JP4668139B2 - 電気掃除機 - Google Patents
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Description
また、ゴムや発泡材料を用いた場合、周波数特性上、振動を減衰させる対象が有する固有振動周波数の1つにしか対応することができず、固有振動周波数以外の振動が発生したときには、これを減衰させることができず、したがってこれによる騒音を十分に低減できないという課題があった。
ブロアモータのファンケース部を防振材で支持する電気掃除機であって、
前記ファンケース部の前面に固着され、圧電効果を有する高分子制振材料と、
前記高分子制振材料の前面側を覆う吸音材と、
を備え、
前記高分子制振材料は、
カーボンなどの高分子材料と、有機及び無機材料を任意比率で混合した材料であり、
前記ファンケース部の前面から放射する透過音を遮断できる面密度で形成され、
前記吸音材は、
PET材又は再生布を用いた繊維材料であり、
前記防振材と前記ファンケース部とにより挟み込んで固定された
ことを特徴とするものである。
図1は、本発明の実施の形態1に係る電気掃除機の内部構造のうち、ブロアモータ周辺を側面から見た様子を図示するものである。
図1の内部構造においては、モータケース101がモータを取り囲むとともに、モータ前面には流路壁102が設けられている。
モータ本体は、ロータ部103とファンケース部104を有し、ファンケース部104の前面中央には吸い込み口107が設けられている。また、ファンケース部104の側周は、モータ防振材105で支持されている。
また、点線矢印は、騒音の発生方向を示すものであるが、詳細は後述の図7を用いて説明する。
図7においては、音の放射方向を矢印の向きで表し、音の強さを矢印の長さで表している。
電気掃除機の騒音の原因はブロアモータが主であり、図7に示されるように、騒音はブロアモータの前面側(ファンケース部)と後部側(ロータ部)とに分割して放射されていることが分かる。
また、ブロアモータの前面側(ファンケース部)からは、音が透過して放射されており、吸い込み口である開口径から放射する音は、ファンケース面から透過する音と比較して少ないことが分かる。
さらには、ブロアモータの後部側(ロータ部)から放射する音は、前面側(ファンケース部)の方向に伝播するものは少なく、流体に伴って、モータ後方に放射することが分かる。この音のほとんどは、筐体からの透過音及び排気口からの放射音となる。
図1においては、ファンケース部104の前面を覆うように、高分子制振材106を固着している。
高分子制振材106は、中央部に穴を設けた円盤状の制振材料で、中央部の穴と吸い込み口107を合わせるようにして、ファンケース部104の前面側に両面テープ等によって固着させる。ファンケース部は運転時に高温になる場合もあるので、高分子制振材106を固着させる両面テープ等は、その温度条件に合った耐熱性を有するものを使用することが望ましい。
また、高分子制振材106の大きさは、ファンケース部104の前面を概ね全て覆うことのできる程度のものとする。このようにすることで、ファンケース部104の前面から発する騒音のうち、騒音の発生が少ない吸い込み口107以外から発するものを、十分に低減することを図るためである。
なお、ファンケース部104の前面のうち、円周に沿った端部には、モータ防振材105の一部が覆いかぶさっているため、この部分は高分子制振材106で覆う必要はない。
本発明における高分子制振材106には、圧電効果を有する高分子制振材料を用いる。即ち、高分子制振材106に振動が加わると、圧電効果によって振動エネルギーが最終的に熱エネルギーに変換されるので、振動を減衰させることができるのである。
このような圧電効果を有する高分子材料としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)などが知られている。
(1)温度特性について
振動対策をすべき材料の表面温度が上昇しても、材料が柔らかくならない。即ち、温度が変化しても振動減衰特性が変化しない。
そのため、従来用いられてたゴム等の弾性体とは異なり、ファンケース部104の温度が運転中に上昇しても、安定して一定の騒音低減効果を得ることができる。
(2)周波数特性について
高分子制振材料は特定の周波数(固有振動数)が無いため、ゴムや発泡材料を用いた場合とは異なり、特定の周波数対策ではなく、広い周波数帯域の騒音低減効果を発揮することができる。
(3)遮音効果について
高分子制振材料は、カーボンなどの高分子材料と、有機及び無機材料を任意比率で混合した材料である。有機及び無機材料には金属や樹脂材料を選択でき、面密度を任意に形成することができる。
面密度とは、単位面積当たりの重量のことであり、面密度を高くすることによって、単位面積当たりの剛性を高めるとともに、遮音効果を高めることができる。
