JP2010165507A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】リン酸鉄リチウムを含む正極板を備える非水電解質二次電池の寿命性能性能を向上させる。
【解決手段】本発明の非水電解質二次電池1は正極板3と、負極板4と、非水電解質とを、電池ケース6に収容してなる。本発明は正極板3にはリン酸鉄リチウムが含まれ、かつ、電池ケース6内に、ゼオライトが収容されていることを特徴とする。本発明において、ゼオライトは、リン酸鉄リチウム100質量部に対して1質量部以上5質量部以下の割合で電池ケース6内に収容されていることが好ましい。また、本発明において、リン酸鉄リチウムの比表面積は5m/g以上13m/g以下であるのが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、非水電解質二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池は、高電圧・高エネルギー密度を有するため、例えば、携帯電話、ノート型パソコン等の電源などとして広く用いられている。
このような非水電解質二次電池(以下、単に「電池」ともいう)の正極活物質としては、LiCoO、LiMn、LiFePO、LiNiPO、LiMnPOなどが用いられている。これらの正極活物質を用いた電池のうち、安全性が高いという観点から、LiFePOやLiMnPO等のリン酸塩系正極活物質を用いた電池が、近年、注目されている(例えば特許文献1を参照)。
特開2007−109533公報
しかしながら、LiFePO、LiNiPO、LiMnPOは、LiCoOやLiMnなどと比較して電気伝導度が低いため、LiFePO、LiNiPO、またはLiMnPOを特に何の工夫もせずに用いた電池では、他の正極活物質を用いた電池よりも、高率放電特性などの電池性能が劣るという問題があった。
この問題を解決するために、正極活物質としてLiFePO、LiNiPO、またはLiMnPOを用いた電池を作製する際には、これらの正極活物質を粉砕する等により比表面積を大きくする方法が採られている。
しかしながら、比表面積を大きくした正極活物質を用いると、電池製造工程の途中で水を吸収しやすくなり、電池内部に水が持ち込まれやすくなる。
比表面積を大きくしたLiFePOなどが水を吸収すると、電解液に溶出しやすくなり、電解液に溶出したFeやMnなどが負極に析出するため、出力抵抗が大幅に増加したり、放電容量が大幅に低下して寿命性能が低下するという問題があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、リン酸鉄リチウムを含む正極板を備える非水電解質二次電池において寿命性能を向上させることを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、リン酸鉄リチウムを含む正極板を備える非水電解質二次電池において、ゼオライトを正極板や負極板などとともに電池ケース内に収容することにより、顕著に寿命性能を向上させることができることを見出した。
すなわち、本発明は、正極板と、負極板と、非水電解質とを、電池ケースに収容してなる非水電解質二次電池であって、前記正極板にはリン酸鉄リチウムが含まれ、かつ、前記電池ケース内にゼオライトが収容されていることを特徴とする非水電解質二次電池である。
上述したようにリン酸鉄リチウムは他の正極活物質と比較して電気伝導度が低いという欠点を有するため、粉砕などにより比表面積を大きくしてから用いられる。従って、リン酸鉄リチウムが含まれる正極板を備える本発明の電池では、電池内部に水が持ち込まれやすくなっている。しかしながら、本発明によれば、電池ケースに収容されたゼオライトが、電池内部に持ち込まれた水を吸収するから、リン酸鉄リチウムを含む正極板を備えるにもかかわらず、寿命性能を向上することができるのである。
本発明において、ゼオライトが正極板に含まれる構成とすると、ゼオライトがリン酸鉄リチウムのすぐ近くに配されて、リン酸鉄リチウムに含まれる水をより早く吸収するので好ましい。また、このような構成とすると、ゼオライトを含む部材を別途作製して収容する必要がないので好ましい。
また、本発明においては、ゼオライトが、リン酸鉄リチウム100質量部に対して1質量部以上5質量部以下の割合で電池ケース内に収容されている構成とすると、顕著に電池性能を向上させることができるので、好ましい。
さらに本発明において、リン酸鉄リチウムの比表面積は5m/g以上13m/g以下である構成とすると、顕著に電池性能を向上させることができるので好ましい。
