大容量の情報を記録する技術として、CDやDVDなど光ディスクを用いた情報の記録・再生技術が従来から広く用いられている。この技術によれば、図10(a)に示すように、記録すべき情報を0と1とからなる1ビットのデジタルデータ列101に変換する。そして、光をデジタルデータ列101によって変調し、変調された光を情報記録媒体100に照射すことにより、デジタルデータ列101に対応するスペースおよび記録マーク102を情報記録媒体100に形成する。この技術によれば、数十ギガバイトの情報記録媒体100に記録したり、情報記録媒体100から情報を再生することが可能である。
これに対し、近年さらに大容量の情報を記録する方法として、ホログラフィーを利用した情報の記録・再生技術が注目されている。この技術によれば、たとえば、図10(b)に示すように、2次元に配列されたページデータ111を光の干渉を利用し、記録媒体110の所定の3次元領域112に記録することができる。ページデータ111はたとえば数十キロバイトの容量を有するため、3次元領域112を情報記録媒体100のトラック上にオーバーラップさせながら多数形成することにより、テラバイトのデータを記録媒体110に記録することが可能となる。以下、このホログラフィーを利用した従来の情報の記録・再生技術を説明する。
図11は、特許文献1において提案されているホログラフィーを利用した情報記録再生装置の要部の構成を模式的に示している。まず、図示しない半導体レーザー等の放射光源から出射されるP偏光のレーザー光はコリメートレンズ(図示せず)で平行光となり、ハーフミラー(図示せず)で2つの経路に分割された後、分割された光の一方が1/2波長板(図示せず)を透過してS偏光の光束3’となる。分割された光の他方はP偏光の光束3となる。
光束3’は情報光とも呼ばれ、以下で説明するように、情報の記録時には記録すべき情報により変調される。一方、光束3は参照光とも呼ばれ、情報の記録時には情報光と干渉することにより、情報光が持つ情報が干渉縞として情報記録媒体に記録される。情報の再生時には、情報記録媒体に形成された干渉縞に参照光を照射することにより、記録された情報により変調された回折光を得る。
光束3’は、空間変調器5を透過後、凸レンズ20によって破線で示すように弱い集光性が与えられる。光束3’は偏光ビームスプリッタ19に入射し、その偏光面19aを反射して光軸Lに沿って接合ジャイレーター18を透過する。さらに、光束3’は対物レンズ10により集光され、情報記録媒体11において反射層11dの表面の手前の点12’に収束する。
接合ジャイレーター18は、旋光方向の異なる2つの旋光子を接合することにより形成されている。具体的には、光軸Lに垂直な平面上において、光軸Lを通る直線で2つの領域18a、18bに分割され、領域18aには透過光の偏光方向を時計回りに45度回転させる旋光子が設けられている。また、領域18bには透過光の偏光方向を反時計回りに45度回転させる旋光子が設けられている。
空間変調器5はたとえば強誘電液晶パネルによって構成される。空間変調器5の光束3’が透過する領域は格子状に分割されており、それぞれの領域において独立して透過光の位相をπだけシフトさせたり(位相変調)、光の透過率がゼロとなるように(振幅変調)空間変調器5は駆動される。これにより、前述したページデータを示す変調パターンが空間変調器5により形成される。変調パターンは外部の信号に基づき更新される。
一方、P偏光の光束3は、光軸Lに沿って偏光ビームスプリッタ19に入射し、その偏光面19aを透過して光軸Lに沿って接合ジャイレーター18を透過する。さらに、対物レンズ10により集光されて情報記録媒体11の反射層11dの表面上の点12に収束する。光束3’のみ凸レンズ20を透過するため、光束3と光束3’とでは収束点の位置が異なっている。
情報記録媒体11は、透明基板11aとフォトポリマー等の感光層11bと透明層11cと反射層11dとを含み、感光層11bは点12と点12’とのほぼ中間に位置する。
図12(a)は、情報記録媒体11へ向かって照射される光束3および光束3’の情報記録媒体11内での光路を示している。光束3’は点12’を境に光軸Lに対して反転する。このため、感光層11b中の円13a内で光束3および光束3’が交差あるいは重なる。円13a内の光束3は、接合ジャイレーター18の領域18bによる旋光性により、P偏光に対して反時計回りに45度回転している。一方、光束3’は、接合ジャイレーター18の領域18aによる旋光性により、S偏光に対して時計回りに45度回転している。このため、感光層11b中の円13a内において、光束3および光束3’の偏光方向は一致している。感光層11b中において光軸Lに関して円13aと対称な円13b内においても、同様に光束3および光束3’の偏光方向は一致している。
このように光束3および光束3’の偏光方向が一致しているので、これらの光束は感光層11b内で互いに干渉し、干渉縞を形成する。レーザー光源の出力が大きい場合には感光層11bを感光させ、干渉縞の光強度分布に対応した屈折率分布を有する干渉パターン13を形成する。この干渉パターン13は空間変調器5の変調パターン(ページデータ)によって変化する。
情報記録媒体11はディスクモータに取り付けられ、図11の矢印14に沿って回転している。反射層11dの表面には、径方向に周期性を有し、回転方向に沿って延びる案内溝(グレーティング)が等ピッチで形成され、光束3が収束する点12はこの案内溝上に位置するよう制御されている。したがって、ディスクの回転にともなって光束3および光束3’の収束位置も相対的に反射層11dの表面上の案内溝および反射層11dと平行な面に沿って回転移動する。案内溝を螺旋形状にすれば、一回転することにより光束3が収束する点12を隣の案内溝に移動させることもできる。
図12(b)は、光束3および光束3’が情報記録媒体11の反射層11dで反射する場合の情報記録媒体11内での光路を示している。光束3’は反射層11dの表面において反射することにより、反射面に対する点12’の共役像である共役収束点12”を仮想発光点とする破線で示した反射光束3a’となる。また、光束3は点12が位置している反射層11dの表面において反射することにより、実線で示すように、光束3に対して反転した光束3aとなる。これらの反射光束3a’および3aは、いずれもその一部が干渉パターン13を透過する。
反射光束3aは情報記録媒体11を透過した後、対物レンズ10を透過することにより平行光に変換され、接合ジャイレーター18に入射する。往路時に接合ジャイレーター18の領域18aを透過し、偏光方向が時計回りに45度回転した光は、復路時には領域18bを透過して元の偏光方向に戻される。往路時に領域18bを透過して反時計回りに45度回転した光も、復路時には領域18aを透過して元の偏光方向に戻される。したがって、接合ジャイレーター18を透過することで、反射光束3aはP偏光の光に戻り、偏光ビームスプリッタ19の偏光面19aを透過して、ホログラム等の分岐部により検出器(図示せず)に導かれる。検出器は反射光束3aを受け取り、検出信号を生成する。この検出信号を用いて、光束3の反射層11d上でのフォーカス状態を制御するためのフォーカシングエラー信号と、光束3が案内溝を追随するよう制御するためのトラッキングエラー信号とを生成し、これらの信号を基に光束3の収束点が反射層11dの表面上の案内溝に制御されるよう対物レンズ10を駆動させている。
