本発明は、このような課題を解消し、例えば透明ラベルの場合は粘着性のない部分は透明度を向上させ、また内容物を確認しやすくする包装容器用のラベルを提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
そのため本発明は、包装容器の外周面に貼り付けられる包装容器用のラベルであって、
そのラベルを分断するミシン目が該ラベルに形成されるとともに、そのラベルの表面又は裏面が印刷面とされ、そのラベルの裏面には、少なくとも前記ミシン目に沿いかつそのミシン目を避けるように、又はそのミシン目に一部が重なるように連続又は不連続に配置された粘着剤がパターン塗工されており、その粘着剤により前記包装容器の外周面に貼着されることを特徴とする。
ラベル(ラベル基材)を分断するミシン目は、例えばキャップ付容器の場合に、その容器の胴部とキャップとの境界付近に周方向に設けて、キャップの開封時にミシン目においてラベルが破断する場合であるとか、ラベル内に更にミシン目によって副片ラベル(分割ラベル)を設定し、必要に応じその副片ラベルを容器から分離し、他の対象(例えば注射器のシリンジ等)に貼り付ける場合に、ラベル本体と副片ラベルとの分離に使用されたりする。
そして、そのラベルの表面又は裏面が印刷面とされ、そのラベルの裏面にそのようなミシン目に沿いかつそのミシン目を避けるように、粘着剤が連続又は不連続にパターン塗工され、あるいは粘着剤がミシン目の一部に重なるように塗工され、その粘着剤によりラベルが包装容器の外周面に貼着されるから、パターン塗工されない部分は、例えば透明ラベルの場合、ラベル基材の透明度がそのまま維持され、例えば点眼容器のような液収容容器の場合、透明容器の透明度のアップにより内容物を確認しやすくなり、また糊殺しの場合と異なり、すりガラス状になったりしないため、見栄えも向上する。
また本発明におけるラベルは、胴部とその上部開口を塞ぐキャップとを有する前記包装容器に対し、その胴部と前記キャップとに跨るように巻き付けられ貼り付けられた状態で、加熱により熱収縮して前記胴部とキャップに密着して前記キャップを封印する熱収縮ラベルであり、
前記ミシン目は、前記胴部の領域とキャップの領域とを分けるように少なくとも前記包装容器の外周の周方向に延びており、前記粘着剤は、少なくともその周方向のミシン目に沿いかつそのミシン目を避けるように、又はそのミシン目に一部が重なるようにパターン塗工されているようにすることもできる。
いわゆるシュリンクラベルと称される熱収縮ラベルは、フィルム上の主に透明なラベルが熱収縮により包装容器の胴部とキャップとに跨って装着され、キャップの封印の役割を果たすが、キャップの開封時にそのラベルを破断させるミシン目が形成されるところから、余分な部分に粘着剤はないことが望ましい。この発明では、パターン塗工により所望のパターンで、かつミシン目と特定の関係において粘着剤が例えば転写ロールによる転写により形成されるから、従来のような、予め全面に形成された粘着層に対し所定のパターンで糊殺しをしなければならないといった二重の手間が解消する。
また本発明は、前記キャップの開封時には前記ラベルが前記周方向のミシン目に沿って分断され、そのラベルのうち、そのキャップに対応するラベル部分は包装容器から除去され、その包装容器の胴部に対応するラベル部分はその包装容器に貼り付けられたままの状態で該包装容器に残すことが可能にすることもできる。
また本発明におけるラベルは、包装容器の外周に巻き付けられる際の周方向の両端部が一定量重なるか又は重ならないように包装容器に貼着されるものであり、前記粘着剤は、そのラベルの周方向のミシン目に沿いかつその周方向のミシン目を避けた、又はその周方向のミシン目に一部が重なる周方向の帯状領域と、その帯状領域につながる該ラベルの両端部領域とにパターン塗工されているようにすることができる。
このようにラベル(ラベル基材)のミシン目に沿いかつその周方向のミシン目を避けて(ミシン目の一部に重なってもよい)、周方向の帯状領域の粘着剤と、ラベルの両端部領域の粘着剤とにより、必要かつ無駄のない粘着パターンを形成することができる。
また、ミシン目に沿って前記キャップの開封のためにラベルを分断する際に指でつままれるキャップ開封用のつまみ部が、前記ラベルの上縁又は側縁から突出した形態で形成され、前記粘着剤は、少なくともこのキャップ開封用のつまみ部を避けてパターン塗工されるようにすることもできる。
このように、キャップ開封用つまみ部が存在する場合、そのつまみ部には粘着されないようにすることも容易にできる。
また本発明におけるラベルは、胴部とその上部開口を塞ぐキャップとを有する前記包装容器に対し、その胴部と前記キャップとに跨るように、かつ該ラベルの周方向の両端部が一定量重なるように包装容器に巻き付けられ貼り付けられた状態で、加熱により熱収縮して前記胴部とキャップに密着して前記キャップを封印する熱収縮ラベルであり、
前記ミシン目は、前記胴部の領域とキャップの領域とを分けるように少なくとも包装容器の外周の周方向に延びており、前記キャップの開封時には前記ラベルが前記周方向のミシン目に沿って分断され、そのラベルのうち、そのキャップに対応するラベル部分は包装容器から除去され、その包装容器の胴部に対応するラベル部分はその包装容器に貼り付けられたままの状態で該包装容器に残すことが可能であり、
前記粘着剤は、少なくとも前記ラベルの周方向のミシン目に沿いかつそのミシン目と平行にそのミシン目を避けるように延びる、該ミシン目近傍のラベル周方向におけるミシン目近傍帯状領域と、該ラベルにおいてそのミシン目近傍帯状領域と直角に交わり、該ラベルの周方向の両端部近傍において該ラベルの上下方向に延びるラベル両端部領域とにパターン塗工されるようにすることもできる。
このような、いわゆるシュリンクラベルの典型事例において、粘着剤がミシン目近傍帯状領域と、そのミシン目近傍帯状領域と直角に交わるラベル周方向のラベル両端部領域とにパターン塗工されることで、ラベルの包装容器に対する接着性と好適な熱収縮性との双方を満足させることができる。
また本発明におけるラベルは、本体ラベルと、その本体ラベル内に前記ミシン目としての副片ラベル分離用のミシン目により区画され、該ミシン目において分断されることにより前記本体ラベルから分離される副片ラベルとを備え、
前記粘着剤は、少なくともその副片ラベル分離用のミシン目に沿いかつそのミシン目を避けるように、又はそのミシン目に一部が重なるように前記本体ラベルにパターン塗工されるとともに、前記副片ラベルに対応する領域内に、前記副片ラベル分離用のミシン目を避けるようにパターン塗工されるようにすることもできる。
このように、ラベル本体の一部にミシン目によって副片ラベルが形成される場合は、一般には熱収縮が予定されているシュリンクラベルではなく、予め例えばアンプルやバイアル容器等の外周面にラベル本体と副片ラベルとがミシン目で接続された一枚のラベルが貼り付けられ、例えばアンプルを開封して薬液を注射液に吸い上げた場合に、そのアンプル容器に貼り付けられているラベルからミシン目で副片ラベルを分断し、これを例えば注射器(シリンジ)の外周面に貼り付ければ、医療過誤防止等に役立つ。そこでは、ラベル本体にそのミシン目に沿いかつミシン目を避けるように(そのミシン目に一部が重なってもよい)粘着剤がパターン塗工され、かつ副片ラベルは一般には再貼着が予定され、その裏面には、その分離用ミシン目を避けるように粘着剤がパターン塗工されるから、ラベル本体から副片ラベルが分離しやすく、他の対象に再貼着する場合にも便利である。
また、副片ラベル分離用のミシン目に沿って前記本体ラベルから前記副片ラベルを分離する際に指でつままれる副片ラベル分離用のつまみ部が、前記本体ラベルの上縁、側縁又は下縁から突出した形態で形成され、前記粘着剤は少なくともその副片ラベル分離用のつまみ部を避けてパターン塗工されるようにすることもできる。