本発明によれば、リン酸鉄リチウムを含む正極板を備える非水電解質二次電池の寿命性能を向上させることができる。
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1によって説明する。
図1は、本発明の一実施形態である角形の非水電解質二次電池1の概略断面図である。この非水電解質二次電池1(以下、単に「電池」ともいう)は、アルミニウム箔からなる正極集電体に正極合剤を塗布してなる正極板3(正極)と、銅箔からなる負極集電体に負極合剤を塗布してなる負極板4(負極)とがセパレータ5を介して渦巻状に巻回された発電要素2と、非水電解質とを電池ケース6に収納してなる。
電池ケース6には、安全弁8を設けた電池蓋7がレーザー溶接によって取り付けられ、負極板4は負極リード11を介して電池ケース6の上部にある負極端子9と接続され、正極板3は正極リード10を介して電池蓋7と接続されている。
本発明においては、正極板3にリン酸鉄リチウムが含まれ、かつ、電池ケース6内に、ゼオライトが収容されていることを特徴とする。まず、ゼオライトについて説明する。
ゼオライトは、例えば、(A)ゼオライトを含む正極板3を作製し、当該正極板3を電池ケース6内に収容する方法、(B)そのままの状態(粉末状のまま)で電池ケース6内に収容する方法、(C)電解液の注液の際に、電解液とともに注液する方法、(D)ゼオライトをシート状に加工したものを発電要素2とともに電池ケース6に収容する方法、および、(A)〜(D)から選ばれる2種以上の方法を組み合わせた方法により電池ケース6に収容される。
上述したように、本発明では正極板3にリン酸鉄リチウムが含まれるので、(A)の方法によりゼオライトを電池ケース6に収容すると、ゼオライトがリン酸鉄リチウムのすぐ近くに配されて、リン酸鉄リチウムに含まれる水を効率よく吸収することができる。また、(A)の方法によれば、ゼオライトを含む部材を別途作製して収容する必要がないので、好ましい。
電池ケース6内に収容されるゼオライトの量は、リン酸鉄リチウム100質量部に対して1質量部以上5質量部以下であると、電池性能向上効果が顕著に発揮されるので、好ましい。リン酸鉄リチウム100質量部に対するゼオライトの量が1質量部未満であると、リン酸鉄リチウムに含まれる水を十分に吸収できず、電池性能を十分に向上できない場合がある。リン酸鉄リチウム100質量部に対して5質量部を超える量のゼオライトを上記(A)の方法により収容する場合には、正極活物質の量が相対的に少なくなってしまい、十分な電池性能向上効果が得られないことがある。
ゼオライトとしては、LTA型およびFAU型から選ばれる一種以上の構造を有するアルミノシリケート系ゼオライトを用いることができる。LTA型の構造を有するゼオライトのうち、3A(K−A)型、4A(Na−A)型、5(Ca−A)型のものが好ましく、FAU型の構造を有するゼオライトのうち、X(Na−X)型もしくはY(Na−Y)型のものが好ましい。また、本発明では、細孔径が0.3nm以上0.8nm以下のゼオライトが好ましい。
次に、リン酸鉄リチウムを含む正極板3について説明する。
正極板3は、アルミニウムなどの金属により形成された正極集電体の両面に、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質を含有する正極合剤層を備えている。正極集電体のうち正極合剤層の形成されていない部分には正極リード10が溶着されている。
本発明では、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質として、LiFePO、LiFe(POなどのリン酸鉄リチウムを用いる。また、本発明では、リン酸鉄リチウムとともに、リン酸鉄リチウムに含まれるFeの一部を他の金属(Ni、Co、Mn、Alなど)で置換したものを含む正極活物質や、リン酸鉄リチウムと、LiCoO及びLiNiOなどから選ばれる一種以上の化合物とを混合した正極活物質を用いてもよい。なお、リン酸鉄リチウムをカーボンや非晶質炭素で被覆したものを正極活物質として用いてもよい。
本発明においては、リン酸鉄リチウムとして、比表面積が5m/g以上13m/g以下のものを用いるのが、顕著に電池性能を向上させることができるので好ましい。
本発明において正極板3は、例えば、正極活物質、導電剤、および結着剤などを混合して正極合剤を調製し、当該正極合剤を正極集電体の両面に塗布したのち、乾燥・成型することにより作製することができる。なお、ゼオライトを含む正極板3を作製する場合[上述の(A)の方法を採る場合]、ゼオライトと、正極活物質などの正極合剤の材料とを混合して正極合剤を調製し、当該正極合剤を用いて正極板3を作製する。
