以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の光学ユニットの第一の実施の形態を示している。本発明の光学ユニットの第一の実施の形態は、レーザ3a、凸レンズ4a〜4f、アクティブ波長板5a、偏光ビームスプリッタ7a、開口付き可変焦点レンズ8a、8b、ミラー9a〜9d、開口付き光偏向素子10a、10b、1/4波長板11a、11b、対物レンズ12a、12b、及び、光検出器13aを備える。レーザ3aは、光源である。レーザ3aには、単一モード半導体レーザが用いられる。
対物レンズ12a、12bは、光源からの出射光を、光記録媒体2aの記録層に集光して集光スポットを形成する。光検出器13aは、光記録媒体2aの記録層からの反射光を受光する。開口付き光偏向素子10a、10bは、光源からの出射光、及び、記録層からの反射光の向きを変化させ、記録層の面内における集光スポットの位置を変化させる。開口付き光偏向素子10a、10bは、偏光方向が第一の方向である第一の直線偏光に対して作用する第一の光偏向素子と、偏光方向が第一の方向と直交する第二の方向である第二の直線偏光に対して作用する第二の光偏向素子とを含む。開口付き光偏向素子10a、10bは、対物レンズ12a、12bの開口数を定める開口を有する。
開口付き可変焦点レンズ8a、8bは、光源からの出射光、及び、記録層からの反射光の平行度を変化させ、記録層の厚さ方向における集光スポットの位置を変化させる。開口付き可変焦点レンズ8a、8bは、対物レンズ12a、12bの開口数を定める開口を有する。
開口付き可変焦点レンズ8a及び開口付き光偏向素子10aは、対物レンズ12aの前側焦点位置、又は、それと光学的に共役な位置に配置されている。図1では、開口付き光偏向素子10aは、対物レンズ12aの前側焦点位置に配置され、開口付き可変焦点レンズ8aは、凸レンズ4c、4bで構成されるリレーレンズ系を介して、対物レンズ12aの前側焦点位置と光学的に共役な位置に配置されている。これに代えて、開口付き光偏向素子10aを、リレーレンズ系を介して対物レンズ12aの前側焦点位置と光学的に共役な位置に配置し、開口付き可変焦点レンズ8aを、対物レンズ12aの前側焦点位置に配置してもよい。開口付き可変焦点レンズ8aと開口付き光偏向素子10aは、双方が開口を持っている必要はなく、何れか一方が開口を持っていればよい。すなわち、開口は、対物レンズ12aの前側焦点位置、又は、それと光学的に共役な位置に少なくとも1つあればよい。
開口付き可変焦点レンズ8b及び開口付き光偏向素子10bは、対物レンズ12bの前側焦点位置、又は、それと光学的に共役な位置に配置されている。図1では、開口付き光偏向素子10bは、対物レンズ12bの前側焦点位置に配置され、開口付き可変焦点レンズ8bは、凸レンズ4e、4dで構成されるリレーレンズ系を介して、対物レンズ12bの前側焦点位置と光学的に共役な位置に配置されている。これに代えて、開口付き光偏向素子10bを、リレーレンズ系を介して対物レンズ12bの前側焦点位置と光学的に共役な位置に配置し、開口付き可変焦点レンズ8bを、対物レンズ12bの前側焦点位置に配置してもよい。開口付き可変焦点レンズ8bと開口付き光偏向素子10bは、双方が開口を持っている必要はなく、何れか一方が開口を持っていればよい。すなわち、開口は、対物レンズ12bの前側焦点位置、又は、それと光学的に共役な位置に少なくとも1つあればよい。
光源であるレーザ3aから出射した光は、凸レンズ4aを透過して発散光から平行光へ変換され、アクティブ波長板5aへ入射する。アクティブ波長板5aは、光記録媒体2aへの情報の記録時は、入射光に対して1/4波長板の効果を持つ。また、アクティブ波長板5aは、光記録媒体2aからの情報の再生時は、入射光に対して1/2波長板の効果を持つ。光記録媒体2aへの情報の記録時には、アクティブ波長板5aへ入射した光は、アクティブ波長板5aを透過して直線偏光から円偏光へ変換され、約50%が偏光ビームスプリッタ7aでS偏光成分として反射され、約50%が偏光ビームスプリッタ7aをP偏光成分として透過する。一方、光記録媒体2aからの情報の再生時には、アクティブ波長板5aへ入射した光は、アクティブ波長板5aを透過して偏光方向が90°変化し、偏光ビームスプリッタ7aへS偏光として入射してほぼ100%が反射される。
アクティブ波長板5aは、2枚の基板の間に液晶層が挟まれた構成である。2枚の基板の液晶層側の面には、液晶層に交流電圧を印加するための透明電極が形成されている。液晶層は、一軸の屈折率異方性を有している。液晶層に実効値が2.5Vの交流電圧を印加すると、液晶層の光学軸の方向は、入射光の光軸に垂直な方向と平行な方向との中間の方向となる。このとき、液晶層を透過する光に生じる、光学軸と光軸とを含む面に平行な方向の偏光成分と垂直な方向の偏光成分との間の位相差はπ/2となり、アクティブ波長板5aは1/4波長板の効果を持つ。一方、液晶層に実効値が0Vの交流電圧を印加する場合、液晶層の光学軸の方向は、入射光の光軸に垂直な方向となる。このとき、液晶層を透過する光に生じる、光学軸と光軸とを含む面に平行な方向の偏光成分と垂直な方向の偏光成分との間の位相差はπとなり、アクティブ波長板5aは1/2波長板の効果を持つ。
光記録媒体2aへの情報の記録時には、偏光ビームスプリッタ7aで反射された光は、開口付き可変焦点レンズ8aを略平行光として透過し、凸レンズ4bを透過して略平行光から収束光へ変換され、ミラー9aの近傍に集光されて収束光から発散光となり、ミラー9aで反射され、凸レンズ4cを透過して発散光から略平行光へ変換される。この光は、ミラー9cで反射され、開口付き光偏向素子10aを透過し、1/4波長板11aを透過して直線偏光から円偏光へ変換され、対物レンズ12aを透過して略平行光から収束光へ変換され、光記録媒体2a内に集光される。
また、偏光ビームスプリッタ7aを透過した光は、開口付き可変焦点レンズ8bを略平行光として透過し、凸レンズ4dを透過して略平行光から収束光へ変換され、ミラー9bの近傍に集光されて収束光から発散光となり、ミラー9bで反射され、凸レンズ4eを透過して発散光から略平行光へ変換される。この光は、ミラー9dで反射され、開口付き光偏向素子10bを透過し、1/4波長板11bを透過して直線偏光から円偏光へ変換され、対物レンズ12bを透過して略平行光から収束光へ変換され、光記録媒体2a内に集光される。
一方、光記録媒体2aからの情報の再生時には、偏光ビームスプリッタ7aで反射された光は、開口付き可変焦点レンズ8aを略平行光として透過し、凸レンズ4bを透過して略平行光から収束光へ変換され、ミラー9aの近傍に集光されて収束光から発散光となり、ミラー9aで反射され、凸レンズ4cを透過して発散光から略平行光へ変換される。この光は、ミラー9cで反射され、開口付き光偏向素子10aを透過し、1/4波長板11aを透過して直線偏光から円偏光へ変換され、対物レンズ12aを透過して略平行光から収束光へ変換され、光記録媒体2a内に集光される。
光記録媒体2a内で反射された光は、対物レンズ12aを逆向きに透過して発散光から略平行光へ変換され、1/4波長板11aを透過して円偏光から直線偏光へ変換され、開口付き光偏向素子10aを透過し、ミラー9cで反射され、凸レンズ4cを透過して略平行光から収束光へ変換され、ミラー9aの近傍に集光されて収束光から発散光となり、ミラー9aで反射され、凸レンズ4bを透過して発散光から略平行光へ変換される。この光は、開口付き可変焦点レンズ8aを平行光として透過し、偏光ビームスプリッタ7aへP偏光として入射してほぼ100%が透過し、凸レンズ4fを透過して平行光から収束光へ変換され、光検出器13aで受光される。
図2(a)〜(c)は、光記録媒体2aへの情報の記録時における、光記録媒体2aへの入射ビームの光路を示している。光記録媒体2aは、基板17aと基板17bとの間に記録層14aが挟まれた構成である。基板17a、17bの材料としては、例えばガラスが用いられる。記録層14aの材料としては、例えばフォトポリマが用いられる。
図2(a)〜(c)に示すビーム20a〜20cは、レーザ3aから出射し、偏光ビームスプリッタ7aで反射された光を表している。また、ビーム21a〜21cは、レーザ3aから出射し、偏光ビームスプリッタ7aを透過した光を表している。ビーム20a〜20cは、偏光方向が紙面に垂直な直線偏光として開口付き光偏向素子10aへ入射し、開口付き光偏向素子10aを透過する。その後、1/4波長板11aを透過して円偏光へ変換され、対物レンズ12aへ入射し、記録層14a内で集光される。また、ビーム21a〜21cは、偏光方向が紙面に平行な直線偏光として開口付き光偏向素子10bへ入射し、開口付き光偏向素子10bを透過する。その後、1/4波長板11bを透過して円偏光へ変換され、対物レンズ12bへ入射し、記録層14a内で集光される。
図2(a)は、ビーム20a、21aが、記録層14a内の基板17aに近い位置である集光点18aに集光される場合のビームの光路を示している。このとき、開口付き可変焦点レンズ8a(図1)は、ビーム20aに対して凸レンズとして作用し、開口付き可変焦点レンズ8bは、ビーム21aに対して凹レンズとして作用する。ビーム20aとビーム21aとは、集光点18aで干渉し、集光点18aに微小な回折格子が形成される。
図2(b)は、ビーム20b、21bが、記録層14a内の基板17aと基板17bとの中間の位置である集光点18bに集光される場合のビームの光路を示している。このとき、開口付き可変焦点レンズ8aは、ビーム20bに対してレンズとして作用せず、開口付き可変焦点レンズ8bは、ビーム21bに対してレンズとして作用しない。ビーム20bとビーム21bとは、集光点18bで干渉し、集光点18bに微小な回折格子が形成される。
図2(c)は、ビーム20c、21cが、記録層14a内の基板17bに近い位置である集光点18cに集光される場合のビームの光路を示している。このとき、開口付き可変焦点レンズ8aは、ビーム20cに対して凹レンズとして作用し、開口付き可変焦点レンズ8bは、ビーム21cに対して凸レンズとして作用する。ビーム20cとビーム21cとは、集光点18cで干渉し、集光点18cに微小な回折格子が形成される。
図2(a)〜(c)では、開口付き光偏向素子10aでビーム20a〜20cを偏向せず、また、開口付き光偏向素子10bでビーム21a〜21cを偏向しない場合のビームの光路を実線で示している。開口付き光偏向素子10a、10bを用いてビームを偏向しないとき、ビーム20a〜20cとビーム21a〜21cとが集光される集光点18a〜18cの位置は、対物レンズ12a、12bの光軸上にある。
図2(a)〜(c)では、開口付き光偏向素子10aを用いてビーム20a〜20cを紙面向かって右側へ偏向し、また、開口付き光偏向素子10bを用いてビーム21a〜21cを紙面向かって右側へ偏向した場合のビームの光路を破線で示している。開口付き光偏向素子10a、10bで破線で示すようにビームを偏向したとき、ビーム20a〜20c、ビーム21a〜21cが集光される集光点18a〜18cの位置は、対物レンズ12a、12bの光軸に対して紙面向かって右側へ移動する。
図2(a)〜(c)では、開口付き光偏向素子10aを用いてビーム20a〜20cを紙面向かって左側へ偏向し、また、開口付き光偏向素子10bを用いてビーム21a〜21cを紙面向かって左側へ偏向した場合のビームの光路を一点鎖線で示している。開口付き光偏向素子10a、10bで一点鎖線で示すようにビームを偏向したとき、ビーム20a〜20c、ビーム21a〜21cが集光される集光点18a〜18cの位置は、対物レンズ12a、12bの光軸に対して紙面向かって左側へ移動する。
図3(a)〜(c)は、光記録媒体2aからの情報の再生時における、光記録媒体2aへの入射ビーム及び光記録媒体2aからの反射ビームの光路を示している。図3(a)〜(c)におけるビーム20a〜20cは、レーザ3aから出射し、偏光ビームスプリッタ7aで反射された光を表している。ビーム20a〜20cは、偏光方向が紙面に垂直な直線偏光として開口付き光偏向素子10aへ入射し、開口付き光偏向素子10aを透過する。その後、1/4波長板11aを透過して円偏光へ変換され、対物レンズ12aへ入射し、記録層14a内で集光される。
記録層14a内に集光されたビーム20a〜20cは、集光点に形成された回折格子で反射され、対物レンズ12aから出射する。その後、1/4波長板11aを透過して直線偏光へ変換され、開口付き光偏向素子10aへ偏光方向が紙面に平行な直線偏光として入射し、開口付き光偏向素子10aを透過する。
図3(a)は、ビーム20aが、記録層14a内の基板17aに近い位置である回折格子19aに集光される場合のビームの光路を示している。回折格子19aは、図2(a)における集光点18aに形成されたものである。このとき、開口付き可変焦点レンズ8aは、ビーム20aに対して凸レンズとして作用する。ビーム20aは、回折格子19aで反射され、光検出器13aで受光される。
図3(b)は、ビーム20bが、記録層14a内の基板17aと基板17bとの中間の位置である回折格子19bに集光される場合のビームの光路を示している。回折格子19bは、図2(b)における集光点18bに形成されたものである。このとき、開口付き可変焦点レンズ8aは、ビーム20bに対してレンズとして作用しない。ビーム20bは、回折格子19bで反射され、光検出器13aで受光される。
