以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の位置誤差信号検出装置の第1実施形態を含む光学的情報記録再生装置の第1実施形態を示している。
位置誤差信号検出装置の第1実施形態は、光学ユニット2、コントローラ50、レーザ駆動回路53、増幅回路54、及び、誤差信号生成回路59を有する。
光学的情報記録再生装置1は、位置誤差信号検出装置の第1実施形態、変調回路51、記録信号生成回路52、再生信号処理回路55、復調回路56、対物レンズ駆動回路60、光偏向器駆動回路61、ポジショナ62、及び、ポジショナ駆動回路63を有する。光学的情報記録再生装置1は、光記録媒体3に対する情報の記録、及び、光記録媒体3から情報再生の少なくとも一方を行う。
図2に、光学ユニット2を示す。光学ユニット2は、レーザ光源4、凸レンズ5、ビームスプリッタ6、光偏向器7、対物レンズ8、円筒レンズ9、凸レンズ10、光検出器11、及び、回折光学素子17を有する。光偏向器7は、図示しない2つの電極の間に電気光学結晶、液晶などを挟んだ構成を有し、入射光を光軸に垂直な面内の2方向へ偏向可能である。対物レンズ8は、1軸のアクチュエータに搭載されており、光軸方向へ移動可能である。
まず、位置誤差信号検出装置に関係する部分について説明する。レーザ光源4から出射した光は、凸レンズ5を透過する。回折光学素子17は、凸レンズ5を透過した光から、透過光と回折光とを生成する。回折光学素子17を透過した光をメインビームとし、回折光をサブビームとする。回折光学素子17を透過した0次光の一部、及び、回折光学素子17で回折された回折光の一部は、ビームスプリッタ6を透過する。ビームスプリッタ6を透過した光は、光偏向器7を透過する。光偏向器7を透過した光は、対物レンズ8を透過して、光記録媒体3内に集光される。
光記録媒体3内に集光された光は、光記録媒体3内で反射する。光記録媒体3内で反射した光は、対物レンズ8を往路とは逆向きに通る。対物レンズ8を逆向きに通った光は、光偏向器7を透過する。光偏向器7を透過した光の一部は、ビームスプリッタ6で反射する。ビームスプリッタ6で反射した光は、円筒レンズ9及び凸レンズ10を透過する。光検出器11は、円筒レンズ9及び凸レンズ10の2つの焦線の中間に配置されている。円筒レンズ9及び凸レンズ10を透過した光は、光検出器11の受光部で受光される。
図3に、光記録媒体3の断面を示す。光記録媒体3は、保護層12、記録層13、反射層14、及び、保護層15をこの順に有する。保護層12、15の材料には、例えばガラスやプラスチックなどを用いることができる。記録層13の材料には、例えば相変化材料や有機色素材料を用いることができる。反射層14の材料には、例えば銀やアルミニウムを用いることができる。保護層12、15、記録層13、及び、反射層14の材料は、上記したものには限定されない。
記録層13及び反射層14は、対物レンズ8(図2)を用いて光記録媒体3内に集光されるビーム16の焦点深度内に位置している。保護層15の反射層14側の面には、面内位置誤差信号を検出するための凹凸構造が設けられている。この凹凸構造は、図19に示す構造と同じものである。記録層13及び反射層14は、保護層15に設けられている凹凸構造と同じ凹凸構造を有している。
回折光学素子17は、入射光から、透過光(メインビーム)と、透過光の光軸に垂直な第1の方向へ透過光に関して対称に偏向された光(第1のサブビーム群)と、透過光の光軸及び第1の方向に垂直な第2の方向へ透過光に関して対称に偏向された光(第2のサブビーム群)とを生成する。回折光学素子17は、表面に2次元の周期的な凹凸構造を有する。或いは、回折光学素子17は、表面に1次元の周期的な凹凸構造を有する素子を組み合わせて構成してもよい。回折光学素子17の材料には、例えばガラスやプラスチックを用いることができる。回折光学素子17の材料は、これらに限定されるわけではない。
図4に、表面に2次元の周期的な凹凸構造を有する回折光学素子17の一例(回折光学素子17a)を斜視図で示す。回折光学素子17上のX軸及びY軸は、光記録媒体3上のX軸及びY軸に対応する。また、回折光学素子17上のZ軸は、光軸と平行である。X軸は、メインビームの光軸に垂直な第1の方向に相当する。また、Y軸は、メインビームの光軸及びX軸に垂直な第2の方向に相当する。回折光学素子17は、入射した光の一部をXZ平面内及びYZ平面内に回折する。回折光学素子17で回折された光のうち、XZ平面内に回折された+1次回折光、及び、−1次回折光は、第1のサブビーム群に相当する。また、回折光のうち、YZ平面内に回折された+1次回折光、及び、−1次回折光は、第2のサブビーム群に相当する。
回折光学素子17aは、領域群340a〜343aの4つの領域群で構成されるユニットが、X軸方向及びY軸方向に周期的に配置された2次元の周期的な凹凸構造(回折格子)を有する。各ユニットは、X軸方向及びY軸方向にそれぞれ周期cx、cyで配置される。領域群341a(第2の領域)は、領域群340a(第1の領域)に対してX軸方向に隣接し、領域群340aに対してX軸方向にcx/2だけずらした位置で、かつ、領域群340aに対して深さhだけ深い位置に設けられている。領域群342a(第3の領域)は、領域群340aに対してY軸方向に隣接し、領域群340aに対してY軸方向にcy/2だけずらした位置で、かつ、領域群340aに対して深さhだけ深い位置に設けられている。領域群343a(第4の領域)は、領域群342a、341aに対してそれぞれX軸方向及びY軸方向に隣接し、領域群340aに対してX軸方向及びY軸方向にそれぞれcx/2、cy/2だけずらした位置で、かつ、領域群340aに対して深さ2hだけ深い位置に設けられている。
図5は、反射層14と、回折光学素子17aを用いたときの反射層14上の集光スポットの配置とを示している。回折光学素子17aを透過したメインビームは、対物レンズ8で集光され、反射層14(図3)上に集光スポット318として集光される。回折光学素子17aで回折された回折光(サブビーム)は、対物レンズ8で集光され、反射層14上に集光スポット319a〜319dとして集光される。より詳細には、回折光学素子17aでXZ平面内に回折された+1次回折光は、集光スポット319aとして集光され、−1次回折光は、集光スポット319bとして集光される。また、回折光学素子17aでYZ平面内に回折された+1次回折光は、集光スポット319cとして集光され、−1次回折光は、集光スポット319dとして集光される。回折光学素子17aは、反射層14上で、集光スポット319a及び319bのY軸方向の集光位置が、集光スポット318のY軸方向の集光位置に対してpy/2だけずれた位置になり、かつ、集光スポット319c及び319dのX軸方向の集光位置が、集光スポット318のX軸方向の集光位置に対してpx/2だけずれた位置になるように、光軸の周りに回転させて配置される。
