以下、本発明の最良の形態である実施形態のホログラム記録再生装置(以下において、特に明記しない場合には、ホログラム記録再生装置の用語はホログラム記録装置またはホログラム再生装置、並びに、ホログラム記録および再生装置のいずれをも指し示すものである。)、ホログラム記録再生方法(以下において、特に明記しない場合には、ホログラム記録再生方法の用語はホログラム記録方法またはホログラム再生方法、並びに、ホログラム記録および再生方法のいずれをも指し示すものである。)を説明する。
図面に沿った詳細な説明をする前に、実施形態の概要を説明する。
後述する第1実施形態ないし第4実施形態のホログラム記録再生装置に共通する基本構成としては、光ビームを集光して形成される光スポットとホログラム記録媒体との相対位置を制御するサーボ手段を備える。ここで、サーボ手段に用いる光ビームは記録再生に用いる光ビームと同一の波長とされている。それによって、サーボ手段の具体的な構成は各々の実施形態で異なる構成を有するものであるが、記録再生のための光路を形成する光学部品と、サーボのための光路を形成する光学部品の多くは共通の部品とされている。このことによって、記録再生に好適なる光スポットの位置の制御が容易におこなわれ、ホログラム記録再生装置の量産性に優れ、かつ、生産後における光学部品の配置ずれによって生じる経時変化も少ないものとできる。
サーボ手段は、レーザー光源を含めた光学部材と、光スポットとホログラム記録媒体との相対位置を変化させるために光学部材または機構部材の配置を変化させるアクチュエーターと、光スポットとホログラム記録媒体との相対位置関係を検出する複数の受光素子からなる受光素子(例えば、4分割受光素子、または、2次元に配置された数万個のピクセルを有するイメージセンサー)と、この受光素子からの信号に応じてアクチュエーターを制御する制御部とを有するものである。
フォーカスサーボ部は光スポットの位置をホログラム記録媒体におけるフォーカス方向の所定位置とするためのものである。フォーカス方向とは光ビームがホログラム記録媒体に入射する方向である。また、トラッキングサーボ部は、フォーカス方向と略直交する方向であるトラッキング方向における光スポットの位置を所定位置とするためのものである。また、ラジアルサーボ部は、ラジアル方向における前記光スポットの位置を所定位置とするためのものである。ラジアル方向とタンジェンシャル方向とはいずれもフォーカス方向と略直交する方向であり、ラジアル方向とタンジェンシャル方向とは略直交する方向である。
トラッキングサーボ部は、トラッキング方向に光スポットを移動させるためのトラッキングアクチュエーターと、再生光によって形成される像の明暗の分布を検出する受光素子と、光スポットのトラッキング方向の移動によって生じる像の明暗の分布の変化に応じて変化する受光素子からの信号に基づきトラッキングアクチュエーターを制御して光スポットの位置をトラッキング方向の所定位置とする制御部と、を有している。また、ラジアルサーボ部は、ラジアル方向に光スポットを移動させるためのラジアルアクチュエーターと、再生光によって形成される像の明暗の分布を検出する受光素子と、光スポットのラジアル方向の移動によって生じる像の明暗の分布の変化に応じて変化する受光素子からの信号に基づき前記ラジアルアクチュエーターを制御して光スポットの位置をラジアル方向の所定位置とする制御部と、を有している。
トラッキングサーボ部の受光素子を記録データの再生のためのイメージセンサーと共通のものとすることもできる。
後述する第5実施形態ないし第7実施形態のホログラム記録再生装置に共通する基本構成としては、光スポットとホログラム記録媒体との相対位置を制御するサーボ手段を備え、このサーボ手段は、ホログラム記録媒体にホログラムを形成させる反応を生じさせ難い第1波長の光ビーム(例えば、赤色光ビーム)によって形成される第1光スポット(例えば、赤色の光スポット)の位置を制御する第1サーボ手段と、ホログラム記録媒体にホログラムを形成させる反応を生じさせ易い第2波長の光ビーム(例えば、青色光ビーム)によって形成される第2光スポット(例えば、青色の光スポット)の位置を制御する第2サーボ手段と、第1サーボ手段と第2サーボ手段との動作を制御するとともに、第1光スポットと第2光スポットの相対位置を制御する制御部と、を具備する。
第1サーボ手段は、第1波長の光ビームを出射するレーザー光源を含め、第1波長の光ビームが通過する光学部材と、第1光スポットとホログラム記録媒体との相対位置を変化させるために、光学部材または機構部材の配置を変化させるアクチュエーターと、第1光スポットとホログラム記録媒体との相対位置関係を検出する受光素子と、この第1波長の光ビームを受光する受光素子からの信号に応じてアクチュエーターを制御する制御部とを有するものである。また、第2サーボ手段は、第2波長の光ビームを出射するレーザー光源を含め、第2波長の光ビームが通過する光学部材と、第2光スポットとホログラム記録媒体との相対位置を変化させるために光学部材または機構部材の配置を変化させるアクチュエーターと、第2光スポットとホログラム記録媒体との相対位置関係を検出する受光素子と、この第2波長の光ビームを受光する受光素子からの信号に応じてアクチュエーターを制御する制御部とを有するものである。ここで、第1波長の光ビームを受光する受光素子からの信号に応じて駆動されるアクチュエーターと、第2波長の光ビームを受光する受光素子からの信号に応じて駆動されるアクチュエーターとは共通化されており、どちらの波長の光ビームに応じた信号でアクチュエーターを駆動するかが、制御部で切り替えられる。
第5実施形態ないし第7実施形態のホログラム記録再生装置においては、第1波長の光ビームが通過する光学部材と第2波長の光ビームが通過する光学部材とは、その一部が共通の構成物として形成され、これによって、第1光スポットの位置と第2光スポットの位置がある程度管理されている。第1光スポットの位置と第2光スポットの微細な相対位置は制御部によって管理されている。また、アクチュエーターについては、第1サーボ手段と第2サーボ手段とで共用されている。第1サーボ手段を構成する複数の受光素子と第2サーボ手段を構成する複数の受光素子とは異なる部材とされている。
制御部は、第1サーボ手段と第2サーボ手段との動作を制御する。すなわち、第1サーボ手段に含まれる種々のサーボ部、第2サーボ手段に含まれる種々のサーボ部のいずれを動作させるかを制御する。第5実施形態ないし第7実施形態においては、この制御部において第1光スポットと第2光スポットの相対位置を細かく制御することもできる。
図1に示す第1実施形態は、青色光ビームを用いたホログラム記録再生装置に関するものであり、再生光から記録データを再生するための光路と再生光からサーボ信号を得る光路とを分離して備えるホログラム記録再生装置である。ホログラムからの再生光からサーボ信号を得ることを特徴しており、サーボ信号を得る光路には非点収差レンズ(シリンドリカルレンズ、穴あけトロイダルレンズまたは穴あきシリンドリカルレンズ)を具備するものである。
図12に示す第2実施形態は、青色光ビームを用いたホログラム記録再生装置に関するものであり、再生光から記録データを再生するための光路と再生光からサーボ信号を得る光路とが一体となったホログラム記録再生装置である。
図15に示す第3実施形態は、青色光ビームを用いたホログラム記録再生装置に関するものであり、再生光から記録データを再生するための光路と再生光からサーボ信号を得る光路とを分離して備えるホログラム記録再生装置である。サーボ信号を得る光路にはフーリエ変換レンズを具備することを特徴とするものである。
図16に示す第4実施形態は、青色光ビームを用いたホログラム記録再生装置に関するものであり、再生光から記録データを再生するための光路と再生光からサーボ信号を得る光路とを分離して備えるホログラム記録再生装置である。サーボ信号のひとつであるトラッキング誤差信号は、所謂、グレーティングによって1次光を得る3スポット法によって得ることを特徴とするものである。
図21に示す第5実施形態は、青色光ビームと赤色光ビームとを用いてホログラム記録再生装置に関するものであり、青色光ビームを用いてホログラムの記録またはホログラムから再生をおこない、赤色光ビームを用いてサーボ信号を得ることを特徴とするものである。ここで、第5実施形態は、第2実施形態の光学部分に赤色光ビームを用いてサーボをおこなうサーボ系が新たに追加されており、サーボ系に関しては、赤色光ビームを用いるか、青色光ビームを用いるかを切り替えることができる。また、赤色光ビームでフォーカスサーボをおこない、青色光ビームでトラッキングサーボとタンジェンシャルサーボとをおこなうことができる。青色光ビームでおこなえるサーボの動作の範囲は第2実施形態におけると同一範囲である。
図22に示す第6実施形態は、青色光ビームと赤色光ビームとを用いてホログラム記録再生装置に関するものであり、青色光ビームを用いてホログラムの記録またはホログラムから再生をおこない、赤色光ビームを用いてサーボ信号を得ることを特徴とするものである。ここで、ここで、第6実施形態は、第3実施形態の光学部分に赤色光ビームを用いてサーボをおこなうサーボ系が新たに追加されており、サーボ系に関しては、赤色光ビームを用いるか、青色光ビームを用いるかを切り替えることができる。また、赤色光ビームでフォーカスサーボをおこない、青色光ビームでトラッキングサーボとタンジェンシャルサーボとをおこなうことができる。青色光ビームでおこなえるサーボの動作の範囲は第3実施形態におけると同一範囲である。
図23に示す第7実施形態は、青色光ビームと赤色光ビームとを用いてホログラム記録再生装置に関するものであり、青色光ビームを用いてホログラムの記録またはホログラムから再生をおこない、赤色光ビームを用いてサーボ信号を得ることを特徴とするものである。ここで、ここで、第7実施形態は、第1実施形態の光学部分に赤色光ビームを用いてサーボをおこなうサーボ系が新たに追加されており、サーボ系に関しては、赤色光ビームを用いるか、青色光ビームを用いるかを切り替えることができる。また、赤色光ビームでフォーカスサーボをおこない、青色光ビームでトラッキングサーボとタンジェンシャルサーボとをおこなうことができる。さらに、第7実施形態では、青色光ビームからフォーカス誤差信号を得るに際して、光学部材としてシリンドリカルレンズを用いて、ホログラムからの再生光を検出してフォーカスサーボをおこなうことができる。また、第7実施形態の変形例は、青色光ビームからフォーカス誤差信号を得るに際して、光学部材として穴あきトロイダルレンズまたは穴あきシリンドリカルレンズを用いるものであり、これによって、反射光を検出してフォーカスサーボをおこなうことができる。青色光ビームでおこなえるサーボの動作の範囲は第1実施形態におけると同一範囲である。
各々の実施形態は、図面に沿って以下にその詳細を説明するものであるが、青色のレーザー光源のみを用いることによって、構成の複雑さ、光学部品の位置あわせの困難さが無くなり、記録再生特性の向上が図られる。また、青色と赤色の2つの波長のレーザー光源を用いる場合には、ホログラム記録層の媒質が反応しない波長である赤色光ビームを用いてサーボをおこない、ホログラム記録媒体の記録層に影響を与えることがないという利点がある。また、赤色光ビームでサーボの全部をおこなった後、記録または再生の動作をおこなう時点において、青色光ビームでサーボの全部をおこなう場合には、サーボの動作が安定し、記録または再生の特性を向上させることができる。また、赤色光ビームでサーボの全部をおこなった後、記録または再生の動作をおこなう時点において、赤色光ビームでフォーカスサーボをおこない、青色光ビームで他のサーボをおこなう場合には、安定したサーボと記録または再生の特性を向上させることができる。
(第1実施形態のホログラム記録再生装置)
図1に沿って第1実施形態のホログラム記録再生装置について説明をする。
(ホログラム記録再生装置に用いられるホログラム記録媒体について)
まず、ホログラム記録再生装置1において用いられるホログラム記録媒体について簡単に説明する。第1実施形態のホログラム記録再生装置において用いるホログラム記録媒体は、背景技術に示すホログラム記録媒体148であっても良いが、ホログラム記録再生装置1では異なるホログラム記録媒体であるホログラム記録媒体48を用いることができる。すなわち、背景技術に示すホログラム記録媒体148に形成されるダイクロイック膜148d、ギャップ層148e、反射膜148fのいずれもが、青色光ビームのみを用いる第1実施形態では機能をしないので、これらを備えないものとすることができるものである。
