JP2013197052A - リチウムイオン蓄電デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】 製造プロセスを追加せずに簡便にプレドープを実施し、安全性に優れ、かつエネルギー密度及びサイクル特性が向上したリチウムイオン蓄電デバイス、その製造方法、及び再生方法を提供する。
【解決手段】 リチウム含有化合物を含む正極活物質を有する正極と、リチウムイオンを脱挿入可能な負極活物質、及び前記負極活物質の平均放電電位よりも高い放電電位に放電容量を有するリチウム添加剤を有する負極と、を含み、初回充電後の放電時に過放電させることにより得られることを特徴とするリチウムオン蓄電デバイスが得られた。更に、リチウムイオン蓄電デバイスの製造方法及びリチウムイオン蓄電デバイスの再生方法が得られた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、リチウムイオンプレドープ型蓄電デバイス、特にリチウムオンプレドープ型二次電池、その製造方法、及びその電極再生方法に関する。
リチウムイオン二次電池等の蓄電デバイスは、近年、電気機器等の電源として使用されており、さらに、電気自動車(EV、HEV等)の電源としても使用されつつある。そして、リチウムイオン二次電池等の蓄電デバイスは、その更なる特性向上、例えばエネルギー密度の向上(高容量化)、出力密度の向上(高出力化)やサイクル特性の向上(サイクル寿命の向上)、高い安全性等が望まれている。
現在では、特に高エネルギー密度及び高出力密度の実現可能なリチウムイオン二次電池やリチウムイオンキャパシタ等の蓄電デバイスとして、正極、負極、及びリチウムイオンプレドープ極(以下、リチウム極という)を持つ、リチウムイオンプレドープ型蓄電デバイスが開発されている。
例えば、特許文献1により、正極及び負極の集電体として貫通孔のある孔開き箔を使用する垂直プレドープ法を用いた有機電解質電池が提案されている。この有機電解質電池では、正極及び負極以外の第三極としてのリチウム極から、正極及び負極にリチウムイオンが供給されることにより電極での不可逆容量が補われて、エネルギー密度も向上する。更に、蓄電デバイスの電圧の増大が可能とされる。
更に、特許文献2には、炭素材料を含む負極活物質と、固体のリチウムイオン伝導体(リチウム窒化物)とを含有する負極を含む非水電解液二次電池が記載されている。引用文献2の非水電解液二次電池では、負極活物質に混合された固体リチウムイオン電導体からリチウムイオンが供給されることにより、容量劣化の原因である負極におけるリチウムイオン不足が解消される。
特許第4126157号 特開平7-302589号
しかしながら、特許文献1によると、負極活物質の放電容量の低下(不可逆容量の増大)を補うために、正負極以外の第三極としてのリチウム極が設けられる。従って、通常のリチウムイオン電池よりも製造工程が複雑になり、時間とコストが必要であった。
さらに、特許文献1の有機電解質電池では、リチウム極として金属リチウムが使用されるため、プレドープ後に金属リチウム微粉が残存するなどの安全性に問題あった。また、この有機電解質電池では、負極活物質にリチウムイオンの受け渡しに利用されない電位領域が発生するため、エネルギー密度が低下するという問題があった。
一方、特許文献2によると、リチウム窒化物等のリチウムイオン伝導体は0.5V近傍の電位にも放電容量を有しているため、負極に混合し、通常の充放電を実施するだけでは全てのリチウムソースを充放電容量として使用することが困難であった。
更に、従来技術には、所定回数の充放電サイクルを繰り返すことにより電池特性が劣化した場合、電極のポテンシャルを再生させることについての開示は見当たらない。
しかるに、本発明は、従来技術による上述の不具合を有することなく、製造プロセスを追加せずに簡便にプレドープを実施し、安全性を損なうことなく、エネルギー密度及びサイクル特性が向上したリチウムイオン蓄電デバイスおよびその製造方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、充放電サイクルを所定回数繰り返した後に劣化した電極について、安全性を損なうことなく、エネルギー密度及びサイクル特性を向上させて電極のポテンシャルを最大限に利用可能とするリチウムイオン二次電池の再生方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者等は、リチウム含有化合物を含む正極活物質を有する正極と、リチウムイオンを脱挿入可能な負極活物質、及び負極活物質の平均放電電位よりも高い放電電位を有するリチウム添加剤を有する負極と、を含み、初回充電後の所定の放電時に過放電させることにより得られることを特徴とするリチウムオン蓄電デバイスを見出した。
本発明のリチウムイオン蓄電デバイスは、正極活物質としてのリチウム含有化合物に由来するリチウムイオンが電極間で受け渡しされるのみならず、過放電により、充電状態の負極からリチウム添加剤に由来するリチウムイオンが放出されて、正極活物質の電位領域の全体にリチウムイオンが挿入される。従って、負極の初期不可逆容量が消去され、正極及び負極間の脱挿入に十分な量のリチウムイオンが確保される。これにより、大容量の充放電が可能となり、更にサイクル特性が向上する。
本発明のリチウムイオン蓄電デバイスにおいて、過放電は、初回放電時に行われると好ましい。