このように、副片ラベルを分離する際に指でつままれる副片ラベル分離用のつまみ部が存在し、このつまみ部を避けて粘着剤がパターン塗工されていれば、つまみ部が容器外周面から浮き上がり、または接着してないから指でつまみやすくなる。
また、粘着剤は、ホットメルト粘着剤が前記ラベルに所定のパターンで転写されることによりパターン塗工されたものにすることもできる。
このように、ホットメルト粘着剤が所定のパターンでラベル裏面に転写されたラベルを包装容器の外周面を貼り付けるようにすれば、容器内の収容物(例えば薬液)に対し悪影響を及ぼさない。すなわち、仮に例えば紫外線硬化型のインクにより所定パターンの粘着層を形成する場合、例えばそのインク成分(架橋しない低分子の光重合開始剤等)がプラスチック容器を通過することによる、薬剤への悪影響を防止するために容器の基材や肉厚を考慮しなければならないが、ホットメルト粘着剤を必要な部分のみに転写し、これを包装容器に貼り付けるようにすれば、一般にホットメルトは高分子のため、包装容器の側壁を通過しがたい。よって、包装容器の基材や肉厚の選択の自由度が増す。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、その一実施例である包装用ラベル1の平面形態を示すものである。なお、順次説明する実施例において、総称的に説明するときは1を、またそれぞれのラベルの違いに着目する場合は1A、1B、1C、・・・、として特定する。また、図1における開封用のつまみ部9(9A)についても総称的には9を、個別の違いに着目する場合には9A、9B、9C、・・・、として示す。後述の包装容器についても同様である。図1のラベル1(1A)は、ほぼ長方形のラベル基材3と、横方向に延びる周方向ミシン目5と、その周方向ミシン目5の端部に対応した開封用のつまみ部9(9A)と、図1の手前に見えるラベル面をラベル表面としたとき、そのラベル裏面に所定のパターンでパターン塗工された粘着剤4を備える。図2に示すように、ラベル基材3の表面には、このラベル1が貼り付けられる薬品容器等の内容物に関する情報などを示す印刷部7が公知の印刷手法により予め印刷されている。また、図3に示すようにラベル1の裏面の粘着剤4(粘着層)は、剥離紙6で被覆される。なお、図4に示すようにラベル基材3の裏面側に印刷部7が印刷され、その印刷部7上に粘着剤4がパターン塗工される場合もあり、その場合も粘着剤4が剥離紙6で覆われることとなる。
図5に示すように、ラベル1は包装容器の一つである医薬品の薬液容器、例えば点眼容器2(2A)の外周に巻きつけられ、熱収縮のいわゆるシュリンクラベルの場合は、包装容器2の胴部2aとその上部開口に装着されたキャップ2bとに跨るように巻きつけられて、熱収縮により、胴部2aとキャップ2bに密着させられる。胴部2aとキャップ2bとの境界近傍に、前記ミシン目5が周方向に形成され、開封時にキャップ2bが開方向にねじられると、その周方向ミシン目5においてラベル1が破断される。そして、キャップ2b側のラベル部分は廃棄され、胴部2aに巻き付けられたラベル部分がその胴部2aに残って内容物としての薬液の種々の情報を表示することとなる。また、図6に示すようなアンプル容器2(2C)に巻きつけられる場合は、その胴部2aのみ(頭部2cを除く)に貼着され、この場合、熱収縮でない非シュリンクのラベルとされる場合もある。
図3に示すように、剥離紙6は例えば帯状に長いものであって、その長手方向に複数のラベル1が所定の間隔で各粘着剤4において保持され、そのようなラベル付の帯状のシートが、図7に示すようにロール状に巻かれてラベルロール12とされ、包装容器2に貼着される際は、例えばラベルロール12から剥離紙6が引き出されるように搬送され、包装容器2の外周面に1枚ずつ貼り付けられる。その際、図8に示すように、包装容器2の外周面に対し、ラベル1の巻き付け方向の両端部が一部重なるように(オーバーラップするように)巻き付けられる場合もあるし、オーバーラップしないよう、つまりラベル1の周方向の両端部間があき、その部分では包装容器2の外周面が露出する場合もある。図7に示すように、ラベルロール12とされているのは包装容器2に対するラベル1の貼着工程を自動化するためのラベルの一形態であるが、例えば図9に示すように、個々のラベル1が単品で存在するようにしてもよい。その場合は、ラベル基材3に対応する大きさの剥離紙6が粘着剤4を覆い、個々のラベル1が別個独立した形もとり得る。
図1に示したラベル1は、図5に示すように例えば点眼容器に巻きつけられ、熱収縮によって、その胴部2aやキャップ2bに密着する所謂シュリンクラベルを想定している。図1に戻って、このラベル1は図5の容器2の胴部2aにほぼ対応する胴部領域10と、キャップ2bにほぼ対応するキャップ領域11とが前述の周方向ミシン目5により区分されている。ラベル基材3は長方形状の合成樹脂フィルムであり、一般には透明の合成樹脂フィルムが用いられるが、半透明あるいは不透明なものでも場合により使用することができる。
このラベル基材3に使用するプラスチックフィルムとしては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、発泡ポリスチレンフィルム、発泡ポリエステルフィルム、発泡ポリオレフィンフィルム等の発泡プラスチックフィルム等が例示できる。容器に巻き付けた後、加熱により熱収縮させられるシュリンクラベルに使用するプラスチックフィルムとしては、例えばポリ乳酸系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリエステル系フィルム、低密度ポリエチレンフィルム、中密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、低密度直鎖状ポリエチレンフィルム、環状ポリオレフィンフィルム、ポリプロピレン系フィルム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体等の樹脂から製膜された等の延伸ポリオレフィンフィルム、不織布と収縮フィルムとのラミネートフィルム、ポリエステル−ポリスチレン共押出フィルム、6ナイロンフィルム、6,6ナイロンフィルム等のポリアミドフィルム、塩素化ポリエチレン,塩素化ポリプロピレンなどの樹脂から製膜された変性ポリオレフィンフィルム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の樹脂から製膜されたフィルム、アクリル系樹脂フィルム等が使用できる。このような熱収縮性を有するシュリンクフィルムは、いわゆる一軸延伸フィルムや、二軸延伸フィルムを用いることができる。また、一軸延伸フィルムの場合、予めシュリンクラベルを筒状に容器に装着し、次いで熱収縮処理を行うシュリンクラベルでは、例えば縦一軸延伸フィルムが好適である。これを用いれば、シュリンクフィルムの容器2(2A)のキャップ2bに対する密着性が向上し、特に容器の上縁に被るようにラベルの上縁を熱収縮させる場合に効果的である。なお、場合により横一軸延伸フィルムや、縦横二軸延伸フィルムを用いることもできる。
図1にもどって、このラベル1のラベル基材3の典型例を言うなら、透明基材で、かつ縦一軸延伸フィルムを例示することができる。そして、図1においてラベル1の紙面の裏側に位置する粘着剤4は、例えばホットメルト粘着剤を用いることができる。ホットメルト粘着剤としては、例えば、エマルジョン系、ゴム系、アクリル系等の、例えば感熱型粘着剤からなる厚み10〜30μm程度のものが好ましい。また、樹脂系のホットメルト粘着剤としては、上述のアクリル系ホットメルト粘着剤、エポキシ系ホットメルト粘着剤、ウレタン系ホットメルト粘着剤等を適宜に使用することができ、特に種類が限定されるわけではない。また、ここで言う粘着剤は、いわゆる接着剤を排除する趣旨ではなく、広く接着剤および粘着剤を含んで粘着剤と称するものである。