上述した理由によって、ホログラム記録媒体48は、背景技術に示すホログラム記録媒体148と略同一の構成を有しているが、記録媒体148に備えられているギャップ層148cおよびギャップ層148e、ダイクロイック膜148dは必要とされず、反射膜148fに形成されるグルーブまたはピットは必ずしも必要とされるものではなく、ホログラム記録媒体48では反射膜は平坦構造として、単に光ビームを反射する反射膜として機能すれば十分である。また。ホログラム記録媒体48は、CD(コンパクト・ディスク)やDVD(デジタル・バーサタイル・ディスク)と同様のディスク型(円盤形状)をしており、ホログラム記録媒体48の最内周部には、ホログラム記録媒体を保持し、回転中心を位置決めするための孔部が設けられている。なお、以下における第1実施形態の説明では、上述したホログラム記録媒体48を用いるものとして説明するが、背景技術において説明した、図24に示すホログラム記録媒体148も同様に使用が可能であり、第1実施形態においてホログラム記録媒体148を用いることに何の困難もないものである。
このようなホログラム記録媒体に記録再生をおこなうホログラム記録再生装置1は、図1に図示された光学部を主要な構成部分として備えている。また、詳細は図示しない電気回路で構成される制御部100を備え、さらに、機構部を備えており、図1にはホログラム記録再生装置1の動作を説明する範囲で必要な機構部のみが記載されている。そして、ホログラム記録再生装置1は、制御部100を介して図示しない外部装置に接続されるようになされている。ここで、外部装置は、例えば、コンピュータのCPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)、映像表示装置(モニター)である。外部装置がCPUである場合には、CPUとの接続はバスラインを介しておこなうこととなる。
図1に示すホログラム記録再生装置1の光学部は、光ビームが通過する光路を形成している。光学部は記録再生の機能を果たすための構成部としての記録再生用光学部と記録再生光学部に付加されてサーボの機能を果たすための構成部としてのサーボ用光学部とから成り立っている。記録再生用光学部とサーボ用光学部とは一部の光学部品を共通としており、明確に2分されるものではない。記録再生用光学部は、レーザー光源10、アイソレーター11、シャッター12、フーリエ変換レンズ13、フーリエ変換レンズ14、可動ミラー16a、空間変調器25、偏光ビームスプリッター27、偏光ビームスプリッター20、フーリエ変換レンズ21、ピンホール22、フーリエ変換レンズ24、1/4波長板26、集光レンズ28、フーリエ変換レンズ29、ミラー30、フーリエ変換レンズ31、およびイメージセンサー32を有している。
また、サーボ用光学部として機能する主要光学部品は、ビームスプリッター51、集光レンズ52、シリンドリカルレンズ53、サーボ用ディテクター54である。シリンドリカルレンズ53に替えて穴あきトロイダルレンズ153または穴あきシリンドリカルレンズ253を用いることもできるがこれについては変形例として後述する。
ここで、フーリエ変換レンズ24、1/4波長板26および集光レンズユニット36は可動部34として一体として紙面の横方向(ラジアル方向)に100μm(マイクロ・メータ)の微小量移動するようになされている。この可動部34の移動は、機構部の一部であるトラッキング用ピエゾ素子60を用いておこなわれるようになされている。また、集光レンズユニット36は、集光レンズ28、図示しない立ち上げミラーを有しており、立ち上げミラーは図1の紙面の左右方向へ向かう光ビームの方向を紙面の表裏方向へ向かうように光ビームの方向を変換する。ここで、立ち上げミラーを備える理由は、光学系の多くの部材をホログラム記録媒体の面と平行になる方向に配置してホログラム記録装置の形状を小型化するためのものである。また、可動ミラー16aは、可動ミラーユニット16に設けられ、機構部を構成する可動ミラーアクチュエーター16bによって、集光レンズ28を通過してホログラム記録媒体48に照射される光ビームを紙面の上下方向(タンジェンシャル方向)に移動させるようになされている。
レーザー光源10からは、光ビームが出射され、光ビームは、例えば、波長405nmの青色のレーザー光である。アイソレーター11は、外部共振器型レーザーとして構成されているレーザー光源10に戻光が戻ることを防ぎ、レーザー光源10の発振を安定化するためのものである。シャッター12は光ビームを透過、または、遮蔽するための素子であり、制御部100からの信号によって光ビームが透過させられるか、遮蔽されるかが制御される。フーリエ変換レンズ13およびフーリエ変換レンズ14は光ビームの径を拡大して空間変調器25に光ビームを照射するためのものである。可動ミラー16aは、可動ミラーアクチュエーター16bによって変位させられて上述したように光ビームをタンジェンシャル方向に走査するためのものである。偏光ビームスプリッター27は光ビームの方向を変えて空間変調器25に光ビームを照射するためのものである。空間変調器25は光ビームに空間的な変調を施して参照光と信号光とを得るためのものであり、例えば、2次元の格子状に微細に分割された液晶素子から構成される反射型液晶が採用されている。偏光ビームスプリッター20は空間変調器25で変調を受けた光ビームである参照光および信号光は透過させて、再生光を反射させるためのものである。
また、フーリエ変換レンズ21およびフーリエ変換レンズ24は、光ビームの集光点を形成するためのものである。ピンホール22は、この光ビームの集光点に配置されており、これによって高次の回折光を遮蔽するためのものである。1/4波長板26は直線偏光を円偏光に変換するためのものである。集光レンズ28はホログラム記録媒体48のホログラム形成領域に光ビームを集光するためのものである。フーリエ変換レンズ29およびフーリエ変換レンズ31は、倍率を調整した後、イメージセンサー32に実像が形成されるようにするためのものである。ミラー30は光ビームの方向を変化させイメージセンサー32に光ビームを導くためのものである。イメージセンサー32は、CMOSセンサー(シーモス・センサー)、CCD(チャージ・カップルト・デバィス)等に代表される光学受光素子であって、2次元の格子状に微細に分割された複数の受光素子が2次元に配置され、各々の受光素子からの電気信号が分離して検出することが可能とされるものである。
また、図3に示すように、スピンドルモーター33の回転軸はターンテーブ33aに固着され、ホログラム記録媒体48の中心に配された孔部とターンテーブ33aに配された凸部と嵌めあわせて、スピンドルモーター33の回転軸とホログラム記録媒体48の中心とが位置あわせされて、ホログラム記録媒体48は回転させられるようになされている。スピンドルモーター33とスピンドルモーター移動台58との間にはフォーカス用ピエゾ素子55が配され、フォーカスアクチュエーターとして機能する。また、スピンドルモーター移動台58をラジアル方向のホログラム記録媒体48の半径と略同等の距離を移動させるために、スライド送りモーター56、スライド送りモーター56の回転軸に結合された歯車57a、および、歯車57aとかみ合うスピンドルモーター移動台58に固着された歯車57b(図1を参照)を有している。
(ホログラム記録をする場合における信号系の動作の説明)
上述した光学部を用いたホログラム記録再生装置1における記録の作用について以下に説明する。
記録をおこなう場合には、レーザー光源10は、所定の強度の光ビームを出射する。この光ビームは、アイソレーター11を通過して、シャッター12が光ビームを透過するように制御部100によって設定されている場合には、光ビームは、さらに、シャッター12を通過する。光ビームは、フーリエ変換レンズ13およびフーリエ変換レンズ14によって光ビームの径を拡大される。そして光ビームは、可動ミラー16aで反射し、さらに、偏光ビームスプリッター27で反射して、空間変調器25に照射される。ここで、可動ミラー16aの光ビームに対する入射角度は制御部100によって設定されており、この入射角度の変化に応じて空間変調器25に入射する光ビームの入射角度は変化させられる。そして、最終的には、集光レンズ28に入射する参照光と信号光との集光レンズ28の光軸に対する入射角度を変化させる。空間変調器25に入射する光ビームの入射角度を変化させられることによって、ホログラム記録媒体48に焦点を結ぶ光スポットのタンジェンシャル方向の位置が変化させられる
空間変調器25に入射した光ビームは空間変調を受ける。空間変調器25は反射型液晶で構成されている。反射型液晶を構成する2次元に配列された液晶素子の各々が光ビームを反射するか反射しないかが制御部100によって制御されており、光ビームを偏光ビームスプリッター20の方向に反射する様な状態(反射状態)と、光ビームを偏光ビームスプリッター20の方向に反射しない様な状態(非反射状態)との2つの状態のいずれかとなる。また、この液晶素子は参照光領域25a(図2を参照)に属する液晶素子と信号光領域25b(図2を参照)に属する液晶素子との2群に分類されている。参照光領域25aに属する液晶素子の各々は、制御部100の記憶領域、例えば、RAM(ランダム・アクセス・メモリー)に記憶された「1」と「0」との組み合わせによって表現される所定の参照光パターンに応じて、「1」の場合には、反射状態に、「0」の場合には、非反射状態に維持される。
同様に、信号光領域25bに属する液晶素子の各々は、制御部100から出力される「1」と「0」との組み合わせによって表現されるページを単位とする記録データに応じて、「1」の場合には、反射状態に、「0」の場合には、非反射状態に維持される。ここで、記録データは、ブロックコードである変調記録データとして符号化されており、例えば、変調記録データの1ブロックは、4行4列の16個の液晶素子の領域に対応させられており、16個の内の3個が反射状態となる16:3符号が用いられている。
図2は、空間変調器25の各々の液晶素子の角度の状態を示す図であり、図2における紙面の色の部分(以下、白部と称する)が反射状態、黒い色の部分(以下、黒部と称する)が非反射状態に対応するものである。図2に示す外周部分のドーナツ形状の部分が参照光領域25aであり、その内側にある円形の領域が信号光領域25bである。参照光領域25aでは、予め定める態様で液晶素子の反射状態と非反射状態とが維持されている。信号光領域25bでは、記録データパターンに応じ、多角形で示すように液晶素子の反射状態と非反射状態とが維持されている。ここで、空間変調器25の大きさは参照光領域25aと信号光領域25bとを含む面積があれば十分であり、ドーナツ形状の参照光領域25aの外側は必要とされないものである。
このようにして空間変調器25の参照光領域25aで空間変調を受けた参照光と信号光領域25bで空間変調を受けた信号光とが同軸状に配置されてなる光ビームは、空間変調器25で反射することによって偏光方向がπ/2変化して偏光ビームスプリッター20を通過して、フーリエ変換レンズ21、ピンホール22、フーリエ変換レンズ24を通過して高次の回折光が取り除かれる。さらに光ビームは1/4波長板26を通過した後、光ビームの進行方向は、図示しない立ち上げミラーによって、紙面の裏面方向から紙面の表面方向へと向かうように変更される。
そして、参照光と信号光との各々は、集光レンズ28によってホログラム記録媒体48のホログラム形成領域とされる記録層で集光され、参照光と信号光とは干渉して干渉縞を発生させる。そして、例えば、ポリマーを材料として形成される記録層のホログラム形成領域においてモノマーがポリマーに変化して、干渉縞に応じた屈折率の変化として記録層にホログラムが形成される。ここで、ホログラム記録媒体48のホログラム形成領域に光ビームを集光するには、フォーカスサーボが用いられる。また、タンジェンシャル方向、ラジアル方向(半径方向)へのサーボについても、各々、タンジェンシャルサーボ、ラジアルサーボが用いられるが、これらについては詳細に後述する。以上述べたように、光路に配置された光学部品の一部、例えば、イメージセンサー32は記録時には使用されない光学部品であるので、このような光学部品は記録の機能のみを有するホログラム記録装置においては省略できるものである。
