JP2010161038A - 電極活物質と電極材料及びその製造方法、並びに電極及び電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の電極活物質は、式LixAyBzPO4(ただし、AはCo、Mn、Ni、Fe、Cu、Crの群から選択された1種または2種以上、BはMg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sc、Y、希土類元素の群から選択された1種または2種以上、0<x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5)にて表される化合物中に硫黄または硫黄化合物を含有した。
【選択図】なし
Description
このリチウムイオン電池は、リチウムイオンを可逆的に脱挿入可能な性質を有する正極及び負極と、非水系の電解質により構成されている。
このリチウムイオン電池の負極材料としては、負極活物質として、一般に炭素系材料またはチタン酸リチウム(Li4Ti5O12)等の、リチウムイオンを可逆的に脱挿入可能な性質を有するLi含有金属酸化物が用いられている。
また、このリチウムイオン電池の正極材料としては、正極活物質として、鉄リン酸リチウム(LiFePO4)等の、リチウムイオンを可逆的に脱挿入可能な性質を有するLi含有金属酸化物が用いられている。そして、集電体と呼ばれる金属箔の表面に、この正極活物質とバインダー(結着剤)と有機溶媒等を含む電極材料合剤を塗布することにより、リチウムイオン電池の正極が形成されている。
そこで、電子伝導性を向上させた電極材料として、例えば、式LixAyBzPO4(ただし、AはCo、Mn、Ni、Fe、Cu、Crから選択された少なくとも1種、BはMg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sc、Y、希土類元素から選択された少なくとも1種、0≦x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5)からなる電極活物質の1次粒子を複数個集合して2次粒子とし、かつ、これら1次粒子間に、電子伝導性物質として炭素を介在させ、電極活物質の表面を炭素質被膜で被覆した電極材料が提案されている。
これらの電極材料の製造方法としては、電極活物質または電極活物質の前駆体と、有機化合物とを含むスラリーを噴霧し、乾燥して造粒体を生成し、この造粒体を500℃以上かつ1000℃以下の非酸化性雰囲気下にて熱処理する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本実施形態の電極活物質は、式LixAyBzPO4(ただし、AはCo、Mn、Ni、Fe、Cu、Crの群から選択された1種または2種以上、BはMg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sc、Y、希土類元素の群から選択された1種または2種以上、0<x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5)にて表される化合物中に硫黄または硫黄化合物を含有した物質である。ここで、上記の希土類元素としては、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luが挙げられる。
(1)上記の式LixAyBzPO4にて表される化合物を主成分とする1次粒子中に硫黄(S)が固溶した状態。すなわち、上記の式中のA、BまたはPのサイトの一部が硫黄(S)により置換された置換型固溶体、上記の式中のA、B、P及びOの原子により構成される格子の間の位置に溶け込む侵入型固溶体、のいずれかの状態。
(2)上記の式LixAyBzPO4にて表される化合物を主成分とする1次粒子の表面、またはこれら1次粒子同士の間隙あるいは粒界に、硫黄(S)微粒子または硫黄化合物が偏析した状態。この硫黄化合物としては、例えば、硫化第一鉄(FeS)微粒子、硫化第二鉄(Fe2S3)微粒子、硫酸リチウム(Li2SO4)微粒子が挙げられる。
ここで、上記の含有量が500ppm未満であると、電極活物質の導電性の向上が不充分なものとなり、一方、上記の含有量が100,000ppmを超えると、この電池活物質を用いて形成された電極を正極として備えた電池が所望の起電力(3.5V)を得られ難くなり、電池構成に影響を及ぼすこととなるので、好ましくない。
この電極活物質における硫黄または硫黄化合物の含有量は、例えば、「酸素気流中高周波誘導加熱燃焼−赤外線吸収法」を用いて測定することができる。