また、ホットメルト粘着剤は、溶融温度が例えば100〜200℃程度のものを使用することができ、ラベルへのパターン塗工時にはラベルがシュリンクラベルの場合は、熱収縮が生じない程度の低温、例えば50〜80℃の範囲内でパターン塗工されることが望ましい。また、ホットメルト粘着剤として紫外線硬化型ホットメルト粘着剤を用いることもできるし、湿気硬化型ホットメルト粘着剤を用いることもできる。
図1にもどって、粘着剤(粘着層)の塗工パターンはラベル基材3の周方向ミシン目5に沿い、かつそのミシン目5を避けるようにミシン目近傍帯状領域(粘着剤)14がラベル1の周方向に延びており、このミシン目近傍帯状領域14とミシン目5とは、僅少な隙間を介して互いに平行に並んでおり、場合によっては、このミシン目近傍帯状領域14の上縁とミシン目5とが実質上一致するところまで迫っていてもよい。そして、ミシン目近傍帯状領域14の両端部には、ラベル1の上下方向に延びるラベル周端部領域(粘着剤)15および16がパターン塗工されている。一方のラベル周端部領域15は、ミシン目近傍帯状領域14と直角に交わり、ラベル基材3の下端部近傍からミシン目5を横切ってラベル基材3の上端部近傍まで延びている。そのラベル周端部領域15が、ミシン目5を横切る部分ではラベル周端部領域15の粘着剤は、ミシン目5に重なっている。ただし、そこで重ならないようにラベル周端部領域15をミシン目5と交差する(横切る)部分において、不連続に途切れさせ、ミシン目と重ならないようにすることもできる。また、ミシン目近傍帯状領域14の他方の端部は、ラベル周端部領域16の上端と直角につながり、ラベル周端部領域16は、ラベル基材3の側縁と平行にその下端部近傍に延びている。
ここで、ラベル周端部領域15および16のうち、ラベル周端部領域16がラベル1のミシン目5より下側の領域(胴部領域10)にだけ形成され、キャップ領域11に形成されていないのは、キャップ領域11はキャップ開封時にミシン目5において破断され、包装容器から除去されるものであるため、その除去を容易にするために、キャップ領域11には粘着剤4がパターン塗工されていないのであるが、その粘着力が弱いものであれば、ラベル周端部領域16をミシン目5を超えてラベル基材3の上端部近傍まで延ばし、結局他方のラベル周端部領域15と同じ形状にすることによって、全体としての粘着剤4の塗工パターンを左右対称にすることもできる。
ここで、ラベル1の両側縁および上縁および下縁と、ラベル周端部領域15および16の境界には、わずかなクリアランスCが形成されている。つまり、ラベル周端部領域15と、ラベル基材3の上縁、下縁および側縁との間には、クリアランスCが存在し、また他方のラベル周端部領域16とラベル基材3の下縁および側縁との間にもそれぞれクリアランスCが存在している。ここで、いずれの隙間もCで表したが、それが寸法として同一である必要はなく、粘着剤4のラベル周端部領域15および16とラベル基材3の端縁とが、一致しているよりは粘着剤4のパターン塗工の境界がわずかに内側に入り込んでいたほうが、望ましいという趣旨である。その理由は、ラベル1の製造工程に関係し、ラベル1はラベルフィルムから打ち抜き加工により矩形のラベル基材3となるが、ここで粘着剤4にかかるように打ち抜き線が設定されると、打ち抜き後は粘着剤4の端縁とラベル基材3の端縁とが一致するが、その場合打ち抜きダイ(打ち抜き刃)とに粘着剤が付着し、その粘着剤が付着した打ち抜き刃が、次のラベルの打ち抜きに悪影響を及ぼす可能性があり、例えば打ち抜きの切れ味が落ちるとか、打ち抜き後に打ち抜き刃を退避させる際に、打ち抜いたラベルがくっついてきてしまうといったことが挙げられる。
逆に、図1に示すように粘着剤4の塗工パターンよりやや外側に外れて打ち抜き線が生じれば、打ち抜き後のラベル基材3と粘着剤4との外縁には、わずかなクリアランスCが生ずることとなり、このクリアランスCがラベル1を包装容器に貼り付ける際に、その接着性を損なう等の不都合が生じない隙間にすれば良いと言うことになる。
図1に示すラベル1の粘着剤4は、図2で説明した帯状の剥離紙6で覆われ、換言すれば、その剥離紙6に粘着されて複数のラベル1が所定の間隔で剥離紙6に把持され、図7に示したラベルロール12とされるのがラベルの一商品形態であることは前述のとおりである。なお、剥離紙6としては離型処理等により離型するものであればよく、粘着ラベルに一般的に用いられているものを使用することができる。剥離紙6の素材としては例えばグラシン紙等の紙のほか、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のプラスチックフィルム等のほか、適宜の素材のものを使用できる。また、剥離紙6は透明、半透明、不透明のいずれであっても良い。
図1のラベル1(1A)は、剥離紙6が除去された状態で粘着剤4において、例えば図24に示すように包装容器2(2A)の外周に貼着され、シュリンクフィルムを前提とすれば熱収縮により収縮させられ、胴部領域10は包装容器(図24のものは液薬容器、例えば点眼容器を想定している)の胴部2aに密着し、キャップ領域11はキャップ2bの外周面に密着するとともに、その上端部がキャップ2bの上部に回りこむように熱収縮してキャップ2bの上端外周に一部がかかるような状態となる。この図24の例では、ラベル1Aの周方向のミシン目5が胴部2aの上端部近傍(キャップ2bの下端よりやや下側)に位置し、つまみ部9Aが胴部2aとキャップ2bとの境界に位置する。このつまみ部9Aには粘着剤は存在しないため、つまみ部9Aだけは、容器2Aの外周から浮き上がった状態となる。その浮き上がっているつまみ部9Aを指でつまんで容器2の周方向へ取り回すような力を加えれば、ラベル1Aは周方向ミシン目5で順次破断され、胴部領域10が容器の胴部2aに貼着された状態でキャップ領域11が分断され、不要部として廃棄されることとなる。この状態でキャップ2bを開封することができる。
なお、図1に示す粘着剤4のミシン目近傍帯状領域14およびラベル周端部領域16の全部、およびラベル周端部領域15の一部が、図24に示す包装容器2Aの胴部2aの外周面に直接貼り付けられ、ラベル周端部領域15の最もラベル端に近い側の上下方向部分が、ラベル周端部領域16側のラベル表面の一部に重なるように貼着されることとなる。また、ラベル周端部領域15のキャップ領域11に対応する側の部分は、キャップ領域11の反対側のラベル表面の一部に重なるように貼着される。そのキャップ領域11に対応する粘着剤4のラベル周端部領域15は、ラベル1Aを開封する際に粘着剤において剥離されるが、胴部領域10においては前述の貼着状態がそのまま維持される。この点は、後述の図10〜18に示すラベル1についても同様である。
なお、つまみ部9Aが存在しなくても、ラベル1Aのキャップ領域11がキャップ2bに巻きついた状態でキャップ2bを開封させる回転動作を加えれば、キャップ2bの開封動作と同時に周方向のミシン目5において、キャップ領域11が胴部領域10から破断され除去されることとなる。このような容器2Aにラベル1Aを巻きつけ貼着させる方法としては、例えば図7に示したような貼り付けラインで自動化できるのは前述のとおりである。また、図8に示したように、ラベル1の周方向の両端部は好適には一定量重なり合うようにすることができ、その場合、図1における粘着剤4のラベル周端部領域16がラベル1の他方のラベル周端部領域15の端部表面に、一部接着することとなる。ただし、ラベル1の両端部が重なりあうことなく、所定の隙間で突き合わさせるようにしてもよい。
次に図10に基づいて、本発明の別の実施例を説明する。このラベル1(1B)では、ラベル基材3に対する周方向ミシン目5ならびに粘着剤4の塗工パターンは、図1のラベル1Aと実質的に同様である(左右が反対になっているだけ)。相違する点は、ラベル破断用のつまみ部9(9B)の両端部の中央から外れた位置においてラベル基材3の上方へ突出し(ラベル9Bの上端は半円形となっている)、そのつまみ部9の外側よりの側縁とラベル基材3の上縁とがほぼ直角に交わり、その交点から周方向ミシン目5に向かって斜め方向ミシン目17が形成され、斜め方向ミシン目17は周方向ミシン目5と交差した後、反転して斜め上方へ延び、そこで途切れている。なお、周方向ミシン目5も、この斜め方向ミシン目17もその構造自体は同じであり、以下に出てくる別のミシン目も同様であり、ラベル基材3の厚さ方向に貫通する間欠的な短線状部分と、それら短線状部分をつなぐラベル基材3の厚みがそのまま残る不貫通部とが、線状に連なったものである。その他の部分は、図1に示したラベル1Aと同様であるため、対応する部分は同一の符号を付し、説明は省略する。なお、以下順次説明する他の実施例についても同様である。
