JP2003029014A - 偏光性回折素子 - Google Patents

偏光性回折素子

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JP2003029014A
JP2003029014A JP2001212989A JP2001212989A JP2003029014A JP 2003029014 A JP2003029014 A JP 2003029014A JP 2001212989 A JP2001212989 A JP 2001212989A JP 2001212989 A JP2001212989 A JP 2001212989A JP 2003029014 A JP2003029014 A JP 2003029014A
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grating
polarizing
lattice
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film thickness
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JP2001212989A
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English (en)
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Kenichi Hayashi
賢一 林
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Nidec Instruments Corp
Original Assignee
Sankyo Seiki Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 青色光線を偏光可能な位相変調を利用した偏
光性回折格子を備え、当該偏光性回折格子の膜厚制御が
容易であり、簡単な工程で製造可能な偏光性回折素子を
提案すること。 【解決手段】 偏光性回折素子1の透明基板2の表面に
形成した偏光性回折格子3は、光学異方性材料であるア
ントラセン、直鎖脂肪酸、チオフェンオリゴマ、ターフ
ェニル、および室温で固体の液晶性分子類のいずれかを
用いて形成された真空蒸着膜からなっており、分子が水
平配向されている第1の格子部分31と、分子が垂直配
向されているか或いは無配向状態のままの第2の格子部
分32とが交互に配列された構成となっている。透明基
板2の表面に形成した配向膜4の上に真空蒸着により偏
光性回折格子3を形成できるので、膜厚制御がしやくす
く、均一な厚さおよび特性の偏光性回折素子を簡単な工
程により製作できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、CD(コンパクト
ディスク)やDVD(デジタルバーサタイルディスク)
などに用いられる回折素子に関するものである。さらに
詳しくは、光学異方性ポリマーの周期格子を備えた偏光
性回折素子およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】CDやDVDなど光記録媒体の再生およ
び/または記録に用いられる光ピックアップ装置として
は、光の利用効率を高めるために偏光光学系を利用する
ものが知られている。かかる偏光光学系において使用さ
れる偏光性回折素子としては、ニオブ酸リチウムを用い
たものがあるが、この偏光性回折素子は、作製工程が複
雑であり、歩留まりが悪く、材料であるニオブ酸リチウ
ム自体も高価であることから、非常に高価である。ま
た、製作工程にプロトン交換工程を含むため、格子ピッ
チを微細化しにくいという問題点もある。
【0003】このような問題点を解決するために、作製
工程が非常に簡単で、紫外線露光工程の精度まで格子ピ
ッチを微細化できるポリジアセチレンを材料として用い
た偏光性回折素子が用いられている。しかし、この材料
は、波長600nm以下の可視光域を吸収する性質があ
り、赤色光および赤外光領域以外では透過率が低い。こ
のため、ポリジアセチレンを用いた偏光性回折素子は、
赤色光よりも波長が短い青色光領域のレーザ光を用いる
光ピックアップ装置、例えば、ハイデンシティHD−D
VDでは使えないという問題がある。
