JP2010172889A - 遠心機用低ノイズロータ室 - Google Patents
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Abstract
【課題】遠心機用ロータ室に関し、特に、遠心機ロータを収容するための室内部と、その室内部の内方に面する内側面と、室内部の外方に面する外側面とを含んで構成される室壁を有し、かつ、ロータ室から発せられる音を低減するための防音壁を有する空冷実験用遠心機用のロータ室を提供する。
【解決手段】室の内部側に面する内面、遠心機のロータを支持するように形成された室の内部、及び前記室の内部から離れる側に面する外面を含んで構成される室壁を有し、前記ロータ室から発散する音を低減するように形成され、多層の緩衝ライニングを含んで構成される防音壁を有する、遠心機、特に空冷実験用遠心機用のロータ室。かかるロータ室を有する遠心機、及び遠心機特に空冷実験用遠心機の前記ロータ室から発散する音を低減する方法。
【選択図】なし
【解決手段】室の内部側に面する内面、遠心機のロータを支持するように形成された室の内部、及び前記室の内部から離れる側に面する外面を含んで構成される室壁を有し、前記ロータ室から発散する音を低減するように形成され、多層の緩衝ライニングを含んで構成される防音壁を有する、遠心機、特に空冷実験用遠心機用のロータ室。かかるロータ室を有する遠心機、及び遠心機特に空冷実験用遠心機の前記ロータ室から発散する音を低減する方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、遠心機用ロータ室に関し、特に、遠心機ロータを収容するための室内部と、その室内部の内方に面する内側面と、室内部の外方に面する外側面とを含んで構成される室壁を有し、かつ、ロータ室から発せられる音を低減するための防音壁を有する空冷実験用遠心機用のロータ室に関する。さらに、本発明は、かかるロータ室を有する遠心機に関し、かつ、遠心機,特に空冷実験用遠心機のロータ室から発せられる音を低減する方法に関する。
遠心機、特に空冷実験用遠心機では、大きな暗騒音を頻繁に生じ、時には、その音が運転中、近くにいる人に不快に感じられるほどに大きなことがある。遠心機の運転中に大きな暗騒音を時おり生じる原因は、特にマニホールドである。したがって、例えば遠心機容器内の重量バランスがほんの僅か崩れている場合でさえ、遠心機の振動を生じ、この振動が最終的にはガタガタする音や、その類の騒音となる。さらにロータ室もまた、遠心機のノイズ増大の主たる原因となる。遠心機用ロータ室の基本的な構造は、先行技術によって知られているが、ロータを収容する通常は円筒状のロータ室となっている。ロータ室は通常、遠心されるサンプルの装入、取り出しのため、またはロータの交換のため、上部を開口するように形成されている。反対に、底の部分は通常、駆動軸の通路用以外は原則的には閉塞し、かつロータ室の側壁にしっかりと結合している。このように、ロータ室は、全体的に横断面において貫通した形状の側面を有している。さらに、遠心機は通常旋回可能な蓋を有し、この蓋を用いてロータ室を構成するロータ内部空間の上部を閉塞することができる。
冷却用空気の誘導に応じ、遠心機のロータ室内で回転するロータには、しばしば、回転時において、付着している遠心物質及び内側部分に配置された他の部品や、さらには任意で外側部分に配置された部品を冷却するための冷却用空気が与えられるようになっている。しかし、特にこの空気流は、遠心機の運転中、ある特定の状況下で音波として伝播するロータ流を妨害するが、これは聴覚上、不連続音として感じられる。ロータ室が振動して、周辺空気に空気伝播音が生じるが、これは、ロータ回転によって引き起こされ、この騒音の発生源となる。
遠心機におけるノイズ増大の総合力を低減する手段が、先行技術において公知である。例えば、遠心機またはハウジングの振動によって生じる羽ばたきノイズは、とりわけ、適切な弾性ベアリング,クッション性を有した支持脚などを使用することによって低減できるであろう。さらなる可能性が、DE19719959C1に開示されている。ここには、とりわけ、基板上に回転駆動モータを有する基板群を含んで構成された実験用遠心機が開示されている。前記基板は、傾斜したフロントパネルと一体であり、通常実験用遠心機内にある駆動素子及びディスプレイ手段を有する。基板群は、密着した金属板で製造されており、該金属板には少なくとも2つの並行列をなすデカップリングスロットが、フロントパネルと基板とを接合する金属板の屈曲部分に配設されて、フロントパネルと基板との間に蛇行したウェブ結合を形成するが、それによってロータ上のアンバランスによって生じるノイズ増大または構造上ノイズがフロントパネル方向において著しく低減する。さらに、遠心機の部分にある減音素材との統合が知られる。このため、例えばDE7224033U1には、特に防音壁として機能するポリウレタンハードフォームの使用が提案されている。防音壁は、本発明の範囲においては、少なくとも1つの空間方向へのノイズ伝播を低減し、または、防止さえする装置として理解すべきである。