図6に、表面に2次元の周期的な凹凸構造を有する回折光学素子17の別例(回折光学素子17b)の上面を示す。回折光学素子17bは、光軸を中心として、X軸及びY軸を含む面内で、X軸及びY軸を境界とする4つの領域18a〜18dを有する。上記した回折光学素子17aとの相違点は、領域18a及び18bと領域18c及び18dとで、X軸方向の回折格子の位相が半周期ずれており、領域18a及び18dと領域18b及び18cとで、Y軸方向の回折格子の位相が半周期ずれている点である。つまり、回折光学素子17bを構成する回折格子は、光軸を通りX軸方向に平行な直線を境界として一方の側と他方の側との間で格子の位相が互いに半周期だけずれ、光軸を通りY軸方向に平行な直線を境界として一方の側と他方の側との間で格子の位相が互いに半周期だけずれている。
図7に、回折光学素子17bを斜視図で示す。回折光学素子17bは、領域群340b〜343bの4つの領域群で構成されるユニットが、X軸方向及びY軸方向に周期的に配置された2次元の周期的な凹凸構造(回折格子)を有する。各ユニットは、X軸方向及びY軸方向にそれぞれ周期cx、cyで配置される。領域群341bは、領域群340bに対してX軸方向に隣接し、領域群340bに対してX軸方向にcx/2だけずらした位置で、かつ、領域群340bに対して深さhだけ深い位置に設けられる。領域群342bは、領域群340bに対してY軸方向に隣接し、領域群340bに対してY軸方向にcy/2だけずらした位置で、かつ、領域群340bに対して深さhだけ深い位置に設けられる。領域群343bは、領域群342b及び341bに対してそれぞれX軸方向、Y軸方向に隣接し、領域群340bに対してX軸方向及びY軸方向にそれぞれcx/2、cy/2だけずらした位置で、かつ、領域群340bに対して深さ2hだけ深い位置に設けられている。
図7に示すように、領域18a及び18bにおける凹凸構造のX軸方向の位相は、それぞれ領域18d及び18cにおける凹凸構造のX軸方向の位相に対して半周期だけずれる。例えば領域群340aに着目すれば、領域18a及び18bにおける領域群340aのX軸方向の位置と、領域18c及び18dにおける領域群340aの位置とは、cx/2だけずれている。また、領域18a及び18dにおける凹凸構造のY軸方向の位相は、それぞれ領域18b及び18cにおける凹凸構造のY軸方向の位相に対して半周期だけずれている。例えば、領域群340aに着目すれば、領域18a及び18dにおける領域群340aの位置と、領域18b及び18cにおける領域群340aの位置とは、cy/2だけずれている。
図8は、反射層14と、回折光学素子17bを用いたときの反射層14上の集光スポットの配置とを示している。回折光学素子17bを透過したメインビームは、対物レンズ8で集光され、反射層14上に集光スポット320として集光される。回折光学素子17bで回折された回折光(サブビーム)は、対物レンズ8で集光され、反射層14上に集光スポット321a〜321dとして集光される。より詳細には、回折光学素子17bでXZ平面内に回折された+1次回折光は、集光スポット321aとして集光され、−1次回折光は、集光スポット321bとして集光される。また、回折光学素子17bでYZ平面内に回折された+1次回折光は、集光スポット321cとして集光され、−1次回折光は、集光スポット321dとして集光される。回折光学素子17bは、反射層14上で、集光スポット321a及び321bのY軸方向の集光位置が、集光スポット320のY軸方向の集光位置と同じ位置になり、かつ、集光スポット321c及び321dのX軸方向の集光位置が、集光スポット320のX軸方向の集光位置と同じ位置になるように、光軸の周りに回転させて配置される。
ここで、回折光学素子17bの領域18a及び18bからのX軸方向への±1次回折光の位相と、領域18d及び18cからのX軸方向への±1次回折光の位相とは、互いに半周期だけずれている。同様に、回折光学素子17bの領域18a及び18dからのY軸方向への±1次回折光の位相と、領域18b及び18cからのY軸方向への±1次回折光の位相とは、互いに半周期だけずれている。このため、回折光学素子17bでXZ平面内に回折された+1次回折光及び−1次回折光(第1のサブビーム群)は、光軸を通りX軸に平行な直線をはさんで位相が互いにπだけずれており、反射層14上の集光スポット321a及び321bは、光軸を通りX軸に平行な直線を挟んで、互いに強度が等しい2つのピークを持つ。また、回折光学素子17bでYZ平面内に回折された+1次回折光及び−1次回折光(第2のサブビーム群)は、光軸を通りY軸に平行な直線をはさんで位相が互いにπだけずれており、反射層14上の集光スポット321c及び321dは、光軸を通りY軸に平行な直線を挟んで、互いに強度が等しい2つのピークを持つ。
回折光学素子17は、上記した表面に2次元の凹凸構造を有するもの(回折光学素子17a、17b)に代えて、表面に1次元の周期的な凹凸構造を有する回折光学素子を2つ組み合わせて構成してもよい。この場合、一方の回折光学素子における回折格子は、格子の方向がYの方向に平行な方向とし、他方の回折光学素子における回折格子は、格子の方向がX軸方向に平行な方向とすればよい。
図9に、表面に1次元の周期的な凹凸構造を有する回折光学素子17の一例(回折光学素子17c)を示す。また、図10に、回折光学素子17cと組み合わせて用いる回折光学素子17dを示す。回折光学素子17c(図9)は、1次元の周期的な凹凸構造を有している。この凹凸構造は、領域群440a、441aにより構成されている。領域群440a、441aは、X軸方向に周期cxで離散的に配置された複数の領域から成る。領域群441aは、領域群440aに対してX軸方向に隣接し、領域群440aに対してX軸方向にcx/2だけずらした位置で、かつ、領域群440aに対して深さhだけ深い位置に設けられている。回折光学素子17cに入射した光の一部は、上記凹凸構造により、XZ平面内に回折される。
回折光学素子17d(図10)は、1次元の周期的な凹凸構造を有している。この凹凸構造は、領域群442a、443aにより構成されている。領域群442a、443aは、Y軸方向に周期cyで離散的に配置された複数の領域から成る。領域群443aは、領域群442aに対してY軸方向に隣接し、領域群442aに対してY軸方向にcy/2だけずらした位置で、かつ、領域群442aに対して深さhだけ深い位置に設けられている。回折光学素子17dに入射した光の一部は、上記凹凸構造により、YZ平面内に回折される。回折光学素子17として、回折光学素子17cと回折光学素子17dとを組み合わせたものを用いることで、回折光学素子17は、全体として、透過光と、XZ平面に回折された±1次回折光と、YZ平面に回折された±1次回折光とを生成する。
回折光学素子17として、回折光学素子17cと回折光学素子17dとを組み合わせたものを用いた場合、反射層14上に集光される光の配置は、図5と同様な配置となる。すなわち、回折光学素子17c及び17dの双方を透過した0次光(メインビーム)は、集光スポット318として集光される。回折光学素子17cでXZ平面内に回折された±1次回折光(第1のサブビーム群)は、集光スポット319a及び319bとして集光される。また、回折光学素子17dでYZ平面内に回折された±1次回折光(第2のサブビーム群)は、集光スポット319c及び319dとして集光される。