次に図13および図14(a)、(b)を参照して、特許文献1に開示された情報記録再生装置を用いて、情報記録媒体11に記録された情報を再生する方法を説明する。図13に示すように、信号を再生する場合、前述したように半導体レーザーを用いて生成したP偏光の光束3のみを用いる。光束3は、光軸Lに沿って偏光ビームスプリッタ19に入射し、その偏光面19aを透過して光軸Lに沿って接合ジャイレーター18を透過する。前述したように、接合ジャイレーター18の領域18aおよび領域18bにおいて光束3はそれぞれ偏光方向が回転し、さらに、対物レンズ10により集光されて情報記録媒体11の反射層11dの表面上の点12に収束する。
図14(a)に示すように、光束3が反射層11dの表面において反射し、反射光束3aが生じる。反射光束3aは干渉パターン13内の円13a内を伝搬することにより、回折光3Aを発生する。回折光3Aの偏光状態は入力光3aの偏光状態と一致しており、この回折光3Aは点12’に収束した後、光軸Lに対して反転して対物レンズ10により弱い発散性の光となる。回折光3Aが接合ジャイレーター18を透過する際、回折光3Aの偏光状態が変えられる。
したがって、光束3のうち、接合ジャイレーター18の領域18aを通過した光は、時計回りに45度回転したP偏光を有し、円13a内において偏光方向を保ったまま回折光3Aを生成する。回折光3Aは点12’に収束した後、再び接合ジャイレーター18の領域18aを通過する。接合ジャイレーター18において回折光3Aの偏光方向がさらに45度時計回りに回転するため、接合ジャイレーター18を透過した回折光3Aの偏光方向はP偏光から90度時計回りに回転している。つまりS偏光の光束3Bとなる。
同様に接合ジャイレーター18の領域18bを通過した光は、反時計回りに45度回転したP偏光を有し、円13b内において偏光方向を保ったまま回折光3Aを生成する。回折光3Aは点12’に収束した後、再び接合ジャイレーター18の領域18bを通過する。接合ジャイレーター18において回折光3Aの偏光方向がさらに45度反時計回りに回転するため、接合ジャイレーター18を透過した回折光3Aの偏光方向はP偏光から90度反時計回りに回転している。つまりS偏光の光束3Bとなる。
光束3Bは、ビームスプリッタ19の偏光面19aにおいて反射し、凸レンズ20により平行光に変換され、空間変調器5を透過する。空間変調器5は前述したように強誘電液晶パネル等によって構成されており、情報の再生時では外部の信号に基づき光束3Bを変調せずにそのまま透過させる。空間変調器5を透過する光3Cは干渉パターン13の再生情報が反映され、記録時の空間変調器5の変調パターンが光強度分布パターンとして再現される。この光束3Cをホログラムやハーフミラー等を用いて往路時の光路から分岐させて光検出器に導く。検出器は、空間変調器5の格子状分割パターンに対応する検出領域を備えており、光束3Cを検知して、記録時の変調パターン(ページデータ)を再生する。
一方、反射光束3aのうち、干渉パターン13の領域内における伝搬で回折光3Aとならなかった残りの成分は、情報記録媒体11を透過した後、対物レンズ10を透過して平行光に変換され、接合ジャイレーター18に入射する。往路時に接合ジャイレーター18の領域18aを透過し、偏光方向が時計回りに45度回転した光は、復路時には領域18bを透過して元の偏光方向に戻される。往路時に領域18bを透過して反時計回りに45度回転した光も、復路時には領域18aを透過して元の偏光方向に戻される。したがって、接合ジャイレーター18を透過することで、反射光束3aの残りの成分はP偏光の光に戻り、偏光ビームスプリッタ19の偏光面19aを透過して、ホログラム等の分岐部により検出器(図示せず)に導かれる。情報記録時と同様、この反射光束3aの残りの成分を検出器によって検出し、この検出信号を用いて、フォーカシングエラー信号およびトラッキングエラー信号とを生成し、これらの信号をもとに光束3の収束点が反射層11dの表面上の案内溝に制御されるよう対物レンズ10を駆動させる。
特開平11−311938号公報
このような従来の情報記録再生装置において、情報記録時および情報再生時においてそれぞれで以下の問題があった。
具体的には、図12(b)に示すように、情報を記録する際、反射光束3aおよび反射光束3a’は、いずれもその一部が干渉パターン13の領域を透過する。したがって、円13a内には光束3および光束3’以外に、反射光束3aおよび反射光束3a’が存在している。光束3、光束3’、反射光束3aおよび反射光束3a’の各光束の光強度は光束の総面積に反比例するので、点12’および共役収束点12”の反射面からの距離をともにdとし、円13aの中心と反射面からの距離をd’とすると、光束3の光強度I1はd’の2乗に反比例し、光束3’の光強度I2はd−d’の2乗に反比例し、光束3a’の光強度I3はd+d’の2乗に反比例し、光束3aの光強度I4はd’の2乗に反比例する。仮にd’=d/2とすると
I1:I2:I3:I4=1:1:1/9:1 … (式1)
が成立する。反射層11dの反射率は100%を越えないので、光強度I3はより小さくなるが、光強度I4は依然としてI1、I2と同レベルの強さである。従って、円13a内での干渉は実質上、光束3、光束3’および反射光束3aとの3光束間の干渉となり、この反射光束3aがノイズ成分となり、従来の情報記録再生装置では原理的に記録した干渉縞に大きなノイズが含まれることになる。
また、情報を再生する場合、図14(b)に示すように、円13a内に入射する光束3は、干渉パターン13と位相整合条件を満たす関係にあるので、点12’を仮想発光点とする回折光3A’を発生させる。この回折光3A’は光束3の偏光状態(P偏光の光束3が接合ジャイレーター18の領域18bを透過することによって反時計回りに45度偏光方向が回転している状態)と同じであり、反射層11dの表面において反射し、反射光束3A”となる。反射光束3A”はその後、対物レンズ10により集光され、接合ジャイレーター18の領域18bを透過することにより、その偏光方向が反時計回りに90度回転している状態に変換される。つまり反射光束3A”はS偏光の光となる。
一方、光軸Lに関して円13aと対称な位置にある円13b内に入射する光束3により発生する回折光3A’は、光束3の偏光状態(P偏光の光束3が接合ジャイレーター18の領域18aを透過することによって時計回りに45度偏光方向が回転している状態)と同じであり、反射層11dの表面において反射し、反射光束3A”となる。反射光束3A”はその後、対物レンズ10により集光され、接合ジャイレーター18の領域18aを透過することにより、その偏光方向が時計回りに90度回転している状態に変換される。つまり反射光束3A”はS偏光の光となる。
したがって反射光束3A”は、ビームスプリッタ19の偏光面19aで反射して光束3Cと同じ経路をたどり、光検出器上に投影される。このため、反射光束3A”は、信号検出時でのノイズ成分となる。
また、図14(a)に示すように、反射光束3aが、干渉パターン13を透過することにより回折光3A’を生成するためには、反射光束3aの波面が整っている必要がある。しかし、反射光束3aは、光束3として干渉パターン13内の円13b内を透過しており、この領域を伝搬することによって干渉パターン13と位相整合し、その結果波面が乱されている。したがって、円13a内での位相整合条件(回折光3Aを発生させるための条件)完全には満たされず、発生した回折光3Aの光品質も劣化し、強度ムラや位相ムラが発生する。このような光品質の劣化は光検出器上でのノイズ成分となる。このように、従来の情報記録再生装置では再生した情報にもノイズが含まれ、情報の品質の低下が問題となる。