ここで、1次粒子の平均粒径を上記の範囲とした理由は、1次粒子の平均粒径が0.01μm未満では、1次粒子の表面を薄膜状の炭素で充分に被覆することが困難となり、高速充放電における放電容量が低くなり、充分な充放電性能を実現することが困難となり、一方、1次粒子の平均粒径が20μmを超えると、1次粒子の内部抵抗が大きくなり、高速充放電における放電容量が不充分なものとなるからである。
なお、本実施形態における「平均粒径」とは、「個数平均粒径」のことである。この1次粒子の平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置等を用いて測定することができる。
ここで、電極活物質の形状として、球状、特に真球状が好ましい理由は、後述する電極材料とバインダー樹脂(結着剤)と溶媒とを混合して正極形成用ペーストを調製する際の溶媒量を低減させることができるとともに、この正極形成用の集電体への塗工も容易となるからである。
本実施形態の電極材料は、上述した式LixAyBzPO4にて表される化合物中に硫黄または硫黄化合物を含有した電極活物質からなる1次粒子を複数個集合して2次粒子とし、かつ、これらの1次粒子間に炭素が存在している電極材料である。
図1は、本実施形態の電極材料を示す断面図であり、この電極材料は、上述した電極活物質からなる1次粒子1が複数個集合しており、これら複数の1次粒子1、1、…は、各々が薄膜状の炭素質被膜2により被覆され、かつ、この3次元網目構造を有する薄膜状の炭素質被膜2により互いに接合され、全体形状がほぼ球状である2次粒子3とされている。
ここで、上記の希土類元素としては、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luが挙げられる。
この2次粒子3に含まれる複数個の1次粒子1の間は、粒界層を兼ね備えている炭素質被膜2により全て埋められていてもよく、あるいは空間や隙間となっていてもよい。
ここで、炭素質被膜2の厚みの好ましい範囲を0.1nm以上かつ20nm以下とした理由は、厚みが0.1nm未満では、導電性の向上が充分ではないからであり、一方、厚みが20nmを超えると、電池活性、例えば、電極材料の単位質量当たりの電池容量の低下を引き起こすからである。
この炭素質被膜2の厚みは、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察することにより測定することができる。
ここで、この電極材料の平均粒径の好ましい範囲を0.01μm以上かつ20μm以下とした理由は、平均粒径が0.01μm未満では、1次粒子1の表面を薄膜状の炭素質被膜2で充分に被覆することが困難となり、高速充放電における放電容量が低くなり、充分な充放電性能を実現することが困難となるからであり、一方、平均粒径が20μmを超えると、電極材料の内部抵抗が大きくなるために、高速充放電における放電容量が不充分となるからである。
この電極材料の平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置等を用いて測定することができる。
ここで、電極材料の形状として、球状、特に真球状が好ましい理由は、後述する電極材料とバインダー樹脂(結着剤)と溶媒とを混合して正極形成用ペーストを調製する際の溶媒量を低減させることができるとともに、この正極形成用ペーストの集電体への塗工も容易となるからである。
なお、これらの抵抗率は、電極材料の粉末3gを8MPaの圧力で成形して得られた成形体を、8MPaの加圧下にて測定したときの値である。
本実施形態の電極材料の製造方法は、次の(1)、(2)のいずれかの方法である。
(1)製造方法A
上記の式LixAyBzPO4(ただし、AはCo、Mn、Ni、Fe、Cu、Crの群から選択された1種または2種以上、BはMg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sc、Y、希土類元素の群から選択された1種または2種以上、0<x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5)にて表される化合物中に硫黄または硫黄化合物を含有してなる電極活物質を得る第1の工程と、前記電極活物質と有機化合物とを含むスラリーを得、このスラリーを噴霧し、乾燥することにより、造粒体を得る第2の工程と、前記造粒体を500℃以上かつ1000℃以下の非酸化性雰囲気下にて熱処理することにより、電極材料を得る第3の工程と、を有する。
ここで、上記の希土類元素としては、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luが挙げられる。