これにより、大容量の充放電が可能な状態のリチウムイオン蓄電デバイスが製造され、出荷可能とされる。すなわち、本発明のリチウムイオン蓄電デバイスは製造当初より優れた充放電容量及びエネルギー密度と、優れたサイクル特性とを有する。
更に、上述の初回放電時を行うか否かにかかわらず、リチウムイオン蓄電デバイスの過放電は、負極活物質の放電容量が初期放電容量に対して90%以下となった時点で行うことも好ましい。
これにより、放電容量の低下した負極活物質を再生させ、放電容量及びエネルギー密度を増大させることができる。
本発明で使用するリチウム添加剤の初回充放電効率は80%以下であると好ましい。
これにより、リチウム添加剤からのリチウムイオンの全体が正極活物質と負極活物質との間での脱挿入に有効に利用されることとなる。
更に、本発明のリチウムイオン蓄電デバイスでは、リチウム添加剤の放電容量が、前記負極活物質の不可逆容量以上であると好ましい。
これにより、負極活物質の初期不可逆容量がリチウム添加剤からのリチウムイオンにより消去され、リチウムイオン蓄電デバイスの放電効率が向上する。
また、本発明では、リチウム添加剤の放電容量が、正極活物質の不可逆容量と負極活物質の不可逆容量との合計以上であると好ましい。
これにより、負極活物質の初期不可逆容量と、正極活物質と負極活物質の経時的な劣化による不可逆容量との双方がリチウム添加剤からのリチウムイオンにより消去可能とされ、不可逆容量を実質的に有さないリチウムイオン蓄電デバイスが構成される。
具体的には、リチウム添加剤は、リチウムを含む窒化物又はリチウムを含む合金であると好ましい。
これらの材料を用いることにより、リチウム添加剤の初回充放電効率が容易に制御される。
本発明のリチウムイオン蓄電デバイスの製造方法では、リチウム含有化合物を含む正極活物質を有する正極と、リチウムイオンを脱挿入可能な負極活物質及びリチウム添加剤を有する負極と、を含むリチウムイオン蓄電デバイスを、初回充電した後の初回放電時に過放電させる。
これにより、大容量の充放電が可能な状態のリチウムイオン蓄電デバイスが製造され、この状態での出荷が行われる。
更に、本発明では、リチウム含有化合物を含む正極活物質を有する正極と、リチウムイオンを脱挿入可能な負極活物質及びリチウム添加剤を有する負極と、を含むリチウムイオン蓄電デバイスを、初回充電後の放電時に過放電させリチウムイオン蓄電デバイスの電極再生方法が得られる。
この場合、過放電が、負極活物質の放電容量が初期放電容量に対して90%以下となった時点で行われと、一旦劣化した電極が効率的に再生される。
本発明のリチウムイオン蓄電デバイスは、負極活物質の他にリチウム添加剤を含み、過放電を行うことにより、リチウム添加剤から放出されるリチウムイオンで正極及び負極がプレドープされ、正極及び負極活物質の不可逆容量が補填される。これにより、充放電容量及びエネルギー密度が大きく、かつサイクル特性に優れたリチウムイオン蓄電デバイス(リチウムイオン二次電池等)を提供できる。
同様に、本発明のリチウムイオン蓄電デバイスの製造方法および再生方法においても、リチウム添加剤からリチウムイオンが放出されて、正極及び負極活物質の不可逆容量が補填される。これにより、充放電容量及びサイクル特性共に優れたリチウムイオン蓄電デバイスを製造することができる。更に複数の充放電サイクルに付され、所定の容量劣化が生じた後のリチウムイオン蓄電デバイスを過放電することにより、蓄電デバイスを再生することができる。
特に、可逆性の小さいリチウム添加剤を用いることで、放電によりリチウム添加剤から放出されたリチウムイオンは、負極活物質にのみリチウムイオンが挿入されるため、負極のポテンシャルを余すことなく使用することができる。
本発明における負極の初期不可逆容量の消去についてのメカニズムを説明するための図である。 本発明において、複数の充放電サイクルを行った後の、正極及び負極の不可逆容量の消去についてのメカニズムを説明するための図である。 本発明の蓄電デバイス(リチウムイオン二次電池)の実施形態の一例を示す概略断面図である。 本発明の蓄電デバイス(リチウムイオン二次電池)の実施形態の別の一例を示す概略断面図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明のリチウムオン蓄電デバイスは、正極及び負極を含み、正極がリチウム含有化合物を含む正極活物質を、負極がリチウムイオンを脱挿入可能な負極活物質と、負極活物質の平均放電電位よりも高い放電電位に放電容量を有するリチウム添加剤(以下、単にリチウム添加剤ともいう)とを含有する、リチウムイオンプレドープ型の蓄電デバイスである。
使用する負極活物質によりその平均放電電位が異なるが、通常は0.1〜0.5Vの範囲となるように設計されている。更に具体的には、負極活物質として、グラファイト等の炭素系の材料を用いる場合には、平均放電電位は0.1〜0.3V、及びシリコン系の材料を用いる場合には、平均放電電位は0.2〜0.5Vとなる。
従って、負極活物質が炭素系の材料である場合には、0.1V以上の放電電位に放電容量を有するリチウム添加剤を、負極活物質がシリコン系の材料である場合には、0.5V以上の放電電位に放電容量を有するリチウム添加剤を用いることが好ましい。
一般に、リチウムイオン蓄電デバイスでは、正極活物質としてのリチウムイオン含有化合物からのリチウムイオンの受け渡しにより充放電が行われるため、正極と負極の容量が一致している場合に、充放電が最も効率的に行われる。いずれかの電極に存在するリチウムイオンが脱離しても、他方の電極に挿入されなければ、充放電が成立しないためである。