図11に、表面に1次元の周期的な凹凸構造を有する回折光学素子17の別例(回折光学素子17e)を示す。また、図12に、回折光学素子17eと組み合わせて用いる回折光学素子17fを示す。回折光学素子17e及び17fは、図6に示す回折光学素子17bと同様に、光軸を通りX軸方向に平行な直線と、光軸を通りY軸方向に平行な直線とを境界とする4つの領域(領域18a〜18d)を有する。
回折光学素子17e(図11)は、1次元の周期的な凹凸構造を有している。この凹凸構造は、領域群440b、441bにより構成されている。領域群440b、441bは、X軸方向に周期cxで離散的に配置された複数の領域から成る。領域群441bは、領域群440bに対してX軸方向に隣接し、領域群440bに対してX軸方向にcx/2だけずらした位置で、かつ、領域群440bに対して深さhだけ深い位置に設けられている。回折光学素子17eでは、領域18a及び18bにおける凹凸構造のX軸方向の位相が、領域18d及び18cにおける凹凸構造のX軸方向の位相に対して半周期だけずれている。回折光学素子17eに入射した光の一部は、上記凹凸構造により、XZ平面内に回折される。
回折光学素子17f(図12)は、1次元の周期的な凹凸構造を有している。この凹凸構造は、領域群442b、443bにより構成されている。領域群442b、443bは、Y軸方向に周期cyで離散的に配置された複数の領域から成る。領域群443bは、領域群442bに対してY軸方向に隣接し、領域群442bに対してY軸方向にcy/2だけずらした位置で、かつ、領域群442bに対して深さhだけ深い位置に設けられている。回折光学素子17fでは、領域18a及び18dにおける凹凸構造のY軸方向の位相が、領域18b及び18cにおける凹凸構造のY軸方向の位相に対して半周期だけずれている。回折光学素子17fに入射した光の一部は、上記凹凸構造により、XZ平面内に回折される。回折光学素子17として、回折光学素子17eと回折光学素子17fとを組み合わせたものを用いることで、回折光学素子17は、全体として、透過光と、XZ平面に回折された±1次回折光と、YZ平面に回折された±1次回折光とを生成する。
回折光学素子17として、回折光学素子17eと回折光学素子17fとを組み合わせたものを用いた場合、反射層14上に集光される光の配置は、図8と同様な配置となる。すなわち、回折光学素子17e及び17fの双方を透過した0次光(メインビーム)は、集光スポット320として集光される。回折光学素子17eでXZ平面内に回折された±1次回折光(第1のサブビーム群)は、集光スポット321a及び321bとして集光される。また、回折光学素子17fでYZ平面内に回折された±1次回折光(第2のサブビーム群)は、集光スポット321c及び321dとして集光される。
ここで、回折光学素子17として、回折光学素子17a、又は、回折光学素子17cと回折光学素子17dとの組み合わせを用いたときに、XZ平面内に回折された±1次回折光のY軸方向の集光位置を、メインビームのY軸方向の集光位置に対してpy/2だけずれた位置にすることと、回折光学素子として、回折光学素子17b、又は、回折光学素子17eと回折光学素子17fとの組み合わせを用いたときに、XZ平面内に回折された±1次回折光のY軸方向の集光位置を、メインビームのY軸方向の集光位置と同じ位置にすることとは、Y軸方向の面内位置誤差信号に関しては等価である。同様に、回折光学素子17として、回折光学素子17a、又は、回折光学素子17cと回折光学素子17dとの組み合わせを用いたときに、YZ平面内に回折された±1次回折光のX軸方向の集光位置を、メインビームのX軸方向の集光位置に対してpx/2だけずれた位置にすることと、回折光学素子17として、回折光学素子17b、又は、回折光学素子17eと回折光学素子17fとの組み合わせを用いたときに、YZ平面内に回折された±1次回折光のX軸方向の集光位置を、メインビームのX軸方向の集光位置と同じ位置にすることとは、X軸方向の面内位置誤差信号に関しては等価である。
図13に、光検出器11の受光部と光検出器11上の光スポットの配置を示す。光スポット22は、回折光学素子17からの0次光に相当する。光スポット22は、光軸を通るX軸に平行な分割線及びY軸に平行な分割線で4つに分割された受光部24a〜24dで受光される。
光スポット23aは、回折光学素子17によりXZ平面内に回折された+1次回折光に相当する。光スポット23aは、Y軸に平行な分割線で2つに分割された受光部24e、24fで受光される。光スポット23bは、回折光学素子17でXZ平面内に回折された−1次回折光に相当する。光スポット23bは、Y軸に平行な分割線で2つに分割された受光部24g、24hで受光される。
光スポット23cは、回折光学素子17によりYZ平面内に回折された+1次回折光に相当する。光スポット23cは、X軸に平行な分割線で2つに分割された受光部24i、24jで受光される。光スポット23dは、回折光学素子17でYZ平面内に回折された−1次回折光に相当する。光スポット23dは、X軸に平行な分割線で2つに分割された受光部24k、24lで受光される。
受光部24a〜24lは、受光した光の量に応じた電圧信号を出力する。受光部24a〜24lの出力電圧を、V24a〜V24lとする。光軸方向の位置誤差信号は、非点収差法により、
PEZ1=(V24a+V24c)−(V24b+V24d) (1)
の演算から得られる。
回折光学素子17の0次光を用いたX軸方向の面内位置誤差信号は、プッシュプル法により、
PEXM1=(V24a+V24b)−(V24c+V24d)
の演算から得られる。また、回折光学素子17でYZ平面内に回折された±1次回折光を用いたX軸方向の面内位置誤差信号は、プッシュプル法により、
PEXS1=(V24i+V24k)−(V24j+V24l)
の演算から得られる。
回折光学素子17の0次光を用いたY軸方向の面内位置誤差信号は、プッシュプル法により、
PEYM1=(V24a+V24d)−(V24b+V24c)
の演算から得られる。また、回折光学素子17でXZ平面内に回折された±1次回折光を用いたY軸方向の面内位置誤差信号は、プッシュプル法により、
PEYS1=(V24e+V24g)−(V24f+V24h)
の演算から得られる。
差動プッシュプル法によるX軸方向の面内位置誤差信号は、
PEX1=PEXM1−K×PEXS1(Kは定数) (2)
の演算から得られる。また、差動プッシュプル法によるY軸方向の面内位置誤差信号は、
PEY1=PEYM1−K×PEYS1(Kは定数) (3)
の演算から得られる。
図14(a)〜(c)は、光偏向器7が透過光を偏向したときの各面内位置誤差信号を示している。図14(a)〜(c)において、横軸は反射層14上のメインビームの集光スポット(図5の集光スポット318又は図8の集光スポット320)のX軸方向又はY軸方向の位置を表している。また、縦軸は、面内位置誤差信号の大きさを表している。
