JP2010171466A - 発光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光効率が高く、色むら等のない発光装置を提供する。また、熱硬化性樹脂硬化時の収縮が抑制され、しわがなく、高温高湿下で使用しても樹脂層とフレームや発光素子等との界面剥離等が生じにくい発光装置を提供する。
【解決手段】本発明の発光装置は、複数の発光素子を覆うように形成され、熱硬化性樹脂と複数の半導体発光素子から発せられた光により励起されて可視光を発する蛍光体とを含有する層であり、発光素子の上面より光取り出し方向側に、該発光素子の上面積の5%以上の投影面積を有する泡を有しない蛍光体含有樹脂層を有する。
【選択図】図5

Description

本発明は、LEDランプ等の発光装置に関する。
発光ダイオード(LED:Light
Emitting Diode)を用いたLEDランプは、液晶ディスプレイ、携帯電話、情報端末等のバックライト、屋内外広告等、多方面への展開が飛躍的に進んでいる。さらに、LEDランプは、長寿命で信頼性が高く、また低消費電力、耐衝撃性、高速応答性、高純度表示色、軽薄・短小化の実現等の特徴を有することから、産業用途のみならず一般照明用としても脚光を浴びている。このようなLEDランプを種々の用途に適用する場合、白色発光を得ることが重要となる。
LEDランプで白色発光を実現する代表的な方式としては、(1)青、緑および赤の各色に発光する3つのLEDチップを使用する方式、(2)青色発光のLEDチップと黄色乃至橙色発光の蛍光体とを組合せる方式、(3)紫外線発光のLEDチップと青色、緑色および赤色発光の三色混合蛍光体(以下、RGB蛍光体と示す。)を組合せる方式、の3つのタイプが挙げられる。これらのうち、一般的には(2)の方式が広く実用化されている。
上記した(2)の方式を適用したLEDランプの構造としては、LEDチップを装備したカップ型のフレーム内に蛍光体を混合した透明樹脂を流し込み、これを固化させて蛍光体を含有する樹脂層を形成した構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、高輝度化を目的として、基板(ボード)上に搭載された多数のLEDチップの上に、蛍光体を混合した透明樹脂を塗布して蛍光体含有樹脂層を形成したチップオンボード(COB:Chip On Board)構造も開発されている。さらに、1つのカップ内に1〜5個のLEDチップを具備し、そのようなカップ構造のランプの多数を1つの大型ボードの上に搭載したカップモジュールも提案されている。
このような構造のLEDランプやLEDモジュールを製造するには、いずれも、LEDチップを所定の位置に実装しワイヤボンディングを行った後、蛍光体を分散させた液状の熱硬化性樹脂を、ディスペンサ等によりLEDチップを配置したフレーム内等に注入し、熱硬化性樹脂を加熱・硬化させて蛍光体含有樹脂層を形成する方法が用いられている。
このような蛍光体含有樹脂層の形成においては、蛍光体の分散と気泡(以下、単に泡と示す。)等の異物の除去が最も重要とされており、信頼性と安定性の点から、蛍光体が完全分散型でありかつ樹脂層中の泡の発生が少ないLEDランプあるいはモジュールが要望されている。
特開2001−148516号公報
しかしながら、従来からのLEDランプやLEDモジュール、特にCOBモジュールや大型のカップモジュールにおいては、熱硬化性樹脂の加熱・硬化工程で、熱伝導による温度上昇が遅いため、加熱炉の設定温度を小型のものよりも高く設定しないと、蛍光体が樹脂中で沈降してしまい、発光効率が低下するという問題があった。しかし、炉の設定温度が高すぎると、硬化中の樹脂層内に泡が多く発生し、これが硬化後もそのまま樹脂層内に残留することがあった。樹脂層内に泡が残留すると、光透過特性の低下やばらつきの原因となる。すなわち、LEDチップから発せられた光が、樹脂層内に残留する泡のために蛍光体に当たりにくくなるため、蛍光体の励起が阻害され、また蛍光体から発せられた光が泡に当たって拡散されるため、光取り出し方向への発光が阻害され、輝度むらや色むらが生じることがあった。
