JP2005339766A - 光ディスク装置 - Google Patents

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Seiji Nishiwaki
青児 西脇
Junichi Asada
潤一 麻田
Kazuo Momoo
和雄 百尾
Yusuke Kanda
裕介 神田
Kenji Otani
健二 大谷
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

【課題】大きな複屈折を有する光ディスク基材に対しても、検出光量がゼロとならず、信号の読み誤りや光ディスクの制御が的確に行われる光ディスク装置を提供する。
【解決手段】本発明の光ディスク装置は、光を放射する光源、光を光ディスクの信号面に収束させる対物レンズ、光ディスクで反射された光を回折する偏光性光分岐器、偏光性光分岐器によって回折された光を検出する光検出器、及び光ディスクと偏光性光分岐器との間に配置された波長板を備える。波長板は、同一の入射直線偏光に生じさせる複屈折位相差が相互に異なる第1及び第2の領域を含む2次元的に配列された複数の複屈折領域を備え、第1及び第2の領域を含む複数の複屈折領域は、光の入射位置に応じて異なる位相差を前記光に生じさせる。
【選択図】図1

Description

本発明は、光ディスクにデータを書き込むこと、及び/または、光ディスクからデータを読み出すことのできる光ディスク装置に関している。また本発明は、このような光ディスク装置に好適に用いられる光学素子及びその製造方法にも関している。
光ディスク装置は、光ディスクを回転させモータ、光ビームで光ディスクを照射する光ピックアップ、及び記録/再生データを処理する信号処理部などを備えている。このうち、光ピックアップは、記憶密度を高めるために最も重要な部品の1つであり、光ビームを生成する光源と、光ビームを光ディスクの記録面に収束させるレンズと、光ディスクで反射された光(再生光または信号光)を検出して電気信号に変換する光検出器とを備えている。
公知の光ディスク装置は、例えば特許文献1に開示されている。
以下、図19(a)及び図19(b)を参照しながら、特許文献1に開示されている従来の光ピックアップの構成を説明する。
図19(a)は、従来の光ディスク装置における光ピックアップの構成を示しており、図19(b)は、その光源1とその周辺を示している。
この光ピックアップは、図19(a)に示されるように、半導体レーザなどの光源1を搭載する光検出基板9と、光学系とを備えている。光学系は、光軸7上に配置されたコリメートレンズ4、偏光性ホログラム基板2、1/4波長板3、及び対物レンズ5を有している。1/4波長板3は、偏光性ホログラム基板2のホログラム面2aと同一の基板上に形成され、対物レンズ6と一体的に移動する。
光検出基板9の表面は、フォトダイオードなどの複数の受光部が形成されている検出面9aの領域と、光源1が搭載された領域とを含んでいる。光検出器基板9の表面には、図19(b)に示すように、反射ミラー10が形成されており、この反射ミラー10は光源1から放射された光を光検出基板9の表面に略垂直な方向に反射する。
光源1から放射されたレーザ光は、光検出基板9の反射ミラー10で反射された後、コリメートレンズ4で平行光に変換される。平行光は、P波の状態で偏光性ホログラム基板2を透過する。偏光性ホログラム基板2は、P波を回折せず、S波を回折する性質を有している。入射光がS波の場合、偏光性ホログラム基板2の回折効率は、例えば、0次光が0%程度、±1次光がそれぞれ41%程度である。
偏光性ホログラム基板2を透過した光は、1/4波長板3’により、直線偏光(P波)から円偏光に変換される。この円偏光は対物レンズ5によって光ディスク基材6の信号面6a上に収束する。1/4波長板3’はホログラム面2aと同一の基板上に構成され、対物レンズ6と一体で移動する。
光ディスク基材6の信号面6aで反射された光(信号光)は、往路とは反対方向に伝播する。この光(信号光)は、対物レンズ5を通って、1/4波長板3’に入射する。1/4波長板3’を透過した光は、円偏光から直線偏光(S波)に変換される。S波は、偏光性ホログラム基板2内のホログラム面2aに入射し、回折される。回折により、光軸7を対称軸とする1次回折光8、及び−1次回折光8’が形成される。回折光8、8’の各々は、コリメートレンズ4を経て検出器9上の検出面9aに収束する。検出面9aは、コリメートレンズ4の焦平面位置(光源1の仮想発光点位置)にほぼ配置されている。
特開2000−132848号公報
一般の光ディスクシステムは、光ディスク基材6が複屈折性を有していないことを前提に設計されている。しかしながら、実際には、一部の粗悪な光ディスク基材6に大きな複屈折が存在しており、このことに起因して以下に述べる問題が発生する。
光源1から放射されるレーザの波長をλとするとき、光ディスク基材6が有する複屈折性により、往復でλ/2を超える複屈性位相差(レタデーション:位相おくれ)が発生する場合がある。λ/2は、角度に換算すると、180度である。以下、複屈折位相差は、角度単位で表現することにする。
ここでは、光ディスク基材6による複屈折位相差が往復で180度であると仮定する。この場合、1/4波長板3’の往復の複屈折位相差(180度)と合わせると、360度の複屈折位相差が発生することになる。その結果、偏光性ホログラム基板2に入射する信号光の偏光状態はS波ではなく、P波となる。偏光性ホログラム基板2は、P波を回折しない性質を有しているため、P波の復路光は回折されない。このことは、図19に示す回折光8,8’の光量がゼロになることを意味する。従って、信号面6aから反射された信号光を光検出器9が受け取ることもできず、信号が読めないだけでなく、フォーカシングやトラッッキング等の制御もできなくなる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、大きな複屈折を有する光ディスク基材に対しても、検出光量がゼロとならず、信号の読み誤りや光ディスクの制御が的確に行われる光ディスク装置を提供することにある。
光ディスク装置は、光を放射する光源、前記光を光ディスクの信号面に収束させる対物レンズ、前記光ディスクで反射された前記光を回折する偏光性光分岐器、前記偏光性光分岐器によって回折された光を検出する光検出器、及び前記光ディスクと前記偏光性光分岐器との間に配置された波長板を備える光ディスク装置であって、前記波長板は、複屈折位相差および光学軸(optic axis)の少なくとも一方が相互に異なる第1及び第2の領域を含む2次元的に配列された複数の複屈折領域を備え、前記第1及び第2の領域は、異なる偏光状態を入射光に生じさせる。
好ましい実施形態において、前記波長板における前記第1及び第2の領域は、相互に異なる向きの光学軸を有している。
好ましい実施形態において、前記光源から放射される光の波長をλとするとき、前記第1の領域の複屈折位相差がλ/4+α、前記第2の領域の複屈折位相差がλ/4−αである。
好ましい実施形態において、前記光源から放射される光の波長をλとするとき、前記第1の領域の複屈折位相差がλ/4+α、前記第2の領域の複屈折位相差が−3λ/4−αである。
好ましい実施形態において、前記αが−λ/8<α<λ/8の範囲内にある。
好ましい実施形態において、前記第1の領域と前記第2の領域は、それぞれ、短冊状の形状を有しており、前記波長板内で交互に配置されている。
好ましい実施形態において、前記光源は、波長λ1の第1レーザ光と、波長λ2の第2レーザ光(λ2>λ1)とを放射することができる。
本発明による他の光ディスク装置は、波長λ1の光及び波長λ2の光(λ1はλ2と異なる)を放射する光源、前記光を光ディスクの信号面に収束させる対物レンズ、前記光ディスクで反射された前記光を回折する偏光性光分岐器、前記偏光性光分岐器によって回折された光を検出する光検出器、及び前記光ディスクと前記偏光性光分岐器との間に配置された波長板を備えた光ディスク装置であって、前記光分岐器上にあり、前記光ディスクの径方向に直交し、前記対物レンズの光軸と交わる直線をLとするとき、前記光分岐器は、少なくとも領域a1,領域a2,領域a3,領域A1,領域A2,領域A3を含み、前記領域a1,前記領域a2,前記領域a3は前記直線Lに関し前記光分岐器上の同じ側にあり、前記領域A1,前記領域A2,前記領域A3は前記直線Lに関しそれぞれ前記領域a1,前記a2,前記a3のほぼ対称領域に相当し、前記光検出器は、少なくとも2つの領域b及び領域Bに区分けされ、波長λ1の光のうち、前記光分岐器の前記領域a3,前記領域a1,前記領域A2に入射する光は1次回折光を派生して前記光検出器上の前記領域bに投射され、前記領域A3,前記領域A1,前記領域a2に入射する光は1次回折光を派生して前記光検出器上の前記領域Bに投射され、波長λ2の光のうち、前記光分岐器の前記領域a3に入射する光は1次回折光を派生して前記光検出器上の前記領域Bに投射され、前記領域A3に入射する光は1次回折光を派生して前記光検出器上の前記領域bに投射され、前記領域bと前記領域Bとの各検出信号の差分により、前記光ディスクのトラッキングエラー信号又は前記トラッキングエラー信号を補正する補正信号を生成する。
好ましい実施形態において、前記光検出器は、更に少なくとも2つの領域b’,B’に区分けされ、第1の光源の光及び第2の光源の光に対して、前記光分岐器の領域a3,a1,a2に入射する光は−1次回折光を派生して前記光検出器上の領域b’に投射され、領域A3,A1,A2に入射する光は−1次回折光を派生して前記光検出器上の領域B’に投射され、領域b’とB’の各検出信号の差分により差分信号を生成し、上記補正信号に適切な係数値を掛けて該差分信号を加算することにより、光ディスクのトラッキングエラー信号を生成する。
本発明による更に他の光ディスク装置は、波長λ1の光及び波長λ2の光(λ1≒λ2)を放射する光源、前記光を光ディスクの信号面に収束させる対物レンズ、前記光ディスクで反射された前記光を回折する偏光性光分岐器、前記偏光性光分岐器によって回折された光を検出する光検出器、及び前記光ディスクと前記偏光性光分岐器との間に配置された波長板を備えた光ディスク装置であって、前記光分岐器上にあり、前記光ディスクの径方向に直交し、前記対物レンズの光軸と交わる直線をLとするとき、前記光分岐器は少なくとも8つの領域a1,領域a2,領域a3,領域a4,領域A1,領域A2,領域A3,領域A4を含み、前記領域a1,前記領域a2,前記領域a3,前記領域a4は前記直線Lに対し同じ側にあり、前記領域A1,前記領域A2,前記領域A3,前記領域A4は前記直線Lに対しそれぞれ前記領域a1,前記領域a2,前記領域a3,前記領域a4のほぼ対称領域に相当し、前記光検出器は少なくとも6つの領域b,領域B,領域b’,領域B’,領域b”,領域B”に区分けされ、波長λ1の光のうち、前記光分岐器の前記領域A2,前記領域a1に入射する光は、−1次回折光を派生して前記光検出器上の前記領域bに投射され、前記領域a2,前記領域A1に入射する光は、−1次回折光を派生して前記光検出器上の前記領域Bに投射され、前記領域bと前記領域Bの各検出信号の差分により光ディスクのトラッキングエラー信号を生成し、波長λ2の光のうち、前記光分岐器の前記領域a3,前記領域a4に入射する光は、−1次回折光を派生して前記光検出器上の前記領域b’に投射され、前記領域A3,前記領域A4に入射する光は、−1次回折光を派生して前記光検出器上の前記領域B’に投射され、前記領域b’と前記領域B’の各検出信号の差分により差分信号を生成し、更に前記領域a3に入射する光は、1次回折光を派生して前記光検出器上の前記領域b”に投射され、前記領域A3に入射する光は1次回折光を派生して前記光検出器上の前記領域B”に投射され、前記領域b”と前記領域B”の各検出信号の差分により補正信号を生成し、前記補正信号に適切な係数値を掛けて前記差分信号を加算することにより、光ディスクのトラッキングエラー信号を生成する。