この図10に示したラベル1(1B)は、例えば図25に示すような包装容器2(2A)(例えば薬液容器としての点眼容器等)の外周に巻きつけられ、熱収縮によりその容器2Aに密着させられる。その状態で、ラベル1Bの胴部領域10ならびにキャップ領域11は、その容器2Aの胴部2aならびにキャップ2bにほぼ対応してそれぞれ密着し、キャップ領域11の上端部はキャップ2bの上端周縁に一定量かぶさるよう熱収縮され、開封用のつまみ部9Bはキャップ2bの上端周縁から浮き上がり、このつまみ部9Bを手でつまんで、斜め下方へ引き裂く力を加えれば、斜め方向ミシン目17からラベル1Bのキャップ領域11が斜めに破断され、さらにそれに続いてその破断が周方向ミシン目5に連なり、それに沿って周方向に破断されて、胴部領域10のみが容器2Aの胴部2aに貼着される。この状態で、キャップ領域11は破断により除去され、キャップ2bの開動作が可能となる。この図25において、包装容器2(2A)は図24と同様であるため対応する符号を付し、詳しい説明は省略する。
さらに、図11に基づいて別の実施例を示す。このラベル1(1C)は、図10と同様の開封用のつまみ部9Cを備えるとともに、そのつまみ部9Cの外よりの側縁が直線上に延長されて、粘着剤4のラベル周端部領域15と平行に上下方向ミシン目18が周方向ミシン目5まで形成され、上下方向ミシン目18と周方向ミシン目5とが直角に交わっている。また、つまみ部9Cの内側よりの側縁には、複合ミシン目19が周方向ミシン目5側に上下方向に一定量延びており、その後複合ミシン目19は、上下方向ミシン目18から離れるように斜め下方に延びた途中で途絶えている。後の部分は図10のラベル1Bと同様である。このようなラベル1Cは、例えば図26に示すように例えば点眼容器等の包装容器2(2A)の外周に巻きつけられ、加熱により熱収縮(シュリンク)され、開封用のつまみ部9Cがキャップ2bの外周縁から浮き上がった状態となる。このつまみ部9Cを手でつまんで一旦下方に引き下ろすと共に、容器2Aの周方向へ回す力を加えれば、上下方向ミシン目18および複合ミシン目19が上下方向に破断され、キャップ領域11が上下方向ミシン目18において分断されるとともに、周方向ミシン目5に沿って周方向に破断され、キャップ領域11が胴部領域10から分離され、キャップ2bの開動作が可能となる。
図12に示すラベル1(1D)は、ラベル基材3の胴部領域10とキャップ領域11の間に周方向に延びる前述の周方向ミシン目5が形成され、この周方向ミシン目5に沿いかつそのミシン目5を避けるように、ミシン目近傍帯状領域14が形成されるとともに、その両端に直角につながるようにラベル周端部領域15および16がパターン塗工されている。ここでラベル周端部領域15は、周方向ミシン目5を横切るように上下方向に延びてはいるものの、周方向ミシン目5に対応する部分では一部途切れて不連続となり、この周方向ミシン目5に関して下側の領域15aと上側の領域15bとに分かれている。そして、キャップ領域11の一方の側縁の上端部から周方向に開封用のつまみ部9(9D)が突出している。さらにキャップ領域11には、つまみ部9Dとは反対側の側縁中間部から周方向ミシン目5と一旦平行に延びた後、斜め下方へ折れ曲がって周方向ミシン目5へ達する複合ミシン目20が形成されている。
そしてこのようなラベル1Dは、図27に示すような点眼容器等の包装容器2(2A)の外周に巻きつけられ貼着された後、熱収縮させられつまみ部9Dがキャップ2bの外周面から浮き上がり可能とされ、かつ図12において粘着剤4のラベル周端部領域15(特に、その上部領域15b)がキャップ領域11の反対側のラベル端部表面に一部かかるように貼着されることにより、つまみ部9Dの下端縁が複合ミシン目20よりわずかに上側に来るか、ほぼ対応する部位に位置する。その状態でつまみ部9を周方向への力を加えれば、ラベル1Dは複合ミシン目20の周方向ミシン目5と平行な部分から破断が生じ、かつその傾斜部分を経て、周方向ミシン目5へ破断が進行し、後は周方向ミシン目5に沿って破断されることによりキャップ領域11が胴部領域10から分断され、図27に示すキャップ2bの開動作が可能となる。
図13に示すラベル1(1E)は、図1に示す粘着剤4においてラベル周端部領域15および16の周方向における位置関係が逆になり、かつ開封用つまみ部9Aが省略されたタイプのものである。このようなラベル1(1E)は、例えば図28に示すような点眼容器等の包装容器2(2A)の外周面に巻きつけられ、熱収縮によりその外周面に密着させられる。このラベル1Eでは、開封用のつまみ部はないが、ラベル1Eのキャップ領域11を把持して、開封のための回転動作を加えると、ラベル1Eは周方向ミシン目5で破断が生じ、破断後のキャップ領域11を上方へ抜き取れば、包装容器2Aには、ラベル1Eの胴部領域10のみが貼着された状態として残る。
図14に示すラベル1(1F)は、図1に示すラベル1Aの左右が逆になったタイプのもの、つまり周方向の一方の端部に破断用のつまみ部9(9E)が周方向ミシン目5に対応して形成され、このつまみ部9Eに近接して上下方向にラベル周端部領域15が、周方向の反対側にはミシン目近傍帯状領域14を介して、胴部領域10側においてのみ上下方向に延びるラベル周端部領域16が形成されている。このようなラベル1(1F)は、図29に示すように点眼容器等の包装容器2(2A)の外周に巻きつけられ、胴部2aおよびキャップ2bにそれぞれ密着させられるとともに、つまみ部9Eがラベル1Fの胴部領域10およびキャップ領域11の境界付近に位置する状態となる。このつまみ部9Eをつまんで、周方向へ取り回す力を加えれば、図14に示す粘着剤4のラベル周端部領域15の上部がラベル1Fの反対側の表面から剥がれた後、周方向ミシン目5に沿って破断が進行し、最終的に図29に示すラベル1Fのキャップ領域11が胴部領域10から分断されて、キャップ2bの開動作が可能となる。
図15に示すラベル1(1G)は、胴部領域10とキャップ領域11との境界付近においてラベル基材3の一方の側縁から他方の側縁へ突出する破断用のつまみ部9(9F)が形成され、このつまみ部9Fの下縁および上縁から、ラベル1Gの周方向へ互いに平行に延びる周方向ミシン目21および22が形成されている。これら周方向ミシン目21および22の間隔は、つまみ部9Fの幅に等しい。そして、周方向ミシン目21および22の間にラベル1Gの胴部領域10とキャップ領域11との境界が位置する。そして、ラベル1Gの胴部領域10に位置する周方向ミシン目21の下側に沿い、かつその周方向ミシン目21と重ならないように、その周方向ミシン目21と平行に延びるミシン目近傍帯状領域14がラベル基材3の周方向の一端から他端にまで延びるように形成され、そのミシン目近傍帯状領域14の一方の端部にラベル周端部領域15が直角につながり、他方の端部にもラベル周端部領域16が直角につながっている。ラベル周端部領域15は、ラベル基材3のつまみ部9F側に近接して上下方向に延び、周方向ミシン目21および22を横切って、ラベル基材3の上端付近まで延びている。言い換えれば、ミシン目近傍帯状領域14とラベル周端部領域15とは、T字状につながった形状である。
一方、ラベル周端部領域16は、胴部領域10側においてのみ上下方向に延び、周方向ミシン目21および22を横切るようには延びてはおらず、ミシン目近傍帯状領域14とは、逆L字状につながった形態となる。包装容器2に対する巻きつけ状態では、粘着剤4のラベル周端部領域15がラベル1Gの反対側のラベル表面(ラベル周端部領域16側の側縁部)に一部重なり、そこに貼着される状態となる。