さらに、樹脂層内に泡が残留すると、樹脂が硬化する際の収縮が大きくなるため、外観にしわが生ずることがあり、また長期間の使用中、特に高温高湿下で使用した場合に、樹脂層とフレームやLEDチップ等との界面、あるいはLEDチップに接続されたボンディングワイヤとの間で、剥離が生ずるおそれがあった。このような剥離が生ずると、明るさが著しく低下する。
なお、上記の泡は、樹脂材料にもともと内包されているミクロな泡が、硬化の際の急激な温度の上昇によって大きな泡に成長したことにより、また樹脂注入時に巻き込んだ空気(通常、初期には底部の隅に存在し、その位置に留まる場合には光透過特性に与える影響は非常に小さい。)が、樹脂の急激な温度の上昇により、底部から泡となって浮き上がったことにより発生したと考えられる。
本発明の目的は、発光効率が高く、輝度むらや色むら等のない発光装置を提供することにある。また、本発明の目的は、熱硬化性樹脂の硬化時の収縮が抑制され、しわがなく、また高温高湿下で使用しても、樹脂層とフレームや発光素子等との界面剥離や、樹脂層と発光素子に接続されたボンディングワイヤ間の剥離が生じにくい発光装置を提供することにある。
請求項1記載の発光装置は、平板からなる基板と;基板の表面側に形成された反射層と;反射層に配設された複数の半導体発光素子と;基板の表面側に設けられた複数の半導体発光素子への通電要素であって、半導体発光素子の厚みよりも薄い厚みで形成された回路パターンと;複数の発光素子を覆うように形成され、熱硬化性樹脂と複数の半導体発光素子から発せられた光により励起されて可視光を発する蛍光体とを含有する層であり、発光素子の上面より光取り出し方向側に、該発光素子の上面積の5%以上の投影面積を有する泡を有しない蛍光体含有樹脂層と;を具備することを特徴とする。
上記した発明において、特に指定しない限り、用語の定義および技術的意味は以下の通りである。
発光素子は、放射した光により蛍光体を励起して可視光を発光させるものであり、例えば、青色発光タイプのLEDチップや紫外発光タイプのLEDチップ等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではなく、蛍光体を励起して可視光を発光させることが可能な発光素子であれば、発光装置の用途や目的とする発光色等に応じて種々の発光素子を使用することができる。
蛍光体は、このような発光素子から放射された光(例えば青色光)により励起されて可視光を発光し、この可視光と発光素子から放射される光との混色によって、あるいは蛍光体から発光される可視光または可視光自体の混色によって、発光装置として所望の発光色を得るものである。蛍光体の種類は特に限定されるものではなく、目的とする発光色や発光素子から放射される光等に応じて適宜に選択される。
蛍光体含有樹脂層は、蛍光体を保持する層である。蛍光体含有樹脂層は、透明な熱硬化性樹脂と前記蛍光体とを混合して発光素子を覆うように塗布され、これを固化することにより形成される。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の透明な熱硬化性樹脂を適用することができる。発光効率の向上を図るために、蛍光体の樹脂に対する配合割合は蛍光体の合計で6〜20重量%とし、かつ光路長に相当する蛍光体含有樹脂層の厚さは0.5〜1.2mmとすることが好ましい。
本発明においては、このような蛍光体含有樹脂層中の発光素子の上面より上方である光取り出し方向側には、一定の大きさ以上の泡は存在しないように構成されている。泡の大きさの境界値は、発光素子の上面への投影面積として、発光素子の上面積(上面の面積)の5%の値である。すなわち、本発明では、蛍光体含有樹脂層中に泡が存在しないか、あるいは存在しても、その泡(1個)の大きさが、発光素子の上面積の5%未満であることを意味する。本発明においては、投影面積が発光素子の上面積の5%以上の泡は光取り出し方向に存在しないので、蛍光体の励起が阻害されたり、あるいは、蛍光体から発せられた光の取り出しが阻害されたりすることがない。