ホログラム記録後の後処理について説明する。後処理とは、ホログラム記録媒体の予定された範囲の記録層にホログラムが記録された後に、記録層に干渉性の悪い光を照射させて残存したモノマーをポリマーに全て変えてしまう処理である。後処理によって、ホログラム記録媒体の記録層にホログラムの未記録領域がある場合に、再生を目的として照射される光ビームの作用によって、さらに、このホログラム記録媒体の記録層が反応して予定しない信号が記録される事態が生じることはない。
(ホログラム再生をする場合における信号系の動作の説明)
再生をおこなう場合の光学部の作用を以下に説明する。再生の動作においては、空間変調器25に光ビームが達するまでの作用は、記録をおこなう場合と同じであるので、説明を省略する。空間変調器25の参照光領域25aでは、記録をおこなったときと同一の角度で、液晶素子の反射状態と非反射状態とが維持されている。すなわち、後述するが、記録において用いたと同じ参照光を再生においても用いる。一方、信号光領域25bでは、すべての液晶素子は、非反射状態とされる。すなわち、信号光が発生しないようになされる。このようにして、参照光のみが発生させられ、記録をおこなったときと同様に光ビームはホログラム記録媒体48の記録層の既にホログラムが形成された領域(ホログラム形成済み領域)に集光して照射される。
参照光をホログラム形成済み領域に照射することによって再生光が発生し、ホログラム記録媒体48に配された反射膜で反射した再生光は、再び、集光レンズ28の側に戻る。
再生光は、集光レンズ28を通過した後、1/4波長板を通過して偏光方向が円偏光から直線偏光に変換される。そして、フーリエ変換レンズ24、ピンホール22、フーリエ変換レンズ21を通過して、偏光ビームスプリッター20に再生光は達する。このときの直線偏光とされた再生光の偏光方向は、参照光の偏光方向に対してπ/2ずれている。このために、再生光は、偏光ビームスプリッター20を透過することができず、偏光ビームスプリッター20で反射して、進行方向を変更してフーリエ変換レンズ29、ミラー30、フーリエ変換レンズ31を通過して、イメージセンサー32の上に像を形成する。この像は、図2において、記録時に空間変調器25に表示されたと同様の形態で形成される。すなわち、外周部には、再生光に含まれる参照光成分に応じた像が再生され、内周部には、再生光に含まれる信号光成分に応じた像が再生される。以上述べたように、光路に配置された光学部品の一部、例えば、空間変調器25の信号光領域25bは再生時には使用されない部分であるので、再生の機能のみを有するホログラム再生装置においては、空間変調器は信号光領域を備えないものとできる。上述したホログラムを再生するための光学部と再生の信号処理部とが記録データ再生手段の主要部として機能している。
(サーボ用光学部について)
第1実施形態の記録再生装置におけるサーボ部について説明する。このサーボ部は、参照光の照射位置を制御する位置制御手段として機能し、サーボ部としての機能を果たすための光学部品からなる光学部と、参照光の照射位置を変化させるためのアクチュエーターと、光学部からの信号を演算してこの演算結果に基づきアクチュエーターを駆動する信号を送出する制御部とを主要構成部としている。第1実施形態に示すサーボ部は、ホログラムが既に形成されたホログラム記録媒体に光ビームを照射して、再生光(回折光)を得て、再生光を用いてサーボのための信号を得ることを特徴とする。すなわち、第1実施形態のサーボ系(サーボにかかる光学部とサーボにかかる機構部と、これらから得られる情報を処理し、これらを制御する電気回路部の全体をサーボ系と称して用いる)によれば、ホログラムが記録されたホログラム記録媒体から記録データを読み出す場合のみならず、サーボのための信号得る目的のためのホログラムがホログラム記録層に離散的に予め形成されている(サーボ情報がホログラムでプリフォーマットされている)ホログラム記録媒体に記録データを記録する場合にも用いることができる。
ホログラム記録媒体48の記録層で発生した光ビームである再生光(回折光)は、サーボ用光学部としての、集光レンズ28、立ち上げミラー、1/4波長板26、フーリエ変換レンズ24、ピンホール22、フーリエ変換レンズ21、偏光ビームスプリッター20を通過する。そして、ビームスプリッター51で光ビームの一部が集光レンズ52に導かれる。集光レンズ52を通過した光ビームは、シリンドリカルレンズ53を通過して、サーボ用ディテクター54またはサーボ用ディテクター154で受光される。ここで、サーボ用ディテクター54は4分割ディテクターであり、サーボ用ディテクター154は8分割ディテクターである。サーボ用ディテクター154については、第1実施形態の変形例として後述する。
図4は既に記録層に形成済みのホログラムからの再生光がサーボ用ディテクター54に形成する像を示すものである。ここで、サーボ用ディテクター54は、ディテクターDA(第1受光素子)、ディテクターDB(第2受光素子)、ディテクターDC(第3受光素子)、ディテクターDD(第4受光素子)と4つに分割されている。ここで、サーボ用ディテクター54は2つの直線で分割される。この2つの直線は交わってサーボ用ディテクター54を4つに分割するものである。この2つの直線の各々をどのような方向に延びるものとするかによって、参照光の照射位置に応じてサーボ用ディテクター54に生ずる像の移動を検出できるか否か、また、どの方向の移動を検出できるか、さらに、この移動を制御できるか否か、また、どの方向へ像を移動させることができるか、が決定される。第1実施形態では、この2つの直線を直交するものとしているが、一般的に必ずしも直交することが要求される訳ではない。
このようにサーボ用ディテクター54を4つに分割する2本の直線を直交するものとしたので、参照光の移動を検出できる方向も2方向となり、2本の直線の方向と同方向である。そして、参照光の移動を検出できる方向に、参照光を移動できるように、アクチュエーターを用いて、この2つの直交する方向に参照光を移動できるようにしている。
また、図1に示すようにホログラム記録再生装置1にはシリンドリカルレンズ53が配されているが、このシリンドリカルレンズ53は、要は、集光レンズ28とサーボ用ディテクター54との間に配置され、ホログラム記録媒体48と集光レンズ28との離間距離に応じて、信号をサーボ用ディテクター54から得ることができるような態様で配置されているものである。
図5はシリンドリカルレンズ53とサーボ用ディテクター54の各々のディテクターである、ディテクターDA、ディテクターDB、ディテクターDCおよびディテクターDDとの位置関係を示す図である。集光レンズ52とサーボ用ディテクター54の間に、サーボ用ディテクター54の母線が45°になるように配置すると、シリンドリカルレンズ53は光ビームの通過する面によって集光点が異なるようになる。そして、対角方法に配置された、ディテクターDAとディテクターDDからの信号の和と、同様に対角方法に配置された、ディテクターDBとディテクターDCからの信号の和とは、集光レンズ28とホログラム記録媒体48との間の距離を変化させることによって、互いに相補的にその値が変化することとなる。すなわち、ディテクターDAとディテクターDDからの信号の和が大きくなる方向に向かうと、ディテクターDBとディテクターDCからの信号の和が小さくなる方向に向かい、ディテクターDAとディテクターDDからの信号の和が小さくなる方向に向かうと、ディテクターDBとディテクターDCからの信号の和が大きくなる方向に向かうものである。したがって、ディテクターDAとディテクターDDからの信号の和とディテクターDBとディテクターDCからの信号の和との差の信号をフォーカス誤差信号として用いることができることとなる。つまり、このようなフォーカス誤差信号をフォーカス用ピエゾ素子55に印加することによって集光レンズ28の位置を制御することができる。
図6はホログラム記録媒体48またはホログラム記録媒体148の記録されたホログラムに光スポットが焦点を結んだ場合と、焦点位置がその前後にずれたときのサーボ用ディテクター54におけるホログラムからの再生光の像を模式的に示すものである。図6の(B)は、光スポットが記録されたホログラムに丁度焦点を結んだときの像であり、図6の(A)は、光スポットが記録されたホログラムの手前に焦点を結んだときの像であり、図6の(C)は、光が記録されたホログラムの後に焦点を結んだときの像である。図6から明らかなように、図6の(B)の状態に像の形状がなるようにフォーカス用ピエゾ素子55を制御すれば、適切なるフォーカスサーボがおこなわれる。つまり、イメージセンサー32の像もサーボ用ディテクター54の像と連動して変化するので、予め、図6の(B)の状態に像の形状がなる場合に、最も、良好なる再生特性を呈するようにイメージセンサー32等の光学部品が配置されているのである。
図7は、制御部100でおこなわれる各種サーボのための誤差信号の検出演算の内容を図で示すものである。フォーカス誤差信号SD3の演算式は式1で示される。ここで、信号SAはディテクターDAからの出力信号、信号SBはディテクターDBからの出力信号、信号SCはディテクターDCからの出力信号、信号SDはディテクターDDからの出力信号である。
SD3={(SA+SD)−(SB+SC)}/(SA+SB+SC+SD)・(1)
分母はサーボ用ディテクター54に入射する光量の和に対応した出力和信号SSであり、割り算は規格化をして光量変化の影響を排除するためのものである。式1に示す演算式は、従来からアスティグマ法として知られている検出方法におけると類似するものであるが、アスティグマ法と異なり、ホログラムからの回折光を用いる点においてその検出原理が全く異なるものであって本願にかかる発明者らによって初めて見出されたフォーカス誤差信号の検出方法である。
ここで、上述したように、サーボ用ディテクター54に生じる像とイメージセンサー32に生じる像とは相似形となるように予め調整されているので、サーボ用ディテクター54に生じる像を図6の(B)に示すようなものとすれば、イメージセンサー32にも、これと相似形の像が生じる。そして、図6の(B)に示す像がサーボ用ディテクター54から得られる場合に、イメージセンサー32から最も、再生特性、例えば、S/N(信号対雑音比)が良好となる信号が検出されることとなる。
また、フォーカスサーボを適正に動作させることができる範囲は極めて狭い範囲である。すなわち、タンジェンシャル方向の光スポットの位置およびラジアル方向の光スポットの位置も所定の幅を持った適正な位置でなければ、フォーカスサーボを適正に動作させることができないがこれについては詳述するものとして、まずは、タンジェンシャルサーボとラジアルサーボの各々のサーボ系の動作を独立に説明する。
タンジェンシャルサーボについて説明する。タンジェンシャルサーボは、可動ミラー16aを制御してホログラム記録媒体48の半径方向と直交する方向に位置サーボ系を構成するものである。記録されたホログラムに対して光スポットの位置がタンジェンシャル方向にずれていると、サーボ用ディテクター54に生じる像は、図4においてタンジェンシャル方向として矢印で示す方向(図4の紙面の上下方向)に移動する。この移動にともなって、サーボ用ディテクター54の各々のディテクターに入射する光量は変化し、例えば、サーボ用ディテクター54に生じる再生光の像が上方へ移動する場合には、ディテクターDAおよびディテクターDBで検出する信号SAと信号SBの和の値は増加し、ディテクターDCおよびディテクターDDで検出する信号SCと信号SDの和の値は減少する。この関係を一般化したタンジェンシャル誤差信号SD1の演算式は式2で示される。分母はサーボ用ディテクター54に入射する光量の和に対応した出力和信号SSであり、割り算は規格化をして光量変化の影響を排除するためのものである。
SD1={(SA+SB)−(SC+SD)}/(SA+SB+SC+SD)・(2)