例えば、液相法により作製したものとしては、Li源と、A源と、B源と、PO4源と、S源と、水とを混合して得られたスラリー状の混合物を、耐圧密閉容器中、例えば、温度80℃〜120℃、圧力0.05〜0.2MPaの条件下で水熱合成し、得られた沈殿物を水洗して得たケーキ状物質、あるいは、このケーキ状物質を必要に応じて熱処理して得られたものが、好適に用いられる。
このような化合物としては、例えば、Fe成分としては、硫酸鉄(II)(FeSO4)、酢酸鉄(II)(Fe(CH3COO)2)、塩化鉄(II)(FeCl2)等の2価の鉄塩が挙げられる。
ここで、上記の希土類元素としては、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luが挙げられる。
また、上記のS源としては、硫酸リチウム(Li2SO4)、硫酸カルシウム(CaSO4)、硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)等の硫酸塩に代表される硫黄化合物等が好適に用いられる。
ここで用いられるLi源、A源、B源、PO4源及びS源としては、液相法の場合と同様の化合物で粉末状のものを用いる。
ここで、上記の含有量が500ppm未満であると、電極活物質の導電性の向上が不充分なものとなり、一方、上記の含有量が100,000ppmを超えると、この電池活物質を用いて形成された電極を正極として備えた電池が所望の起電力(3.5V)を得られ難くなり、電池構成に影響を及ぼすこととなるので、好ましくない。
ここで、電極活物質が非晶質粒子でもよいとする理由は、この非晶質粒子は、第3の工程の500℃以上かつ1000℃以下の非酸化性雰囲気下にて熱処理する際に結晶化するからである。
ここで、1次粒子の平均粒径を上記の範囲とした理由は、1次粒子の平均粒径が0.01μm未満では、1次粒子の表面を薄膜状の炭素で充分に被覆することが困難となり、高速充放電における放電容量が低くなり、充分な充放電性能を実現することが困難となり、一方、1次粒子の平均粒径が20μmを超えると、1次粒子の内部抵抗が大きくなり、高速充放電における放電容量が不充分なものとなるからである。
ここで、電極活物質粉末の形状として、球状、特に真球状が好ましい理由は、この電極活物質粉末を用いて得られた電極材料とバインダー樹脂(結着剤)と溶媒とを混合して正極形成用ペーストを調製する際の溶媒量を低減させることができるとともに、この正極形成用の集電体への塗工も容易となるからである。
この有機化合物としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、セルロース、デンプン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、マルトース、スクロース、ラクトース、グリコーゲン、ペクチン、アルギン酸、グルコマンナン、キチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン、アガロース、ポリエーテルまたは多価アルコール類等が挙げられる。
この有機化合物の量は、必要に応じて適宜調製することができる。この有機化合物は、熱分解によって炭素質被膜の主成分を形成する。
これらを溶媒に溶解あるいは分散させる方法としては、電極活物質が分散し、かつ有機化合物が溶解または分散する方法であれば、特に限定されないが、例えば、遊星ボールミル、振動ボールミル、ビーズミル、ペイントシェーカー、アトライタ等の媒体粒子を高速で攪拌することができる媒体攪拌型分散装置を用いる方法が好ましい。
この噴霧の際の液滴の粒径は、0.05μm〜500μmとすることが好ましい。
次いで、この造粒体を500℃以上かつ1000℃以下、好ましくは600℃以上かつ900℃以下、さらに好ましくは600℃以上かつ750℃以下、の非酸化性雰囲気下にて熱処理する。これにより、有機化合物が熱分解して生成した炭素により電極活物質の1次粒子の表面が被覆され、上記の電極材料が得られる。
また、上記の熱処理時間は、有機化合物が熱分解されて充分に炭化される時間であれば特に制限はなく、例えば、0.1時間〜10時間、好ましくは0.5時間〜10時間とする。
上記の式LixAyBzPO4(ただし、AはCo、Mn、Ni、Fe、Cu、Crの群から選択された1種または2種以上、BはMg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sc、Y、希土類元素の群から選択された1種または2種以上、0<x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5)にて表される化合物中に硫黄または硫黄化合物を含有してなる電極活物質の前駆体を得る第1の工程と、前記電極活物質の前駆体と有機化合物とを含むスラリーを得、このスラリーを噴霧し、乾燥することにより、造粒体を得る第2の工程と、前記造粒体を500℃以上かつ1000℃以下の非酸化性雰囲気下にて熱処理することにより、電極材料を得る第3の工程と、を有する。