正極活物質とともに用いられる導電剤としては、無機化合物、有機化合物を用いることができる。無機化合物としては、カーボンブラック、グラファイトなどを用いることができ、有機化合物としては、例えばポリアニリン等の導電性ポリマーなどを用いることができる。
正極活物質とともに用いられる結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、ポリアクリロニトリルなどを単独で、あるいは混合して用いることができる。
次に、負極板4について説明する。負極板4は、銅などの金属により形成された負極集電体の両面に、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質を含有する負極合剤層を備えている。負極集電体のうち負極合剤層の形成されていない部分には、負極リード11が超音波溶着により溶着されている。
負極合剤層に含有される負極活物質としては、グラファイト、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)等の炭素質材料、Al、Si、Pb、Sn、Zn、Cd等とリチウムとの合金系化合物、金属Li、一般式M5Oz(ただし、M5は、W、Mo、Si、Cu、Snから選ばれる少なくとも一種の元素、0≦z≦2)で表される金属酸化物、またはこれらの混合物を用いることができる。負極活物質には正極活物質と同様に、ポリフッ化ビニリデンなどの結着剤などを添加することができる。
セパレータ5としては、織布、不織布、合成樹脂微多孔膜などを用いることができ、合成樹脂微多孔膜を好適に用いることができる。合成樹脂微多孔膜のうち、特に、ポリエチレン製微多孔膜、ポリプロピレン製の微多孔膜、アラミドなどを加工した耐熱性樹脂、またはこれらを複合した微多孔膜等のポリオレフィン系微多孔膜が特に好適に用いられる。
非水電解質は非水溶媒に電解質塩を溶解してなる。
電解質塩としては、LiPF、LiClO、LiBF、LiAsF、LiCFCO、LiCF(CF、LiCF(C、LiCFSO、LiN(SOCF、LiN(SOCFCF、LiN(COCF、LiN(COCFCF、LiPF(CFCF等の塩を単独でまたは二種以上混合して使用することができる。
電解質塩を溶解する非水溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ビニレンカーボネート、スルホラン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、メチルアセテートなどの極性溶媒を単独でまたは二種以上混合して使用することができる。
<実施例>
以下、本発明の実施例および比較例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
(検討1)正極活物質についての検討
正極活物質としては、LiFePO、LiCoPO、またはLiMnを用いて、図1に示す形態の電池を、以下の方法により作製し、その電池性能を比較した。本検討においては、吸水剤を用いない電池について比較検討を行った。
(1)電池の作製
(a)正極板の作製
正極活物質88質量%と、導電剤のアセチレンブラック4質量%と、結着剤のポリフッ化ビニリデン(PVdF)8質量%とを混合した混合物に、N−メチルピロリドン(NMP)を加えてペースト状の正極合剤(正極合剤ペースト)を調製した。この正極合剤ペーストを、厚さが20μmの帯状アルミニウム集電体の両面に塗布し、乾燥後、ロールプレスにより圧縮成型して帯状の正極板3を作製した。正極板3の正極合剤層未塗布部には正極リード10を備え付けた。
得られた正極板の大きさは、長さ682mm、幅30mm、正極合剤層未塗布部の幅72mmであった。
表1には、用いた正極活物質の種類とともに、正極活物質の比表面積(m/g)を示した。
(b)負極板の作製
負極活物質として黒鉛を用いて以下の方法により負極板を作製した。黒鉛92質量%と、結着剤のPVdF8質量%とを混合したものに、NMPを加えてペースト状の負極合剤(負極合剤ペースト)を調製した。この負極合剤ペーストを、厚さが10μmの帯状の銅集電体の両面に塗布し、乾燥後、ロールプレスにより圧縮成型して帯状の負極板4を作製した。負極板4の負極合剤層未塗布部には負極リード11を備え付けた。