図3(c)は、ビーム20cが、記録層14a内の基板17bに近い位置である回折格子19cに集光される場合のビームの光路を示している。回折格子19cは、図2(c)における集光点18cに形成されたものである。このとき、開口付き可変焦点レンズ8aは、ビーム20cに対して凹レンズとして作用する。ビーム20cは、回折格子19cで反射され、光検出器13aで受光される。
図3(a)〜(c)では、開口付き光偏向素子10aでビーム20a〜20cを偏向しない場合のビームの光路を実線で示している。開口付き光偏向素子10aでビームを偏向しないとき、ビーム20a〜20cが集光される回折格子19a〜19cの位置は、対物レンズ12aの光軸上にある。
図3(a)〜(c)では、開口付き光偏向素子10aを用いてビーム20a〜20cを紙面向かって右側へ偏向した場合のビームの光路を破線で示している。開口付き光偏向素子10aで破線で示すようにビームを偏向したとき、ビーム20a〜20cが集光される回折格子19a〜19cの位置は、対物レンズ12aの光軸に対して紙面向かって右側へ移動する。
図3(a)〜(c)では、開口付き光偏向素子10aを用いてビーム20a〜20cを紙面向かって左側へ偏向した場合のビームの光路を一点鎖線で示している。開口付き光偏向素子10a、10bで一点鎖線で示すようにビームを偏向したとき、ビーム20a〜20cが集光される回折格子19a〜19cの位置は、対物レンズ12aの光軸に対して左側へ移動する。
ここで、回折格子は、ビットデータの情報を有している。レーザ3aから出射し、偏光ビームスプリッタ7aで反射された光、及び、偏光ビームスプリッタ7aを透過した光の集光点の位置を、光記録媒体2aの記録層14aの厚さ方向へ移動させ、光記録媒体2aの記録層14aの面内に加えて厚さ方向の複数の位置に回折格子を形成することで、3次元記録再生を行うことができる。
図4(a)〜(i)は、開口付き光偏向素子の位置と、開口での光の蹴られ方との関係を示している。図4における開口付き光偏向素子10及び対物レンズ12は、それぞれ図1の開口付き光偏向素子10a及び対物レンズ12a、又は、開口付き光偏向素子10b及び対物レンズ12bに対応する。
図4(a)〜(c)は、開口付き光偏向素子10が、対物レンズ12の前側焦点位置より対物レンズ12から遠い位置にある場合の光の蹴られ方を示している。図4(a)に示すように、開口付き光偏向素子10を用いて光を紙面向かって右側へ偏向した場合、往路において開口付き光偏向素子10の中心を通る光線は、対物レンズ12を透過して図中の左下へ向かう。この光は、光記録媒体2内で反射され、復路において左上へ向かい、対物レンズ12を透過して開口付き光偏向素子10の中心よりも左側を通る。すなわち、復路の光の中心は、往路の光の中心に対して紙面向かって左側へずれる。このため、復路の光は、開口付き光偏向素子10が有する開口で左側が蹴られる。
図4(b)に示すように、開口付き光偏向素子10で光を偏向しない場合、往路において開口付き光偏向素子10の中心を通る光線は、対物レンズ12を透過して図中の真下へ向かい、光記録媒体2内で反射され、復路において真上へ向かい、対物レンズ12を透過して開口付き光偏向素子10の中心を通る。すなわち、復路の光の中心と、往路の光の中心とは一致している。このため、復路の光は、開口付き光偏向素子10が有する開口で蹴られない。
図4(c)に示すように、開口付き光偏向素子10を用いて光を紙面向かって左側へ偏向した場合、往路において開口付き光偏向素子10の中心を通る光線は、対物レンズ12を透過して図中の右下へ向かう。この光は、光記録媒体2内で反射され、復路において右上へ向かい、対物レンズ12を透過して開口付き光偏向素子10の中心より右側を通る。すなわち、復路の光の中心は、往路の光の中心に対して紙面向かって右側へずれる。このため、復路の光は、開口付き光偏向素子10が有する開口で右側が蹴られる。
図4(d)〜(f)は、開口付き光偏向素子10が対物レンズ12の前側焦点位置にある場合の光の蹴られ方を示している。図4(d)に示すように、開口付き光偏向素子10を用いて光を紙面向かって右側へ偏向した場合、往路において開口付き光偏向素子10の中心を通る光線は、対物レンズ12を透過して図中の真下へ向かう。この光は、光記録媒体2内で反射され、復路において真上へ向かい、対物レンズ12を透過して開口付き光偏向素子10の中心を通る。すなわち、復路の光の中心と、往路の光の中心とは一致している。このため、復路の光は、開口付き光偏向素子10が有する開口で蹴られない。
図4(e)に示すように、開口付き光偏向素子10で光を偏向しない場合、往路において開口付き光偏向素子10の中心を通る光線は、対物レンズ12を透過して図中の真下へ向かう。この光は、光記録媒体2内で反射され、復路において真上へ向かい、対物レンズ12を透過して開口付き光偏向素子10の中心を通る。すなわち、復路の光の中心と、往路の光の中心とは一致している。このため、復路の光は、開口付き光偏向素子10が有する開口で蹴られない。
図4(f)に示すように、開口付き光偏向素子10を用いて光を紙面向かって左側へ偏向した場合、往路において開口付き光偏向素子10の中心を通る光線は、対物レンズ12を透過して図中の真下へ向かう。この光は、光記録媒体2内で反射され、復路において真上へ向かい、対物レンズ12を透過して開口付き光偏向素子10の中心を通る。すなわち、復路の光の中心と、往路の光の中心とは一致している。このため、復路の光は、開口付き光偏向素子10が有する開口で蹴られない。
図4(g)〜(i)は、開口付き光偏向素子10が、対物レンズ12の前側焦点位置より対物レンズ12に近い位置にある場合の光の蹴られ方を示している。図4(g)に示すように、開口付き光偏向素子10を用いて光を紙面向かって右側へ偏向した場合、往路において開口付き光偏向素子10の中心を通る光線は、対物レンズ12を透過して図の右下へ向かう。この光は、光記録媒体2内で反射され、復路において右上へ向かい、対物レンズ12を透過して開口付き光偏向素子10の中心より右側を通る。すなわち、復路の光の中心は、往路の光の中心に対して右側へずれる。このため、復路の光は、開口付き光偏向素子10が有する開口で右側が蹴られる。
図4(h)に示すように、開口付き光偏向素子10で光を偏向しない場合、往路において開口付き光偏向素子10の中心を通る光線は、対物レンズ12を透過して図中の真下へ向かう。この光は、光記録媒体2内で反射され、復路において真上へ向かい、対物レンズ12を透過して開口付き光偏向素子10の中心を通る。すなわち、復路の光の中心と、往路の光の中心とは一致している。このため、復路の光は、開口付き光偏向素子10が有する開口で蹴られない。
図4(i)に示すように、開口付き光偏向素子10を用いて光を紙面向かって左側へ偏向した場合、往路において開口付き光偏向素子10の中心を通る光線は、対物レンズ12を透過して図中の左下へ向かう。この光は、光記録媒体2内で反射され、復路において左上へ向かい、対物レンズ12を透過して開口付き光偏向素子10の中心より左側を通る。すなわち、復路の光の中心は、往路の光の中心に対して紙面向かって左側へずれる。このため、復路の光は、開口付き光偏向素子10が有する開口で左側が蹴られる。
開口付き光偏向素子10が対物レンズ12の前側焦点位置又はそれと光学的に共役な位置にない場合は、開口付き光偏向素子10を用いて光を偏向すると、図4(a)、(c)、(g)、(i)に示すように、復路の光は開口付き光偏向素子10が有する開口で蹴られる。これに対し、開口付き光偏向素子10が対物レンズ12の前側焦点位置又はそれと光学的に共役な位置にある場合は、図4(d)、(f)に示すように、開口付き光偏向素子10を用いて光を偏向しても、復路の光は開口付き光偏向素子10が有する開口で蹴られない。開口付き光偏向素子10が対物レンズ12の前側焦点位置にある場合、開口付き光偏向素子10が偏向する光の偏向角をθとし、対物レンズ12の焦点距離をfoとすると、光記録媒体2の面内における集光点の移動量はfo・θとなる。なお、図4では開口付き光偏向素子10への入射光は平行光であるが、開口付き光偏向素子10への入射光が収束光又は発散光であっても同じことが言える。
図5及び図6(a)〜(c)は、開口付き光偏向素子10a、10bの断面図、及び、光偏向素子に含まれる液晶層の平面図である。開口付き光偏向素子10a、10bは、基板22aと基板22bとの間に液晶層23aが挟まれ、基板22bと基板22cとの間に透過層25a及び反射層26aが挟まれ、基板22cと基板22dとの間に液晶層23bが挟まれた構成である。基板22a、22bの液晶層23a側の面には、液晶層23aに交流電圧を印加するための透明電極24a、24bがそれぞれ形成されている。また、基板22c、22dの液晶層23b側の面には、液晶層23bに交流電圧を印加するための透明電極24c、24dがそれぞれ形成されている。透明電極24a〜24dは、パタン電極である。
液晶層23a及び透明電極24a、24bは、第一の光偏向素子を構成し、液晶層23b及び透明電極24c、24dは、第二の光偏向素子を構成する。また、透過層25a及び反射層26aは、開口を構成する。基板22a〜22dの材料としては、例えばガラスが用いられる。液晶層23a、23bの材料としては、例えばネマチック液晶が用いられる。透明電極24a〜24dの材料としては、例えばITOが用いられる。透過層25a、反射層26aの材料としては、例えば誘電体多層膜が用いられる。
開口付き光偏向素子10aにおける開口の位置は、対物レンズ12aの前側焦点位置と一致している。また、開口付き光偏向素子10aにおける第一の光偏向素子及び第二の光偏向素子の位置は、対物レンズ12aの前側焦点位置とほぼ一致している。厳密に言えば、開口付き光偏向素子10aにおける第一の光偏向素子及び第二の光偏向素子の位置は、対物レンズ12aの前側焦点位置と一致していない。しかしながら、そのずれ量は非常に小さく、ずれの影響は無視できる程度のものであるので、第一の光偏向素子及び第二の光偏向素子の位置は、対物レンズ12aの前側焦点位置と一致しているとみなせる。
開口付き光偏向素子10bにおける開口の位置は、対物レンズ12bの前側焦点位置と一致している。また、開口付き光偏向素子10bにおける第一の光偏向素子、第二の光偏向素子の位置は、対物レンズ12bの前側焦点位置とほぼ一致している。厳密に言えば、開口付き光偏向素子10bにおける第一の光偏向素子及び第二の光偏向素子の位置は、対物レンズ12bの前側焦点位置と一致していない。しかしながら、そのずれ量は非常に小さく、ずれの影響は無視できる程度のものであるので、第一の光偏向素子及び第二の光偏向素子の位置は、対物レンズ12bの前側焦点位置と一致しているとみなせる。
液晶層23a、23bは、一軸の屈折率異方性を有している。液晶層23a、23bの光学軸に平行な方向、垂直な方向の偏光成分に対する屈折率をそれぞれne、noとすると、ne>noである。図5、図6に示す矢印は、液晶層23a、23bの光学軸の方向を表している。液晶層23aの光学軸はY−Z面内にあり、液晶層23bの光学軸はX−Z面内にある。
レーザ3a(図1)から出射し、偏光ビームスプリッタ7aで反射された光は、偏光方向がY軸方向である直線偏光として開口付き光偏向素子10aの液晶層23a、23bへ入射する。この光は、集光点に形成された回折格子で反射され、偏光方向がX軸方向である直線偏光として開口付き光偏向素子10aの液晶層23a、23bへ入射する。液晶層23aを含む第一の光偏向素子は、レーザ3aから出射し偏光ビームスプリッタ7aで反射された光に対して作用し、液晶層23bを含む第二の光偏向素子は、レーザ3aから出射し偏光ビームスプリッタ7aで反射された光に対しては作用しない。また、液晶層23bを含む第二の光偏向素子は、集光点に形成された回折格子で反射された光に対して作用し、液晶層23aを含む第一の光偏向素子は、集光点に形成された回折格子で反射された光に対しては作用しない。
レーザ3aから出射し、偏光ビームスプリッタ7aを透過した光は、偏光方向がX軸方向である直線偏光として開口付き光偏向素子10bの液晶層23a、23bへ入射する。液晶層23bを含む第二の光偏向素子は、レーザ3aから出射し偏光ビームスプリッタ7aを透過した光に対して作用し、液晶層23aを含む第一の光偏向素子は、レーザ3aから出射し偏光ビームスプリッタ7aを透過した光に対しては作用しない。なお、開口付き光偏向素子10bは、単一方向の直線偏向が入射されるので、第二の光偏向素子を含んでいればよく、第一の光偏向素子を含んでいなくてもよい。
図7(a)〜(c)は、開口付き光偏向素子10a、10bの平面図である。図7(a)は、透明電極24a、24dを示している。図7(a)に示すように、透明電極24a、24dは、短冊状の複数の電極に分割されている。左側電極27は、最も左側の電極であり、右側電極28は、最も右側の電極である。各電極は、隣接する電極と抵抗を介して接続されている。
図7(b)は、透明電極24b、24cを示している。図7(b)に示すように、透明電極24b、24cは、短冊状の複数の電極に分割されている。上側電極29は、最も上側の電極であり、下側電極30は、最も下側の電極である。各電極は、隣接する電極と抵抗を介して接続されている。上側電極29と下側電極30とを短絡し、左側電極27及び右側電極28を用いて液晶層23a、23bの左側及び右側に互いに異なる交流電圧を印加することで、左側から右側へ向かって、1次関数状の交流電圧の分布を形成することができる。また、左側電極27と右側電極28とを短絡し、上側電極29及び下側電極30を用いて液晶層23a、23bの上側及び下側に互いに異なる交流電圧を印加することで、上側から下側へ向かって、1次関数状の交流電圧の分布を形成することができる。