本発明はかかる問題点に鑑み、情報の記録時および再生時において迷光の発生を抑え、高い品質で、情報の記録および再生を行うことのできる情報処理装置を提供することを目的とする。
本発明の情報処理装置は、放射光源と、前記光源から出射した光束を、感光層を有する情報記録媒体へ向けて収束させる集光部であって、前記光束を、少なくとも前記光軸を含む平面によって分割される第1および第2の空間をそれぞれ透過する第1および第2の光束に分割し、前記第1および第2の光束を前記情報記録媒体中であって前記感光層を挟む第1および第2の点にそれぞれ収束させる集光部とを備え、前記第1の点と第2の点との間において、前記第1および第2の光束が互いに干渉することにより干渉縞を形成し、前記干渉縞により前記情報記録媒体の感光層に情報を記録する。
ある好ましい実施形態において、前記第1の点は前記第2の点よりも前記集光部に近接しており、前記第1および第2の光束は、前記光軸に対し非回転対称で、前記第1および第2の収束点の間に位置する領域において互いに重なり合い、干渉縞を形成する。
ある好ましい実施形態において、情報処理装置は、前記第1および第2の光束を透過または反射し、情報の記録時において前記光束の一部の領域に入射する光の光量、位相および偏光状態の少なくともいずれか1つを変化させる空間変調器をさらに備える。
ある好ましい実施形態において、前記情報記録媒体は、透明層と、透明基板と、反射層とをさらに含み、前記透明基板および前記反射層は、前記感光層および前記透明層を挟むようにそれぞれ前記感光層側および透明層側に設けられており、前記第1の収束点は前記透明基板中に位置し、前記第2の収束点は前記反射層表面に位置する。
ある好ましい実施形態において、情報処理装置は、前記放射光源と集光部との間に位置しており、所定の偏光状態の光を回折する第1の光分岐部と、前記第1の光分岐部と前記情報記録媒体との間に位置する波長板と、第1の光検出器とをさらに備え、前記反射層の表面には、案内用凹凸構造が設けられており、前記第2の光束が前記反射層の表面において反射することにより得られる反射光が前記第1の空間を透過し、前記第1の光分岐部により前記第1の光検出器に入射するように分岐され、前記第1の光検出器が前記反射光を検出することにより得られる信号に基づいて、前記光源から出射した光束が所定の集光状態で前記情報記録媒体の凹凸構造を追跡するように制御する。
ある好ましい実施形態において、前記情報記録媒体は中心軸を有する円盤形状を備え、前記凹凸構造は前記中心軸に対して螺旋状または同心円状に形成されている。
ある好ましい実施形態において、情報処理装置は、第2の光分岐部と、第2の光検出器とをさらに備え、情報の再生時には、前記第1の光束が前記情報記録媒体の第2の点に収束するよう前記情報記録媒体が配置され、前記第1の光束が前記情報記録媒体の反射層において反射することによって得られる反射光が、前記感光層の干渉縞が形成された領域を透過することによって回折光を生成し、前記第2の光分岐部は、前記回折光を前記第2の光検出器へ向けて分岐させる。
ある好ましい実施形態において、前記空間変調器は、情報の再生時において、前記第2の光束が前記集光部へ到達しないように遮断する。
ある好ましい実施形態において、前記回折光は、前記第1の収束点を仮想発光点とし、前記第1の空間を透過する。
ある好ましい実施形態において、前記第1の光束が前記情報記録媒体の反射層において反射することによって得られる反射光の一部は前記第2の空間を透過し、前記第1の光分岐部により前記第1の光検出器に入射するように分岐され、前記第1の光検出器が前記反射光を検出することにより得られる信号に基づいて、前記光源から出射した第1の光束を所定の集光状態で前記情報記録媒体の凹凸構造を追跡するように制御する。
ある好ましい実施形態において、前記第1および第2の空間を分割する平面が前記凹凸構造の延びる方向と直交している。
ある好ましい実施形態において、前記情報記録媒体は、複数のピットまたはエンボスを含み、前記複数のピットまたはエンボスは、前記第1および第2の空間を分割する平面と直交する方向に配列されている。
ある好ましい実施形態において、情報処理装置は、前記第2の光分岐部と第2の光検出器との間の光路上に配置されており、n個の側面ミラー部を有し、回転軸周りに回転するn角形(nは3以上の整数)のポリゴンミラーをさらに備え、前記第2の光分岐部により分岐した回折光は前記ポリゴンミラーの側面ミラー部において反射して第2の光検出器側に向かい、前記ポリゴンミラーの回転にともなって前記分岐した回折光内部の明暗分布が前記第2の光検出器上を走査し、前記明暗分布が読み取られる。
ある好ましい実施形態において、前記ポリゴンミラーのn個の側面ミラー部の法線は、前記回転軸に対してそれぞれ異なる角度をなしている。
ある好ましい実施形態において、前記集光部は、対向する第1および第2の主面を有する平行平板と対物レンズとを含み、前記平行平板の第1の空間または第2の空間に位置する第1の主面または第2の主面に、前記平行平板を透過する光の収束状態を変化させる回折格子が設けられている。
ある好ましい実施形態において、前記集光部は、対向する第1および第2の主面を有する平行平板と対物レンズとを含み、前記平行平板の第1の空間に位置する第1の主面または第2の主面において前記平行平板を透過する光の収束状態を変化させる第1の回折格子が設けられ、前記平行平板の第2の空間に位置する第1の主面または第2の主面において前記平行平板を透過する光の収束状態を変化させる第2の回折格子が設けられており、前記第1の回折格子と前記第2の回折格子は光の回折角度が異なっている。
ある好ましい実施形態において、前記集光部は対物レンズを含み、前記対物レンズの第1の空間および第2の空間に位置する部分の曲率は互いに異なっている。
また、本発明の情報処理装置は、放射光源と、前記光源から出射した光束を、その光軸上を含む平面によって分割される2つの空間をそれぞれ透過する2つの光束に分割し、前記分割された光束の一方を所定の収束点に収束させる集光部とを備え、前記収束点が、3次元干渉パターンによって情報が記録された情報記録媒体の反射層上に位置するように、前記分割された光束を照射し、前記分割された光束が前記反射層の表面において反射することにより得られる反射光を前記3次元干渉パターンに透過させ、生成した回折光を検出する。
本発明の情報記録媒体は、透明層と、感光層と、前記感光層および透明層を挟むようにそれぞれ前記感光層側および透明層側に設けられた透明基板および反射層とを備え上記いずれかに規定される情報処理装置により、前記感光層に干渉縞による情報が記録されている。
本発明の情報記録媒体は、透明層と、感光層と、前記感光層および透明層を挟むようにそれぞれ前記感光層側および透明層側に設けられた透明基板および反射層とを備え、前記反射層と垂直な直線上であって、前記透明基板中の点に収束する第1の収束光と、前記反射層と垂直な直線上であって、前記反射層の前記透明層側の表面上の点に収束する第2の収束光との干渉により、前記感光層中に前記直線に対して回転非対称な領域に干渉縞の3次元干渉パターンが形成されており、前記第1の収束光または前記第2の収束光が記録すべき情報によって変調されていることにより、3次元干渉パターンが前記情報を含んでいる。
ある好ましい実施形態において、前記第1の収束光および第2の収束光は、前記反射層と垂直な直線を共通の光軸とし、前記光軸を含む平面によって分割される2つの領域をそれぞれ伝播している。
ある好ましい実施形態において、前記情報記録媒体は、中心軸を有する円盤形状を備え、前記円盤において前記3次元干渉パターンが複数配列され、前記中心軸に対して螺旋状または同心円状の凹凸構造を有する。
