JP2010161161A - 積層インダクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】1ターンの長さを有するコイル導体により構成されているコイルを内蔵する積層インダクタにおいて、コイルを流れる直流電流が小さいときには高いインダクタンス値が得られ、かつ、コイルを流れる直流電流が大きくなってもインダクタンス値が急激に低下しない直流重畳特性を得る。
【解決手段】コイル導体14は、z軸方向から平面視したときに、環状の軌道R上に位置している端部t4,t5,t8,t9を含む接続部16b〜16e及び該環状の軌道R外に位置している接続位置t3,t6,t7,t10を含む接続部17b〜17eを有している。磁性体層18は、z軸方向から平面視したときに、接続部16b〜16e,17b〜17eにより囲まれている所定の領域と重なり、かつ、z軸方向において、コイルLと重なるように設けられていると共に、磁性体層12よりも高い透磁率を有する。
【選択図】図2
【解決手段】コイル導体14は、z軸方向から平面視したときに、環状の軌道R上に位置している端部t4,t5,t8,t9を含む接続部16b〜16e及び該環状の軌道R外に位置している接続位置t3,t6,t7,t10を含む接続部17b〜17eを有している。磁性体層18は、z軸方向から平面視したときに、接続部16b〜16e,17b〜17eにより囲まれている所定の領域と重なり、かつ、z軸方向において、コイルLと重なるように設けられていると共に、磁性体層12よりも高い透磁率を有する。
【選択図】図2
Description
本発明は、積層インダクタに関し、より特定的には、コイルを内蔵している積層インダクタに関する。
従来の積層インダクタとしては、例えば、特許文献1に記載の積層インダクタが知られている。以下に、図面を参照しながら、特許文献1に記載の積層インダクタについて説明する。図6は、特許文献1に記載の積層インダクタの積層体111の分解斜視図である。
積層体111は、磁性体層112a〜112l、内部導体114a〜114f及びビアホール導体B1〜B5により構成されている。磁性体層112a〜112lは、積層方向の上側から下側へとこの順に並ぶように配置されている絶縁層である。
内部導体114aは、磁性体層112d上に設けられ、一端が積層体111の右側の側面に引き出されている。内部導体114b〜114eはそれぞれ、磁性体層112e〜112h上において1ターンの長さで周回している。内部導体114b,114dは、同じ形状を有しており、内部導体114c,114eは、同じ形状を有している。また、内部導体114fは、磁性体層112i上に設けられ、一端が積層体111の左側の側面に引き出されている。
また、ビアホール導体B1〜B5は、積層方向に隣り合う内部導体114a〜114fを接続している。これにより、積層体111内において螺旋状に旋廻するコイルLが構成されている。このような積層インダクタは、例えば、DC−DCコンバータなどに用いられる。
ところで、DC−DCコンバータに用いられる積層インダクタでは、コイルLを流れる直流電流が小さいときには高いインダクタンス値が得られ、かつ、コイルLを流れる直流電流が大きくなってもインダクタンス値が急激に低下しない直流重畳特性が要求される。そこで、コイルLを流れる直流電流が小さいときに高いインダクタンス値が得られるように、磁性体層112a〜112lに透磁率の高い磁性体材料を用いることが考えられる。
しかしながら、磁性体層112a〜112lに透磁率の高い磁性体材料が用いられた場合には、磁気飽和が発生し易くなってしまうので、コイルLを流れる直流電流が大きくなった場合に、インダクタンス値が急激に低下してしまう。
そこで、本発明の目的は、1ターンの長さを有するコイル導体により構成されているコイルを内蔵する積層インダクタにおいて、コイルを流れる直流電流が小さいときには高いインダクタンス値が得られ、かつ、コイルを流れる直流電流が大きくなってもインダクタンス値が急激に低下しない直流重畳特性を得ることである。