図30はその状態を示すもので、ラベル1Gは点眼容器等の包装容器2(2A)の外周面に巻きつけられ貼着され、熱収縮により胴部2aおよびキャップ2bに密着した状態となり、その状態でつまみ部9Fをラベル1Gの胴部領域10およびキャップ領域11の境界付近でつまむことができる。このつまみ部9Fをつまんで、周方向に取り回す力を加えれば、ラベル1Gは周方向ミシン目21および22において周方向に破断が進行し、ラベル1Gはそのつまみ部9Fを含む帯状部分とその上部のキャップ領域11と、胴部領域10とに分断される。つまみ部9Fを含む破断後の帯状部分は廃棄され、かつその上のキャップ領域11もキャップ2bから上方へ抜き取ること等により除去され、包装容器2Aにはラベル1Gの胴部領域10のみが貼着された状態となる。
図16に示すラベル1(1H)は、図11に示したラベル1(1C)における複合ミシン目19を、図16において上下方向ミシン目24に変更したものである。つまり、ラベル1Hの上縁から破断用のつまみ部9(9G)が上方へ突出し、このつまみ部9Gの両側縁からそのつまみ部9Gの幅で上下方向に平行に延びる上下方向ミシン目23および24が周方向ミシン目5に、かかるように形成されている。その他は図11のラベル1Cと同様である。
このようなラベル1(1H)は、図31に示すように点眼容器等の包装容器2(2A)の外周面に巻きつけられ貼着され、熱収縮により胴部2aおよびキャップ2bの外周面に密着させられる。その状態でラベル1Hの上端部のつまみ部9Gは、キャップ2bの上部周縁から浮き上がり可能な状態にあって、そのつまみ部9Gを手でつまんで下側へ引きおろす力を加えれば、ラベル1Hのキャップ領域11において上下方向ミシン目23および24に沿って、周方向ミシン目5まで破断され、このつまみ部9Gを含む上下方向の帯状部分が分離され除去される。その後、この帯状部分が除去されたキャップ領域11を手でつまんで周方向への力を加えれば、周方向ミシン目5で周方向に破断され、キャップ領域11は胴部2aに巻きつけられた状態にある胴部領域10から分断され廃棄され、そこにキャップ2bが露出して、その開動作が可能となる。
図17に示すラベル1(1I)は、図11に示したラベル1(1C)における上下方向ミシン目18が、図17において途中で折れ曲がった複合ミシン目25に置換されたものである。図11の複合ミシン目19と図17の複合ミシン目26とは同様である。すなわち、図17に示すラベル1Hは、ラベル上縁から上方へ突出する開封用のつまみ部9(9H)を備え、そのつまみ部9Hの両側縁から一端下方へそのつまみ部9の幅で平行に延びる複合ミシン目25および26の上下方向部分があり、各複合ミシン目25、26は途中で斜め下方へ折れ曲がり、複合ミシン目25の斜め部分は周方向ミシン目5につながり、複合ミシン目26の斜め部分は途中で途切れる形態となる。
このようなラベル1(1I)は、図32に示すように点眼容器等の包装容器2(2A)の外周面に巻きつけられ、胴部領域10およびキャップ領域11が容器2の胴部2aおよびキャップ2bにそれぞれ熱収縮により密着した状態となる。つまみ部9Hは、キャップ2bの両端周縁から浮き上がり可能な位置にあり、このつまみ部9Hをつまんで下方への力ならびに周方向への力も加えると、ラベル1Iはそのキャップ領域11において複合ミシン目25および26の上下方向部分から破断が開始され、さらに複合ミシン目25の斜め部分が周方向ミシン目5に達して、以後は周方向ミシン目5が破断し、ラベル1Iのキャップ領域11が胴部領域10から分断され廃棄される。この際、一方の複合ミシン目26が途中で途切れて周方向ミシン目5に接続されていないため、つまみ部9Hを含む帯状部分は、キャップ領域11から完全に分断されることなく、そのキャップ領域11に付着した状態でそれとともに廃棄される。
図18に示すラベル1(1J)は、例えば図11に示したラベル1Cと粘着剤4のラベル基材3に対するパターン塗工の形態は同じである。つまり、ラベル1Jの胴部領域10とキャップ領域11とのほぼ境界部分に、周方向ミシン目5がラベルの一方の側縁から他方の側縁まで連続で形成され、この周方向ミシン目5に沿いかつ同ミシン目に重ならないように、ミシン目近傍帯状領域14が周方向に延び、その一方の端部にラベル1Jの上端部から下端部まで延びる上下方向のラベル周端部領域15が、他方の端部にラベル1Jの胴部領域10において上下方向に延びるラベル周端部領域16が形成されたものが前提となる。
そして、ラベル1Jのキャップ領域11においてラベル1Jの一方の側端から周方向ミシン目5と平行に周方向に延びた後、途中で直角に曲がって下方に延び、周方向ミシン目5に達する複合ミシン目27と、ラベル1Jの中央に関してこれと対照に形成され、ラベル1Jの他方の側縁を始点として周方向ミシン目5と平行に周方向に延びた後、途中で直角に折れ曲がって下方へ延び周方向ミシン目5に接続する複合ミシン目28とが形成されている。このようなラベル1Jは、例えば図33に示すように、バイアル容器として薬液等が収容される包装容器2(2B)の外周面にその粘着剤4(14、15、16)において、包装容器2Bの胴部2aに貼着され、かつ熱収縮によりキャップ2bの外周面にも密着させられる。
図33において、ラベル1Jの胴部領域10は容器2Bの胴部2aにおける上側部分を除いた外周に対応し、キャップ領域11はキャップ2bを包含し、かつ胴部2aの上端部分にも対応している。そして、複合ミシン目27および28の周方向部分が、キャップ2bと胴部2aのほぼ境界にあたる部分に位置する。この状態で、キャップ2bを上へ指で押し上げると、ラベル1Jは複合ミシン目27および28の周方向部分で破断し、さらにそれら複合ミシン目27、28の上下方向部分も破断させて、キャップ領域11を胴部領域10から分断し除去することができる。なお、この包装容器2Bはバイアル容器の例を示し、例えば注射剤の容器等の使用に好適である。
次に、熱収縮させることを一般には前提としないラベルであって、副片ラベル(分割ラベル)を含む形態のラベルの実施例を説明する。
まず、図19に示すラベル1(1K)は、ほぼ矩形状のラベル基材3の一方の側縁と平行に、上下方向ミシン目(I状分離用ミシン目)33が形成され、さらにその上下方向ミシン目33の延長線とラベル基材3のもう一方の側縁の延長線との間隔を幅寸法とする副片分離用つまみ部34がラベル1の上端縁から突出するように形成されている。そして、ラベル1Kは、上下方向ミシン目33を境にラベル1Kの主要部分を形成する本体ラベル29と、つまみ部34とを含む上下方向の帯状部分である副片ラベル30とに区分される。そしてラベル基材3の紙面にある面をラベル表面とすれば、紙面の裏側に位置するラベル裏面には粘着剤4がパターン塗工されている。粘着剤4は、本体ラベル29のほぼ前面を覆う矩形状の本体側粘着剤31と副片ラベル30に対応する帯状の副片側粘着剤32とに分離された形態でパターン塗工されている。本体ラベル29における本体側粘着剤31は、本体ラベル29の外縁ならびに上下方向ミシン目33に沿い、それらより僅かに内側に入り込んだ矩形状の形態でパターン塗工されることが望ましい。つまり、本体側粘着剤31の外縁と本体ラベル29の三方の外縁および上下方向ミシン目33との間には僅かなクリアランスCが確保され、このクリアランスCは例えば0.3から1.5mmの範囲、特に0.5から1.0mm範囲くらいに設定され、このクリアランスCが存在することが望ましい理由は、図1のラベル1AのクリアランスCについて説明したのと同様に、ラベルフィルムからラベル1Kを打ち抜く際に、打ち抜きダイ(打ち抜き刃)が粘着剤4にかからないようにするためである。このクリアランスCの好適な範囲は、図1を始め既に示したラベルのクリアランスについて同様である。