本発明の光学素子は、複屈折位相差および光学軸(optic axis)の少なくともが相互に異なる第1及び第2の領域を含む2次元的に配列された複数の複屈折領域を備え、前記第1及び第2の領域は、異なる偏光状態を入射光に生じさせる。
好ましい実施形態において、前記第1及び第2の領域は、平行な光学軸を有し、かつ、相互に異なるレタデーションを有している。
好ましい実施形態において、前記第1及び第2の領域は、相互に異なる向きの光学軸を有している。
好ましい実施形態において、前記第1及び第2の領域は、光軸(optical axis)に垂直な面内で、交互に配列されている。
好ましい実施形態において、前記第1及び第2の領域の形状は、それぞれ、短冊形状、格子形状、及び輪帯形状のいずれかである。
好ましい実施形態において、偏光性フィルターを更に備える。
好ましい実施形態において、前記偏光性のフィルターは偏光性ホログラムである。
好ましい実施形態において、前記第1の領域の光学軸は、入射する光の偏光方向に対して45°+δ±α(−10°<δ<10°、0°<α≦15°)の方位を有し、前記第2の領域の光学軸は、入射する光の偏光方向に対して45°+δ−αの方位を有する。
好ましい実施形態において、光学素子を往復通過する複数の波長の光のうちの少なくとも一つの光の波長に対して、前記複数の複屈折領域の平均のレタデーションが(2m+1)π/2(mは整数)に等しく設定されている。
好ましい実施形態において、異なる波長の光に対して同じレタデーションを有する広帯域波長板である。
好ましい実施形態において、前記複数の複屈折領域の一部の光学軸は、入射する光の偏光方向に対して45°の方位を有している。
本発明の光ピックアップは、異なる波長を有する2種類以上のレーザ光を放射する光源と、前記光源から放射された光を光情報媒体に収束させるレンズと、光情報媒体から反射された光を受ける光検出器とを備え、前記レーザ光源から前記光情報媒体に向かう光の光路と、前記光情報媒体から前記光検出器に向かう光の光路とが共通する部分に位置する上記いずれかの光学素子を更に備えている。
好ましい実施形態において、前記光源及び前記光検出器が一体化されている。
本発明による光学素子の製造方法は、複屈折位相差および光学軸の少なくとも一方が相互に異なる第1及び第2の領域を含む2次元的に配列された複数の複屈折領域を備え、前記第1及び第2の領域を含む複数の複屈折領域が入射光に異なる偏光状態を生じさせる、光学素子を製造する方法であって、基板上に配向規制方向が相互に異なる複数の領域を含む配向膜を形成する工程(a)と、前記配向膜上に液晶層を形成し、前記液晶層の配向方向を領域ごとに規制する工程(b)とを包含する。
好ましい実施形態において、前記工程(a)は、光配向性を有する膜を前記配向膜として前記基板上に形成する工程(a1)と、前記配向膜の一部を紫外光で露光し、第1の配向規制方向を規定する工程(a2)と、前記配向膜の他の部分を紫外光で露光し、前記第1の配向規制方向とは異なる第2の配向規制方向を規定する工程(a3)とを含む。
好ましい実施形態において、前記工程(b)は、紫外線硬化剤を含有する液晶層を前記配向膜上に形成し、前記第1及び第2の配向規制方向の各々によって配向を規制する工程(b1)と、紫外光を照射して前記液晶層を硬化させる工程(b2)とを包含する。
本発明によれば、光ディスク基材の複屈折性がどのようなものであっても、戻り光の複屈折位相差に分布(ばらつき)が存在するので、検出光量がゼロとならず、信号の読み誤りや制御外れをなくすことができる。また、2つの光源を有する構成に対しても、それぞれの光源に応じた複屈折対応が可能であり、同一の光検出器で様々な種類の光ディスクに対する制御信号や再生信号を検出することができる。
更に、(1)対物レンズ及び偏光性光分岐器に光ディスクの半径方向に沿った偏心があっても、また、(2)光ディスク基材に傾きがあっても、また、(3)光スポットが光ディスクの記録/未記録の境界に位置して隣接トラックの影響を受ける状態であっても、検出信号の演算により、オフトラックが発生しないトラッキング制御が可能となる光ディスク装置が提供される。
(実施形態1)
図1から図4を参照しながら、本実施形態による光ディスク装置の第1の実施形態を説明する。
まず、図1(a)参照する。図1(a)は、本実施形態の光ディスク装置における光ピックアップの要部構成を示している。図1(b)は、光源1とその周辺に関する側面を示している。
本実施形態における光ピックアップは、図1(a)に示されるように、半導体レーザなどの光源1を搭載する光検出基板9と、光学系とを備えている。光学系は、光軸7上に配置されたコリメートレンズ4、偏光性ホログラム基板2、分布型波長板3、及び対物レンズ5を有している。分布型波長板3は、偏光性ホログラム基板2のホログラム面2aと同一の基板上に形成され、対物レンズ6と一体的に移動する。本実施形態において最も特徴的な構成要素の1つは、分布型波長板3である。「分布型波長板」とは、異なる性質を有している領域が面内に分布している波長板を意味するものとする。
光検出基板9の表面は、フォトダイオードなどの複数の受光部が形成されている検出面9aの領域と、光源1が搭載された領域とを含んでいる。光検出器基板9の表面には、図1(b)に示すように、反射ミラー10が形成されており、この反射ミラー10は光源1から放射された光を光検出基板10の表面に略垂直な方向に反射する。
光源1から放射されたレーザ光は、光検出基板9の反射ミラー10で反射された後、コリメートレンズ4で平行光に変換される。平行光は、P波の状態で偏光性ホログラム基板2を透過する。偏光性ホログラム基板2は、P偏光を回折せず、S偏光を回折する性質を有している。入射光がS偏光の場合、偏光性ホログラム基板2の回折効率は、例えば、0次光が0%程度、±1次光がそれぞれ41%程度である。
偏光性ホログラム基板2を透過した光は、分布型波長板3により、空間的に2種類の偏光状態が混ざった光(以下、「混合光」と称する場合がある。)に変換される。分布型波長板3の構造及び機能の詳細は後述する。混合光は、対物レンズ5によって光ディスク基材6の信号面6a上に収束する。
光ディスク基材6の信号面6aで反射された光(信号光)は、往路とは反対方向に伝播する。この光(信号光)は、対物レンズ5を通って、分布型波長板3に入射する。分布型波長板3を透過した光は、偏光性ホログラム基板2内のホログラム面2aに入射し、回折される。回折により、光軸7を対称軸とする1次回折光8、及び−1次回折光8’が形成される。回折光8、8’の各々は、コリメートレンズ4を経て検出器9上の検出面9aに収束する。検出面9aは、コリメートレンズ4の焦平面位置(すなわち光源1の仮想発光点位置)にほぼ配置されている。
図2Aは、光検出器9の光検出面9aの構成を示し、図2Bは、偏光性ホログラム基板2のホログラム面2aの構成を示している。いずれの図も、光ディスク6の側から光検出面9a、ホログラム面2aを観察した平面図である。
図2Bを参照しつつ、ホログラム面2aの構成を説明する。ホログラム面2aは、ホログラム面2aと光軸7とが交差する交点20で直交する2直線(X軸、Y軸)で4分割されている。Y軸は光ディスク基材6における信号面6aの半径方向6Rに相当し、さらにそれぞれの象限でX軸に沿った短冊で領域21B、21F、22B、22F、23B、23F、24B、24Fに分割される。
次に、図2Aを参照しつつ、検出面9aの構成を説明する。検出面9aと光軸7とが交差する点を交点90と称することにする。交点90を原点とするx軸及びy軸は、それぞれ、図2Bに示すX軸及びY軸に平行である。光源1は、x軸上に搭載されており、その発光点1aからレーザ光が放射される。
図2Aに示すように、検出面9aでは、y軸の+側にy軸に沿った短冊状のフォーカス検出セルF1a、F2a、F1b、F2b、F1c、F2c、F1d、F2d、F1e、F2eが配置されている。y軸の−側には、台形状のトラッキング検出セル7T1、7T2、7T3、7T4が配置されている。これらの検出セルは、y軸に対して対称な形状を有している。なお、光源1の発光点1aから放射された光は、x軸と交わり紙面に直交する面内をx軸と平行に進み、反射ミラー10により、光軸方向(点90を通り紙面に直交する方向)に反射される。
図2Bには、ホログラム面2aに入射する光のビーム断面の外形が円形の破線80で示されている。ホログラム面2aに入射した光のうち、ホログラム面2aの第1象限に位置する短冊領域21B、21Fで回折された1次回折光81B、81Fは、検出セルF2a、F1bの境界を跨る光スポット81BS、81FSに集光される。−1次回折光81B’、81F’は検出セル7T1に収まる光スポット81BS’、81FS’に集光される。
第2象限に位置する領域22B,22Fで回折された1次回折光82B,82Fは、検出セルF1b、F2bの境界を跨る光スポット82BS、82FSに集光される。−1次回折光82B’、82F’は、検出セル7T2に収まる光スポット82BS’、82FS’に集光される。
第3象限に位置する領域23B、23Fで回折された1次回折光83B,83Fは、検出セルF1d、F2dの境界を跨る光スポット83BS、83FSに集光され、−1次回折光83B’、83F’は、検出セル7T3に収まる光スポット83BS’、83FS’に集光される。
第4象限に位置する領域24B、24Fで回折された1次回折光84B、84Fは、検出セルF2d、F1eの境界を跨る光スポット84BS、84FSに集光される。−1次回折光84B’、84F’は、検出セル7T4に収まる光スポット84BS’、84FS’に集光される。
検出セルのいくつかは電気的に接続されており、光検出器9からは、以下の6種類の信号F1、F2、T1、T2、T3、T4が出力される。
F1=検出セルF1aで得られる信号+検出セルF1bで得られる信号
+検出セルF1cで得られる信号+検出セルF1dで得られる信号
+検出セルF1eで得られる信号
F2=検出セルF2aで得られる信号+検出セルF2bで得られる信号
+検出セルF2cで得られる信号+検出セルF2dで得られる信号
+検出セルF2eで得られる信号
T1=検出セル7T1で得られる信号
T2=検出セル7T2で得られる信号
T3=検出セル7T3で得られる信号
T4=検出セル7T4で得られる信号
図2A及び図2Bに示されているy軸及びY軸が、光ディスク基材6の信号面6aにおける半径方向6Rに平行であるとする。この場合、信号面6aからのフォーカスエラー信号FE、光ディスクトラックへのトラッキングエラー信号TE、及び、再生信号RFは、それぞれ、以下の式1から式3に基づいて検出される。
FE=F1−F2 (式1)
TE=T1+T2−T3−T4 (式2)
RF=F1+F2+T1+T2+T3+T4 (式3)
次に、図3(a)及び(b)を参照しながら、分布型波長板3の構成を説明する。図3(a)は、分布型波長板3の平面図であり、図3(b)は、その断面図である。いずれの図も、光ディスク基材6の側から観察した平面図である。ここで、分布型波長板3の表面と光軸7との交点30で直交する2直線をX軸、Y軸とする。X軸、Y軸は、ホログラム面2a上のX軸、Y軸に一致する。Y軸は、光ディスク基材6の信号面6aにおける半径方向(以下、「ディスク半径方向」と称す。)6Rに平行である。
分布型波長板3は、ディスク半径方向6Rに長軸を有する複数の短冊領域3A、3Bに分かれている。短冊領域3Aでは、複屈折位相差が90+α度、短冊領域3Bでは複屈折位相差が90−α度である。進相軸方位は、光ディスク半径方向6Rに対して45度方向にある。短冊領域3Aと短冊領域3Bとは交互に配列されている。
図3(b)に示すように、分布型波長板3は、偏光性ホログラム基板2上に形成された厚さcの複屈折層3cと、複屈折層3c上に配列された複屈折層3a及び透明層3bとを備えている。透明層3aは短冊領域3Aを形成し、透明層3bは短冊領域3Bを形成している。複屈折層3a及び透明層3bの厚さは、それぞれ、a及びbである。図3(b)では、b<aの場合が示されているが、b=aでも、b>aでもよい。透明層3bは、いわば位相補正層であり、透明層3bを透過する光と透明層3aを透過する光との間で生じる位相を揃える機能を有している。
このような分布型波長板3は、例えば以下のようにして作製される。
