JP2009277689A - 電子部品 - Google Patents

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Teppei Akazawa
徹平 赤澤
Osamu Matsumoto
治 松本
Masaki Nakaniwa
正貴 中庭
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Abstract

【課題】電流の大きさに応じて異なるインダクタンス値をとると共に、磁気飽和によるインダクタンス値の急激な低下を抑制できるコイルを内蔵した電子部品を提供する。
【解決手段】積層体12は、磁性体層16が積層されてなる。コイル電極18は、積層体12内において互いに接続されることによりコイルLを構成している。非磁性体層20は、コイルLのコイル軸Xに平行な断面においてコイル軸Xに対して非対称な構造を有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子部品に関し、コイルを内蔵している積層型の電子部品に関する。
コイルを内蔵している従来の電子部品としては、例えば、特許文献1に記載の積層型インダクタンス素子が知られている。該積層型インダクタンス素子は、内部導体からなる螺旋状の導体のコイルと、該コイルのコイル軸と直交するように設けられた第1の非磁性体層と、内部導体間に設けられている第2の非磁性体層とにより構成されている。
前記積層型インダクタンス素子によれば、コイルを横切るように第1の非磁性体層が設けられているので、コイルが開磁路構造をとるようになる。その結果、積層型インダクタンス素子の電流が大きくなっても、磁気飽和によるインダクタンス値の急激な低下が発生しにくくなる。すなわち、積層インダクタンス素子の直流重畳特性が向上する。
ところで、DC−DCコンバータでは、低出力電流領域と高出力電流領域において、コイルに要求されるインダクタンス値が異なる場合がある。より詳細には、DC−DCコンバータに用いられるコイルを内蔵した電子部品では、低出力電流領域において相対的に大きなインダクタンス値が得られると共に、高出力電流領域において相対的に小さなインダクタンス値が得られるような直流重畳特性が要求される。
しかしながら、特許文献1に記載の積層型インダクタンス素子は、電流が増加しても略一定のインダクタンス値を保っているので、前記のようなDC−DCコンバータに適した直流重畳特性を得ることは困難である。
特開2007−214424号公報
そこで、本発明の目的は、電流の大きさに応じて異なるインダクタンス値をとると共に、磁気飽和によるインダクタンス値の急激な低下を抑制できるコイルを内蔵した電子部品を提供することである。
本発明の一形態である電子部品は、複数の第1の絶縁層が積層されてなる積層体と、前記積層体内において互いに接続されることによりコイルを構成している複数のコイル電極と、前記コイルのコイル軸に平行な断面において該コイル軸に対して非対称な構造を有している絶縁層であって、前記第1の絶縁層よりも低い透磁率を有している第2の絶縁層と、を備えていることを特徴とする。
本発明の一形態である電子部品によれば、電流の大きさに応じて異なるインダクタンス値を得ることができると共に、磁気飽和によるインダクタンス値の急激な低下を抑制できる。
以下に、本発明の一実施形態に係る電子部品について説明する。図1(a)は、電子部品10aの外観斜視図である。図1(b)は、電子部品10aのA−Aにおける断面構造図である。図1(c)は、電子部品10aのB−B及びC−Cにおける断面構造図である。以下では、電子部品10aの形成時に、絶縁層が積層される方向を積層方向と定義する。図1(c)では、電子部品10aのコイル電極18a〜18gを点線で示してある。また、図1(b)では、各層の境界線が点線により示されているが、実際には、視認できるような境界線が存在しない場合も存在する。
(電子部品の構成)
電子部品10aは、図1(a)に示すように、内部にコイルを含む直方体状の積層体12と、積層体12の対向する側面に形成される2つの外部電極14a,14bとを備えている。
積層体12は、以下に説明するように、複数のコイル電極と複数の磁性体層とが積層されて構成されている。積層体12は、図1(b)に示すように、強磁性のフェライト(例えば、Ni−Zn−Cuフェライト又はNi−Znフェライト等)からなる複数の絶縁層(磁性体層16a〜16j)、及び、磁性体層16a〜16jよりも低い透磁率を有する材料からなる絶縁層(非磁性体層20a,20b)が積層されることにより構成される。本実施形態において、磁性体層16a〜16jよりも低い透磁率を有する材料からなる絶縁層(非磁性体層20a,20b)の透磁率は1である。