しかしながら、かかる先行手段にも関わらず、ノイズ増大は依然として比較的高く、かつ、うるさく感じられる。したがって、本発明の目的は、遠心機、特に空冷実験用遠心機のノイズ増大を更に減少する可能性を開示することである。
前記目的は、独立請求項の1つにより、遠心機用のロータ室、遠心機、及び遠心機用のロータ室からの放射音を低減する方法によって達成される。有利な改良点は、従属請求項に開示される。
本発明の本質的な実施形態は、防音壁が緩衝ライニングであって、該ライニングは、少なくとも1つの第1層及び1つの第2層を有し、室壁の少なくとも1つの下部分を覆っており、第1層及び第2層は他方の頂壁上に少なくとも部分的に平坦に位置して配設され、第1層は第2層に比較して本質的には吸音特性の素材を含んで構成され、第2層は第1層に比較して本質的には音を反射する特性の素材を含んで構成される。
ロータ室は、結局は、中で回転する遠心機ロータを収容するため用いられるものであり、したがって、ロータ室内部でのロータ作動によって生じる圧力波の影響を特に受けやすく、これにより、ロータ室に振動を生じさせ、その結果空気伝播音という形でノイズを発する。本発明によれば、減音性を改善するため、少なくともロータ室の室壁の下位部分に緩衝ライニングを配設することで、室壁から発する音を低減し、こうして防音壁として機能する。本発明にかかる緩衝ライニングは、多層として実施され、特に少なくとも1つの第1層と1つの第2層とを含んで構成される2層として実施される。特に効果的な音の最小化は、より詳細には後述するが、本発明に係る第1及び第2層で用いられる特に、100〜1000Hzの周波数域、さらに特定すると100〜500の周波数域の素材を適用することによって達成される。素材の結合は決して任意になされるのではなく、ノイズ低減用のまたは防音壁の1つのエレメントに、原則的にはノイズ吸収素材とノイズ反射素材との結合という概念に基づいている。本発明に係るこの結合によってのみ、卓越したノイズ最小化が可能となる。
音の反射とは、音緩衝という意味で理解すべきでものであり、この場合、音波の反射によって空気伝播音または構造上ノイズの発生を防ぐということである。これとは反対に、音の吸収は原則的に音波の吸収によって音の伝播を低減する音緩衝に関するものであり、これを介して音のエネルギが不可聴振動に変換されるか、または消滅する。このように、本発明の基本的な考えは、防音壁が異なった減音原理(特に音の吸収と音の反射)を用いる複数または少なくとも2つの素材を含んで構成されるということであり、これらの減音原理は相互にそれぞれの減音特性を補完する。本ケースでは、少なくとも2つの緩衝層を相互に適切に適合させることが重要である。本発明の範囲において、原則的に吸音特性を有する素材は、音を反射する特性もある程度有し、逆もまた同様であることは明らかである。より正確には、第1の層は第2の層に比べ吸音特性がより顕著であり、そして、第2の層は第1の層に比べ音の反射性がより顕著であることは、確かということである。
「素材」という用語は、本発明の意味においては、個々の素材に制限するのでなく、むしろ、混和材、多成分部品等をも含む、と理解すべきである。したがって、本発明の範囲内において、第1層または第2層の少なくとも一方は、例えば、多数の素材の混合物または個々の成分である1つの素材を含んで構成されていてもよい。
また、第1の層及び第2の層は、少なくとも部分的に相互に平坦に位置するように配置される。相互に平坦に配置される形態とは、第1の層と第2の層がロータ室内に配置されたロータに対して径方向に相互に後方に位置して、相互に直接隣接するということを意味すると理解すべきである。このように、この部分において緩衝ライニングは、多層複合素材に形成されるか、または、サンドイッチ構造を有する。オーバーラップ領域の割合は、2つの層の各々について変えることは可能であるが、第1及び第2層のオーバーラップ領域が増大するほど、または、緩衝ライニングの少なくとも2層が相互に頂壁に配置されているロータ室壁の領域の割合が大きいほど、緩衝ライニングにより得られる減音効果がより増大する。