上記のLi源、A源、B源、PO4源、S源としては、上述した製造方法Aと同様の化合物を用いることができる。
次いで、上述した製造方法Aに準じて、この造粒体を500℃以上かつ1000℃以下、好ましくは600℃以上かつ900℃以下、さらに好ましくは600℃以上かつ750℃以下の、非酸化性雰囲気下にて熱処理する。この熱処理により、電極活物質の前駆体が分解・反応して電極活物質を生成すると共に、有機化合物が熱分解して生成した炭素により、この電極活物質の1次粒子の表面が被覆され、上記の電極材料が得られる。
本実施形態の電極は、上記の電極材料を用いて形成してなる電極である。
本実施形態の電極を作製するには、上記の電極材料と、結着剤(バインダー樹脂)と、溶媒とを混合して、正極形成用塗料または正極形成用ペーストを調製する。この際、必要に応じてカーボンブラック等の導電助剤を添加してもよい。
次いで、この正極形成用塗料または正極形成用ペーストを、金属箔の一方の面に塗布し、その後、乾燥し、正極活物質が一方の面に積層保持された金属箔を得る。
次いで、この金属箔の一方の面に積層保持された正極活物質を加圧圧着し、乾燥して、電極材料層を有する集電体(正極)を作製する。
電極材料とバインダー樹脂との配合比は、特に限定されないが、例えば、電極材料100質量部に対してバインダー樹脂を3質量部〜20質量部程度とする。
本実施形態の電池は、上記の電極を正極として備えてなる電池である。
本実施形態の電池においては、負極、電解質、セパレータ各々の形状や材質、及び電池の形状等は特に限定されるものではない。
本実施形態の電池によれば、その正極が、高純度であり、粒径が揃った微細な球状粉体である本実施形態の電極材料により形成されているので、高速充放電における放電容量が高く、安定した充放電性能を有し、かつ、高出力化を達成することができる。
容量8L(リットル)の耐圧密閉容器に、水2L(リットル)、1molのリン酸リチウム(Li3PO4)及び0.02molの硫酸リチウム(Li2SO4)を投入して混合し、次いで、120℃にて1時間、水熱合成した後、さらに3molの酢酸鉄(Fe(CH3COO)2)、2molのリン酸(H3PO4)及び水を加え、全体量を4L(リットル)とし、次いで、アルカリ成分を添加してpHを中性域に調整し、均一なスラリー状の混合物(A1)を調製した。
次いで、このスラリー状の混合物(A1)を120℃にて1時間、水熱合成し、得られた沈殿物を水洗し、ケーキ状の電極活物質の前駆体(A2)を得た。
次いで、このスラリーを180℃の温度下、常圧の大気雰囲気中に噴霧し、乾燥して、平均粒径が6μmの造粒体を得た。
得られた造粒体を700℃の窒素雰囲気下にて1時間、焼成し、電極材料(A3)を得た。
また、この電極材料(A3)の平均粒径を、マッピング機能付き走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察したところ、平均粒径が10μmの球状体であった。ここでは、ランダムに50個の粒子の粒径を測定し、これらの粒径の平均値を平均粒径とした。
この電極材料(A3)の透過型電子顕微鏡像(TEM像)を図2に示す。
さらに、この電極材料(A3)の硫黄(S)含有量を炭素−硫黄分析装置 EMIA−320V(堀場製作所社製)を用いて測定したところ、硫黄(S)換算で1000ppmであった。
1molのリン酸リチウム(Li3PO4)と、0.02molの硫酸リチウム(Li2SO4)とをボールミルを用いて混合し、次いで、大気中、500℃にて6時間焼成し、さらに、得られた焼成物をボールミルを用いて粉砕し、平均粒径50μmの微粉末を得た。
次いで、容量8L(リットル)の耐圧密閉容器に、上記の微粉末の全量、3molの酢酸鉄(Fe(CH3COO)2)、2molのリン酸(H3PO4)を投入し、さらに水を加えて全体量を4L(リットル)とし、次いで、アルカリ成分を添加してpHを中性域に調整し、均一なスラリー状の混合物(B1)を調製した。
次いで、このケーキ状の電極活物質の前駆体(B2)を用い、実施例1と同様にして、電極材料(B3)を得た。
また、電極材料(B3)の硫黄(S)マッピング像を実施例1に準じて観察したところ、電極材料(B3)中に硫黄(S)が均一に分布していることが分かった。
さらに、電極材料(B3)中の硫黄(S)含有量を実施例1に準じて測定したところ、硫黄(S)換算で1000ppmであった。