まず、偏光性ホログラム基板2上に一様な厚さを有する複屈折層3cを堆積する。複屈折層3aを複屈折層3の上に堆積した後、フォトリソグラフィ及びエッチング技術により、複屈折層3aをパターニングする。このパターニングにより、複屈折層3aのうち、図3(a)に示す短冊領域3Bが形成されるべき部分が除去され、複数の開口部が形成される。次に、各開口部を透明層3bで充填することにより、図3(b)に示す構成が得られる。
本実施形態では、複屈折層3cの複屈折位相差が90−α度であり、複屈折層3aの複屈折位相差が2α度である。いずれの進相軸方位も、光ディスク半径方向6Rに対し45度傾斜している。分布型波長板3は、複屈折層3a及び透明層3bを覆う他の透明層を備えていてもよい。この透明層は、透明の基板であってもよい。また、複屈折層3aが複屈折層3cの下に位置していても良い。
図(3(a)に円形の破線10囲まれた領域は、分布型波長板3に入射した光ビームの断面を模式的に示している。P偏光が分布型波長板3に入射すると、2種類の偏光状態(何れも円偏光に近い楕円偏光)が空間的に混在する光(混合光)として出射される。
図1に示すように、分布型波長板3を透過した混合光は、対物レンズ5により、光ディスク基材6の信号面6a上に収束する。信号面6aに形成される集光スポットの直径は、従来の値に比べて若干増大するが、その程度は小さい。例えば、α=20度、NA=0.5、λ=790nmとすると、スポット径の増大は1/1000μm程度であり、これは、Strehl(規格化されたピーク強度のこと)の劣化が2〜3%の場合に相当する。
次に、図4(a)から(c)を参照しながら、分布型波長板3の機能を説明する。
図4(a)から(c)は、簡単のため、分布型波長板3が2つの短冊領域3A、3Bに分割されている例を示している。分布型波長板3は、光ディスク半径方向6Rに沿った直線Lで2つの領域に等分割されている。領域3Aでは、複屈折位相差が90+α度、領域3Bでは、複屈折位相差が90−α度である。各領域3A、3Bの進相軸方位は、いずれも、光ディスク半径方向6Rに対して45度の方向にある。
図4(a)は、往路における入射光10と分布型波長板3の関係を示している。
分布型波長板3を透過する入射光10のうち、直線Lの右側の領域を透過する光10Aには90+α度の複屈折位相差が発生する。これに対し、直線Lの左側の領域を透過する光10Bには、90−α度の複屈折位相差が発生する。
図4(b)は、復路における入射光80と分布型波長板3の関係を示している。
入射光80は、光ディスク基材6の信号面6aで反射された光であるため、光の分布が反転している。すなわち、分布型波長板3へ入射する入射光80のうち、直線Lの右側の領域に入射する光80Aには、90−α度の複屈折位相差が生じている。これに対して、直線Lの左側の領域に入射する光80Bには、90+α度の複屈折位相差が生じている。ただし、光ディスク基材6によって複屈折位相差が変化していないと仮定する。
図4(c)は、光ディスク基材6の信号面6a上に信号ピット列が存在する場合における復路の入射光80と分布型波長板3との関係を示している。光ディスク半径方向6Rの幅が十分広いピットがディスク回転方向6Tに沿って等ピッチで並んでいるものとする。
このようなピット列により、信号面6aからの反射光はディスク回転方向6Tに回折して、1次回折光81Aと−1次回折光81Bとが発生する。これらの回折光の複屈折位相差は、図4(b)での入射光80が、それぞれ、左と右にシフトした状態に一致する。すなわち、1次回折光81Aには90−α度の複屈折位相差が生じており、−1次回折光81Bには、分布型波長板3に入射するとき、90+α度の複屈折位相差が生じている。
従って、1次回折光81A及び−1次回折光81Bが分布型波長板3を透過した後では、回折光81Aには180−2α度の複屈折位相差が存在し、回折光80Bには180+2α度の複屈折位相差が存在する。ここでも、光ディスク基材6によって複屈折位相差が変化していないと仮定している。
次に、光ディスク基材6を透過する過程で複屈折位相差が生じる場合を考える。
光ディスク基材6の複屈折位相差が往復で−180度になる場合、回折光81Aの複屈折位相差は、−2α度になり、光80Bの複屈折位相差は+2α度となる。光ディスク基材6の複屈折がどのような場合であっても、回折光81A及び回折光80Bの複屈折位相差が同時にゼロになることはない。従って、偏光ホログラム基板2に入射する戻り光(信号光)は、必ず、ホログラム面2aで回折される偏光成分を有することになる。
光ディスク基材6の信号面6a上には、ピットやエンボス、信号マーク等が存在するため、信号面6aからの反射光は、より複雑な回折を起こす。しかし、光ディスク基材6の複屈折がどのようなものであっても、必ず戻り光(信号光)の複屈折位相差には空間的な分布(ばらつき)が存在する。このような分布は、分布型波長板3が、同一の入射直線偏光に生じさせる複屈折位相差が相互に異なる第1及び第2の領域を含む2次元的に配列された複数の複屈折領域を備えていればよい。光が、そのような複数の複屈折領域を透過するとき、光の入射位置に応じて異なる位相差が生じる。分布型波長板3に形成される各複屈折領域の数や形状は任意である。
図3(a)に示す短冊形状の領域3A、3Bを備える分布型波長板3について、光ディスク基材6の複屈折が往復で0度の場合の検出光量S0と、光ディスク基材6の複屈折が往復で180度の場合の検出光量S180とを求め、検出光量比S180/S0を計算した。
α=20度、NA=0.5、λ=790nmの場合、CD−ROMでのランダムなディスク信号に対して、検出光量比は15%となった。α=36度の場合の検出光量比検出光量比は60%であった。何れの場合も、計算上、光学ジッターの劣化はほとんど認められない。
このように本実施形態では、大きな複屈折を有する光ディスク基材6に対しても、検出光量がゼロとならず、従来例の様な信号の読み誤りや制御外れが発生することはない。
なお、本実施形態では分布型波長板3を短冊形状で分割したが、2種類の複屈折位相差が発生しさえすれば、他の分割形状であってもよく、また2種類以上の複屈折位相差を発生させる形態であっても、同様の効果が得られる。また、これは以下の実施形態でも同様である。
(実施形態2)
次に、図5から図7を参照しながら、本発明による光ディスク装置の第2の実施形態を説明する。
本実施形態では、光源1の発光点が2つに増えている。また、偏光ホログラム面2aのパターン、光検出器面9a上の検出パターン、及びその上の光分布が実施形態1の場合と異なっている。これらの点を除けば、本実施形態の光ディスク装置は、実施形態1における光ディスク装置と同一の構成を有している。このため、実施形態1の説明と共通する部分は省略する。なお、実施形態1の光ディスク装置の構成要素と共通する構成要素には同一の参照符号を付している。
光源1は、異なる種類の2つの半導体レーザチップを搭載していても良いし、また、異なる波長のレーザ光を放射する単一の半導体レーザチップを搭載していも良い。光源1は、光ディスク装置に搭載された光ディスクの種類に応じて、適切な波長のレーザ光を出力することができる。
図5に示されるように、光検出基板9上に取り付けられた光源1の第1発光点1aから放射されたレーザ光(波長λ1)は、光検出基板9の反射ミラー10で反射された後、コリメートレンズ4で平行光に変換される。平行光は、P波の状態で偏光性ホログラム基板2を透過する。偏光性ホログラム基板2は、P偏光を回折せず、S偏光を回折する性質を有している。入射光がS偏光の場合、偏光性ホログラム基板2の回折効率は、例えば、0次光が0%程度、±1次光がそれぞれ41%程度である。図5には、第1の光ディスク基板6と、第2の光ディスク基材6’が同時に描かれているが、実際には、別々に光ディスク装置にロードされる。波長λ1のレーザ光が第1発光点か1aから放射されるのは、第1の光ディスク基材6が配置されている場合である。
偏光性ホログラム基板2を透過した光は、分布型波長板3により、空間的に2種類の偏光状態が混ざった光(混合光)に変換される。分布型波長板3の構造及び機能の詳細は後述する。混合光は、対物レンズ5によって第1の光ディスク基材6の信号面6a上に収束する。
第1の光ディスク基材6の信号面6aで反射された光(信号光)は、往路とは反対方向に伝播する。この光(信号光)は、対物レンズ5を通って、分布型波長板3に入射する。分布型波長板3を透過した光は、偏光性ホログラム基板2内のホログラム面2aに入射し、回折される。回折により、光軸7を対称軸とする1次回折光8、及び−1次回折光8’が形成される。回折光8、8’の各々は、コリメートレンズ4を経て検出器9上の検出面9aに収束する。検出面9aは、コリメートレンズ4の焦平面位置(すなわち光源1の仮想発光点位置)にほぼ配置されている。
本実施形態における光源1は、第1のレーザ光とは異なる波長の光も放射し得る。本実施形態では、第2の光ディスク基材6’にデータを記録し、または、第2の光ディスク基材6’からデータを読み出す場合に、光源1における第2の発光点1a’から第2のレーザ光(波長λ2、ただしλ2>λ1)が放射される。第2の発光点1a’から放射された第2のレーザ光は、反射ミラー10で反射された後、コリメートレンズ4で平行光に変換される。平行光は、P波の状態で偏光性ホログラム基板2を透過する。偏光性ホログラム基板2は、P偏光を回折せず、S偏光を回折する性質を有している。
偏光性ホログラム基板2を透過した光は、分布型波長板3により、空間的に2種類の偏光状態が混ざった光(以下、「混合光」と称する場合がある。)に変換される。分布型波長板3の構造及び機能の詳細は後述する。混合光は、対物レンズ5によって第2の光ディスク基材6’の信号面6a’上に収束する。
第2の光ディスク基材6’の信号面6a’で反射された光(信号光)は、往路とは反対方向に伝播する。この光(信号光)は、対物レンズ5を通って、分布型波長板3に入射する。分布型波長板3を透過した光は、偏光性ホログラム基板2内のホログラム面2aに入射し、回折される。回折により、光軸7を対称軸とする1次回折光8、及び−1次回折光8’が形成される。第2のレーザ光の波長はλ2であり、第1のレーザ光の波長λ1より大きいため、±1次光の回折効率は、波長λ1の場合に比べて1割程度低くなる。回折光8、8’の各々は、コリメートレンズ4を経て検出器9上の検出面9aに収束する。
図6は、本実施形態における偏光ホログラム基板2のホログラム面2aの構成を示しており、図7A及び図7Bは本実施形態における光検出面9aの構成を示している。図7Aは、第1の発光点1aを出射する第1のレーザ光に対する戻り光の光スポットの様子、図7Bは第2の発光点1a’を出射する第2のレーザ光に対する戻り光の光スポットの様子を示している。
図6に示すように、本実施形態におけるホログラム面2aの構成は、図2Bに示すホログラム面2aの構成と同様である。図7A、図7Bに示されるx軸及びy軸は、検出面9aと光軸7(又は7’)との交点90(又は90’)で直交し、それぞれ、X軸及びY軸に平行である。
図7A及び図7Bに示すように、y軸の−側にy軸に沿った短冊状のフォーカス検出セルF1a、F2a、F1b、F2b、F1c、F2c、F1d、F2dが配置され、y軸の+側に方形状のトラッキング検出セル7T1、7T2、7T3、7T4が配置されている。これらの検出セルはy軸に対して対称形をなしている。
光源1の発光点1aから放射される光は、x軸と交わり紙面に直交する面内をx軸と平行に進み、反射ミラー10により光軸方向(点90を通り紙面に直交する方向)に反射される。一方、光源1の発光点1a’から放射される光は、x軸と交わり紙面に直交する面内をx軸と平行に進み、反射ミラー10により光軸方向(点90’を通り紙面に直交する方向)に反射される。
ホログラム面2aに入射する光80のうち、第1象限に位置する短冊領域21B、21Fで回折される1次回折光81B、81Fは、検出セルF2c、F1dの境界を跨る光スポット81BS、81FSに収束する。−1次回折光81B’、81F’は、検出セル7T1に収まる光スポット81BS’、81FS’に収束する。