さらに、ラジアルサーボについて説明する。ラジアルサーボは、100μm以下の微細なラジアル方向の位置サーボに関しては、トラッキング用ピエゾ素子60を制御して半径方向のサーボ系を構成し、100μm以上からホログラム記録媒体48の半径の長さまでのラジアル方向の位置サーボに関しては、スライド送りモーター56を制御して半径方向のサーボ系を構成するものである。記録されたホログラムに対して光スポットの位置がラジアル方向にずれると、サーボ用ディテクター54に生じる像は、図4においてラジアル方向として矢印で示す方向(図4の紙面の左右方向)に移動する。この移動にともなって、サーボ用ディテクター54の各々のディテクターに入射する光量は変化し、例えば、サーボ用ディテクター54に生じる再生光の像が左へ移動する場合には、ディテクターDAおよびディテクターDCで検出する信号SAと信号SCの和の値は増加し、ディテクターDBおよびディテクターDDで検出する信号SBと信号SDの和の値は減少する。この関係を一般化したラジアル(トラッキング)誤差信号SD2の演算式は式3で示される。分母はサーボ用ディテクター54に入射する光量の和に対応した出力和信号SSであり、割り算は規格化をして光量変化の影響を排除するためのものである。
SD2={(SA+SC)−(SB+SD)}/(SA+SB+SC+SD)・(3)
なお、言うまでもないが、上述した式1ないし式3の演算の加減算、あるいは、割り算の順序は、特に限定があるものではない。例えば、4つのディテクターの中の2つのディテクターからの信号の加算を2回おこない、2つの加算演算の結果を減算するものとしても、2つのディテクターのからの信号の減算を2回おこない、その2回の減算の結果を加算しても同様である。
上述した、ラジアル誤差信号SD2の演算式は、CD等におけるプッシュプル信号の演算と類似しているが、プッシュプル信号はグルーブで回折する0次光と1次光とが与える光量の変化をラジアル誤差信号として得るものであるが、式3は、再生光が形成するホログラムの像のサーボ用ディテクター54における配置の態様をラジアル誤差信号SD2として得る点において、原理が全く異なるものであって本願にかかる発明者らによって初めて見出されたラジアル誤差信号の検出方法である。
(ホログラム再生をする場合におけるサーボ系の引き込みの動作の説明)
以上の説明において、フォーカスサーボ、タンジェンシャルサーボ、ラジアルサーボは独立のものとして説明をおこなってきたが、上述したように、フォーカスサーボは、光スポットのタンジェンシャル方向およびラジアル方向の位置に無関係ではない。この点について説明する。図8の(A)は、タンジェンシャル方向の位置に対する出力和信号SSを示すものであるが、ホログラムに丁度光スポットが集光している状態にあり、かつ、ラジアル方向のホログラムからの位置ずれがない場合において、タンジェンシャル方向のホログラムからのずれ位置の許容幅は、図8の(A)では範囲Dsで示され、その幅は、±1.5μm程度である。ここで、範囲Dsは出力和信号SSの値が零ではない範囲を示すものである。
また、ホログラムに丁度光スポットが集光している状態にあり、かつ、ラジアル方向のホログラムからの位置ずれがない場合において、良好なるタンジェンシャル誤差信号SD1が得られるタンジェンシャル方向の位置ずれの範囲は、図8の(B)では範囲Stで示され、タンジェンシャル方向の位置ずれの許容幅は±0.5μm程度である。このために、スレッショルドを設け、このスレッショルドの値よりも出力和信号SSの値が大きい範囲である範囲Dtに対応する範囲である範囲Stにおけるタンジェンシャル誤差信号SD1のみを利用するようにしている。
ラジアル方向の位置ずれについても、上述したタンジェンシャル方向の位置ずれと同様のことが言えるものであり、図示しないが、良好なるラジアル誤差信号SD2が得られるラジアル方向の位置ずれの範囲は、±0.5μm程度である。
したがって、フォーカスサーボを最初に引き込む場合には、フォーカス方向、ラジアル方向およびタンジェンシャル方向の各々の方向へ各々のアクチュエーターを用いて光スポットを走査して、出力和信号SSの値がスレッショルドを越えた瞬間にタンジェンシャルサーボおよびトラッキングサーボを動作させるようにする。これによって、フォーカスサーボが適正に動作して光スポットが記録されたホログラムの位置に集光されるのみならず、ホログラムからの再生光によって生ずる像をイメージセンサー32の中心部に結像させることができることとなる。
(ホログラム再生をする場合におけるホログラムへのアクセスの動作について)
タンジェンシャル方向、または、ラジアル方向、さらには、斜め方向に隣接する異なるホログラムへ光スポットを移動させ、異なるホログラムからの信号を再生する場合にどのようにサーボ系を動作させるかについて説明する。タンジェンシャル方向に光スポットを移動させる場合には、タンジェンシャル方向に光ビームを移動させる可動ミラー16aにタンジェンシャル方向に隣接配置されたホログラムに引き込むための契機となるジャンプパルスを与える。また、ラジアル方向に光スポットを移動させる場合には、ラジアル方向に光ビームを移動させるトラッキング用ピエゾ素子60にラジアル方向に隣接配置されたホログラムに引き込むための契機となるジャンプパルスを与える。さらにタンジェンシャルおよびラジアル方向(斜め方向)に光スポットを移動させる場合には、可動ミラー16aおよびトラッキング用ピエゾ素子60の両方に斜め方向に隣接配置されたホログラムに引き込むための契機となるジャンプパルスを与える。そして、上述した各々の態様で、各々のアクチュエーターにジャンプパルスを与えた後は、サーボループの作用で目的のホログラムに到達させることができる。
上述したようにして、所望の位置に配されたホログラムからの再生光をイメージセンサー32に適切に捕らえるようにサーボがおこなわれるが、この処理は、具体的には、制御部100においてフォーカス誤差信号SD3を式1に従って演算し、このフォーカス誤差信号SD3に所定の位相補償を施し、この位相補償を施した信号をフォーカス用ピエゾ素子55に供給する一連の動作によってフォーカスサーボが適正におこなわれるものであり、タンジェンシャル誤差信号SD1を式2に従って演算し、このタンジェンシャル誤差信号SD1に所定の位相補償を施し、この位相補償を施した信号を可動ミラー16aに供給することによってタンジェンシャルサーボが適正におこなわれ、ラジアル誤差信号SD2を式3に従って演算し、このラジアル誤差信号SD2に所定の位相補償を施し、この位相補償を施した信号をトラッキング用ピエゾ素子60に供給することによってトラッキングサーボが適正におこなわれるものである。さらには、隣接するホログラムへジャンプするに際して、印加される上述のジャンプパルスも制御部100から発生させられる。このようにして記録されたホログラムを再生する準備が整う、そして上述したようにイメージセンサー32から得られる信号を制御部100で処理して、記録データが再生されることとなる。
このようにして、順次、所望のアドレスに該当する記録データをイメージセンサー32によって捕らえて、ホログラムに応じた像から得られる信号を処理して読み出すことが可能となるものである。ここにおいて、アドレスは記録されたホログラム自体に記録されているので、ホログラムから記録データを再生することによって得られ、予め、ホログラム記録媒体48またはホログラム記録媒体148に配置して記録されるホログラムにどのようにアドレスが割り付けられるかの、ホログラムの配置の位置とアドレス付与のルールが規定されているので、光スポットは、上述したようにしてそのホログラムをアクセスし、そのホログラムからの再生光からの像をイメージセンサー32にサーボの作用によって的確に捉え、その像からの信号を処理して記録データを再生することが可能となる。
上述したようにホログラムからの再生光(回折光)をサーボのための信号として用いる場合には、サーボ用ディテクター54に入射する光ビームは空間的にDCフリー(ディシー・フリー)となる特性を有することが望ましい。すなわち、DCフリーでない場合には、サーボ系にオフセットが生じ、ゲインの一定性が保たれないからである。ここで、空間的にDCフリーとは、ある程度の面積の範囲での光量の和が一定となることを言うものである。つまり、サーボ用ディテクター54に入射する光ビームを微視的に見れば、輝度の高い部分(明部)と輝度の低い部分(暗部)とが空間変調器25の信号光領域25bの液晶素子の要素に応じて分布するものとなっているが、例えば、1ブロックとしての空間変調器25の信号光領域25bの4個の液晶素子の長さの正方形に配置された16個の液晶素子に対応する、サーボ用ディテクター54の領域における信号の光量の和は一定である。これは、1ブロックのデータが16:3符号(16個のうち3個が1になるルールに基づく符号)で空間変調器25が変調され、この空間変調器25で発生した参照光と信号光とによってホログラムが形成されているからである。
空間的にDCフリーとなる符号化は上述した符号化には限られないが、要は、式1、式2、式3の各々で得られるサーボのための誤差信号が、所謂、DCフリーとなる条件をみたすものであれば、どのようなものであっても良いものである。また、DCフリーは、空間的なDCフリー以外では、時間的なDCフリーであっても良い。ここで、時間的なDCフリーとは、サーボ帯域と比較して、サーボが応答しない程度の時間に渡り、例えば、正方形に配置された16個の液晶素子に対応する、サーボ用ディテクター54の領域における信号の光量の時間積分の値が一定の値となることを言うものである。このようなものであれば、サーボ系に悪影響を与えることがないので、上述した空間的DCフリーまたは時間的DCフリーが要求されるものである。
(再生時に記録層に対して光ビームが及ぼす影響について)
ここで、上述した後処理がされている場合には、どのような位置に光スポットが照射されようとも、モノマーがポリマーに変化することはないので、上述したように記録回数を減らすという問題は当初から生じることもないものである。
また、このように再生のための光ビームとサーボのための光ビームとの波長を同一とする場合であって、後処理がされていない場合には、光スポットが照射されることによって、さらに、モノマーがポリマーに変化して、上述した記録できる回数が減るという記録特性の劣化が生じることは避けられない。しかしながら、簡単な構成を有し、温度の影響を受け難く、調整が簡単で、量産性に優れたサーボ機能を有する再生装置を可能とするという実施形態の目的とする解決課題は解決できるものである。
さらに、モノマーがポリマーに変化するか否かの閾値はないが、その反応の速度はレーザー光の強度に依存するものであるので、記録時におけるよりも再生時におけるレーザー光源10からのレーザー光の強度を小さく設定することによって、モノマーがポリマーに変化する度合いを低減することができるものである。
さらに、また、上述したように、出力和信号SSの値がスレッショルドの値を下回る場合にはいずれにしろ適正なサーボ信号が得られないのであるから、例えば、光スポットが次のホログラムに移動する経過時間に相当する時間であって、各々のアクチュエーターの機械的時定数を勘案した短時間だけレーザー光源10からのレーザー光をシャッター12で遮断して、この短時間の間光ビームがホログラム記録媒体48またはホログラム記録媒体148の記録層に照射されることを防止し、サーボの動作に悪影響を与えることなくして、モノマーがポリマーに変化する度合いを低減することもできる。
第1実施形態のホログラム再生装置(ホログラム記録再生装置1として示す構成の中で、少なくとも再生機能を有するような構成物を備える装置)によれば、このようにして、再生のための信号系に用いるレーザー光源10は、サーボ系のレーザー光源としても用いられ、再生のための信号系の光路とサーボのための光路とは大部分が共通に用いられるものであり、集光レンズ52、シリンドリカルレンズ53、サーボ用ディテクター54の部分が別光路となっているだけであり、背景技術に示すような2波長のレーザー光源を用いる場合に生じるような、光路の位置あわせが困難であるという問題は、異なる2波長を用いる場合に較べて大きく改善され、光学部品の精度に対する要求も緩和され、光学部品の相互の位置あわせも楽なものとなり、量産性、信頼性も向上し、再生装置としてのコストも低減できるものである。
また、このような、ホログラム再生装置に用いるホログラム記録媒体は、ホログラム記録媒体48として示すように、背景技術に示すホログラム記録媒体148とは異なり、ダイクロイック膜148d、ギャップ層148cとグルーブおよびピットが形成された反射膜148fとギャップ層148eとを設けないものとして形成されているので、ホログラム記録媒体のコストも低価格なものとできる。
(ホログラム記録をする場合におけるサーボ系の動作の説明)