図7(c)は、開口を示している。図7(c)に示すように、開口は、所定の半径を有する円の内側に透過層25aを有し、外側に反射層26aを有している。透過層25aは、入射光をほぼ100%透過させる。反射層26aは、入射光をほぼ100%反射する。
図5(a)は、左側電極27及び右側電極28を用いて、液晶層23aのX軸の負の側に実効値がV+ΔV、X軸の正の側に実効値がV−ΔVの交流電圧を印加し、液晶層23bのX軸の負の側に実効値がV+ΔV、X軸の正の側に実効値がV−ΔVの交流電圧を印加した状態を表している。この状態では、液晶層23aの光学軸は、X軸の負の側ではZ軸方向に近い方向になり、X軸の正の側ではY軸方向に近い方向となる。また、液晶層23bの光学軸は、X軸の負の側ではZ軸方向に近い方向になり、X軸の正の側ではX軸方向に近い方向となる。
図5(a)では、偏光方向がY軸方向である直線偏光に対する液晶層23aの屈折率は、X軸の負の側では低くX軸の正の側では高くなり、偏光方向がX軸方向である直線偏光に対する液晶層23bの屈折率はX軸の負の側では低くX軸の正の側では高くなる。その結果、偏光方向がY軸方向である直線偏光は、第一の光偏向素子で軸の正の側へ偏向され、偏光方向がX軸方向である直線偏光は、第二の光偏向素子でX軸の正の側へ偏向される。ここで、第一の光偏向素子が偏向する光の偏向角と、第二の光偏向素子が偏向する光の偏向角とは等しい。第一の光偏向素子、第二の光偏向素子が偏向する光の偏向角の絶対値は、ΔVが大きいほど大きくなる。
図5(b)は、左側電極27及び右側電極28を用いて、液晶層23aのX軸の負の側、X軸の正の側に何れも実効値がVの交流電圧を印加し、液晶層23bのX軸の負の側、X軸の正の側に何れも実効値がVの交流電圧を印加した状態を表している。この状態では、液晶層23aの光学軸は、X軸の負の側及びX軸の正の側とも、Y軸方向とZ軸方向との中間の方向となる。また、液晶層23bの光学軸は、X軸の負の側及びX軸の正の側とも、X軸方向とZ軸方向との中間の方向となる。
図5(b)では、偏光方向がY軸方向である直線偏光に対する液晶層23aの屈折率は、X軸の負の側とX軸の正の側とで等しく、偏光方向がX軸方向である直線偏光に対する液晶層23bの屈折率は、X軸の負の側とX軸の正の側とで等しい。その結果、偏光方向がY軸方向である直線偏光は、第一の光偏向素子でX軸方向へ偏向されず、偏光方向がX軸方向である直線偏光は、第二の光偏向素子でX軸方向へ偏向されない。
図5(c)は、左側電極27及び右側電極28を用いて、液晶層23aのX軸の負の側に実効値がV−ΔV、X軸の正の側に実効値がV+ΔVの交流電圧を印加し、液晶層23bのX軸の負の側に実効値がV−ΔV、X軸の正の側に実効値がV+ΔVの交流電圧を印加した状態を表している。この状態では、液晶層23aの光学軸は、X軸の負の側ではY軸方向に近い方向になり、X軸の正の側ではZ軸方向に近い方向となる。また、液晶層23bの光学軸は、X軸の負の側ではX軸方向に近い方向になり、X軸の正の側ではZ軸方向に近い方向となる。
図5(c)では、偏光方向がY軸方向である直線偏光に対する液晶層23aの屈折率は、X軸の負の側では高くX軸の正の側では低くなり、偏光方向がX軸方向である直線偏光に対する液晶層23bの屈折率は、X軸の負の側では高くX軸の正の側では低くなる。その結果、偏光方向がY軸方向である直線偏光は、第一の光偏向素子でX軸の負の側へ偏向され、偏光方向がX軸方向である直線偏光は、第二の光偏向素子でX軸の負の側へ偏向される。ここで、第一の光偏向素子が偏向する光の偏向角と、第二の光偏向素子が偏向する光の偏向角とは等しい。第一の光偏向素子、第二の光偏向素子が偏向する光の偏向角の絶対値は、ΔVが大きいほど、大きくなる。
図5(b)に示す開口付き光偏向素子の状態は、図2(a)〜(c)で、記録層内に集光される光が実線で示す光路を通るときの開口付き光偏向素子10a、10bの状態に対応している。図5(a)に示す開口付き光偏向素子の状態は、図2(a)〜(c)で、記録層内に集光される光が破線で示す光路を通るときの開口付き光偏向素子10a、10bの状態に対応している。図5(c)に示す開口付き光偏向素子の状態は、図2(a)〜(c)で、記録層内に集光される光が一点鎖線で示す光路を通るときの開口付き光偏向素子10a、10bの状態に対応している。
また、図5(b)に示す開口付き光偏向素子の状態は、図3(a)〜(c)で、記録層内の回折格子に集光される光が実線で示す光路を通るときの開口付き光偏向素子10aの状態に対応している。図5(a)に示す開口付き光偏向素子の状態は、図3(a)〜(c)で、記録層内の回折格子に集光される光が破線で示す光路を通るときの開口付き光偏向素子10aの状態に対応している。図5(c)に示す開口付き光偏向素子の状態は、図3(a)〜(c)で、記録層内の回折格子に集光される光が一点鎖線で示す光路を通るときの開口付き光偏向素子10aの状態に対応している。
図6(a)は、上側電極29及び下側電極30を用いて、液晶層23aのY軸の正の側に実効値がV+ΔV、Y軸の負の側に実効値がV−ΔVの交流電圧を印加し、液晶層23bのY軸の正の側に実効値がV+ΔV、Y軸の負の側に実効値がV−ΔVの交流電圧を印加した状態を表している。このとき、液晶層23aの光学軸は、Y軸の正の側ではZ軸方向に近い方向になり、Y軸の負の側ではY軸方向に近い方向となる。また、液晶層23bの光学軸は、Y軸の正の側ではZ軸方向に近い方向になり、Y軸の負の側ではX軸方向に近い方向となる。
図6(a)では、偏光方向がY軸方向である直線偏光に対する液晶層23aの屈折率は、Y軸の正の側では低くY軸の負の側では高くなり、偏光方向がX軸方向である直線偏光に対する液晶層23bの屈折率、はY軸の正の側では低くY軸の負の側では高くなる。その結果、偏光方向がY軸方向である直線偏光は、第一の光偏向素子でY軸の負の側へ偏向され、偏光方向がX軸方向である直線偏光は、第二の光偏向素子でY軸の負の側へ偏向される。ここで、第一の光偏向素子が偏向する光の偏向角と、第二の光偏向素子が偏向する光の偏向角とは等しい。第一の光偏向素子及び第二の光偏向素子が偏向する光の偏向角の絶対値は、ΔVが大きいほど大きくなる。
図6(b)は、上側電極29及び下側電極30を用いて、液晶層23aのY軸の正の側、Y軸の負の側に何れも実効値がVの交流電圧を印加し、液晶層23bのY軸の正の側、Y軸の負の側に何れも実効値がVの交流電圧を印加した状態を表している。このとき、液晶層23aの光学軸は、Y軸の正の側、Y軸の負の側とも、Y軸方向とZ軸方向との中間の方向となる。また、液晶層23bの光学軸は、Y軸の正の側、Y軸の負の側とも、X軸方向とZ軸方向との中間の方向となる。
図6(b)では、偏光方向がY軸方向である直線偏光に対する液晶層23aの屈折率は、Y軸の正の側とY軸の負の側とで等しく、また、偏光方向がX軸方向である直線偏光に対する液晶層23bの屈折率は、Y軸の正の側とY軸の負の側とで等しい。その結果、偏光方向がY軸方向である直線偏光は、第一の光偏向素子でY軸方向へ偏向されず、偏光方向がX軸方向である直線偏光は、第二の光偏向素子でY軸方向へ偏向されない。
図6(c)は、上側電極29及び下側電極30を用いて、液晶層23aのY軸の正の側に実効値がV−ΔV、Y軸の負の側に実効値がV+ΔVの交流電圧を印加し、液晶層23bのY軸の正の側に実効値がV−ΔV、Y軸の負の側に実効値がV+ΔVの交流電圧を印加した状態を表している。このとき、液晶層23aの光学軸は、Y軸の正の側ではY軸方向に近い方向になり、Y軸の負の側ではZ軸方向に近い方向となる。また、液晶層23bの光学軸は、Y軸の正の側ではX軸方向に近い方向になり、Y軸の負の側ではZ軸方向に近い方向となる。
図6(c)では、偏光方向がY軸方向である直線偏光に対する液晶層23aの屈折率は、Y軸の正の側では高くY軸の負の側では低くなり、また、偏光方向がX軸方向である直線偏光に対する液晶層23bの屈折率は、Y軸の正の側では高くY軸の負の側では低くなる。その結果、偏光方向がY軸方向である直線偏光は、第一の光偏向素子でY軸の正の側へ偏向され、偏光方向がX軸方向である直線偏光は、第二の光偏向素子でY軸の正の側へ偏向される。ここで、第一の光偏向素子が偏向する光の偏向角と、第二の光偏向素子が偏向する光の偏向角とは等しい。第一の光偏向素子、第二の光偏向素子が偏向する光の偏向角の絶対値は、ΔVが大きいほど大きくなる。
図8(a)〜(c)は、開口付き可変焦点レンズ8a、8bの断面図、及び、可変焦点レンズに含まれる液晶層の平面図である。開口付き可変焦点レンズ8a、8bは、基板22eと基板22fとの間に液晶層23cが挟まれ、基板22fと基板22gとの間に透過層25b及び反射層26bが挟まれ、基板22gと基板22hとの間に液晶層23dが挟まれた構成である。基板22e、22fの液晶層23c側の面には、液晶層23cに交流電圧を印加するための透明電極24e、24fがそれぞれ形成されている。また、基板22g、22hの液晶層23d側の面には、液晶層23dに交流電圧を印加するための透明電極24g、24hがそれぞれ形成されている。透明電極24e、24hはパタン電極であり、透明電極24f、24gは全面電極である。
液晶層23c及び透明電極24e、24fは、第一の可変焦点レンズを構成する。また、液晶層23d及び透明電極24g、24hは、第二の可変焦点レンズを構成する。透過層25b及び反射層26bは、開口を構成する。基板22e〜22hの材料としては、例えばガラスが用いられる。液晶層23c、23dの材料としては、例えばネマチック液晶が用いられる。透明電極24e〜24hの材料としては、例えばITOが用いられる。透過層25b、反射層26bの材料としては、例えば誘電体多層膜が用いられる。
開口付き可変焦点レンズ8aにおける開口の位置は、対物レンズ12aの前側焦点位置と光学的に共役な位置と一致している。また、開口付き可変焦点レンズ8aにおける第一の可変焦点レンズ及び第二の可変焦点レンズの位置は、対物レンズ12aの前側焦点位置と光学的に共役な位置とほぼ一致している。厳密に言えば、開口付き可変焦点レンズ8aにおける第一の可変焦点レンズ及び第二の可変焦点レンズの位置は、対物レンズ12aの前側焦点位置と光学的に共役な位置と一致していない。しかしながら、そのずれ量は非常に小さく、ずれの影響は無視できる程度のものであるので、第一の可変焦点レンズ及び第二の可変焦点レンズは、対物レンズ12aの前側焦点位置と光学的に共役な位置と一致しているとみなせる。
開口付き可変焦点レンズ8bにおける開口の位置は、対物レンズ12bの前側焦点位置と光学的に共役な位置と一致している。また、開口付き可変焦点レンズ8bにおける第一の可変焦点レンズ及び第二の可変焦点レンズの位置は、対物レンズ12bの前側焦点位置と光学的に共役な位置とほぼ一致している。厳密に言えば、開口付き可変焦点レンズ8bにおける第一の可変焦点レンズ及び第二の可変焦点レンズの位置は、対物レンズ12bの前側焦点位置と光学的に共役な位置と一致していない。しかしながら、そのずれ量は非常に小さく、ずれの影響は無視できる程度のものであるので、第一の可変焦点レンズ及び第二の可変焦点レンズは、対物レンズ12bの前側焦点位置と光学的に共役な位置と一致しているとみなせる。
液晶層23c、23dは、一軸の屈折率異方性を有している。液晶層23c、23dの光学軸に平行な方向、垂直な方向の偏光成分に対する屈折率をそれぞれne、noとすると、ne>noである。図8に示す矢印は、液晶層23c、23dの光学軸の方向を表している。液晶層23cの光学軸はY−Z面内にあり、液晶層23dの光学軸はX−Z面内にある。
レーザ3a(図1)から出射し、偏光ビームスプリッタ7aで反射された光は、偏光方向がY軸方向である直線偏光として開口付き可変焦点レンズ8aの液晶層23c、23dへ入射する。この光は、集光点に形成された回折格子で反射され、偏光方向がX軸方向である直線偏光として開口付き可変焦点レンズ8aの液晶層23c、23dへ入射する。液晶層23cを含む第一の可変焦点レンズは、レーザ3aから出射し偏光ビームスプリッタ7aで反射された光に対して作用し、液晶層23dを含む第二の可変焦点レンズは、レーザ3aから出射し偏光ビームスプリッタ7aで反射された光に対しては作用しない。また、液晶層23dを含む第二の可変焦点レンズは、集光点に形成された回折格子で反射された光に対して作用し、液晶層23cを含む第一の可変焦点レンズは、集光点に形成された回折格子で反射された光に対しては作用しない。
レーザ3aから出射し、偏光ビームスプリッタ7aを透過した光は、偏光方向がX軸方向である直線偏光として開口付き可変焦点レンズ8bの液晶層23c、23dへ入射する。液晶層23dを含む第二の可変焦点レンズは、偏光ビームスプリッタ7aを透過した光に対して作用し、液晶層23cを含む第一の可変焦点レンズは、偏光ビームスプリッタ7aを透過した光に対しては作用しない。
図9(a)〜(c)は、開口付き可変焦点レンズ8a、8bの平面図である。図9(a)は、透明電極24e、24hの平面図を示している。図9(a)に示すように、透明電極24e、24hは、輪帯状の複数の電極に分割されている。内側電極31は最も内側の電極であり、外側電極32は最も外側の電極である。各電極は、隣接する電極と抵抗を介して接続されている。
図9(b)は、透明電極24f、24gの平面図を示している。図9(b)に示すように、透明電極24f、24gは単一の電極(全面電極33)で構成されている。透明電極24e、24hの内側電極31及び外側電極32を用いて、液晶層23c、23dの内側及び外側に互いに異なる交流電圧を印加することで、内側から外側へ向かって2次関数状の交流電圧の分布を形成することができる。