第2象限に位置する領域22B、22Fで回折される1次回折光82は、検出セルF1c、F2dの境界を跨る光スポット82BS、82FSに収束し、−1次回折光82’は検出セル7T2に収まる光スポット82BS’、82FS’に収束する。
第3象限に位置する領域23B、23Fで回折される1次回折光83は、検出セルF1a、F2bの境界を跨る光スポット83BS、83FSに収束し、−1次回折光83’は検出セル7T3に収まる光スポット83BS’、83FS’に収束する。
第4象限に位置する領域24B、24Fで回折される1次回折光84B、84Fは、検出セルF2a、F1bの境界を跨る光スポット84BS、84FSに収束し、−1次回折光84B’、84F’は検出セル7T4に収まる光スポット84BS’、84FS’に収束する。
検出セルのいくつかは電気的に接続されており、信号F1、F2、T1、T2、T3、T4は、以下の式に基づいて得られる。
F1=検出セルF1aで得られる信号+検出セルF1bで得られる信号
+検出セルF1cで得られる信号+検出セルF1dで得られる信号
F2=検出セルF2aで得られる信号+検出セルF2bで得られる信号
+検出セルF2cで得られる信号+検出セルF2dで得られる信号
T1=検出セル7T1で得られる信号
T2=検出セル7T2で得られる信号
T3=検出セル7T3で得られる信号T4=検出セル7T4で得られる信号
図7Bでは、光源1の第2の発光点1a’が図7Bに示される発光点1aの位置に比べて−y軸方向にシフトしている。また、第2の発光点1a’から放射される光の波長λ2は波長λ1よりも大きい。このため、ホログラムによる回折角が大きくなり、検出面上に形成される光スポット位置が変化する。しかし、図7Bに示すように、検出セル7T1、7T2、7T3、7T4は、シフトした光スポットを受けることができる。また、検出セルF1a、F1b、F1c、F1d、F2a、F2b、F2c、F2d上では、光スポットが分割線方向(y軸方向)に沿って移動するが、これらの検出セルは、y軸方向に長く延びており、また、光スポットと分割線との間の距離変化は少ない。このため、波長λ2の光も、波長λ1の光と同様に、フォーカスエラー信号(FE)を精度良く検出することができる。
本実施形態では、波長λ1の光について、分布型波長板3の短冊領域3Aにおける複屈折位相差が90+α度、短冊領域3Bにおける複屈折位相差が90−α度となる。波長λ2の光については、短冊領域3Aの複屈折位相差が(λ1/λ2)×(90+α)度、短冊領域3Bの複屈折位相差は(λ1/λ2)×(90−α)度となる。従って、どちらの波長の光に対しても、大きな複屈折を有する光ディスク基材6に対して、検出光量がゼロとならず、従来例の様な信号の読み誤りや制御外れが発生することはない。
なお、波長λ1に対して、分布型波長板3の短冊領域3Aでは複屈折位相差が90+α度、短冊領域3Bでは−270−α度とする構成も考えられる。例えば、図3において、複屈折層3cの複屈折位相差が90+α度、複屈折層3aの複屈折位相差が−360−2α度となる。このとき、波長λ2に対しては短冊領域3Aで複屈折位相差が(λ1/λ2)×(90+α)度、短冊領域3Bでは(λ1/λ2)×(−270−α)度となる。例えば、α=0度、λ1=660nm、λ2=790nmとすると、波長λ1に対して短冊領域3A、3Bの間に位相差がないことに相当し、波長λ2に対しては短冊領域3A、3B間に60度の位相差が発生する。この場合、波長λ2に対してだけ複屈折対応がなされ、複波長λ1に対しては従来例通りの光学性能となる。また、α=15度、λ1=660nm、λ2=790nmとすると、波長λ1に対して短冊領域3A、3Bの間に30度の位相差が発生し、波長λ2に対しては短冊領域3A、3Bの間34度の位相差が発生する。この場合、波長λ1、波長λ2の双方に複屈折対応がなされ、波長λ2の方により強い処置がなされている。αの値を変えることにより、この位相差の配分を調整できる。
(実施形態3)
次に、図8から図9を参照しながら、本発明による光ディスク装置の第3の実施形態を説明する。本実施形態の光ディスク装置は、偏光ホログラム面2aのパターン、光検出器面9a上の検出パターン及びその上の光分布が異なる点を除けば、実施形態2における光ディスク装置との同一の構成を有している。このため、両者に共通する部分の説明は省略する。
図8は、本実施形態における偏光ホログラム基板2のホログラム面2aの構成を示しており、図9A、9Bは、本実施形態における光検出面9aを示している。いずれも、光ディスク基材6の側からホログラム面2a、光検出面9aを観察した平面図である。図9Aは、第1の発光点1aから放射された第1のレーザ光の戻り光が形成する光スポットを示し、図9Bは、第2の発光点1a’から放射された第2のレーザ光の戻り光が形成する光スポットを示している。
図8に示すように、ホログラム面2aは、ホログラム面2aと光軸7との交点20で直交する2直線(X軸、Y軸)によって4分割されている。Y軸は、光ディスク半径方向6Rに相当する。第1象限は2つの領域21a及び21bに分けられ、第2象限は2つの領域22a及び22bに分けられ、第3象限は2つの領域23a及び23bに分けられ、第4象限は2つの領域24a及び24bに分けられている。
また、図8には示していないが、各領域はX方向に沿った短冊で実施形態2の図6の様に添字Bの領域と添字Fの領域(21aB、21aF等)に分けられる。開口内(円80内)での領域21a、24aはCD−R/RW等のディスク溝からの±1次回折光を含まない領域の一部であり、開口内での領域22a、23aはDVD−R/RW等のディスク溝からの±1次回折光を含まない領域の一部である。なお、前述の通り、添字Bは+1次回折光側で検出面後に集光する光、添字Fは検出面前に集光する光を意味する。また、簡単のため、図9では添字Bに対応した光スポットのみを表示する。
図9A及び図9Bにおいて、検出面9aと光軸7(又は7’)との交点90(又は90’)で直交しX軸、Y軸に平行な2直線をそれぞれx軸、y軸とする。y軸の−側にy軸に沿った短冊状のフォーカス検出セルF1a、F2a、F1b、F2b、F1c、F2c、F1d、F2dと、トラッキング補正用検出セル7T5、7T6とが配置され、y軸の+側に方形状のトラッキング検出セル7T1、7T2、7T3、7T4が配置されている。これらの検出セルは、y軸に対して対称形をなしている。なお、光源1の発光点1a又は1a’から放射される光は、x軸と交わり紙面に直交する面内をx軸と平行に進み、反射ミラー10により光軸方向(点90又は90’を通り紙面に直交する方向)に反射している。
ホログラム面2aに入射した光(入射光80)のうち、第1象限の領域21a内の短冊領域21aB及び21aFと領域21b内の短冊領域21bB及び21bFとで回折された+1次回折光81aB及び81aFと81bB及び81bFとは、検出セルF2c及びF1dの境界を跨る光スポット81aBS及び81aFSと81bBS及び81bFSとに収束する。−1次回折光81aB’及び81aF’と81bB’及び81bF’とは、検出セル7T1に収まる光スポット81aBS’及び81aFS’と81bBS’及び81bFS’とに収束する。
第2象限での領域22a内の短冊領域22aB及び22aFで回折される+1次回折光82aB及び82aFは、検出セルF1a及びF2bの境界を跨る光スポット82aBS及び82aFSに収束する。−1次回折光82aB’及び82aF’は、検出セル7T3の領域内の光スポット82aBS’及び82aFS’に収束する。第2象限での領域22b内の短冊領域22bB及び22bFで回折される+1次回折光82bB及び82bFは、検出セルF1c及びF2dの境界を跨る光スポット82bBS及び82bFSに収束する。−1次回折光82bB’及び82bF’は、検出セル7T2の領域内の光スポット82bBS’及び82bFS’に収束する。
第3象限での領域23a内の短冊領域23aB及び23aFで回折される+1次回折光83aB及び83aFは、検出セルF1c及びF2dの境界を跨る光スポット83aBS及び83aFSに収束する。−1次回折光83aB’及び83aF’は、検出セル7T2の領域内の光スポット83aBS’及び83aFS’に収束する。第3象限での領域23b内の短冊領域23bB及び23bFで回折される+1次回折光83bB,83bFは、検出セルF1a及びF2bの境界を跨る光スポット83bBS及び83bFSに収束する。−1次回折光83bB’及び83bF’は、検出セル7T3の領域内の光スポット83bBS’及び83bFS’に収束する。
第4象限での領域24a内の短冊領域24aB及び24aFと領域24b内の短冊領域24bB及び24bFとで回折され+1次回折光84aB及び84aFと84bB及び84bFとは、検出セルF2a及びF1bの境界を跨る光スポット84aBS及び84aFSと84bBS及び84bFSとに収束する。−1次回折光84aB’及び84aF’と84bB’及び84bF’とは、検出セル7T4に収まる光スポット84aBS’及び84aFS’と84bBS’及び84bFS’とに収束する。
検出セルのいくつかは電気的に接続されており、以下の信号F1、F2、T1、T2、T3、T4、T5、T6の8つの信号が得られるように構成されている。
F1=検出セルF1aで得られる信号+検出セルF1bで得られる信号
+検出セルF1cで得られる信号+検出セルF1dで得られる信号
F2=検出セルF2aで得られる信号+検出セルF2bで得られる信号
+検出セルF2cで得られる信号+検出セルF2dで得られる信号
T1=検出セル7T1で得られる信号
T2=検出セル7T2で得られる信号
T3=検出セル7T3で得られる信号
T4=検出セル7T4で得られる信号
T5=検出セル7T5で得られる信号
T6=検出セル7T6で得られる信号
図9Bでは、光源1の発光点が点1a’に移ることに加え、光源の波長λ2がλ1よりも大きいため、ホログラムによる回折角も大きくなり、光スポット位置が変化する。検出セル7T1、7T2、7T3、7T4では図9Aと同様の光スポットを捕捉できるが、光スポット81aBS、81aFSと84aBS、84aFSはそれぞれ検出セル7T5及び7T6の上に収まり、光スポット81bBS及び81bFSと84bBS及び84bFSとは検出セルの外に出る。一方、光スポット82aBS、82aFS、83bBS、83bFS、82bBS、82bFS、83aBS、83aFSの場所は変わるが、結果として図9Aと同様に検出セルに捕捉されている。
図9A、9Bに示すy軸は光ディスク基材6の半径方向6Rに平行である。光ディスク信号面6aのフォーカスエラー信号FE、波長λ1に対応した光ディスクのトラッキングエラー信号TE1、波長λ2に対応した光ディスクのトラッキングエラー信号TE2、光ディスク信号面6aの再生信号RFは、次に示す(式4)、(式5)、(式6)及び(式7)
に基づき検出される。
FE=F1−F2 (式4)
TE1=α(T1−T4)+β(T2−T3) (式5)
TE2=(T1−T4)+γ(T5−T6) (式6)
RF=T1+T2+T3+T4 (式7)
例えば、(式5)はDVD−RAMやDVD−R/RW等の光ディスクで用いられる。DVD−RAM等の光ディスクの場合は、α=1、β=0に設定し、DVD−R/RW等の光ディスクの場合はα=0、β=1に設定する。
(式6)はCD−R/RW等の光ディスクで用いられる。信号(T1−T4)は、通常のTE信号を半円開口で検出したものに相当し、特性は全く同じである。信号(T2−T3)は開口内の一部の領域(22aと23a)が入れ替わって検出されたTE信号であり、DVD−R/RWでの±1次回折光が含まれない領域を入れ替えているので、DVD−R/RWディスクに対してはTE感度の劣化がなく、入れ替えによって対物レンズの光ディスク半径方向6Rに沿った偏心の影響や光ディスク基材6の傾きの影響、光スポットが光ディスク信号面6aの記録/未記録の境界にある時の影響等をキャンセルする効果がある。