【0004】青色光に対して偏光分離できる光学異方性
材料を用いた偏光性回折素子としては、重合性液晶モノ
マーを重合させた光学異方性ポリマーで周期格子を形成
した偏光性回折素子が特開平9−50642号公報に開
示されたものがある。また、ポリジ−n−ヘキシルシラ
ンを用いた偏光性回折素子が特開2000−66023
号公報に開示されている。
【0005】このような光学異方性材料を用いた偏光性
回折素子は、可視光域のほぼ全域の光に対して透過率が
高く、赤外光領域のレーザを出射するレーザダイオード
を搭載したCD用光ピックアップ装置、赤色光領域のレ
ーザを出射するレーザダイオードを搭載したDVD用光
ピックアップ装置、および、青色光領域のレーザを出射
するレーザダイオードを搭載したHDTV−DVD用光
ピックアップ装置に使用できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ここで、重合性液晶モ
ノマーを硬化した光学異方性ポリマーを用いた偏光性回
折素子は、製造工程が複雑であり、その分コスト高にな
る。また、液晶の膜厚制御が困難であり、均一な膜厚を
得ることが困難である。
【0007】ポリジ−n−ヘキシルシランを用いた偏光
性回折素子は、光学異方性膜の製造を蒸着により行なう
ため、精度よく形成することが可能である。しかし、こ
の光学異方性膜による偏光分離および回折は、屈折率の
周期的変化により位相を変化させる位相変調と異なり、
吸収変調を利用している。このため、高い消光比と、高
い透過率とを両立させることができない。
【0008】本発明の課題は、このような点に鑑みて、
青色光領域のレーザ光を偏光分離して回折可能な位相変
調による偏光性回折格子を備え、当該偏光性回折格子を
所望の膜厚となるように簡単な工程により形成可能な構
成の偏光性回折素子を提案することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明は、透明基板と、この透明基板の表面に形成
した光学異方性材料からなる偏光性回折格子とを有する
偏光性回折素子において、前記光学異方性材料として、
アントラセン、直鎖脂肪酸、チオフェンオリゴマ、ター
フェニル、および室温で固体の液晶性分子類のうちのい
ずれか一つを用いたことを特徴としている。
【0010】これらの光学異方性材料は可視光領域に吸
収性を持たない複屈折材料であるので、青色レーザ光の
波長域でも透過率が高い偏光性回折素子を作製できる。
また、これらの材料は真空蒸着によって薄膜化できるの
で、膜厚制御がしやすく、膜厚などの特性を均一化でき
る。さらに、製造工程としては配向膜形成、配向処理、
およびこれらの光学異方性材料の蒸着工程だけでよいの
で、製造工程も簡単である。
【0011】前記偏光性回折格子は、分子が水平配向さ
れている第1の格子部分と、分子が垂直配向されている
か或いは無配向状態のままの第2の格子部分とが交互に
配列された構成となっている。第1の格子部分は、分子
の長軸を水平に配列した水平配向となっているので、入
射する光の偏光成分のうち常光に対する屈折率と、常光
に垂直な偏光方向である異常光に対する屈折率が異なる
光学異方性膜となっている。これに対して、第2の格子
部分は、分子の長軸が垂直に配列した垂直配向または長
軸の配列が揃っていない無配向のままとなっているの
で、格子にほぼ垂直に入射する偏光に対して等しい屈折
率を有する等方性膜である。従って、偏光性回折素子
は、これら格子部分の屈折率および膜厚の違いによる位
相変調を利用して、一方の偏光(常光あるいは異常光)
を素通しし、他方の偏光(異常光あるいは常光)を回折
することができる。
【0012】ここで、前記偏光性回折格子において、前
記第2の格子部分を垂直配向とした場合には、前記第1
の格子部分と、前記第2の格子部分の厚さが同一であれ
ば、常光を透過し、異常光を回折する偏光性回折素子が
得られる。これら格子部分の膜厚を異なるものとしても
よい。この場合には、異常光および常光の双方を回折す
ることができる。
【0013】また、前記第2の格子部分を無配向とした
場合には、前記第1の格子部分を前記第2の格子部分よ
りも厚くすると、入射光のうち、常光を回折させずに透
過させ、異常光のみを回折させる偏光性回折素子を得る
ことができる。この場合には、前記第1の格子部分の膜
厚h1と前記第2の格子部分の膜厚h2は、前記偏光性回
折格子に入射する偏光のうち常光に対して、前記第1の
