WO2009147925A1 - 電子部品 - Google Patents

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WO2009147925A1
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勝之 内田
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    • H01F17/0006Printed inductances
    • H01F17/0033Printed inductances with the coil helically wound around a magnetic core
    • HELECTRICITY
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Abstract

 階段状の直流重畳特性を有するコイルを内蔵した電子部品を提供する。  積層体(12a)は、第1の透磁率を有する絶縁層(16a~16e)が積層されてなる。積層体(12b)は、積層体(12a)に重ねられていると共に、第1の透磁率よりも低い第2の透磁率を有する絶縁層(17a~17e)が積層されてなる。コイル(L)は、積層体(12a,12b)に跨って形成され、z軸方向と直交するコイル軸を有している。

Description

電子部品
 本発明は、電子部品に関し、より特定的には、積層体内にコイルを内蔵している電子部品に関する。
 コイルを内蔵している従来の電子部品としては、例えば、特許文献1に記載の積層型インダクタンス素子が知られている。該積層型インダクタンス素子は、内部導体からなる螺旋状のコイルと、該コイルのコイル軸と直交するように設けられた第1の非磁性体層と、内部導体間に設けられている第2の非磁性体層とにより構成されている。
 前記積層型インダクタンス素子によれば、コイルを横切るように第1の非磁性体層が設けられているので、コイルが開磁路構造をとるようになる。その結果、積層型インダクタンス素子の電流が大きくなっても、磁気飽和によるインダクタンス値の急激な低下が発生しにくくなる。すなわち、積層インダクタンス素子の直流重畳特性が向上する。
 ところで、DC-DCコンバータが用いられる携帯電話等では、通常の動作を行っている通常状態と多くの機能を停止している待機状態とが存在する。通常状態では、比較的大きな電流がDC-DCコンバータを構成する電子部品のコイルに流れ(以下、高出力電流領域と称す)、待機状態では、微弱な電流がDC-DCコンバータを構成する電子部品のコイルに流れる(以下、低出力電流領域と称す)。
 前記電子部品において、低出力電流領域では、十分に大きなインダクタンス値が得られるような直流重畳特性が要求される。一方、該電子部品において、高出力電流領域では、コイルを流れる直流電流値が変化してもインダクタンス値が大きく変化しない安定した直流重畳特性が要求される。以下では、このように、低出力電流領域で十分に大きなインダクタンス値が得られ、かつ、高出力電流領域で安定したインダクタンス値が得られるような直流重畳特性を階段状の直流重畳特性と呼ぶ。
 しかしながら、特許文献1に記載の積層型インダクタンス素子では、階段状の直流重畳特性を得ることができない。より具体的には、該積層型インダクタンス素子は、磁気飽和によるインダクタンス値の急激な低下が発生しないので、比較的安定した直流重畳特性を有する。故に、該積層型インダクタンス素子では、低出力電流領域と高出力電流領域とにおいて、インダクタンス値の差が小さい。このような積層型インダクタンス素子において、高出力電流領域で所望のインダクタンス値を得ようとすると、低出力電流領域で十分なインダクタンス値を得ることができない。一方、該積層型インダクタンス素子では、低出力電流領域で所望のインダクタンス値を得ようとすると、高出力電流領域でインダクタンス値が大きくなりすぎてしまう。その結果、該積層型インダクタンス素子は、DC-DCコンバータに適用しにくいという問題を有していた。
特開2007-214424号公報
 そこで、本発明の目的は、階段状の直流重畳特性を有するコイルを内蔵した電子部品を提供することである。