図9(c)は、開口の平面図を示している。図9(c)に示すように、開口は、所定の半径を有する円の内側に透過層25bを有し、外側に反射層26bを有している。透過層25bは、入射光をほぼ100%透過させ、反射層26bは、入射光をほぼ100%反射する。
図8(a)は、内側電極31及び外側電極32を用いて、液晶層23cの内側に実効値がV−ΔV、外側に実効値がV+ΔVの交流電圧を印加し、液晶層23dの内側に実効値がV−ΔV、外側に実効値がV+ΔVの交流電圧を印加した状態を表している。このとき、液晶層23cの光学軸は内側ではY軸方向に近い方向になり、外側ではZ軸方向に近い方向となる。また、液晶層23dの光学軸は、内側ではX軸方向に近い方向になり、外側ではZ軸方向に近い方向となる。
図8(a)に示す状態では、偏光方向がY軸方向である直線偏光に対する液晶層23cの屈折率は、内側では高く外側では低くなり、偏光方向がX軸方向である直線偏光に対する液晶層23dの屈折率は、内側では高く外側では低くなる。その結果、偏光方向がY軸方向である直線偏光は、第一の可変焦点レンズが凸レンズとして作用することで、第一の可変焦点レンズで収束される。また、偏光方向がX軸方向である直線偏光は、第二の可変焦点レンズが凸レンズとして作用することで、第二の可変焦点レンズで収束される。ここで、第一の可変焦点レンズの焦点距離と第二の可変焦点レンズの焦点距離とは等しい。第一の可変焦点レンズ、第二の可変焦点レンズの焦点距離の絶対値は、ΔVが大きいほど小さくなる。
図8(b)は、内側電極31及び外側電極32を用いて、液晶層23cの内側、外側に何れも実効値がVの交流電圧を印加し、それぞれ液晶層23dの内側、外側に何れも実効値がVの交流電圧を印加した状態を表している。このとき、液晶層23cの光学軸は内側、外側ともY軸方向とZ軸方向との中間の方向となり、液晶層23dの光学軸は内側、外側ともX軸方向とZ軸方向との中間の方向となる。
図8(b)の状態では、偏光方向がY軸方向である直線偏光に対する液晶層23cの屈折率は内側と外側とで等しく、偏光方向がX軸方向である直線偏光に対する液晶層23dの屈折率は内側と外側とで等しい。その結果、偏光方向がY軸方向である直線偏光は、第一の可変焦点レンズがレンズとして作用しないことで、第一の可変焦点レンズで平行度が変化しない。また、偏光方向がX軸方向である直線偏光は、第二の可変焦点レンズがレンズとして作用しないことで、第二の可変焦点レンズで平行度が変化しない。
図8(c)は、内側電極31及び外側電極32を用いて、液晶層23cの内側に実効値がV+ΔV、外側に実効値がV−ΔVの交流電圧を印加し、液晶層23dの内側に実効値がV+ΔV、外側に実効値がV−ΔVの交流電圧を印加した状態を表している。このとき、液晶層23cの光学軸は、内側ではZ軸方向に近い方向になり、外側ではY軸方向に近い方向となる。また、液晶層23dの光学軸は、内側ではZ軸方向に近い方向になり、外側ではX軸方向に近い方向となる。
図8(c)に示す状態では、偏光方向がY軸方向である直線偏光に対する液晶層23cの屈折率は、内側では低く外側では高くなり、偏光方向がX軸方向である直線偏光に対する液晶層23dの屈折率は、内側では低く外側では高くなる。その結果、偏光方向がY軸方向である直線偏光は、第一の可変焦点レンズが凹レンズとして作用することで、第一の可変焦点レンズで発散される。また、偏光方向がX軸方向である直線偏光は、第二の可変焦点レンズが凹レンズとして作用することで、第二の可変焦点レンズで発散される。ここで、第一の可変焦点レンズの焦点距離と第二の可変焦点レンズの焦点距離とは等しい。第一の可変焦点レンズ、第二の可変焦点レンズの焦点距離の絶対値は、ΔVが大きいほど小さくなる。
可変焦点レンズ8aが、図8(a)に示す状態にあるとき、対物レンズ12aから光記録媒体2aの記録層14a内に集光される光は、図2(a)にビーム20aで示すように、記録層14aの基板17aに近い側に集光される。このとき、可変焦点レンズ8bは、図8(c)に示す状態にあり、対物レンズ12bから光記録媒体2aの記録層14a内に集光される光は、図2(a)にビーム21aで示すように、記録層14aの基板17bから見て遠い側、すなわち、基板17aに近い側に集光される。可変焦点レンズ8a、8dをこのように制御することで、ビーム20aとビーム21aとが、記録層14a内の基板17aに近い側の同一位置に集光されて干渉し、集光位置に回折格子が形成される。
可変焦点レンズ8aが、図8(b)に示す状態にあるとき、対物レンズ12aから光記録媒体2aの記録層14a内に集光される光は、図2(a)にビーム20bで示すように、記録層14aの基板17aと基板17bとの中間の位置に集光される。このとき、可変焦点レンズ8bも、図8(b)に示す状態にあり、対物レンズ12bから光記録媒体2aの記録層14a内に集光される光は、図2(a)にビーム21bで示すように、記録層14aの基板17aと基板17bとの中間の位置に集光される。可変焦点レンズ8a、8dをこのように制御することで、ビーム20bとビーム21bとが、記録層14a内の基板17aと基板17bとの中間の同一位置に集光されて干渉し、集光位置に回折格子が形成される。
可変焦点レンズ8aが、図8(c)に示す状態にあるとき、対物レンズ12aから光記録媒体2aの記録層14a内に集光される光は、図2(a)にビーム20cで示すように、記録層14aの基板17aに遠い側に集光される。このとき、可変焦点レンズ8bは、図8(a)に示す状態にあり、対物レンズ12bから光記録媒体2aの記録層14a内に集光される光は、図2(a)にビーム21cで示すように、記録層14aの基板17bから見て近い側、すなわち、基板17aに遠い側に集光される。可変焦点レンズ8a、8dをこのように制御することで、ビーム20cとビーム21cとが、記録層14a内の基板17aに遠い側の同一位置に集光されて干渉し、集光位置に回折格子が形成される。
また、可変焦点レンズ8aが、図8(a)に示す状態にあるとき、光記録媒体2aの記録層14a内に集光される光は、図3(a)にビーム20aで示すように、記録層14aの基板17aに近い側に集光される。可変焦点レンズ8aをこのように制御することで、記録層14a内の基板17aに近い側に形成された回折格子に集光スポットを形成できる。可変焦点レンズ8aが、図8(b)に示す状態にあるとき、光記録媒体2aの記録層14a内に集光される光は、図3(b)にビーム20bで示すように、記録層14aの基板17aと基板17bとの中間の位置に集光される。可変焦点レンズ8aをこのように制御することで、記録層14a内の基板17aと基板17bとの中間の位置に形成された回折格子に集光スポットを形成できる。可変焦点レンズ8aが、図8(c)に示す状態にあるとき、光記録媒体2aの記録層14a内に集光される光は、図3(c)にビーム20cで示すように、記録層14aの基板17aに遠い側に集光される。可変焦点レンズ8aをこのように制御することで、記録層14a内の基板17aに遠い側に形成された回折格子に集光スポットを形成できる。
本発明の光学ユニットの第一の実施の形態では、開口付き光偏向素子10aは、互いに直交する方向の直線偏光に対して作用する第一の光偏向素子と第二の光偏向素子とを含んでいる。光学ユニットでは、情報の再生に際して、レーザ3aから出射し、偏向ビームスプリッタ7で反射されて光記録媒体2へ向かう往路の光と、光記録媒体で反射されて光検出器13aに向かう復路の光との分離に偏光ビームスプリッタ7aを用いている。往路の光の偏光方向と、復路の光の偏光方向とは、互いに直交している。往路の光と復路の光との双方の経路中にある開口付き光偏向素子10aが、第一の光偏向素子と第二の光偏向素子とを有していることで、開口付き光偏向素子10aは、往路の光と復路の光との双方に対して作用する。このため、往路の光と復路の光とが同一の直線偏光でなくても、光検出器13a上の集光点の位置を移動させることなく、光記録媒体内の集光点の位置を移動させることができる。その結果、往路の光の効率と復路の光の効率を落とさずに、情報の記録及び再生を行うことができ、高い速度での記録や高い信号対雑音比での再生を行うことができる。
一般に、光学ユニットには対物レンズの開口数を定める開口が設けられている。光偏向素子を用いて集光点の位置を記録層の面内へ移動させると、開口の位置における光源からの出射光、記録層からの反射光の光軸が開口の中心に対してずれ、光源からの出射光、記録層からの反射光の一部が開口で蹴られ、一部が遮断される。光源からの出射光の一部が開口で蹴られると、記録層に集光される光の光量が減少し、高速記録を行うことができなくなる。また、記録層からの反射光の一部が開口で蹴られると、光検出器で受光される光の光量が減少し、高い信号対雑音比で再生を行うことができなくなる。
本発明の光学ユニットの第一の実施の形態では、対物レンズ12aの開口数を定める開口、第一の光偏向素子、及び、第二の光偏向素子(開口付き光偏向素子10a)を、対物レンズ12aの前側焦点位置、又は、それと光学的に共役な位置に配置している。このような配置とすることで、図4(d)〜(f)に示すように、開口付き光偏向素子10aを用いて光記録媒体2a内の記録層に集光する集光スポットの位置を記録層の面内方向に移動したときでも、記録層からの反射光が開口付き光偏向素子10aの開口で蹴られない。従って、本実施の形態では、光偏向素子を用いて集光スポットを記録層の面内方向に移動することに伴う、記録層に集光される光の光量、及び、記録層からの反射光の光量の減少を抑えることができ、高速記録と、高い信号対雑音比での再生が可能になる。
図10は、本発明の光学的情報記録再生装置の第一の実施の形態を示している。光学的情報記録再生装置は、光学ユニット1a、ポジショナ34a、コントローラ35a、アクティブ波長板駆動回路36a、変調回路37a、記録信号生成回路38a、レーザ駆動回路39a、増幅回路40a、再生信号処理回路41a、復調回路42a、光偏向素子駆動回路43a、可変焦点レンズ駆動回路44a、及び、光記録媒体駆動回路45aを備える。光学ユニット1aは、図1に示す本発明の光学ユニットの第一の実施の形態である。
光記録媒体2aは、ポジショナ34aに接続されている。コントローラ35aは、アクティブ波長板駆動回路36a、変調回路37aからレーザ駆動回路39aまでの回路、増幅回路40aから復調回路42aまでの回路、光偏向素子駆動回路43a、可変焦点レンズ駆動回路44a、及び、光記録媒体駆動回路45aを制御する。変調回路37aからレーザ駆動回路39aまでの回路は、記録回路である。増幅回路40aから復調回路42aまでの回路は再生回路である。
アクティブ波長板駆動回路36aは、光学ユニット1a内のアクティブ波長板5aを駆動する。アクティブ波長板駆動回路36aは、光記録媒体2aへの情報の記録時には、アクティブ波長板5aが1/4波長板の効果を持つように、アクティブ波長板5aが有する液晶層に実効値が2.5Vの交流電圧を印加する。アクティブ波長板駆動回路36aは、光記録媒体2aからの情報の再生時には、アクティブ波長板5aが1/2波長板の効果を持つように、アクティブ波長板5aが有する液晶層に実効値が0Vの交流電圧を印加する。
変調回路37aは、光記録媒体2aへの情報の記録時に、記録データとして外部から入力された信号を変調規則に従って変調する。記録信号生成回路38aは、変調回路37aで変調された信号に基づいて、光学ユニット1a内のレーザ3aを駆動するための記録信号を生成する。レーザ駆動回路39aは、レーザ3aを駆動する。レーザ駆動回路39aは、光記録媒体2aへの情報の記録時には、記録信号生成回路38aで生成された記録信号に基づいて、レーザ3aへ記録信号に応じた電流を供給する。また、レーザ駆動回路39aは、光記録媒体2aからの情報の再生時には、レーザ3aからの出射光のパワーが一定になるように、レーザ3aへ一定の電流を供給する。
増幅回路40aは、光記録媒体2aからの情報の再生時に、光学ユニット1a内の光検出器13aから出力される電圧信号を増幅する。再生信号処理回路41aは、増幅回路40aで増幅された電圧信号に基づいて、光記録媒体2aに記録された情報である再生信号の生成、波形等化、2値化を行う。復調回路42aは、再生信号処理回路41aで2値化された信号を復調規則に従って復調し、再生データとして外部へ出力する。
光偏向素子駆動回路43aは、光学ユニット1a内の開口付き光偏向素子10a、10bをそれぞれ駆動する。光偏向素子駆動回路43aは、光記録媒体2aへの情報の記録時に、開口付き光偏向素子10a、10bが有する液晶層23a、23b(図5、図6)に交流電圧を印加し、開口付き光偏向素子10a、10bにおける第一の光偏向素子、第二の光偏向素子を駆動して、光記録媒体2aの記録層14a内におけるビーム20a〜20c、ビーム21a〜21c(図2)の集光点の位置を記録層14aの面内へ移動させる。また、光偏向素子駆動回路43aは、光記録媒体2aからの情報の再生時に、開口付き光偏向素子10aが有する液晶層23a、23bに交流電圧を印加し、開口付き光偏向素子10aにおける第一の光偏向素子、第二の光偏向素子を駆動して、光記録媒体2aの記録層14a内におけるビーム20a〜20c(図3)の集光点の位置を記録層14aの面内へ移動させる。