図19における副片ラベル30の裏面にパターン塗工された副片側粘着剤32は、つまみ部34を除き、副片ラベル30の帯状部分に沿って、それより僅かに狭い幅となるよう副片ラベル30の外縁および上述の上下方向ミシン目33からクリアランスCだけ内側に入ったところを境界として上下方向に延び、この副片側粘着剤32の上縁および下縁は、本体側粘着剤31の上縁および下縁の延長線上にくるようにされている。言い換えれば、このラベル1Kの粘着剤32はつまみ部34を除き、かつ上下方向ミシン目33を含む狭い帯状部分を除き、かつラベル1Kの外縁から僅かなクリアランス部分を除いて、本体ラベル29と副片ラベル30とに跨って形成されている。
このようなラベル1(1K)は、例えば図34に示すような薬液を収容するアンプル容器2Cの他、図35に示すようなバイアル容器2B等の薬液容器としての包装容器2(2C、2B)の胴部2aにその本体側粘着剤31および副片側粘着剤32において貼り付けられ、その胴部2aに巻かれる。その状態でラベル1Kの周方向の両端は、重なり合うことなく、図19におけるラベル1Kの副片ラベル30の外側縁と本体ラベル29の外側縁とが、図34、35に示すように一定の隙間を隔てて、平行に突き合わさせることとなる。このように、ラベル1Kの周方向の端部を一部重なり合わせないのは、副片ラベル30を分離させて再貼着するためである。つまり、図34、35において副片分離用のつまみ部34は容器2Cの外周面から浮き上がった状態であり、このつまみ部34を指でつまんで下方へ引きおろせば、上下方向ミシン目33でラベル1Kが本体ラベル29と副片ラベル30とに分断され、その分断された副片ラベル30を別の対象、例えば注射器のシリンジ等に再貼着する(貼り付ける)ことができる。これにより、アンプル容器、バイアル容器等の容器2(2C、2B)に収容されていた薬液と注射器に吸い上げられた薬液との同一性が明確となり、医療過誤の防止等に有効となる。このように副片ラベル30が別の対象に再貼着されるところから、図19における副片ラベル30の副片側粘着剤32は、少なくとも再貼着可能な粘着剤、言い換えると図34、35の容器2(2C、2B)から容易に剥離できて、別の対象に再度接着できる粘着特性が求められる。本体側粘着剤31は再貼着するものでないため、副片側粘着剤32のような粘着特性は求められないが、ラベル基材3に対しては一般に同一の粘着剤がパターン塗工されるから、本体側粘着剤31と副片側粘着剤32とは、同じ粘着特性となるのが普通である。
図20に示す副片ラベル37を備えたラベル1(1L)は、図19のラベル1Kとを比較すると、副片ラベル37がラベル1Lの中央部に位置する点に特徴がある。すなわち、図19のラベル1Kではラベルの一端部に副片ラベル30が位置していたが、図20に示すラベル1Lではラベル1Lの中央部に副片ラベル37が位置し、その副片ラベル37を除く両側部分を含む残量部分が本体ラベル36とされる。言い換えれば、ラベル基材3の中央部上縁から上方へ突出して、副片分離用のつまみ部34が形成され、このつまみ部34の両側縁を延長するように、そのつまみ部34の幅で上下方向に延びるU字状分離用ミシン目35が形成され、そのミシン目35の下端部はU字状に連続している。つまり、つまみ部34の一方の側縁からミシン目35が下方に延び、Uターンして上方に延びた後、つまみ部34の他方の側縁にもどる形態のミシン目である。このミシン目およびつまみ部34で区画された部分が副片ラベル37となり、ラベル基材3のそれ以外の部分が本体ラベル36となる。本体ラベル36の副片ラベル37に関して両側部分には、それぞれ例えば矩形の本体側粘着剤38が前述のとおり本体ラベル36の外縁から僅かに内側に入るクリアランスをもって、それぞれパターン塗工されている。また、副片ラベル37の裏面にはその帯状領域に対応するようにU字状ミシン目35に沿い、かつそれに重ならないように僅かに内側に位置して、帯状の副片側粘着剤39がパターン塗工されている。
このようなラベル1(1L)は、例えば図36に示すアンプル容器のような薬液容器としての包装容器2(2C)の胴部2aの外周面に、図20の本体側粘着剤38ならびに副片側粘着剤39において貼り付けられ、その胴部2aに巻きつけられた状態となる。この際図20のラベル1Lの周方向の側縁同士が一部重なり合ってもよいし、互いに重なり合うことなく所定のクリアランスをもって突き合わされるようにしてもよい。
図36のようなアンプル容器2Cの他、図37に示すようなバイアル容器2B等の薬液容器としての包装容器2(2C、2B)に対し、ラベル1Lを使用することもできる。この場合、図37の容器2Bの直径(外周長さ)や胴部の高さに応じて、図20のラベル1Lの周方向長さを設定すれば、図36のアンプル容器2Cに対しても図37のバイアル容器2Bに対しても、同様にラベル1Lを巻きつけることができる。そして、容器2Cまたは2Bの胴部2aから浮き上がった状態の副片分離用のつまみ部34をつまんで、これを下方へ引きおろせばU字状のミシン目35に沿って副片ラベル37が本体ラベル36から分断されつつ、副片ラベル37に示す副片側粘着剤39が容器2Cまたは2Bの胴部から剥離され、その分断・剥離した副片ラベル37を別の対象、例えば注射器のシリンジや点滴液収容容器等に再貼着することができる。一方、図36および37に示す本体ラベル36は、容器2Cまたは2Bの胴部2aに貼り付けられた状態に維持される。
図21に示す副片ラベル41を備えたラベル1(1M)は、その基本的な形態は図20に示したラベル1Lと同様であるが、細部の形態で異なる。このラベル1Mは、ラベル基材3の中央部上端から上方へ突出する台形状の副片分離用つまみ部46を備え、そのつまみ部46の両側基端からラベル基材3の内方へ向かう、それぞれ内方へ向かうほど間隔が狭くなるテーパ状の副片用分離用スリット43、44が形成されている。これら副片分離用スリット43、44の各内端に接続するように副片分離用ミシン目(いわばU字状ミシン目)42がラベル基材3の中央部分を占めるように形成されている。言い換えれば、このミシン目42はスリット43の内端から出発して下方へ延び、ほぼU字状に方向転換して上方へ延びた後、スリット43の内端に接続されている。この副片分離用ミシン目42およびスリット43、44を本体ラベル40との境界とし、かつつまみ部46を含む帯状の部分が副片ラベル41とされる。そして、ラベル基材3において、この副片ラベル41を除く残りの部分が本体ラベル40となる。本体ラベル40の紙面に関して裏側のラベル裏面には、副片ラベル41を挟んで両側に、本体ラベル40の外縁から僅かに内側に入るクリアランスを有して、かつスリット43、44ならびに副片分離用ミシン目42にかからないように(重ならないように)本体側粘着剤47がそれぞれパターン塗工されている。また、副片ラベル41のラベル裏面には、その副片分離用ミシン目42ならびにスリット43、44に重ならないように、例えばその内側の領域に副片側粘着剤48がパターン塗工されて、この副片側粘着剤48はつまみ部46の裏面を除いて形成される。
このようなラベル1Mは、例えば図38に示すアンプル容器のような包装容器2C、あるいは図39に示すようなバイアル容器のような包装容器2Bの胴部2aに、図21の本体側粘着剤47および副片側粘着剤48において貼り付けられ、胴部2aに巻きつけられた状態とされる。図21に示すラベル1Mは、図39に示すバイアル容器2Bに貼り付けることを前提に寸法関係が規定されているが、図38のアンプル容器2Cに使用する場合は、そのアンプル容器2Cの外径や胴部の高さに応じて図21のラベル1Mの周方向長さ、高さならびに副片ラベル41の幅や、高さが調整される。
いずれにしても、容器2Cまたは2Bにラベル1Mが巻きつけられた状態でつまみ部46を指でつまんで下方へ引き剥がせば、スリット43、44から副片分離用ミシン目42が分断され、容器2Cまたは2Bの胴部2aに残る本体ラベル40から副片ラベル41が分断され、このとき図21に示す副片側粘着剤48は図38、39に示す容器2Cまたは2Bの外周面から剥離(剥ぎ取られる)され、その副片ラベル41を前述のような他の対象に再貼着することができる。