 本発明の一形態に係る電子部品は、第1の透磁率を有する第1の絶縁層が積層されてなる第1の積層体と、前記第1の積層体に重ねられていると共に、前記第1の透磁率よりも低い第2の透磁率を有する第2の絶縁層が積層されてなる第2の積層体と、前記第1の積層体及び前記第2の積層体に跨って形成され、積層方向と直交するコイル軸を有するコイルと、を備えていること、を特徴とする。
 本発明によれば、階段状の直流重畳特性を有する電子部品を得ることができる。
本発明の一実施形態に係る電子部品の透視図である。 図1の電子部品の積層体の分解斜視図である。 図1の電子部品のA-Aにおける断面構造図である。 実験結果を示したグラフである。 比較例に係る電子部品の断面構造図である。 その他の実施形態に係る電子部品の断面構造図である。
 以下に、本発明の実施形態に係る電子部品について説明する。
(電子部品構成)
 図1は、本発明の一実施形態に係る電子部品10aの透視図である。図2は、電子部品10aの積層体12の分解斜視図である。図3は、図1の電子部品10aのA-Aにおける断面構造図である。以下、電子部品10aの積層方向をz軸方向と定義し、電子部品10aの長辺に沿った方向をx軸方向と定義し、電子部品10aの短辺に沿った方向をy軸方向と定義する。x軸、y軸及びz軸は互いに直交している。図1では、内部の様子が理解し易いように、外部電極14bの一部をカットして記載した。
 電子部品10aは、図1に示すように、積層体12及び外部電極14a,14bを備えている。積層体12は、直方体状を有しており、積層体12a,12bを含んでいる。積層体12bは、積層体12aの下に重ねられている。また、積層体12a,12bは、コイルLを内蔵している。外部電極14a,14bはそれぞれ、コイルLに電気的に接続されており、x軸方向の両端に位置する側面を覆うように形成されている。
 積層体12aは、図2に示すように、複数の長方形状の磁性体層16a~16e(絶縁層)がz軸方向の上から順に積層されて構成されている。磁性体層16a~16eは、軟磁性のフェライト(例えば、Ni-Zn-Cuフェライト又はNi-Znフェライト等)により作製されている。なお、図2において、磁性体層16a~16eは、5層の磁性体層により構成されているが、磁性体層16a~16eの総数はこれに限らない。電子部品10aにおいて、実際には、磁性体層16dと磁性体層16eとの間に更なる磁性体層が挿入されている。そのため、磁性体層16dと磁性体層16eとの間は、点線で繋いである。
 積層体12bは、図2に示すように、複数の長方形状の磁性体層17a~17e(絶縁層)がz軸方向の上から順に積層されて構成されている。該磁性体層17a~17eを構成している磁性体材料は、磁性体層16a~16eを構成している磁性体材料よりも低い透磁率を有している。故に、磁性体層17a~17eは、磁性体層16a~16eよりもNiの含有率が高くZnの含有率が低い軟磁性のフェライト(例えば、Ni-Zn-Cuフェライト又はNi-Znフェライト等)により作製されている。なお、図2において、磁性体層17a~17eは、5層の磁性体層により構成されているが、磁性体層17a~17eの総数はこれに限らない。電子部品10aにおいて、実際には、磁性体層17aと磁性体層17bとの間に更なる磁性体層が挿入されている。そのため、磁性体層17aと磁性体層17bとの間は、点線で繋いである。
 以下では、個別の磁性体層16a~16e,17a~17eを指す場合には、参照符号の後ろにアルファベットを付し、これらを総称する場合には、参照符号の後ろのアルファベットを省略する。
 また、図1及び図3に示すように、積層体12bのz軸方向の厚みは、積層体12aのz軸方向の厚みよりも大きい。すなわち、積層体12bを構成する磁性体層17の枚数は、積層体12aを構成している磁性体層16の枚数よりも多い。
 コイルLは、図1に示すように、旋廻しながらx軸方向に進行する螺旋状のコイルである。すなわち、コイルLのコイル軸は、x軸方向に平行である。コイルLは、図2に示すように、引き出し電極18a,18b、複数の帯状電極20a~20f,22a~22g及び複数のビアホール導体b1~b14,b21~b34を含んでいる。