可変焦点レンズ駆動回路44aは、光学ユニットa1内の開口付き可変焦点レンズ8a、8bをそれぞれ駆動する。可変焦点レンズ駆動回路44aは、光記録媒体2aへの情報の記録時に、開口付き可変焦点レンズ8a、8bが有する液晶層23c、23d(図8)に交流電圧を印加し、開口付き可変焦点レンズ8a、8bにおける第一の可変焦点レンズ、第二の可変焦点レンズを駆動して、光記録媒体2aの記録層14a内におけるビーム20a〜20c、ビーム21a〜21cの集光点の位置を記録層14aの厚さ方向へ移動させる。また、可変焦点レンズ駆動回路44aは、光記録媒体2aからの情報の再生時に、開口付き可変焦点レンズ8aが有する液晶層23c、23dに交流電圧を印加し、開口付き可変焦点レンズ8aにおける第一の可変焦点レンズ、第二の可変焦点レンズを駆動して、光記録媒体2aの記録層14a内におけるビーム20a〜20cの集光点の位置を記録層14aの厚さ方向へ移動させる。
光記録媒体駆動回路45aは、光記録媒体2aが接続されたポジショナ34aを駆動し、光学ユニット1aから光記録媒体2aに照射される集光スポットを、光記録媒体2aの記録層の面内方向へ移動させる。光記録媒体駆動回路45aは、光記録媒体2aへの情報の記録時に、ポジショナ34aへ電圧を供給して光記録媒体2aを面内へ移動させ、光記録媒体2aの記録層14a内におけるビーム20a〜20c、ビーム21a〜21cの集光点の位置を光記録媒体2aの面内へ移動させる。また、光記録媒体駆動回路45aは、光記録媒体2aからの情報の再生時に、ポジショナ34aへ電圧を供給して光記録媒体2aを面内へ移動させ、光記録媒体2aの記録層14a内におけるビーム20a〜20cの集光点の位置を光記録媒体2aの面内へ移動させる。
図11は、本発明の光学ユニットの第二の実施の形態を示している。本発明の光学ユニットの第二の実施の形態は、レーザ3b、凸レンズ4g〜4k、4m、アクティブ波長板5b、ハーフミラー6、偏光ビームスプリッタ7b、7c、開口付き可変焦点レンズ8c、8d、ミラー9e、9f、開口付き光偏向素子10c、対物レンズ12c、及び、光検出器13aを備える。レーザ3bは、光源である。レーザ3bには、単一モード半導体レーザが用いられる。
対物レンズ12cは、光源からの出射光を、光記録媒体2bの記録層に集光して集光スポットを形成する。光検出器13bは、光記録媒体2bの記録層からの反射光を受光する。開口付き光偏向素子10cは、光源からの出射光、及び、記録層からの反射光の向きを変化させ、記録層の面内における集光スポットの位置を変化させる。開口付き光偏向素子10cは、偏光方向が第一の方向である第一の直線偏光に対して作用する第一の光偏向素子と、偏光方向が第一の方向と直交する第二の方向である第二の直線偏光に対して作用する第二の光偏向素子とを含む。開口付き光偏向素子10cは、対物レンズ12cの開口数を定める開口を有する。
開口付き可変焦点レンズ8c、8dは、光源からの出射光、及び、記録層からの反射光の平行度を変化させ、記録層の厚さ方向における集光スポットの位置を変化させる。開口付き可変焦点レンズ8c、8dは、対物レンズ12cの開口数を定める開口を有する。
開口付き可変焦点レンズ8c、8d及び開口付き光偏向素子10cは、対物レンズ12cの前側焦点位置、又は、それと光学的に共役な位置に配置されている。図11では、開口付き光偏向素子10cは、対物レンズ12cの前側焦点位置に配置されている、また、開口付き可変焦点レンズ8cは、凸レンズ4i、4hで構成されるリレーレンズ系を介して、対物レンズ12cの前側焦点位置と光学的に共役な位置に配置される。開口付き可変焦点レンズ8dは、凸レンズ4k、4jで構成されるリレーレンズ系を介して、対物レンズ12cの前側焦点位置と光学的に共役な位置に配置されている。
上記に代えて、開口付き光偏向素子10cを、リレーレンズ系を介して対物レンズ12cの前側焦点位置と光学的に共役な位置に配置し、開口付き可変焦点レンズ8c、8dを、対物レンズ12cの前側焦点位置に配置してもよい。開口付き可変焦点レンズ8c、8dと開口付き光偏向素子10cは、双方が開口を持っている必要はなく、何れか一方が開口を持っていればよい。すなわち、開口は、対物レンズ12aの前側焦点位置、又は、それと光学的に共役な位置に少なくとも1つあればよい。
レーザ3bから出射した光は、凸レンズ4gを透過して発散光から平行光へ変換され、アクティブ波長板5bへ入射する。アクティブ波長板5bは、光記録媒体2bへの情報の記録時には、入射光に対して1/4波長板の効果を持ち、光記録媒体2bからの情報の再生時には、入射光に対して全波長板の効果を持つ。
光記録媒体2bへの情報の記録時には、アクティブ波長板5bへ入射した光は、アクティブ波長板5bを透過して直線偏光から円偏光へ変換され、約50%がハーフミラー6を透過したのち、約50%が偏光ビームスプリッタ7bをP偏光成分として透過し、約50%が偏光ビームスプリッタ7bでS偏光成分として反射される。一方、光記録媒体2bからの情報の再生時には、アクティブ波長板5bへ入射した光は、アクティブ波長板5bを偏光状態が変化することなく透過し、約50%がハーフミラー6を透過したのち、偏光ビームスプリッタ7bへP偏光として入射してほぼ100%が透過する。
アクティブ波長板5bは、2枚の基板の間に液晶層が挟まれた構成である。2枚の基板の液晶層側の面には、液晶層に交流電圧を印加するための透明電極が形成されている。液晶層は、一軸の屈折率異方性を有している。液晶層に実効値が2.5Vの交流電圧を印加する場合、液晶層の光学軸の方向は、入射光の光軸に垂直な方向と平行な方向との中間の方向となる。このとき、液晶層を透過する光に生じる、光学軸と光軸とを含む面に平行な方向の偏光成分と垂直な方向の偏光成分との間の位相差はπ/2となり、アクティブ波長板5bは1/4波長板の効果を持つ。一方、液晶層に実効値が5Vの交流電圧を印加する場合、液晶層の光学軸の方向は入射光の光軸に平行な方向となる。このとき、液晶層を透過する光に生じる、光学軸と光軸とを含む面に平行な方向の偏光成分と垂直な方向の偏光成分との間の位相差は0となり、アクティブ波長板5bは全波長板の効果を持つ。
光記録媒体2bへの情報の記録時には、偏光ビームスプリッタ7bを透過した光は、開口付き可変焦点レンズ8cを透過して平行光から弱い収束光へ変換され、凸レンズ4hを透過して弱い収束光から収束光へ変換され、ミラー9eで反射され、ミラー9eの後で集光されて収束光から発散光となり、凸レンズ4iを透過して発散光から弱い収束光へ変換される。この光は、偏光ビームスプリッタ7cへP偏光として入射してほぼ100%が透過し、開口付き光偏向素子10cを透過し、対物レンズ12cを透過して弱い収束光から収束光へ変換され、光記録媒体2b内に集光される。
また、偏光ビームスプリッタ7bで反射された光は、開口付き可変焦点レンズ8dを透過して平行光から弱い発散光へ変換され、凸レンズ4jを透過して弱い発散光から収束光へ変換され、ミラー9fで反射され、ミラー9fの後で集光されて収束光から発散光となり、凸レンズ4kを透過して発散光から弱い発散光へ変換される。この光は、偏光ビームスプリッタ7cへS偏光として入射してほぼ100%が反射され、開口付き光偏向素子10cを透過し、対物レンズ12cを透過して弱い発散光から収束光へ変換され、光記録媒体2b内に集光される。
一方、光記録媒体2bからの情報の再生時には、偏光ビームスプリッタ7bを透過した光は、開口付き可変焦点レンズ8cを透過して平行光から弱い収束光へ変換され、凸レンズ4hを透過して弱い収束光から収束光へ変換され、ミラー9eで反射され、ミラー9eの後で集光されて収束光から発散光となり、凸レンズ4iを透過して発散光から弱い収束光へ変換される。この光は、偏光ビームスプリッタ7cへP偏光として入射してほぼ100%が透過し、開口付き光偏向素子10cを透過し、対物レンズ12cを透過して弱い収束光から収束光へ変換され、光記録媒体2b内に集光される。
光記録媒体2b内で反射された光は、対物レンズ12cを逆向きに透過して発散光から弱い発散光へ変換され、開口付き光偏向素子10cを透過し、偏光ビームスプリッタ7cへP偏光として入射してほぼ100%が透過する。この光は、凸レンズ4iを透過して弱い発散光から収束光へ変換され、ミラー9eの前で集光されて収束光から発散光となり、ミラー9eで反射され、凸レンズ4hを透過して発散光から弱い発散光へ変換され、開口付き可変焦点レンズ8cを透過して弱い発散光から平行光へ変換される。その後、偏光ビームスプリッタ7bへP偏光として入射してほぼ100%が透過し、約50%がハーフミラー6で反射され、凸レンズ4mを透過して平行光から収束光へ変換され、光検出器13bで受光される。
図12(a)〜(c)は、光記録媒体2bへの情報の記録時における、光記録媒体2bへの入射ビームの光路を示している。光記録媒体2bは、基板17cと基板17dとの間に記録層14b、1/4波長板層15、及び、反射層16がこの順に挟まれた構成である。基板17c、17dの材料としては例えば、ガラスが用いられる。記録層14bの材料としては、例えばフォトポリマが用いられる。1/4波長板層15の材料としては、例えば液晶が用いられる。反射層16の材料としては、例えばアルミニウムが用いられる。
図12に示すビーム20d〜20fは、レーザ3bから出射し、偏光ビームスプリッタ7bを透過した光を表している。また、ビーム21d〜21fは、レーザ3bから出射し、偏光ビームスプリッタ7bで反射された光を表している。ビーム20d〜20fは、偏光方向が紙面に平行な直線偏光として開口付き光偏向素子10cへ入射し、開口付き光偏向素子10cを透過する。その後、対物レンズ12cへ入射し、記録層14b内を反射層16の側へ向かう途中で集光される。また、ビーム21d〜21fは、偏光方向が紙面に垂直な直線偏光として開口付き光偏向素子10cへ入射し、開口付き光偏向素子10cを透過する。その後、対物レンズ12cへ入射し、記録層14bを透過し、1/4波長板層15を透過して円偏光へ変換され、反射層16で反射され、1/4波長板層15を透過して偏光方向が紙面に平行な直線偏光へ変換され、記録層14b内を反射層16と反対の側へ向かう途中で集光される。
図12(a)は、ビーム20d、21dが、記録層14b内の基板17cに近い位置である集光点18dに集光される場合のビームの光路を示している。このとき、開口付き可変焦点レンズ8cは、ビーム20dに対して凸レンズとして作用し、開口付き可変焦点レンズ8dは、ビーム21dに対して凹レンズとして作用する。ビーム20dとビーム21dとは集光点18dで干渉し、集光点18dに微小な回折格子が形成される。
図12(b)は、ビーム20e、21eが、記録層14b内の基板17cと1/4波長板層15との中間の位置である集光点18eに集光される場合のビームの光路を示している。このとき、開口付き可変焦点レンズ8cは、ビーム20eに対してレンズとして作用せず、開口付き可変焦点レンズ8dは、ビーム21eに対してレンズとして作用しない。ビーム20eとビーム21eとは集光点18eで干渉し、集光点18eに微小な回折格子が形成される。
図12(c)は、ビーム20f、21fが、記録層14b内の1/4波長板層15に近い位置である集光点18fに集光される場合のビームの光路を示している。このとき、開口付き可変焦点レンズ8cは、ビーム20fに対して凹レンズとして作用し、開口付き可変焦点レンズ8dは、ビーム21fに対して凸レンズとして作用する。ビーム20fとビーム21fとは集光点18fで干渉し、集光点18fに微小な回折格子が形成される。
図12(a)〜(c)では、開口付き光偏向素子10cでビーム20d〜20f及びビーム21d〜21fを偏向しない場合のビームの光路を実線で示している。開口付き光偏向素子10cでビームを偏向しないとき、ビーム20d〜20fと、ビーム21d〜21fとが集光される集光点18d〜18fの位置は、対物レンズ12cの光軸上にある。
図12(a)〜(c)では、開口付き光偏向素子10cを用いてビーム20d〜20fと、ビーム21d〜21fとを、紙面向かって右側へ偏向した場合のビームの光路を破線で示している。開口付き光偏向素子10cで破線で示すようにビームを偏向したとき、ビーム20d〜20fと、ビーム21d〜21fとが集光される集光点18d〜18fの位置は、対物レンズ12cの光軸に対して紙面向かって右側へ移動する。
図12(a)〜(c)では、開口付き光偏向素子10cを用いてビーム20d〜20fとビーム21d〜21fとを、紙面向かって左側へ偏向した場合のビームの光路を一点鎖線で示している。開口付き光偏向素子10cで一点鎖線で示すようにビームを偏向したとき、ビーム20d〜20fと、ビーム21d〜21fとが集光される集光点18d〜18fの位置は、対物レンズ12cの光軸に対して紙面向かって左側へ移動する。
図13に示すビーム20d〜20fは、レーザ3bから出射し、偏光ビームスプリッタ7bを透過した光を表している。ビーム20d〜20fは、偏光方向が紙面に平行な直線偏光として開口付き光偏向素子10cへ入射し、開口付き光偏向素子10cを透過する。その後、対物レンズ12cへ入射し、記録層14b内を反射層16の側へ向かう途中で集光される。記録層14b内に集光されたビーム20d〜20fは集光点に形成された回折格子で反射され、対物レンズ12cから出射する。その後、偏光方向が紙面に平行な直線偏光として開口付き光偏向素子10cへ入射し、開口付き光偏向素子10cを透過する。
図13(a)は、ビーム20dが、記録層14b内の基板17cに近い位置である回折格子19dに集光される場合のビームの光路を示している。回折格子19dは、図12(a)における集光点18dに形成されたものである。このとき、開口付き可変焦点レンズ8cは、ビーム20dに対して凸レンズとして作用する。ビーム20dは、回折格子19dで反射され、光検出器13bで受光される。