本発明の一形態に係る積層インダクタによれば、複数の第1の絶縁体層が積層されてなる積層体と、積層方向から平面視したときに、前記第1の絶縁体層上において1ターンの長さで環状の軌道上を周回しているコイル導体であって、該環状の軌道上に位置している第1の接続位置を含む第1の接続部及び該環状の軌道外に位置している第2の接続位置を含む第2の接続部を有している複数のコイル導体と、積層方向に隣り合う前記第1の接続位置同士を接続している第1のビアホール導体と、積層方向に隣り合う前記第2の接続位置同士を接続している第2のビアホール導体と、積層方向から平面視したときに、前記複数のコイル導体において前記第1の接続部及び前記第2の接続部により囲まれている所定の領域と重なり、かつ、積層方向において、前記複数のコイル導体により構成されているコイルと重なるように設けられている第2の絶縁体層であって、前記第1の絶縁体層よりも高い透磁率を有する第2の絶縁体層と、を備えていること、を特徴とする。
本発明によれば、1ターンの長さを有するコイル導体により構成されているコイルを内蔵する積層インダクタにおいて、コイルを流れる直流電流が小さいときには高いインダクタンス値が得られ、かつ、コイルを流れる直流電流が大きくなってもインダクタンス値が急激に低下しない直流重畳特性を得ることができる。
以下に、本発明の一実施形態に係る積層インダクタについて説明する。
(積層インダクタの構成)
図1は、積層インダクタ10の外観斜視図である。図2は、積層インダクタ10の積層体11の分解斜視図である。以下、積層インダクタ10の積層方向をz軸方向と定義し、積層インダクタ10の長辺に沿った方向をx軸方向と定義し、積層インダクタ10の短辺に沿った方向をy軸方向と定義する。
図1は、積層インダクタ10の外観斜視図である。図2は、積層インダクタ10の積層体11の分解斜視図である。以下、積層インダクタ10の積層方向をz軸方向と定義し、積層インダクタ10の長辺に沿った方向をx軸方向と定義し、積層インダクタ10の短辺に沿った方向をy軸方向と定義する。
積層インダクタ10は、図1に示すように、積層体11及び外部電極13a,13bを備えている。積層体11は、直方体状をなしている。外部電極13a,13bは、x軸方向の両端に位置する積層体11の側面に設けられている。
積層体11は、図2に示すように、磁性体層12a〜12l及びコイル導体14a〜14fが積層されて構成されており、内部に螺旋状のコイルLを含んでいる。磁性体層12a〜12lは、磁性を有するフェライト(例えば、Ni−Zn−Cuフェライト又はNi−Znフェライト等)からなる長方形状の複数の絶縁層である。また、磁性体層12d〜12iには、後述する磁性体層18d〜18iが設けられている。以下では、個別の磁性体層12a〜12l,18d〜18i及びコイル導体14a〜14fを指す場合には、参照符号の後ろにアルファベットを付し、これらを総称する場合には、参照符号の後ろのアルファベットを省略する。
コイル導体14a〜14fは、積層体11内においてビアホール導体b1〜b5により接続されることによりコイルLを構成している。コイル導体14b〜14eはそれぞれ、Agからなる導電性材料からなり、z軸方向から平面視したときに、磁性体層12e〜12h上において1ターンの長さで周回している。より詳細には、コイル導体14b〜14eは、略長方形状の環状の軌道R(図2の磁性体層12e参照)上を周回していると共に、その両端において接続部16b〜16e,17b〜17eを有している。接続部16b〜16eは、端部(接続位置)t4,t5,t8,t9を含んでおり、環状の軌道R外(図2では、環状の軌道Rに囲まれた領域の内側)上に設けられている。接続部16b,16dは、環状の軌道Rからy軸方向の負方向側に向かって延在しており、y軸方向の負方向側において端部t4,t8を有している。接続部16c,16eは、環状の軌道Rからx軸方向の負方向側に向かって延在しており、x軸方向の負方向側において端部t5,t9を有している。このように、コイル導体14b〜14eが接続部16b〜16eを有しているので、端部t4,t5,t8,t9は、前記長方形状の環状の軌道Rよりも内側に位置していると共に、z軸方向から平面視したときに互いに重なっている。
また、接続部17b〜17eは、端部(接続位置)t3,t6,t7,t10を含んでおり、環状の軌道R上に設けられている。接続部17b,17dは、環状の軌道R上においてy軸方向に延在しており、y軸方向の正方向側において端部t3,t7を有している。接続部17c,17eは、環状の軌道R上においてx軸方向に延在しており、x軸方向の正方向側において端部t6,t10を有している。このように、コイル導体14b〜14eが接続部17b〜17eを有しているので、端部t3,t6,t7,t10は、長方形状の環状の軌道R上に位置していると共に、z軸方向から平面視したときに互いに重なっている。