ある好ましい実施形態において、前記光軸を含む平面が前記凹凸構造の延びる方向と直交している。
ある好ましい実施形態において、前記情報記録媒体は、中心軸を有する円盤形状を備え、前記円盤は、複数のピットまたはエンボスを含み、前記複数のピットまたはエンボスは、前記光軸と直交する方向に配列されている。
本発明の情報処理装置によれば、情報の記録時には実質的に2つの光束により干渉縞を形成し、情報記録媒体にホログラム記録を行うことができるため、ノイズの発生を抑制し、高コントラストの記録を実現することができる。また信号の再生時にも干渉パターンへ照射する光束における波面の乱れが少なくなるため、発生する回折光の品質も高く、回折光に重畳する迷光の発生を抑えることができる。このため、良好な再生像を実現でき、情報の読み誤りを少なくすることができる。
さらに、ポリゴンミラーを用いて再生光を検出することにより、二次元に分布した情報を時系列的に検出することが可能となり、検出器を簡略化することが可能となる。
(第1の実施形態)
以下、本発明の情報処理装置および情報記録媒体の第1の実施形態を説明する。図1は本実施形態による情報処理装置の要部の構造および情報記録時の記録原理を示している。図11に示す従来の情報記録再生装置と関連した構成要素には同じ参照符号を付している。
まず情報の記録時における本発明の主要な特徴を概略的に説明する。図1に示すように情報処理装置は、放射光源2と、回折レンズ8および対物レンズ10からなる集光部とを主要な構成要素として備える。また、情報記録媒体11はフォトポリマー等の感光層11bを備える。放射光源2から出射した光束は、光軸Lを含む平面により分割される第1の空間(図1では光軸Lを通り紙面に垂直な平面で切取られる上半分)および第2の空間(図1では光軸Lを通り紙面に垂直な平面で切取られる下半分)をそれぞれ透過する光束3’および光束3に分けられる。集光部は光束3’および光束3を記録媒体11中の感光層11bを挟む2点に集光させる。具体的には、集光部は、光束3’を情報記録媒体11の第1の点12’に収束させる。また、光束3を光軸L上の第1の点12に収束させる。情報の記録時には、光束3’が情報光として用いられ、光束3が参照光として用いられる。光束3’および光束3は第1の空間および第2の空間を透過するという意味において、第1の光束3’および第2の光束3とも言える。
情報記録媒体11は、感光層11b以外に透明層11cと、感光層11bおよび透明層11cを挟むようにそれぞれ感光層11b側および透明層11c側に設けられた透明基板11aおよび反射層11dとを含んでいる。第1の点12’は透明基板11a中に位置し、第2の点12は反射層11dの感光層11b側の表面上に位置する。このとき、光束3’は、第1の点12’で収束した後、反転して感光層11b内の第2の空間内を透過する。一方、光束3は第2の点12へ向けて収束しながら感光層11b内の第2の空間を透過する。このとき、感光層11bの領域13において、光束3’および光束3が互いに重なり合い、干渉し干渉縞を形成する。感光層11bには干渉縞に対応した3次元の干渉パターン13が形成される。光束3’または光束3を記録すべき情報を用いて空間変調しておけば、形成される干渉縞には、記録すべき情報が含まれる。図1から明らかなように光束3と光束3’とは光束3’が第1の点12’において収束し、反転するまで互いに重ならない。
光束3は、第2の点において収束し、反射する。反射層11dにおいて反射した光は第1の空間を透過し、干渉縞が形成された領域13を含む第2の空間は透過しない。このため、干渉縞は反射層の表面で反射する光の影響を受けることがなく、ノイズ成分が抑制された干渉縞を情報記録媒体11に記録することができる。
以下、本実施形態を詳細に説明する。情報処理装置は、放射光源2および集光部のほか光検出基板1、偏光ホログラム4、空間変調器5、ハーフミラー6、コメートレンズ7および1/4波長板9を備える。放射光源2は、半導体レーザーなどによって構成され、光検出基板1上に設けられている。以下において説明するよう、偏光ホログラム4およびハーフミラー6はそれぞれ光を分岐する第1および第2の分岐部として機能する。
放射光源2から出射するP偏光の光束は、前述したように光軸Lを含む平面により光束3’と光束3とを含む。光束3’および光束3はそれぞれ偏光ホログラム4、空間変調器5およびハーフミラー6を透過し、コリメートレンズ7により平行光に変換される。
空間変調器5の光束3’が透過する領域5aは、たとえば格子状に分割されており、それぞれの領域において独立して透過光の光量、位相および偏光状態の少なくともいずれか1つを変化させる。これにより、記録すべき情報を示す変調パターンが空間変調器5により形成され、光束3’を記録すべき情報によって変調することができる。変調パターンは外部の信号に基づき更新される。空間変調器5の光束3が透過する領域5bでも同様に透過する光を変調することが可能であるが、情報の記録時には、領域5bを透過する光束3は変調されない。空間変調器5は例えば強誘電液晶パネルによって構成することができ、液晶に印加する電圧を変化させることにより透過光の位相または光量を変化させることができる。さらに他の偏光素子と組み合わせて、透過光の偏光状態を変化させてもよい。
空間変調器5を透過後、光束3は、回折レンズ8を透過し、1/4波長板9により円偏光に変換される。また、光束3は、対物レンズ10により集光され、前述したように透明基板である情報記録媒体11の反射層11dの表面上の第2の点12に収束する。光束3’は、偏光ホログラム4、空間変調器5およびハーフミラー6を透過し、コリメートレンズ7により平行光に変換される。さらに光束3’は、回折レンズ8で回折され、1/4波長板9により円偏光に変換される。その後、対物レンズ10により集光され、情報記録媒体11の透明基板11a内に位置する第1の点12’で収束する。
光束3’と光束3とで収束点が異なるのは、回折レンズ8にグレーティングが形成され、回折光を発生するか否かによる。具体的には、回折レンズ8は平行な2つの主面を有する板形状を備え、表面であって第1の空間内にある領域8aには、回折格子が設けられている。この回折格子は、たとえば、光軸Lを中心軸とする同心円状グレーティングである。グレーティングの断面はたとえば鋸歯状である。回折格子は、光束3’から1次回折光を生成し、その他の成分の生成は抑制する。生成した1次回折光は、平行な光束3’に比べわずかに収束している。
対物レンズ10は平行光を対物レンズ10から距離mに位置する点に収束させる。しかし、わずかに収束した光(1次回折光)が入射した場合には、対物レンズ10から距離m’に位置する点に収束させる。情報記録媒体11へ情報を記録する場合には、これらの点が情報記録媒体11の第1の点12’および第2の点12と一致するよう、情報記録媒体11と対物レンズ10との間隔が調整される。
一方、回折レンズ8の表面であって第2の空間内にある領域8bには、グレーティングが形成されていない。このため、光束3は、回折せずにそのまま回折レンズ8を透過し、対物レンズ10により第2の点12に収束する。このようにして、異なる位置に光束3’および光束3は、収束する。