図14(a)は、光偏向器7が、透過光をX軸の正の方向に偏向したときのX軸方向の面内位置誤差信号、又は、透過光をY軸の正の方向に偏向したときのY軸方向の面内位置誤差信号を示している。図14(a)にて、面内位置誤差信号25aは、回折光学素子17の0次光を用いたX軸方向又はY軸方向の位置誤差信号(PEXM1又はPEYM1)である。面内位置誤差信号25bは、回折光学素子17でYZ平面内に回折された±1次回折光を用いたX軸方向の面内位置誤差信号(PEXS1)、又は、回折光学素子でXZ平面内に回折された±1次回折光を用いたY軸方向の面内位置誤差信号(PEYS1)である。
図14(b)は、光偏向器7が、透過光をX軸の負の方向に偏向したときのX軸方向の面内位置誤差信号、又は、透過光をY軸の負の方向に偏向したときのY軸方向の面内位置誤差信号を示している。図14(b)にて、面内位置誤差信号25cは、回折光学素子17の0次光を用いたX軸方向又はY軸方向の面内位置誤差信号(PEXM1又はPEYM1)である。面内位置誤差信号25dは、回折光学素子17でYZ平面内に回折された±1次回折光を用いたX軸方向の面内位置誤差信号(PEXS1)、又は、回折光学素子17でXZ平面内に回折された±1次回折光を用いたY軸方向の面内位置誤差信号(PEYS1)である。
図14(c)は、光偏向器7が、透過光をX軸方向に偏向したときのX軸方向の面内位置誤差信号、又は、透過光をY軸方向に偏向したときのY軸方向の面内位置誤差信号を示している。図14(c)にて、面内位置誤差信号25eは、差動プッシュプル法によるX軸方向又はY軸方向の面内位置誤差信号(PEX1又はPEY1)である。
光偏向器7で透過光を偏向すると、対物レンズ8に入射する光が光軸から傾くことで、対物レンズ8の開口によって反射光にケラレが生じる。そのため、面内位置誤差信号を検出する光検出器11の受光部24a〜24l上での光スポット22及び23a〜23dの強度分布が非対称となり、面内位置誤差信号にオフセットが発生する。
図14(a)及び(b)に示すように、0次光を用いたX軸方向又はY軸方向の面内位置誤差信号25a、25cと、YZ平面内に回折された±1次回折光を用いたX軸方向の面内位置誤差信号又はXZ平面内に回折された±1次回折光を用いたY軸方向の面内位置誤差信号25b、25dとは、極性が逆であるが、それぞれの信号のオフセットは同じ符号を持つ。すなわち、光偏向器7で透過光をX軸又はY軸の正の方向に偏向した場合(図14(a))では、各信号のオフセットは正の符号を持ち、透過光をX軸又はY軸の負の方向に偏向した場合(図14(b))では、各信号のオフセットは負の符号を持つ。
上記に対し、図14(c)に示すように、差動プッシュプル法によるX軸方向又はY軸方向の面内位置誤差信号25eは、光偏向器7が透過光を偏向しても、オフセットが生じない。これは、差動プッシュプル法による面内位置誤差信号25eでは、図14(a)、(b)に示す0次光を用いた面内位置誤差信号25a、25cのオフセットと、±1次回折光を用いた面内位置誤差信号25b、25dのオフセットとが相殺されるためである。このように、面内位置誤差信号の検出に差動プッシュプル法を用いることで、対物レンズの開口によって反射光にケラレが生じたとしても、オフセットを生じることなく、面内位置誤差信号を生成することができる。
次に、位置誤差信号検出装置に関係する回路の動作について説明する。レーザ駆動回路53は、レーザ光源4を駆動する。増幅回路54は、光学ユニット2内の光検出器11が出力する信号を増幅する。増幅回路54は、光検出器11が有する受光部24a〜24l(図13)が出力する信号を、それぞれ増幅する。誤差信号生成回路59は、面内位置誤差信号を含む各種の誤差信号を生成する。より詳細には、誤差信号生成回路59は、増幅回路54が増幅した各受光部の電圧信号に基づいて、光軸方向の位置誤差信号PEZ1(式1)、X軸方向の面内位置誤差信号PEX1(式2)、及び、Y軸方向の面内位置誤差信号PEY1(式3)を生成する。
次に、光学的情報記録再生装置1全体及び光学的情報記録再生装置1に関係する回路の動作について説明する。光記録媒体3は、ポジショナ62に搭載される。ポジショナ駆動回路63は、ポジショナ62を駆動する。光偏向器駆動回路61は、光学ユニット2(図2)内の光偏向器7を駆動する。光偏向器7及びポジショナ62は、光記録媒体3に照射される集光スポットの位置を面内2方向に移動させる面内集光スポット移動手段に相当する。光偏向器駆動回路61及びポジショナ駆動回路63は、面内集光スポット移動手段を駆動する面内集光スポット移動手段駆動回路に相当する。対物レンズ駆動回路60は、光学ユニット2内の対物レンズ8を搭載するアクチュエータを駆動する。
レーザ駆動回路53は、レーザ光源4を駆動する。変調回路51は、光記録媒体3への情報の記録時に、記録データとして外部から入力された信号を、所定の変調規則に従って変調する。記録信号生成回路52は、情報記録時に、変調回路51で変調された信号に基づいて、光学ユニット2内のレーザ光源4を駆動するための記録信号を生成する。変調回路51、記録信号生成回路52、及び、レーザ駆動回路53は、光記録媒体3に情報を記録するための記録回路に相当する。
レーザ駆動回路53は、光記録媒体3への情報の記録時には、レーザ光源4に、記録信号生成回路52が生成した記録信号に応じた電流を供給し、レーザ光源4を駆動する。情報記録時に、レーザ光源4を出射し、回折光学素子17を0次光として透過したメインビームは、対物レンズ8により光記録媒体3の反射層14(図3)に集光される。このメインビームの集光スポットにより、光記録媒体3の記録層13に記録マークが形成され、情報が記録される。
増幅回路54は、光学ユニット2内の光検出器11が出力する信号を増幅する。増幅回路54は、光検出器11が有する受光部24a〜24l(図13)が出力する信号を、それぞれ増幅する。再生信号処理回路55は、情報再生時に、増幅回路54が出力する電圧信号に基づいて、再生信号の生成、波形等化、2値化を行う。復調回路56は、再生信号処理回路55で2値化された信号を所定の復調規則に従って復調し、再生データを出力する。増幅回路54、再生信号処理回路55、及び、復調回路56は、光記録媒体3から情報を再生するための再生回路に相当する。
レーザ駆動回路53は、光記録媒体3からの情報の再生時には、レーザ光源4からの出射光のパワーが一定になるように、レーザ光源4へ一定の電流を供給し、レーザ光源4を駆動する。再生信号は、光記録媒体3の反射層14で反射し、光検出器11の受光部24a〜24dで受光された光の和であり、
RF1=(V24a+V24b+V24c+V24d)
の演算から得られる。
対物レンズ駆動回路60は、対物レンズ8を搭載するアクチュエータに、光軸方向の位置誤差信号PEZ1に応じた電流を供給する。対物レンズ駆動回路60は、光軸方向の位置誤差信号PEZ1に応じてアクチュエータを駆動し、光記録媒体3に照射されるメインビームの集光スポット(図5の集光スポット318又は図8の集光スポット320)にデフォーカスが生じないように、対物レンズ8を光軸方向へ駆動する。