請求項1に係る発明によれば、投影面積が発光素子の上面積の5%以上の泡は、蛍光体含有樹脂層中の光取り出し方向に存在しないので、蛍光体の励起が阻害されたり蛍光体からの発光の取り出しが阻害されたりすることがなく、発光効率が高く、輝度むらや色むらのない発光装置を実現することができる。また、熱硬化性樹脂の硬化に伴う収縮を低減することができるので、樹脂層のしわの発生を抑制することができるとともに、長期間の使用に伴う樹脂層とフレームや発光素子等との界面や、樹脂層とボンディングワイヤとの間の剥離を抑制することができ、信頼性に優れた発光装置を得ることができる。
本発明の発光装置をLEDランプに適用した第1の実施形態の構成を示す断面図である。 図1に示すLEDランプを複数配置したLEDモジュールの一例を示す平面図である。 図2のIII−III線断面図である。 本発明の発光装置の第2の実施形態に係わる発光装置の平面図である。 図4のF−F線断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に参照する複数の図面において、同一または相当部分には同一符号を付している。
図1は、本発明の発光装置をLEDランプに適用した第1の実施形態の構成を示す断面図、図2は、図1に示すLEDランプの複数個を、例えば一平面上に3行3列のマトリックス状に配置したLEDモジュールの一例を示す平面図、図3は、図2のIII−III線断面図である。
図1乃至図3に示すLEDランプ1は、発光素子としてLEDチップ2を有している。LEDチップ2には、例えば青色発光タイプのLEDチップや紫外発光タイプのLEDチップ等が用いられている。このLEDチップ2は、基板3上に電気絶縁層4を介して設けられた回路パターン5上に搭載されている。
基板3は、放熱性と剛性を有するアルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、ガラスエポキシ等の平板からなり、また、回路パターン5は、銅(Cu)とニッケル(Ni)の合金、金(Au)等により、陽極側と陰極側の回路パターン5a,5bに形成されている。LEDチップ2は、底面電極を回路パターン5a,5bの一方、例えば陽極側回路パターン5a上に載置して電気的に接続する一方、上面電極を回路パターン5a,5bの他方、例えば陰極側回路パターン5bに金線のようなボンディングワイヤ6により電気的に接続している。LEDチップ2の電極接続構造としては、フリップチップ接続構造を適用することもできる。これらの電極接続構造によれば、LEDチップ2の前面への光取出し効率が向上する。
基板3上には、上方に向けて徐々に拡径する円錐台状の凹部7を形成するフレーム8が設けられており、LEDチップ2はこの凹部7内に配置されている。凹部7は、例えば底面直径が2.0〜4.0mm、上面直径が1.5〜4.5mm、深さが0.5〜1.0mmの円錐台状に形成されており、フレーム8は、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリカーボネート(PC)等により形成されている。
LEDチップ2が配置された凹部7内には、蛍光体を含有する透明な熱硬化性樹脂からなる蛍光体含有樹脂層9が設けられており、LEDチップ2はこの蛍光体含有樹脂層9により被覆されている。蛍光体含有樹脂層9は、蛍光体を混合した透明な液状の熱硬化性樹脂をディスペンサ等の注入装置を用いて、LEDチップ2が配置された凹部7内に注入(滴下・塗布)し、例えば後述するような方法で加熱硬化させることにより形成されている。蛍光体を混合した液状の熱硬化性樹脂の注入量は、ほぼ5〜10mgとすることが好ましい。なお、図面では、蛍光体含有樹脂層9の上端面が凹部7の上端とほぼ面一に形成されているが、特にこれに限定されるものではない。