磁性体層16a〜16d,16f,16h〜16jは、長方形状を有する層である。磁性体層16e,16g及び非磁性体層20a,20bは、磁性体層16a〜16d,16f,16h〜16jの半分の面積を有する長方形状の層である。磁性体層16eと非磁性体層20aとは、積層方向の同じ高さにおいて並ぶように設けられている。同様に、磁性体層16gと非磁性体層20bとは、積層方向の同じ高さにおいて並ぶように設けられている。図1(b)に示すように、磁性体層16h,16a,16b,16c,16d,16e、非磁性体層20a、磁性体層16f、非磁性体層20b、磁性体層16g,16i,16jの順に下から積層されている。
磁性体層16a,16b,16c,16d,16fの主面上にはそれぞれ、コイル電極18a,18b,18c,18d,18fが形成されている。また、磁性体層16eの主面上及び非磁性体層20aの主面上に跨って、コイル電極18eが形成されている。同様に、磁性体層16gの主面上及び非磁性体層20bの主面上に跨って、コイル電極18gが形成されている。コイル電極18a〜18gは、積層体12内において互いに接続されることによりコイルLを構成している。
各コイル電極18a〜18gは、Agからなる導電性材料からなり、「コ」字状を有する。これにより、一つのコイル電極18a〜18gが3/4巻き分に相当するコイルLの一部分を構成する。積層方向において最も下側及び最も上側に形成されたコイル電極18a,18gはそれぞれ、外部電極14a,14bに接続されている。なお、コイル電極18a〜18gは、Pd,Au,Pt等を主成分とする貴金属やこれらの合金などの導電性材料により形成されていてもよい。また、コイル電極18a〜18gは、3/4巻きに限らない。
以下では、個別の磁性体層16a〜16j、コイル電極18a〜18g及び非磁性体層20a,20bを指す場合には、参照符号の後ろにアルファベットを付し、これらを総称する場合には、参照符号の後ろのアルファベットを省略する。
ここで、コイルLのコイル軸Xは、図1(b)及び図1(c)に示すように、積層体12の上面の中心及び下面の中心を貫くように積層方向に延在している。以下、図1(b)及び図1(c)において、コイル軸Xを挟んで対向する2つの領域を領域α及び領域βとする。図1(b)及び図1(c)において、領域αは、コイル軸Xの右側に位置しており、領域βは、コイル軸Xの左側に位置している。そして、非磁性体層20a,20bは、図1(b)及び図1(c)に示すように、領域α内に位置するように設けられている。一方、磁性体層16e,16gはそれぞれ、非磁性体層20a,20bと隣接するように、領域β内に位置するように設けられている。すなわち、領域α内には、非磁性体層20が設けられているが、領域β内には、非磁性体層20が設けられていない。これにより、図1(b)に示すように、非磁性体層20a,20bは、コイル軸Xに平行な断面において該コイル軸Xに対して非対称な構造を有している。なお、非磁性体層20の構造とは、非磁性体層20の位置、形状及び数を指す。
以上のように構成された磁性体層16、コイル電極18及び非磁性体層20を積層方向に重ねて積層体12を形成し、外部電極14a,14bを形成すると、電子部品10aが得られる。
(効果)
電子部品10aによれば、以下に説明するように、直流重畳特性を向上させることができる。具体的には、電子部品10aでは、非磁性体層20が設けられている。これにより、コイルLが開磁路型コイルとなる。その結果、電子部品10aにおいて磁気飽和が発生することが抑制され、電子部品10aの直流重畳特性が向上する。
また、電子部品10aによれば、以下に図面を参照しながら説明するように、電流の大きさに応じて異なるインダクタンス値を得ることが可能となる。図2は、電子部品10aの直流重畳特性を示したグラフである。縦軸はインダクタンス値を示し、横軸は電流を示す。
図1(b)に示すように、非磁性体層20は、領域αにのみ設けられ、領域βには設けられていない。この場合、コイルLは、領域α内のコイルLα及び領域β内のコイルLβにより構成されていると考えることができる。