さらに、緩衝ライニングは、ロータ室の表面の少なくとも一部に貼着しているため、ロータ室のこの部分の振動は緩衝ライニングによって直接吸収される。緩衝ライニングは、ロータ室壁に対し逆振動質量となって、この領域でロータ室壁に関して振動質量ダンパーまたは振動ダンパーとして機能する。この効果は、後により詳細に説明するように、第1層が第2層とロータ室壁との間に配置され、かつ、十分な弾性を有した素材を含んで構成されているときに、特に明確となる。したがって特にこの種の形態では、防音壁の消音効果は、とりわけ、複合素材は逆振動を生じるため、この構造によってエネルギが引き出され、そして減衰するという質量−バネ作用原理に基づいている。この構造により、弾性部分または緩衝ライニングに向かう熱を消滅できる。
ロータ室の緩衝ライニングの具体的な構成は、本発明の範囲内で様々な手法により変えることができる。例えば、第1層を第2層から離れたロータ室側面に直接平らに押付けて配設する場合、特に良好な減音効果が得られる。少なくとも第1層と第2層とのオーバーラップ部分において、第1層はこのように第2層とロータ室との間に配設されるか、又は第2層とロータ室との連結部を形成する。この構成により、まず、本質的に吸音特性(第2層に比較して)を有する素材がロータ壁に隣接し、その少なくとも一部がロータ室に対し外側にある第2層の音の反射特性を有する素材によって覆われる。第2層に向かってロータから第1層を通過する音波は、したがって、その付近で吸音材方向に反射され、それにより、一方では音波の周囲への放出が防止され、他方では、第1層による音波の総吸収量が増加することによって、減音作用が改善される。
さらに、ロータ室の外側に緩衝ライニングを貼着することは、特に有利である。基本的には、ロータ室の内側に緩衝ライニングを設ける形態も可能であり、結果としてロータ室から発する音も低減する。しかし、ロータ室外側へ緩衝ライニングを貼着する方が、より効果的であり、特に、外側に第2層を有する緩衝ライニングの場合、吸音特性を有する第1層を通過した音波は、第2層によってロータ室に向けて反射されるため、より効果的である。特に、この特別な形態において、特に、第1層が弾性を有し、かつ、第2層より低密度な素材で構成されている場合、主たる緩衝効果は、既述した質量−バネ作用原理によるものである。
ロータ室の緩衝ライニングの形状及び配分もまた、本発明の範囲において変更可能である。したがって、好ましい実施形態では、緩衝ライニングは全体として少なくとも2つの単一部材を含んで構成され、これら部材はオーバーラップすることなく、室壁に相互に対向して配設される。少なくとも2つの部材は、特に、好ましくは同一形状とし、ロータ室に相互に均等な間隔をあけて配設される。しかし、緩衝ライニングを完全に環状、かつ、ロータ室の少なくとも下位部の全域に加圧するように構成すれば、例えば中空シリンダ形状のロータ室に合わせて円形リング形状とすれば、さらに好ましい。
ロータ室から発する音の減音はまた、緩衝ライニングをロータ室の上部、特に上半分に配置することにより、より良好な結果が得られる。既述したように、ロータ室は通常は中空シリンダ状の側壁及び底壁を有し、その結果、全体的に溝状のロータ室断面形状となる。この基本構造により、特にロータ室は、上部、すなわちロータ室との係合口に隣接する側壁部分の振動の影響を受けやすく、その結果、この部分はロータ室から発する音のノイズ増大の大きな原因となっている。したがって、ロータ室のまさにこの部分で、そして、特にロータ室のこの部分のうちの外側にある緩衝ライニングの形態により、防音壁により覆われている部分に対しては著しく効果的な減音が可能である。
減音はまた、緩衝ライニングがロータ室を、特にロータ室を通る回転軸と同軸周りを環状に囲む構成にすると、非常に効果的である。これは、このロータ室上部に貼着される緩衝ライニングに特によく適合する。ロータ室が少なくともこの部分では連続的に回転し、したがって、ここでは緩衝ライニングに開口部が存在しないため環状形態は望ましく、この結果、ロータ室からリークに相当する音漏れを防ぐことが可能となる。この緩衝ライニングのリングは、一体化する必要はなく、多部品の形態、例えば隣接する各部材を有する形態も本発明の範囲に含まれる。