得られた負極板4の負極合剤層の大きさは、長さ632mm、幅31mm、負極合剤層未塗布部の幅17mmであった。
(c)電池の作製
セパレータとしては、幅34mm、厚さ25μmの微多孔性ポリエチレンフィルムを用いた。
非水電解質としては、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを、体積比1:1で混合した混合溶媒に、調製後の濃度が1mol/LとなるようにLiPFを溶解したものを用いた。
巻芯の周囲に(a)で作製した正極板と(b)で作製した負極板とをセパレータを介して長円筒型に巻きつけることにより巻回型発電要素を作製した。この巻回型発電要素と非水電解質をアルミニウム製電池ケースに収容することにより、比較例1〜6の電池を作製した。
(2)評価試験
(a)初期放電容量確認試験
比較例1〜6の各電池を用いて、以下の方法により初期放電容量確認試験を行った。
各電池を、25℃において、600mA定電流で充電終止電圧まで充電し、さらにその充電終止電圧の定電圧で合計3時間充電した後、600mA定電流で放電終止電圧までの放電を行うことにより初期放電容量(サイクル試験前の放電容量)を測定した。なお、正極活物質として、LiFePOを用いた電池の充電終止電圧および放電終止電圧は、それぞれ3.6Vおよび2.0Vとした。また、正極活物質として、LiCoPOまたはLiMnを用いた電池の充電終止電圧および放電終止電圧は、それぞれ4.2Vおよび3.0Vとした。
(b)出力抵抗測定試験
(a)の初期放電容量確認試験後の各電池を、125mAの定電流で、容量確認試験時に測定された充電電気量の50%まで充電することにより電池のSOCを50%に設定し、60mAで10秒間放電したときの電圧(E1)、300mAで10秒間放電したときの電圧(E2)をそれぞれ測定した。
ここで、「SOC50%」とは、電池の容量に対して充電電気量が50%であることを表す。
上記の測定値を用いて、サイクル試験前の直流抵抗値(R1)を以下の式により算出した。
R1=(E1−E2)/放電電流(I)
(c)45℃充放電サイクル寿命試験
(a)および(b)の各試験を経た各電池について、45℃での充放電サイクル寿命試験を以下の方法により行った。45℃の恒温槽において、各電池を、600mA定電流で充電終止電圧まで充電し、さらにその充電終止電圧の定電圧で合計3時間充電した後、600mA定電流で放電終止電圧までの放電を行い、これを1サイクルとして、500サイクル繰返した。次に、各電池を25℃で5時間冷却した。なお、正極活物質として、LiFePOを用いた電池の充電終止電圧および放電終止電圧は、それぞれ3.6Vおよび2.0Vとした。また、正極活物質として、LiCoPOまたはLiMnを用いた電池の充電終止電圧および放電終止電圧は、それぞれ4.2Vおよび3.0Vとした。
(d)容量保持率の算出
冷却後の各電池について、上記(a)初期放電容量確認試験と同様の方法により、25℃での放電容量確認試験を行いサイクル試験後の放電容量を測定した。
初期放電容量(サイクル試験前の放電容量)に対する、サイクル試験後の放電容量の比(%)を算出して容量保持率(%)とした。容量保持率の数値が大きいほうが、寿命性能が優れているといえる。
(e)出力抵抗増加率の算出
サイクル試験後の放電容量を測定した各電池について、上記(b)出力抵抗測定試験と同様の方法で出力抵抗測定試験を行い、サイクル試験後の直流抵抗値(R2)を算出した。
サイクル試験前の直流抵抗値(R1)と、サイクル試験後の直流抵抗値(R2)とを用いて出力抵抗増加率(%)を以下の式より算出した。
出力抵抗増加率(%)=100×(R2−R1)/R1
出力抵抗増加率の数値が小さいほうが寿命性能が優れているといえる。表1には、上記試験結果とともに各電池の正極活物質の種類とその比表面積を示した。表中、出力抵抗とは直流抵抗値のことを意味する。
Figure 2010165507
表1から明らかなように、正極活物質としてLiFePOを使用した電池(比較例1および比較例2)では、正極活物質としてLiCoPOまたはLiMnを使用した電池(比較例3〜6)よりも、容量保持率が小さく、出力抵抗増加率が大きかった。
すなわち、上記結果から、正極活物質としてLiFePOを使用した電池では、正極活物質としてLiCoPOまたはLiMnを使用した電池よりも寿命性能が劣るということがわかった。
(検討2)吸水剤の種類についての検討
正極活物質としてLiFePOを用いるとともに、種々の吸水剤を用いた電池を作製して電池性能の比較を行った。
(1)電池の作製
(a)正極板の作製