 引き出し電極18a,18b及び帯状電極20a~20fは、図2及び図3に示すように、積層体12a内に形成されている。より具体的には、引き出し電極18a,18b及び帯状電極20a~20fは、同一の磁性体層16c上に形成されている。帯状電極20a~20fは、z軸方向の上側から平面視したときに、xy平面において正の傾きを有するように傾斜すると共に、互いに平行となるように等間隔に形成されている。なお、帯状電極20a~20fは、必ずしも平行である必要はない。
 引き出し電極18aは、略L字型を有しており、より詳細には、y軸方向の奥側から帯状電極20a~20fと平行に延びていると共に、途中で折り曲げられてx軸方向の左側の辺まで引き出された形状を有している。同様に、引き出し電極18bは、略L字型を有しており、より詳細には、y軸方向の手前側から帯状電極20と平行に延びていると共に、途中で折り曲げられてx軸方向の右側の辺まで引き出された形状を有している。引き出し電極18a,18bはそれぞれ、外部電極14a,14bに対して接続されている。
 帯状電極22a~22gは、図2及び図3に示すように、積層体12b内に形成されている。より具体的には、帯状電極22a~22gは、同一の磁性体層17c上に形成されている。帯状電極22a~22gは、z軸方向の上側から平面視したときに、xy平面において負の傾きを有するように傾斜すると共に、互いに平行となるように等間隔に形成されている。なお、帯状電極22a~22gは、必ずしも平行である必要はない。
 ビアホール導体b21~b27はそれぞれ、図2に示すように、引き出し電極18a及び帯状電極20a~20fのy軸方向の奥側の端部と接続されており、磁性体層16cをz軸方向に貫通するように形成されている。ビアホール導体b28~b34は、帯状電極20a~20f及び引き出し電極18bのy軸方向の手前側の端部と接続されており、磁性体層16cをz軸方向に貫通するように形成されている。
 ビアホール導体b1~b7は、磁性体層16d,16e,17a,17bのそれぞれにおいて、z軸方向から平面視したときに、ビアホール導体b21~b27と一致する位置に形成されており、磁性体層16d,16e,17a,17bをz軸方向に貫通するように形成されている。また、ビアホール導体b8~b14は、磁性体層16d,16e,17a,17bのそれぞれにおいて、z軸方向から平面視したときに、ビアホール導体b28~b34と一致する位置に形成されており、磁性体層16d,16e,17a,17bをz軸方向に貫通するように形成されている。
 以上のように構成された磁性体層16a~16e,17a~17eがこの順に積層されることにより、図1に示すように、積層体12内を旋廻しながらx軸方向に進行する螺旋状のコイルLが形成される。更に、コイルLは、積層体12aと積層体12bとに跨って形成されるようになる。より詳細には、ビアホール導体b1とビアホール導体b21とは、互いに接続されることにより、z軸方向に延在していると共に、引き出し電極18aのy軸方向の奥側の端部と帯状電極22aのy軸方向の奥側の端部とを接続する接続部として機能している。ビアホール導体b2とビアホール導体b22とは、互いに接続されることにより、z軸方向に延在していると共に、帯状電極20aのy軸方向の奥側の端部と帯状電極22bのy軸方向の奥側の端部とを接続する接続部として機能している。ビアホール導体b3とビアホール導体b23とは、互いに接続されることにより、z軸方向に延在していると共に、帯状電極20bのy軸方向の奥側の端部と帯状電極22cのy軸方向の奥側の端部とを接続する接続部として機能している。ビアホール導体b4とビアホール導体b24とは、互いに接続されることにより、z軸方向に延在していると共に、帯状電極20cのy軸方向の奥側の端部と帯状電極22dのy軸方向の奥側の端部とを接続する接続部として機能している。ビアホール導体b5とビアホール導体b25とは、互いに接続されることにより、z軸方向に延在していると共に、帯状電極20dのy軸方向の奥側の端部と帯状電極22eのy軸方向の奥側の端部とを接続する接続部として機能している。ビアホール導体b6とビアホール導体b26とは、互いに接続されることにより、z軸方向に延在していると共に、帯状電極20eのy軸方向の奥側の端部と帯状電極22fのy軸方向の奥側の端部とを接続する接続部として機能している。ビアホール導体b7とビアホール導体b27とは、互いに接続されることにより、z軸方向に延在していると共に、帯状電極20fのy軸方向の奥側の端部と帯状電極22gのy軸方向の奥側の端部とを接続する接続部として機能している。