本発明の本質的な態様は、したがって、既述したように、第2層の素材に対する第1層の素材の適合性である。第2層が第1層より高密度であることが特に好ましいと判明している。通常はより高密度な素材は、より低密度な素材に比べ、音の反射特性に優れ、一方、より低密度な素材は、通常、より高密度な素材に比べ吸音特性に優れている。
本発明に係る更に本質的な適合基準は、第1層及び第2層の層厚さのバリエーションである。層厚さは、本例の場合、ロータ室を通る回転軸に対する径方向の第1層及び第2層の厚さと理解すべきである。第1層の層厚さは、好ましくは2〜30mmであり、特に好ましくは5〜20mmである。第2層は、これに比較すると極めて薄く形成され、特に最大限でも0.5mmの層厚さである。
第1層及び第2層の素材の選択に際しては、広周波数帯域もまた、用いられる。第1層の選択には、素材が振動を吸収し、かつ、振動を消失させるのに十分に柔らかい圧縮状態となる圧縮値を有することが特に重要である。第1層の素材は、例えば特に柔軟弾性材または発泡素材が特に好ましく、例えば、ポリウレタンフォームまたはポリオレフィンフォーム、ポリエチレンフォームの形状の内部にポリオレフィンフォームを有するものが特に好ましい。
対照的に、第2層は基本的にエチレン−プロピレン−ジェン−ラバー(EPDM)、エチレン酢酸ビニール(EVA)、ポリウレタン(PUR)、またはポリ塩化ビニール(PVC)を含んで構成されるのが好ましい。
さらに、素材が0.5kg/m2〜6kg/m2、更に特定するならば1.5kg/m2〜4kg/m2の単位面積当たり重量を有する第2層が、本発明にかかる利点を得るために適切である。
基本的に、多数の締結の変形態様もまた、防音壁をロータ室へ固定するために用いることができるが、粘着塗膜の使用は、特に第1層を介して防音壁をロータ室に固定する場合に、より有利であることが判明している。粘着剤は、このためには、特に適切である。かかる粘着塗膜の使用によって、防音壁をロータ室へより容易に貼着することができる。さらに、対応する粘着塗膜によって第1層を第2層へ結合して一体化することで、本来は、互いに結合していない2つの層を用意する必要が無い。このため、第1層または第2層は、適切にコーティングがなされる。上述した様々な可能性の組み合わせを通して、本発明は、緩衝ライニングを有するロータ室も含んで構成され、該ロータ室内で、例えばロータ室に隣接する層は両側にコーティングが施され、まず、これによってロータ室に固定され、次いで更なる塗膜を、追加される層の固定用に使用することができる。このように、第1または第2層上の粘着塗膜の特別な形態により、取付方法の可能性及び製造経路の組み合わせ範囲を、より多角的なものとすることができる。
さらに、ロータ室の上部において、室壁の縁が内部壁から離れる方向に形成され、回転軸に対して径方向に、緩衝ライニングを越えて外側に突出していれば、特に有利である。したがって、緩衝ライニングは、径方向の厚さがエッジの厚さより薄く形成される。この実施形態では、緩衝ライニング用に必要な余分の空間が比較的僅かであるという点において特に好ましい。したがって、本実施形態は、改良上も特によく適している。
本発明の更なる本質的な実施形態は、上述したロータ室を含んで構成される遠心機であり、したがって、特に低ノイズ状態で運転できる点において優れている。これは、特に、かかるロータ室を備えた空冷実験用遠心機において特に顕著である。ロータ室内の空気旋回によって生じるノイズ増大を、特に効率よく減少できるからである。
減音に関する優れた結果は、遠心機、特にその内部にロータ室が少なくともモールド部分の底部に支持され、特に溝状に形成され、かつ、実質的に減音素材を含んで構成された、空冷実験用遠心機の使用によって得られる。この種の減音素材は、先行技術によって公知である。しかし、発泡モールド部分、特に粘弾性ポリウレタンフォームで形成されたものが適している。さらに、追加の減音手段を装備することも勿論可能である。これらは、例えば、ディフーザ,構造上ノイズを減少するベアリング、ハウジング上のデカップリング穴などである。
ロータ室が、モールド部分と緩衝ライニングとが軸方向にオーバーラップしないようにモールド部分に設置されている場合、モールド部分の効果は、緩衝ライニングの効果を特に好ましく補足する。モールド部分及び緩衝ライニングは、このように、互いに殆ど連続して一体となり、したがって、これら全体には、そこからロータ室から音波が緩衝されないまま放出される隙間はない。