しかしながら、負極活物質として用いられるシリコンや炭素等の材料は、初期の段階から充電に関与できない容量(初期不可逆容量)を有する。
さらに、充放電を繰り返して行った後のリチウムイオン蓄電デバイスにおいても、リチウムイオンの脱挿入に関与できない正極及び負極の容量(不可逆容量)が徐々に増大し、容量劣化が生ずる。初期不可逆容量、及び繰り返し使用後の不可逆容量は、正極及び負極で充放電に係る電極反応以外の不可逆な副反応等が起こり、リチウムイオンが消費されてしまうために生ずるものと考えられる。
上述の副反応が生ずる割合は、正極と負極との間で異なるため、正極と負極の容量の差が生ずることになる。電池としての充放電効率は、正極と負極のうち、より小さな容量を有する電極容量により決定されるため、正極と負極の双方の容量をできる限り大きく保つことが必要である。
本発明のリチウムイオン蓄電デバイスでは、正極活物質としてのリチウム含有化合物に由来するリチウムイオンのみならず、過放電により、充電状態の負極からリチウム添加剤に由来するリチウムイオンが放出されて、正極活物質の電位領域の全体にリチウムイオンが挿入される。従って、正極及び負極の不可逆容量が消去され、大容量の充放電が可能とされる。
以下、図面を参照しつつ、本発明における、正極及び負極の不可逆容量の消去についてのメカニズムを説明する。
図1は、負極の初期不可逆容量の消去についてのメカニズムを説明するための図である。
図1(a)は、初回の充電を行う前、すなわちリチウムイオン蓄電デバイス用セルの組立当初(初期状態)におけるリチウムイオンの状態を示す図である。
図1(a)において、曲線Xは正極活物質の電位曲線、曲線Yは負極の電位曲線を模式的に示している。また、図中の曲線X上、斜線により、リチウムイオンが正極にドープ(挿入)されている状態を示している。
本発明では正極活物質としてリチウム含有化合物が用いられており、これにより初期状態では、全ての正極が全ての電位においてリチウムイオンによりドープされた状態を保っている。一方、負極活物質としてはリチウム源が存在しないため、負極は非ドープの状態である。
本発明では、負極に含まれるリチウム添加剤が負極活物質の平均放電電位よりも高い放電電位を有しているため、初期状態では負極の電位曲線Yの高電位側の領域Aにリチウム添加剤の電位曲線Zが存在することになる(図1(a))。この状態では、リチウム添加剤はリチウムイオンを含有しているため、領域Aはリチウムイオンによりドープされた状態として斜線により示されている。
図1(b)は、初期状態の蓄電デバイスに対して初回の充電により、リチウムイオンが正極から脱離し、負極に挿入された状態を模式的に示している。
リチウムイオンは各電極とも、高電位側から挿入されるため、充電によりリチウムイオンは領域Aに隣接する高電位側から順次に挿入される。しかしながら、負極では、充電に係る反応の他、例えば、負極活物質とリチウムイオンによる副反応等により消費されてしまうリチウムイオンが生じ、消費されたリチウムの容量に対応して本来の負極の容量も減少する。このように充放電に関与できない負極の容量を負極の不可逆容量という。このような初期充放電の段階で生ずるリチウムイオンの消費により充放電に関与できない容量を初期不可逆容量(図中Bで示す)という。
本発明では、図1(b)に示された充電状態の蓄電デバイスを過放電させることが必要である。本発明における過放電とは、負極活物質に対する放電終止電圧を超えた電圧を印加することを意味する。本発明における過放電は当業者に公知のいかなる方法により行うことも可能である。例えば、アスカ電子製充放電装置等の機器、又は外部短絡により行われる。
過放電を行うことにより、負極に挿入されているリチウムイオンのみならず、本発明のリチウムイオン添加剤からもリチウムイオンが放出され、正極に再度挿入される。
本発明で使用するリチウム添加剤が負極活物質の平均放電電位よりも高い放電電位を有しているため、過放電を行わないと、リチウムイオン添加剤からのリチウムイオン放出が十分には行われない。また、リチウム添加剤からほぼ全量のリチウムイオンを放出させるためには、過放電を連続的に複数回、一般に2〜30回、好ましくは5〜10回繰り返して行うことも可能である。
本発明では、過放電時の負極の電位は、Li/Li+を基準として0.5〜3.0V、好ましくは1.0〜2.0Vとされる。更に、過放電時の正極の電位は、Li/Li+を基準として、一般に2.0V以上、好ましくは0.2〜2.5Vとされる。
また、過放電に際して、正極及び負極の電圧は3.5〜0.5Vの範囲、好ましくは 3.5〜2.0Vとされる。
更に、過放電後のリチウムイオン蓄電デバイスにおけるリチウムイオンの状態を図1(c)に示す。
上述の過放電により、リチウムイオン添加剤からもリチウムイオンが放出されるため、これにより負極の初期不可逆容量分のリチウムイオンが補われ、正極は不可逆容量を有することなくリチウムイオンが挿入される。すなわち、実質的に100%、少なくとも95%の放電効率が得られる。
次いで、図1(c)に示された放電状態の蓄電デバイスを再度充電する。図1(d)は、一旦過放電を経過した後のリチウムイオン蓄電デバイスが再度充電された状態を示す模式図である。
過放電後の蓄電デバイスを再度充電することにより、リチウムイオンが正極から脱離し、負極活物質の全ての電位においてリチウムイオンが挿入される。
リチウムイオン添加剤は耐久性に乏しく、充電時には分解しているか又は他の化合物に転化しているため、リチウムイオン添加剤にリチウムイオンが再度挿入されることはない。