サーボ情報がホログラムでプリフォーマットされているホログラム記録媒体に記録データを記録する場合には上述したようにしてサーボをおこなうことができるが、このようなプリフォーマットがされていないホログラム記録媒体に対して、ホログラム記録再生装置1においてどのように記録の動作がおこなわれるかについてサーボ系の観点より順序を追って説明する。
記録時においても、フォーカスサーボは必要であるが、ホログラム記録媒体が未記録である場合には、記録済みのホログラムからの回折光を得てフォーカスサーボをおこなうことはできない。したがって、従来からアスティグマ法と知られている手法と同様な手法によってサーボ誤差信号を得るようにする。この場合には、ホログラム記録媒体48の反射膜またはホログラム記録媒体148のダイクロイック膜148dからの反射光がある場合には常時、フォーカス誤差信号SD3が得られるので、再生の動作におけるような複雑な引き込みのための処理は必要とはされない。
記録動作をおこなう場合には、上述したように、空間変調器25の信号光領域25bのパターンを白部のみのパターンまたは黒部と白部とが入り交じったパターンとして、信号光領域25bからの信号光が発生させられる。そして、レーザー光源10からレーザー光を出射して、フォーカス用ピエゾ素子55によってフォーカス方向の光スポットの集光位置を微小量移動させる。この制御は、制御部100からフォーカス用ピエゾ素子55に制御信号を出力することによってなされる。
そして、参照光を照射したことによる再生光(回折光)ではなく信号光を照射したことによる反射光として得られる出力和信号SSの値が所定のスレッショルドを越えたことを確認して、サーボループを接続する。つまり、制御部100においてフォーカス誤差信号SD3を式1に従って演算し、このフォーカス誤差信号SD3に所定の位相補償を施し、この位相補償を施した信号をフォーカス用ピエゾ素子55に供給する。この一連の動作によってフォーカスサーボが適正におこなわれ、光スポットは、ホログラム記録媒体48にあっては反射膜に集光され、ホログラム記録媒体148にあってはダイクロイック膜148dに集光される。ここで、フォーカス誤差信号SD3は通常のアスティグマ法の原理によって得られる。
フォーカスサーボが適正に動作した後は、制御部100からの制御信号によってトラッキング用ピエゾ素子60をフィードフォワード制御して所定量、光スポットを移動させ、または、トラッキング用ピエゾ素子60によって生じる可動部34と光学部の位置基準となる光学部の全体を保持する筐体との間の移動量を検出する図示しない可動部34センサーからの出力に基づきトラッキング用ピエゾ素子60をフィードバック制御して所定量、光スポットを移動させることができる。この場合において、光スポットのトラッキング方向への移動量が所定閾値を越えた場合には、スライド送りモーター56を制御してスピンドルモーター移動台58を筐体に対して移動させて常時、トラッキング用ピエゾ素子60が発生する移動量が所定閾値の範囲となるようにする。
また、タンジェンシャル方向の位置の制御に関しても同様にして、制御部100からの制御信号によって可動ミラー16aに結合された可動ミラーアクチュエーター16bをフィードフォワード制御して所定量、光スポットを移動させ、または、可動ミラー16aに配された図示しない可動ミラー16aの回動角度を検出する可動ミラーセンサーからの出力に基づき可動ミラーアクチュエーター16bをフィードバック制御して所定量、光スポットを移動させることができる。この場合において、光スポットのタンジェンシャル方向への移動量が所定閾値を越えた場合には、スピンドルモーター33を制御して常時、可動ミラーアクチュエーター16bが発生する移動量が所定閾値の範囲となるようにする。
また、タンジェンシャル方向およびトラッキング方向への位置を同時に変化させる斜め方向への位置の制御に関しても、上述したと同様にして、可動ミラーアクチュエーター16bおよびスピンドルモーター33の制御と、トラッキング用ピエゾ素子60およびスライド送りモーター56との両方を制御して光スポットを所望の位置に移動させることができる。
このようにして、ホログラム記録媒体48またはホログラム記録媒体148の記録層のトラッキング方向の所定位置に順次、記録データに応じたホログラムを記録することができる。この場合には、記録データの切り替えの過渡的状態、ホログラム記録媒体48またはホログラム記録媒体148と光スポットとの相対位置が変化中の過渡的状態においても、青色光ビームが記録層に照射され続けることとなるが、反射光から得られるフォーカス誤差信号SD3の信号のレベルは、再生光から得られるフォーカス誤差信号のレベルよりも大きいので、レーザー光源10からレーザー光の光量を小さなもの、例えば、記録時、再生時の1/100〜1/1000の範囲としても十分な性能を有してフォーカスサーボ系は動作することとなる。したがって、上述したように記録可能なページ数を減少させる記録特性の悪化を生じるものの、レーザー光源10からレーザー光の光量が少ないので大きな障害となることはなく、ホログラムの記録は良好におこなわれるものである。
また、記録データの切り替えの過渡的状態、ホログラム記録媒体48またはホログラム記録媒体148と光スポットとの相対位置が変化中の過渡的状態の時間的な長さをフォーカスサーボループの応答ができない程度の長さとして、この短時間の間だけ、制御部100が光ビームの透過を妨げるようにシャッター12を遮蔽して、上述した記録可能なページ数を減少させる記録特性の悪化の度合いを低下させることができる。
また、光スポットとホログラム記録媒体48またはホログラム記録媒体148との相対位置の変化が終了して、ホログラムの記録が開始されホログラムの記録が終了されるまでの時間(記録時間)と、目的とする位置へ移動する等の記録のための準備の時間(記録準備時間)とで光ビームの強度を切り替え、記録準備時間においては、光ビームの強度をより弱いものとして、記録可能なページ数を減少させる記録特性の悪化の度合いを低下させることができる。
なお、当然に、上述したようにしてホログラム記録媒体から記録データを再生する機能と上述したようにしてホログラム記録媒体に記録データを記録する機能とを備えるホログラム記録および再生装置としてホログラム記録再生装置1を構成するものとしても良いものである。
第1実施形態においては、サーボ手段の一実施形態を構成する光学部品としては、主要光学部品としての、ビームスプリッター51、集光レンズ52、シリンドリカルレンズ53、穴あきトロイダルレンズ153、穴あきシリンドリカルレンズ253、サーボ用ディテクター54、サーボ用ディテクター154、に加え、フーリエ変換レンズ29、ミラー30、フーリエ変換レンズ31、イメージセンサー32以外の記録再生の機能を発揮させるために、サーボ系と共用される光学部材が該当する。また、第1実施形態においては、サーボ手段の一実施形態を構成する主なる機構部品としては、光ビームをタンジェンシャル方向に移動させるアクチュエーターとして機能する可動ミラーアクチュエーター16bおよびスピンドルモーター33、トラッキングアクチュエーターとして機能するトラッキング用ピエゾ素子60およびスライド送りモーター56、フォーカスアクチュエーターとして機能するフォーカス用ピエゾ素子55が該当する。また、第1実施形態においては、サーボ手段の一実施形態を構成する制御部としては、制御部100が該当する。
(第1実施形態のホログラム記録再生装置の変形例)
図1に示す第1実施形態のホログラム記録再生装置は、ホログラムが形成されているホログラム記録媒体に対しては、ホログラムからの再生光からサーボ信号を得て、フォーカスサーボ、トラッキング(ラジアル)サーボ、タンジェンシャルサーボをおこない、ホログラムが形成されていないホログラム記録媒体に対しては反射光からフォーカスサーボ信号を得てフォーカスサーボをおこない、トラッキングサーボ、タンジェンシャルサーボについてはフィードフォワード制御をおこなうものであった。しかしながら、上述したように、フォーカスサーボをオンとする(最初に引き込む)ための手順が煩雑であった。これを解決して、フォーカスサーボを容易にオンとするのが、以下に説明するシリンドリカルレンズ53に替えて穴あきトロイダルレンズ153または穴あきシリンドリカルレンズ253およびサーボ用ディテクター154を用いるホログラム記録再生装置である。サーボ用ディテクター154は、穴あきトロイダルレンズ153または穴あきシリンドリカルレンズ253によって形成される像に対応して複数の受光素子(ディテクター)が一体に形成されている。
図9に穴あきトロイダルレンズ153を示す。図9の(A)は光ビーム進行方向と垂直な面の形状を示すものであり、図9の(B)は底面から見た形状を示すものであり、凸状の形状を有している。また、図9の(C)は側面から見た形状を示すものであり、凹状の形状を有している。図9の(A)に示すように、穴あきトロイダルレンズ153はその中央部に再生光を透過させる開口を有している。
図10は、サーボ用ディテクター154を示すものである。ディテクターDA2ないしディテクターDD2を付した部分は、図6に示すディテクターDAないしディテクターDDと同様の機能を有するものである。また、穴あきトロイダルレンズ153とサーボ用ディテクター154との配置関係(母線の位置との関係)は図5に示すと同様である。また、穴あきシリンドリカルレンズ253とサーボ用ディテクター154との配置関係も穴あきトロイダルレンズ153とサーボ用ディテクター154との配置関係と同様である。
このような構成において、以下のようにしてフォーカスサーボをおこなう。空間変調器25の参照光領域25aのパターンを白部のみのパターンまたは黒部と白部とが入り交じったパターンとして、信号光領域25bのパターンを黒部のみのパターンとして、参照光領域25aからの参照光を発生させる。この参照光をホログラム記録媒体に照射して、反射光を穴あきトロイダルレンズ153または穴あきシリンドリカルレンズ253を介してサーボ用ディテクター154で受光する。このとき、ホログラムが記録されている記録層に参照光が照射される場合には、再生光も同時に発生することとなり、この場合には、再生光は、ディテクターDA2ないしディテクターDD2に照射される。一方、参照光の反射光は図10に斜線部で示すように、ディテクターA1ないしディテクターD1のいずれかで検出され、このディテクターA1ないしディテクターD1に照射される反射光の形状はリング状となる。
このリング状の形状は従来のアスティグマ法と同様に、合焦点では円形となり、合焦点から離れると円形から楕円形に変形し、その楕円の長軸の方向は、合焦点が望ましい合焦点の前側であるか後ろ側であるかによって異なるように予め調整されている。したがって、参照光の反射光を、ディテクターA1ないしディテクターD1で検出して、ディテクターA1からの信号を信号SSA1、ディテクターB1からの信号を信号SSB1、ディテクターC1からの信号を信号SSC1、ディテクターD1からの信号を信号SSD1として、式1に示す演算によって、ホログラム記録媒体からの反射光を用いるフォーカス誤差信号SD4を得ることができる。この検出方式は、従来、アスティグマ法と称されている方法と原理的には同様であるが、リング形状として反射光が得られることが、本実施形態における特徴である。
SD4={(SSA1+SSD1)−(SSB1+SSC1)}/(SSA1+SSB1+SSC1+SSD1)・(4)
また、ディテクターDA2からの信号を信号SA、ディテクターDB2からの信号を信号SB、ディテクターDC2からの信号を信号SC、ディテクターDD2からの信号を信号SDと置き換えることによって、上述した式1ないし式3に示す演算によって、タンジェンシャル誤差信号SD1、ラジアル(トラッキング)誤差信号SD2の各々を得ることができる。
このようにして、フォーカス誤差信号SD4を得て、このフォーカス誤差信号SD4によってフォーカスサーボをおこなうことができる。フォーカス誤差信号SD4によってフォーカスサーボをおこなうに際しは、タンジェンシャサーボ、トラッキング(ラジアル)サーボについて考慮をする必要がないので、フォーカスサーボを容易におこなえる(フォーカスサーボの引き込みを容易におこなえる)。