格子部分の屈折率をn 0、前記第2の格子部分の屈折率
をntとすると、 n0×h1=h1+(nt−1)×h2 の関係を満たすようにすればよい。
【0014】逆に、前記第1の格子部分を前記第2の格
子部分よりも薄くすると、入射光のうち、常光のみを回
折し、異常光を透過させる偏光性回折素子を得ることが
できる。この場合には、前記第1の格子部分の膜厚h1
と前記第2の格子部分の膜厚h2は、前記偏光性回折格
子に入射する偏光のうち異常光に対して、前記第1の格
子部分の屈折率をne、前記第2の格子部分の屈折率を
tとすると、 (ne−1)×h1+h2=nt×h2 の関係を満たすように構成すればよい。
【0015】一方、前記透明基板の表面に凹凸状の格子
パターンを形成し、この上に所定の膜厚の光学異方性材
料からなる偏光性回折格子を形成することもできる。こ
の場合には、前記第1の格子部分を、前記透明基板の表
面に形成されている凹凸状の格子パターンにおける凸部
分の上に形成し、前記第2の格子部分を前記格子パター
ンにおける凹部分の上に形成する。また、この場合に
は、前記第1および第2の格子部分の膜厚h3、前記凸
部分の高さh4は、前記偏光性回折格子に入射する偏光
のうち常光に対して、前記第1の格子部分の屈折率をn
0、前記第2の格子部分の屈折率をnt、前記凸部分の屈
折率をngとすると、 n0×h3+ng×h4=nt×h3+h4 の関係を満たすようにすれば、常光のみをそのまま透過
し、異常光に対してのみ回折作用のある偏光性回折素子
を得ることができる。
【0016】逆に、前記第1の格子部分を、前記透明基
板の表面に形成されている凹凸状の格子パターンにおけ
る凹部分の上に形成し、前記第2の格子部分を前記格子
パターンにおける凸部分の上に形成すると共に、前記第
1および第2の格子部分の膜厚h3、前記凸部分の高さ
4は、前記偏光性回折格子に入射する偏光のうち異常
光に対して、前記第1の格子部分の屈折率をne、前記
第2の格子部分の屈折率をnt、前記凸部分の屈折率を
gとすると、 nt×h3+ng×h4=ne×h3+h4 の関係を満たすようにすれば、異常光をそのまま透過
し、常光に対してのみ回折作用のある偏光性回折素子を
得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して、本発明
を適用した偏光性回折素子およびその製造方法を説明す
る。
【0018】(第1の実施例)図1は、本発明を適用し
た第1の実施例に係る偏光性回折素子を示す斜視図であ
る。本例の偏光性回折素子1は、赤色光よりも波長が短
い青色光領域のレーザ光を偏光に依存して回折あるいは
透過させるためのものであり、透明基板2と、この透明
基板2の表面に形成した偏光性回折格子3とを有してい
る。
【0019】本例の偏光性回折格子3は光学異方性材料
であるアントラセンの真空蒸着膜から形成されている。
アントラセン以外の材料としては、光学的異方性を有
し、薄膜形成が可能で使用温度領域で固体の物質、例え
ば、ステアリン酸などの直鎖脂肪酸、チオフェンオリゴ
マー、ターフェニル、室温で固体の液晶性分子類などの
有機低分子材料あるいはこれらを高分子化させた材料を
用いることができる。これらの材料は、可視光域に吸収
性を持たない複屈折材料であるので、青色光領域でも透
過率が高い偏光性回折格子3を形成できる。
【0020】この偏光性回折格子3は、矢印Zで示す方
向に延びる同一厚さで同一幅の第1の格子部分31およ
び第2の格子部分32が、矢印Zと直交するX方向(格
子配列方向)に交互に形成された周期構造となってい
る。
【0021】第1の格子部分31は、分子の長軸が膜面
(ZX面)である水平方向に配向した水平配向となって
おり、偏光性回折格子3にY方向から垂直に入射する光
の偏光成分のうち、X方向を偏光方向とする常光と、こ
れに直交するZ方向を偏光方向とする異常光に対して異
なる屈折率を有する光学異方性膜となっている。また、
第2の格子部分32は、分子の長軸が膜面(ZX面)に
対して垂直であるY方向に配列した垂直配向となってお
り、Y方向から垂直に入射する偏光に対して等しい屈折
率を有する光学等方性膜となっている。
【0022】このように構成された偏光性回折素子1
は、第1の格子部分31が光学異方性膜であり、第2の
格子部分32が光学等方性膜であるので、これらの膜の
屈折率差による位相変調を利用して、常光を透過し異常
光を回折することができる。