一方、図9Bに示す場合に得られる信号(T5−T6)は、開口内の一部の領域(21aと24a)のみを抽出して検出された差信号であり、CD−R/RWでの±1次回折光が含まれない領域での差信号であり、CD−R/RWディスクに対するTE感度はゼロであり、通常のTE信号(即ち信号(T1−T4))に比べ、対物レンズの光ディスク半径方向6Rに沿った偏心の影響、光ディスク基材の傾きの影響、光スポットが光ディスク信号面6aの記録/未記録の境界にある時の影響等に対する依存性が全く異なるので、(数6)の様な信号(T1−T4)との演算により、TE感度を損ねることなく、これらの影響等をキャンセルすることができる。なお、図9Bの場合のフォーカスエラー信号FEは半円開口での検出であるが、光ディスク半径方向6Rで分割された片側の半円なのでディスク溝の影響が出にくく、従来の検出方式である全円での検出とほぼ等価な特性が得られる。
本実施形態では実施形態2と同様の分布型波長板3を使っているので、光ディスク基材6の複屈折に対する効果は実施形態2と全く同様である。更に本実施形態は対物レンズに光ディスク半径方向6Rに沿った偏心があっても、光ディスク基材6に傾きがあっても、光スポットが光ディスク記録面6aの記録/未記録領域の境界に位置して隣接トラックの影響を受ける状態であっても、(式5)や(式6)の演算式をトラッキングエラー信号とすることにより、オフトラックが発生しないトラッキング制御が可能となる効果が得られる。
(実施形態4)
次に、図10及び図11を参照しながら、本発明による光ディスク装置の第4の実施形態を説明する。本実施形態の光ディスク装置は、偏光ホログラム面2aのパターン、光検出器面9a上の検出パターン及びその上の光分布が異なる点を除けば、実施形態2における光ディスク装置との同一の構成を有している。このため。両者に共通する部分の説明は省略する。
図10は、本実施形態における偏光ホログラム基板2のホログラム面2aの構成を示しており、図11は本実施形態における光検出面の構成を示している。ともに光ディスク側からホログラム面側、光検出面側を見た平面図である。なお、図11Aは第1の発光点1aを出射する第1のレーザ光に対する戻り光の光スポットの様子を示し、図11Bは第2の発光点1a’を出射する第2のレーザ光に対する戻り光の光スポットの様子を示している。
図10に示すように、ホログラム面2aと光軸7との交点を20として、ホログラム面2aは点20で直交する2直線(X軸、Y軸)で4分割され、Y軸は光ディスク半径方向6Rに相当し、さらに第1象限は3つの領域21aと21bと21c、第2象限は1つの領域22b、第3象限は1つの領域23b、第4象限は3つの領域24aと24bと24cに分けられ、図では表していないが各領域は、X方向に沿った短冊で実施形態2の図6の様に添字Bの領域と添字Fの領域(21aB、21aF等)に分けられる。開口内(円80内)での領域21a、24aはCD−R/RW等のディスク溝からの±1次回折光を含まない領域の一部であり、開口内での領域21b及び24bはDVD−R/RW等のディスク溝からの±1次回折光を含まない領域の一部である。なお、前述の通り、添字Bは+1次回折光側で検出面後に集光する光、添字Fは検出面前に集光する光をそれぞれ意味する。また、簡単のため、図11では添字Bに対応した光スポットのみを表示する。
図11A及び図11Bにおいて、検出面9aと光軸7(又は7’)との交点を点90(又は90’)、点90(又は90’)で直交しX軸及びY軸に平行な2直線をx軸及びy軸として、y軸の−側にy軸に沿った短冊状のフォーカス検出セルF1a、F2a、F1b、F2b、F1c、F2c、F1d、F2dとトラッキング補正用検出セル7T5及び7T6とが配置され、y軸の+側に方形状のトラッキング検出セル7T1、7T2、7T3、7T4が配置されている。これらの検出セルはy軸に対して対称形をなしている。なお、光源1の発光点1a又は1a’から出射する光はx軸と交わり紙面に直交する面内をx軸と平行に進み、反射ミラー10により光軸方向(点90又は90’を通り紙面に直交する方向)に反射している。
ホログラム面2aに入射した光入射光80)のうち、第1象限での領域21a内の短冊領域21aB及び21aFと領域21c内の短冊領域21cB及び21cFで回折された+1次回折光81aB及び81aFと81cB及び81cFとは検出セル7T5に収まる光スポット81aBS及び81aFSと81cBS及び81cFSに、−1次回折光81aB’及び81aF’と81cB’及び81cF’とは検出セル7T1に収まる光スポット81aBS’及び81aFS’と81cBS’及び81cFS’とに、第1象限での領域21b内の短冊領域21bB及び21bFで回折された+1次回折光81bB及び81bFは、検出セル7T6に収まる光スポット81bBS及び81bFSに、−1次回折光81bB’及び81bF’は、検出セル7T1に収まる光スポット81bBS’及び81bFS’に収束する。
第2象限での領域22b内の短冊領域22bB及び22bFで回折された+1次回折光82bB及び82bFは、検出セルF1c及びF2dの境界を跨る光スポット82bBS及び82bFSに、−1次回折光82bB’及び82bF’は、検出セル7T2の領域内に収まる光スポット82bBS’及び82bFS’に収束する。
第3象限での領域23b内の短冊領域23bB及び23bFで回折された+1次回折光83bB及び83bFは、検出セルF1a及びF2bの境界を跨る光スポット83bBS及び83bFSに、−1次回折光83bB’及び83bF’は、検出セル7T3の領域内に収まる光スポット83bBS’及び83bFS’に、収束する。
第4象限での領域24a内の短冊領域24aB及び24aFと領域24c内の短冊領域24cB及び24cFとで回折された+1次回折光84aB及び84aFと84cB及び84cFとは、検出セル7T6に収まる光スポット84aBS及び84aFSと84cBS及び84cFSに、−1次回折光84aB’及び84aF’と84cB’及び84cF’とは検出セル7T4に収まる光スポット84aBS’及び84aFS’と84cBS’及び84cFS’とに、第4象限での領域24b内の短冊領域24bB及び24bFで回折された+1次回折光84bB及び84bFは、検出セル7T5に収まる光スポット84bBS及び84bFSに、−1次回折光84bB’及び84bF’は、検出セル7T4に収まる光スポット84bBS’及び84bFS’に収束する。
検出セルのいくつかは導通されており、以下の8つの信号F1、F2、T1、T2、T3、T4、T5、T6が得られるように構成されている。
F1=検出セルF1aで得られる信号+検出セルF1bで得られる信号
+検出セルF1cで得られる信号+検出セルF1dで得られる信号
F2=検出セルF2aで得られる信号+検出セルF2bで得られる信号
+検出セルF2cで得られる信号+検出セルF2dで得られる信号
T1=検出セル7T1で得られる信号
T2=検出セル7T2で得られる信号
T3=検出セル7T3で得られる信号
T4=検出セル7T4で得られる信号
T5=検出セル7T5で得られる信号
T6=検出セル7T6で得られる信号
なお、図11Bでは、光源1の発光点が点1a’に移ることに加え、光源の波長λ2がλ1よりも大きいため、ホログラムによる回折角も大きくなり、光スポット位置が変化する。また、検出セル7T1、7T2、7T3、7T4では、図11Aと同様の光スポットを捕捉できるが、光スポット81aBS、81aFSと84aBS、84aFSはそれぞれ検出セル7T6、7T5の上に収まり、光スポット81bBS、81bFS、81cBS、81cFSと84bBS、84bFS、84cBS、84cFSとは検出セルの外に出る。一方、光スポット82bBS、82bFS、83bBS、83bFSの場所は変わるが、結果として図9Aと同様の検出セルに捕捉されている。
図11において、y軸が光ディスク基材6の半径方向6Rとして、光ディスク信号面6aへのフォーカスエラー信号FEと、光ディスク信号面6aの再生信号RFとは、前述の(式4)と(式7)とに基づいて検出され、波長λ1に対応した光ディスクのトラッキングエラー信号TE1、波長λ2に対応した光ディスクのトラッキングエラー信号TE2は次式
TE1=α(T1+T2−T3−T4)+β(T5−T6) (式8)
TE2=(T1+T2−T3−T4)+γ(T6−T5) (式9)
に基づき検出される。例えば、(式8)はDVD−RAMやDVD−R/RW等の光ディスクで使用し、DVD−RAM等の光ディスクの場合はα=1、β=0、DVD−R/RW等の光ディスクの場合はα=0、β=1とする。また、(式9)はCD−R/RW等の光ディスクで使用する。信号(T1+T2−T3−T4)は通常のTE信号に相当する。
図11Aでの信号(T5−T6)は開口内の一部の領域(21bと24b)が結果として入れ替わって検出されたTE信号であり、DVD−R/RWでの±1次回折光が含まれない領域を入れ替えているので、DVD−R/RWディスクに対してはTE感度の劣化がなく、入れ替えによって対物レンズの光ディスク半径方向6Rに沿った偏心の影響や光ディスク基材6の傾きの影響、光スポットが光ディスク記録面6aの記録/未記録の境界にある時の影響等をキャンセルする効果がある。一方、図11Aでの信号(T6−T5)は開口内の一部の領域(21aと24a)のみを抽出して検出された差信号であり、CD−R/RWディスクでの±1次回折光が含まれない領域での差信号であり、CD−R/RWディスクに対するTE感度はゼロであり、通常のTE信号(即ち、信号(T1+T2−T3−T4))に比べ、対物レンズの光ディスク半径方向6Rに沿った偏心の影響や光ディスク基材6の傾きの影響、光スポットが光ディスク記録面6aの記録/未記録の境界にある時の影響等に対する依存性が全く異なるので、(式9)の様な信号(T1+T2−T3−T4)との演算により、TE感度を損ねることなく、これらの影響等をキャンセルすることができる。なお、図11の場合のフォーカスエラー信号FEは半円開口での検出であるが、光ディスク半径方向6Rで分割された片側の半円なのでディスク溝の影響が出にくく、従来の検出方式である全円での検出とほぼ等価な特性が得られる。
本実施形態では実施形態2と同様の分布型波長板3を使っているので、光ディスク基材6の複屈折に対する効果は実施形態2と全く同様である。更に、本実施形態は対物レンズに光ディスク半径方向6Rに沿った偏心があっても、光ディスク基材6に傾きがあっても、光スポットが光ディスク記録面6aの記録/未記録の境界に位置して隣接トラックの影響を受ける状態であっても、(式8)や(式9)の演算式をトラッキングエラー信号とすることで、オフトラックが発生しないトラッキング制御が可能となる効果が得られる。
(実施形態5)
図12及び図13を参照しながら、本発明による光ディスク装置の第5の実施形態を説明する。以下、同一の構成要素には同一の参照符号を付す。
図12は、本実施形態の光ディスク装置における光ピックアップの要部構成を示している。この光ピックアップは、異なる波長の光を放射することができるレーザチップを搭載した光源101を有している。光源101は、DVD用に相対的に短い波長を有する光と、CD用に相対的に長い波長を有する光を放射する。
図12には、光情報媒体7及び光情報媒体8の両方が記載されているが、現実には、任意に選択した一方の光情報媒体が搭載される。搭載された光情報媒体の種類に応じて、適切な波長の光が光源101から放射されることになる。光情報媒体7または8によって反射された光(信号光または再生光)は、DVD及びCDに共通して用いられる光検出器10に入射する。
光源101から光情報媒体107または108に向かう光路と、光情報媒体107または108で反射された光(信号光)が光検出器110に向かう光路とは、偏光ビームスプリッタ103が表面に形成されたプリズムで分岐される。光源101から放射された直線偏光をP波とすると、偏光ビームスプリッタ103はP波を透過するように設計されている。偏光ビームスプリッタ103を透過したP波は、波長板105を透過した後、光情報媒体107または8で反射され、上記の波長板105を反対方向に透過して戻ってくる。戻ってきた光(信号光)は、偏光ビームスプリッタ103に入射するとき、p波の偏光軸に略直行する偏光軸を有するS波成分を多く含んだ偏光状態の光となっている。偏光ビームスプリッタ膜3は、S波を反射するため、信号光のほとんどは光検出器10の方向に反射される。この反射光は、ホログラム109によって回折され、光検出器10に入射する。