図11は穴あきシリンドリカルレンズ253の構造を示すものである。穴あきシリンドリカルレンズ253は、図5に示すシリンドリカルレンズ53と同様の形状をなして、中央部に再生光を透過させる開口を有するものである。穴あきトロイダルレンズ153と異なる点は、図11の(A)に示すように光ビームが進行する方向に垂直な面の形状(平面図)は、図10における穴あきトロイダルレンズ153についての図10の(A)と同様であり、光ビームが進行する方向におけるシリンドリカルレンズ253の断面の形状については、一方向については、図11の(B)に示すように凸レンズ、または、図示はしないが凹レンズの形状とするものである。他方向の断面については、図11の(C)に示すように、レンズを形成しないようにレンズ表面は平坦形状とされている。このような構成を有する穴あきシリンドリカルレンズ253によっても、図10に模式的に示すような集光特性を得ることができる。
また、1/4波長板26に替えて、1/4波長板の機能も有する液晶偏光回折格子を採用する場合には、参照光がサーボ系に混入しないという利点がある。
(第2実施形態のホログラム記録再生装置)
図12に示す第2実施形態のホログラム記録再生装置2は、サーボのための光路を記録再生系とは別に設けることはないものである。つまり、イメージセンサー32は、記録データの記録再生のための信号系の一部として構成され、記録再生の一部としての機能を有するのみならず、サーボ系の一部として構成され、サーボ系の一部としての機能を有するものである。そのために、第1実施形態のホログラム記録再生装置1におけるサーボのための光路を形成する集光レンズ52、サーボ用ディテクター54、サーボ用ディテクター154のいずれも設ける必要がないものである。これによって、光路の構成を簡単にすることができることに加え、記録再生の光学系の光学部材とサーボ系の光学部材との相互の位置関係の調整をより簡単にすることができる。
サーボのための光路を形成する光学部品として、穴あきトロイダルレンズ153、フーリエ変換レンズ129、フーリエ変換レンズ131が設けられている。第1実施形態およびその変形例におけると同様の構成を有し同様の作用を奏する部材には、第1実施形態およびその変形例におけると同一の符号を付してその説明を省略する。ここで、ホログラムの記録において機能する構成物からなる装置は、ホログラム記録装置でもあり、ホログラムの再生において機能する構成物からなる装置は、ホログラム再生装置でもあるが、以下の説明においては、ホログラム記録装置とホログラム再生装置とを分けることなく、ホログラム記録再生装置として、記録機能、再生機能について、説明をする。
ホログラム記録再生装置2は、穴あきトロイダルレンズ153がイメージセンサー32に照射される光ビームに作用するように配置されている点に特徴を有する。つまり、穴あきトロイダルレンズ153は、参照光によって生じる反射光および参照光によって生じるホログラムからの再生光(回折光)が、イメージセンサー32の受光素子の上に生じさせる像の形態に変化を与えるように作用する。
また、イメージセンサー32は、式1ないし式4において検出されるフォーカス誤差信号SD4を検出するサーボ系の一部として機能し、タンジェンシャル誤差信号SD1を検出するサーボ系の一部として機能し、ラジアル誤差信号SD2を検出するサーボ系の一部として機能する。フォーカス誤差信号SD3およびフォーカス誤差信号SD4、タンジェンシャル誤差信号SD1、ラジアル誤差信号SD2をどのようにして検出するかについては後述する。
図13は、ホログラム記録媒体48またはホログラム記録媒体148に記録されたホログラムから記録データを読み出すに場合に、参照光によって発生される再生光によってイメージセンサー32に形成される像および参照光によって発生される反射光によってイメージセンサー32に形成される像を模式的に示すものである。図13の(A)ないし図13の(C)の各々において、分割された格子の各々は2次元に配置されたイメージセンサー32を形成する受光素子を示すものであり、実際の受光素子の数は、図13に示された数よりもはるかに多く、数万個に達するが、説明を簡単にして模式的に示すために30行、30列の配置で表している。
このような像をイメージセンサー32に配置する場合には、イメージセンサー32を第1実施形態において用いたサーボ用ディテクター54が果たして機能を奏するものとして機能させることとなるが、この場合には、図13の(A)ないし図13の(C)の模式図の各々において、イメージセンサー32を略等面積の4つの領域を有するように、水平方向と垂直方向に分割して用いている。例えば、左上隅、かつ左上隅の領域を第1実施形態の変形例におけるディテクターA1と対応させ(以下、領域A2と称する)、右上隅、右上隅の領域を第1実施形態の変形例におけるディテクターB1と対応させ(以下、領域B2と称する)、左下隅、かつ左下隅の領域を第1実施形態の変形例におけるディテクターC1と対応させ(以下、領域C2と称する)、右下隅、かつ左下隅の領域を第1実施形態の変形例におけるディテクターD1と対応させる(以下、領域D2と称する)ものである。
また、1実施形態の変形例におけるディテクターDA2と略対応する領域を領域DA3で表し、1実施形態の変形例におけるディテクターDB2と略対応する領域を領域DB3で表し、1実施形態の変形例におけるディテクターDC2と略対応する領域を領域DC3で表し、1実施形態の変形例におけるディテクターDD2と略対応する領域を領域DD3で各々表すものである。ここで、図13における、領域DA3ないし領域DD3を構成する各々のディテクター(図13の(A)ないし図13(C)に示す升目)の数は、説明を簡単にするために少なく書かれているが、実際には万を単位とする個数である。
このようにすれば、式2、式3、式4に各々示されるフォーカス誤差信号SD4、タンジェンシャル誤差信号SD1、ラジアル(トラッキング)誤差信号SD2の各々をイメージセンサー32から得ることができる。参照光をホログラム記録媒体に照射して得られる反射光が形成する像は、図13の(A)ないし図13の(C)に斜線部で表され、参照光をホログラム記録媒体に照射して得られる再生(回折光)が形成する像は、領域DA3ないし領域DD3で検出される。再生光の一部は、ホログラムと記録層に集光される光スポットとの位置関係によっては領域A2ないし領域D2にも漏れ込む場合があるが、再生光の光量は反射光の光量に較べて小さいので、領域A2ないし領域D2から得られるフォーカス誤差信号SD4に対する再生光が及ぼす影響は少ない。
図13の(B)は、光スポットが記録層に丁度、焦点(フォーカス)を結んだときの像を模式的に示すものであり、図13の(A)は、光スポットが記録層の手前側に焦点を結んだときの像を模式的に示すものであり、図13の(C)は、光スポットが記録層の反射層側に焦点を結んだときの像を模式的に示すものである。図13の(B)に示す像が、イメージセンサー32から記録データを再生するための最も良好となる像であって、図13の(B)に示すような像が形成されるようにフォーカスサーボを、フォーカス誤差信号SD4を用いて動作させ、ホログラムの記録再生をおこなうことができる。
また、図13に示す、領域DA3、領域DB3、領域DC3、領域DD3の真ん中(円の中心部)にホログラムからの再生光の像を形成するように、タンジェンシャル方向、ラジアル方向への位置を制御すれば、ホログラム記録媒体48またはホログラム記録媒体148に記録されたホログラムから良好なる記録データが再生できることとなる。
イメージセンサー32の中心部付近にホログラムからの再生光によって形成される像を配置されるようにするために、図13の(B)に示すように反射光のイメージを形成した後に、イメージセンサー32を第1実施形態において用いたサーボ用ディテクター54と同様に機能させ、タンジェンシャルサーボおよびラジアルサーボをおこなうこととなる。
式1、式2、式4に各々示される、タンジェンシャル誤差信号SD1、ラジアル(トラッキング)誤差信号SD2、フォーカス誤差信号SD4の各々は以下のようにして検出される。タンジェンシャル誤差信号SD1とラジアル(トラッキング)誤差信号SD2については、ディテクターDAからの信号に替えて領域DA3からの信号の和の信号を用い、ディテクターDBからの信号に替えて領域DB3からの信号の和の信号を用い、ディテクターDCからの信号に替えて領域DC3からの信号の和の信号を用い、ディテクターDDからの信号に替えて領域DD3からの信号の和の信号を用いて式1、式2によって検出することができる。ここで、領域DA3からの信号の和の信号、領域DB3からの信号の和の信号、領域DC3からの信号の和の信号、領域DD3からの信号の和の信号の各々を求める演算は、制御部100においておこなわれ、アナログ量として得られる各々の受光素子からの光量に応じたレベルの信号をアナログ加算した値が和の信号として得られる。
また、フォーカス誤差信号SD4については、ディテクターA1からの信号に替えて領域A2からの信号の和の信号を用い、ディテクターB1からの信号に替えて領域B2からの信号の和の信号を用い、ディテクターC1からの信号に替えて領域C2からの信号の和の信号を用い、ディテクターD1からの信号に替えて領域D2からの信号の和の信号を用いて式4によって検出することができる。この演算についても制御部100でおこなわれる。
再生系、記録系、サーボ系の各々の動作は第1実施形態と変わるものではないので説明を省略する。
第2実施形態のホログラム再生装置(ホログラム記録再生装置2として示す構成の中で、少なくとも再生機能を有するような構成物を備える装置)によれば、このようにして、再生のための信号系に用いるレーザー光源10は、サーボ系のレーザー光源としても用いられ、再生のための信号系の光路とサーボのための光路とは共通に用いられるものであり、背景技術に示すような2波長のレーザー光源を用いる場合に生じるような、光路の位置あわせが困難であるという問題は、異なる2波長を用いる場合に較べて大きく改善され、光学部品の精度に対する要求も緩和され、光学部品の相互の位置あわせも楽なものとなり、量産性、信頼性も向上し、再生装置としてのコストも低減できるものである。
また、このような、ホログラム再生装置に用いるホログラム記録媒体は、ホログラム記録媒体48として示すように、背景技術に示すホログラム記録媒体148とは異なり、ダイクロイック膜148d、ギャップ層148cとグルーブおよびピットが形成された反射膜148fとギャップ層148eとを設けないものとして形成されているので、ホログラム記録媒体のコストも低価格なものとできる。
なお、当然に、上述したようにしてホログラム記録媒体から記録データを再生する機能と上述したようにしてホログラム記録媒体に記録データを記録する機能とを備えるホログラム記録および再生装置としてホログラム記録再生装置2を構成するものとしても良いものである。
第2実施形態においては、サーボ手段の一実施形態を構成する光学部品としては、記録再生のための光学部材とサーボのための光学部材とが完全に一致をしており、すべての光学部品が該当する。また、第2実施形態においては、サーボ手段の一実施形態を構成する主なる機構部品としては、光ビームをタンジェンシャル方向に移動させるアクチュエーターとして機能する可動ミラーアクチュエーター16bおよびスピンドルモーター33、トラッキングアクチュエーターとして機能するトラッキング用ピエゾ素子60およびスライド送りモーター56、フォーカスアクチュエーターとして機能するフォーカス用ピエゾ素子55が該当する。また、第2実施形態においては、サーボ手段の一実施形態を構成する制御部としては、制御部100が該当する。
(第2実施形態の記録再生装置の変形例)
第2実施形態の記録再生装置の再生動作における変形例を示す。空間変調器25の信号光領域25bに記録データに応じた表示形態とする際に特徴的な位置調整用シンクパターンを入れることができる。ここで、特徴的というのは空間的な表示態様が所定の符号化からの所謂、アウトオブルールとなる態様である。図14に信号光領域25bにおける位置調整用シンクパターンの態様を模式的に示す。なお、図14では各々の受光素子の区切りは記載されていない。また、図14に示す態様はイメージセンサー32における位置調整用シンクパターンの態様でもある。より小さな黒四角が通常のシンクパターン(以下、通常シンクパターンと称する)、より大きな黒四角がビーム位置調整に使用する特別なシンクパターン(位置調整用シンクパターン)である。この、より大きな黒四角が配されるべき位置が予め定められており、その位置からトラック方向にずれると像の全体も含め、より大きな黒四角が紙面の左右方向にずれ、タンジェンシャル方向にずれると像の全体も含め、より大きな黒四角が紙面の上下方向にずれ、トラック方向およびタンジェンシャル方向にずれると像の全体も含め、より大きな黒四角が斜め方向にずれる。