【0023】すなわち、異常光に対する第1の格子部分
31の屈折率をne、および常光(X方向の偏光)に対
する第1の格子部分31の屈折率をn0とし、第2の格
子部分32の屈折率をntとすると、 ne>nt0=nt の関係にある。従って、偏光性回折格子3は、Z方向の
偏光(異常光)に対しては、第1の格子部分31と第2
の格子部分32で位相差が生じ、回折格子として機能す
るが、X方向の偏光(常光)に対しては、位相差が起こ
らず、素通しの状態となる。よって、偏光性回折格子3
は、常光を透過し、異常光を回折することができる。
【0024】なお、偏光性回折格子3は、分子の長軸が
膜面内にある水平配向部分(第1の格子部分31)と、
分子の長軸が膜面に対して垂直の垂直配向部分(第2の
格子部分32)とから構成されることが望ましいが、原
理的には、光学的異方性が両者で異なっていればよい。
よって、水平配向部分(第1の格子部分31)の配向方
向は膜面内でなくても、光学異方性があればよい。ま
た、垂直の垂直配向部分(第2の格子部分32)も、完
全な光学等方性膜でなく、光学異方性が残っていても問
題ない。
【0025】図2(a)ないし(e)は本例の偏光性回
折素子1の製造工程を示す説明図である。この図を参照
して、本例の偏光性回折素子1の製造方法を説明する。
【0026】まず、工程ST1において平板状の透明基
板2を用意する。次に、工程ST2では、透明基板2の
平坦な表面に配向膜4をスピンコート、ディッピングな
どによりコーティングし、ラビングする。本例では、配
向膜4の材料としてポリイミドを用いている。コーティ
ングした配向膜4は、ラビングすることにより水平配向
となる。
【0027】工程ST3では、格子状に形成されたフォ
トマスク5を介して配向膜4に紫外線を照射する。紫外
線が当たった部分では水平配向が無配向部分42に変わ
る。従って、配向膜4には、フォトマスク5で覆われた
部分に水平配向部分41が形成され、そうでない部分に
無配向部分42が形成される。よって、配向膜4は、フ
ォトマスク越し紫外線照射によって、周期的に配向状態
が異なって形成される。
【0028】工程ST4では、紫外線照射によって表面
状態が変化した無配向部分42をシランカップリング剤
などの垂直配向処理剤と反応させ、垂直配向部分43に
する。なお、垂直配向部分43は、工程ST3におい
て、フォトマスク5を介して配向膜4に照射される紫外
線の照射部分を完全に分解、除去することによって形成
することもできる。
【0029】最後に、工程ST5では、水平配向部分4
1および垂直配向部分43が形成された配向膜4の表面
に、アントラセンを真空蒸着して、偏光性回折格子3を
形成する。偏光性回折格子3は、配向膜4の水平配向部
分41および垂直配向部分43にに対応した位置に、水
平配向の第1の格子部分31と、垂直配向の第2の格子
部分32が格子状に形成される。
【0030】このように、本例の偏光性回折素子1の製
造方法においては、透明基板2の表面に、水平配向部分
41および垂直配向部分43が交互に配列された配向膜
4を形成し、しかる後に、アントラセンを真空蒸着して
偏光性回折格子3が形成される。真空蒸着により偏光性
回折格子3を形成しているので、その膜厚制御がしやく
すく、均一な厚さにすることができる。
【0031】ここで、上記の偏光性回折素子1は、第1
の格子部分31と第2の格子部分32の膜厚が同一であ
るので、常光を透過し異常光を回折するが、これらの部
分31、32の膜厚を異なるものとすれば、異常光およ
び常光の双方を異なる回折効率で回折することができ
る。
【0032】(第2の実施例)図3(a)および(b)
は、本発明を適用した第2の実施例に係る偏光性回折素
子を示す斜視図および断面図である。これらの図に示す
偏光性回折素子1Aは、第1の格子部分の膜厚を第2の
格子部分の膜厚よりも厚くして、常光をそのまま透過さ
せ、異常光のみを回折するように構成したものである。
【0033】本例の偏光性回折素子1Aも、透明基板2
Aと、この透明基板2Aの表面に積層した偏光性回折格
子3Aとを有している。偏光性回折格子3Aは、矢印Z
で示す方向に格子が延びる第1の格子部分31Aおよび
第2の格子部分32Aを有し、これらの格子部分がZ方
向に直交するX方向を格子配列方向として交互に形成さ
れた凸凹状の周期構造となっている。
【0034】第1の格子部分31Aは、分子の長軸が膜
面(ZX面)である水平方向に配向した水平配向となっ