図13(a)は、波長板105の平面構成を示し、図13(b)は、光源側から光情報媒体11へ向かう光と光情報媒体11からの反射光とが波長板105を往復する様子を示す図、同図(c)は波長板105による偏光変換の一例を示す図である。
図13(a)に示すように、波長板105は4つの領域に分かれている。光軸中心に関して対象な位置にそれぞれ同じ性質の領域(領域Aまたは領域B)が形成されている。2つの領域Aは、x軸方向に対してθ1の角度をなす方向に光学異方性の軸(光学軸)を有している。一方、領域Bは、x軸方向に対してθ2の角度をなす方向に光学異方性の軸(光学軸)を有している。
なお、波長板105に光源側から入射する直線偏光の方向がx軸と一致しているものとする。角度θ1及びθ2はそれぞれx軸方向に対して45°−α、45°+α の角度をなす。ここで、0<α≦15°の関係が成立している。本実施形態における領域分割によれば、光源101からの光のうち波長板105の領域Aを通る光は、レンズ106により集光された後、光情報媒体11で反射される。反射光は、光軸中心に関して対称な位置にある領域Aを通る。一方領域Bの部分を通る光は、同様にして光情報媒体11で反射され、領域Bを復路で通過する。
波長板105の屈折率異方性をΔn、厚さをd、波長をλとするとき、波長板105のレタデーションは、2πΔnd/λで表される。α=0であれば、波長板105における領域Aと領域Bは、同一の光学的性質を有することになる。この場合、波長板105のレタデーション2πΔnd/λをπ/2に等しい値に設定すると、波長板105は従来の1/4波長板と同じ機能を発揮する。すなわち、x軸方向に平行な振動方向を持つ直線偏光が波長板105に入射すると、円偏光に変換されて出射される。光情報媒体107または108で反射された光(円偏光)が再び逆方向に波長板105を通過すると、y軸方向に偏光方向を有する直線偏光に変換される。本実施形態では、αを0以外の大きさに設定することにより、同一の偏光に対する領域A及び領域Bの作用に差を生じさせている。
図13(c)は、波長板105による偏光状態の変換の過程を示す。αが0でないため、x軸方向に偏光方向を持つ直線偏光Iは波長板105を透過すると、円偏光からややずれた楕円偏光になる。領域Aの光学異方性の軸(光学軸)方向が領域Bの光学異方性の軸(光学軸)方向からシフトしているため、領域Aを透過した楕円偏光IIと領域Bを透過した楕円偏光IIとの間には図13(c)に示すような差異が生じる。
光情報媒体107または108が複屈折性を有していない場合、光情報媒体7または8で反射された光(信号光)は、図13(c)に示す楕円偏光IIIとなる。この楕円偏光IIIは、往路光の偏光方向に直交する方向に偏光軸を有する直線偏光に近い楕円偏光である。α=0であれば、光情報媒体107または108で反射された光(信号光)は、直線偏光に変換される。
一方、光情報媒体107または108が複屈折性を有する場合、図13(c)に示す偏光III’となる場合がある。例えば、たとえば領域Aを透過した復路光の偏光状態が、光源101から出て領域Aに入射する往路光の偏光状態と略等しくなる場合を考える。この場合、復路光は、図12に示す偏光ビームスプリッタ103で反射されずに、光源101に戻ってしまうことになる。しかしながら、この場合でも、領域Bを透過した復路光の偏光状態は、領域Aを透過した復路光の偏光状態とは異なるものとなる。すなわち、領域Bを透過した復路光は、偏光ビームスプリッタ103で反射され得るS波成分を含んだ楕円偏光状態になる。このため、光情報媒体107または108の複屈折量がどのような値であっても、信号光が完全になくなることはない。
このような素子を用いることにより、いわゆる「偏光光学系」と称される往路及び復路の伝達効率が高い光学系を採用しても、複屈折ディスクに対するプレーヤビリティの高い光学系を実現することができる。
なお、本実施形態でαを15°以下の大きさに設定した理由は、αを大きくしすぎると、極端に異なる偏光状態が混合した光が形成されてしまうからである。極端に異なる偏光状態が混合した光は、レンズ106によって集光されくくなる。これは、偏光状態が大きく異なる光を合成すると、光の干渉性が悪くなるためである。
本実施形態では、光学軸の方位として、入射光の偏光方向に対して45°をなす方位を基準に対称な角度αで変位させている。一般に、光ディスク基材の複屈折は、一方の極性に偏っている。このことを考慮すると、光学軸の中心(基準)方向にオフセットδを与えてもよい。すなわち、領域Aの光学軸を入射光の偏光方向から45°+δ+αだけ回転させるとともに、領域Bの光学軸を入射光の偏光方向から45°+δ−αだけ回転させてもよい。いずれの領域でも、往復でできるだけ直交状態に近い偏光状態を得るために、−15°≦δ≦15°の関係が成立することが好ましい。
なお、分布型波長板における各領域の光学軸の方位は2種類に限定されず、3種類以上であってもよい。また、レタデーションは、90°である必要は無く、90°の整数倍であってもいし、90°の整数倍にオフセットを加えた値であってもよい。例えば、波長板のレタデーションをDVD用の光(波長650nm)に対して1/4波長板として機能する値を設定すると、CD用の光(波長800nm)に対しては、およそ1/4波長の650/800倍のレタデーションが発生することになる。しかし、分布型波長板に用いる材料が有している屈折率の波長依存性等を利用すると、どちらの光に対しても、ほぼ1/4波長板として機能させることが可能になる。
例えば、DVD用の波長λ1を有する光に対して、波長板の光学異方性をΔn1、CD用の波長λ2に対して光学異方性をΔn2とする。このとき、以下の式が成立するように、波長板の材料(本実施形態では液晶層)の光学パラメータを設定すれば、上記の条件を満たすことができる。
2πΔn1d/λ1=2πΔn2d/λ2=π/2 (式10)
このようにすることで、いずれの波長に対しても復路の効率を最大限にすることができる。なお、本実施形態では、光源101がDVD用の光とCD用の光と放射するが、光源101が放射する光の種類は、これらに限定されない。ブルーレイなどのより短い波長を有する光を放射する光源を用いてもよい。
(実施形態6)
図14(a)から(c)を参照しながら、本発明による分布型波長板の他の実施形態を説明する。
まず、図14(a)を参照する。図14(a)に示される分布型波長板131は、光学軸の方位が相互に異なる複数の領域D3、D4が交互に配置されている。領域D3、D4は、短冊形状を有している。
図14(b)に示される分布型波長板132は、光学軸の方位が相互に異なる複数の領域D5、D6が行及び列状(チェッカーマーク状)に配列されている。
光ディスク基材が1/4波長板と同程度の複屈折を有している場合、図13(a)の分布型波長板105によれば、領域A及び領域Bの一方を透過する光は、検出されない。すなわち、分布型波長板105を透過する光ビームの断面の半分の領域に含まれる情報が欠落する。情報の欠落が生じる領域は、対角位置に存在するため、ピット像の空間周波数特性が劣化する。言い換えると、光ディスク上に存在する微細なピットの検出器面における像再現性が劣化する。その結果、信号の光量を確保することはできても、信号波形に歪みが生じ、再生性能が不十分になる可能性がある。
図14(a)及び図14(b)に示すような、表面をより細かい多数の領域に分割した分布型波長板を用いると、欠落する部分が小さく、しかも分散されるため、再生性能を改善する効果が得られる。
なお、分布型波長板における領域分割の形態は、図14(a)及び図14(b)に示す上記の形態に限定されない。光学軸方位が異なる複数の領域が波長板の面内に二次元的に配列されていれば、各領域の形状及び大きさは任意である。
図14(c)に示される波長板133は、輪帯領域D9と、その内側の円形領域とに分割されている。また、円形領域は、さらに光学軸方位が異なる短冊状の領域D7,D8に分割されている。領域D7,D8の光学軸方位は、それぞれ、例えば入射光の偏光方向に対して45°+α、45°+αに設定されている。また、輪帯領域D9は分割されておらず、その光学軸方位は入射偏光方向に対して45°に設定されている。
輪帯領域D9の外周側の径(d2)は、DVD等の記録密度の高い光ディスクに用いられるNA値の高いレンズの開口径に相当する。一方、輪帯領域D9の内周側の径(d1)は、CD等のより記録密度の低い光ディスクに用いられるNA値の低いレンズの開口径に相当する。図14(c)の分布型波長板133を用いることにより、NA値の低いレンズを用いる場合(CDなどの基材複屈折の大きい媒体が使用される場合)には、良好な再生特性を確保する一方、NA値の高いレンズを用いる場合の空間周波数特性を劣化させない。
(実施形態7)
図15を参照しながら、本発明による光ディスク装置の他の実施形態を説明する。図15は、本実施形態の光ディスク装置の光ピックアップの主要部構成を示す図である。
図15に示される光ピックアップは、複数の種類の光ディスクにデータを書き込むこと、及び/または、複数の種類の光ディスクからデータを読み出すことができる。
この装置は、波長の異なる複数の光ビームを形成する光源141を備えている。この光源141は、典型的には複数の半導体レーザチップを含み得るが、単一の半導体レーザチップを用いて異なる波長の光を放射するように構成したものであってもよい。
この光ピックアップは、光ビームを集光し、光ディスクの信号面139または149上に光スポットを形成する対物レンズ148と、光源101と対物レンズ148との間に配置されたホログラム素子145及び波長板146と、光ディスクから反射された光ビームの強度を検出する光検出器143とを備えている。
光源101から対物レンズ148に至るまでの光路と、光ディスクの信号面139または149で反射されて光検出器143に至るまでの光路とが共通する部分において、ホログラム素子145が配置されている。
光検出器143は、シリコンチップなどの半導体基板に形成されており、波長λ1及び波長λ2の2種類のレーザ光を出射するレーザチップが基板にマウントされている。光検出器143は、光電効果によって光を電気信号に変換する複数のフォトダイオードから構成されている。レーザチップが放射するレーザ光のうち、例えば、波長λ1は約650nmであり、波長λ2は約800nmである。例えば波長λ1のレーザ光はDVD用、波長λ2のレーザ光はCD用に用いられる。
レーザチップから出射された波長λ1の光は、コリメートレンズ144によって平行光化された後、偏光素子147を透過する。偏光素子147は、ホログラム素子145と波長板146とが一体化された素子である。偏光素子147は、対物レンズ148とともに支持部材137に取り付けられており、アクチュエータ138によって対物レンズ148とともに一体的に駆動される。偏光素子147の機能を理解しやすくするため、まず、波長板146が分布型波長板ではなく、一様なレタデーションを示す従来の波長板である場合について説明する。
偏光素子147を透過した光(波長λ1)は、対物レンズ148によって光ディスクの信号面149上に集光され、反射される。反射光は、再び対物レンズ148を経て、偏光素子147によって回折される。偏光素子147で回折された光は、コリメートレンズ144を経て光検出器143に入射する。光検出器143は、光量変化に応じた電気信号を生成し、この電気信号は、フォーカス制御信号、トラッキング制御信号、及びRF信号である。
一方、レーザチップを出射した波長λ2の光も、コリメートレンズ144によって平行光化され、偏光素子147を透過する。偏光素子147を透過した光は、対物レンズ148によって基材厚の異なる光ディスクの信号面139上に集光され、信号面139で反射される。反射光は、再び対物レンズ148を経て偏光素子147で回折される。回折された光は、コリメートレンズ144を経て光検出器143に入射する。光検出器143は、光量変化に応じた電気信号を生成し、この電気信号は、フォーカス制御信号、トラッキング制御信号、及びRF信号である。