前記コイルLαは、図1(b)に示すように非磁性体層20が設けられているので、開磁路型コイルを構成しているとみなすことができる。それ故、コイルLαに相対的に大きな電流が流れるまで、図2の点線に示すように、コイルLαのインダクタンス値の急激な低下が発生しない。一方、前記コイルLβは、図1(b)に示すように非磁性体層20が設けられていないので、閉磁路型コイルを構成しているとみなすことができる。それ故、コイルLβに相対的に小さな電流が流れただけで、図2の一点鎖線に示すように、コイルLβのインダクタンス値が急激に低下する。すなわち、電子部品10aでは、コイル軸Xに平行な断面において、非磁性体層20a,20bの構造を該コイル軸Xに対して非対称とすることにより、領域α内のコイルLαの直流重畳特性と、領域β内のコイルLβの直流重畳特性とを異ならせている。
ここで、各パラメータを以下のように定義すると、コイルLのインダクタンス値Lと、コイルLαのインダクタンス値Lαと、コイルLβのインダクタンス値Lβとの間には、式(1)の関係が成立する。
コイルL内の総磁束:Φ
コイルLα内の磁束:Φα
コイルLβ内の磁束:Φβ
コイルLを流れる電流:I
コイルLの巻き数:N
L=ΦNI=(Φα+Φβ)NI=ΦαNI+ΦβNI=Lα+Lβ・・・(1)
式(1)より、コイルLのインダクタンス値Lは、コイルLαのインダクタンス値LαとコイルLβのインダクタンス値Lβの合計であることが理解できる。すなわち、コイルLの直流重畳特性は、図2の点線と一点鎖線とを加算して得られる曲線となる。その結果、コイルLの直流重畳特性は、図2の実線に示すように、電流の増加に伴って階段状にインダクタンス値が減少するようになる。より詳細には、コイルLでは、相対的に小さな電流がコイルLに流れた場合には、相対的に大きなインダクタンス値が得られ、相対的に大きな電流がコイルLに流れた場合には、相対的に小さなインダクタンス値が得られる。DC−DCコンバータに用いられるコイルでは、低出力電流領域において相対的に大きなインダクタンス値が要求されると共に、高出力電流領域において相対的に小さなインダクタンス値が要求される。それ故、電子部品10aをDC−DCコンバータに適用することが可能となる。
(変形例)
本発明の一実施形態に係る電子部品の構造は、電子部品10aの構造のみに限らない。より具体的には、非磁性体層20は、図1に示した構造に限らない。非磁性体層20は、コイルLαの直流重畳特性とコイルLβの直流重畳特性とが異なるような構造を有していればよい。以下に、コイルLαの直流重畳特性とコイルLβの直流重畳特性とを異ならせるための非磁性体層20の構造について、図面を参照しながら説明する。図3(a)は、第1の変形例に係る電子部品10bの断面構造図である。図3(b)は、電子部品10bのD−D、F−F及びG−Gにおける断面構造図である。図3(c)は、電子部品10bのE−Eにおける断面構造図である。図4(a)は、第2の変形例に係る電子部品10cの断面構造図である。図4(b)は、電子部品10cのI−Iにおける断面構造図である。図4(c)は、電子部品10cのH−Hにおける断面構造図である。
図1(b)及び図1(c)に示す電子部品10aでは、領域αには非磁性体層20が設けられ、領域βには非磁性体層20が設けられていなかった。一方、図3(a)、図3(b)及び図3(c)に示す電子部品10bでは、領域α及び領域βの両方に非磁性体層20が設けられている。ただし、領域αには、3つの非磁性体層20a,20b,20dが設けられ、領域βには、1つの非磁性体層20cが設けられている。すなわち、領域α内に設けられている非磁性体層20の数は、領域β内に設けられている非磁性体層20の数よりも多くなっている。このような構造を有する電子部品10bにおいても、コイルLαの直流重畳特性とコイルLβの直流重畳特性とを異ならせることができる。
また、図3(a)、図3(b)及び図3(c)に示す電子部品10bでは、領域αに設けられている非磁性体層20の数と、領域βに設けられている非磁性体層20の数とを異ならせることにより、コイルLαの直流重畳特性とコイルLβの直流重畳特性とを異ならせている。しかしながら、コイルLαの直流重畳特性とコイルLβの直流重畳特性とを異ならせる方法はこれに限らない。例えば、領域αに設けられている非磁性体層20の数と領域βに設けられている非磁性体層20の数とが同じである場合においても、コイルLαの直流重畳特性とコイルLβの直流重畳特性とを異ならせることができる。例えば、図4(a)、図4(b)及び図4(c)に示すように、非磁性体層20aの積層方向における位置と非磁性体層20bの積層方向における位置とを異ならせることによっても、コイルLαの直流重畳特性とコイルLβの直流重畳特性とを異ならせることができる。