ており、Y方向から入射する入射光のX方向を偏光方向
とする常光と、常光に垂直なZ方向を偏光方向とする異
常光とに対する屈折率が異なる光学異方性膜となってい
る。第2の格子部分32Aは、無配向状態となってお
り、Y方向から入射する偏光に対して等しい屈折率を有
する光学等方膜となっている。
【0035】また、第1の格子部分31Aは、第2の格
子部分32Aより厚く形成されている。これらの第1の
格子部分31Aと第2の格子部分32Aは、それぞれを
通過する入射光をLA、LBとすると、常光に対して位
相が同じになるように膜厚が設定されている。
【0036】すなわち、第1の格子部分31Aの膜厚h
1と第2の格子部分32Aの膜厚h2は、第1の格子部分
31Aの常光に対する屈折率をn0、第2の格子部分3
2Aの常光に対する屈折率をntとすると、 n0×h1=h1+(nt−1)×h2 の関係を満足すれば、入射光のうち、常光を素通しす
る。
【0037】ここで、第2の格子部分32Aが光学等方
性膜であるので、第2の格子部分32Aの異常光の屈折
率は、常光に対する屈折率ntと同じであるが、第1の
格子部分31Aは、光学異方性膜で常光に対する屈折率
0と異常光に対する屈折率neが異なっている。従っ
て、第1の格子部分31Aと第2の格子部分32Aは、
それぞれの格子部分を通過する入射光LA、LBの間で
は、異常光に対して位相差が生じ回折する。
【0038】このように偏光性回折素子1Aは、入射光
のうち、常光を素通しし、異常光を回折させることが可
能である。
【0039】なお、この偏光性回折素子1Aとは、逆
に、入射光のうち、常光を回折し、異常光を素通しさせ
るときは、第1の格子部分31Aを、第2の格子部分3
2Aより薄く形成する。これら第1の格子部分31Aの
膜厚h1と第2の格子部分32Aの膜厚h2は、 (ne−1)×h1+h2=nt×h2 の関係を満足すれば、入射光のうち、異常光を素通し、
常光を回折することができる。
【0040】図4は、図3に示す偏光性回折素子1Aの
製造工程を示す説明図である。この図を参照して、凸凹
状の偏光性回折格子3Aを備えた偏光性回折素子1Aの
製造方法を説明する。
【0041】図4における工程ST11、12、13
は、図2における工程ST1、2、3と同一である。工
程ST14では、形成した配向膜4Aにおける水平配向
部分41Aと無配向部分42Aとでは、異方性光学材料
の吸着率の違いを利用して、第1の格子部分31Aを、
第2の格子部分32Aより厚く形成している。
【0042】(第3の実施例)図5(a)および(b)
は、透明基板上に凸凹を形成した偏光性回折素子の例を
示す斜視図および断面図である。これらの図に示す偏光
性回折素子1Bも、青色光領域のレーザ光を偏光分離お
よび回折させるためのものであり、透明基板2Bと、こ
の透明基板2Bの表面に積層した偏光性回折格子3Bと
を有している。
【0043】偏光性回折格子3Bは、矢印Zで示す方向
に格子が延びる同じ膜厚の第1の格子部分31Bおよび
第2の格子部分32Bを有し、これらの格子部分のう
ち、一方の第1の格子部分31Bは、透明基板2Bの表
面に交互に形成された凸部21上に形成され、他方の第
2の格子部分32Bは凹部22上に形成されている。従
って、偏光性回折格子3Bの表面から見ると、第1の格
子部分31Bおよび第2の格子部分32Bが凸凹状の周
期構造となっている。
【0044】第1の格子部分31Bは、分子の長軸が膜
面(ZX面)である水平方向に配向した水平配向となっ
ており、Y方向の入射光のX方向を偏光方向とする常光
と、常光に垂直なZ方向を偏光方向とする異常光とに対
する屈折率が異なる光学異方性膜となっている。第2の
格子部分32Bは、無配向となっており、Y方向から入
射する偏光に対して等しい屈折率を有する光学等方性膜
となっている。
【0045】また、第1の格子部分31Bは、透明基板
2Bの凸部21の厚さ分だけ、第2の格子部分32Bよ
り高くなっている。これらの格子部分31B、32Bお
よび凸部21は、それぞれを通過する入射光の偏光のう
ち、常光について位相が同じになるように厚さが設定さ
れている。
【0046】すなわち、第1の格子部分31Bおよび第
2の格子部分32Bの膜厚h3と、透明基板の凸部21
の高さh4が、透明基板2Bの屈折率ngとしたとき、 n0×h3+ng×h4=nt×h3+h4 を満足すると、偏光性回折素子1Bは、常光を素通し
し、異常光を回折することができる。