光偏向器駆動回路61は、面内位置誤差信号PEX1及び面内位置誤差信号PEY1に応じた電圧を、光偏向器7の電極へ供給する。光偏向器駆動回路61は、面内位置誤差信号PEX1及び面内位置誤差信号PEY1に応じて光偏向器7を駆動し、光記録媒体3に照射されるメインビームの集光スポットが、領域群240(図19)を含む複数の領域のうち、任意の領域の中心に位置するように、入射光をX軸方向及びY軸方向へ偏向させる。
ポジショナ駆動回路63は、光記録媒体3の面内でメインビームの集光スポットの位置を変更する際に、ポジショナ62が有するモータへ電流を供給し、光記録媒体3をX軸方向及びY軸方向へ移動させる。ポジショナ駆動回路63は、この動作を、面内位置誤差信号PEX1及び面内位置誤差信号PEY1に基づいて、目標位置までのX軸方向及びY軸方向の移動量を検出しながら行う。
コントローラ50は、全体の制御を行う。コントローラ50は、対物レンズ駆動回路60、光偏向器駆動回路61、ポジショナ駆動回路63、変調回路51と記録信号生成回路52で構成される回路、及び、再生信号処理回路55と復調回路56で構成される回路を制御する。
本実施形態では、位置誤差信号検出装置は、回折光学素子17(図2)を用いて、レーザ光源4が出射する出射光から、メインビームと、メインビームの光軸に垂直なX軸方向(第1の方向)へメインビームに関して対称に偏向された第1のサブビーム群と、メインビームの光軸及びX軸方向に垂直なY軸方向(第2の方向)へメインビームに関して対称に偏向された第2のサブビーム群とを生成する。位置誤差信号検出装置は、光検出器11を用いて、メインビーム、第1のサブビーム群、及び、第2のサブビーム群を、光記録媒体3内の2次元の周期的な凹凸構造を有する反射層14(図3)に集光した際の反射光を受光する。その後、位置誤差信号検出装置は、誤差信号生成回路59(図1)で、メインビームの反射光及び第2のサブビーム群の反射光に基づいて、反射層14上の凹凸構造の凸部に対するメインビームの集光スポットのX軸方向の位置ずれを表す面内位置誤差信号PEX1(第1の面内位置誤差信号)を生成する。また、メインビームの反射光及び第1のサブビーム群の反射光に基づいて、反射層14上の凹凸構造の凸部に対するメインビームの集光スポットのY軸方向の位置ずれを表す面内位置誤差信号PEY1(第2の面内位置誤差信号)を生成する。
本実施形態では、X軸方向の面内位置誤差信号を、メインビームの反射光と、Y軸方向へメインビームに関して対称に偏向された第2のサブビーム群の反射光とに基づいて生成している。図14を参照して説明したように、光偏向器7を用いて透過光を偏向したとき、メインビームの反射光を用いた面内位置誤差信号と、第2のサブビーム群の反射光を用いた面内位置誤差信号とには、メインビームの集光スポットの位置に応じて同様の傾向を有するオフセットが生じる。誤差信号生成回路59が、メインビームの反射光を用いた面内位置誤差信号のオフセットを、第2のサブビーム群の反射光を用いた面内位置誤差信号のオフセットで相殺することで、光偏向器7を用いてメインビーム及びサブビームを偏向したときでも、オフセットを生じることなく、X軸方向の面内位置誤差信号を生成することができる。Y軸方向についても同様に、Y軸方向の面内位置誤差信号を、メインビームの反射光と、X軸方向へメインビームに関して対称に偏向された第1のサブビーム群の反射光とに基づいて生成することで、光偏向器7を用いてメインビーム及びサブビームを偏向したときでも、オフセットを生じることなく、Y軸方向の面内位置誤差信号を生成することができる。
また、本実施形態の光学的情報記録再生装置1では、情報の記録再生に際して、位置誤差信号検出装置が生成したX軸方向及びY軸方向の面内位置誤差信号に基づいて、メインビームの集光スポットをX軸方向及びY軸方向に制御する。位置誤差信号検出装置は、オフセットを生じることなくX軸方向及びY軸方向の面内位置誤差信号を生成できるので、そのような面内位置誤差信号を用いることで、集光スポットのX軸方向及びY軸方向への位置制御の精度を向上することができる。その結果、情報の記録再生に際して、記録再生特性を向上することができる。
図15は、本発明の位置誤差信号検出装置の第2実施形態を含む光学的情報記録再生装置の第2実施形態を示している。第1実施形態では、使用対象の光記録媒体3の記録層13及び反射層14(図3)が2次元の凹凸構造を有し、記録層13及び反射層14がビームガイド層として機能した。本実施形態では、ビームガイド層とは別に記録層を有する光記録媒体99を使用対象とし、位置誤差信号検出装置は、そのような光記録媒体99における面内位置誤差信号を生成する。また、光学的情報記録再生装置98は、そのような光記録媒体99に対する情報の記録・再生を行う。
位置誤差信号検出装置の第2の実施形態は、光学ユニット100、コントローラ150、レーザ駆動回路157、増幅回路158、及び、誤差信号生成回路159とを備える。
光学的情報記録再生装置98は、位置誤差信号検出装置の第2の実施形態、変調回路151、記録信号生成回路152、レーザ駆動回路153、増幅回路154、再生信号処理回路155、復調回路156、対物レンズ駆動回路160、増幅回路161、誤差信号生成回路162、対物レンズ駆動回路163、ポジショナ164、ポジショナ駆動回路165、リレーレンズ駆動回路166、シャッタ駆動回路167、及び、光偏向器駆動回路168、169を有する。光学的情報記録再生装置98は、3次元記録再生用の光学的情報記録再生装置である。
図16に、光学ユニット100を示す。光学ユニット100は、レーザ光源101、凸レンズ102、偏光ビームスプリッタ103、偏光ビームスプリッタ104、ミラー105、λ/2板106、凸レンズ107、凸レンズ108、ダイクロイックミラー109、λ/4板110、対物レンズ111、ミラー112、シャッタ113、偏光ビームスプリッタ114、ミラー115、凸レンズ116、凸レンズ117、ミラー118、λ/4板119、対物レンズ120、凸レンズ121、光検出器122、λ/4板123、凸レンズ124、光検出器125、レーザ光源126、凸レンズ127、ビームスプリッタ128、凸レンズ129、円筒レンズ130、光検出器131、凹レンズ132、円筒レンズ133、光偏向器134、光偏向器135、及び、回折光学素子136を有する。
光学ユニット100は、レーザ光源101と、レーザ光源126とを有している。レーザ光源101は、光記録媒体99に情報を記録し、或いは、光記録媒体99から情報を再生する際に用いる光を出射する。つまり、レーザ光源101は、光記録媒体99内の記録層に集光する光を出射する。一方、レーザ光源126は、光記録媒体99内のビームガイド層に照射する光を出射する。レーザ光源126が出射する光の波長と、レーザ光源101が出射する光の波長とは、互いに異なる。レーザ光源126は、第1の光源に相当し、レーザ光源101は、第2の光源に相当する。光学ユニット100内の各要素のうち、位置誤差信号装置に関係する部分は、レーザ光源126が出射した光を光記録媒体99内のビームガイド層に集光し、その反射光を光検出器131で検出するまでの経路に関係する部分である。