コイル導体14b,14dは、同じ形状を有し、コイル導体14c,14eは、同じ形状を有している。すなわち、コイル導体14b〜14eは、z軸方向に2種類のコイル導体が交互に並んでいる。
また、コイル導体14aは、コイル導体14b〜14eよりもz軸方向の正方向側に設けられ、該コイル導体14b〜14eに電気的に接続されることによりコイルLの一部を構成している。コイル導体14aは、Agからなる導電性材料からなり、z軸方向から平面視したときに、磁性体層12d上において3/4ターンの長さで周回している。コイル導体14aの一方の端部t1は、図2に示すように、磁性体層12dのx軸方向の正方向側の辺に引き出されている。これにより、コイル導体14aは、外部電極13aと接続されている。一方、端部t2は、長方形状の環状の軌道R上に位置していると共に、z軸方向から平面視したときに端部t3と重なっている。
また、コイル導体14fは、コイル導体14b〜14eよりもz軸方向の負方向側に設けられ、該コイル導体14b〜14eに電気的に接続されることによりコイルLの一部を構成している。コイル導体14fは、Agからなる導電性材料からなり、z軸方向から平面視したときに、磁性体層12i上において1/2ターンの長さで周回している。コイル導体14fの一方の端部t12は、図2に示すように、磁性体層12iのx軸方向の負方向側の辺に引き出されている。これにより、コイル導体14fは、外部電極13bと接続されている。一方、端部t11は、長方形状の環状の軌道R上に位置していると共に、z軸方向から平面視したときに端部t10と重なっている。
次に、磁性体層18d〜18iについて図面を参照しながら説明する。図3(a)は、磁性体層12d〜12iを重ねた状態で平面視した図であり、図3(b)は、積層インダクタ10の図2のA−Aにおける断面構造図である。なお、図3(b)では、磁性体層12a〜12lの境界を点線で示したが、実際には、このような境界が視認できない場合が多い。
磁性体層12a〜12lが積層されると、z軸方向から平面視したときに、接続部16b〜16e,17b〜17eにより囲まれた四角形状の領域Eが形成される。磁性体層18d〜18iは、磁性体層12a〜12lよりも高い透磁率を有する絶縁体層である。該磁性体層18d〜18iは、図3(a)及び図3(b)に示すように、z軸方向から平面視したときに、接続部16b〜16e,17b〜17eにより囲まれている領域Eと重なり、かつ、z軸方向において、コイルLと重なるように設けられている。本実施形態では、磁性体層18d〜18iは、図2及び図3(b)に示すように、z軸方向において最も上側に位置しているコイル導体14aと最も下側に位置している接続部14fとの間に連続して角柱状に設けられている。よって、磁性体層18d〜18iは、磁性体層12d〜12iの領域Eに対応する部分を除去して、除去した部分に該磁性体層18d〜18iの磁性体材料が埋め込まれることにより作製されている。そして、磁性体層18d〜18iはそれぞれ、図3(b)に示すように、磁性体層12d〜12iをz軸方向に貫通している。
ビアホール導体b1〜b5は、コイル導体14a〜14fを電気的に接続することにより螺旋状のコイルLの一部を構成している。より具体的には、図2に示すように、ビアホール導体b1は、環状の軌道R上に位置し、かつ、磁性体層12dを貫通することにより、z軸方向に隣り合っている端部t2と端部t3とを接続している。ビアホール導体b2は、環状の軌道R外に位置し、かつ、磁性体層12eを貫通することにより、z軸方向に隣り合っている端部t4と端部t5とを接続している。ビアホール導体b3は、環状の軌道R上に位置し、かつ、磁性体層12fを貫通することにより、z軸方向に隣り合っている端部t6と端部t7とを接続している。ビアホール導体b4は、環状の軌道R外に位置し、かつ、磁性体層12gを貫通することにより、z軸方向に隣り合っている端部t8と端部t9とを接続している。ビアホール導体b5は、環状の軌道R上に位置し、かつ、磁性体層12hを貫通することにより、z軸方向に隣り合っている端部t10と端部t11とを接続している。すなわち、環状の軌道R上の端部t2,t3,t6,t7,t10,t11を接続するビアホール導体b1,b3,b5と環状の軌道R外の端部t4,t5,t8,t9を接続するビアホール導体b2,b4とは、z軸方向に交互に並ぶように設けられている。これにより、1ターンの長さを有する複数のコイル導体14は、短絡することなく互いに接続されている。