【0047】一方、偏光性回折素子1Bとは逆に、透明
基板2Bの凸部21上に無配向の第2の格子部分32B
を形成し、凹部22上に水平配向の第1の格子部分31
Bを形成した場合には、 nt×h3+ng×h4=ne×h3+h4 を満足すると、異常光を素通し、常光を回折することが
できる。
【0048】図6は、図5に示す偏光性回折素子1Bの
製造工程を示す説明図である。この図を参照して、凸凹
状の透明基板2Bに偏光性回折格子3Bを形成した偏光
性回折素子1Bの製造方法を説明する。
【0049】工程ST21では、表面に凸部21と凹部
22が形成された透明基板2Bを用意する。透明基板2
Bの凹凸の形成方法は、基板自体をエッチングする方
法、または、基板上に無機あるいは有機材料の凸部を薄
膜形成しておき、フォトリソグラフィ、エッチング、リ
フトオフなどの工程により凹部を形成する方法、あるい
は、樹脂成型等の方法を用いることができる。工程ST
22では、基板2Bの凸部21と、凹部22に配向膜4
Bを塗布する。工程ST23において、基板2Bの表面
をラビングする。このとき、凸部21に塗布された配向
膜4Bは、ラビングされて水平配向部分41Bとなり、
凹部22に塗布された配向膜4Bは、ラビングされない
ので無配向部分42Bとなる。工程ST24では、水平
配向部分41Bおよび無配向部分42Bの上に同一膜厚
の第1の格子部分31Aおよび第2の格子部分32Aを
形成することにより、凸凹状の偏光性回折格子3Bを備
えた偏光性回折素子1Bを形成することができる。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、透明基
板と、この透明基板の表面に形成した光学異方性材料か
らなる偏光性回折格子とを有する偏光性回折素子におい
て、光学異方性材料として、アントラセン、直鎖脂肪
酸、チオフェンオリゴマ、ターフェニル、または室温で
固体の液晶性分子類を用いたことを特徴としている。
【0051】従って、本発明による偏光性回折素子によ
れば、次のような効果が得られる。 (1)可視光域に吸収性を持たない複屈折材料から偏光
性回折格子を形成しているので、青色レーザ光の波長領
域でも透過率が高い偏光性回折素子を作製できる。ま
た、真空蒸着によって当該材料を成膜して偏光性回折格
子を形成できるので、膜厚制御がしやすく、形成された
格子の面内均一性も高い。さらに、製造工程が配向膜形
成、配向処理、および有機膜蒸着だけであり、非常に簡
単である。 (2)偏光性回折格子の回折効率は、その膜厚制御によ
り所望の効率に制御することが容易である。 (3)異常光あるいは常光に対してほぼ素通しとなる消
光比が高い偏光性回折素子を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1の実施例に係る偏光性回
折素子を示す斜視図である。
【図2】図1の偏光性回折素子の製造工程を示す説明図
である。
【図3】(a)および(b)は、本発明を適用した第2
の実施例に係る偏光性回折素子を示す斜視図および断面
図である。
【図4】図3に示す偏光性回折素子の製造工程を示す説
明図である。
【図5】(a)および(b)は、本発明を適用した第3
の実施例に係る偏光性回折素子を示す斜視図および断面
図である。
【図6】図5に示す偏光性回折素子の製造工程を示す説
明図である。
【符号の説明】
1、1A、1B 偏光性回折素子 2、2A、2B 透明基板 3、3A、3B 偏光性回折格子 4、4A、4B 配向膜 31、31A、31B 第1の格子部分 32、32A、32B 第2の格子部分 41、41A、41B 水平配向部分 42、42A、42B 無配向部分 43 垂直配向部分

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板と、この透明基板の表面に形成
    した光学異方性材料からなる偏光性回折格子とを有する
    偏光性回折素子において、 前記光学異方性材料は、アントラセン、直鎖脂肪酸、チ
    オフェンオリゴマ、ターフェニル、および室温で固体の
    液晶性分子類のうちの一つであることを特徴とする偏光
    性回折素子。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記偏光性回折格子は、前記光学異方性材料を前記透明
    基板の表面に真空蒸着することにより形成したものであ