即ち、ファンケース部104の前面に高い面密度で形成した高分子制振材106を設けることにより、ファンケース部104の前面を遮音板で覆ったような効果を奏することができる。
これにより、ファンケース部104の前面に音の透過を遮断するための「遮音層」を形成することとなり、透過音対策が効果的に行え、ファンモータ前面から放射する透過音を低減することができる。
ファンケース部104の前面に、圧電効果を有する高分子制振材106を固着したので、運転時にファンケースの温度が変化したり、固有振動周波数以外の振動が発生したときであっても、ブロアモータの振動が筐体に伝播して発生する騒音を低減することができる。
ファンケース部104のファンケース前面から発する騒音を、十分に低減させることができる。
音の透過を遮断するための「遮音層」を形成することとなり、透過音対策が効果的に行え、ファンモータ前面から放射する透過音を低減することができる。
図2の上図は、本発明の実施の形態2に係る電気掃除機の内部構造のうち、ブロアモータ周辺を側面から見た様子を図示するものである。
図2の上図に示す構造においては、モータケース201〜吸い込み口207は、実施の形態1における図1のモータケース101〜吸い込み口107と同様の構成であるが、高分子制振材106の代わりに吸音材208を用いた点が相違している。以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
また、吸音材208の大きさは、実施の形態1と同様にファンケース部204の前面を概ね全て覆うことのできる程度のものとする。このようにすることで、ファンケース部204の前面から発する騒音のうち、騒音の発生が少ない吸い込み口207以外から発するものを、ほぼ全て遮断することを図るためである。
なお、ファンケース部204の前面のうち、円周に沿った端部には、モータ防振材205の一部が覆いかぶさっているため、この部分は吸音材208で覆う必要はない。
本実施の形態2においては、吸音材208をファンケース部204の前面に固定する際には、両面テープ等を用いずに、吸音材208の円周部を、モータ防振材205とファンケース部204とにより挟み込んで固定する。
これは、両面テープ等を用いて吸音材208を固定すると、ブロアモータから発生した騒音がテープ面で反射してしまうためである。吸音材208が十分に奏効するためには、騒音が吸音材208の内部に入射して、吸音材208の内部で騒音が減少することが望ましく、テープ面で反射してしまっては、このような効果が十分に得られない。
したがって、本実施の形態2においては、両面テープ等を用いずに、上記のようにファンケース部204の側周を支持しているモータ防振材205とファンケース部204との隙間で「挟み込む」方法で吸音材208を固定する。
なお、実施の形態1においては、高分子制振材106を両面テープ等により固定することとしたが、高分子制振材106は遮音層としての効果を有し、音を透過させないことを図るものであるので、本実施の形態2における吸音材208のように、音の反射による吸音効果の減少を意識する必要はないことを付言しておく。
また、吸音材208がモータへ吸い込まれることを防ぐために、吸音材208は、モータ前面の開口(吸い込み口207)よりも前面に飛び出ない程度の厚さで形成し、又は、中央部の穴は、吸い込み口207よりも広い口径を有することとする。
ファンケース部204の前面に吸音材208を形成し、吸音材208は、モータ防振材205とファンケース部204とにより挟み込んで固定したので、
騒音が反射することなく確実に吸音材208に入射し、騒音低減効果を確実に発揮させることができる。
ファンケース部204のファンケース前面から発する騒音を、十分に低減させることができる。
図3の上図は、本発明の実施の形態3に係る電気掃除機の内部構造のうち、ブロアモータ周辺を側面から見た様子を図示するものである。
図3の上図に示す構造においては、モータケース301〜吸音材308は、実施の形態2における図2のモータケース201〜吸音材208とほぼ同様の構成であるが、ファンケース部304の形状が相違している。以下、実施の形態2との相違点を中心に説明する。
即ち、上記のような構成により、吸音材308による騒音減衰効果と、空気室による音響減衰効果とを同時に得ることができるので、騒音低減効果がさらに高まる。
よって、凸部309の高さは、吸音材308が吸い込み口307の前面に位置しない程度に止めておくことが望ましい。
また、吸音材308の材質や大きさ等については、実施の形態2における吸音材208と特段の差異はない。
ファンケース部304の前面に凸部309を設け、吸音材308は、凸部309を覆うように形成して、吸音材308と凸部309との間に空気室を設けたので、
吸音材308による騒音減衰効果と、空気室による音響減衰効果とを同時に得ることができ、騒音低減効果がさらに高まる。
図4は、本発明の実施の形態4に係る電気掃除機の内部構造のうち、ブロアモータ周辺を側面から見た様子を図示するものである。