なお、図1(b)に示した様に、回折レンズ8は領域8aだけでなく、領域8bにも光軸Lを中心軸とする同心円に沿って鋸歯断面のグレーティングが形成されていてもよい。この場合、鋸歯の鋭角の方位が領域8aと領域8bとでは光軸Lに対し反転しており、領域8aでは1次回折光が強く回折するのに対し、領域8bでは−1次回折光が強く回折する、その結果、第1の点12’はこれらの回折光の共役収束点となり、点12で差別化させることができる。なお、これらの鋸歯形状の断面は図1(b)の円内で拡大しているように、鋸歯形状の断面の斜面に内接する階段形状に置き換えることも可能である。これらの回折格子は平行な板の同一面に形成する必要はなく、例えば領域8aのグレーティングを表面に設け、領域8bのグレーティングを裏面に設けることができる。さらに、回折レンズ8の上述したグレーティングの構造を対物レンズ10の表面に設けてもよい。さらに図1(c)に示したように、例えば対物レンズ10を第1の空間に位置する領域10aおよび第2の空間に位置する領域10bとに分割し、領域10aと領域10bとでレンズの曲率を異なる値にすることによって、各領域での収束点距離を異ならせてよい。
図2(a)は、情報記録媒体11内の光の光路を模式的に示している。図2(a)に示すように、光束3’は第1の点12’を境に反転し、第2の空間内を透過する。第2の空間内には光束3が透過しており、第2の空間内を光束3’は反射層11dまで進む。このため図2(a)中に示した円13a内では光束3および光束3’が互いに重なり合う。光束3および光束3’の偏光状態は互いに一致しているため、感光層11bの第2の空間内においてこれらの光束が互いに干渉し、干渉縞を形成する。放射光源2の出力が大きい場合には感光層11bを感光させ、3次元干渉パターン13(干渉縞の光強度分布に対応して屈折率に分布のあるパターン)が形成される。図2(a)に示すように、この干渉パターン13の領域は、光束3および3’の光軸Lに対して回転非対称である。前述したようにこの干渉パターン13は空間変調器5の変調パターンによって変化する。
情報記録媒体11はディスクモータに取り付けられ、図1の矢印方向14に沿って回転している。反射層11dの表面には回転方向に沿って、径方向に周期的な案内用凹凸構造、たとえば、案内溝(グレーティング)が等ピッチで形成され、光束3が収束する第2の点12はこの案内溝を追随するように位置制御されている。この案内溝の上方にある感光層11bに前述した干渉パターン13が位置をずらしながらオーバーラップするように記録される。
情報記録媒体11の回転にともない、光束3および光束3’の収束位置(第2の点12および第1の点12’)も相対的に反射層11dの表面上の案内溝、およびこれと平行な面に沿って回転移動する。案内溝を螺旋形状にすれば、一回転することにより光束3の収束位置12を隣の案内溝に移動させることができる。なお、情報記録媒体11の回転は間欠的であり、記録、すなわち干渉パターン13を形成する間、情報記録媒体11は回転せず静止している。したがって、レーザーの出力、変調パターンの更新および情報記録媒体の回転は、たとえば反射層11d表面に設けられたピット、案内溝あるいは、案内溝のウォブルによって生成する信号等の基準信号に同期して行われる。具体的には、情報記録媒体の回転が止まっている間にレーザー放射光源の出力が高められ、記録が可能となる。また、レーザーの出力が低下している間に空間変調器に表示する変調パターンの更新がなされる。このため、干渉パターン13は走査方向および径方向において一定の間隔を隔てて情報記録媒体22の感光層に成される。干渉パターン13は3次元空間に形成されるため、冗長性が高く、その一部が隣接する干渉パターンと重なっていても、適切に情報を記録し、また、記録された情報を生成することができる。
図2(b)は、情報記録媒体11内にける反射光の光路を模式的に示している。光束3’は反射層11dの表面において反射することで、反射面に関し第1の点12’の共役像である共役収束点12”を仮想発光点とする反射光束3a’となる。また、光束3は第1の点12が位置する反射層11dの表面において反射することで、実線で示すように反転した反射光束3aとなる。この反射光束3aは第2の空間を透過するため、干渉パターン13と重なることなく、情報記録媒体11を透過する。したがって、円13a内には光束3および光束3’以外に反射光束3a’が存在するだけである。光束3、光束3’および反射光束3a’の各光束の光強度は光束総面積に反比例するので、第1の点12’および共役収束点12”からそれぞれの反射層11dの反射面までの距離をともにdとし、円13aの中心と反射層11dの反射面との距離をd’とすると、光束3の光強度I1はd’の2乗に反比例し、光束3’の光強度I2はd−d’の2乗に反比例し、反射光束3a’の光強度I3はd+d’の2乗に反比例する。例えば、d’=d/2とすると以下の式が成立する。
I1:I2:I3=1:1:1/9 … (式2)
なお、反射層11dの反射率は100%を越えないので、光強度I3は光強度I1、I2に比べてさらに小さくなり、円13a内での干渉は実質上、光束3と光束3’との2光束間の干渉となる。したがって、本発明によれば、従来例に比べはるかにノイズの少ない高品位の干渉縞を形成することができる。
図1(a)に示すように、反射光束3aは情報記録媒体11から出射し、第1の空間内において、対物レンズ10および1/4波長板9を透過してS偏光の平行光に変換される。さらに、回折レンズ8のグレーティングが形成された領域8aにおいて回折する。この回折により反射光束3aはやや収束し、反射光束3bとなり、コリメートレンズ7およびハーフミラー6を透過後、空間変調器5に入射する。ハーフミラー6の分離膜6aは、P偏光の光をほぼ100%透過し、S偏光の光はたとえば10%透過し、90%反射させるという偏光に対し選択的な反射特性を備えている。したがって、復路時にハーフミラー6に入射する反射光束3bはその一部、たとえば10%しか空間変調器5へ透過しない。
空間変調器5が強誘電液晶パネル等の複屈折性の材料によって構成される場合、空間変調に偏光依存性を持たせることができ、P偏光の光は空間変調されるが、S偏光の光は空間変調されないような構成が可能である。このような偏光依存性を備えることによって、空間変調器5に入射する反射光束3bはS偏光であるため、空間変調されることなく透過し、偏光ホログラム4に入射する。
偏光ホログラム4も複屈折性の材料を用いることにより、P偏光の光は回折しない(したがって、往路時の光束3は回折せずに透過する)が、S偏光の光は回折するように構成できる。偏光ホログラム4に入射する反射光束3bはS偏光であるため回折し、反射光束3cとなって光検出基板1の表面に入射する。この反射光束3cを光検出基板1で検出することによって、反射層11dへのフォーカシングエラー信号と案内溝に対するトラッキングエラー信号とを生成する。これらの信号を基に、光束3の第2の点12が反射層11dの表面上の案内溝に制御されるよう対物レンズ10を駆動する。つまり、第2の収束部3が所定の集光状態で案内溝を追随するように制御する。空間変調器5に偏光依存性がない場合には、たとえば変調パターンの更新時に一時的に変調パターンを解除して変調のない均一パターンとし、この期間内での反射光束3cを光検出基板1によって検出すれば、光束3の反射層11dへのフォーカシングエラー信号と案内溝に対するトラッキングエラー信号を生成することができる。
次に本実施形態の情報処理装置における情報の再生を説明する。図3は、信号再生時の情報処理装置の要部の構成およびその再生原理を示している。情報再生時には、図1に示す情報記録時と比べて空間変調器5の変調パターンが異なり、第1の空間を参照光として光束3を透過させ、情報記録媒体11の反射層11dの表面に位置する第2の点12に収束させる。このために、情報記録媒体11と対物レンズ10との距離を情報の記録時とは変化させ、反射層11dの表面と対物レンズ10との距離がm’となるように情報記録媒体11を配置する。。反射層11dにおいて反射することにより光束3は光束3aとなって第2の空間を透過し、情報記録媒体11の変調パターン13を透過する。この際、回折によって、変調パターン13に記録されていた情報により変調された回折光3Aが生成し、第1の空間を透過する。