容量8L(リットル)の耐圧密閉容器に、水2L(リットル)、1.5molの炭酸リチウム(Li2CO3)及び0.02molの硫酸リチウム(Li2SO4)を投入して混合し、次いで、120℃にて1時間、水熱合成した後、さらに3molの酢酸鉄(Fe(CH3COO)2)、2molのリン酸(H3PO4)及び水を加え、全体量を4L(リットル)とし、次いで、アルカリ成分を添加してpHを中性域に調整し、均一なスラリー状の混合物(C1)を調製した。
次いで、このケーキ状の電極活物質の前駆体(C2)を用い、実施例1と同様にして、電極材料(C3)を得た。
また、電極材料(C3)の硫黄(S)マッピング像を実施例1に準じて観察したところ、電極材料(C3)中に硫黄(S)が均一に分布していることが分かった。
さらに、電極材料(C3)中の硫黄(S)含有量を実施例1に準じて測定したところ、硫黄(S)換算で1000ppmであった。
容量8L(リットル)の耐圧密閉容器に、水2L(リットル)、1molのリン酸リチウム(Li3PO4)及び0.02molの硫酸リチウム(Li2SO4)を投入して混合し、次いで、120℃にて1時間、水熱合成した後、さらに3molの酢酸鉄(Fe(CH3COO)2)、2molのリン酸(H3PO4)及び水を加え、全体量を4L(リットル)とし、次いで、アルカリ成分を添加してpHを中性域に調整し、均一なスラリー状の混合物(D1)を調製した。
次いで、このケーキ状の電極活物質(D2)を用い、実施例1と同様にして、電極材料(D3)を得た。
また、電極材料(D3)の硫黄(S)マッピング像を実施例1に準じて観察したところ、電極材料(D3)中に硫黄(S)が均一に分布していることが分かった。
さらに、電極材料(D3)中の硫黄(S)含有量を実施例1に準じて測定したところ、硫黄(S)換算で1000ppmであった。
容量8L(リットル)の耐圧密閉容器に、水2L(リットル)、1molのリン酸リチウム(Li3PO4)及び0.002molの硫酸リチウム(Li2SO4)を投入して混合し、次いで、120℃にて1時間、水熱合成した後、さらに3molの酢酸鉄(Fe(CH3COO)2)、2molのリン酸(H3PO4)及び水を加え、全体量を4L(リットル)とし、次いで、アルカリ成分を添加してpHを中性域に調整し、均一なスラリー状の混合物(E1)を調製した。
次いで、このケーキ状の電極活物質の前駆体(E2)を用い、実施例1と同様にして、電極材料(E3)を得た。
また、電極材料(E3)の硫黄(S)マッピング像を実施例1に準じて観察したところ、電極材料(E3)中に硫黄(S)が均一に分布していることが分かった。
さらに、電極材料(E3)中の硫黄(S)含有量を実施例1に準じて測定したところ、硫黄(S)換算で100ppmであった。
容量8L(リットル)の耐圧密閉容器に、水2L(リットル)、1molのリン酸リチウム(Li3PO4)及び3molの硫酸リチウム(Li2SO4)を投入して混合し、次いで、120℃にて1時間、水熱合成した後、さらに3molの酢酸鉄(Fe(CH3COO)2)、2molのリン酸(H3PO4)及び水を加え、全体量を4L(リットル)とし、次いで、アルカリ成分を添加してpHを中性域に調整し、均一なスラリー状の混合物(F1)を調製した。
次いで、このケーキ状の電極活物質の前駆体(F2)を用い、実施例1と同様にして、電極材料(F3)を得た。
また、電極材料(F3)の硫黄(S)マッピング像を実施例1に準じて観察したところ、電極材料(F3)中に硫黄(S)が均一に分布していることが分かった。
さらに、電極材料(F3)中の硫黄(S)含有量を実施例1に準じて測定したところ、硫黄(S)換算で150000ppmであった。
水2L(リットル)に、1molのリン酸リチウム(Li3PO4)及び1molのリン酸鉄(II)(Fe3(PO4)2)を、全体量が4L(リットル)になるように混合し、均一なスラリー状の混合物(G1)を調製した。
次いで、このケーキ状の電極活物質の前駆体(G2)を用い、実施例1と同様にして、電極材料(G3)を得た。
実施例1〜6および比較例で得られた電極材料の圧粉体抵抗率(導電性)を、低抵抗率計 Loresta−GP(三菱化学社製)を用い、25℃にて、四端子法により測定した。なお、圧粉体抵抗率の測定用試料は、試料3gを8MPaの圧力で成形し、8MPaの加圧下で測定した。評価結果を表1に示す。
また、実施例1〜6の電極材料(A3〜F3)を用いて形成された正極を備えた電池は、比較例の電極材料(G3)を用いて形成された正極を備えた電池と比較して、高速充放電における放電容量が高く、安定した充放電性能を有し、かつ、高出力化を達成していることが確認された。