この蛍光体含有樹脂層9は、LEDチップ2を凹部7内に封止する機能とともに、発光部としての機能を併せ有している。すなわち、蛍光体含有樹脂層9中に含有されている蛍光体は、LEDチップ2から放射される光、例えば青色光や紫外線により励起されて可視光を発光する。
ここで、蛍光体含有樹脂層9の形成に用いる透明な液状の熱硬化性樹脂としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。液状のシリコーン樹脂の使用が好ましい。注入の容易さの観点から、25℃における粘度が0.5〜70Pa・sのシリコーン樹脂の使用が特に好ましい。また、このような熱硬化性樹脂に含有させる蛍光体は、特に限定されるものではなく、目的とするLEDランプ1の発光色等に応じて適宜選択することができる。
例えば、青色発光タイプのLEDチップ2を使用して白色発光を得る場合には、黄色光から橙色光間の光を発光する黄色系蛍光体が主として用いられる。また、演色性等の向上を図るために、黄色系蛍光体に加えて赤色発光蛍光体を使用してもよい。黄色光から橙色光間の光を発光する黄色系蛍光体としては、例えばRE3(Al,Ga)5O12:Ce蛍光体(REはY、GdおよびLaから選ばれる少なくとも1種を示す。以下同じ)等のYAG蛍光体、AE2SiO4:Eu蛍光体(AEはSr、Ba、Ca等のアルカリ土類元素である。以下同じ)等の珪酸塩蛍光体が用いられる。
また、紫外発光タイプのLEDチップ2を使用して白色発光を得る場合には、RGB蛍光体が主として用いられる。青色発光蛍光体としては、例えばAE10(PO4)6Cl12:Eu蛍光体のようなハロ燐酸塩蛍光体や(Ba,Mg)Al10O17:Eu蛍光体のようなアルミン酸塩蛍光体等が用いられる。緑色発光蛍光体としては、(Ba,Mg)Al10O17:Eu,Mn蛍光体のようなアルミン酸塩蛍光体等が用いられる。赤色発光蛍光体としては、La2O2S:Eu蛍光体のような酸硫化物蛍光体等が用いられる。
さらに、上記したような蛍光体に代えて、組成に応じて種々の発光色が得られる窒化物系蛍光体(例えばAE2Si5N8:Eu)、酸窒化物系蛍光体(例えばY2Si3O3N4:Ce)、サイアロン系蛍光体(例えばAEx(Si,Al)12(N,O)16:Eu)等を適用してもよい。なお、LEDランプ1は白色発光ランプに限られるものではなく、白色以外の発光色を有するLEDランプ1を構成することも可能である。LEDランプ1で白色以外の発光、例えば中間色の発光を得る場合には、目的とする発光色に応じて種々の蛍光体が適宜に使用される。
そして、このような蛍光体を含有する蛍光体含有樹脂層9において、LEDチップ2の上面より光取り出し方向である上側には、LEDチップ2の上面積の5%以上の投影面積を有する泡が存在しないように構成されている。例えば、LEDチップ2の1辺の長さが100μm(0.1mm)である場合には、蛍光体含有樹脂層9の光取り出し方向側に、0.0005mm2以上の投影面積を有する泡、すなわち半径が0.0126mm(12.6μm)以上の泡は存在していない。
このように一定の大きさ以上の泡が存在しないようにするには、熱硬化性樹脂の加熱・硬化工程で、加熱炉の設定温度やワーク(被処理物であるLEDランプやLEDモジュール)の昇温速度のような加熱条件を制御する方法を採ることが好ましい。すなわち、蛍光体を混合した液状の熱硬化性樹脂を加熱・硬化させる工程において、加熱炉の設定温度を調整することにより、あるいはワークを載せる補助板の種類や厚さを変えることで、昇温速度をコントロールすることにより、一定の大きさ以上の泡が存在しないようにすることができる。
また、第1の所定温度で加熱する第1の加熱工程と、第1の所定温度よりも高い第2の所定温度で加熱する第2の加熱工程を含む、多段加熱を行うこともできる。熱硬化性樹脂を多段加熱して硬化させることにより、熱硬化性樹脂の急激な温度上昇を回避することができるので、熱硬化性樹脂の硬化時の泡の発生を抑制し、蛍光体含有樹脂層9中に一定の大きさ以上の泡が存在しないようにすることができる