このように、光束3は、反射層11dにおいて反射する前には情報記録媒体11の変調パターン13を透過しないため、反射光束3aの波面が乱れることがなく、ノイズの少ない回折光が得られる。
以下、図3を参照して、さらに詳しく説明する。記録時と同様、放射光源2から出射したP偏光の光束は、光軸Lを含む平面により分割される第1の空間(図1では光軸Lを通り紙面に垂直な平面で切取られる上半分)および第2の空間(図1では光軸Lを通り紙面に垂直な平面で切取られる下半分)をそれぞれ透過する光束3および光束3’に分けられる。光束3および光束3’はそれぞれ第1および第2の空間を透過するという意味においてそれぞれ第1の光束3および第2の光束3’とも言える。
第1の空間を透過する光束3は、偏光ホログラム4と空間変調器5とハーフミラー6とを透過し、コリメートレンズ7により平行光に変換される。さらに、回折レンズ8の領域8aを回折し、1/4波長板9により円偏光に変換され、対物レンズ10により集光されて情報記録媒体11の反射層11dの表面上の点12に収束する。
一方、第2の空間を透過する光束3’は、偏光ホログラム4を透過するが空間変調器5で光路を遮られる。空間変調器5は前述したようにたとえば強誘電液晶パネル等によって構成されており、情報の再生時には外部の信号に基づき光束3の通る領域5aでP波の光を透過するが、S波の光には透過率がゼロになるように、また光束3’の通る領域5bではS波の光は通すが、P波の光には透過率がゼロになる様に変調パターンが決められている。
図4は、情報記録媒体11内の光の光路を模式的に示している。光束3は第1の空間を透過してくるため、干渉パターン13の領域を通過せずに反射層11dの反射面に至り、第2の点12での反射し、反転して反射光束3aとなる。反射光束3aは第2の空間に入り、干渉パターン13を通過する。干渉パターン13は、反射光束3aに対し位相整合条件を満足する関係にあり、この領域内での伝搬により反射光束3aから回折光3Aが発生する。回折光束3Aは第1の点12’で集光した後、光軸Lの回りを反転して第1の空間に入射する。
図3に示すように、回折光3Aは、さらに、対物レンズ10および1/4波長板9を透過してS偏光の光に変換され、回折レンズ8のグレーティング領域8aを回折する。この回折により回折光3Aは発散気味の光束3Bとなって、コリメートレンズ7を透過し、その90%がハーフミラー6の反射面6aを反射して光束3Dとなる。反射面6aを透過する残りの成分(本例では10%)は、S波なので空間変調器5の領域5aで遮光される。
反射光束3aの内、干渉パターン13の領域内での伝搬で回折光3Aとならなかった残りの成分3aは、第2の空間において対物レンズ10および1/4波長板9を透過してほぼ平行なS偏光の光に変換される。さらに、回折レンズ8の領域8bを透過し、コリメートレンズ7で集光された後、その一部がハーフミラー6を透過し、空間変調器5に入射する。ハーフミラー6を反射する成分3dはマスク15によって遮光される。この入射光はS波なので空間変調器5の領域5bをそのまま透過し、偏光ホログラム4を回折する。この回折光束3cは光検出基板1の表面に入射し、これを検出することで反射層11dへのフォーカシングエラー信号と案内溝に対するトラッキングエラー信号とを生成し、これらの信号を基に光束3の収束点が反射層11dの表面上の案内溝に制御されるよう対物レンズ10が駆動される。
光束3Dを光検出基板1へ導くために、情報処理装置は光検出基板1とハーフミラー6との間の光路上に設けられたポリゴンミラー16をさらに備えている。ポリゴンミラー16は、n個の側面ミラー部を有し、回転軸周りに回転するn角形(nは3以上の整数)の角柱形状を有している。光束3Dはポリゴンミラー16の反射面を反射して、光検出基板1の表面に入射する。光検出基板1が光束3Dを検出することにより干渉パターン13の情報が再生される。情報記録媒体11は、ディスクモータの回転により図3に示した矢印方向14に沿って回転している。光束3が収束する点12は、ディスクモータの回転に伴い反射層11dの表面の案内溝上に沿って移動し、反射層11dの表面のピット信号や案内溝のウォブル信号等で同期信号を得て、この信号に同期させてポリゴンミラー16を回転させている。信号再生時でのディスクモータの回転は連続的でも間欠的でもよく、間欠的な場合は干渉パターン13の再生は回転が停止している間に行われる。
図4で示す様に円13a内に存在する光束は反射光束13aのみであるため、干渉パターン13から回折により得られる回折光束3Aの品質は高い。しかも、反射光束13aは発生した回折光束3Aに対し光軸Lに関し位置関係が反転する。したがって、回折光束3Aとオーバーラップする光束は他に存在せず、光検出基板1上では光束3D以外の迷光は存在しない。
また、反射層11dの反射面を反射する前の光束3は干渉パターン13の領域を通過しないので、波面が乱されることなく反射面に至り、この面を反射して干渉パターン13に入射する。仮に、光束3が例えば相隣接する位置に存在する2つの第2の点12に基づき記録された隣接する干渉パターンの領域を通過することがあっても、そこでの干渉パターンは第2の点12に向かって進む光束3に対しては位相整合条件から外れているので、波面が乱されることはない。したがって、参照光としての反射光束3aの光品質が高く、発生する回折光3Aの光品質も高い。以上のことにより、光検出基板1上の光束3Dで形成される再生像の光品質は極めて良好である。
図5は、信号記録時の空間変調器5に形成される変調パターンの一例を示す。灰色部が透過率がゼロになっており、その他の白色部の領域は変調されていない。つまり、透過率はゼロに比べて十分に大きい。灰色部において、位相をπずらすように空間変調を行うことも可能である。また、図5では灰色部および白色部が交互に並ぶチェッカーパターンとしたが、実際にはこれらの配列は、所定の情報を示すページデータに基づいている。
図6は、本実施形態における信号再生時の光検出基板1上での再生像21である。灰色部が光量ゼロ、その他の白色部は光量がある領域に相当し、図5の空間変調器5を透過した直後の光量分布が縮尺されて再生される。光検出基板1上の方形の光検出器1aは、光分布を構成する1つの方形(灰色部、又は白色部)パターンと同じかやや小さい形状を有している。ポリゴンミラー16の回転(図3の矢印17、紙面に直交する軸回りの回転)すると、光束3Dが照射されたミラー面の傾きが変化する。このミラー面の傾きの変化によって、再生像21全体が−x方向に移動し、光検出器1aは相対的にx方向に移動する。これにより、再生像21のx方向の方形パターンを検出する。
ポリゴンミラー16のn個のミラー面(図3では一例としてn=6を表示)は、回転軸に対しそれぞれ異なった傾斜角をなしている。つまり各ミラー面の法線と回転軸とがなす角度は異なっている。したがって、回転が進み、光束3Dが隣のミラー面を反射するようになると、光検出器1aはいったんx軸の元の位置に戻り、ミラー面の傾斜角の差に応じてy方向に一目分(灰色部の方形の幅の分)だけシフトする。そして、上述したようにポリゴンミラー16の回転によって相対的にx方向に移動する。