図13(b)は、ビーム20eが、記録層14b内の基板17cと1/4波長板層15との中間の位置である回折格子19eに集光される場合のビームの光路を示している。回折格子19eは、図12(b)における集光点18eに形成されたものである。このとき、開口付き可変焦点レンズ8cは、ビーム20eに対してレンズとして作用しない。ビーム20eは、回折格子19eで反射され、光検出器13bで受光される。
図13(c)は、ビーム20fが、記録層14b内の1/4波長板層15に近い位置である回折格子19fに集光される場合のビームの光路を示している。回折格子19fは、図12(c)における集光点18fに形成されたものである。このとき、開口付き可変焦点レンズ8cは、ビーム20fに対して凹レンズとして作用する。ビーム20fは、回折格子19fで反射され、光検出器13bで受光される。
図13(a)〜(c)では、開口付き光偏向素子10cでビーム20d〜20f及びビーム21d〜21fを偏向しない場合のビームの光路を実線で示している。開口付き光偏向素子10cでビームを偏向しないとき、ビーム20d〜20fが集光される回折格子19d〜19fの位置は、対物レンズ12cの光軸上にある。
図13(a)〜(c)では、開口付き光偏向素子10cでビーム20d〜20f及びビーム21d〜21fを紙面向かって右側に偏向した場合のビームの光路を破線で示している。開口付き光偏向素子10cで破線で示すようにビームを偏向したとき、ビーム20d〜20fが集光される回折格子19d〜19fの位置は、対物レンズ12cの光軸上に対して紙面向かって右側に移動する。
図13(a)〜(c)では、開口付き光偏向素子10cでビーム20d〜20f及びビーム21d〜21fを紙面向かって左側に偏向した場合のビームの光路を一点鎖線で示している。開口付き光偏向素子10cで一点鎖線で示すようにビームを偏向したとき、ビーム20d〜20fが集光される回折格子19d〜19fの位置は、対物レンズ12cの光軸上に対して紙面向かって左側に移動する。
ここで、回折格子はビットデータの情報を有している。レーザ3bから出射し、偏光ビームスプリッタ7bを透過した光、及び、偏光ビームスプリッタ7bで反射された光の集光点の位置を、光記録媒体2bの記録層14bの厚さ方向へ移動させ、光記録媒体2bの記録層14bの面内に加えて厚さ方向の複数の位置に回折格子を形成することで、3次元記録再生を行うことができる。
図11に示す本発明の光学ユニットの第二の実施の形態における開口付き光偏向素子10cの位置と、開口での光の蹴られ方との関係は、図4に示す関係と同様である。なお、図4に示す開口付き光偏向素子10は、開口付き光偏向素子10cに対応し、対物レンズ12は、対物レンズ12cに対応する。
開口付き光偏向素子10が、対物レンズ12の前側焦点位置より対物レンズ12から遠い位置にある場合(図4(a)〜(c))、開口付き光偏向素子10を用いて光を偏向すると、復路の光の中心と、往路の光の中心とが一致せずに、復路の光は、開口付き光偏向素子10が有する開口で左右何れかが蹴られる(図4(a)、(c))。また、開口付き光偏向素子10が対物レンズ12の前側焦点位置にある場合(図4(g)〜(i))、開口付き光偏向素子10を用いて光を偏向すると、復路の光の中心と、往路の光の中心とが一致せず、復路の光は、開口付き光偏向素子10が有する開口で左右何れかが蹴られる(図4(g)、(i))。
上記に対し、開口付き光偏向素子10が、対物レンズ12の前側焦点位置にある場合(図4(d)〜(f))、開口付き光偏向素子10を用いて光を偏向したときでも、復路の光の中心と、往路の光の中心とが一致する。従って、この場合、復路の光は、開口付き光偏向素子10が有する開口で蹴られない。開口付き光偏向素子10が対物レンズ12の前側焦点位置にある場合、開口付き光偏向素子10が偏向する光の偏向角をθとし、対物レンズ12の焦点距離をfoとすると、光記録媒体2の面内における集光点の移動量はfo・θとなる。なお、図4では開口付き光偏向素子10への入射光は平行光であるが、開口付き光偏向素子10への入射光が収束光又は発散光であっても同じことが言える。
開口付き光偏向素子10cの構成は、図5〜図7に示す構成と同様である。すなわち、図5及び図6に示すように、開口付き光偏向素子10cは、液晶層23aを含む第一の光偏向素子と、液晶層23bを含む第二の光偏向素子とを有する。また、開口付き光偏向素子10cは、基板22bと基板22cとの間に、透過層25aと反射層26aとから成る開口を有する。液晶層23aは、液晶層23aを上下から挟み込む透明電極24a、24bを用いて駆動される。また、液晶層23bは、液晶層23bを上下から挟みこむ透明電極24c、24を用いて駆動される。
透明電極24a、24dは、パタン電極であり、図7(a)に示すように、透明電極24a、24dは、左右方向に並ぶ短冊状の複数の電極に分割されている。また、透明電極24b、24cは、パタン電極であり、図7(b)に示すように、上下方向に並ぶ短冊状の複数の電極に分割されている。開口は、図7(c)に示すように、開口は、所定の半径を有する円の内側に透過層25aを有し、外側に反射層26aを有している。
開口付き光偏向素子10cにおける開口の位置は、対物レンズ12cの前側焦点位置と一致している。また、開口付き光偏向素子10cにおける第一の光偏向素子及び第二の光偏向素子の位置は、対物レンズ12cの前側焦点位置とほぼ一致している。厳密に言えば、開口付き光偏向素子10cにおける第一の光偏向素子及び第二の光偏向素子の位置は、対物レンズ12cの前側焦点位置と一致していない。しかしながら、そのずれ量は非常に小さく、ずれの影響は無視できる程度のものであるので、第一の光偏向素子及び第二の光偏向素子の位置は、対物レンズ12cの前側焦点位置と一致しているとみなせる。
液晶層23a、23bは、一軸の屈折率異方性を有している。液晶層23a、23bの光学軸に平行な方向、垂直な方向の偏光成分に対する屈折率をそれぞれne、noとすると、ne>noである。図5、図6に示す矢印は、液晶層23a、23bの光学軸の方向を表している。液晶層23aの光学軸はY−Z面内にあり、液晶層23bの光学軸はX−Z面内にある。
レーザ3b(図11)から出射し、偏光ビームスプリッタ7bを透過した光は、偏光方向がX軸方向である直線偏光として開口付き光偏向素子10cの液晶層23a、23bへ入射する。この光は、集光点に形成された回折格子で反射され、偏光方向がX軸方向である直線偏光として開口付き光偏向素子10cの液晶層23a、23bへ入射する。液晶層23bを含む第二の光偏向素子は、レーザ3bから出射し偏光ビームスプリッタ7bを透過した光に対して作用し、液晶層23aを含む第一の光偏向素子は、レーザ3bから出射し偏光ビームスプリッタ7bを透過した光に対しては作用しない。また、液晶層23bを含む第二の光偏向素子は、集光点に形成された回折格子で反射された光に対して作用し、液晶層23aを含む第二の光偏向素子は、集光点に形成された回折格子で反射された光に対して作用しない。
レーザ3bから出射し、偏光ビームスプリッタ7bで反射された光は、偏光方向がY軸方向である直線偏光として開口付き光偏向素子10cの液晶層23a、23bへ入射する。液晶層23aを含む第一の光偏向素子は、レーザ3bから出射し偏光ビームスプリッタ7bで反射された光に対して作用し、液晶層23bを含む第二の光偏向素子は、レーザ3bから出射し偏光ビームスプリッタ7bで反射された光に対して作用しない。
開口付き光偏向素子10cにおける第一の光偏向素子及び第二の光偏向素子の駆動は、第一の実施の形態で説明したものと同じである。すなわち、開口付き光偏向素子10cにて、左側電極27及び右側電極28を用いて、液晶層23aのX軸の負の側に実効値がV+ΔV、X軸の正の側に実効値がV−ΔVの交流電圧を印加し、液晶層23bのX軸の負の側に実効値がV+ΔV、X軸の正の側に実効値がV−ΔVの交流電圧を印加すると、液晶の光学軸の向きは、図5(a)に示す状態となる。この状態では、液晶層23aの光学軸は、X軸の負の側ではZ軸方向に近い方向になり、X軸の正の側ではY軸方向に近い方向となる。また、液晶層23bの光学軸は、X軸の負の側ではZ軸方向に近い方向になり、X軸の正の側ではX軸方向に近い方向となる。
図5(a)では、偏光方向がY軸方向である直線偏光に対する液晶層23aの屈折率は、X軸の負の側では低くX軸の正の側では高くなり、偏光方向がX軸方向である直線偏光に対する液晶層23bの屈折率はX軸の負の側では低くX軸の正の側では高くなる。その結果、偏光方向がY軸方向である直線偏光は、第一の光偏向素子でX軸の正の側へ偏向され、偏光方向がX軸方向である直線偏光は、第二の光偏向素子でX軸の正の側へ偏向される。ここで、第一の光偏向素子が偏向する光の偏向角と、第二の光偏向素子が偏向する光の偏向角とは等しい。第一の光偏向素子、第二の光偏向素子が偏向する光の偏向角の絶対値は、ΔVが大きいほど大きくなる。
開口付き光偏向素子10cにて、左側電極27及び右側電極28を用いて、液晶層23aのX軸の負の側、X軸の正の側に何れも実効値がVの交流電圧を印加し、液晶層23bのX軸の負の側、X軸の正の側に何れも実効値がVの交流電圧を印加すると、液晶の光学軸の向きは、図5(b)に示す状態になる。この状態では、液晶層23aの光学軸は、X軸の負の側及びX軸の正の側とも、Y軸方向とZ軸方向との中間の方向となる。また、液晶層23bの光学軸は、X軸の負の側及びX軸の正の側とも、X軸方向とZ軸方向との中間の方向となる。
図5(b)では、偏光方向がY軸方向である直線偏光に対する液晶層23aの屈折率は、X軸の負の側とX軸の正の側とで等しく、偏光方向がX軸方向である直線偏光に対する液晶層23bの屈折率は、X軸の負の側とX軸の正の側とで等しい。その結果、偏光方向がY軸方向である直線偏光は、第一の光偏向素子でX軸方向へ偏向されず、偏光方向がX軸方向である直線偏光は、第二の光偏向素子でX軸方向へ偏向されない。
開口付き光偏向素子10cにて、左側電極27及び右側電極28を用いて、液晶層23aのX軸の負の側に実効値がV−ΔV、X軸の正の側に実効値がV+ΔVの交流電圧を印加し、液晶層23bのX軸の負の側に実効値がV−ΔV、X軸の正の側に実効値がV+ΔVの交流電圧を印加すると、液晶の光学軸の向きは、図5(c)に示す状態になる。この状態では、液晶層23aの光学軸は、X軸の負の側ではY軸方向に近い方向になり、X軸の正の側ではZ軸方向に近い方向となる。また、液晶層23bの光学軸は、X軸の負の側ではX軸方向に近い方向になり、X軸の正の側ではZ軸方向に近い方向となる。
図5(c)では、偏光方向がY軸方向である直線偏光に対する液晶層23aの屈折率は、X軸の負の側では高くX軸の正の側では低くなり、偏光方向がX軸方向である直線偏光に対する液晶層23bの屈折率は、X軸の負の側では高くX軸の正の側では低くなる。その結果、偏光方向がY軸方向である直線偏光は、第一の光偏向素子でX軸の負の側へ偏向され、偏光方向がX軸方向である直線偏光は、第二の光偏向素子でX軸の負の側へ偏向される。ここで、第一の光偏向素子が偏向する光の偏向角と、第二の光偏向素子が偏向する光の偏向角とは等しい。第一の光偏向素子、第二の光偏向素子が偏向する光の偏向角の絶対値は、ΔVが大きいほど、大きくなる。
図5(b)に示す開口付き光偏向素子の状態は、図12(a)〜(c)で、記録層内に集光される光が実線で示す光路を通るときの開口付き光偏向素子10cの状態に対応している。図5(a)に示す開口付き光偏向素子の状態は、図12(a)〜(c)で、記録層内に集光される光が破線で示す光路を通るときの開口付き光偏向素子10cの状態に対応している。図5(c)に示す開口付き光偏向素子の状態は、図12(a)〜(c)で、記録層内に集光される光が一点鎖線で示す光路を通るときの開口付き光偏向素子10cの状態に対応している。
また、図5(b)に示す開口付き光偏向素子の状態は、図13(a)〜(c)で、記録層内の回折格子に集光される光が実線で示す光路を通るときの開口付き光偏向素子10cの状態に対応している。図5(a)に示す開口付き光偏向素子の状態は、図13(a)〜(c)で、記録層内の回折格子に集光される光が破線で示す光路を通るときの開口付き光偏向素子10cの状態に対応している。図5(c)に示す開口付き光偏向素子の状態は、図13(a)〜(c)で、記録層内の回折格子に集光される光が一点鎖線で示す光路を通るときの開口付き光偏向素子10aの状態に対応している。
開口付き光偏向素子10cにて、上側電極29及び下側電極30を用いて、液晶層23aのY軸の正の側に実効値がV+ΔV、Y軸の負の側に実効値がV−ΔVの交流電圧を印加し、液晶層23bのY軸の正の側に実効値がV+ΔV、Y軸の負の側に実効値がV−ΔVの交流電圧を印加すると、液晶の光学軸の向きは、図6(c)に示す状態になる。つまり、液晶層23aの光学軸は、Y軸の正の側ではZ軸方向に近い方向になり、Y軸の負の側ではY軸方向に近い方向となる。また、液晶層23bの光学軸は、Y軸の正の側ではZ軸方向に近い方向になり、Y軸の負の側ではX軸方向に近い方向となる。
図6(a)では、偏光方向がY軸方向である直線偏光に対する液晶層23aの屈折率は、Y軸の正の側では低くY軸の負の側では高くなり、偏光方向がX軸方向である直線偏光に対する液晶層23bの屈折率は、Y軸の正の側では低くY軸の負の側では高くなる。その結果、偏光方向がY軸方向である直線偏光は、第一の光偏向素子でY軸の負の側へ偏向され、偏光方向がX軸方向である直線偏光は、第二の光偏向素子でY軸の負の側へ偏向される。ここで、第一の光偏向素子が偏向する光の偏向角と、第二の光偏向素子が偏向する光の偏向角とは等しい。第一の光偏向素子及び第二の光偏向素子が偏向する光の偏向角の絶対値は、ΔVが大きいほど大きくなる。
