には、サリチル酸、グリセロール、酵素及びグリコール酸がある。
本発明をより詳細に説明するために次の実施例を示す。
【0047】
【実施例】
実施例1
平均構造式:Me3 SiO(Me2 SiO)60(MeHSiO)8 SiMe3 (式中、Meはメチルであり、以下同様とする)により表されるオルガノポリシロキサン100g及び平均構造式:CH2 =CH(CH2 )24CH3 により表されるα−オレフィン17.55gをフラスコ内で混合した。この溶液に、2センチストークス(mm2 /s)のポリジメチルシロキサン流体中に2重量%の白金を含有するカルステット触媒20μlを加えた。この溶液を3時間攪拌した。次に、反応容器内で、得られた生成物(14g)及びα,ω−ジエン、すなわち1,5−ヘキサジエン(0.542g)を66gのデカメチルシクロペンタシロキサン(D5 )と混合した。溶液を攪拌しながら、再び20μlのカルステット触媒を加えた。1時間以内にゲル化が起こった。ゲルを反応容器内に一晩放置し、次に60重量部のゲルを剪断力下で46重量部のデカメチルシクロペンタシロキサンにより膨潤させた。0.025秒-1(s-1)の剪断速度で1.08×106 センチポアズ(mPa・s)の粘度を示す均一なペーストを得た。次に、このペーストを鉱油と混合し、いかなる重量比でもこのペーストは鉱油と混和性であることを確認した。この実施例は本発明の2段階法を示すものである。
【0048】
実施例2
平均構造式:Me3 SiO(Me2 SiO)16(MeHSiO)39SiMe3 により表されるオルガノポリシロキサン25g及び平均構造式:CH2 =CH(CH2 )15CH3 により表されるα−オレフィン49gをフラスコ内で混合した。この溶液にカルステット触媒20μlを加え、溶液を1時間攪拌した。反応容器内で、この生成物(3g)及び平均構造式:Me3 SiO(Me2 SiO)93(MeHSiO)6 SiMe3 により表されるオルガノポリシロキサン5g及び1,5−ヘキサジエン(0.285g)を37gのデカメチルシクロペンタシロキサンと混合した。溶液を攪拌しながら、再び20μlのカルステット触媒を加えた。数時間以内にゲル化が起こった。ゲルを80℃のオーブン内に3時間入れ、次に43重量部のゲルを剪断力下で34重量部のデカメチルシクロペンタシロキサンにより膨潤させた。0.025s-1の剪断速度で5.77×105 センチポアズ(mPa・s)の粘度を示す均一なペーストを得た。このペーストを鉱油と混合し、いかなる重量比でもこのペーストは鉱油と混和性であることを確認した。この実施例は本発明の2段階法を示すものである。
【0049】
実施例3
反応容器内で、平均構造式:Me3 SiO(Me2 SiO)60(MeHSiO)8 SiMe3 により表されるオルガノポリシロキサン15g、式:CH2 =CH(CH2 )15CH3 により表されるα−オレフィン1.24g、0.73gのα,ω−ジエン、すなわち1,5−ヘキサジエン及び68gのデカメチルシクロペンタシロキサンを混合した。この溶液にカルステット触媒20μlを加えた。溶液がゲル化するまで溶液を攪拌した。ゲルを80℃のオーブン内に4時間入れ、次に50重量部のゲルを剪断力下で50重量部のデカメチルシクロペンタシロキサンにより膨潤させた。0.025s-1の剪断速度で1.9×106 センチポアズ(mPa・s)の粘度を示す均一なペーストを得た。このペーストを鉱油と混合し、いかなる重量比でもこのペーストは鉱油と混和性であることを確認した。この実施例は本発明の1段階法を示すものである。
【0050】
比較例1
平均構造式:Me3 SiO(Me2 SiO)93(MeHSiO)6 SiMe3 により表されるオルガノポリシロキサン12g、0.412gのα,ω−ジエン、すなわち1,5−ヘキサジエン、80.7gのデカメチルシクロペンタシロキサン及び20μlのカルステット触媒からゲルを調製した。このゲル60gを剪断力下で34gのデカメチルシクロペンタシロキサンにより膨潤させた。ペーストが得られ、そしてそれを鉱油と混合した。ペーストと鉱油の混和性は不十分であった。このことは、曇り度が増加したこと及びその後に相分離が起こったことにより明示された。
Claims (3)
- (A)式:R3 SiO(R’2 SiO)a (R''HSiO)b SiR3 により表される第1の≡Si−H含有ポリシロキサン及び任意に式:HR2 SiO(R’2 SiO)c SiR2 H又は式:HR2 SiO(R’2 SiO)a (R''HSiO)b SiR2 Hにより表される第2の≡Si−H含有ポリシロキサン(前記式中、R、R’及びR''は炭素原子数1〜6のアルキル基であり、aは0〜250の値であり、bは1〜250の値であり、cは0〜250の値である);
(B)式:CH2 =CR''' R''''(式中、R''' は水素原子又は1〜40個の炭素原子を含有するアルキル基であり、R''''は1〜40個の炭素原子を含有するアルキル基である)により表されるα−オレフィン;並びに
(C)式:CH2 =CH(CH2 )x CH=CH2 (式中、xは1〜20の値である)により表されるα,ω−ジエン;
を、貴金属触媒(D)と、式:(CH3 )3 SiO{(CH3 )2 SiO}y Si(CH3 )3 (ここでyの値は0〜5である)により表される揮発性の線状メチルシロキサンおよび式:{(CH3 )2 SiO}z (ここでzの値は3〜9である)により表される揮発性の環状メチルシロキサンから選ばれる溶剤(E)の存在下で反応させる工程;並びに
ゲルが形成されるまでこの反応を続ける工程;
を含み、前記ゲルは65〜98重量%の溶剤(E)を含む、溶剤の増粘方法。 - 前記ゲル中の溶剤(E)の含有量が98重量%未満である場合に、前記ゲルに、有機化合物(E’)(i) 、ケイ素原子を含有する化合物(E’)(ii)、有機化合物の混合物(E’)(iii) 、ケイ素原子を含有する化合物の混合物(E’)(iv)及び有機化合物とケイ素原子を含有する化合物との混合物(E’)(v) からなる群から選ばれる追加の溶剤(E’)を、前記溶剤(E)と追加の溶剤(E’)の合計量が前記ゲルの65〜98重量%となる量で加える工程、並びにペーストが形成されるまで溶剤(E)、追加の溶剤(E’)及びゲルに剪断力をかける工程をさらに含む請求項1記載の方法。
- 機械力を使用して粉末が得られるまでゲルを粉砕する工程をさらに含む請求項1記載の方法。
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