(電子部品の製造方法)
以下に、電子部品10a〜10cの製造方法の一例として、電子部品10aの製造方法について説明する。図5ないし図9は、電子部品10aの製造工程を示す平面図及び断面構造図である。電子部品10aの製造の際には、実際には、複数の電子部品10aが同時に作製される。ただし、以下に説明する製造方法では、説明の簡略化のために、1個分の電子部品10aの製造方法について説明する。
図5ないし図9におけるセラミックグリーンシート116a,116h,116i,116jは、図1における磁性体層16a,16h,16i,16jの未焼成の状態の層あるいはシートを指す。以下、セラミックグリーンシート116a,116h,116i,116jを総称する場合には、参照符号の後ろのアルファベットを省略し、個別のセラミックグリーンシート116を指す場合には、参照符号の後ろにアルファベットを付す。
セラミックグリーンシート116は、以下のようにして作製される。酸化第二鉄(Fe23)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニッケル(NiO)、及び、酸化銅(CuO)をそれぞれ所定の比率で秤量したそれぞれの材料を原材料としてボールミルに投入し、湿式調合を行う。得られた混合物を乾燥してから粉砕し、得られた粉末を750℃で1時間仮焼する。得られた仮焼粉末をボールミルにて湿式粉砕した後、乾燥してから解砕し、フェライトセラミック粉末を得る。
このフェライトセラミック粉末に対して結合剤(酢酸ビニル、水溶性アクリル等)と可塑剤、湿潤材、分散剤を加えてボールミルで混合を行い、その後、減圧により脱泡を行う。得られたセラミックスラリーをドクターブレード法により、シート状に形成して乾燥させ、所望の膜厚(例えば、35μm)のセラミックグリーンシート116を作製する。
まず、図5(a)に示すように、作製したセラミックグリーンシート116aを一枚準備する。次に、このセラミックグリーンシート116aの上に、図5(b)に示すように、導電性ペーストをスクリーン印刷法やフォトリソグラフィ法などの方法で塗布することにより、コイル電極18aを形成する。コイル電極18aは、Ag,Pd,Cu,Auやこれらの合金などにより、「コ」字状となるように形成される。
次に、セラミックグリーンシート116a上には、図5(c)に示すように、フェライトのペーストをスクリーン印刷法により印刷することにより、磁性体層16bとなる印刷層116bを形成する。このフェライトのペーストは、セラミックグリーンシート116aと同じ材料により構成される。この際、コイル電極18aの端部の内、外部電極14aに接続されない方の端部が、印刷層116bから露出するように、該印刷層116bは形成される。これにより、コイル電極18aとコイル電極18bとの接続部分を形成している。
次に、この印刷層116b上に、図5(d)に示すように、導電性ペーストをスクリーン印刷法やフォトリソグラフィ法などの方法で塗布することにより、「コ」字状のコイル電極18bを形成する。コイル電極18bは、コイル電極18aが印刷層116bから露出した部分に一端が位置するように形成される。これにより、コイル電極18aとコイル電極18bとが接続される。
次に、印刷層116b上には、図5(e)に示すように、フェライトのペーストをスクリーン印刷法により印刷することにより、磁性体層16cとなる印刷層116cを形成する。このフェライトのペーストは、セラミックグリーンシート116aと同じ材料により構成される。この際、コイル電極18bの端部の内、コイル電極18aに接続されない方の端部が、印刷層116cから露出するように、該印刷層116cは形成される。これにより、コイル電極18bとコイル電極18cとの接続部分を形成している。
次に、この印刷層116c上に、図6(a)に示すように、導電性ペーストをスクリーン印刷法やフォトリソグラフィ法などの方法で塗布することにより、「コ」字状のコイル電極18cを形成する。コイル電極18cは、コイル電極18bが印刷層116cから露出した部分に一端が位置するように形成される。これにより、コイル電極18bとコイル電極18cとが接続される。
次に、印刷層116c上には、図6(b)に示すように、フェライトのペーストをスクリーン印刷法により印刷することにより、磁性体層16dとなる印刷層116dを形成する。このフェライトのペーストは、セラミックグリーンシート116aと同じ材料により構成される。この際、コイル電極18cの端部の内、コイル電極18bに接続されない方の端部が、印刷層116dから露出するように、該印刷層116dは形成される。これにより、コイル電極18cとコイル電極18dとの接続部分を形成している。