(積層インダクタの製造方法)
以下に、前記積層インダクタ10の製造方法について図1及び図2を参照しながら説明する。なお、以下では、一つの積層インダクタ10の製造方法について説明する。しかしながら、実際には、マザーセラミックシートを積層してマザー積層体を作製し、マザー積層体をカットすることにより複数の積層インダクタ10を同時に得ている。
以下に、前記積層インダクタ10の製造方法について図1及び図2を参照しながら説明する。なお、以下では、一つの積層インダクタ10の製造方法について説明する。しかしながら、実際には、マザーセラミックシートを積層してマザー積層体を作製し、マザー積層体をカットすることにより複数の積層インダクタ10を同時に得ている。
まず、酸化第二鉄(Fe2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニッケル(NiO)及び酸化銅(CuO)を所定の比率で秤量したそれぞれの材料を原材料としてボールミルに投入し、湿式調合を行う。得られた混合物を乾燥してから粉砕し、得られた粉末を800℃で1時間仮焼する。得られた仮焼粉末をボールミルにて湿式粉砕した後、乾燥してから解砕して、第1のフェライトセラミック粉末を得る。
この第1のフェライトセラミック粉末に対して結合剤(酢酸ビニル、水溶性アクリル等)と可塑剤、湿潤材、分散剤を加えてボールミルで混合を行い、その後、減圧により脱泡を行う。得られたセラミックスラリーをドクターブレード法により、キャリアフィルム上にシート状に形成して乾燥させ、磁性体層12となるべきセラミックグリーンシートを作製する。
次に、酸化第二鉄(Fe2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニッケル(NiO)及び酸化銅(CuO)を所定の比率で秤量したそれぞれの材料を原材料としてボールミルに投入し、湿式調合を行う。この際、第1のフェライトセラミック粉末よりも、酸化ニッケル(NiO)の割合が高くなるように、各材料を混合する。得られた混合物を乾燥してから粉砕し、得られた粉末を800℃で1時間仮焼する。得られた仮焼粉末をボールミルにて湿式粉砕した後、乾燥してから解砕して、第2のフェライトセラミック粉末を得る。
この第2のフェライトセラミック粉末に対して結合剤(酢酸ビニル、水溶性アクリル等)と可塑剤、湿潤材、分散剤を加えてボールミルで混合を行い、その後、減圧により脱泡を行って、磁性体層18に用いるセラミックスラリーを得る。
次に、図2に示すような、コイル導体14a〜14f及び磁性体層18d〜18iが設けられた磁性体層12d〜12iとなるべきセラミックグリーンシートを作製する。以下に、磁性体層12eとなるべきセラミックグリーンシートを例にとって説明する。図4は、磁性体層12eとなるべきセラミックグリーンシートの製造工程を示した斜視図である。
まず、図4(a)に示すようなキャリアフィルム22e付きの磁性体層12eとなるべきセラミックグリーンシートを準備する。次に、図4(b)に示すように、レーザビームなどを照射することにより、磁性体層18e及びビアホール導体b2が設けられる位置に孔H2及びビアホールh2を形成する。この際、セラミックグリーンシートのみが焼失し、キャリアフィルム22eが焼失しないように、強度を調整しながらレーザビームを照射する。
次に、図4(c)に示すように、磁性体層18に用いるセラミックスラリーを、孔H2に対してスクリーン印刷等により充填する。最後に、図4(d)に示すように、磁性体層12eとなるべきセラミックグリーンシート上に、Ag,Pd,Cu,Auやこれらの合金などを主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷法やフォトリソグラフィ法などの方法で塗布することにより、コイル導体14bを形成する。更に、コイル導体14bを形成する工程と同時にビアホールh2に対して導電性ペーストを充填する。なお、その他の磁性体層12となるべきセラミックグリーンシートへのコイル導体14等は、コイル導体14b等と同じ工程により作製されるので、説明を省略する。