すなわち、この変形例では、像の位置を特定するための基準マーカーとしてより大きな黒四角が像に配されており、受光素子で受光される基準マーカーの位置を例えば、直交座標で特定する。この場合の特定は、その基準マーカーが受光されるイメージセンサー32の受光素子の配列された位置とするものである。そして、上述の直交座標はタンジェンシャル方向とラジアル方向とに選ばれているので、座標変換を施すことなくそのまま、タンジェンシャル誤差信号、ラジアル誤差信号として用いることができるものである。
以下のアルゴリズムによって、制御部100は、このより大きな黒四角の位置ずれを検出する。
まず、制御部100は、イメージセンサー32の原点(0,0)の位置から、例えば、ラジアル方向に±50個の受光素子、タンジェンシャル方向に±50個の受光素子の範囲にある合計画素にある合計10000個の受光素子を信号のレベルを検索して、その10000個の範囲内にこのより大きな黒四角が4個とも存在するか否かを検出する。
もし、4個が見つからない場合には捜査の範囲を異ならせて、別の10000個を捜査する。そして、4個ともその範囲内のものとなるようにする。
2次元の格子状に配置された受光素子の2次元の位置に対応する位置座標として、位置調整用シンクパターンが存在する位置の中心の座標の各々を座標(T1、R1)、座標(T2、R2)、座標(T3、R3)、座標(T4、R4)として検出する。ここで、T1ないしT4はタンジェンシャル方向の位置、R1ないしR4はラジアル方向の位置を示すものである。
T1+T2+T3+T4を計算してその値(和)をタンジェンシャル誤差信号としてタンジェンシャル誤差信号SD1と同様にサーボ系の制御に用いる。また、R1+R2+R3+R4を計算してその値(和)をラジアル(トラッキング)誤差信号としてラジアル(トラッキング)誤差信号SD2と同様にサーボ系の制御に用いる。以下の説明では、このような各々の誤差信号に、タンジェンシャル誤差信号SD1、ラジアル(トラッキング)誤差信号SD2の名称を付して用いる。
なお、最適位置からずれるに従って合計して数万個の受光素子からの信号の加算値(和)である出力和信号SSの値は小さくなり、タンジェンシャル誤差信号SD1とラジアル誤差信号SD2の値は各々、零からずれた値となる。つまり、式2、式3で求めたタンジェンシャル誤差信号SD1とラジアル誤差信号SD2と同じような性質の信号となるが、出力和信号SSでの割り算の操作は必須ではなく、省くこともできる。また、このより大きな黒四角に替えて他のユニークパターンを用いても良く、検査をする領域は正方形の領域ではなく、他の形状の領域であっても良く、このようなユニークパターンは、一直線じょうに配置されない3以上であることが、検出精度を向上させる点からは望ましいが、1つであっても、同様な作用を奏することができるものである。
このような方法によって、タンジェンシャル誤差信号SD1と、ラジアル誤差信号SD2とを求める場合には、制御部100は、より大きな黒四角で代表されるような基準マーカーとして機能するユニークパターン(位置調整用シンクパターン)を見つける操作は必要であるが、受光素子からの信号のレベルを加算し、出力和信号SSで割り算する必要がなく、より演算ステップを少なくして処理を高速化できる。
(第3実施形態のホログラム記録再生装置)
図15に、フーリエ変換レンズ62およびフーリエ変換レンズ63を有する第3実施形態のホログラム記録再生装置であるホログラム記録再生装置3を示す。ホログラム記録再生装置3では、サーボ用ディテクター54にホログラムから生じる再生光によって形成される空間変調器25に形成されたと同様なフーリエ変換像が結像する。ホログラム記録媒体48またはホログラム記録媒体148の記録層における回折光の状態がそのままサーボ用ディテクター54に反映するのが利点である。ここで、1/4波長板26に替えて液晶偏光回折素子126が用いられている。
液晶偏光回折素子126を用いる理由は、反射光と再生光とを分離するためである。フーリエ像の場合には、サーボ光学系に参照光の反射光が入ると信号光の回折光と混ざってしまう。ここで、反射光のほうが千倍程度強いので、事実上、回折光ではなく反射光でサーボをかけることになってしまう。これを避けるため、液晶偏光回折素子126を配置し、サーボ系に反射光が混ざらないようにするものである。また、サーボ用ディテクター54の前にはシリンドリカルレンズ53が、母線を45°として配置されている。
第3実施形態のホログラム記録再生装置3におけるサーボの動作を簡単に説明する。空間変調器25の信号光領域25bのすべてを白部、参照光領域25aのすべてを黒部として、ホログラム記録媒体に光ビームを照射する。ホログラム記録媒体からの反射光は、液晶偏光回折素子126によって参照光部分はカットされ、信号光部分は通過する。反射光は元々信号光部分のみなので同素子を通過し、そのフーリエ変換像がサーボ用ディテクター54を照射するので、これを使ってフォーカスサーボをかける。
第3実施形態では、第1実施形態におけると同様にサーボ用ディテクター54から出力和信号SS、タンジェンシャル誤差信号SD1と、ラジアル誤差信号SD2を生成して、同様の方法で位置の微調をおこなえる。この場合、サーボ用ディテクター54上ではフーリエ像なので、第1実施形態のような実像での明暗の巨視的な一様性が不要である。そのために、第1実施形態では、ホログラム記録媒体48またはホログラム記録媒体148の記録層における光スポットの位置が最適ではないとサーボ用ディテクター54上のフーリエ像の明暗にアンバランスが生じるものであったが、第3実施形態ではこのようなことはなく、記録信号フォーマットの制限が緩くなる。
なお、当然に、ホログラム記録媒体から記録データを再生する機能を有するホログラム再生装置、ホログラム記録媒体に記録データを記録する機能を備えるホログラム記録装置、または、ホログラム記録媒体から記録データを再生する機能とホログラム記録媒体に記録データを記録する機能とを備えるホログラム記録および再生装置としてホログラム記録再生装置3を構成するものとしても良いものである。
第3実施形態においては、サーボ手段の一実施形態を構成する光学部品としては、主要光学部品としての、ビームスプリッター51、フーリエ変換レンズ62、フーリエ変換レンズ63、シリンドリカルレンズ53、サーボ用ディテクター54に加え、フーリエ変換レンズ29、ミラー30、フーリエ変換レンズ31、イメージセンサー32以外の光学部材が該当する。また、第3実施形態においては、サーボ手段の一実施形態を構成する主なる機構部品としては、光ビームをタンジェンシャル方向に移動させるアクチュエーターとして機能する可動ミラーアクチュエーター16bおよびスピンドルモーター33、トラッキングアクチュエーターとして機能するトラッキング用ピエゾ素子60およびスライド送りモーター56、フォーカスアクチュエーターとして機能するフォーカス用ピエゾ素子55が該当する。また、第3実施形態においては、サーボ手段の一実施形態を構成する制御部としては、制御部100が該当する。
(第4実施形態のホログラム記録再生装置)
図16に示す第4実施形態としてのホログラム記録再生装置4は、少なくとも、参照光を3分割するグレーティング80と、3分割された各々の参照光を相互に異なる位置に形成された3個のホログラムに照射して発生する3つの再生光を受光する3個の受光素子からなるサーボ用ディテクター254と、を具備し、制御部は、少なくとも2個の受光素子からの明度に応じた受光信号を演算してトラッキング用ピエゾ素子60を制御することを特徴とするものである。
ホログラム記録再生装置4ではグレーティング80およびサーボ用ディテクター254を有する点に特徴がある。グレーティング80は光ビームを3分割するためものである。図17に示すように、この3本のビームはホログラム記録媒体48またはホログラム記録媒体148の記録層において半径方向の異なる位置に3つの光スポットを生じる。
図18に示すようにトラックに対して、3個の光スポットを並べる。ここで、光スポットS−1と光スポットS+1とのラジアル方向(半径方向)の離間距離は、トラックピッチTpの1を含める整数倍と異なるものとされている。一方、記録時において形成されるホログラムの位置は丁度トラックの中心上にある。
図19に示すように、サーボ用ディテクター254は、上述したサーボ用ディテクター54の両脇に配置された−1次光が形成する光スポットS−1の戻り光を検出するトラッキング用フォトディテクタD−1と、+1次光が形成する光スポットS−2の戻り光を検出するトラッキング用フォトディテクタD+1とが付加されるものである。そして、トラッキング用フォトディテクタD−1とトラッキング用フォトディテクタD+1よって得られる各々の信号の差信号を検出する。このようにして検出したラジアル誤差信号は、図20に示すものとなる。ここで、差信号であるラジアル誤差信号SD2の値が零となる場合に光スポットSoが各々のホログラムが形成される中心線であるトラックの真上に来るように予め調整しておけば、ラジアル誤差信号SD2を零とするようなサーボをおこなうことによって、適正なトラッキングサーボが可能となる。
なお、当然に、ホログラム記録媒体から記録データを再生する機能を有するホログラム再生装置、ホログラム記録媒体に記録データを記録する機能を備えるホログラム記録装置、または、ホログラム記録媒体から記録データを再生する機能とホログラム記録媒体に記録データを記録する機能とを備えるホログラム記録および再生装置としてホログラム記録再生装置4を構成するものとしても良いものである。
第4実施形態においては、サーボ手段の一実施形態を構成する光学部品としては、主要光学部品としての、グレーティング80、ビームスプリッター51、集光レンズ52、シリンドリカルレンズ53、サーボ用ディテクター254に加え、フーリエ変換レンズ29、ミラー30、フーリエ変換レンズ31、イメージセンサー32以外の光学部材が該当する。また、第4実施形態においては、サーボ手段の一実施形態を構成する主なる機構部品としては、光ビームをタンジェンシャル方向に移動させるアクチュエーターとして機能する可動ミラーアクチュエーター16bおよびスピンドルモーター33、トラッキングアクチュエーターとして機能するトラッキング用ピエゾ素子60およびスライド送りモーター56、フォーカスアクチュエーターとして機能するフォーカス用ピエゾ素子55が該当する。また、第4実施形態においては、サーボ手段の一実施形態を構成する制御部としては、制御部100が該当する。
(第5実施形態、第6実施形態および第7実施形態のホログラム記録再生装置)
図21に沿って第5実施形態、図22に沿って第6実施形態、図23に沿って第7実施形態のホログラム記録再生装置について説明をする。第5実施形態のホログラム記録再生装置は、第2実施形態のホログラム記録再生装置2の構成を基本構成として有し、第6実施形態のホログラム記録再生装置は、第3実施形態のホログラム記録再生装置3の構成を基本構成として有し、第7実施形態のホログラム記録再生装置は、第1実施形態のホログラム記録再生装置1およびこの変形例の構成を基本構成として有し、記録再生のため、およびサーボのための青色光ビームを出射するレーザー光源10のみではなく、さらに、サーボのための赤色光ビームを出射するサーボ用レーザー光源68を有し、サーボ用レーザー光源68からの光ビームを導く光路を具備するものである。サーボ用レーザー光源68からの光ビームを導く光路は、グレーティング61、コリメートレンズ65、ビームスプリッター67、ビームスプリッター70、集光レンズ71、シリンドリカルレンズ72で形成され、光路に導かれた光ビームはサーボ用ディテクター73で受光される。
そして、サーボ用レーザー光源68からの光ビームは、ホログラム記録媒体148の記録層に反応を生じさせない波長とされている。また、赤色光ビームを用いるために、ホログラム記録媒体148のダイクロイック膜148dを光ビームは透過して、反射膜148fに形成されたグルーブ、グルーブおよびピット、または、ピットからの反射光によってフォーカス誤差信号を得、反射膜148fに形成されたグルーブ、グルーブおよびピット、または、ピットからの回折光によってトラッキング誤差信号、タンジェンシャル誤差信号を得て、これらに基づき、フォーカスサーボ、トラッキングサーボ、タンジェンシャルサーボをおこなうことができる。