以上の動作をミラー面の数だけ繰り返し、結果として光検出器1aは検出面1上の全ての灰色部の方形上および白色部の方形上を走査する。これにより、空間的な並びの再生像21を時系列的な並びの信号(検出光量の大小関係)として置き換えることができる。検出光量の大小関係の判定は、ポリゴンミラー16の回転角に応じて発生する信号に同期して行われる。本実施形態では空間的な並びの再生像を時系列的な並びの信号に置き換えられるので、光検出器の数を著しく少なくできると共に、配線等も簡単になるので従来例に比べ極めて安価な検出方法である。
図7は、信号再生時における案内溝と反射光との関係を説明する説明図である。光束3(図中の下側の半円内)が収束して反射層11dの表面上に形成する光スポット22は、案内溝23(又は23a、23b)の上に制御される。案内溝23、23a、23bはダミー溝25a、25bを間に挟んで等周期に配置されている。案内溝23、23a、23bの延長線上(ディスク回転方向)には、エンボス又はピットで形成した番地信号24、24a、24bの並びが形成されている。番地信号24、24a、24bはディスク回転方向に一定の間隔(案内溝部)を経て、案内溝が途切れた領域に形成されており、このような領域がディスクの一回転の間に複数存在する。このような周期的な案内溝からの反射はディスク径方向に溝回折を起こし、反射光束3a(図中の上側の半円内)には0次回折光3a0の上に1次回折光3aPと−1次回折光3aMとが重畳している。1次回折光3aPと−1次回折光3aMとはディスク径方向に回折分離し、この乖離量は案内溝とダミー溝とを含めた周期溝の径方向ピッチによって一義的に決まる。
案内溝のピッチ(23と23a、23と23bの間隔)は、回折再生像21の再生品質が保たれるよう比較的広い間隔に設定されるので(例えば波長の3〜4倍程度)、ダミー溝がなければ1次回折光3aPは−1次回折光3aMと接近し、重なってしまう場合もある。本実施形態では各案内溝の間にダミー溝25aおよび25bを挟むことで、1次回折光3aPと−1次回折光3aMとの乖離量を大きくし、間に挟むダミー溝の本数で乖離量を調節することも可能である。したがって、回折像21は0次回折光3a0の波面部分だけで再生されており、案内溝での回折外乱(1次回折光3aPと−1次回折光3aMとの混入)が除去され、ノイズの少ない綺麗な再生が実現される。なお、番地信号はエンボスやピット以外にも案内溝のウォブル(ディスク径方向でのうねり)信号で与えることもできる。
(第2の実施形態)
図8および図9を参照し、本発明による情報処理装置の第2の実施形態を説明する。図8および図9に示す第2の実施形態において、第1の実施形態とおなじ構成要素には同一の参照番号を付している。本実施形態は第1の実施形態と一部の部品の配置が異なるだけで、情報記録媒体11内での光束の光路や情報の記録・再生原理は同じである。
図8は信号記録時の情報処理装置の要部の構成とその記録原理を示している。情報記録媒体11の内部での光束の光路は第1の実施形態において図2(a)および(b)を参照して説明した通りである。
図8に示すように、光検出基板1上に取り付けられた半導体レーザー等の放射光源2を出射するP偏光の光束は、光軸Lを含む平面により分割される第1の空間(図9では光軸Lを通り紙面に垂直な平面で切取られる上半分)および第2の空間(図9では光軸Lを通り紙面に垂直な平面で切取られる下半分)をそれぞれ透過する光束3’および光束3に分けられる。第1の実施形態と同様、記録時には光束3は参照光として用いられ、光束3’は情報光として用いられる。
光束3は、空間変調器5と偏光ビームスプリッタ26とを透過し(偏光ビームスプリッタ2はP波100%透過、S波を100%反射する)、コリメートレンズ7により平行光に変換される。さらに、回折レンズ8を透過し、1/4波長板9により円偏光に変換される。また、光束3はハーフミラー27を透過した後(ハーフミラー27は、例えば偏光によらず透過90%、反射10%といったものである)、対物レンズ10により集光されて情報記録媒体11の反射層11dの表面上の第2の点12に収束する。
本実施形態においても回折レンズ8および対物レンズ10が集光部を構成している。集光部の構造は第1の実施形態で説明したように、図1(b)や図1(c)に示す構造を備えていてもよい。
一方、光束3’は、空間変調器5と偏光ビームスプリッタ26とを透過し、コリメートレンズ7により平行光に変換され、回折レンズ8を回折し、1/4波長板9により円偏光に変換される。さらに、ハーフミラー27を透過した後、対物レンズ10により集光されて情報記録媒体11の反射層11dの手前に位置する第1の点12’で収束する。
回折レンズ8の表面には、第1の空間内であって光束3’が入射する領域8aにおいて、光軸Lを中心軸とする同心円に沿って鋸歯断面のグレーティングが形成されている。光束3’はこのグレーティングにより収束する側に1次光が回折し、1次回折光以外の成分は抑えられる。一方、光束3が入射する領域8bにはグレーティングが形成されていないため、光束3は回折せずにそのまま透過する。光束3と光束3’とで収束点が異なるのはこの回折の有無による。
第1の実施形態と同様、情報記録媒体11は、透明基板11aとフォトポリマー等の感光層11bと透明層11cと反射層11dを含み、感光層11bは第2の点12と第1の点12’のほぼ中間に位置する。
空間変調器5は第1の実施形態と同様の構造を備え、外部からの信号に応じて、透過する光を変調する。また、第1の実施形態で説明したように、記録時および再生時において放射光源2から出射する光束の一部を遮断し、反射光の一部を遮断する。
図2(a)を参照して第1の実施形態で説明したように、光束3’は第1の点12’を境に光束3が通過する第2の空間へ入射し、反射層11dに到達する。このため、図2(a)中に示した円13a内では光束3および光束3’が交差あるいは重なり合う。光束3および光束3’とも偏光状態は同じであるため、透明基板11aを透過して感光層11bに入射すると干渉して干渉縞を形成し、レーザー光源の出力が大きい時には感光層11bを感光させ、干渉パターン13を形成する。この干渉パターン13は、空間変調器5の変調パターンによって変化する。
情報記録媒体11はディスクモータに取り付けられ、図8の矢印方向14に沿って回転している。反射層11dの表面には回転方向に沿って、径方向に周期的な案内溝(グレーティング)が等ピッチで形成され、光束3が収束する第2の点12はこの案内溝上に位置制御されている。したがって、ディスクの回転に伴い、光束3および光束3’の収束位置も相対的に反射層11dの表面上の案内溝、およびこれと平行な面に沿って回転移動し、案内溝を螺旋形状とすることで、一回転することにより光束3の収束位置12を隣の案内溝に移動させることができる。
一方、図2(b)に示したように、光束3’は反射層11dの表面を反射することで、反射面に対して第1の点12’の共役像の共役収束点12”を仮想発光点とする反射光束3a’となる。光束3は第2の点12が存在する反射層11dの表面を反射することで、実線で示した反転した反射光束3aとなる。この反射光束3aは干渉パターン13とはオーバーラップすることなく情報記録媒体11を透過する。従って、円13a内には光束3および光束3’以外では光束3a’が存在するだけである。光束3、光束3’および反射光束3a’の各光束の光強度は光束総面積に反比例する。第1の点12’および共役収束点12”から反射層11dの反射面までの距離をともにdとし、円13aの中心と反射層11dの反射面との距離をd’とすると、光束3の光強度I1はd’の2乗に反比例し、光束3’の光強度I2はd−d’の2乗に反比例し、光束3a’の光強度I3はd+d’の2乗に反比例する。仮にd’=d/2とすると、前述の(式2)が成立する。なお、反射層11dの反射率は100%を越えないので、光強度I3は更に小さくなり、円13a内での干渉は実質上、光束3と光束3’との2光束間の干渉となり、実施の形態1と同様、従来例に比べ、はるかノイズの少ない高品位の干渉縞が形成できる。