まず、位置誤差信号検出装置に関係する部分について説明する。レーザ光源126を出射した光は、凸レンズ127を透過し、回折光学素子136に入射する。回折光学素子136の構成及び動作は、本発明の位置誤差信号検出装置の第1の実施形態における回折光学素子17の構成及び動作と同じである。すなわち、回折光学素子136は、入射光から、透過光(メインビーム)と、透過光の光軸に垂直な第1の方向へ透過光に関して対称に偏向された光(第1のサブビーム群)と、透過光の光軸及び第1の方向に垂直な第2の方向へ透過光に関して対称に偏向された光(第2のサブビーム群)とを生成する。
回折光学素子136を透過した0次光(メインビーム)、及び、回折光学素子136で回折された回折光(サブビーム)は、ビームスプリッタ128に入射し、一部がダイクロイックミラー109側に透過する。ダイクロイックミラー109は、レーザ光源126が出射する光と同じ波長の光を透過する。ダイクロイックミラー109を透過した光は、光偏向器134に入射する。光偏向器134は、2つの電極の間に電気光学素子、液晶などを挟んだ構成であり、入射光を光軸に垂直な面内の2方向へ偏向可能である。光偏向器134を透過した光は、λ/4板110を透過し、対物レンズ111により、光記録媒体99内に集光される。対物レンズ111は、図示しない1軸のアクチュエータに搭載されており、光軸方向へ移動可能である。
光記録媒体99内に集光された光は、光記録媒体99内のビームガイド層で反射し、その反射光は、対物レンズ111を往路とは逆向きに通る。対物レンズ111を逆向きに通った光は、λ/4板110を透過し、光偏向器134を透過する。光偏向器134を透過した光は、ダイクロイックミラー109を透過し、ビームスプリッタ128で一部が光検出器131側へ反射する。
ビームスプリッタ128で反射した光は、円筒レンズ130と凸レンズ129とを透過する。光検出器131は、円筒レンズ130と凸レンズ129の2つの焦線の中間に設置されている。光検出器131の構成及び動作は、本発明の位置誤差信号検出装置の第1の実施形態における光検出器11の構成及び動作と同じである。すなわち、光検出器131は、受光部24a〜24l(図13)を有し、メインビームに対するビームガイド層からの反射光、第1のサブビーム群に対するビームガイド層からの反射光、及び、第2のサブビーム群に対するビームガイド層からの反射光を受光する。
次に、位置誤差信号検出装置に関係する回路の動作について説明する。レーザ駆動回路157は、光学ユニット100内のレーザ光源126を駆動する。レーザ駆動回路157は、レーザ光源126に一定の電流を供給し、レーザ光源126の出射光のパワーを一定に保つ。増幅回路158は、光検出器131の出力を増幅する。増幅回路158は、光検出器131の受光部24a〜24l(図13)の出力を、それぞれ増幅する。誤差信号生成回路159は、受光部24a〜24lの出力に基づいて、光軸方向位置誤差信号PEZ1(式1)、面内位置誤差信号(PEX1(式2)及びPEY1(式3))を生成する。
次に、光学的情報記録再生装置98全体について説明する。レーザ光源101を出射した光の経路について説明する。レーザ光源101を出射した光は、凹レンズ132と凸レンズ102とで構成されるエキスパンダレンズ系を透過し、ビーム径が拡大される。エキスパンダレンズ系を透過した光は、λ/4板123を透過し、直線偏光から円偏光に変換される。λ/4板123を透過した光のうち、約50%が、偏光ビームスプリッタ103でS偏光成分として反射し、約50%が、偏光ビームスプリッタ103をP偏光成分として透過する。
偏光ビームスプリッタ103で反射した光は、λ/2板106を透過して偏光方向が90°変化する。λ/2板106を透過した光は、偏光ビームスプリッタ104へP偏光として入射し、ほぼ100%が透過する。偏光ビームスプリッタ104を透過した光は、ミラー105で反射し、凸レンズ107と凸レンズ108とで構成されるリレーレンズ系を透過する。凸レンズ108は、1軸のアクチュエータに搭載されており、光軸方向へ移動可能である。
リレーレンズ系を透過した光は、ダイクロイックミラー109に入射する。ダイクロイックミラー109は、レーザ光源101から出射する光と同じ波長の光を反射する。ダイクロイックミラー109で反射した光は、光偏向器134を透過し、λ/4板110を透過して直線偏光から円偏光に変換される。λ/4板110を透過した光は、対物レンズ111により、光記録媒体99内に集光される。
一方、偏光ビームスプリッタ103を透過した光は、ミラー112で反射し、シャッタ113に入射する。シャッタ113は、入射光を通過させるか、遮断するかを切り替え可能である。シャッタ113は、光記録媒体99への情報の記録時は入射光を通過させ、情報の再生時は入射光を遮断する。
シャッタ113を通過した光は、偏光ビームスプリッタ114へP偏光として入射してほぼ100%が透過する。偏光ビームスプリッタ114を透過した光は、ミラー115で反射し、凸レンズ116と凸レンズ117とで構成されるリレーレンズ系を透過する。凸レンズ117は、1軸のアクチュエータに搭載されており、光軸方向へ移動可能である。
リレーレンズ系を透過した光は、ミラー118で反射し、光偏向器135を透過する。光偏向器135は図示しない2つの電極の間に電気光学結晶、液晶などを挟んだ構成であり、入射光を光軸に垂直な面内の2方向へ偏向可能である。光偏向器135を透過した光は、λ/4板119を透過して直線偏光から円偏光へ変換される。λ/4板119を透過した光は、対物レンズ120により光記録媒体99内に集光される。対物レンズ120は、1軸のアクチュエータに搭載されており、光軸方向へ移動可能である。
光記録媒体99への情報記録時は、シャッタ113は入射光を透過させるので、光記録媒体99には、偏光ビームスプリッタ103で反射した光と、透過した光との双方が対向して照射されることになる。偏光ビームスプリッタ103で反射し、対物レンズ111により光記録媒体99内に集光された光と、偏光ビームスプリッタ103を透過し、対物レンズ120により光記録媒体99内に集光された光とは、光記録媒体99内の同一の位置に集光されて干渉し、集光位置に微小な回折格子が形成される。
図17に、光記録媒体99の断面を示す。光記録媒体99は、保護層139、波長選択層140、記録層141、及び、保護層142をこの順に有する。保護層139、142の材料には、例えばガラスやプラスチックなどを用いることができる。波長選択層140の材料には、例えば誘電体多層膜などを用いることができる。記録層141の材料には、例えばフォトポリマを用いることができる。保護層139、142、波長選択層140、記録層141の材料は、上記したものには限定されない。
波長選択層140は、レーザ光源126が出射する光と同じ波長の光を反射し、レーザ光源101が出射する光と同じ波長の光を透過させる。保護層139の波長選択層140側の面には、面内位置誤差信号を検出するための凹凸構造が設けられている。この凹凸構造は、図19に示すものと同じである。波長選択層140は、ビームガイド層であり、保護層139に設けられている凹凸構造と同じ凹凸構造を有する。