 また、ビアホール導体b8とビアホール導体b28とは、互いに接続されることにより、z軸方向に延在していると共に、帯状電極20aのy軸方向の手前側の端部と帯状電極22aのy軸方向の手前側の端部とを接続する接続部として機能している。ビアホール導体b9とビアホール導体b29とは、互いに接続されることにより、z軸方向に延在していると共に、帯状電極20bのy軸方向の手前側の端部と帯状電極22bのy軸方向の手前側の端部とを接続する接続部として機能している。ビアホール導体b10とビアホール導体b30とは、互いに接続されることにより、z軸方向に延在していると共に、帯状電極20cのy軸方向の手前側の端部と帯状電極22cのy軸方向の手前側の端部とを接続する接続部として機能している。ビアホール導体b11とビアホール導体b31とは、互いに接続されることにより、z軸方向に延在していると共に、帯状電極20dのy軸方向の手前側の端部と帯状電極22dのy軸方向の手前側の端部とを接続する接続部として機能している。ビアホール導体b12とビアホール導体b32とは、互いに接続されることにより、z軸方向に延在していると共に、帯状電極20eのy軸方向の手前側の端部と帯状電極22eのy軸方向の手前側の端部とを接続する接続部として機能している。ビアホール導体b13とビアホール導体b33とは、互いに接続されることにより、z軸方向に延在していると共に、帯状電極20fのy軸方向の手前側の端部と帯状電極22fのy軸方向の手前側の端部とを接続する接続部として機能している。ビアホール導体b14とビアホール導体b34とは、互いに接続されることにより、z軸方向に延在していると共に、引き出し電極18bのy軸方向の手前側の端部と帯状電極22gのy軸方向の手前側の端部とを接続する接続部として機能している。
(効果)
 以上のように構成された電子部品10aによれば、互いに異なる透磁率を有する積層体12a,12bの境界が、コイルLのコイル軸と平行であるので、以下に説明するように、電子部品10aは、階段状の直流重畳特性を有するようになる。
 コイルLに発生する磁束は、図3に示すように、帯状電極20a~20fを周回する磁束φ1と、帯状電極22a~22gを周回する磁束φ2とからなっている。磁束φ1,φ2はそれぞれ、コイルLのコイル軸に平行なx軸方向に長い楕円形の軌跡を有している。
 一方、積層体12a,12bの境界は、図3に示すように、x軸方向に平行である。そのため、磁束φ1,φ2はそれぞれ、積層体12aと積層体12bとの間を行き来することなく、積層体12a,12b内に閉じ込められる。その結果、積層体12a内での磁気飽和と積層体12b内での磁気飽和とは、独立して発生する。具体的には、本実施形態に係る電子部品10aでは、積層体12aの透磁率が積層体12bの透磁率よりも大きいので、コイルLに流れる直流電流値が徐々に大きくなると、積層体12a内で積層体12bよりも先に磁気飽和が発生し、その後、積層体12b内で磁気飽和が発生する。
 以上より、電子部品10aでは、積層体12a内で磁気飽和が発生するまでにおける相対的に小さな直流電流値では、積層体12内において磁気飽和が発生していないので、十分に大きなインダクタンス値が得られる。一方、電子部品10aでは、積層体12a内で磁気飽和が発生してから積層体12b内で磁気飽和が発生するまでにおける相対的に大きな直流電流値では、積層体12a内でのみ磁気飽和が発生している。故に、コイルLにおいて積層体12a内に位置している部分のインダクタンス値は、大きく低下し、コイルLにおいて積層体12b内に位置している部分のインダクタンス値は、大きく低下することなく維持される。その結果、電子部品10aでは、積層体12aで磁気飽和が発生してから積層体12b内で磁気飽和が発生するまでの間における直流電流値では、安定したインダクタンス値が得られる。したがって、電子部品10aによれば、階段状の直流重畳特性を得ることができる。