図8に示すように、反射光束3aは情報記録媒体11を透過した後、対物レンズ10により平行光束に変換され、その一部(例えば、10%)がハーフミラー27の反射面27aを反射して光束3bとなる。光束3bはホログラム4’を回折し、コリメートレンズ7’により集光され、光束3cとなって光検出器1’の表面に入射する。この光束3cを検出して、反射層11dへのフォーカシングエラー信号と案内溝に対するトラッキングエラー信号とを生成し、これらの信号を基に、第2の点が反射層11dの表面上の案内溝に制御されるよう対物レンズ10が駆動される。
一方、反射光束3aの内、ハーフミラー27の反射面27aを透過する成分は、1/4波長板9を透過してS偏光の平行光に変換される。そして、回折レンズ8のグレーティング領域8aで回折した後、全ての光が偏光ビームスプリッタ26の偏光面26aを反射する。
次に、図9を参照して情報の再生時における情報処理装置の要部の構成を説明する。第1の実施形態と同様、情報の再生時には光束3は参照光として第1の空間を透過する。図9に示すように、放射光源2を出射する光束3は、空間変調器5および偏光ビームスプリッタ26を透過する。さらに、コリメートレンズ7および回折レンズ8の領域8aを回折し、やや発散した光となる。1/4波長板9により円偏光に変換され、ハーフミラー27を経て、対物レンズ10に入射する光束3は、情報記録媒体11の反射層11dの表面上の第2の点12に収束する。一方、光束3’は、空間変調器5で光路を遮られる。
図4を用いて説明したように、光束3は第1の空間を伝播するため、干渉パターン13の領域を通過せずに反射層11dの反射面に至り、第2の点12での反射を境に反転して反射光束3aとなる。その後、第2の空間に入射し、干渉パターン13を通過する。干渉パターン13は、反射光束3aに対し位相整合条件を満足する関係にあり、この領域内での伝搬により反射光束3aから回折光3Aが発生する。回折光束3Aは第1の点12’で集光した後、光軸Lの回りを反転して対物レンズ10で集光され、ハーフミラー27および1/4波長板9を透過してS偏光の光に変換される。さらに回折レンズ8のグレーティング領域8aを回折する。この回折により光束3bは発散気味の光となって、コリメートレンズ7を透過し、全ての光が偏光ビームスプリッタ26の偏光面26aを反射して、光束3Dとなる。回折光束3Aの内、ハーフミラー27の反射面27aを反射する成分は、ホログラム4’およびコリメートレンズ7’を経て光検出器1’に向かう。しかし、光検出器1’の検出面上で光束3Dha大きな光スポットを形成するため、後述するフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号等の検出への影響は少ない。
反射光束3aの内、干渉パターン13の領域内での伝搬で回折光と成らなかった残りの成分である光束3aは対物レンズ10で集光された後、その一部(例えば、10%)がハーフミラー27の反射面27aを反射して光束3bとなる。光束3bはホログラム4’を回折し、コリメートレンズ7’により集光され、光束3cとなって光検出器1’の表面に入射する。
光検出器1’で光束3cを検出することで、反射層11dへのフォーカシングエラー信号と案内溝に対するトラッキングエラー信号とを生成し、これらの信号を基に光束3が収束する第2の点12が反射層11dの表面上の案内溝に対してフォーカスおよびトラッキング制御されるよう対物レンズ10が駆動される。
一方、反射光束3aの内、ハーフミラー27の反射面27aを透過する残りの成分は、1/4波長板9を透過してS偏光の光に変換されるので、回折レンズ8の領域8bおよびコリメートレンズ7を透過した後、全ての光が偏光ビームスプリッタ26の偏光面26aを反射し、遮光マスク15により遮光される。
光束3Dは、ポリゴンミラー16の反射面により反射され、光検出基板1の表面に入射する。光検出基板1が光束3Dを検出することにより、干渉パターン13の情報が再生される。情報記録媒体11はディスクモータの回転により、図9の矢印方向14に沿って回転している。光束3の収束位置である第2の点12は、情報記録媒体の矢印14方向の回転によって、反射層11dの表面の案内溝上に沿って移動する。したがって、光検出器1’によって反射層11dの表面のピット信号や案内溝のウォブル信号を得て、これらの信号から同期信号を生成し、この同期信号に同期させてポリゴンミラー16を回転させている。なお、信号再生時でのディスクモータの回転は連続的でも間欠的でもよく、間欠的な場合は干渉パターン13の再生は回転が停止している間に行われる。
本実施形態においても図4を参照して説明したように、円13a内に存在する光束は反射光束13aのみであるため、反射光束13aが干渉パターン13を伝搬することで発生する回折光束3Aの品質は高い。しかも、反射光束13aは光軸Lに関して発生した回折光束3Aと位置関係が反転する。したがって、回折光束3Aにオーバーラップする光束は他に存在せず、光検出器1上では再生信号光である光束3D以外に迷光は存在しない。
また、反射面を反射する前の光束3は干渉パターン13の領域を通過しないので、波面が乱されることなく反射面に至り、この面を反射して干渉パターン13に入射する。仮に、光束3が例えば相隣接する位置に存在する2つの点12に基づき記録された隣接する干渉パターンの領域を通過することがあっても、そこでの干渉パターンは光束3に対しては位相整合条件から外れているため波面が乱されることはない。したがって、参照光としての反射光束3aの光品質が高いことから、発生する再生光(回折光3A)の光品質も高い。以上のことにより、実施の形態1と同様に、光検出器1上の光束3Dで形成される再生像の光品質は極めて良好である。
また、第1の実施形態において図5から図7を参照して説明したように、本実施形態においても情報記録媒体11への情報および情報記録媒体11に記録された情報の再生がおこなわれ、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
以上、第1および第2の実施形態では、光源と光検出器とをユニット化した構成を挙げ説明したが、これらは別々の部品であってもよい。また、第1および第2の実施形態でポリゴンミラ−を使って空間的な並びの再生像を時系列的な並びの信号に置き換える光検出法を採用しているが、図6に示した再生像21全体を2次元的複数の光検出器が配列された光検出器を用いて検出してもよい。また、第1の実施形態における回折レンズを、対物レンズと同じホルダーに構成し、一体的に駆動させてもよい。
さらに、第1および第2の実施形態ではフォーカス検出法やトラッキング検出法については詳細に説明していないが、これらは、たとえばDVDやCD等の光ディスク技術で使われているSSD法(Spot Size Detection、フォーカス検出法の一つ)やPP法(Push−Pull、detectionトラッキング検出法の一つ)等であってよい。
また、第1および第2の実施形態では、光源から出射する光束を光軸を含む平面で2つに分け、それぞれの空間を透過する光の収束位置を異ならせることによって干渉パターンを形成する例に基づいて説明した。しかし、光束の分割数は複数であればよく、2つ以上の場合、それぞれの集光位置が光軸に対して対角位置にある光束同士が干渉して干渉パターンを形成することになり、さらに分解能の向上した高密度記録再生を実現することが可能となる。