図17にて、ビーム145は、レーザ光源126から出射し、対物レンズ111により集光された光を表している。ビーム145は、波長選択層140上に集光される。波長選択層140上に集光されたビーム145は、波長選択層140で反射する。この反射光は、最終的に、光検出器131の受光部で受光される。
ビーム143は、レーザ光源101が出射した光のうち、偏光ビームスプリッタ103で反射し、対物レンズ111により集光された光を表している。また、ビーム144は、レーザ光源101が出射した光のうち、偏光ビームスプリッタ103を透過し、対物レンズ120により集光された光を表している。
光記録媒体99への情報記録時には、ビーム143とビーム144とが、記録層141内に照射される。ビーム143とビーム144は、記録層141内の同一の位置に集光され、集光位置に回折格子が形成される。
光記録媒体99からの情報再生時は、シャッタ113が偏光ビームスプリッタ103を透過した光を遮断するので、2つのビームのうち、ビーム144は存在しない。つまり、記録層141には、ビーム143とビーム144のうち、ビーム143のみが照射される。ビーム143は、情報再生時には、記録層141内に形成された回折格子に集光される。回折格子に集光された光は、一部が反射し、対物レンズ111を逆向きに通る。
図16に戻り、対物レンズ111を逆向きに通った回折格子からの反射光は、λ/4板110を透過して円偏光から直線偏光に変換される。λ/4板110を透過した光は、光偏向器134を透過し、ダイクロイックミラー109で反射する。ダイクロイックミラー109で反射した光は、凸レンズ108と凸レンズ107とで構成されるリレーレンズ系を透過する。
リレーレンズ系を透過した光は、ミラー105で反射し、偏光ビームスプリッタ104へS偏光として入射しほぼ100%が反射する。偏光ビームスプリッタ104で反射した光は、凸レンズ121を透過し、光検出器122の受光部で受光される。光検出器122は、第2の光源であるレーザ光源101が出射する光を光記録媒体99内に集光した際の光記録媒体99からの反射光を受光する第2の光検出器に相当する。光記録媒体99からの再生信号(RF2)は、光検出器122の受光部での受光量から得られる。
光偏向器134及び135は、それぞれ、偏光ビームスプリッタ103で反射した光、及び、偏光ビームスプリッタ103を通過した光を偏向し、光記録媒体99内の集光スポットの位置を、光記録媒体99の面内2方向へ移動させる。また、リレーレンズ系は、凸レンズ108及び凸レンズ117の位置を光軸方向に移動することで、それぞれ、偏光ビームスプリッタ103で反射した光、及び、偏光ビームスプリッタ103を通過した光の光記録媒体99内の集光スポットの位置を光記録媒体99の厚み方向へ移動させる。このような制御を行うことで、光記録媒体99の面内2方向だけでなく、厚み方向にも多層に回折格子のパターを形成することができ、3次元の記録再生が可能になる。
情報記録時に、対物レンズ111により光記録媒体99内に集光された光(図17のビーム143)は、光記録媒体99を対物レンズ120側に透過する。光記録媒体99を透過した光は、対物レンズ120を逆向きに通り、λ/4板119を透過して円偏光から直線偏光に変換される。λ/4板119を透過した光は、光偏向器135を透過する。光偏向器135を透過した光は、ミラー118で反射し、凸レンズ117と凸レンズ116とで構成されるリレーレンズ系を透過する。
リレーレンズ系を透過した光は、ミラー115で反射し、偏光ビームスプリッタ114へS偏光として入射しほぼ100%が反射する。偏光ビームスプリッタ114で反射した光は、円筒レンズ133及び凸レンズ124を透過する。光検出器125は、円筒レンズ133と凸レンズ124の2つの焦線の中間に設置されている。円筒レンズ133及び凸レンズ124を透過した光は、光検出器125の受光部で受光される。
図18は、光検出器125の受光部と、光検出器125上の光スポットの配置とを示している。光スポット147は、対物レンズ111側から入射するビーム143の対物レンズ120側への透過光の光検出器125上での光スポットである。光検出器の受光部は、光軸を通るX軸に平行な分割線、及び、Y軸に平行な分割線で4つに分割された受光部146a〜146dを有する。光スポット147は、4分割された受光部146a〜146dで受光される。
光記録媒体99内で、ビーム143の集光スポットと、ビーム144の集光スポットとに光軸方向の位置ずれが生じると、光検出器125上の光スポット147の形状が変化する。これは、円筒レンズ133の作用によるものである。集光スポットの光軸方向の位置ずれは、対物レンズ111と対物レンズ120との間隔の変化に伴って発生する。また、集光スポットの光軸方向の位置ずれは、リレーレンズ系における2つの凸レンズの間隔の変化に伴って発生する。すなわち、凸レンズ107と凸レンズ108との間隔の変化、又は、凸レンズ116と凸レンズ117との間隔の変化に伴って発生する。
また、光記録媒体99内で、ビーム143の集光スポットと、ビーム144の集光スポットとの間に、面内のX軸方向又はY軸方向の位置ずれが生じると、光検出器125上の光スポット147は、それぞれ縦方向又は横方向へ移動する。これは、円筒レンズ133の作用によるものである。このX軸方向又はY軸方向の位置ずれは、対物レンズ111と対物レンズ120とのディセンタに伴って発生する。また、集光スポットのX軸方向又はY軸方向の位置ずれは、リレーレンズ系における2つの凸レンズのディセンタに伴って発生する。すなわち、凸レンズ107と凸レンズ108とのディセンタ、又は、凸レンズ116と凸レンズ117とのディセンタに伴って発生する。
光検出器125の受光部146a〜146dからの出力電圧を、それぞれV146a〜V146dとする。このとき、ビーム143の集光スポットに対するビーム144の集光スポットの光軸方向の位置ずれを表す相対光軸方向位置誤差信号(PEZ2)は、
PEZ2=(V146a+V146c)−(V146b+V146d)
の演算から得られる。また、ビーム143の集光スポットに対するビーム144の集光スポットの、X軸方向の位置ずれを表す相対面内位置誤差信号(PEX2)と、Y軸方向の位置ずれを表す相対面内位置誤差信号(PEY2)とは、それぞれ
PEX2=(V146a+V146d)−(V146b+V146c)
PEY2=(V146a+V146b)−(V146c+V146d)
の演算から得られる。
次に、光学的情報記録再生装置98に関係する回路の動作について説明する。光記録媒体99は、ポジショナ164に搭載される。ポジショナ駆動回路165は、ポジショナを駆動する。光偏向器駆動回路168は、光学ユニット100(図16)内の光偏向器134を駆動する。光偏向器134及びポジショナ164は、面内集光スポット移動手段に相当する。光偏向器駆動回路168及びポジショナ駆動回路165は、面内集光スポット移動手段駆動回路に相当する。対物レンズ駆動回路160は、対物レンズ111を搭載するアクチュエータを駆動する。