 また、電子部品10aでは、積層体12bのz軸方向の厚みは、積層体12aのz軸方向の厚みよりも大きいので、以下に説明するように、コイルLにおいて積層体12a内に位置している部分のインダクタンス値とコイルLにおいて積層体12b内に位置している部分のインダクタンス値とを近づけることが可能となる。より詳細には、積層体12bの磁性体層17の透磁率は、積層体12aの磁性体層16の透磁率よりも低い。そのため、積層体12aのz軸方向の厚みと積層体12bのz軸方向の厚みとが等しい場合には、コイルLにおいて積層体12a内に位置している部分のインダクタンス値は、コイルLにおいて積層体12b内に位置している部分のインダクタンス値よりも大きくなってしまう。
 そこで、積層体12bのz軸方向の厚みを、積層体12aのz軸方向の厚みよりも大きくすることにより、2つのインダクタンス値の差を小さくできる。例えば、2つのインダクタンス値を等しくした場合には、階段状の直流重畳特性において、積層体12a内で磁気飽和が発生するまでのインダクタンス値を、積層体12b内で磁気飽和が発生するまでのインダクタンス値の略2倍にすることができる。
(実験結果)
 本願発明者は、電子部品10aが奏する効果をより明確なものとするために、以下に説明する実験を行った。本実験では、以下に示す条件の電子部品10aを作製し、直流重畳特性を計測した。
積層体12aのz軸方向の厚みと積層体12bのz軸方向の厚みとの比:1対3
積層体12aの磁性体層16の透磁率:290
積層体12bの磁性体層17の透磁率:65
サイズ:3.2mm×1.6mm×1.2mm
 図4は、実験結果を示したグラフである。縦軸は、インピーダンスを示し、横軸は、直流電流値を示している。図4によれば、電子部品10aは、直流電流値が0mA付近では、1nH程度の十分に大きなインダクタンス値を得ることができ、直流電流値が400mA~1000mAの間では、0.5nH程度で安定したインダクタンス値を得ることができている。以上より、電子部品10aによれば、階段状の直流重畳特性を得られることが理解できる。
(電子部品の製造方法)
 以下に、電子部品10aの製造方法について図面を参照しながら説明する。
 磁性体層16a~16eとなるセラミックグリーンシートを、以下の工程により作製する。酸化第二鉄(Fe23)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニッケル(NiO)、及び、酸化銅(CuO)を所定の比率で秤量し、それぞれの材料を原材料としてボールミルに投入し、湿式調合を行う。得られた混合物を乾燥してから粉砕し、得られた粉末を750℃で1時間仮焼する。得られた仮焼粉末をボールミルにて湿式粉砕した後、乾燥してから解砕して、フェライトセラミック粉末を得る。
 このフェライトセラミック粉末に対して結合剤(酢酸ビニル、水溶性アクリル等)と可塑剤、湿潤材、分散剤を加えてボールミルで混合を行い、その後、減圧により脱泡を行う。得られたセラミックスラリーをドクターブレード法により、シート状に形成して乾燥させ、磁性体層16a~16eとなるセラミックグリーンシートを作製する。
 次に、磁性体層17a~17eとなるセラミックグリーンシートを、以下の工程により作製する。酸化第二鉄(Fe23)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニッケル(NiO)、及び、酸化銅(CuO)を所定の比率で秤量し、それぞれの材料を原材料としてボールミルに投入し、湿式調合を行う。この際、磁性体層16a~16eとなるセラミックグリーンシートの作製時よりも、酸化ニッケル(NiO)の含有率を高くし、酸化亜鉛(ZnO)の含有率を低くする。得られた混合物を乾燥してから粉砕し、得られた粉末を750℃で1時間仮焼する。得られた仮焼粉末をボールミルにて湿式粉砕した後、乾燥してから解砕して、フェライトセラミック粉末を得る。
 このフェライトセラミック粉末に対して結合剤(酢酸ビニル、水溶性アクリル等)と可塑剤、湿潤材、分散剤を加えてボールミルで混合を行い、その後、減圧により脱泡を行う。得られたセラミックスラリーをドクターブレード法により、シート状に形成して乾燥させ、磁性体層17a~17eとなるセラミックグリーンシートを作製する。
 次に、磁性体層16cとなるセラミックグリーンシートに、ビアホール導体b21~b34を形成する。具体的には、図2に示すように、磁性体層16cとなるセラミックグリーンシートにレーザビームを照射してビアホールを形成する。次に、このビアホールに対して、Ag,Pd,Cu,Auやこれらの合金などの導電性ペーストを印刷塗布などの方法により充填する。