実施例6の電極材料(F3)が特に優れている理由は、硫黄(S)含有量が硫黄(S)換算で150000ppmと非常に高いことに起因していると考えられる。
2 炭素質被膜
3 2次粒子
Claims (6)
- 式LixAyBzPO4(ただし、AはCo、Mn、Ni、Fe、Cu、Crの群から選択された1種または2種以上、BはMg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sc、Y、希土類元素の群から選択された1種または2種以上、0<x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5)にて表される化合物中に硫黄または硫黄化合物を含有してなることを特徴とする電極活物質。
- 式LixAyBzPO4(ただし、AはCo、Mn、Ni、Fe、Cu、Crの群から選択された1種または2種以上、BはMg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sc、Y、希土類元素の群から選択された1種または2種以上、0<x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5)にて表される化合物中に硫黄または硫黄化合物を含有した電極活物質からなる1次粒子を複数個集合して2次粒子とし、かつ、これらの1次粒子間に炭素が存在していることを特徴とする電極材料。
- 式LixAyBzPO4(ただし、AはCo、Mn、Ni、Fe、Cu、Crの群から選択された1種または2種以上、BはMg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sc、Y、希土類元素の群から選択された1種または2種以上、0<x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5)にて表される化合物中に硫黄または硫黄化合物を含有してなる電極活物質を得る第1の工程と、
前記電極活物質と有機化合物とを含むスラリーを得、このスラリーを噴霧し、乾燥することにより、造粒体を得る第2の工程と、
前記造粒体を500℃以上かつ1000℃以下の非酸化性雰囲気下にて熱処理することにより、電極材料を得る第3の工程と、
を有することを特徴とする電極材料の製造方法。 - 式LixAyBzPO4(ただし、AはCo、Mn、Ni、Fe、Cu、Crの群から選択された1種または2種以上、BはMg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sc、Y、希土類元素の群から選択された1種または2種以上、0<x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5)にて表される化合物中に硫黄または硫黄化合物を含有してなる電極活物質の前駆体を得る第1の工程と、
前記電極活物質の前駆体と有機化合物とを含むスラリーを得、このスラリーを噴霧し、乾燥することにより、造粒体を得る第2の工程と、
前記造粒体を500℃以上かつ1000℃以下の非酸化性雰囲気下にて熱処理することにより、電極材料を得る第3の工程と、
を有することを特徴とする電極材料の製造方法。 - 式LixAyBzPO4(ただし、AはCo、Mn、Ni、Fe、Cu、Crの群から選択された1種または2種以上、BはMg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sc、Y、希土類元素の群から選択された1種または2種以上、0<x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5)にて表される化合物中に硫黄または硫黄化合物を含有した電極活物質からなる1次粒子を複数個集合して2次粒子とし、かつ、これらの1次粒子間に炭素が存在している電極材料を用いて形成されてなることを特徴とする電極。
- 式LixAyBzPO4(ただし、AはCo、Mn、Ni、Fe、Cu、Crの群から選択された1種または2種以上、BはMg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sc、Y、希土類元素の群から選択された1種または2種以上、0<x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5)にて表される化合物中に硫黄または硫黄化合物を含有した電極活物質からなる1次粒子を複数個集合して2次粒子とし、かつ、これらの1次粒子間に炭素が存在している電極材料を用いて形成されてなる電極を、正極として備えてなることを特徴とする電池。
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