表2に記載の比表面積値を有するLiFePOを88質量%と、導電剤のアセチレンブラック4質量%と、結着剤のポリフッ化ビニリデン(PVdF)8質量%と、LiFePO100質量部に対して1質量部の吸水剤と、を混合したものに、N−メチルピロリドン(NMP)を加えてペースト状とした正極合剤ペーストを用いたこと以外は、検討1の(1)(a)と同様にして正極板を作製した。
得られた正極板の大きさは、長さ682mm、幅30mm、正極合剤層未塗布部の幅72mmであった。
表2には、正極活物質の比表面積(m/g)とともに、正極板の作製に用いた吸水剤の種類を示した。
実施例1および実施例2においては、吸水剤として、細孔径が4Åで平均粒径2〜4μmのA型ゼオライト(LTA型)を用いた。
比較例7および比較例8においては、吸水剤として、活性アルミナ(住友化学工業製、商品名「NKHD−24HD」、比表面積:100m/g以上)を用いた。
(b)負極板の作製
検討1の(1)(b)と同様にして、長さ632mm、幅31mm、負極合剤層未塗布部の幅17mm、の帯状の負極板を作製した。
(c)電池の作製
セパレータ、非水電解質としては、検討1の(1)(c)に記載のものと同様のものを用いて、比較例1〜6の電池と同様にして、実施例1〜2の電池および比較例7〜8の電池を作製した。
(2)評価試験
検討1の(2)の評価試験と同様にして、実施例1〜2の電池、比較例7〜8の電池の性能を評価する評価試験を行い、結果を表2に示した。表2には比較例1〜2の電池の評価試験の結果を併せて示した。比較例1〜2の電池では吸水剤を用いていないので、表2の吸水剤の欄に「−」と示した。
Figure 2010165507
表2から明らかなように、ゼオライトを用いた電池(実施例1および実施例2)では、吸水剤を用いていない電池(比較例1および比較例2)や活性アルミナを用いた電池(比較例7および比較例8)よりも、顕著に容量保持率が大きく、かつ、出力抵抗増加率が小さいという結果が得られた。
なお、活性アルミナを用いた電池(比較例7および8)では、比較例1および2の電池よりも容量保持率が大きく、かつ、出力抵抗増加率が小さかったが、実施例1および実施例2の電池ほど、顕著ではなかった。
以上より、正極活物質としてLiFePOを使用し、かつ、ゼオライトを電池ケースに収容した本発明の電池では、顕著に寿命性能が向上するということがわかった。
(検討3)正極活物質の種類とゼオライトとの関係についての検討
正極活物質として、LiFePO、LiCoPO、またはLiMnを用いた正極板を備える電池について、ゼオライトの使用の有無が電池性能に与える影響について検討した。
正極活物質としてLiFePOを用いた正極板を備えるとともに、ゼオライトを用いた電池としては、検討2で作製した実施例1〜2の電池を用い、正極活物質としてLiFePOを用いた正極板を備えるが、ゼオライトを用いない電池については、検討2で作製した比較例1〜2の電池を用いた。
正極活物質としてLiCoPOを用いた正極板を備えるが、ゼオライトを用いない電池については、検討1で作製した比較例3〜4の電池を用い、正極活物質としてLiMnを用いた正極板を備えるが、ゼオライトを用いない電池については、検討1で作製した比較例5〜6の電池を用いた。
本検討においては、正極活物質としてLiCoPO、またはLiMnを用い、かつ、ゼオライトを用いた電池(比較例9〜12)を下記の方法により、作製して電池性能の評価をおこなった。
(1)電池の作製
(a)正極板の作製
表3に記載の正極活物質を88質量%と、導電剤のアセチレンブラック4質量%と、結着剤のポリフッ化ビニリデン(PVdF)8質量%と、正極活物質の量100質量部に対して1質量部のゼオライトと、を混合したものに、N−メチルピロリドン(NMP)を加えてペースト状とした正極合剤ペーストを用いたこと以外は、検討1の(1)(a)と同様にして正極板を作製した。
得られた正極板の大きさは、長さ682mm、幅30mm、正極合剤層未塗布部の幅72mmであった。
表3には、用いた正極活物質の種類とともに、その比表面積(m/g)を示した。
ゼオライトとしては、細孔径が4Åで平均粒径2〜4μmのA型ゼオライト(LTA型)を用いた。
(b)負極板の作製
検討1の(1)(b)と同様にして、長さ632mm、幅31mm、負極合剤層未塗布部の幅17mmの帯状の負極板を作製した。
(c)電池の作製
セパレータ、非水電解質としては、検討1の(1)(c)に記載のものと同様のものを用いて、比較例1〜6の電池と同様にして、比較例9〜12の電池を作製した。
(2)評価試験