多段加熱では、まず第1の加熱工程として、熱硬化性樹脂が半硬化状態となる条件で加熱し、次いで、昇温して熱硬化性樹脂を完全に硬化させる第2の加熱工程を行う。第1および第2の各加熱工程における加熱条件は、熱硬化性樹脂の種類やその注入量、基板3やフレーム8の材質やその大きさ、フレーム8に形成された凹部7の大きさ等によっても異なるが、通常、第1の加熱工程は80〜110℃の温度で行われ、第2の加熱工程は、第1の加熱工程の温度よりも高い温度、好ましくは100〜150℃で行われる。
さらに、第1の加熱工程における加熱温度である第1の所定温度を、熱硬化性樹脂(例えば、熱硬化性シリコーン樹脂)の硬化開始温度から硬化温度までの間の温度とし、この温度で加熱して熱硬化性シリコーン樹脂を半硬化させた後、第2の加熱工程で、第1の所定温度よりも高い第2の所定温度で加熱して完全に硬化させる方法を採ることができる。
本発明の第1の実施形態によれば、LEDチップ2の上面積の5%以上の投影面積を有する泡が、蛍光体含有樹脂層9中の光取り出し方向に存在しないので、蛍光体の励起が阻害されたり蛍光体からの発光の取り出しが阻害されたりすることがない。したがって、発光効率が高く、輝度むらや色むらのない発光装置を実現することができる。また、熱硬化性樹脂の硬化に伴う収縮を低減することができ、これにより、樹脂層のしわの発生を抑制することができるとともに、長期間の使用に伴う樹脂層とフレーム8やLEDチップ2等との界面や、樹脂層とLEDチップ2に接続されたボンディングワイヤ6間における剥離を抑制することができ、信頼性に優れたLEDランプ1を得ることができる。
なお、この実施形態では、フラットタイプSMD型のLEDランプ1を例に挙げて説明したが、特に限定されるものでなく、例えば砲弾型(または丸型)のLEDランプに適用することもできる。また、LEDランプ1をマトリックス状に複数配置したLEDモジュール21について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば複数のLEDランプ1をそれぞれ1列状に形成してもよく、さらにLEDランプ1はそれぞれ単数でもよい。
図4および図5は、本発明の第2の実施形態に係わるLEDパッケージを形成する発光装置を示している。図4は、この発光装置の平面図であり、図5は、図4に示す発光装置をF−F線に沿って切断した縦断面図である。なお、図4および図5おいて、第1の実施形態に関する図面と同様の構成要素については同じ参照数字を用いて、その説明を簡略化または省略する。
図4および図5に示す発光装置(LEDランプ)1は、パッケージ基板例えば装置基板3と、反射層31と、回路パターン5と、複数好ましくは多数の半導体発光素子例えばLEDチップ2と、接着層32と、リフレクタ34と、蛍光体含有樹脂層9と、光拡散部材33とを備えて形成されている。蛍光体含有樹脂層9は封止部材としても機能する。
装置基板3は、金属または絶縁材、例えば合成樹脂製の平板からなり、発光装置1に必要とされる発光面積を得るために、所定形状例えば長方形状をなしている。装置基板3を合成樹脂製とする場合、例えば、ガラス粉末入りのエポキシ樹脂等で形成することができる。装置基板3を金属製とする場合は、この装置基板3の裏面からの放熱性が向上し、装置基板3の各部温度を均一にすることができ、同じ波長域の光を発する半導体発光素子2の発光色のばらつきを抑制することができる。なお、このような作用効果を奏する金属材料としては、10W/m・K以上の熱伝導性に優れた材料、具体的にはアルミニウムまたはその合金を例示することができる。
反射層31は、所定数の半導体発光素子2を配設し得る大きさであって、例えば、装置基板3の表面全体に被着されている。反射層31は、400〜740nmの波長領域で85%以上の反射率を有する白色の絶縁材料により構成することができる。このような白色絶縁材料としては、接着シートからなるプリプレグ(pre-preg)を使用することができる。このようなプリプレグは、例えば、酸化アルミニウム等の白色粉末が混入された熱硬化性樹脂をシート基材に含浸させて形成することができる。反射層31はそれ自体の接着性により、装置基板3の表面となる一面に接着される。