次に、この印刷層116d上に、図6(c)に示すように、導電性ペーストをスクリーン印刷法やフォトリソグラフィ法などの方法で塗布することにより、「コ」字状のコイル電極18dを形成する。コイル電極18dは、コイル電極18cが印刷層116dから露出した部分に一端が位置するように形成される。これにより、コイル電極18cとコイル電極18dとが接続される。
次に、印刷層116d上には、図6(d)に示すように、非磁性材料のペーストをスクリーン印刷法により領域αのみに印刷することにより、非磁性体層20aとなる印刷層120aを形成する。この非磁性材料のペーストは、酸化第二鉄(Fe23)、酸化亜鉛(ZnO)、及び、酸化銅(CuO)をそれぞれ所定の比率で混合して得られる。
次に、印刷層116d上には、図6(e)に示すように、フェライトのペーストをスクリーン印刷法により領域βのみに印刷することにより、磁性体層16eとなる印刷層116eを形成する。このフェライトのペーストは、セラミックグリーンシート116aと同じ材料により構成される。この際、コイル電極18dの端部の内、コイル電極18cに接続されない方の端部が、印刷層116eから露出するように、該印刷層116eは形成される。これにより、コイル電極18dとコイル電極18eとの接続部分を形成している。
次に、この印刷層116e,120a上に、図7(a)に示すように、導電性ペーストをスクリーン印刷法やフォトリソグラフィ法などの方法で塗布することにより、「コ」字状のコイル電極18eを形成する。コイル電極18eは、コイル電極18dが印刷層116eから露出した部分に一端が位置するように形成される。これにより、コイル電極18dとコイル電極18eとが接続される。
次に、印刷層116e,120a上には、図7(b)に示すように、フェライトのペーストをスクリーン印刷法により印刷することにより、磁性体層16fとなる印刷層116fを形成する。このフェライトのペーストは、セラミックグリーンシート116aと同じ材料により構成される。この際、コイル電極18eの端部の内、コイル電極18dに接続されない方の端部が、印刷層116fから露出するように、該印刷層116fは形成される。これにより、コイル電極18eとコイル電極18fとの接続部分を形成している。
次に、この印刷層116f上に、図7(c)に示すように、導電性ペーストをスクリーン印刷法やフォトリソグラフィ法などの方法で塗布することにより、「コ」字状のコイル電極18fを形成する。コイル電極18fは、コイル電極18eが印刷層116fから露出した部分に一端が位置するように形成される。これにより、コイル電極18eとコイル電極18fとが接続される。
次に、印刷層116f上には、図7(d)に示すように、非磁性材料のペーストをスクリーン印刷法により領域αのみに印刷することにより、非磁性体層20bとなる印刷層120bを形成する。この非磁性材料のペーストは、酸化第二鉄(Fe23)、酸化亜鉛(ZnO)、及び、酸化銅(CuO)をそれぞれ所定の比率で混合して得られる。この際、コイル電極18fの端部の内、コイル電極18eに接続されない方の端部が、印刷層120bから露出するように、該印刷層120bは形成される。これにより、コイル電極18fとコイル電極18gとの接続部分を形成している。
次に、印刷層116f上には、図8(a)に示すように、フェライトのペーストをスクリーン印刷法により領域βのみに印刷することにより、磁性体層16gとなる印刷層116gを形成する。このフェライトのペーストは、セラミックグリーンシート116aと同じ材料により構成される。
次に、この印刷層116g,120bの上に、図8(b)に示すように、導電性ペーストをスクリーン印刷法やフォトリソグラフィ法などの方法で塗布することにより、「コ」字状のコイル電極18gを形成する。コイル電極18gは、コイル電極18fが印刷層120bから露出した部分に一端が位置するように形成される。これにより、コイル電極18fとコイル電極18gとが接続される。
次に、図5(a)〜図8(b)の工程を経て得られた積層体の下に、図9に示すように、1層分のセラミックグリーンシート116hをシート積層法により積層及び圧着すると共に、該積層体の上に、2層分のセラミックグリーンシート116i,116jをシート積層法により積層及び圧着する。これにより、図1(b)に示すような断面構造を有する、未焼成の積層体12を得る。未焼成の積層体12には、脱バインダー処理及び焼成がなされる。焼成温度は、例えば、900℃である。これにより、焼成された積層体12が得られる。