本発明で使用するリチウム添加剤の初回充放電効率は80%以下であると好ましい。すなわち、リチウム添加剤はリチウムを放出した後に再度リチウムを受け入れることができない、あるいは実質的に受け入れない不可逆性の材料であることが好ましい。
なお、リチウム放出後のリチウム添加剤は、電極材料との反応により無害な副生物を構成するか、分解されて気体となる(N等)。このような副生物及び分解物は蓄電デバイスに残存するが、電池性能には影響を与えるものではない。
リチウム添加剤の添加量は負極の総質量に対して5質量%〜80質量%、好ましくは5質量%〜20質量%であると好適である。
更にリチウム添加剤の分子量は8〜300、好ましくは24〜144の範囲にあるとよい。
これにより、リチウムイオン放出後のリチウム添加剤に由来する副生物及び分解物の蓄電デバイスにおける残存率が低下し、リチウム添加剤使用による副生物の充放電への影響が実質的に無視可能とされる。
本発明のリチウムイオン蓄電デバイスにおいて、過放電は、初回放電時に行われると好ましい。これにより、大容量の充放電が可能な状態のリチウムイオン蓄電デバイスを製造及び出荷することができ、使用開始より容量及び充放電性能の双方において優れた特性を享受することができる。
更に、上述の初回充電後の初回放電時を行うか否かにかかわらず、リチウムイオン蓄電デバイス又はリチウムイオン蓄電デバイス用セルの過放電は、負極活物質の放電容量が初期放電容量に対して90%以下となった時点で行うことも好ましい。
すなわち、リチウム添加剤を含むリチウムイオン蓄電デバイス用のセルを構成した後、初回の放電時に過放電を行い、更に複数回の充放電サイクルを行った後(例えば放電容量が初期放電容量に対して90%以下となった時点)に再度の過放電を行ってもよい。再度の過放電は、容量劣化が生ずる毎に行うことが可能である。
この他、通常の充放電(終止電圧内の充放電)を複数サイクル(例えば20サイクル)繰り返した後に初めて過放電して、本発明の蓄電デバイスを構成することも可能である。
これにより、放電容量の低下した負極活物質を再生させ、リチウムイオン二次電池の放電容量及びエネルギー密度を増大ないし回復させることができる。
更に、本発明のリチウムイオン蓄電デバイスでは、リチウム添加剤の放電容量が、前記負極活物質の不可逆容量以上であると好ましい。これにより、負極活物質の不可逆容量がリチウム添加剤からのリチウムイオンにより消去され、リチウムイオン蓄電デバイスの充放電効率が向上する。
図2は、複数の充放電サイクルを行った後の、正極及び負極の不可逆容量の消去についてのメカニズムを説明するための図である。尚、図2では、図1と同一の事項については共通の符号を用いることにより示し、その詳細な説明を省略する。
図2(a)は、図1(a)と同様に、本発明の蓄電デバイス用のセルを構成する正極及び負極等の組立後、初回充電前のリチウムイオンの状態を示す図であり、リチウムイオンが正極にドープ(挿入)されている状態を示している(放電状態)。この状態で通常の充電(終止電圧までの充電)を行い、更に通常の充放電(終止電圧までの充放電)を繰り返すことが可能である。
図2(b)は、複数の充放電サイクルを繰り返した後、リチウムイオンが正極に挿入された放電状態を示している。充放電サイクルを繰り返すと、リチウムイオンの一部は電極及び電解質等との反応により消費され、充放電に関与できなくなる。これにより正極活物質にはリチウム(イオン)の存在しない領域Cが生ずることになる。すなわち、容量劣化により正極にも不可逆容量が発生する。
更に、本発明では、図2(b)に示すように、正極の容量劣化を生じた段階で、蓄電デバイスの過放電を行うことができる。
過放電後のリチウムイオン蓄電デバイスにおけるリチウムイオンの状態を図2(c)に示す。過放電を行うことにより、リチウムイオン添加剤から放出されたリチウムイオンが正極の領域Cを補填し、不可逆容量が消滅する。すなわち、充放電により劣化したリチウムイオン蓄電デバイスを、実質的に充放電効率100%まで、少なくとも90%まで再生することが可能とされる。再生のための過放電は、連続的に複数回繰り返すことができる。
本発明では、リチウム添加剤の放電容量が、正極活物質の不可逆容量と負極活物質の不可逆容量との合計以上であると好ましい。
所望のタイミングでリチウム添加剤をリチウム供給源として用いるためには、通常の充放電ではリチウムイオンを放出しにくく、過放電によってリチウムイオンを放出する材料を用いるとよい。
このように、初回放電時、及び負極活物質の放電容量が劣化した後、例えば90%以下となった時点のいずれか、又は双方で過放電を行うことにより、電極の不可逆容量を消去することができる。
リチウム添加剤の放電容量は、その種類、使用量、及びその双方を選択することにより正極活物質の不可逆容量と負極活物質の不可逆容量との合計以上となるように制御される。
本発明のリチウムイオン蓄電デバイスは、正極と、負極と、非水電解液とを備えている。以下に本発明の蓄電デバイスの実施形態の一例として、リチウムイオン二次電池の例を、図面を参照しながら説明する。
図3は、本発明に係るリチウムイオン二次電池の実施形態の一例を示す概略断面図である。図示のように、リチウムイオン二次電池20は、正極21と、負極22とがセパレータ23を介して対向配置されている。
正極21は、本発明の正極材料を含む正極合材層21aと、正極集電体21bとから構成されている。正極合材層21aは、正極集電体21bのセパレータ23側の面に形成されている。負極22は、負極合材層22aと、負極集電体22bとから構成されている。