回路パターン5は、各半導体発光素子2への通電要素として、反射層31の装置基板3が接着された面とは反対側の面に接着されている。この回路パターン5は、例えば各半導体発光素子2を直列に接続するために、装置基板3および反射層31の長手方向に所定間隔ごとに点在して2列に形成されている。一方の回路パターン5の列の一端側に位置する端側回路パターン5aには、給電パターン部5cが一体に連続して形成され、同様に他方の回路パターン5の列の一端側に位置する端側回路パターン5aには、給電パターン部5dが一体に連続して形成されている。
給電パターン部5c,5dは反射層31の長手方向一端部に並べて設けられ、互いに離間して反射層31により絶縁されている。これらの給電パターン部5c,5dのそれぞれに、電源に至る図示しない電線が個別に半田付け等で接続されるようになっている。
回路パターン5は以下に説明する手順で形成される。まず、未硬化の前記熱硬化性樹脂が含浸されたプリプレグからなる反射層31を装置基板3上に貼付けた後、反射層31上にこれと同じ大きさの銅箔を貼付ける。次に、こうして得た積層体を加熱するとともに加圧して、熱硬化性樹脂を硬化させることによって、装置基板3と銅箔を反射層31に圧着し接着を完了させる。次いで、銅箔上にレジスト層を設けて、銅箔をエッチング処理した後に、残ったレジスト層を除去することによって、回路パターン5を形成する。銅箔からなる回路パターン5の厚みは例えば35μmである。
各半導体発光素子2は、例えば窒化物半導体を用いてなるダブルワイヤー型のLEDチップからなり、透光性を有する素子基板2b一面に半導体発光層2aを積層して形成されている。素子基板2bは、例えばサファイア基板で作られている。この素子基板2bの厚みは、回路パターン5より厚く、例えば90μmとする。
半導体発光層2aは、素子基板2bの主面上に、バッファ層、n型半導体層、発光層、p型クラッド層、p型半導体層を順次積層して形成されている。発光層は、バリア層とウェル層を交互に積層した量子井戸構造をなしている。n型半導体層にはn側電極が設けられ、p型半導体層上にはp側電極が設けられている。この半導体発光層2aは、反射膜を有しておらず、厚み方向の双方に光を放射できる。
各半導体発光素子2は、装置基板3の長手方向に隣接した回路パターン5間にそれぞれ配置され、白色の反射層31の同一面上に接着層32により接着されている。具体的には、半導体発光層2aが積層された素子基板2bの一面と平行な他面が、接着層32により反射層31に接着されている。この接着により、回路パターン5および半導体発光素子2は反射層31の同一面上で直線状に並べられるので、この並び方向に位置した半導体発光素子2の側面と回路パターン5とは、近接して対向するように設けられている。
接着層32の厚みは、例えば5μm以下とすることができる。接着層32には、例えば5μm以下の厚みで光透過率が70%以上の透光性を有した接着剤、例えばシリコーン樹脂系の接着剤を好適に使用できる。
図4および図5に示すように、各半導体発光素子2の電極と半導体発光素子2の両側に近接配置された回路パターン5とは、ボンディングワイヤ6で接続されている。さらに、前記2列の回路パターン3列の他端側に位置された端側回路パターン5b同士も、ボンディングワイヤ6で接続されている。したがって、この実施形態の場合、各半導体発光素子2は直列に接続されている。
以上の装置基板3、反射層31、回路パターン5、各半導体発光素子2、接着層32、およびボンディングワイヤ6により、発光装置1の面発光源が形成されている。
リフレクタ34は、一個一個または数個の半導体発光素子2ごとに個別に設けられるものではなく、反射層31上の全ての半導体発光素子2を包囲する単一のものであり、例えば図6に示すように、長方形の枠で形成されており、半導体発光素子2は前記枠で形成された凹部7内に配置されている。リフレクタ34は反射層31に接着止めされていて、その内部に複数の半導体発光素子2および回路パターン5が収められているとともに、前記一対の給電パターン部5c、5dはリフレクタ34の外部に位置されている。