図22に示すラベル1(1N)は、副片ラベル53を備えるとともに、容器外周に熱収縮により密着させられる、いわゆるシュリンクラベルを前提とした実施例を示している。つまり、副片ラベル付シュリンクラベルである。このラベル1Nは、ラベル基材3の一方の側端から他方の側端まで形成された周方向ミシン目59により胴部領域50とキャップ若しくは何らかの取付部である口部領域51とに区画されている。また、胴部領域50の周方向の一方の端部側によった位置に副片分離用ミシン目55により区画された副片ラベル53の領域が設定されている。副片ラベル53とラベル基材3のこれと近い側の側縁との間には、一定の幅が確保されて、ここは後述のように、粘着剤の一部がパターン塗工される部分となる。その副片分離用ミシン目55はラベル基材3の下縁の一箇所から、そこに形成されたV字状の切込み54を基点として上方に延び、周方向ミシン目59を横切ることなくその手前で、例えばUターン状に折り返した後さらに下方に延び、ラベル基材3の下縁の別の一箇所に到達するように形成され、その別の一箇所にもV字状の切込み54が存在することが望ましい。これら切込み54は、副片ラベル53を分離させる際に、ミシン目55の破断開始が容易となるように形成されるものであるが、これら切込み54を省略し、ラベル基材3の下縁から直接ミシン目55が形成されるようにしてもよい。このような副片ラベル53を除くラベル基材3の残量部分が本体ラベル52となる。本体ラベル52の周方向の一端側から周方向ミシン目59に沿いかつそのミシン目59に重ならないように、粘着剤がミシン目近傍帯状領域58として副片ラベル53の手前、換言すれば、ミシン目55の直前まで形成され、このミシン目近傍帯状領域58の副片ラベル53を挟んで反対側のラベル裏面には、ラベル基材3の他方の側縁に沿って上下方向に周方向ミシン目59の近傍からラベル基材3の下縁近傍まで延びる粘着剤のラベル周端部領域57が形成されている。粘着剤のミシン目近傍帯状領域58の他方の端部はラベル基材3の他方の側縁に沿って、上下方向に延びるラベル周端部領域56の粘着剤に直角に(T字状に)つながっている。ラベル周端部領域56の粘着剤は、周方向ミシン目59にかからないように、そこで一部途切れて、下側領域56aと上側領域56bとに分断されている。
このラベル周端部領域56の粘着剤ならびに前述のラベル周端部領域57の周縁がラベル基材3の周縁から僅かなクリアランスをもって位置するのが望ましいことは、前述のとおりである。
副片ラベル53の裏面には副片側粘着剤60が塗工され、この副片側粘着剤60は、副片ラベル53を区画するミシン目(各切込み54も含んでいる)に重ならないように、それより内側に位置している帯状領域に形成されている。ミシン目近傍帯状領域58、ラベル周端部領域56、および57の粘着剤が本体ラベル52の粘着剤であるが、これと副片側粘着剤60とは同一の粘着剤をパターン塗工することができる。その場合、副片側粘着剤60が容器から剥離されて再貼着される前提であるため、その剥離可能な範囲で粘着力が調整されることとなる。
このようなラベル1Nは、例えば図40に示すような注射器のシリンジ等の薬液収容部(広義には包装容器2(2D)の一種といえる)の胴部2mと注射針が取り付けられる口部2nとに跨って巻きつけられ、加熱による熱収縮によりラベル1Nの胴部領域50が胴部2mに、口部領域51が口部2nに、それぞれ密着させられ、特に口部領域51は口部2nに対し所定の隙間を隔てて筒状に分かれた後、熱収縮によりその口部2nに密着させられることとなる。
そして、図22における糊部のミシン目近傍帯状領域58、ラベル周端部領域56および57は、その胴部2mに貼着され、粘着剤のラベル周端部領域56の口部領域51の粘着剤56bは口部2nに収縮状態で貼着されることとなる。ただし、粘着剤56bの領域を省略してラベル1Nの口部部分51が熱収縮のみで図40の口部2nにほぼ密着するようにしてもよい。
図40の例において、口部2nは注射針が接続される部分であるが、その接続前にはこの口部2nがそこに嵌め込まれた(図示しない)所定のプラグで閉止されているのが普通であり、ラベル1Nの口部領域51はそのプラグを封印するように巻きつけられるのが普通である。そして、そのプラグに相当する部分をねじることで、図22における周方向ミシン目59が破断され、その部分を除去してプラグを露出させ、そのプラグを取り除いた後、その口部2nに注射針を接続できる。また、この包装容器(シリンジ)2Dの胴部2mに巻きつけられたラベル1Nの胴部領域50において、その副片ラベル53の切込み54近傍を手で引き剥がすようにすれば、ラベル1Nの副片ラベル53が本体ラベル52からそのミシン目55において分離されつつ、シリンジ2Dの胴部2mの外周面から剥離され、この副片ラベル53を別の対象物に再貼着することができる。
なお、図22に一例を示した熱収縮型のシュリンクラベルであって、かつ副片ラベルを備えたラベルは、図40に示したようなシリンジに装着する以外に例えば図24に示した点眼容器等の包装容器2A等にも適用することができる。
なお、図1、図10〜18に示したラベル1A〜1Jにおいて粘着剤のミシン目近傍帯状領域14は周方向ミシン目5に沿い、かつそれと一切重なることなく形成されていたが、これを図23に示すようにそのミシン目近傍帯状領域14の一部(14aや14b)が周方向ミシン目5と部分的に重なるようにパターン塗工されてもよい。このようなラベル1Pの例えばキャップ領域11は、胴部領域10においてミシン目5において分断され除去されることとなるが、周方向ミシン目5と部分的に重なり、そのミシン目5に跨るように形成されている部分14aや14bが存在することで、ラベル1Pのキャップ領域11のキャップ表面に対する密着性が向上するとともに、粘着剤は部分的にしかキャップ表面についていないので、その分離も容易となる。
なお、以上説明したような各種の形態は本発明の実施例に過ぎず、ラベルの形態やホットメルトの塗工パターンは貼り付け対象となる包装容器の形態やラベルに付与すべき機能等に基づいて、種々の変形が可能である。
また、以上説明したようなラベルは、好適には図41に示すような工程を経て製造することができる。図41の例では、例えば透明のプラスチックフィルムがロール状に巻かれたラベルフィルムロール70が用意され、このロール70から引き出されたプラスチックフィルム69の表面に対し、所定の印刷、例えば商品の名称、効用、用途、製造者、販売者、製造時期、ロット番号、消費期限、その他適宜の事項が例えば印刷胴71により印刷される。その印刷後のプラスチックフィルム69の裏面に対しホットメルト粘着剤がパターン塗工される。好適には、ホットメルトのプラスチックフィルム69の転写パターンが、表面に凸版上に形成された転写ロール72が用いられ、この転写ロール72の表面にホットメルト75が付着させられ、その転写ロール72に付着したホットメルト75がプラスチックフィムル69の裏面に転写される。この際、押えロール73でプラスチックフィルム69を挟み込むことで、転写ロール72の転写図が押えロール73で受けられる。ホットメルト75がプラスチックフィルム69に転写された後、その下流で剥離紙6がプラスチックフィルム69のホットメルト75に転写されるために張り合わされる。そのプラスチックフィルム69と剥離紙6が張り合わされたシートがラベルの形態に打ち抜かれる。これは、打ち抜きダイ76(カッター)により、剥離紙6は打ち抜かず、剥離紙6上のプラスチックフィルム69のみを打ち抜くハーフカットが行われる。そして、ラベル形状に打ち抜かれた以外のプラスチックフィルム69の周辺部分(これは打ち抜きカス78となる)を除去すれば、剥離紙6とその剥離紙6に保持されたラベルを含むものが巻き取られてラベルロール12とされる。ここで、印刷はプラスチックフィルム69に対し多数のラベルが所定の間隔で施され、ホットメルトのパターン塗工もそれら多数の印刷された部分のラベル表面裏面に対して行われ、さらに打ち抜きはその多数のラベル対象部分を順次打ち抜き、ラベルロール12は帯状の剥離紙6に所定の間隔で多数のラベル(完成後)が、保持されたものとなる。