開口付き光偏向素子10cにて、上側電極29及び下側電極30を用いて、液晶層23aのY軸の正の側、Y軸の負の側に何れも実効値がVの交流電圧を印加し、液晶層23bのY軸の正の側、Y軸の負の側に何れも実効値がVの交流電圧を印加すると、液晶の光学軸の向きは、図6(b)に示す状態になる。つまり、液晶層23aの光学軸は、Y軸の正の側、Y軸の負の側とも、Y軸方向とZ軸方向との中間の方向となる。また、液晶層23bの光学軸は、Y軸の正の側、Y軸の負の側とも、X軸方向とZ軸方向との中間の方向となる。
図6(b)では、偏光方向がY軸方向である直線偏光に対する液晶層23aの屈折率は、Y軸の正の側とY軸の負の側とで等しく、また、偏光方向がX軸方向である直線偏光に対する液晶層23bの屈折率は、Y軸の正の側とY軸の負の側とで等しい。その結果、偏光方向がY軸方向である直線偏光は、第一の光偏向素子でY軸方向へ偏向されず、偏光方向がX軸方向である直線偏光は、第二の光偏向素子でY軸方向へ偏向されない。
開口付き光偏向素子10cにて、上側電極29及び下側電極30を用いて、液晶層23aのY軸の正の側に実効値がV−ΔV、Y軸の負の側に実効値がV+ΔVの交流電圧を印加し、液晶層23bのY軸の正の側に実効値がV−ΔV、Y軸の負の側に実効値がV+ΔVの交流電圧を印加すると、液晶の光学軸の向きは、図6(c)に示す状態になる。つまり、液晶層23aの光学軸は、Y軸の正の側ではY軸方向に近い方向になり、Y軸の負の側ではZ軸方向に近い方向となる。また、液晶層23bの光学軸は、Y軸の正の側ではX軸方向に近い方向になり、Y軸の負の側ではZ軸方向に近い方向となる。
図6(c)では、偏光方向がY軸方向である直線偏光に対する液晶層23aの屈折率は、Y軸の正の側では高くY軸の負の側では低くなり、また、偏光方向がX軸方向である直線偏光に対する液晶層23bの屈折率は、Y軸の正の側では高くY軸の負の側では低くなる。その結果、偏光方向がY軸方向である直線偏光は、第一の光偏向素子でY軸の正の側へ偏向され、偏光方向がX軸方向である直線偏光は、第二の光偏向素子でY軸の正の側へ偏向される。ここで、第一の光偏向素子が偏向する光の偏向角と、第二の光偏向素子が偏向する光の偏向角とは等しい。第一の光偏向素子、第二の光偏向素子が偏向する光の偏向角の絶対値は、ΔVが大きいほど大きくなる。
図14は、開口付き可変焦点レンズ8cの断面図である。開口付き可変焦点レンズ8cは、基板22iと基板22jとの間に液晶層23eが挟まれ、基板22jと基板22kとの間に透過層25c及び反射層26cが挟まれ、基板22kと基板22mとの間に液晶層23fが挟まれた構成である。基板22i、22jの液晶層23e側の面には、液晶層23eに交流電圧を印加するための透明電極24i、24jがそれぞれ形成されている。また、基板22k、22mの液晶層23f側の面には、液晶層23fに交流電圧を印加するための透明電極24k、24mがそれぞれ形成されている。透明電極24i、24mはパタン電極であり、透明電極24j、24kは全面電極である。基板22iの液晶層23eと反対側の面、及び、基板22mの液晶層23fと反対側の面は、何れも凸面である。
液晶層23e及び透明電極24i、24jは、第一の可変焦点レンズを構成する。また、液晶層23f及び透明電極24k、24mは、第二の可変焦点レンズを構成する。透過層25c及び反射層26cは、開口を構成する。基板22i〜22k、22mの材料としては、例えばガラスが用いられる。液晶層23e、23fの材料としては、例えばネマチック液晶が用いられる。透明電極24i〜24k、24mの材料としては、例えばITOが用いられる。透過層25c及び反射層26cの材料としては、例えば誘電体多層膜が用いられる。
図15は、開口付き可変焦点レンズ8dの断面図である。開口付き可変焦点レンズ8dは、基板22nと基板22pとの間に液晶層23gが挟まれ、基板22pと基板22qとの間に透過層25d及び反射層26dが挟まれ、基板22qと基板22rとの間に液晶層23hが挟まれた構成である。基板22n、22pの液晶層23g側の面には、液晶層23gに交流電圧を印加するための透明電極24n、24pがそれぞれ形成されている。また、基板22q、22rの液晶層23h側の面には、液晶層23hに交流電圧を印加するための透明電極24q、24rがそれぞれ形成されている。透明電極24n、24rはパタン電極であり、透明電極24p、24qは全面電極である。基板22nの液晶層23gと反対側の面、及び、基板22rの液晶層23hと反対側の面は、何れも凹面である。
液晶層23g及び透明電極24n、24pは、第一の可変焦点レンズを構成する。また、液晶層23h及び透明電極24q、24rは、第二の可変焦点レンズを構成する。透過層25d及び反射層26dは、開口を構成する。基板22n、22p〜22rの材料としては、例えばガラスが用いられる。液晶層23g、23hの材料としては、例えばネマチック液晶が用いられる。透明電極24n、24p〜24rの材料としては、例えばITOが用いられる。透過層25d及び反射層26dの材料としては、例えば誘電体多層膜が用いられる。
開口付き可変焦点レンズ8cの透明電極24i、24m(図14)、及び、開口付き可変焦点レンズ8dの透明電極24n、24r(図15)の電極のパタンは、図9(a)に示す、開口付き可変焦点レンズ8a、8bの透明電極24e、24h(図8)のパタンと同じである。すなわち、透明電極24i、24m、24n、24rは、輪帯状の複数の電極に分割されており、各電極は、隣接する電極と抵抗を介して接続されている。また、開口付き可変焦点レンズ8cの透明電極24j、24k(図14)、及び、開口付き可変焦点レンズ8dの透明電極24p、24q(図15)は、図9(b)に示す、開口付き可変焦点レンズ8a、8bの透明電極24f、24g(図8)と同様な単一の電極(全面電極33)で構成されている。
開口付き可変焦点レンズ8cでは、透明電極24i、24mの内側電極31及び外側電極32(図9(a))を用いて、液晶層23e、23fの内側及び外側に互いに異なる交流電圧を印加することで、内側から外側へ向かって2次関数状の交流電圧の分布を形成することができる。また、開口付き可変焦点レンズ8dでは、透明電極24n、24rの内側電極31及び外側電極32を用いて、液晶層23g、23hの内側及び外側に互いに異なる交流電圧を印加することで、内側から外側へ向かって2次関数状の交流電圧の分布を形成することができる。
開口付き可変焦点レンズ8c、8dの開口の平面形状は、図9(c)に示す、開口付き可変焦点レンズ8a、8bにおける開口と同様である。すなわち、開口付き可変焦点レンズ8cの開口は、所定の半径を有する円の内側に透過層25cを有し、外側に反射層26cを有している。また、開口付き可変焦点レンズ8dの開口は、所定の半径を有する円の内側に透過層25dを有し、外側に反射層26dを有している。透過層25c、25dは、入射光をほぼ100%透過させ、反射層26c、26dは、入射光をほぼ100%反射する。
開口付き可変焦点レンズ8c、8dにおける開口の位置は、対物レンズ12cの前側焦点位置と光学的に共役な位置と一致している。開口付き可変焦点レンズ8c、8dにおける第一の可変焦点レンズ、第二の可変焦点レンズの位置は、対物レンズ12cの前側焦点位置と光学的に共役な位置とほぼ一致している。厳密に言えば、開口付き可変焦点レンズ8c、8dにおける第一の可変焦点レンズ及び第二の可変焦点レンズの位置は、対物レンズ12cの前側焦点位置と光学的に共役な位置と一致していない。しかし、そのずれ量は非常に小さく、ずれの影響は無視できる程度のものであるので、第一の可変焦点レンズ及び第二の可変焦点レンズの位置は、対物レンズ12cの前側焦点位置と光学的に共役な位置と一致しているとみなすことができる。
開口付き可変焦点レンズ8c、8dにおける液晶層23e〜23hは、一軸の屈折率異方性を有している。液晶層23e〜23hの光学軸に平行な方向、垂直な方向の偏光成分に対する屈折率をそれぞれne、noとすると、ne>noである。図14の矢印は液晶層23e、23fの光学軸の方向を表しており、図15の矢印は液晶層23g、23hの光学軸の方向を表している。液晶層23e、23gの光学軸はY−Z面内にあり、液晶層23f、23hの光学軸はX−Z面内にある。
レーザ3b(図11)から出射し、偏光ビームスプリッタ7bを透過した光は、偏光方向がX軸方向である直線偏光として開口付き可変焦点レンズ8cの液晶層23e、23fへ入射する。この光は、集光点に形成された回折格子で反射され、偏光方向がX軸方向である直線偏光として開口付き可変焦点レンズ8cの液晶層23e、23fへ入射する。液晶層23fを含む第二の可変焦点レンズは、レーザ3bから出射し偏光ビームスプリッタ7bを透過した光に対して作用し、液晶層23eを含む第一の光偏向素子は、レーザ3bから出射し偏光ビームスプリッタ7bを透過した光に対しては作用しない。また、液晶層23fを含む第二の光偏向素子は、集光点に形成された回折格子で反射された光に対して作用し、液晶層23eを含む第一の光偏向素子は、集光点に形成された回折格子で反射された光に対して作用しない。
レーザ3bから出射し、偏光ビームスプリッタ7bで反射された光は、偏光方向がY軸方向である直線偏光として開口付き可変焦点レンズ8dの液晶層23g、23hへ入射する。液晶層23gを含む第一の可変焦点レンズは、レーザ3bから出射し偏光ビームスプリッタ7bで反射された光に対して作用し、液晶層23hを含む第二の光偏向素子は、レーザ3bから出射し偏光ビームスプリッタ7bで反射された光に対しては作用しない。なお、開口付き可変焦点レンズ8cの第一の光偏向素子、及び、開口付き可変焦点レンズ8dの第二の光偏向素子は、入射光に対して作用しないので、開口付き可変焦点レンズ8cは第二の光偏向素子だけでもよく、また、開口付き可変焦点レンズ8dは第一の光偏向素子だけでもよい。
図14(a)、図15(a)は、内側電極31及び外側電極32を用いて、液晶層23e、23gの内側に実効値がV−ΔV、外側に実効値がV+ΔVの交流電圧が印加され、液晶層23f、23hの内側に実効値がV−ΔV、外側に実効値がV+ΔVの交流電圧が印加された状態を表している。このとき、液晶層23e、23gの光学軸は、内側ではY軸方向に近い方向になり、外側ではZ軸方向に近い方向となる。また、液晶層23f、23hの光学軸は、内側ではX軸方向に近い方向になり、外側ではZ軸方向に近い方向となる。従って、偏光方向がY軸方向である直線偏光に対する液晶層23e、23gの屈折率は、内側では高く外側では低くなり、偏光方向がX軸方向である直線偏光に対する液晶層23f、23hの屈折率は、内側では高く外側では低くなる。その結果、偏光方向がY軸方向である直線偏光は、第一の可変焦点レンズが凸レンズとして作用すること第一の可変焦点レンズで収束され、偏光方向がX軸方向である直線偏光は、第二の可変焦点レンズが凸レンズとして作用することで第二の可変焦点レンズで収束される。ここで、第一の可変焦点レンズの焦点距離と第二の可変焦点レンズの焦点距離とは等しい。第一の可変焦点レンズ、第二の可変焦点レンズの焦点距離の絶対値は、ΔVが大きいほど小さくなる。
図14(b)、図15(b)は、内側電極31及び外側電極32を用いて、液晶層23e、23gの内側、外側に何れも実効値がVの交流電圧が印加され、液晶層23f、23hの内側、外側に何れも実効値がVの交流電圧が印加された状態を表している。このとき、液晶層23e、23gの光学軸は、内側、外側ともY軸方向とZ軸方向との中間の方向となり、液晶層23f、23hの光学軸は、内側、外側ともX軸方向とZ軸方向との中間の方向となる。従って、偏光方向がY軸方向である直線偏光に対する液晶層23e、23gの屈折率は、内側と外側とで等しく、偏光方向がX軸方向である直線偏光に対する液晶層23f、23hの屈折率は、内側と外側とで等しい。その結果、偏光方向がY軸方向である直線偏光は、第一の可変焦点レンズがレンズとして作用しないことで第一の可変焦点レンズで平行度が変化せず、偏光方向がX軸方向である直線偏光は、第二の可変焦点レンズがレンズとして作用しないことで第二の可変焦点レンズで平行度が変化しない。
図14(c)、図15(c)は、内側電極31及び外側電極32を用いて、液晶層23e、23gの内側に実効値がV+ΔV、外側に実効値がV−ΔVの交流電圧が印加され、液晶層23f、23hの内側に実効値がV+ΔV、外側に実効値がV−ΔVの交流電圧が印加された状態を表している。このとき、液晶層23e、23gの光学軸は、内側ではZ軸方向に近い方向になり、外側ではY軸方向に近い方向となる。また、液晶層23f、23hの光学軸は、内側ではZ軸方向に近い方向になり、外側ではX軸方向に近い方向となる。従って、偏光方向がY軸方向である直線偏光に対する液晶層23e、23gの屈折率は、内側では低く外側では高くなり、偏光方向がX軸方向である直線偏光に対する液晶層23f、23hの屈折率は、内側では低く外側では高くなる。その結果、偏光方向がY軸方向である直線偏光は、第一の可変焦点レンズが凹レンズとして作用することで第一の可変焦点レンズで発散され、偏光方向がX軸方向である直線偏光は、第二の可変焦点レンズが凹レンズとして作用することで第二の可変焦点レンズで発散される。ここで、第一の可変焦点レンズの焦点距離と第二の可変焦点レンズの焦点距離とは等しい。第一の可変焦点レンズ、第二の可変焦点レンズの焦点距離の絶対値は、ΔVが大きいほど小さくなる。