次に、積層体12の表面には、例えば、浸漬法等の方法により主成分が銀である電極ペーストが塗布及び焼き付けされることにより、外部電極14a,14bが形成される。外部電極14a,14bは、図1(a)に示すように、積層体12の左右の端面に形成される。
最後に、外部電極14の表面に、Niめっき/Snめっきを施す。以上の工程を経て、図1に示すような電子部品10aが完成する。
なお、以上の製造方法によれば、印刷法とシート積層法とが組み合わされて電子部品10aが作製されたが、該電子部品10aの製造方法はこれに限らない。例えば、印刷法のみを用いてもよい。更には、転写方式により電子部品10aが製造されてもよい。この場合、予め、フィルム上に磁性体層16、コイル電極18、非磁性体層20を積層した層を複数作製しておく。そして、作製したこれらの層を次々と転写して積層していくことにより、積層体12を作製する。
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る電子部品の外観斜視図である。図1(b)は、電子部品のA−Aにおける断面構造図である。図1(c)は、電子部品のB−B及びC−Cにおける断面構造図である。 図1の電子部品の直流重畳特性を示したグラフである。 図3(a)は、第1の変形例に係る電子部品の断面構造図である。図3(b)は、電子部品のD−D、F−F及びG−Gにおける断面構造図である。図3(c)は、電子部品のE−Eにおける断面構造図である。 図4(a)は、第2の変形例に係る電子部品の断面構造図である。図4(b)は、電子部品のI−Iにおける断面構造図である。図4(c)は、電子部品のH−Hにおける断面構造図である。 電子部品の製造工程を示す平面図及び断面構造図である。 電子部品の製造工程を示す平面図及び断面構造図である。 電子部品の製造工程を示す平面図及び断面構造図である。 電子部品の製造工程を示す平面図及び断面構造図である。 電子部品の製造工程を示す平面図及び断面構造図である。
符号の説明
10a,10b,10c 電子部品
12 積層体
14a,14b 外部電極
16a〜16j 磁性体層
18a〜18g コイル電極
20a〜20d 非磁性体層
L,Lα,Lβ コイル

Claims (6)

  1. 複数の第1の絶縁層が積層されてなる積層体と、
    前記積層体内において互いに接続されることによりコイルを構成している複数のコイル電極と、
    前記コイルのコイル軸に平行な断面において該コイル軸に対して非対称な構造を有している絶縁層であって、前記第1の絶縁層よりも低い透磁率を有している第2の絶縁層と、
    を備えていることを特徴とする電子部品。
  2. 前記断面において、前記コイル軸を挟む2つの領域を第1の領域及び第2の領域としたときに、該第1の領域内に存在する前記コイルの直流重畳特性と、該第2の領域内に存在する該コイルの直流重畳特性とは、異なっていること、
    を特徴とする請求項1に記載の電子部品。
  3. 前記断面において、前記コイル軸を挟む2つの領域を第1の領域及び第2の領域としたときに、該第1の領域内には、前記第2の絶縁層が設けられていないこと、
    を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の電子部品。
  4. 前記断面において、前記コイル軸を挟む2つの領域を第1の領域及び第2の領域としたときに、該第2の領域内に設けられている前記第2の絶縁層の数は、該第1の領域内に設けられている該第2の絶縁層の数よりも多いこと、
    を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の電子部品。
  5. 前記断面において、前記コイル軸を挟む2つの領域を第1の領域及び第2の領域としたときに、該第2の領域内に設けられている前記第2の絶縁層の位置は、該第1の領域内に設けられている該第2の絶縁層の位置と異なること、
    を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の電子部品。
  6. 前記第2の絶縁層は、非磁性体層であること、
    を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の電子部品。
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