負極合材層22aは、負極集電体22bのセパレータ23側の面に形成されている。これら正極21、負極22、セパレータ23は、図示しない外装容器に封入されており、外装容器内には非水電解液が充填されている。外装材としては例えば電池缶やラミネートフィルム等が挙げられる。また、正極集電体21bと負極集電体22bとには、必要に応じて、それぞれ外部端子接続用の図示しないリードが接続されている。
次に、図4は、本発明に係るリチウムイオン二次電池の実施形態の別の一例を示す概略断面図である。図示のように、リチウムイオン二次電池30は、正極31と負極32とが、セパレータ33を介して交互に複数積層された電極ユニット34を備えている。正極31は、正極合材層31aが、正極集電体31bの両面に設けられて構成されている。負極32は、負極合材層32aが負極集電体32bの両面に設けられて構成されている(ただし、最上部および最下部の負極32については、負極合材層32aは片面のみ)。
また、正極集電体31bは図示しないが突出部分を有しており、複数の正極集電体31bの各突出部分はそれぞれ重ね合わされ、その重ね合わされた部分にリード36が溶接されている。負極集電体32bも同様に突出部分を有しており、複数の負極集電体32bの各突出部分が重ね合わされた部分にリード37が溶接されている。リチウムイオン二次電池30は、図示しないラミネートフィルム等の外装容器内に電極ユニット34と非水電解液が封入されて構成されている。リード36,37は外部機器との接続のため、外装容器の外部に露出される。
また、リチウムイオン二次電池30は、最上部および最下部に負極を配置させたが、これに限定されず、最上部および最下部に正極を配置させる構成でもよい。
[正極の製造]
本発明における正極は、特に制限はなく、公知の材料を用いて作製することができる。具体的には、以下のように作製することができる。
本発明では、正極活物質として使用する材料に特に制限はなく、正極活物質として公知の材料を使用することができる。
例えば、LiM(Mは金属原子)の組成式で示されるスピネル系、例えばマンガン酸リチウム(LiMn)、LiMO(Mは金属原子)層状酸化物系、例えばコバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、二酸化マンガンリチウム(LiMnO)、LiNi0.5Mn0.5、LiMPO(Mは金属原子)の組成式で示されるオリビン系、例えばリン酸マンガンリチウム(LiMnPO)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)、リン酸コバルトリチウム(LiCoPO)、LiMO(Mは金属原子)の組成式で示される固溶体系、例えばLiMnOとFeまたはNiとの固溶体、LiMSiO(Mは金属原子)の組成式で示されるケイ酸塩系、例えばケイ酸鉄リチウム(LiFeSiO)、ケイ酸マンガンリチウム(LiMnSiO)、ケイ酸コバルトリチウム(LiCoSiO)、ケイ酸ニッケルリチウム(LiNiSiO)、酸化バナジウム系、例えば五酸化バナジウム(V)、ポリアニオン系、例えばリン酸バナジウムリチウム(LiLi(PO4)等)、又は硫黄系、例えば硫化リチウム(LiS)、又はこれらの2種類以上の混合物を正極活物質として用いることができる。上記以外の材料、又は上記材料と他の材料との混合物も正極活物質として使用可能である。
上記正極材料、結合剤、及び導電助剤を含む混合物を溶媒に分散させた正極スラリーを、正極集電体上に塗布、乾燥を含む工程により正極合材層を形成する。乾燥工程後にプレス加圧等を行っても良い。これにより正極合材層が均一且つ強固に集電体に圧着される。正極合材層の厚さは10〜200μm、好ましくは20〜100μmである。
正極合材層の形成に用いる結合剤としては、例えばポリフッ化ビニリデン等の含フッ素系樹脂、アクリル系バインダ、SBR等のゴム系バインダ、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、カルボキシメチルセルロース等が使用できる。結合剤は、本発明の蓄電デバイスに用いられる非水電解液に対して化学的、電気化学的に安定な含フッ素系樹脂、熱可塑性樹脂が好ましく、特に含フッ素系樹脂が好ましい。含フッ素系樹脂としてはポリフッ化ビニリデンの他、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−3フッ化エチレン共重合体、エチレン−4フッ化エチレン共重合体及びプロピレン−4フッ化エチレン共重合体等が挙げられる。結合剤の配合量は、上記正極合材量に対して0.5〜20質量%が好ましい。
正極合材層の形成に用いる導電助剤としては、例えばケッチェンブラック等の導電性カーボン、銅、鉄、銀、ニッケル、パラジウム、金、白金、インジウム及びタングステン等の金属、酸化インジウム及び酸化スズ等の導電性金属酸化物等が使用できる。導電材の配合量は、上記正極活物質に対して1〜30質量%が好ましい。
正極合材層の形成に用いる溶媒としては、水、イソプロピルアルコール、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等が使用できる。