    ることを特徴とする偏光性回折素子。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、 前記偏光性回折格子は、分子が水平配向されている第1
    の格子部分と、分子が無配向状態のままの第2の格子部
    分とが交互に配列されているとともに、 前記第1の格子部分の膜厚および前記第2の格子部分の
    膜厚は、互いに異なっていることを特徴とする偏光性回
    折素子。
  4. 【請求項4】 請求項3において、 前記第1の格子部分の膜厚h1は前記第2の格子部分の
    膜厚h2よりも厚く、 これらの膜厚h1、h2は、前記偏光性回折格子に入射す
    る偏光のうち常光に対して、前記第1の格子部分の屈折
    率をn0、前記第2の格子部分の屈折率をntとすると、 n0×h1=h1+(nt−1)×h2 の関係にあることを特徴とする偏光性回折素子。
  5. 【請求項5】 請求項3において、前記第1の格子部分
    の膜厚h1は前記第2の格子部分の膜厚h2よりも薄く、 これらの膜厚h1、h2は、前記偏光性回折格子に入射す
    る偏光のうち異常光に対して、前記第1の格子部分の屈
    折率をne、前記第2の格子部分の屈折率をntとする
    と、 (ne−1)×h1+h2=nt×h2 の関係にあることを特徴とする偏光性回折素子。
  6. 【請求項6】 請求項1または2において、 前記透明基板の表面には凹凸状の格子パターンが形成さ
    れていることを特徴とする偏光性回折素子。
  7. 【請求項7】 請求項6において、 前記偏光性回折格子は、分子が水平配向されている所定
    厚さの第1の格子部分と、分子が無配向状態のままの同
    一厚さの第2の格子部分とが交互に配列された構成とな
    っており、 前記第1の格子部分は、前記透明基板の表面に形成され
    ている凹凸状の格子パターンにおける凸部分の上に形成
    され、前記第2の格子部分は前記格子パターンにおける
    凹部分の上に形成されており、 前記第1および第2の格子部分の膜厚h3、前記凸部分
    の高さh4は、前記偏光性回折格子に入射する偏光のう
    ち常光に対して、前記第1の格子部分の屈折率をn0
    前記第2の格子部分の屈折率をnt、前記凸部分の屈折
    率をngとすると、 n0×h3+ng×h4=nt×h3+h4 の関係にあることを特徴とする偏光性回折素子。
  8. 【請求項8】 請求項6において、 前記偏光性回折格子は、分子が水平配向されている所定
    厚さの第1の格子部分と、分子が無配向状態のままの同
    一厚さの第2の格子部分とが交互に配列された構成とな
    っており、 前記第1の格子部分は、前記透明基板の表面に形成され
    ている凹凸状の格子パターンにおける凹部分の上に形成
    され、前記第2の格子部分は前記格子パターンにおける
    凸部分の上に形成されており、 前記第1および第2の格子部分の膜厚h3、前記凸部分
    の高さh4は、前記偏光性回折格子に入射する偏光のう
    ち異常光に対して、前記第1の格子部分の屈折率を
    e、前記第2の格子部分の屈折率をnt、前記凸部分の
    屈折率をngとすると、 nt×h3+ng×h4=ne×h3+h4 の関係にあることを特徴とする偏光性回折素子。
  9. 【請求項9】 請求項1または2において、 前記偏光性回折格子は、分子が水平配向されている第1
    の格子部分と、分子が垂直配向されている第2の格子部
    分とが交互に配列された構成となっており、 これら第1および第2の格子部分の膜厚は同一であるこ
    とを特徴とする偏光性回折素子。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005339766A (ja) * 2004-04-23 2005-12-08 Matsushita Electric Ind Co Ltd 光ディスク装置
JP2018169479A (ja) * 2017-03-29 2018-11-01 富士フイルム株式会社 位相差フィルムの製造方法
CN113491044A (zh) * 2019-02-27 2021-10-08 奥斯兰姆奥普托半导体股份有限两合公司 光电半导体构件和制造光电半导体构件的方法

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