図16(a)及び(b)は、図15の偏光素子147として、従来の偏光素子を用いた場合に生じる回折の偏光依存性を模式的に示す図である。なお、以降の説明において光源からディスクへ向かう光の光路を光学系の往路と呼び、ディスクで反射して光検出器へ向かう光の光路を光学系の復路と呼ぶものとする。
図16(a)は、波長λ1の光が偏光素子(polarization element)147を往復路で通過する場合を模式的示している。光源側(図中下側)から偏光素子147に入射する波長λ1の光は、例えば、紙面に平行な偏光方向を持つ直線偏光である。このような光は、周期構造111を有するホログラム素子145を透過することができる。ホログラム素子145の周期構造111は、偏光依存性を有しており、偏光方向が紙面に平行な直線偏光(波長λ1)がホログラム素子145を透過するとき、周期構造111の入射位置に応じて、2Nπ(Nは0以外の整数)の位相差が透過光に生じる。Nが0でない点が、従来一般に用いられる偏光ホログラム素子と大きく異なっている。ホログラム素子105の透過光に生じる周期的な位相差が2πの整数倍に等しい(ホログラム素子5で生じる光路差が波長λ1の整数倍に等しい)ため、光の回折原理に従い、波長λ1の光にとっては周期構造111で回折しない条件(完全透過条件)を満たすことになる。
このようにしてホログラム素子145を透過した光は、次に波長板146を通過する。波長板146は、波長λ1の光(650nm)に対して、4分の5波長板として機能する
。このため、波長λ1の直線偏光は、波長板146によって円偏光に変換される。
不図示の光ディスクで反射されて戻ってきた光(円偏光)は、波長板146によって直線偏光に変換される。この直線偏光の偏光方向(紙面に垂直)は、光源側からホログラム素子145に入射した光の偏光方向と直交する。このような直線偏光に対して、ホログラム素子145の周期構造111は、入射位置に応じて(2M+1)πの位相差(Mは整数)を周期的に発生させる。このため、この直線偏光は、光の回折原理により、完全回折する条件となる。理論的にはホログラムの周期構造で生ずる光の位相差をφとすると、ホログラムを透過する0次光の透過率Tは、以下の(式11)
T=cos2(φ/2) (式11)
で表される。ここで、位相差φを(2M+1)πとおくと、T=0、すなわち完全回折条件を満たすことを意味する。
次に、図16(b)を参照しながら、波長λ2の光について、従来の偏光素子107の動作を説明する。図16(b)に示すように、光源側からホログラム素子105に入射する波長λ2の光(偏光方向が紙面に平行な直性偏光)が偏光素子107に入射するとき、ホログラム素子子145の周期構造111により、ほぼ2Nπλ1/λ2の位相差が発生する。Nは0でないため、発生する位相差は0にならない。また、λ1=650nm、λ2=800nmとすると、Nの値をかなり大きくとらないとNλ1/λ2が整数にならない。このため、ホログラム素子145では完全透過条件からずれることで、波長λ2の光は一部回折する。
λ1=650nm(DVD用の波長の光)、λ2=800nm(CD用の波長の光)、N=1とすると、回折しない光(0次光)の透過効率は、以下の(式12)
cos2((2πλ1/λ2)/2)=cos2((2π×650/800)/2)=69% ・・・(式12)
で示される。(式12)から、入射した光の約31%がホログラム素子145によって回折されることがわかる。
このようにしてホログラム素子145を透過した波長λ2の光は、次に波長板146を通過する。波長板146は、波長λ1(650nm)の光に対して、4分の5波長板であるので波長λ2(800nm)の光に対してはほぼ1波長板として機能する。このため、波長λ2の直線偏光は、波長板106によって偏光変換を受けないで透過する。
一方、光ディスクから戻ってくる波長λ2の光は、往路と同様波長板146で偏光変換を受けないのでホログラム素子145の周期構造111で同じく2Nπλ1/λ2の位相差が発生する。従って、波長λ1の光または波長λ2の光のうち相対的に大きな波長を持つ光が、他方の光の波長の整数倍(2倍、3倍、・・・)の大きさを持たない限り、両方の光に対する回折光を0に設定することはできない。
λ1=650nm(DVD用の光)、λ2=800nm(CD用の光)、M=1とすると、±1次回折光の各回折効率は、以下の(式13)
(2/π)2×cos2((πλ1/λ2)/2)=cos2((π×650/800)/2
)=8.4% (式13)
で表される。±1次回折光以外の光は、ほとんど0次光として回折格子を透過する。
なお、この1次回折光率の値はディスク基材の複屈折が無く、基材による偏光影響を受けない場合であるが、基材の複屈折が最も高い場合、すなわちCDの基材が1/4波長板とほぼ等価な複屈折を持つ場合、入射時と直交する方向の直線偏光となる。この場合は±1次回折光の回折効率は、完全回折条件を満たすので信号光の光量がむしろ増える方向である。すなわち、帰還光量は、様々な偏光状態に応じて変化するが、最悪の場合でも0にならない。
このような偏光素子を用いることにより、DVD等のように基材厚は薄く基材の複屈折は製造過程で生じにくいが波長が短く高出力化が困難である波長λ1の光に対しては高効
率でありながら、効率が低くても比較的作製しやすい高出力のレーザで光量をカバーできる反面、基材厚が厚いために生産過程で光学的な複屈折量が多いものができやすいCD等に用いる波長λ2の光に対しては、基材が有する複屈折性のために偏光状態が変化した光
がディスクから戻ってきたとしても、信号レベルが0になってしまうことはなく、安定して信号の再生及び制御を行うことができる。
また、このような偏光素子を用いることで異なる規格の光記録媒体に対応した光ピックアップをコンパクトに構成できる。なぜなら、従来上記したような観点から異なる波長に対して互いに独立の光分岐素子を用いてディスクからの光を光検出器に導いていたものが同じ一つのホログラム素子で実現できるため、レーザ光源から光記録媒体に至る光路(往路)と光記録媒体から光検出器に至る光路(復路)とが完全に共通化でき、光学系の部品点数を削減でき、小さなスペースで光学系が収納できるためである。
本実施形態では、上記の構成を有する装置において、図16(a)、(b)に示される一様な波長板146に代えて、分布型波長板146を用いる。
偏光ホログラム145は、光学系の往路では、レーザ光源141からの光の偏光方向に対していずれの波長の光に対しても光を回折しない。このため、伝達効率のロスがなく、分布型波長板146によって略円偏光にされ、光ディスクの信号面139または149に集光される。光ディスクの信号面139または149で反射され、復路で分布型波長板146を再び通ることで両方の波長の光とも往路の偏光方向と直交する方向に概ね偏光主軸をもつ光となる。偏光ホログラム145を透過することにより、異なる波長の光は両方ともホログラム145により高い効率で回折され、光検出器143に光が導かれる。この場合、その信号光量はホログラムの偏光性回折方向の成分に依存する。したがって、複屈折が大きい光ディスクの場合、従来の均一な波長板によれば、最悪、信号光量がなくなってしまうことになる。しかし、本実施形態では、分布型波長板146を用いているため、高い往路効率を保ちながら、光ディスクの複屈折対策が充分に発揮される。
蒸着やスパッタ、エッチングなどの薄膜形成・加工プロセスにより、分布型波長板146上に薄膜構造を形成してもよい。例えば、図17(a)に示すように、異なる波長の光に対して開口の大きさを異ならせる透過率フィルター152を分布型波長板155上に形成できる。また、図17(b)に示すように、異なる基材厚のディスクに対して、一方の波長の光を平面波のまま透過し、別の波長の光は拡散光にすることにより、基材厚差で発生する球面収差を補正する位相フィルター153を分布型波長板156上に形成してもよい。このような構成を採用することにより、光ピックアップを更に小型化することができる。
(実施形態8)
次に、図18(a)から(d)を参照しながら、上記各実施形態で好適に使用される分布型波長板を製造する方法の実施形態を説明する。
まず、図18(a)に示すように、例えばITOから形成された透明電極膜162a、162bが表面に形成された透明基板161a,161bを用意し、透明導電膜162a、162b上にを配向材料を塗布して、液晶配向膜163a、163bを形成する。配向材料としては、直線偏光の紫外線を照射し、露光することにより、その偏光方向に配向性を付与することができる光配向膜材料を用いる。
次に、図18(b)に示すように、方位θ1で規定される向きに光学軸を有する領域を形成するとき、他の領域をマスク164aで覆った状態で、方位θ1の方向に直線偏光した紫外線で照射する。反対に、方位θ2で規定される向きに光学軸を有する領域を形成するときは、他の領域をマスク164bで覆った状態で、方位θ2の方向に直線偏光した紫外線で照射する。
次に、図18(c)に示すように、透明基板161aと透明基板161bとを対向させて周辺部分を接着剤で貼り合わた後、紫外線硬化樹脂を含有する液晶材料167を開口部166から内部に注入する。液晶材料167が注入されると、液晶分子の長鎖軸は、液晶配向膜163a、163bの配向規制方向に揃うことになる。
液晶層168の配向を更に均一に行うためには、透明電極膜162a、162bに電圧を印加することにより、液晶層168に電界を及ぼすることが好ましい。このような電界の印加を行わない場合は、透明電極膜162a、162bを設ける必要はない。
次に、図18(d)に示すように、液晶層168に無偏光の紫外線を照射し、液晶層168を硬化させる。
液晶の配向規制は、一般には、ポリアミド系合成繊維などの微細な織毛が形成された布で一定方向に配向膜の表面を摩擦することによって行われる。しかし、本実施形態では、同一面内で異なる方位に配向させるため、光配向技術を用いている。このような光配向技術によれば、所望の配向分布を得ることができる。なお、透明導電膜162a、162bの少なくとも一方は、分割される領域に合わせてパターニングされていてもよい。透明導電膜162a、162bをパターニングしておくことにより、領域毎に異なる電圧を印加することが可能になり、配向状態を領域毎に調節しやすくなる。
本発明によれば、光ディスク基材の複屈折性によらず、必要な検出光量を得ることができるため、様々な種類の光ディスクに対応できる。
また、本発明の光ピックアップは、1つで複数の異なる光記録媒体に適用できるため、小型低コストが要求されるCD、DVD、ブルーレイディスクなど記録型光ディスク装置に好適に用いられる。