対物レンズ駆動回路160は、対物レンズ111を搭載するアクチュエータに、光軸方向位置誤差信号PEZ1に応じた電流を供給する。対物レンズ駆動回路160は、光軸方向位置誤差信号PEZ1に応じてアクチュエータを駆動し、対物レンズ111が光記録媒体99内に集光する集光スポット(図17のビーム145の集光スポット)にデフォーカスが生じないように、対物レンズ111を光軸方向へ駆動する。
光偏向器駆動回路168は、面内位置誤差信号PEX1及び面内位置誤差信号PEY1に応じた電圧を光偏向器134の電極へ供給する。光偏向器駆動回路168は、面内位置誤差信号PEX1及び面内位置誤差信号PEYに応じて光偏向器134を駆動し、光記録媒体99に照射されるメインビームの集光スポットが、領域群240(図19)を含む複数の領域のうち、任意の領域の中心に位置するように、入射光をX軸方向及びY軸方向へ偏向させる。
ポジショナ駆動回路165は、光記録媒体99の面内でメインビームの集光スポットの位置を変更する際に、ポジショナ164が有するモータへ電流を供給し、光記録媒体99をX軸方向及びY軸方向へ移動させる。ポジショナ駆動回路165は、この動作を、面内位置誤差信号PEX1及び面内位置誤差信号PEY1に基づいて、目標位置までのX軸方向及びY軸方向の移動量を検出しながら行う。
レーザ駆動回路153は、光学ユニット100内のレーザ光源101を駆動する。増幅回路154は、光検出器122の出力を増幅する。シャッタ駆動回路167は、光学ユニット100内のシャッタ113を駆動する。シャッタ駆動回路167は、シャッタ113が有するモータへ供給する電流を制御し、シャッタ113の開閉を制御する。シャッタ駆動回路167は、光記録媒体99への情報記録時は、シャッタ113を開き、シャッタ113の入射光を透過させる。シャッタ駆動回路167は、光記録媒体99からの情報再生時は、シャッタ113を閉じ、シャッタ113の入射光を遮断する。
変調回路151は、光記録媒体99への情報の記録時に、記録データとして外部から入力された信号を所定の変調規則に従って変調する。記録信号生成回路152は、変調回路151で変調された信号に基づいて、レーザ光源101を駆動するための記録信号を生成する。レーザ駆動回路153は、光記録媒体99への情報の記録時には、記録信号生成回路152で生成された記録信号に基づいて、レーザ光源101へ記録信号に応じた電流を供給しレーザ光源101を駆動する。変調回路151、記録信号生成回路152、及び、レーザ駆動回路153は、記録回路に相当する。
レーザ駆動回路153は、光記録媒体99からの情報の再生時には、レーザ光源101からの出射光のパワーが一定になるように、レーザ光源101へ一定の電流を供給してレーザ光源101を駆動する。増幅回路154は、光記録媒体99からの情報の再生時に、光学ユニット100内の光検出器122の受光部から出力される電圧信号を増幅する。再生信号処理回路155は、増幅回路154で増幅された電圧信号に基づいて、再生信号(RF2)の生成、波形等化、2値化を行う。復調回路156は、再生信号処理回路155で2値化された信号を所定の復調規則に従って復調し、再生データとして外部へ出力する。増幅回路154、再生信号処理回路155、及び、復調回路156は、再生回路に相当する。
対物レンズ駆動回路163は、光学ユニット100内の対物レンズ120を搭載するアクチュエータを駆動する。光偏向器駆動回路169は、光偏向器135を駆動する。リレーレンズ駆動回路166は、凸レンズ108及び凸レンズ117を搭載するアクチュエータを駆動する。リレーレンズ駆動回路166は、ビーム143、144の集光スポットの光記録媒体99の厚み方向の位置を変更する際に、凸レンズ108及び凸レンズ117を搭載するアクチュエータにそれぞれ電流を供給し、凸レンズ108及び凸レンズ117をそれぞれ光軸方向に移動させる。
増幅回路161は、光学ユニット100内の光検出器125の出力を増幅する。増幅回路161は、光検出器125の4つの受光部146a〜146d(図18)の出力のそれぞれを増幅する。増幅回路161は、光記録媒体99への情報記録時に、光検出器125の各受光部が出力する電圧信号を増幅する。誤差信号生成回路162は、光検出器125の各受光部の出力に基づいて、相対光軸方向位置誤差信号PEZ2、X軸方向の相対面内位置誤差信号PEX2、及び、Y軸方向の相対面内位置誤差信号PEY2を生成する。
対物レンズ駆動回路163は、対物レンズ120を搭載するアクチュエータに、相対光軸方向位置誤差信号PEZ2に応じた電流を供給する。対物レンズ駆動回路163は、光軸方向位置誤差信号PEZ2に応じてアクチュエータを駆動し、光記録媒体99内のビーム143の集光スポットとビーム144の集光スポットとの光軸方向の位置が一致するように、対物レンズ120を光軸方向へ駆動する。
光偏向器駆動回路169は、光偏向器135の電極に、相対面内位置誤差信号PEX2及び相対面内位置誤差信号PEY2に応じた電圧を供給する。光偏向器駆動回路169は、相対面内位置誤差信号PEX2及び相対面内位置誤差信号PEY2に応じた電圧を光偏向器135の電極に供給し、光記録媒体99内のビーム143の集光スポットとビーム144の集光スポットとの面内のX軸方向及びY軸方向の位置が一致するように、入射光をX軸方向及びY軸方向へ偏向する。
コントローラ150は、全体の制御を行う。コントローラ150は、面内位置誤差信号の生成に関し、レーザ駆動回路157、増幅回路158と誤差信号生成回路159とで構成される回路を制御する。また、コントローラ150は、情報の記録再生に関し、変調回路151と記録信号生成回路152とレーザ駆動回路153とで構成される回路(記録回路)、増幅回路154と再生信号処理回路155と復調回路156とで構成される回路(再生回路)、シャッタ駆動回路167、増幅回路161と誤差信号生成回路162とで構成される回路、対物レンズ駆動回路160、光偏向器駆動回路168、対物レンズ駆動回路163、光偏向器駆動回路169、リレーレンズ駆動回路166、及び、ポジショナ駆動回路165を制御する。
本実施形態では、光記録媒体99は、ビームガイド層とは別に記録層141(図17)を有している。また、光学的情報記録再生装置98は、ビームガイド層上に集光する光とは別に、記録層141に集光すべき光を出射するレーザ光源101と、レーザ光源101の出射光に対する記録層141からの反射光を受光する光検出器122を有している。再生回路は、光検出器122が出力する記録層141からの反射光に応じた信号に基づいて再生信号を生成し、記録回路は、記録データに応じて、レーザ光源101を駆動する。本実施形態においても、第1実施形態と同様に、オフセットを生じることなく、面内位置誤差信号を生成することができる。また、本実施形態で用いる光記録媒体99は、面内方向に加えて、光記録媒体99の厚み方向にも情報を記録できるので、記録密度を向上できるという効果もある。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の位置誤差信号検出装置、光学的情報記録再生装置、位置誤差信号検出方法、及び、光学的情報記録再生方法は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。