 また、磁性体層16d,16e,17a,17bとなるセラミックグリーンシートに、ビアホール導体b1~b14を形成する。具体的には、図2に示すように、磁性体層16d,16e,17a,17bとなるセラミックグリーンシートにレーザビームを照射してビアホールを形成する。次に、このビアホールに対して、Ag,Pd,Cu,Auやこれらの合金などの導電性ペーストを印刷塗布などの方法により充填する。
 次に、磁性体層16cとなるセラミックグリーンシート上に、Ag,Pd,Cu,Auやこれらの合金などを主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷法やフォトリソグラフィ法などの方法で塗布することにより、引き出し電極18a,18b及び帯状電極20a~20fを形成する。なお、帯状電極20a~20fを形成する工程とビアホールに対して導電性ペーストを充填する工程とは、同じ工程において行われてもよい。
 次に、磁性体層17cとなるセラミックグリーンシート上に、Ag,Pd,Cu,Auやこれらの合金などを主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷法やフォトリソグラフィ法などの方法で塗布することにより、帯状電極22a~22gを形成する。
 次に、図2に示すように、磁性体層16a~16e,17a~17eとなるセラミックグリーンシートを上側から下側へとこの順に積層する。より詳細には、磁性体層17eとなるセラミックグリーンシートを配置する。次に、磁性体層17eとなるセラミックグリーンシート上に、磁性体層17dとなるセラミックグリーンシートの配置及び仮圧着を行う。この後、磁性体層17c,17b,17a,16e,16d,16c,16b,16aとなるセラミックグリーンシートについても同様にこの順番に積層及び仮圧着して、マザー積層体を得る。更に、マザー積層体には、静水圧プレスなどにより本圧着が施される。
 次に、マザー積層体をギロチンカットにより所定寸法の積層体12にカットして、未焼成の積層体12を得る。この未焼成の積層体12には、脱バインダー処理及び焼成がなされる。脱バインダー処理は、例えば、低酸素雰囲気中において500℃で2時間の条件で行う。焼成は、例えば、1000℃で2時間の条件で行う。
 以上の工程により、焼成された積層体12が得られる。積層体12には、バレル加工を施して、面取りを行う。その後、積層体12の表面には、例えば、浸漬法等の方法により主成分が銀である電極ペーストを塗布及び焼き付けすることにより、外部電極14a,14bとなるべき銀電極を形成する。銀電極の乾燥は、120℃で10分間行われ、銀電極の焼き付けは、890℃で60分間行われる。最後に、銀電極の表面に、Niめっき/Snめっきを施すことにより、外部電極14a,14bを形成する。以上の工程を経て、図1に示すような電子部品10aが完成する。
 電子部品10aによれば、以下に説明するように、積層方向とコイルLのコイル軸とが直交しているので、比較的簡単な工程により、階段状の直流重畳特性を有する電子部品10aを作成できる。図5は、比較例に係る電子部品110の断面構造図である。
 より詳細には、階段状の直流重畳特性を有する電子部品10aを得るためには、コイルLは、コイル軸に平行な境界を有する積層体12a及び積層体12bに跨って形成されていればよい。
 ここで、階段状の直流重畳特性を得ることができる電子部品としては、図5に示す電子部品110が考えられる。該電子部品110では、異なる透磁率を有する2つの積層体112a,112bが積層方向に対して直交する方向に並んでいる。そのため、電子部品110を作製するためには、異なる透磁率を有する2つの磁性体層が接合された磁性体層を作製する必要がある。しかしながら、このような磁性体層を作製するには、比較的複雑な工程が必要となる。