最後となるが、本発明のさらなる実施形態は、遠心機、特に空冷実験用遠心機のロータ室から発する音を低減する方法であり、a)第1層を用いて音を吸収する、及びb)第2層を用いて音を反射するステップを含んで構成される。本発明の基本的なコンセプトは、このように、緩衝ライニングのスペクトル特性を、音吸収及び音反射の両特性を含んで構成されるように拡張することである。このためには、少なくとも第2層に比較して本質的に高吸音特性を有する第1層と、第1層に比較して高反射音特性を有する第2層とを互いに結合することである。このように、本発明にかかる方法によれば、こうして複数の減音原理を同時に用いて遠心機のロータ室から発する音を、より効率的に低減することができる。
本発明にかかる方法は、音の反射が本質的に第1層の方向に生じると、特に有効である。このように、第2層から反射した音が吸音特性を有した第1層に向かい、こうして更に吸音が促されることが確実となる。これは例えば、防音壁がロータ室の外壁に、ロータ室内のロータの回転軸に対して径方向に配置され、第1層がロータ室外壁と第2層との間に配置されることにより達成される。
本発明は、図示される例示的な実施形態に基づいて、以下により詳細に説明される。
以下に示す実施形態において、各構成要素には、各参照番号を付している。
遠心機1は、図1に一部のみが示されているが、ハウジング(図示せず)内のロータ室2を含んで構成され、点線で示されるロータ3(特にスイングアウト−ロータ)を収容するためのロータ室内部2aに形成され、駆動軸4を介してモータ素子5に連結される。ロータ室2はまた、平坦な底部6,その上に隣接する壁部7、及び上側のエッジ部8を含んで構成される。ロータ室2は、頂部に開口を有し、また、蓋(図示しない)によって運転中は外部に対して閉塞されている。さらに、ロータ室2は、その底部において溝状に形成され、底部6からロータ室2高さHの約半分の高さまで伸びている発泡モールド部分9に支持されている。緩衝ライニング11は、ロータ室2の回転軸10方向の頂部で前記発泡モールド部分9に隣接し、遠心機1の運転中、その周囲をロータ3が回転し、それにより発泡モールド部分9及び緩衝ライニング11は相互にほぼ連続的に、かつ、軸方向にオーバーラップすることなく一体化する。
防音壁として機能する緩衝ライニング11の構造は、図2に細部に拡大して示されている。このように、緩衝ライニング11は、第1層12及び第2層13を備えたサンドイッチ構造を有する。第1層12は、ポリウレタンフォームを含んで構成され、これにより、第2層13と比較して本質的に吸音特性を有し、かつ、粘着塗膜(詳細は示さない)を介してロータ室2の外壁に直接接触する。第2層13はロータ室2の反対側で第1層12の側方に隣接し、本例示的な実施形態ではエチレン−プロピレン−ジェン−ラバーを含んで構成され、第1層と比較して実質的に音を反射する特性を有する。この特別な構造により、ロータ室2から発した音波はまず、緩衝ライニング11の領域で本質的に吸音特性を有する第1層12の方向に発散される。第1層12を通過し、そこで吸収されなかった音波は、次に本質的に音を反射する特性を有する第2層13に入射し、第2層13は音波を屈折し、第1層12方向に音波を反射する。この方法では、これらの音波は、第1層12によって吸収され、その結果ロータ室の音放射が著しく低減される。
図1及び図2に示された例示的な実施形態によれば、緩衝ライニング11は、ロータ室2の周囲の一部を通るだけである。これに比べ、図3,4の2つの平面図には、緩衝ライニング11のさらに可能な形態が示されている。緩衝ライニング11が4つの個々の部材11a,11b,11c,11dに分割され、それらがロータ室の外壁に中間スペースによって相互に間隔をあけて配置された、図3にかかる分割形態に加え、図4には、ロータ室2の周囲に径方向に円環形状の円周緩衝ライニング11が示されている。
さらに、防音壁の総厚さD2は、ロータ室2のエッジ部8において外側に湾曲したエッジの厚さD1より狭くなっている。このように、エッジが径方向に防音壁を超えて突出し、そして、これによって例えば機械的保護の機能が得られる。
Claims (18)
- 遠心機ロータ(3)を収容するように形成された室内部(2a)側に面する内側面と前記室内部(2a)から離れた側に面する外側面とを含んで構成される壁部(7)を有し、かつ、該室壁(7)からの放射音を低減するように形成された防音壁を有する遠心機(1)、特に空冷実験用遠心機(1)用のロータ室(2)であって、