図42は、転写ロール72の一例を示すもので、その少なくとも外周部はゴム、軟質樹脂等の一定の弾性のある層で形成され、例えば転写ロール72の芯材86の外周にウレタン樹脂又はゴム、あるいはシリコン樹脂又はゴム等の好ましくは弾性層87が巻きつけられ、その弾性層87の表面にラベルにパターン塗工すべき転写領域が掘り出され、多数転写する場合、複数の転写部84が凸状に形成されることとなる。例えばその転写部の114がラベルにおけるミシン目近傍帯状領域、115および116がラベル周端部領域となる。図43は、転写部84が凸状に盛り上がっていることを示している。
このような転写ロール72をその回転軸88の周りに回転させることにより、そのロール外周面の転写部84に付着したホットメルトがラベル裏面にいわばスタンプのように転写されることとなる。
図44はホットメルト粘着剤のパターン塗工の際に、転写ロールを使用しない例であって、ホットメルトタンク80からホットメルトを噴射させるノズルを有する例えばT型噴射ダイ81へ導き、このT型ダイ81等の噴射ノズルからホットメルトを前述のような所定のパターンでラベル裏面等に噴射して塗工する。つまり、図42の転写部84の塗工パターンをホットメルトの噴射ノズルから噴射させることにより、ラベル裏面に付着させることとなる。ホットメルト塗工の前後の工程は、図41と同様であるため詳しい説明は省略する。
図41では、印刷胴71が1個だけ示されているが、2色刷以上の場合は2個以上の印刷胴71がフィルム69の走行方向に順次配置され、1個の印刷胴で1色、例えば3個あれば3色刷の印刷ができる。この点、図44のものでも同様である。そして、2色以上のいわゆる多色刷印刷の場合、例えば図45に示すように印刷位置基準マーク(いわゆるトンボ)90が最初の第1色の印刷で本来の印刷とともにフィルム69に印刷され、次の2色目の印刷でも第1色のトンボ90に2色目のトンボ90が重なるようにして、多色刷の位置がずれないようにされる。通常4箇所のトンボ90の内側に印刷区画が形成され、さらにその内側にラベル1の外縁となる切断予定線が設定される。多色刷のトンボ90の重なり位置が合っているかどうかは画像センサ91によって検出され、各トンボ90の位置が一致するように印刷胴71を駆動するモータ93の駆動が制御される。この印刷胴71を駆動するモータ93の回転角はロータリーエンコーダ98等の回転検出手段により検出され、これらモータ93、ロータリーエンコーダ98及び画像センサ91は制御部92に接続される。
また、フィルム69には本来の印刷に合わせて印刷位置を特定する印刷位置特定マーク95が本来の印刷に合わせて印刷されている。例えば、3色刷印刷の場合は第1から第3の印刷のいずれかの工程時に、この印刷位置特定マーク95も印刷される。この印刷位置特定マーク95は前述のトンボ90の例えば外側近傍に配置され、印刷済みの印刷区画が、フィルム69の長手方向においてどの位置にあるかを特定するマークとなる。一方、走行するフィルム69とともに移動する印刷位置特定マーク95を検出するマークセンサ96が、フィルム69の走行ラインに対応して位置固定して設けられ、これが制御部92に接続される。印刷位置特定マーク95は、例えば図7で示したように、容器2の外周にラベル1を巻き付ける際、容器2の回転位相とラベル1の相対的な貼着位置とを調整する目印とすることができ、例えばそのマーク95の通過タイミングを検出することにより、ラベル1の走行速度を増減制御し、容器2の外周の最適位置にラベル1を貼着することができる。
また、図45に戻って前述のホットメルトの転写ロール72は、モータ94により駆動され、そのモータ94の回転角はロータリーエンコーダ99によって検出され、これらモータ94及びロータリーエンコーダ99が制御部92に接続される。このようなシステムにおいて、フィルム69に対する既印刷部分と、ホットメルトの転写ロール72によってホットメルトが転写されるパターン領域とが最適に位置決めされる必要がある。言い換えればフィルム69の既印刷領域の予め設定された領域に対し、正確にホットメルトのパターン塗工ができるようにモータ94ひいては転写ロール72を制御することとなる。
その際、図46に示すように既印刷領域のフィルム69上の位置が前述の印刷位置特定マーク95と対応付けられているため、走行するフィルム69上のマーク95をセンサ96が検知し、この信号が制御部92に送られ、制御部92ではそのマーク95の通過タイミングで既印刷領域に正しく転写ロール72によるホットメルトの転写ができるかを演算し、その演算結果に基づいて転写ロール72を駆動するモータ94(例えばサーボモータ)を加減速する。そのような加減速により、既印刷領域とそこに転写されるホットメルトパターンとの位置合わせがなされることとなり、転写ロール72のモータ94が加減速される際には転写ロール72とフィルム69との間に相対的な滑りが生じ、フィルム69と転写ロール72の位置ずれを解消するように、相対的な位置関係が調整されることとなる。
そして、図46の右側上段に示すようにホットメルトが所定のパターンで既印刷領域に転写され、さらにその下流(図46の右側中段)のように切断予定線でフィルム69のみがラベルの輪郭に合わせて切断されるとともにミシン目5が形成され、この際剥離紙6には切断が及ばないいわゆるハーフカットとなる。さらに下流においてカス除去、例えば図41の工程(5)に対応する処理が行なわれると、図46の右側下段に示すように、ラベル1の既印刷領域にホットメルトが転写されて粘着剤4の薄い層が形成されるとともに、ミシン目5も備えたラベル1が剥離紙6上に保持されることとなる。なお、図45,図46では説明を簡単にするためにフィルム69の幅方向(図において上下方向)にラベルとなる印刷区画が1個のみ形成された1個取りの場合を示すが、実際は2個以上の多数個取りの配置となってフィルム69の幅方向に多列に既印刷領域ひいてはラベル1が形成される場合が多い。
また、図41、図44では印刷とホットメルトのパターン塗工を1つのライン(インライン)で行なう例を示したが、これを図47あるいは図48に示すように印刷とホットメルトのパターン塗工とをそれぞれ別のライン(オフライン)で行なうこともできる。図47では印刷(P1)を行い、その印刷後のフィルム69を巻取り(P2)印刷済みロール97とする。次に、別工程でロール97から印刷済みのフィルム69を走行させつつホットメルトの転写ロール72で上述のような転写をし(H1)、その後H2〜H5の工程を経てラベルロール12が得られる。
図48では同様に印刷(P1)の工程とその後の巻取りの工程(P2)により印刷済みフィルムロール97が得られ、別工程でこのロール97から印刷済みのフィルム69を引き出しつつホットメルト噴射(H1’)が行なわれ、その後H2〜H5の工程を経てラベルロール12が得られる。
なお、図45及び図46に示したように、印刷位置特定マーク95の通過タイミングをセンサ96で検出し、それに基づいてホットメルトの転写ロール72のモータ94を駆動制御することによって、既印刷領域と転写ロール72の回転位相を調節することができる。また、そのマーク95の通過タイミングをセンサ96で検出することにより、図48の場合には、ホットメルトの噴射タイミングを制御することによって、フィルム69上の既印刷領域に対し、予め定められた位置及びパターンでホットメルト粘着剤のパターン塗工を行なうことができる。
さらに、以上の説明ではホットメルト粘着剤を使用したが、必ずしもホットメルト粘着剤に限定されるものではなく、ホットメルト以外の粘着剤(例えばホットメルトと同等かそれより低分子の粘着剤)を例えば図41、47の転写ロール72や、図44、48の噴出ノズル81等によって、フィルム69(ラベル)にパターン塗工してもよい。