検討1の(2)の評価試験と同様にして比較例9〜12の電池の性能を評価する評価試験を行い、結果を表3に示した。表3には実施例1〜2の電池、および比較例1〜6の電池の評価試験の結果を併せて示した。
Figure 2010165507
表3から明らかなように、同種の正極活物質(種類も比表面積も同じもの)を用いた電池同士を比較すると、ゼオライトを用いた電池のほうがゼオライトを用いない電池よりも容量保持率が大きく、かつ、出力抵抗増加率が小さかった。
特に、正極活物質としてLiFePOを用いた正極板を備える電池では、容量保持率が顕著に大きくなり、かつ、出力抵抗増加率が顕著に小さくなるという好ましい結果が得られた。
以上より、正極活物質としてLiFePOを用いた正極板を備える電池では他の正極活物質を用いた正極板を備える電池よりも、ゼオライト使用による寿命性能向上効果が顕著であるということがわかった。
(検討4)ゼオライト添加量の検討
正極活物質としてLiFePOを用いるとともに、ゼオライトの使用量を変えた電池を作製して電池性能の比較を行った。
(1)電池の作製
(a)正極板の作製
表4に記載の比表面積値を有するLiFePOを88質量%と、導電剤のアセチレンブラック4質量%と、結着剤のポリフッ化ビニリデン(PVdF)8質量%と、表4に記載の量のゼオライトと、を混合したものに、N−メチルピロリドン(NMP)を加えてペースト状とした正極合剤ペーストを用いたこと以外は、検討1の(1)(a)と同様にして正極板を作製した。
得られた正極板の大きさは、長さ682mm、幅30mm、正極合剤層未塗布部の幅72mmであった。
表4には、正極活物質の比表面積(m/g)とともに、LiFePO100質量部に対するゼオライトの使用量(以下、「ゼオライトの使用量(質量部)」ともいう)を示した。
正極活物質の比表面積が5m/gで、LiFePO100質量部に対して1質量部のゼオライトを使用した電池としては、評価2で作製した実施例1の電池を用いた。正極活物質の比表面積が13m/gで、LiFePO100質量部に対して1質量部のゼオライトを使用した電池としては、評価2で作製した実施例2の電池を用いた。
ゼオライトとしては、細孔径が4Åで平均粒径2〜4μmのA型ゼオライト(LTA型)を用いた。
(b)負極板の作製
検討1の(1)(b)と同様にして、長さ632mm、幅31mm、負極合剤層未塗布部の幅17mmの帯状の負極板を作製した。
(c)電池の作製
セパレータ、非水電解質としては、検討1の(1)(c)に記載のものと同様のものを用いて、比較例1〜6の電池と同様にして実施例3〜10の電池を作製した。
(2)評価試験
検討1の(2)の評価試験と同様にして実施例3〜10の電池の性能を評価する評価試験を行い、結果を表4に示した。表4には、比較のためにゼオライトの使用量が0質量部の電池(比較例1〜2の電池)、および、ゼオライトの使用量が1質量部の電池(実施例1〜2の電池)の評価試験の結果を併せて示した。
Figure 2010165507
表4から明らかなように、正極活物質の比表面積が5m/gの電池間では、ゼオライトの使用量が1質量部〜5質量部の電池(実施例1、実施例4、および実施例5)において、ゼオライトの使用量が0.5質量部以下の電池(比較例1および実施例3)やゼオライトの使用量が7質量部の電池(実施例6)よりも、容量保持率が顕著に大きくなり、かつ、出力抵抗増加率が顕著に小さくなるという好ましい結果が得られた。
正極活物質の比表面積が13m/gの電池(比較例2、実施例2、および実施例7〜10)間でも同様の結果が得られた。
以上より、正極活物質としてLiFePOを使用し、かつ、ゼオライトを電池ケースに収容した本発明の電池においては、LiFePO100質量部に対するゼオライトの使用量が1質量部以上5質量部以下とするのが好ましいということがわかった。
(検討5)正極活物質の比表面積の検討
正極活物質として種々の比表面積値を有するLiFePOを用い、LiFePO100質量部に対するゼオライトの使用量が1質量部または5質量部の電池を作製して電池性能の比較を行った。
(1)電池の作製
(a)正極板の作製
表5に記載の比表面積値を有するLiFePOを88質量%と、導電剤のアセチレンブラック4質量%と、結着剤のポリフッ化ビニリデン(PVdF)8質量%と、表5に記載の量のゼオライトと、を混合したものに、N−メチルピロリドン(NMP)を加えてペースト状とした正極合剤ペーストを用いたこと以外は、検討1の(1)(a)と同様にして正極板を作製した。
得られた正極板の大きさは、長さ682mm、幅30mm、正極合剤層未塗布部の幅72mmであった。