図4に示す構造においては、モータケース401〜吸い込み口407は、実施の形態1における図1のモータケース101〜吸い込み口107と同様であるが、高分子制振材406を吸音材408でさらに覆っている点が相違している。以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
吸音材408は、中央部に穴を設けた円盤状に形成されており、中央部の穴と吸い込み口407を合わせるようにして、ファンケース部404の前面側に固定する。
吸音材408の大きさは、高分子制振材406と略同じ大きさとしてもよいし、中央部に設ける穴を高分子制振材406の中央部の穴よりも大きくして、高分子制振材406よりも表面積を小さくするようにしてもよい。
騒音を確実に防止する観点からは、高分子制振材406の前面を全て吸音材408で覆ってしまうことが望ましいが、高分子制振材406単体で十分な騒音低減効果が得られるのであれば、吸音材408は補助的に用いる程度でもよい。
また、吸音材408の材質や大きさ等については、実施の形態2における吸音材208と特段の差異はない。
図5において、モータケース501〜吸音材508は、図2のモータケース201〜吸音材208と同様の構成である。
図5の電気掃除機は、クリーナ筐体510で全体を覆われており、筐体内の前方には集塵部511が形成され、筐体内の後方には、図1〜図4に示す構成が設置される。
集塵部511の空気は、吸い込み口507を介して、ブロアモータ部分に流入する。
また、クリーナ筐体510の後部には、総排気口512が設けられている。
点線矢印は、音の伝播方向を表すものである。
図6の縦軸は、ブロアモータから発する騒音の音圧レベル(dB)を表す。
図6の横軸は、ブロアモータから発する騒音の周波数(Hz)を表す。
図6の点線で表されたグラフは、騒音対策部材を装着した後の騒音特性を示す。同グラフに示されるように、騒音対策部材を装着した後の騒音は、NZ成分のピーク振動が確実に減衰されるとともに、N成分の振動のピークが下がっていることが分かる。
なお、実施の形態1〜4のいずれの構成を用いた場合でも、図6の点線で表されたグラフと同様の効果を得ることができたことを付言しておく。
高分子制振材406の前面側を覆う吸音材408を設け、吸音材408を、モータ防振材405とファンケース部404とにより挟み込んで固定したので、
高分子制振材406や吸音材408を単体で用いる場合よりもさらに大きな騒音低減効果を得ることができる。
Claims (7)
- ブロアモータのファンケース部を防振材で支持する電気掃除機であって、
前記ファンケース部の前面に固着され、圧電効果を有する高分子制振材料と、
前記高分子制振材料の前面側を覆う吸音材と、
を備え、
前記高分子制振材料は、
カーボンなどの高分子材料と、有機及び無機材料を任意比率で混合した材料であり、
前記ファンケース部の前面から放射する透過音を遮断できる面密度で形成され、
前記吸音材は、
PET材又は再生布を用いた繊維材料であり、
前記防振材と前記ファンケース部とにより挟み込んで固定された
ことを特徴とする電気掃除機。 - ブロアモータのファンケース部を防振材で支持する電気掃除機であって、
前記ファンケース部の前面に固着され、圧電効果を有する高分子制振材料と、
前記ファンケース部の前面に形成される吸音材と、
を備え、
前記高分子制振材料は、
カーボンなどの高分子材料と、有機及び無機材料を任意比率で混合した材料であり、
前記ファンケース部の前面から放射する透過音を遮断できる面密度で形成され、
前記吸音材は、
PET材又は再生布を用いた繊維材料であり、
前記防振材と前記ファンケース部とにより挟み込んで固定された
ことを特徴とする電気掃除機。 - 前記高分子制振材料は、
前記ファンケース部の前面のうち、前記防振材で覆われている部分以外を覆うように形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気掃除機。 - 前記高分子制振材料は、
前記ファンケース部の前面のうち、該ファンケース部の吸い込み口以外の部分を覆うように形成したことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電気掃除機。 - 前記吸音材は、
前記ファンケース部の前面のうち、前記防振材で覆われている部分以外を覆うように形成したことを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の電気掃除機。 - 前記吸音材は、
前記ファンケース部の前面のうち、該ファンケース部の吸い込み口以外の部分を覆うように形成したことを特徴とする請求項5に記載の電気掃除機。 - 前記ファンケース部の前面に凸部を設け、
前記吸音材は、該凸部を覆うように形成して、前記吸音材と該凸部との間に空気室を設けたことを特徴とする請求項2ないし請求項6のいずれかに記載の電気掃除機。
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