正極集電体は正極合材層と接する面が導電性を示す導電性基体であれば良く、例えば、金属、導電性金属酸化物、導電性カーボン等の導電性材料で形成された導電性基体や、非導電性の基体本体を上記の導電性材料で被覆したものが使用できる。導電性材料としては、銅、金、アルミニウムもしくはそれらの合金又は導電性カーボンが好ましい。
正極集電体は、上記材料のエキスパンドメタル、パンチングメタル、箔、網、発泡体等を用いることができる。多孔質体の場合の貫通孔の形状や個数等は特に制限はなく、リチウムイオンの移動を阻害しない範囲で適宜設定できる。貫通孔を有する集電体を用いることにより、リチウムインがこの孔を通過することが可能とされ、リチウムイオンのプレドープが効率的に行われる。
尚、本発明においてプレドープとは、リチウムイオン蓄電デバイスの完成前に予め任意の容量のリチウムイオンを負極にドープしておくことを意味する。
また、本発明においては、正極合材層の目付けを4mg/cm以上、20mg/cm以下とすることで、優れたサイクル特性を得ることができる。目付けが4mg/cm未満または20mg/cmを超えると、サイクル劣化が生じる。なお、目付けが大きいほど高容量が得られる。正極合材層の目付けは10mg/cm以上、20mg/cm以下であることがさらに好ましい。なお、ここでいう目付けとは正極集電体の一方の面側の正極合材層の目付けを意味する。正極合材層を正極集電体の両面に形成する場合には、一方の面および他方の面の正極合材層がそれぞれ上記範囲に含まれるよう形成される。
また、本発明においては、正極合材層の空孔率を35%以上、65%以下とすることで、優れたサイクル特性を得ることができる。正極合材層の空孔率が35%未満ではサイクル劣化が生じる。正極合材層の空孔率が65%を超えても、優れたサイクル特性は維持できるが、容量や出力が低下するため好ましくない。正極合材層の空孔率は40%以上、60%以下であることがさらに好ましい。
また、正極合剤の目付は負極合剤の利用容量の20%〜80%、特に25%〜55%の範囲とすると好ましい。
[負極の製造]
本発明において負極は、リチウム添加剤の含有を必須とする以外は特に制限はなく、公知の材料を用いて作製することができる。
負極活物質としては、リチウムイオンを脱挿入可能な材料であればいずれも使用可能であり、例えば、シリコン系材料、例えば、シリコン、又はシリコン合金、スズ系材料、例えば、スズ、又はスズ合金、リチウムインターカレーション炭素材料、例えば黒鉛、難黒鉛化炭素、又は易黒鉛化炭素、又はポリアセン系有機半導体、リチウム系金属材料、例えばリチウム合金(例えば、Li−Al合金)、リチウム化合物(例えば窒化リチウム)、例えばリチウム金属と他の金属との金属間化合物材料(例えば、スズ、ケイ素等を含む金属間化合物)、リチウムインターカレーション炭素材料は、リチウムイオンを可逆的にドープ可能な物質であり、ポリアセン系物質は、例えばポリアセン系骨格を有する不溶且つ不融性のPAS等を用いることができる。
本発明で用いられるリチウム添加剤は、負極活物質の平均放電電位よりも高い放電電位に放電容量を有することを必須とする。
リチウム添加剤の具体例としては、リチウムを含む窒化物、リチウムを含む合金を用いることができる。
リチウムを含む窒化物としては、例えば窒化リチウム(Li3N、)及びリチウム複合金属窒化物Li3−xN(MはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Alより選ばれた少なくとも一種の金属元素、xは0<x<0.8の範囲の実数、例えばLi2.6Co0.4N、リチウムを含む合金としては、例えばリチウムとアルミニウムとを含む合金を用いることが可能である。このうち、リチウム添加剤は、リチウムを含む窒化物又はリチウムを含む合金であると好ましく、リチウム源の豊富なLiN、及びLi2.6Co0.4Nが特に好ましく用いられる。
これらのリチウム添加剤は単独種類を用いることが好ましいが、場合により複数種類を混合して用いることも可能である。
上記各材料のうち本発明では、シリコン系材料又は炭素材料を用いることが好ましく、シリコン系材料を用いると特に好ましい。負極活物質は1種類の材料から構成されても、2種類以上の材料の混合物であってももよい。
本発明における負極の製造は、上述の負極活物質、リチウム添加剤及び結合剤を含む混合物を溶媒に分散させた負極スラリーを、負極集電体上に塗布、乾燥等することにより負極合材層を形成する。なお、結合剤、溶媒及び集電体は上述の正極の場合と同様なものが使用できる。
負極合材層の厚さは一般に10〜200μm、好ましくは20〜100μmである。
また、本発明においては、負極合材層の目付けは、正極合材層の目付けに合わせて適宜設計される。通常、リチウムイオン二次電池では、正負極の容量バランスやエネルギー密度の観点から正極と負極の容量(mAh)がおおよそ同じになるように設計される。よって、負極合材層の目付けは、負極活物質の種類や正極の容量等に基づいて設定される。
[非水電解液]
本発明における非水電解液は、特に制限はなく、公知の材料を使用できる。例えば、高電圧でも電気分解を起こさないという点、リチウムイオンが安定に存在できるという点から、一般的なリチウム塩を電解質とし、これを有機溶媒に溶解した電解液を使用できる。
電解質としては、例えば、CFSOLi、CSOLi、(CFSONLi、(CFSOCLi、LiBF、LiPF、LiClO等又はこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ビニルカーボネート、トリフルオロメチルプロピレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4-メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオトリル等又はこれらの2種以上の混合溶媒が挙げられる。