(a)は本発明の光ディスク装置における一実施形態の要部構成図、(b)は光源部の側面図である。 同実施形態の検出面の構成図である。 同実施形態のホログラム面の構成図である。 (a)は、同実施形態における分布型波長板の平面図、(b)は、同断面構成図である。 (a)は同実施形態における分布型波長板による往路の複屈折対策原理を示す図、(b)は同復路の複屈折原理を示す図、(c)は同復路の別の複屈折原理を示す図である。 (a)は本発明の光ディスク装置における他の実施形態の要部構成図、(b)は光源部の側面図である。 同実施形態における偏光ホログラム基板のホログラム面の構成図である。 同実施形態における光検出面の構成図とその上の光分布の様子を示す説明図で、第1の発光点を出射する第1のレーザ光に対する戻り光の光スポットの様子を説明する図である。 同実施形態における光検出面の構成図とその上の光分布の様子を示す説明図で、第2の発光点を出射する第2のレーザ光に対する戻り光の光スポットの様子を説明する図である。 本発明の光ディスク装置における別の実施形態に適用する偏光ホログラム基板のホログラム面の構成図である。 同実施形態における光検出面の構成図とその上の光分布の様子を示す説明図で、第1の発光点を出射する第1のレーザ光に対する戻り光の光スポットの様子を説明する図である。 同実施形態における光検出面の構成図とその上の光分布の様子を示す説明図で、第2の発光点を出射する第2のレーザ光に対する戻り光の光スポットの様子を説明する図である。 本発明の光ディスク装置における他の実施形態に適用する偏光ホログラム基板2のホログラム面の構成図である。 同実施形態における光検出面の構成図とその上の光分布の様子を示す説明図で、第1の発光点を出射する第1のレーザ光に対する戻り光の光スポットの様子を説明する図である。 同実施形態における光検出面の構成図とその上の光分布の様子を示す説明図で、第2の発光点を出射する第2のレーザ光に対する戻り光の光スポットの様子を説明する図である。 本発明の一実施形態における光ピックアップの要部構成図である。 (a)は同実施形態における波長板の平面図、(b)は同波長板を含むピックアップの部分側面図、(c)同波長板による偏光状態の変化の様子を示す図である。 (a)は本発明の波長板の他の実施形態の平面図、(b)は本発明の波長板の別の実施形態の平面図、(c)は本発明のさらに別の波長板の平面図である。 本発明の他の実施形態における光ピックアップの要部構成図である。 (a)は、従来の光学素子及びこれを通過する波長λ1の光の挙動を示す図であり、(b)は、同光学素子及びこれを通過する波長λ2の光の挙動を示す図である。 (a)は本発明の他の実施形態の光学素子の平面図と側面図、(b)は本発明の別の実施形態の光学素子の平面図と側面図である。 (a)から(d)は、本発明における分布型波長板の作製方法の実施形態を示す図である。 (a)は従来の光ディスク装置における要部構成図、(b)は光源部の側面図である。
符号の説明
1 光源
2 偏光性ホログラム基板
2a ホログラム面
4 コリメートレンズ
3 分布型波長板
5 対物レンズ
6 光ディスク基材
6a 光ディスク信号面
7 光軸
8 1次回折光
8’ −1次回折光
9 光検出基板
9a 光検出面
10 反射ミラー
101 レーザ光源
103 偏光ビームスプリッタ
104 コリメートレンズ
105 分布型波長板
106 対物レンズ
145 偏光ホログラム
163a、163b 液晶配向膜

Claims (26)

  1. 光を放射する光源、
    前記光を光ディスクの信号面に収束させる対物レンズ、
    前記光ディスクで反射された前記光を回折する偏光性光分岐器、
    前記偏光性光分岐器によって回折された光を検出する光検出器、及び
    前記光ディスクと前記偏光性光分岐器との間に配置された波長板、
    を備える光ディスク装置であって、
    前記波長板は、複屈折位相差および光学軸の少なくとも一方が相互に異なる第1及び第2の領域を含む2次元的に配列された複数の複屈折領域を備え、前記第1及び第2の領域は、異なる偏光状態を入射光に生じさせる、光ディスク装置。
  2. 前記波長板における前記第1及び第2の領域は、相互に異なる向きの光学軸を有している、請求項1に記載の光ディスク装置。
  3. 前記光源から放射される光の波長をλとするとき、前記第1の領域の複屈折位相差がλ/4+α、前記第2の領域の複屈折位相差がλ/4−αである請求項1に記載の光ディスク装置。
  4. 前記光源から放射される光の波長をλとするとき、前記第1の領域の複屈折位相差がλ/4+α、前記第2の領域の複屈折位相差が−3λ/4−αである請求項1に記載の光ディスク装置。
  5. 前記αが−λ/8<α<λ/8の範囲内にある請求項3または4に記載の光ディスク装置。
  6. 前記第1の領域と前記第2の領域は、それぞれ、短冊状の形状を有しており、前記波長板内で交互に配置されている請求項1から4のいずれかに記載の光ディスク装置。
  7. 前記光源は、波長λ1の第1レーザ光と、波長λ2の第2レーザ光(λ2>λ1)とを放射することができる、請求項1に記載の光ディスク装置。
  8. 波長λ1の光及び波長λ2の光(λ1はλ2と異なる)を放射する光源、
    前記光を光ディスクの信号面に収束させる対物レンズ、
    前記光ディスクで反射された前記光を回折する偏光性光分岐器、
    前記偏光性光分岐器によって回折された光を検出する光検出器、及び
    前記光ディスクと前記偏光性光分岐器との間に配置された波長板
    を備えた光ディスク装置であって、
    前記光分岐器上にあり、前記光ディスクの径方向に直交し、前記対物レンズの光軸と交わる直線をLとするとき、
    前記光分岐器は、少なくとも領域a1,領域a2,領域a3,領域A1,領域A2,領域A3を含み、前記領域a1,前記領域a2,前記領域a3は前記直線Lに関し前記光分岐器上の同じ側にあり、前記領域A1,前記領域A2,前記領域A3は前記直線Lに関しそれぞれ前記領域a1,前記a2,前記a3のほぼ対称領域に相当し、
    前記光検出器は、少なくとも2つの領域b及び領域Bに区分けされ、
    波長λ1の光のうち、前記光分岐器の前記領域a3,前記領域a1,前記領域A2に入射する光は1次回折光を派生して前記光検出器上の前記領域bに投射され、前記領域A3,前記領域A1,前記領域a2に入射する光は1次回折光を派生して前記光検出器上の前記領域Bに投射され、
    波長λ2の光のうち、前記光分岐器の前記領域a3に入射する光は1次回折光を派生して前記光検出器上の前記領域Bに投射され、前記領域A3に入射する光は1次回折光を派生して前記光検出器上の前記領域bに投射され、
    前記領域bと前記領域Bとの各検出信号の差分により、前記光ディスクのトラッキングエラー信号又は前記トラッキングエラー信号を補正する補正信号を生成する光ディスク装置。
  9. 前記光検出器は、更に少なくとも2つの領域b’,B’に区分けされ、第1の光源の光及び第2の光源の光に対して、前記光分岐器の領域a3,a1,a2に入射する光は−1次回折光を派生して前記光検出器上の領域b’に投射され、領域A3,A1,A2に入射する光は−1次回折光を派生して前記光検出器上の領域B’に投射され、領域b’とB’の各検出信号の差分により差分信号を生成し、上記補正信号に適切な係数値を掛けて該差分信号を加算することにより、光ディスクのトラッキングエラー信号を生成する請求項8に記載の光ディスク装置。
  10. 波長λ1の光及び波長λ2の光(λ1はλ2と異なる)を放射する光源、
    前記光を光ディスクの信号面に収束させる対物レンズ、
    前記光ディスクで反射された前記光を回折する偏光性光分岐器、
    前記偏光性光分岐器によって回折された光を検出する光検出器、及び
    前記光ディスクと前記偏光性光分岐器との間に配置された波長板
    を備えた光ディスク装置であって、
    前記光分岐器上にあり、前記光ディスクの径方向に直交し、前記対物レンズの光軸と交わる直線をLとするとき、
    前記光分岐器は少なくとも8つの領域a1,領域a2,領域a3,領域a4,領域A1,領域A2,領域A3,領域A4を含み、前記領域a1,前記領域a2,前記領域a3,前記領域a4は前記直線Lに対し同じ側にあり、前記領域A1,前記領域A2,前記領域A3,前記領域A4は前記直線Lに対しそれぞれ前記領域a1,前記領域a2,前記領域a3,前記領域a4のほぼ対称領域に相当し、
    前記光検出器は少なくとも6つの領域b,領域B,領域b’,領域B’,領域b”,領域B”に区分けされ、
    波長λ1の光のうち、前記光分岐器の前記領域A2,前記領域a1に入射する光は、−1次回折光を派生して前記光検出器上の前記領域bに投射され、前記領域a2,前記領域A1に入射する光は、−1次回折光を派生して前記光検出器上の前記領域Bに投射され、前記領域bと前記領域Bの各検出信号の差分により光ディスクのトラッキングエラー信号を生成し、
    波長λ2の光のうち、前記光分岐器の前記領域a3,前記領域a4に入射する光は、−1次回折光を派生して前記光検出器上の前記領域b’に投射され、前記領域A3,前記領域A4に入射する光は、−1次回折光を派生して前記光検出器上の前記領域B’に投射され、前記領域b’と前記領域B’の各検出信号の差分により差分信号を生成し、更に前記領域a3に入射する光は、1次回折光を派生して前記光検出器上の前記領域b”に投射され、前記領域A3に入射する光は1次回折光を派生して前記光検出器上の前記領域B”に投射され、前記領域b”と前記領域B”の各検出信号の差分により補正信号を生成し、
    前記補正信号に適切な係数値を掛けて前記差分信号を加算することにより、光ディスクのトラッキングエラー信号を生成する光ディスク装置。
  11. 複屈折位相差および光学軸の少なくともが相互に異なる第1及び第2の領域を含む2次元的に配列された複数の複屈折領域を備え、
    前記第1及び第2の領域は、異なる偏光状態を入射光に生じさせる光学素子。
  12. 前記第1及び第2の領域は、平行な光学軸を有し、かつ、相互に異なるレタデーションを有している請求項11に記載の光学素子。
  13. 前記第1及び第2の領域は、相互に異なる向きの光学軸を有している請求項1に記載の光学素子。
  14. 前記第1及び第2の領域は、光軸に垂直な面内で、交互に配列されている請求項11に記載の光学素子。
  15. 前記第1及び第2の領域の形状は、それぞれ、短冊形状、格子形状、及び輪帯形状のいずれかである請求項14に記載の光学素子。
  16. 偏光性フィルターを更に備える請求項11に記載の光学素子。
  17. 前記偏光性のフィルターは偏光性ホログラムである請求項16に記載の光学素子。
  18. 前記第1の領域の光学軸は、入射する光の偏光方向に対して45°+δ±α(−10°<δ<10°、0°<α≦15°)の方位を有し、
    前記第2の領域の光学軸は、入射する光の偏光方向に対して45°+δ−αの方位を有する請求項13に記載の光学素子。
  19. 光学素子を往復通過する複数の波長の光のうちの少なくとも一つの光の波長に対して、前記複数の複屈折領域の平均のレタデーションが(2m+1)π/2(mは整数)に等しく設定されている請求項18に記載の光学素子。
  20. 異なる波長の光に対して同じレタデーションを有する広帯域波長板である請求項19に記載の光学素子。
  21. 前記複数の複屈折領域の一部の光学軸は、入射する光の偏光方向に対して45°の方位を有している請求項13に記載の光学素子。
  22. 異なる波長を有する2種類以上のレーザ光を放射する光源と、
    前記光源から放射された光を光情報媒体に収束させるレンズと、
    光情報媒体から反射された光を受ける光検出器と
    を備え、
    前記レーザ光源から前記光情報媒体に向かう光の光路と、前記光情報媒体から前記光検出器に向かう光の光路とが共通する部分に位置する請求項11から21のいずれかに記載の光学素子を備えている光ピックアップ。
  23. 前記光源及び前記光検出器が一体化されている請求項21に記載の光ピックアップ。
  24. 複屈折位相差および光学軸の少なくとも一方が相互に異なる第1及び第2の領域を含む2次元的に配列された複数の複屈折領域を備え、前記第1及び第2の領域を含む複数の複屈折領域が入射光に異なる偏光状態を生じさせる、光学素子を製造する方法であって、
    基板上に配向規制方向が相互に異なる複数の領域を含む配向膜を形成する工程(a)と、
    前記配向膜上に液晶層を形成し、前記液晶層の配向方向を領域ごとに規制する工程(b)と、
    を包含する、光学素子の製造方法。
  25. 前記工程(a)は、
    光配向性を有する膜を前記配向膜として前記基板上に形成する工程(a1)と、
    前記配向膜の一部を紫外光で露光し、第1の配向規制方向を規定する工程(a2)と、
    前記配向膜の他の部分を紫外光で露光し、前記第1の配向規制方向とは異なる第2の配向規制方向を規定する工程(a3)と、
    を含む、請求項24に記載の製造方法。
  26. 前記工程(b)は、
    紫外線硬化剤を含有する液晶層を前記配向膜上に形成し、前記第1及び第2の配向規制方向の各々によって配向を規制する工程(b1)と、
    紫外光を照射して前記液晶層を硬化させる工程(b2)と、
    を包含する、請求項24に記載の製造方法。

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