リフレクタ34は、例えば合成樹脂で成形することができ、その内周面は反射面となっている。リフレクタ34の反射面は、AlやNi等の反射率の高い金属材料を蒸着またはメッキして形成することができる他、可視光の反射率の高い白色塗料を塗布して形成することができる。あるいは、リフレクタ34の成形材料中に白色粉末を混入して、リフレクタ34自体を可視光の反射率が高い白色にすることもできる。前記白色粉末としては、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、硫酸バリウム等の白色フイラーを用いることができる。なお、リフレクタ34の反射面は、発光装置1の照射方向に次第に開くように形成することが望ましい。
蛍光体含有樹脂層9は、前記第1の実施形態と同様に、蛍光体を混合した液状の熱硬化性樹脂をディスペンサ等の注入装置を用いて、反射層31表面および一直線上に配列された各半導体発光素子2およびボンディングワイヤ6等を満遍なく埋めるようにして充填し、例えば、前記したような第1の所定温度で加熱する第1の加熱工程と第1の所定温度よりも高い第2の所定温度で加熱する第2の加熱工程を含む多段加熱により、熱硬化性樹脂を硬化させることにより形成されている。
反射層31表面とボンディングワイヤ6との間に流れ込んだ液状の透明樹脂は、毛細管現象等により各半導体発光素子2およびボンディングワイヤ6に行きわたり、その膜厚等がほぼ均一になっており、蛍光体も透明樹脂にほぼ均一に分散している。そして、蛍光体含有樹脂層9において、半導体発光素子2の上面より光取り出し方向側には、半導体発光素子2の上面積の5%以上の投影面積を有する泡が存在していない構成になっている。
このように構成される第2の実施形態においても、半導体発光素子2の上面積の5%以上の投影面積を有する泡が蛍光体含有樹脂層9中の光取り出し方向に存在しないので、蛍光体の励起が阻害されたり、あるいは蛍光体からの発光の取り出しが阻害されたりすることがなく、発光効率が高くかつ輝度むらや色むらのない発光装置を実現することができる。また、硬化に伴う収縮が低減されるため、硬化後の樹脂層のしわや、樹脂層とフレームや半導体発光素子2等との界面剥離、樹脂層と半導体発光素子2に接続されたボンディングワイヤ6間の剥離が生ずるのを抑制することができる。
次に、本発明の実施例およびその評価結果について記載する。
実施例1〜3、比較例1〜5
図1に示す構成のLEDランプ1の蛍光体含有樹脂層9を、以下に示すようにして形成した。すなわち、主剤と硬化剤とを1:1の割合で混合して得られた液状熱硬化性シリコーン樹脂(25℃の粘度3Pa・s)を、真空脱泡装置にかけて泡を除去した後、これに以下に示す蛍光体(粒径10〜15μm)を10重量%の割合で含有させたものを、ディスペンサで凹部7内に滴下・塗布した。なお、発光素子としては、実施例1,2および比較例1〜3では、1辺の長さが100μm(上面積0.01mm2)の青色LEDチップ(主波長460nm)を使用し、実施例3および比較例4,5では、1辺の長さが300μm(上面積0.09mm2)の青色LEDチップ(主波長460nm)を使用した。また、主波長540nmの黄色蛍光体と主波長585nmの黄色蛍光体および主波長650nmの赤色蛍光体を、樹脂に対する重量比(%)で4.0:3.5:2.5の割合で混合して使用した。そして、この蛍光体含有シリコーン樹脂を、開口径3.0mm、リクレクタ角度63度、深さ1mmの円錐台状の凹部7内に、光路長1mmになるように注入した。