非水電解液中の電解質濃度は0.1〜5.0mol/Lが好ましく、0.5〜3.0mol/Lが更に好ましい。
非水電解液は液状でも良く、可塑剤やポリマー等を混合し、固体電解質又はポリマーゲル電解質としたものでも良い。
[セパレータ]
本発明で使用するセパレータは、特に制限はなく、公知のセパレータを使用できる。例えば、電解液、正極活物質、負極活物質に対して耐久性があり、連通気孔を有する電子伝導性の無い多孔質体等を好ましく使用できる。このような多孔質体として例えば、織布、不織布、合成樹脂性微多孔膜、ガラス繊維などが挙げられる。合成樹脂性の微多孔膜が好ましく用いられ、特にポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン製微多孔膜が、厚さ、膜強度、膜抵抗の面で好ましい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明は本実施例に限定されるものではない。
[製造例1]リチウム添加剤を含む負極を用いたリチウムイオン二次電池用セルAの作製
(1)正極の作製
以下の材料から正極合剤を調整した。
コバルト酸リチウム(LiCoO2 ) 90質量部
ポリフッ化ビニリデン(PVdF) 5質量部
カーボンブラック 5質量部
N−メチル2−ピロリドン(NMP) 100質量部
正極活物質(LiCoO2 )と、残りの材料を混合し、正極合剤スラリーを得た。
正極合剤スラリーをアルミニウム箔(厚さ10μm)の正極集電体に、ドクターブレード法により厚さ100μmで塗布し、乾燥し、正極集電体上に正極合材層を形成した。正極合材層の目付けは(片面当たり)15mg/cmであった。
(2)負極の作製
シリコン(Si) 60質量部
ポリイミド 15質量部
カーボンブラック 15質量部
Li2.6Co0.4N 10質量部
N−メチル2−ピロリドン(NMP) 100質量部
負極活物質(Si)と、残りの材料を混合し、負極合剤スラリーを得た。
負極合剤スラリーを、銅箔(厚さ15μm)の負極集電体に、ドクターブレード法により厚さ30μmで塗布し、乾燥し、負極集電体上に負極合材層を形成した。負極合剤の目付量は3mg/cmとした(正極合剤に対して300容量%)。
(3)電解液の作成
エチレンカーボネート(EC)70容量部と、ジメチルカーボネート(DMC)25容量部と、フルオロエチレンカーボネート(FEC)5容量部に対して、6フッ化リン酸リチウム(Li−PF6)を1.2Mで溶解した電解液を製造した。
(4)リチウムイオン二次電池の作製
上述のように作製した正極9枚と、負極10枚とを用いて、図4の実施形態で示したようなリチウムイオン二次電池を作製した。具体的には、正極及び負極を、ポリエチレンセパレータを介して積層し、得られた積層形スタックの周囲をテープで固定した。
積層形スタックの正極側にアルミニウム金属タブを、負極側に銅タブを溶接し、各正極集電体のタブを重ねてアルミニウム金属リードを溶接した。同様に各負極集電体のタブを重ねてニッケル金属リードを溶接した。これを104mm×140mm×10mmのアルミラミネート外装材に封入し、正極リードと負極リードを外装材外側に出して、電解液封入口を残して密閉融着した。電解液封入口より上記非水電解液を注液し、真空含浸にて電極内部に電解液を浸透させた後、ラミネートを真空封止した。
これにより、リチウム添加剤を含む負極を用いたリチウムイオン二次電池用セルAを製造した。
[製造例2]リチウム添加剤を含まない負極を用いたリチウムイオン二次電池用セルBの製造
上述の製造例1において、負極合剤にLi2.6Co0.4Nを添加しない以外は、製造例1と同様の操作を繰り返し、リチウム添加剤を含まない負極を用いたリチウムイオン二次電池用セルBを製造した。
[実施例1]
製造例1により得られたリチウムイオン二次電池用セルA(リチウム添加剤使用)を用い、4.3Vまでの初回充電を行い、この後、初回放電として、充放電試験機(ASKA電子製)を用いて2.0Vまで過放電を行った。これにより本発明のリチウムイオンプレドープ型二次電池(リチウムイオン電池1)を得た。
このリチウムイオン電池1に対し、2サイクル目以降は、4.3V〜3.5Vで、10サイクルの充放電を繰り返した。充放電容量を測定したところ、1サイクル目の充電容量が9.1mAhであったのに対して、2サイクル目以降(5〜10サイクル)の充放電容量が8.8mAhであった。
[実施例2]
製造例1により得られたリチウムイオン二次電池用セルA(リチウム添加剤使用)を用い、初回から4.3V〜3.5Vで充放電を10サイクル繰り返した。セルAの1サイクル目の充電容量は9.1mAhであった。10サイクル後に放電容量が90パーセント以下(8mAh)となったときに2.5Vまでの過放電(11回目放電)と、4.3Vまでの電圧印加により、12回目の充電を行った。これにより本発明のリチウムイオンプレドープ型二次電池(リチウムイオン電池2)を得た。
充放電容量を測定したところ、11回目の放電容量9.0mAh及び12回目の充電容量9.0mAhが確認された。
上記充放電容量は20サイクルほぼ変化なく維持され、20サイクル後の充放電容量は8.5mAhとなった。
[比較例1]