次に、各セラミックグリーンシートを積層する。具体的には、磁性体層12lとなるべきセラミックグリーンシートを配置する。磁性体層12kとなるべきセラミックグリーンシートのキャリアフィルム22k(図示せず)を剥がして、磁性体層12kとなるべきセラミックグリーンシートを配置する。この後、磁性体層12kとなるべきセラミックグリーンシートを磁性体層12lに対して圧着する。圧着条件は、100トン〜120トンの圧力及び3秒間から30秒間程度の時間である。また、キャリアフィルムの排出方法は、吸引による排出及びチャックによるつかみ排出である。この後、磁性体層12j,12i,12h,12g、12f,12e、12d,12c,12b,12aとなるべきセラミックグリーンシートについても同様にこの順番に積層及び圧着する。これにより、マザー積層体が形成される。このマザー積層体には、静水圧プレスなどにより本圧着が施される。
次に、マザー積層体を押し切りにより所定寸法の積層体11にカットする。これにより未焼成の積層体11が得られる。この未焼成の積層体11には、脱バインダー処理及び焼成がなされる。脱バインダー処理は、例えば、低酸素雰囲気中において500℃で2時間の条件で行う。焼成は、例えば、890℃で2.5時間の条件で行う。
以上の工程により、焼成された積層体11が得られる。積層体11には、バレル加工が施されて、面取りが行われる。その後、積層体11の表面には、例えば、浸漬法等の方法により主成分が銀である導体ペーストが塗布及び焼き付けされることにより、外部電極13a,13bとなるべき銀電極が形成される。銀電極の焼き付けは、800℃で60分間行われる。
最後に、銀電極の表面に、Niめっき/Snめっきを施すことにより、外部電極13a,13bを形成する。以上の工程を経て、図1に示すような積層インダクタ10が完成する。
(効果)
以上のように構成された積層インダクタ10は、以下に説明するように、コイルLを流れる直流電流が小さいときには高いインダクタンス値が得られ、かつ、コイルLを流れる直流電流が大きくなってもインダクタンス値が急激に低下しない直流重畳特性を得ることができる。図5は、図3の領域E付近の拡大図である。
以上のように構成された積層インダクタ10は、以下に説明するように、コイルLを流れる直流電流が小さいときには高いインダクタンス値が得られ、かつ、コイルLを流れる直流電流が大きくなってもインダクタンス値が急激に低下しない直流重畳特性を得ることができる。図5は、図3の領域E付近の拡大図である。
外部電極13aから外部電極13bへと電流が流れた場合には、図5に示すように、接続部17c,17eにはx軸方向の正方向側へと電流i1が流れる。また、接続部17b,17dにはy軸方向の負方向側へと電流i2が流れる。また、接続部16c,16eにはx軸方向の正方向側へと電流i3が流れる。また、接続部16b,16dにはy軸方向の負方向側へと電流i4が流れる。そして、電流i1〜i4により、磁界φ1〜φ4が発生する。
ここで、磁界φ1は、領域Eにおいて、図5に示すように、z軸方向の負方向側に向かって発生する。一方、磁界φ3は、領域Eにおいて、図5に示すように、z軸方向の正方向側に向かって発生する。よって、磁界φ1と磁界φ3とは互いに打ち消しあっている。同様に、磁界φ2は、領域Eにおいて、図5に示すように、z軸方向の負方向側に向かって発生する。一方、磁界φ4は、領域Eにおいて、図5に示すように、z軸方向の正方向側に向かって発生する。よって、磁界φ2と磁界φ4とは互いに打ち消しあっている。したがって、領域E内では、領域E以外のコイルL内に比べて、小さな磁界しか発生しないので、磁気飽和が発生しにくい。
そこで、積層インダクタ10では、磁性体層12a〜12lよりも高い透磁率を有する磁性体層18d〜18iが、z軸方向から平面視したときに、接続部16b〜16e,17b〜17eにより囲まれている領域Eと重なり、かつ、z軸方向において、コイルLと重なるように設けられている。これにより、積層体11において磁気飽和が発生し易い部分には、相対的に低い透磁率の磁性体層が用いられ、積層体11において磁気飽和が発生しにくい部分には、相対的に高い透磁率の磁性体層が用いられるようになる。その結果、磁気飽和の発生を抑制しつつ、高いインダクタンス値を得ることが可能となる。よって、積層インダクタ10では、コイルLを流れる直流電流が小さいときには高いインダクタンス値が得られ、かつ、コイルLを流れる直流電流が大きくなってもインダクタンス値が急激に低下しない直流重畳特性を得ることができる。