表5には、正極活物質の比表面積(m/g)とともに、LiFePO100質量部に対するゼオライトの使用量(以下、「ゼオライトの使用量(質量部)」ともいう)を示した。
正極活物質の比表面積が5m/gで、LiFePO100質量部に対して1質量部のゼオライトを使用した電池としては、評価2で作製した実施例1の電池を用いた。正極活物質の比表面積が13m/gで、LiFePO100質量部に対して1質量部のゼオライトを使用した電池としては、評価2で作製した実施例2の電池を用いた。
正極活物質の比表面積が5m/gで、LiFePO100質量部に対して5質量部のゼオライトを使用した電池としては、評価4で作製した実施例5の電池を用いた。正極活物質の比表面積が13m/gで、LiFePO100質量部に対して5質量部のゼオライトを使用した電池としては、評価2で作製した実施例9の電池を用いた。
ゼオライトとしては、細孔径が4Åで平均粒径2〜4μmのA型ゼオライト(LTA型)を用いた。
(b)負極板の作製
検討1の(1)(b)と同様にして、長さ632mm、幅31mm、負極合剤層未塗布部の幅17mmの帯状の負極板を作製した。
(c)電池の作製
セパレータ、非水電解質としては、検討1の(1)(c)に記載のものと同様のものを用いて、比較例1〜6の電池と同様にして、実施例11〜16の電池を作製した。
(2)評価試験
検討1の(2)の評価試験と同様にして実施例11〜16の電池の性能を評価する評価試験を行い、結果を表5に示した。
Figure 2010165507
表5から明らかなように、ゼオライトの使用量が1質量部の電池間では、正極活物質の比表面積が5m/g〜13m/gの電池(実施例1、実施例2、および実施例12)において、正極活物質の量が上記範囲外の電池(実施例11および実施例13)よりも、容量保持率が顕著に大きくなり、かつ、出力抵抗増加率が顕著に小さくなるという好ましい結果が得られた。
ゼオライトの使用量が5質量部の電池(実施例5、実施例9、実施例14〜16)間でも同様の結果が得られた。
以上より、正極活物質としてLiFePOを使用し、かつ、ゼオライトを電池ケースに収容した本発明の電池においては、LiFePO比表面積が5m/g以上13m/g以下とするのが好ましいということがわかった。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、角形の電池を示したが、電池の形状は例えば円筒型などであってもよい。
(2)上記実施例においては、ゼオライトを含む正極板を作製して当該正極板を電池ケース6内に収容したのを示したが、ゼオライトをそのままの状態(粉末状のまま)で電池ケース6内に収容してもよいし、ゼオライトを電解液の注液の際に、電解液とともに注液してもよいし、ゼオライトをシート状に加工したものを発電要素2とともに電池ケース6に収容してもよい。これらのいずれの場合であっても、ゼオライトの使用量は、リン酸鉄リチウム100質量部に対して1質量部以上5質量部以下であるのが好ましい。
(3)上記実施例においては、LTA型(A型)のゼオライトを使用したが、FAU型のものであってもよい。
(4)上記実施例においては、正極活物質としてLiFePOを単独で使用したものを示したが、正極活物質としてLiFePOと当該Feの部分をNiなどで置換した化合物との混合物などを使用してもよい。
実施形態1の電池の断面図
1…非水電解質二次電池
3…正極板
4…負極板
5…セパレータ
6…電池ケース

Claims (4)

  1. 正極板と、負極板と、非水電解質とを、電池ケースに収容してなる非水電解質二次電池であって、
    前記正極板にはリン酸鉄リチウムが含まれ、かつ、前記電池ケース内にゼオライトが収容されていることを特徴とする非水電解質二次電池。
  2. 前記ゼオライトが、正極板に含まれることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記ゼオライトは、リン酸鉄リチウム100質量部に対して1質量部以上5質量部以下の割合で前記電池ケース内に収容されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記リン酸鉄リチウムの比表面積が5m/g以上13m/g以下である請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池。
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