 一方、電子部品10aでは、コイルLのコイル軸と積層方向とが直交している。そのため、積層体12aと積層体12bとの境界と、コイルLのコイル軸とが平行になる。したがって、相対的に低い透磁率を有する磁性体層16からなる積層体12bの上に、相対的に高い透磁率を有する磁性体層17からなる積層体12aを重ねるだけで、コイルLが、積層体12aと積層体12bに分けられるようになる。すなわち、電子部品10aでは、電子部品110のように、異なる透磁率を有する2つの磁性体層が接合された磁性体層を作製する必要がない。その結果、ビアホール導体、帯状電極及び引き出し部の形成、並びに、セラミックグリーンシートの積層・圧着といった比較的簡単な工程により、階段状の直流重畳特性を有する電子部品10aを作成できる。
 また、電子部品10aでは、引き出し電極18a,18b及び帯状電極20a~20fは、同一の磁性体層16cに形成されている。したがって、電子部品10aでは、引き出し電極18a,18b及び帯状電極20a~20fを一度のスクリーン印刷により形成することができる。その結果、電子部品10aは、引き出し電極18a,18b及び帯状電極20a~20fが複数の磁性体層16に分散して形成されている場合に比べて、容易に作製可能である。なお、帯状電極22a~22gについても同様のことが言える。ただし、このことは、引き出し電極18a,18b及び帯状電極20a~20fが複数の磁性体層16に分散して形成されていることを妨げない。同様に、帯状電極22a~22gが複数の磁性体層17に分散して形成されていることを妨げない。
(その他の実施形態)
 なお、電子部品10aは、前記実施形態に示したものに限らない。故に、その要旨の範囲内において変形可能である。以下に、その他の実施形態に係る電子部品10bについて図面を参照しながら説明する。図6は、その他の実施形態に係る電子部品10bの断面構造図である。
 図6に示すように、電子部品10bにおいて、積層体12aと積層体12bとの境界に非磁性体層30が設けられていてもよい。非磁性体層30は、磁束を通過させにくい性質を有しているので、磁束φ1,φ2はそれぞれ、より効果的に積層体12a,12b内に閉じ込められるようになる。その結果、電子部品10bによれば、電子部品10aよりも階段状の直流重畳特性を確実に得ることが可能となる。
 本発明は、電子部品に有用であり、特に、階段状の直流重畳特性を有する点において優れている。
 b1~b14,b21~b34 ビアホール導体
 L コイル
 10a,10b 電子部品
 12,12a,12b 積層体
 14a,14b 外部電極
 16a~16e,17a~17e 磁性体層
 18a,18b 引き出し電極
 20a~20f,22a~22g 帯状電極
 30 非磁性体層

Claims (5)

  1.  第1の透磁率を有する第1の絶縁層が積層されてなる第1の積層体と、
     前記第1の積層体に重ねられていると共に、前記第1の透磁率よりも低い第2の透磁率を有する第2の絶縁層が積層されてなる第2の積層体と、
     前記第1の積層体及び前記第2の積層体に跨って形成され、積層方向と直交するコイル軸を有するコイルと、
     を備えていること、
     を特徴とする電子部品。
  2.  前記コイルは、
      前記第1の積層体内に形成されている複数の第1の帯状電極と、
      前記第2の積層体内に形成されている複数の第2の帯状電極と、
      積層方向に延在していると共に、前記第1の帯状電極と前記第2の帯状電極とを接続している複数の接続部と、
     を含んでいること、
     を特徴とする請求項1に記載の電子部品。
  3.  前記複数の第1の帯状電極は、同一の前記第1の絶縁層上に形成されており、
     前記複数の第2の帯状電極は、同一の前記第2の絶縁層上に形成されていること、
     を特徴とする請求項2に記載の電子部品。
  4.  前記第2の積層体の積層方向の厚みは、前記第1の積層体の積層方向の厚みよりも大きいこと、
     を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電子部品。
  5.  前記第1の積層体と前記第2の積層体との境界に設けられた非磁性体層を、
     更に備えること、
     を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電子部品。
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