前記防音壁は、緩衝ライニング(11)であり、少なくとも室壁(7)の下部を覆い、少なくとも1つの第1層(12)及び1つの第2層(13)を有し、前記第1層(12)及び前記第2層(13)は相互に他方の頂部に少なくとも一部が平坦に位置するように配置され、かつ、前記第1層(12)は前記第2層(13)と比較して本質的に吸音特性を有する素材を含んで構成され、前記第2層(13)は前記第1層(12)と比較して本質的に音を反射する特性を有する素材を含んで構成されることを特徴とする遠心機用のロータ室(2)。 - 前記第1層(12)は、前記ロータ室(2)に対し、前記第2層(13)から離れた側の側面を直接平坦に加圧されて配置された請求項1に記載の遠心機用のロータ室(2)。
- 前記緩衝ライニング(11)は、前記ロータ室(2)の外側面に配設された請求項1または請求項2に記載の遠心機用のロータ室(2)。
- 前記緩衝ライニング(11)は、全体として少なくとも2つの単一部材を含んで構成され、前記単一部材は、室壁(7)上に相互にオーバーラップすることなく、特に互いが反対側に配設された請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の遠心機用のロータ室(2)。
- 前記緩衝ライニング(11)は、前記ロータ室(2)の上部領域、特に上側半分に配設された請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の遠心機用のロータ室(2)。
- 前記緩衝ライニング(11)は、前記ロータ室(2)を、特にロータ室(2)を通る回転軸(10)と同軸上に環状に囲む請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の遠心機用のロータ室(2)。
- 前記第2層(13)は、第1層(12)より高密度である請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の遠心機用のロータ室(2)。
- 前記第1層(12)は、厚さが2〜30mmであり、特に好ましくは、5〜20mmである請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載の遠心機用のロータ室(2)。
- 前記第1層(12)は、基本的に発泡素材、特にポリウレタンフォームまたはポリオレフィンフォームを含んで構成される請求項1〜請求項8のいずれか1つに記載の遠心機用のロータ室(2)。
- 前記第2層(13)は、0.5kg/m2〜6kg/m2、及び特に1.5kg/m2〜4kg/m2の単位面積当たり重量を有する請求項1〜請求項9のいずれか1つに記載の遠心機用のロータ室(2)。
- 前記第2層(13)は、基本的にエチレン−プロピレン−ジェン−ラバー(EPDM)、エチレン酢酸ビニール(EVA)、ポリウレタン(PUR)、またはポリ塩化ビニール(PVC)を含んで構成される請求項1〜請求項10のいずれか1つに記載の遠心機用のロータ室(2)。
- 前記緩衝ライニング(11)及び特に前記第1層(12)は、前記緩衝ライニング(11)を前記ロータ室(2)に固定するように形成された粘着塗膜を有する請求項1〜請求項11のいずれか1つに記載の遠心機用のロータ室(2)。
- 前記室壁(7)は、ロータ室(2)上部の室内部(2a)から離れる方向に尖るように形成され、前記径方向に緩衝ライニング(11)を越えて外側に突出するエッジを有する請求項1〜請求項12のいずれか1つに記載の遠心機用のロータ室(2)。(pointingの訳を削除した理由?)
- 請求項1〜請求項13のいずれか1つに記載のロータ室(2)を有する、遠心機(1)、特に空冷実験用遠心機(1)。
- 前記ロータ室(2)は、基本的に減音素材を含んで構成されるモールド部分(9)の少なくとも底部(6)に収容された請求項14に記載の遠心機(1)、特に空冷実験用遠心機(1)。
- 前記ロータ室(2)は、前記モールド部分(9)及び緩衝ライニング(11)が前記軸方向にオーバーラップしないように前記モールド部分(9)に載置される請求項1〜請求項13のいずれか1つに記載のロータ室(2)を有する請求項15に記載の遠心機(1)、特に空冷実験用遠心機(1)。
- a)第1層(12)を用いて音を吸収するステップと、
b)第2層(13)を用いて前記音を反射するステップと、
の組み合わせを含んで構成される遠心機(1)、特に空冷実験用遠心機(1)のロータ室(2)から発する前記音を低減する方法。 - 前記音の反射が、基本的に前記第1層(12)の方向に生じる、請求項17に記載の遠心機(1)、特に空冷実験用遠心機(1)のロータ室(2)から発する音を低減する方法。
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