次いで、実施例1〜3では、80℃で60分間および120℃で60分間の二段加熱処理により、熱硬化性シリコーン樹脂を加熱硬化させ、LEDランプ1を作製した。なお、各実施例で、被処理物を載せる補助板の厚さを変えることにより昇温速度を変化させた。比較例1〜5では、150℃で60分間の一段加熱処理により、熱硬化性シリコーン樹脂を加熱硬化させ、LEDランプ1を作製した。また、各比較例で、被処理物を載せる補助板の厚さを変えることにより昇温速度を変化させた。
こうして実施例1〜3および比較例1〜5で得られたLEDランプ1において、蛍光体含有樹脂層9中の泡の大きさを以下に示すようにして測定した。すなわち、蛍光体含有樹脂層9をLEDチップ2より上側(光取り出し方向側)で切断し、切断面を金属顕微鏡またはSEMにより1000倍に拡大し、切断面に存在する泡の直径を測定した。測定結果を、表1および表2にそれぞれ示す。
次いで、実施例1〜3および比較例1〜5で得られたLEDランプ1をそれぞれ発光させ、瞬間分光光計MCPD−7000(大塚電子(株)社製)で発光スペクトルを測定した。そして、発光スペクトルから色温度(Tc)を算出した。また、観察角度70度における発光スペクトルを測定し、角度色差(Δuv)を算出するとともに、色むらの有無を肉眼で判定した。また、ゴニオ法を用いて発光効率を測定した。これらの測定結果を表1および表2に示す。
なお、発光効率は、実施例1のLEDランプの効率を100%としたときの相対値である。また、色むら視感は、肉眼で色むらを感じないものを○、色むらが少しあるが気になるほどではないものを△、色むらが感じられるものを×と示した。
また、角度色差は、観察角度ごとの色の差を示すものである。観察角度とは、蛍光体含有樹脂層9の上面の中心を通りかつ層上面に垂直な線を軸線(0度)として、観察点と蛍光体含有樹脂層9の上面の中心とを結ぶ線と軸線とのなす角度θをいい、観察角度θ度における角度色差(Δuv)は、CIE 1976
UCS系色度図のu値,v値から、次式(1)により求めることができる。

Δuv={(uθ−u0)2+(vθ−v0)2}1/2
………(1)
ここでuθ,vθは、観察角度θ度において、波長380〜780nmの発光スペクトルを測定したときのu値,v値であり、u0,v0は、観察角度0度において、波長380〜780nmの発光スペクトルを測定したときのu値,v値である。角度色差(Δuv)が大きくなると、観察角度に応じて白色光の色温度が変化するようになる。
図面番号:000004
表1および表2から明らかなように、二段加熱によりシリコーン樹脂を加熱硬化させた実施例1〜3では、LEDチップの上面より光取り出し方向側のシリコーン樹脂層中に、LEDチップの上面積の5%以上の投影面積を有する泡が存在しないので、発光効率が高く、かつ観察角度70度における角度色差(Δuv)が小さくなっている。特に、青色LEDチップの1辺の長さが100μmであり、かつシリコーン樹脂層中に存在する泡が、LEDチップの上面積の5%未満(3%および4%)である実施例1および実施例2のLEDランプでは、観察角度70度での角度色差(Δuv)が0.012以下と極めて小さくなっており、色むら(色のばらつき)の少ないLEDランプを実現することができた。
1…LEDランプ、2…LEDチップ、3…基板、4…電気絶縁層、5…回路パターン、6…ボンディングワイヤ、7…凹部、8…フレーム、9…蛍光体含有樹脂層、21…LEDモジュール。

Claims (1)

  1. 平板からなる基板と;
    基板の表面側に形成された反射層と;
    反射層に配設された複数の半導体発光素子と;
    基板の表面側に設けられた複数の半導体発光素子への通電要素であって、半導体発光素子の厚みよりも薄い厚みで形成された回路パターンと;
    複数の発光素子を覆うように形成され、熱硬化性樹脂と複数の半導体発光素子から発せられた光により励起されて可視光を発する蛍光体とを含有する層であり、発光素子の上面より光取り出し方向側に、該発光素子の上面積の5%以上の投影面積を有する泡を有しない蛍光体含有樹脂層と;
    を具備することを特徴とする発光装置。
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