製造例2により得られたリチウムイオン二次電池用セルB(リチウム添加剤不使用)を用い、初回充電を4.3Vまで行った。この後、初回放電として、2.5Vまでの過放電を行った。2サイクル目以降は、4.3V〜3.5Vで充放電を10サイクル繰り返した。1サイクル目の充電容量が9.1mAhであったのに対して、1サイクル目の放電容量は4mAhであった。2サイクル目以降(2〜10サイクル)の充放電容量も4mAhであった。
[比較例2]
製造例1により得られたリチウムイオン二次電池用セルA(リチウム添加剤使用)を用い、初回から4.3V〜3.5Vで充放電を10サイクル繰り返した。セルAの1サイクル目の充電容量は9.1mAhであった。10サイクル後に放電容量が90%以下(8mAh)となった。それ以降も劣化を続けて、20サイクル後には放電容量が6.2mAhとなった。
[比較例3]
製造例2により得られたリチウムイオン二次電池用セルB(リチウム添加剤不使用)を用い、初回から4.3V〜3.5Vで充放電を10サイクル繰り返した。セルBの1サイクル目の充電容量は9.1mAhであった。10サイクル後に放電容量が90%以下(8mAh)となったときに2.5Vまでの過放電(11回目放電)を行った。11回目の放電容量は8.5mAhとなり、12回目の充電容量は8mAであった。こののち20サイクルまで充放電を繰り返した後の、充放電容量は5mAhとなった。
上記結果より、本発明のリチウムイオン二次電池1及び2は、充放電容量が大きい上、一致しており、多数サイクル繰り返し使用しても容量劣化の割合が極めて小さいことがわかる。
これに対して、負極にリチウムイオン添加剤を含有しないセル(セルB)では、初回放電時に過放電を行った場合には放電容量の劣化が激しく(比較例1)、複数の充放電を行った後に充放電を行った場合には充放電容量が回復するが、その後の劣化が顕著である(比較例3)。
また、負極にリチウムイオン添加剤を含有するセル(セルA)を過放電を行うことなく用いた場合は、最初の10サイクルの充放電では比較的安定的な放電容量を維持するものの、本発明のリチウムイオン二次電池1及び2に及ぶ放電容量は得られていない。更に、20サイクルの充放電を繰り返した後には充放電容量の顕著な劣化が観察された(比較例2)。
なお、本発明は上記の実施の形態の構成及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
20、30 リチウムイオン二次電池
21、31 正極
21a、31a 正極合材層
21b、31b 正極集電体
22、32 負極
22a、32a 負極合材層
22b、32b 負極集電体
23、33 セパレータ
34 電極ユニット
36、37 リード

Claims (10)

  1. リチウム含有化合物を含む正極活物質を有する正極と、
    リチウムイオンを脱挿入可能な負極活物質、及び前記負極活物質の平均放電電位よりも高い放電電位に放電容量を有するリチウム添加剤を有する負極と、
    を含み、
    初回充電後の放電時に過放電させることにより得られることを特徴とするリチウムオン蓄電デバイス。
  2. 前記過放電が、初回放電時に行われることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイン蓄電デバイス。
  3. 前記過放電が、前記負極活物質の放電容量が初期放電容量に対して90%以下となった時点で行われることを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウムイン蓄電デバイス。
  4. 前記リチウム添加剤の初回充放電効率が80%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムオン蓄電デバイス。
  5. 前記リチウム添加剤の放電容量が、前記負極活物質の不可逆容量以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウムオン蓄電デバイス。
  6. 前記リチウム添加剤の放電容量が、前記正極活物質の不可逆容量と前記負極活物質の不可逆容量との合計以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウムオン蓄電デバイス。
  7. 前記リチウム添加剤が、リチウムを含む窒化物又はリチウムを含む合金であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のリチウムオン蓄電デバイス。
  8. リチウム含有化合物を含む正極活物質を有する正極と、
    リチウムイオンを脱挿入可能な負極活物質及びリチウム添加剤を有する負極と、
    を含むリチウムイオン蓄電デバイスの製造方法であって、
    初回放電時に過放電させることにより得られることを特徴とするリチウムイオン蓄電デバイスの製造方法。
  9. リチウム含有化合物を含む正極活物質を有する正極と、
    リチウムイオンを脱挿入可能な負極活物質及びリチウム添加剤を有する負極と、
    を含むリチウムイオン蓄電デバイスの電極再生方法であって、
    初回充電後の放電時に過放電させることを特徴とするリチウムイオン蓄電デバイスの電極再生方法。
  10. 前記過放電が、前記負極活物質の放電容量が初期放電容量に対して90%以下となった時点で行われることを特徴とする請求項9に記載のリチウムイン蓄電デバイスの電極再生方法。
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