(その他の実施形態)
なお、本発明に係る積層インダクタは、前記実施形態に係る積層インダクタ10に限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。
なお、本発明に係る積層インダクタは、前記実施形態に係る積層インダクタ10に限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。
積層インダクタ10において、磁性体層18d〜18iは、図3(b)に示すように、磁性体層12d〜12iの間に連続的に設けられている。しかしながら、磁性体層18d〜18iは、図3(b)に示すように連続的に設けられている必要はない。よって、磁性体層18は、一部の磁性体層12d〜12iに設けられていてもよい。また、z軸方向から平面視したときに接続部16b〜16e,17b〜17eにより囲まれている領域Eであって、かつ、z軸方向においてコイルLと重なる領域において、磁性体層12と磁性体層18とが交互にz軸方向に並んでいてもよい。
また、積層インダクタ10では、ビアホール導体b1〜b5が接続されている接続位置は、端部t2〜t11としているが、コイル導体14の端部t2〜t11でなくてもよい。
本発明は、積層インダクタにおいて有用であり、特に、コイルを流れる直流電流が小さいときには高いインダクタンス値が得られ、かつ、コイルを流れる直流電流が大きくなってもインダクタンス値が急激に低下しない直流重畳特性を得ることができる点において優れている。
E 領域
L コイル
R 環状の軌道
b1〜b5 ビアホール導体
t1〜t12 端部
10 積層インダクタ
11 積層体
12a〜12l,18d〜18i 磁性体層
13a,13b 外部電極
14a〜14f コイル導体
16b〜16e,17b〜17e 接続部
L コイル
R 環状の軌道
b1〜b5 ビアホール導体
t1〜t12 端部
10 積層インダクタ
11 積層体
12a〜12l,18d〜18i 磁性体層
13a,13b 外部電極
14a〜14f コイル導体
16b〜16e,17b〜17e 接続部
Claims (2)
- 複数の第1の絶縁体層が積層されてなる積層体と、
積層方向から平面視したときに、前記第1の絶縁体層上において1ターンの長さで環状の軌道上を周回しているコイル導体であって、該環状の軌道上に位置している第1の接続位置を含む第1の接続部及び該環状の軌道外に位置している第2の接続位置を含む第2の接続部を有している複数のコイル導体と、
積層方向に隣り合う前記第1の接続位置同士を接続している第1のビアホール導体と、
積層方向に隣り合う前記第2の接続位置同士を接続している第2のビアホール導体と、
積層方向から平面視したときに、前記複数のコイル導体において前記第1の接続部及び前記第2の接続部により囲まれている所定の領域と重なり、かつ、積層方向において、前記複数のコイル導体により構成されているコイルと重なるように設けられている第2の絶縁体層であって、前記第1の絶縁体層よりも高い透磁率を有する第2の絶縁体層と、
を備えていること、
を特徴とする積層インダクタ。 - 前記第2の絶縁体層は、積層方向において最も上側に位置している前記コイル導体と最も下側に位置している前記コイル導体との間に連続して設けられていること、
を特徴とする請求項1に記載の積層インダクタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009001729A JP2010161161A (ja) | 2009-01-07 | 2009-01-07 | 積層インダクタ |
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JP2009001729A JP2010161161A (ja) | 2009-01-07 | 2009-01-07 | 積層インダクタ |
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