可変焦点レンズ8cが、図14(a)に示す状態にあるとき、光記録媒体2bの記録層14b内に集光される光は、図12(a)にビーム20dで示すように、記録層14bの基板17cに近い側に集光される。このとき、可変焦点レンズ8dは、図15(c)に示す状態にあり、反射層16で反射されて記録層14b内に集光される光は、図12(a)にビーム21dで示すように、記録層14bの反射層16から見て遠い側、すなわち、基板17cに近い側に集光される。可変焦点レンズ8c、8dをこのように制御することで、ビーム20dとビーム21dとが、記録層14b内の基板17cに近い側の同一位置に集光されて干渉し、集光位置に回折格子が形成される。
可変焦点レンズ8cが、図14(b)に示す状態にあるとき、光記録媒体2bの記録層14b内に集光される光は、図12(b)にビーム20eで示すように、記録層14bの基板17cと反射層16との中間の位置に集光される。このとき、可変焦点レンズ8dは、図15(b)に示す状態にあり、反射層16で反射されて記録層14b内に集光される光は、図12(b)にビーム21eで示すように、記録層14bの基板17cと反射層16との中間の位置に集光される。可変焦点レンズ8c、8dをこのように制御することで、ビーム20eとビーム21eとが、記録層14b内の基板17cと反射層16との中間の同一位置に集光されて干渉し、集光位置に回折格子が形成される。
可変焦点レンズ8cが、図14(c)に示す状態にあるとき、光記録媒体2bの記録層14b内に集光される光は、図12(c)にビーム20fで示すように、記録層14bの基板17cに遠い側に集光される。このとき、可変焦点レンズ8dは、図15(a)に示す状態にあり、反射層16で反射されて記録層14b内に集光される光は、図12(c)にビーム21fで示すように、記録層14bの反射層16から見て近い側、すなわち、基板17cに遠い側に集光される。可変焦点レンズ8c、8dをこのように制御することで、ビーム20fとビーム21fとが、記録層14b内の基板17cに遠い側の同一位置に集光されて干渉し、集光位置に回折格子が形成される。
また、可変焦点レンズ8cが、図14(a)に示す状態にあるとき、光記録媒体2bの記録層14b内に集光される光は、図13(a)にビーム20dで示すように、記録層14bの基板17cに近い側に集光される。可変焦点レンズ8cをこのように制御することで、記録層14b内の基板17cに近い側に形成された回折格子に集光スポットを形成できる。可変焦点レンズ8cが、図14(b)に示す状態にあるとき、光記録媒体2bの記録層14b内に集光される光は、図13(b)にビーム20eで示すように、記録層14bの基板17cと反射層16との中間の位置に集光される。可変焦点レンズ8cをこのように制御することで、記録層14b内の基板17cと反射層16との中間の位置に形成された回折格子に集光スポットを形成できる。可変焦点レンズ8cが、図15(c)に示す状態にあるとき、光記録媒体2bの記録層14b内に集光される光は、図13(c)にビーム20fで示すように、記録層14bの基板17cに遠い側に集光される。可変焦点レンズ8cをこのように制御することで、記録層14b内の基板17cに遠い側に形成された回折格子に集光スポットを形成できる。
本発明の光学ユニットの第二の実施の形態では、開口付き光偏向素子10cは、互いに直交する直線偏光に対して作用する第一の光偏向素子と第二の光偏向素子とを含んでいる。情報の記録時に、往路の光として第一の光と第二の光とを用い、第一の光と第二の光との合成に偏光ビームスプリッタ7cを用いる場合、開口付き光偏向素子10cは第一の光偏向素子と第二の光偏向素子と含んでいるため、開口付き光偏向素子10cは、第一の光と第二の光との双方の光に対して作用する。従って、開口付き光偏向素子10を用いて、光記録媒体2b内の第一の光と第二の光との双方の集光点の位置を、記録層の面内方向に移動させることができる。開口が、対物レンズ12cの前側焦点位置又はそれと光学的に共役な位置にあることで生じる効果は、第一の実施の形態で説明した効果と同様である。
図16は、本発明の光学的情報記録再生装置の第二の実施の形態を示している。光学的情報記録再生装置は、光学ユニット1b、ポジショナ34b、コントローラ35b、アクティブ波長板36b、変調回路37b、記録信号生成回路38b、レーザ駆動回路39b、増幅回路40b、再生信号処理回路41b、復調回路42b、光偏向素子駆動回路43b、可変焦点レンズ駆動回路44b、及び、光記録媒体駆動回路45bを備える。光学ユニット1bは、図1に示す、本発明の光学ユニットの第二の実施の形態である。
光記録媒体2bは、ポジショナ34bに接続されている。コントローラ35bは、アクティブ波長板駆動回路36b、変調回路37bからレーザ駆動回路39bまでの回路、増幅回路40bから復調回路42bまでの回路、光偏向素子駆動回路43b、可変焦点レンズ駆動回路44b、及び、光記録媒体駆動回路45bを制御する。変調回路37bからレーザ駆動回路39bまでの回路は記録回路であり、増幅回路40bから復調回路42bまでの回路は再生回路である。
アクティブ波長板駆動回路36bは、光学ユニット1b内のアクティブ波長板5b(図11)を駆動する。アクティブ波長板駆動回路36bは、光記録媒体2bへの情報の記録時には、アクティブ波長板5bが1/4波長板の効果を持つように、アクティブ波長板5bが有する液晶層に実効値が2.5Vの交流電圧を印加する。また、アクティブ波長板駆動回路36bは、光記録媒体2bからの情報の再生時には、アクティブ波長板5bが全波長板の効果を持つように、アクティブ波長板5bが有する液晶層に実効値が5Vの交流電圧を印加する。
変調回路37bは、光記録媒体2bへの情報の記録時に、記録データとして外部から入力された信号を変調規則に従って変調する。記録信号生成回路38bは、変調回路37bで変調された信号に基づいて、光学ユニット1b内のレーザ3bを駆動するための記録信号を生成する。レーザ駆動回路39bは、レーザ3bを駆動する。レーザ駆動回路39bは、光記録媒体2bへの情報の記録時には、記録信号生成回路38bで生成された記録信号に基づいて、レーザ3bへ記録信号に応じた電流を供給する。また、レーザ駆動回路39bは、光記録媒体2bからの情報の再生時には、レーザ3bからの出射光のパワーが一定になるように、レーザ3bへ一定の電流を供給する。
増幅回路40bは、光記録媒体2bからの情報の再生時に、光学ユニット1b内の光検出器13bから出力される電圧信号を増幅する。再生信号処理回路41bは、増幅回路40bで増幅された電圧信号に基づいて、光記録媒体2bに記録された情報である再生信号の生成、波形等化、2値化を行う。復調回路42bは、再生信号処理回路41bで2値化された信号を復調規則に従って復調し、再生データとして外部へ出力する。
光偏向素子駆動回路43bは、光学ユニット1b内の開口付き光偏向素子10cを駆動する。光偏向素子駆動回路43bは、光記録媒体2bへの情報の記録時に、光学ユニット1b内の開口付き光偏向素子10cが有する液晶層23a、23b(図5、図6)に交流電圧を印加し、開口付き光偏向素子10cにおける第一の光偏向素子、第二の光偏向素子を駆動して、光記録媒体2bの記録層14b内におけるビーム20d〜20f、ビーム21d〜21f(図12)の集光点の位置を、記録層14bの面内へ移動させる。また、光偏向素子駆動回路43bは、光記録媒体2bからの情報の再生時に、光学ユニット1b内の開口付き光偏向素子10cが有する液晶層23a、23bに交流電圧を印加し、開口付き光偏向素子10cにおける第一の光偏向素子、第二の光偏向素子を駆動して、光記録媒体2bの記録層14b内におけるビーム20d〜20f(図13)の集光点の位置を記録層14bの面内へ移動させる。
可変焦点レンズ駆動回路44bは、可変焦点レンズ8c、8dを駆動する。可変焦点レンズ駆動回路44bは、光記録媒体2bへの情報の記録時に、光学ユニット1b内の開口付き可変焦点レンズ8cが有する液晶層23e、23f(図14)、開口付き可変焦点レンズ8dが有する液晶層23g、23h(図15)に交流電圧を印加し、開口付き可変焦点レンズ8c、8dにおける第一の可変焦点レンズ、第二の可変焦点レンズを駆動して、光記録媒体2bの記録層14b内におけるビーム20d〜20f、ビーム21d〜21fの集光点の位置を記録層14bの厚さ方向へ移動させる。また、可変焦点レンズ駆動回路44bは、光記録媒体2bからの情報の再生時に、光学ユニット1b内の開口付き可変焦点レンズ8cが有する液晶層23e、23fに交流電圧を印加し、開口付き可変焦点レンズ8cにおける第一の可変焦点レンズ、第二の可変焦点レンズを駆動して、光記録媒体2bの記録層14b内におけるビーム20d〜20fの集光点の位置を記録層14bの厚さ方向へ移動させる。
光記録媒体駆動回路45bは、光記録媒体2bが接続されたポジショナ34bを駆動し、光学ユニット1bから光記録媒体2bに照射される集光スポットを、光記録媒体2bの記録層の面内方向に移動させる。光記録媒体駆動回路45bは、光記録媒体2bへの情報の記録時に、ポジショナ34bへ電圧を供給して光記録媒体2bを面内へ移動させ、記録層14b内におけるビーム20d〜20f、ビーム21d〜21fの集光点の位置を光記録媒体2bの面内へ移動させる。また、光記録媒体駆動回路45bは、光記録媒体2bからの情報の再生時に、ポジショナ34bに電圧を供給して光記録媒体2bを面内へ移動させ、光記録媒体2bの記録層14b内におけるビーム20d〜20fの集光点の位置を光記録媒体2bの面内へ移動させる。
なお、本発明の光学ユニットの第一、第二の実施の形態は、マイクロホログラム記録用の光学ユニットの実施の形態であり、本発明の光学的情報記録再生装置の第一、第二の実施の形態は、マイクロホログラム記録用の光学的情報記録再生装置の実施の形態である。本発明は、実施の形態で説明したものには限定されず、光記録媒体に対して情報の記録再生を行うための光学ユニット及び光学的情報記録再生装置であれば、マイクロホログラム記録に限らず、他の方式の記録にも適用することができる。
以上、本発明をその好適な実施の形態に基づいて説明したが、本発明の光学ユニット及び光学的情報記録再生装置は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、上記実施の形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
最後に、本発明の最小構成について説明する。本発明の光学ユニットは、最小構成として、光源と、光源からの出射光を、記録層を有する光記録媒体の記録層に集光して集光スポットを形成する対物レンズと、対物レンズの開口数を定める開口と、記録層からの反射光を受光する光検出器と、出射光及び反射光の向きを変化させ、記録層の面内における集光スポットの位置を変化させる光偏向素子とを備える。光偏向素子は、偏光方向が第一の方向である第一の直線偏光に対して作用する第一の光偏向素子と、偏光方向が第一の方向に直交する第二の方向である第二の直線偏光に対して作用する第二の光偏向素子とを含む。
本発明の光学的情報記録再生装置は、光源と、光源からの出射光を、記録層を有する光記録媒体の記録層に集光して集光スポットを形成する対物レンズと、対物レンズの開口数を定める開口と、記録層からの反射光を受光する光検出器と、出射光及び反射光の向きを変化させ、記録層の面内における集光スポットの位置を変化させる光偏向素子と、記録データに基づいて出射光の強度を変調する記録回路と、光検出器からの出力に基づいて再生データを生成する再生回路と、光偏向素子を電気的に駆動する光偏向素子駆動回路とを備える。光偏向素子は、偏光方向が第一の方向である第一の直線偏光に対して作用する第一の光偏向素子と、偏光方向が第一の方向に直交する第二の方向である第二の直線偏光に対して作用する第二の光偏向素子とを含む。
本発明の光学ユニット及び光学的情報記録再生装置は、光偏向素子が、第一の光偏向素子と第二の光偏向素子とを含んでいる。光偏向素子が、第一の光偏向素子と第二の光偏向素子とを含むことで、光偏向素子に入射する光の偏光方向に依存することなく、集光点の位置を、光記録媒体の記録層の面内方向へ、高精度に移動させることができる。例えば、記録時に往路の光、再生時に復路の光を用い、往路の光と復路の光との分離に偏光ビームスプリッタを用いた場合でも、第一の光偏向素子と第二の光偏向素子とを用いることで、往路の光と復路の光とに対して光偏向素子を作用させることができ、光検出器上の集光点の位置を移動させることなく、光記録媒体内の集光点の位置を移動させることが可能になる。また、例えば、記録時の復路の光として第一の光と第二の光とを用い、第一の光と第二の光との合成に偏光ビームスプリッタを用いた場合でも、第一の光偏向素子と第二の光偏向素子とを用いることで、第一の光と第二の光との双方に対して光偏向素子を作用させることができ、第一の光の集光点と第二の光の集光点との双方の位置を移動させることが可能になる。その結果として、高い速度での記録と、高い信号対雑音比での再生とが可能になる。
本発明では、開口及び光偏向素子が、対物レンズの前側焦点位置、又は、それと光学的に共役な位置にあることが好ましい。その場合、光偏向素子を用いて集光点の位置を記録層の面内方向に移動させたときでも、光源からの出射光及び光記録媒体からの反射光が開口で蹴られなくなる。この構成を採用する場合、記録層に集光される光の光量の減少、及び、光検出器で受光される光の光量の減少を抑制できるという効果がある。