記録再生の動作をおこなわない場合、例えば、目的の記録層の領域に光スポットを移動させる場合、または、記録再生の動作をおこなわない待機状態では、サーボ用レーザー光源68からの光ビームでサーボの動作をおこない。記録再生の動作をおこなう場合にはレーザー光源10からの光ビームでもサーボをおこなうものである。ここで、ホログラムが既に記録されているホログラム記録媒体(記録データに応じたホログラムからサーボ信号を得ることができるようなホログラム記録媒体、または、サーボのためのホログラムが予め記録されているホログラム媒体)に対して記録再生の動作をおこなう場合においてはレーザー光源10からの光ビームを用いてフォーカスサーボ、トラッキングサーボ、タンジェンシャルサーボのすべてをおこなうことができ、ホログラムが記録されていないホログラム記録媒体に対して記録の動作をおこなう場合においてはレーザー光源10からの光ビームを用いてフォーカスサーボをおこなうことができる。さらに、記録再生の動作をおこなう場合においても、フォーカスサーボについては、常時、サーボ用レーザー光源68からの光ビームでサーボをおこない、タンジェンシャルサーボおよびラジアルサーボについてはレーザー光源10からの光ビームを用いサーボをおこなうものとしても良いものである。
(第5実施形態のホログラム記録再生装置)
図21に示す第5実施形態のホログラム記録再生装置5を示す。ホログラム記録再生装置5を構成する光学部材で第2実施形態におけると同様の構成を有し、同一の作用を奏する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
サーボ用レーザー光源68は光ビームとして、例えば、波長660nmの赤色レーザー光を出射する。グレーティング61は、ホログラム記録媒体148に形成されたグルーブを有する反射膜148fに照射し、回折光を検出するサーボ方式である3スポット法によってトラッキングエラーを得るために光ビームを3分割する。コリメートレンズ65は光ビームを平行光とする。ビームスプリッター67で、レーザー光源10からの波長405nmの青色のレーザー光とサーボ用レーザー光源68からの波長660nmの赤色レーザー光とはそれ以降は同一の光路を通過するようにされる。
ホログラム記録媒体148の反射膜148fで反射した波長660nmの赤色レーザー光は、ビームスプリッター70で反射して集光レンズ71、シリンドリカルレンズ72を通過して、サーボ用ディテクター73で受光される。ここで、サーボ用ディテクター73からの信号は制御部100に入力されて、CDにおけると同様の原理で、反射膜148fからの戻光を用いてアスティグマ法によってフォーカスサーボのためのフォーカス誤差信号が、3スポット法またはプッシュプル法によって反射膜148fのグルーブから回折光を用いてトラッキングのためのラジアル誤差信号が、反射膜148fにグルーブ替えてピットが形成される場合には、所謂、タンジェンシャルプッシュプル検出法によってタンジェンシャルサーボのためのタンジェンシャル誤差信号の各々が得られる。ここで、サーボ用光路の光学部品と記録再生用光路の光学部品との位置関係は予め調整されているので、波長660nmの赤色レーザー光を用いて、上述したサーボ用の誤差信号を得て、この信号に基づいて、可動ミラーアクチュエーター16b、スピンドルモーター33、可動部34、スライド送りモーター56を波長660nmの赤色レーザー光を用いて検出したサーボ信号で制御することによってサーボは円滑におこなわれる。
そして、再生をおこなう場合には、サーボは、上述した図12に示す第2実施形態における同様にすでに記録されたホログラムからの再生光に基づき、波長405nmの青色のレーザー光によって、各種サーボ信号が得られ、この青色のレーザー光によって検出されたサーボ信号によって、可動ミラーアクチュエーター16b、スピンドルモーター33、可動部34、スライド送りモーター56は制御される。
また、記録をおこなう場合には、サーボは、図12に示す第2実施形態におけると同様におこなうことができるが、波長660nmの赤色レーザー光を用いてホログラム記録媒体148の反射膜148fに形成されたグルーブまたはピットから検出したトラッキング誤差信号で、トラッキングサーボ、ホログラム記録媒体148の反射膜148fに形成されたピットから検出したタンジェンシャル誤差信号でタンジェンシャルサーボをおこなえば、フィードフォワードではなく、フィードバック制御によって、タンジェンシャルサーボとトラッキングサーボとを円滑におこなうことができる。
ここで、波長660nmの赤色レーザー光を用いて検出したサーボ信号で制御するか、この青色のレーザー光によって検出されたサーボ信号によって制御するかの切り替えは制御部100によって容易におこなわれる。現在の動作モードが記録モードであるか、再生モードであるか、所定の領域へのアクセスモードであるか、あるいは待機状態であるかの制御は制御部100でおこなわれるからである。
また、制御部100は、赤色レーザー光によって形成される光スポット(赤色光スポット)の位置と、青色レーザー光によって形成される光スポット(青色光スポット)の位置とを調整して、記録再生のおける両者の位置の最適化を図ることができる。すなわち、赤色レーザー光が通過する光路の配置(光学部品の配置)と青色レーザー光が通過する光路の配置(光学部品の配置)とによって、赤色スポットと青色スポットとの相互の位置関係は基本的に定まるものであるが、制御部100において、各々のサーボ系における、所謂、オフセット調整によって、微細範囲での赤色スポットと青色スポットとの相互の位置関係を調整することができる。
赤色レーザー光を用いて検出したサーボ信号で制御するか、あるいは青色のレーザー光によって検出されたサーボ信号によって制御するかをどのように制御部100でおこなうかについて、記録時における動作と再生時における動作とを分けてより具体的に説明する。
ホログラム記録媒体148にホログラムが形成されていない場合を例として、記録時における切り替えの動作を説明する。サーボ用レーザー光源68から波長660nmの赤色レーザー光を発光させる。上述したように、アスティグマ法によってフォーカスサーボが、3スポット法または1スポットプッシュプル法によってトラッキングサーボが、タンジェンシャルプッシュプル法によってタンジェンシャルサーボがおこなわれる。グルーブまたはピットからアドレス信号を読み出し、制御部100は光スポットを記録層148bの所望の領域に配置する。タンジェンシャルサーボはこのときに、タンジェンシャル方向の位置決めのために用いることができる。このようにして、待機状態(何ら積極的な動作をおこなわず、少なくともフォーカスサーボをおこなう状態)、シーク状態(グルーブまたはピットの形態の変化として規定されたアドレスを目標として光スポットを移動させる状態)では赤色光ビームによってサーボをおこなうことができる。
アドレスを頼りにホログラム記録媒体の所望の領域に赤色レーザー光の光スポットを集光した後に、記録に用いるのは青色光ビームであるので、記録の直前(時間的に直前)に、すなわち、記録をおこなうに際して、サーボ用レーザー光源68からの光ビームの発射を停止して、レーザー光源10からの青色光ビームを発射して上述した、青色光ビームを用いてサーボをおこなう。この場合に赤色光ビームの光スポットの位置と青色光ビームの光スポットの位置とは、予め関連づけられているので、瞬時に切り替えることによって赤色光ビームによる光スポットと青色光ビームによる光スポットとは記録層148bの同一の領域を照射することができる。そして上述したように、青色光ビームによって、フォーカスサーボのみをおこない、トラッキング方向、ラジアル方向は、フィードフォワード制御として良好なる記録特性を得ることができる。
ホログラム記録媒体148にホログラムが形成されている場合を例として、再生時における切り替えの動作を説明する。サーボ用レーザー光源68から波長660nmの赤色レーザー光を発光させる。上述したように、アスティグマ法によってフォーカスサーボが、3スポット法または1スポットプッシュプル法によってトラッキングサーボが、タンジェンシャルプッシュプル法によってタンジェンシャルサーボがおこなわれる。グルーブまたはピットからアドレス信号を読み出し、制御部100は光スポットを記録層148bの所望の領域に配置する。タンジェンシャルサーボはこのときに、タンジェンシャル方向の位置決めのために用いることができる。このようにして、状態(何ら積極的な動作をおこなわず、少なくともフォーカスサーボをおこなった状態)、シーク状態(グルーブまたはピットの形態の変化として規定されたアドレスを目標として光スポットを移動させる状態)の動作中は赤色光ビームによってサーボをおこなうことができる。
所望の領域に赤色レーザー光の光スポットを集光しているが、再生に用いるのは青色光ビームであるので、再生の直前(時間的に直前)に、すなわち再生をおこなうに際して、サーボ用レーザー光源68からの光ビームの発射を停止して、レーザー光源10からの青色光ビームを発射して上述した、青色光ビームを用いてサーボをおこなう。そして上述したように、青色光ビームによる再生光によってフォーカスサーボ、トラッキングサーボ、ラジアルサーボをおこなう。この場合に、瞬時に光ビームを赤色から、青色に切り替ええるので、サーボははずれることがなく、容易に切り替えが可能である。このようにして、青色光ビームでサーボをおこない、青色光ビームで再生をすることができる。上述したようにして、再生時においては、青色光ビームによってサーボと再生の動作をおこなうので、良好なる再生特性を得ることができる。
また、待機状態またはシーク状態のいずれかの状態から、記録または再生の状態にモードを変化させる場合において、フォーカスサーボに関しては、常時、赤色光ビームによっておこなうことができる。そして青色光ビームを用いて、ホログラムによる再生光でトラッキングサーボをおこなうようにしても良く、さらに、青色光ビームを用いて、ホログラムによる再生光でタンジェンシャルサーボをおこなうようにしても良い。このようにして、赤色光ビームでフォーカスサーボをおこない、青色光ビームでトラッキングサーボ、または、トラッキングサーボおよびタンジェンシャルサーボをおこない、青色光ビームで記録をすることができる。ここで、上述したように、一般的には、ホログラム記録方式においては、フォーカス方向のサーボマージン(記録再生特性の劣化の許容範囲に対する光スポットのフォーカス方向の焦点位置の許容される変化範囲)は大きいので、このようなサーボ系の組み合わせで安定したサーボ特性を得るとともに、良好なる記録特性を得ることができる。
第5実施形態においては、第1サーボ手段の一実施形態を構成する光学部品としては、主要光学部品としての、サーボ用レーザー光源68、グレーティング61、コリメートレンズ65、ビームスプリッター67、ビームスプリッター70、集光レンズ71、シリンドリカルレンズ72、サーボ用ディテクター73に加え、フーリエ変換レンズ29、フーリエ変換レンズ31、穴あきトロイダルレンズ153、フーリエ変換レンズ129、フーリエ変換レンズ131、イメージセンサー32、レーザー光源10、アイソレーター11、シャッター12、空間変調器25以外の光学部材が該当する。また、第5実施形態においては、第1サーボ手段の一実施形態を構成する主なる機構部品としては、光ビームをタンジェンシャル方向に移動させるアクチュエーターとして機能する可動ミラーアクチュエーター16bおよびスピンドルモーター33、トラッキングアクチュエーターとして機能するトラッキング用ピエゾ素子60およびスライド送りモーター56、フォーカスアクチュエーターとして機能するフォーカス用ピエゾ素子55が該当する。また、第5実施形態においては、第1サーボ手段の一実施形態を構成する制御部としては、制御部100が該当する。
第5実施形態においては、第2サーボ手段の一実施形態を構成する光学部品としては、主要光学部品としての、フーリエ変換レンズ29、フーリエ変換レンズ31、穴あきトロイダルレンズ153、フーリエ変換レンズ129、フーリエ変換レンズ131、イメージセンサー32に加え、サーボ用レーザー光源68、グレーティング61、コリメートレンズ65、ビームスプリッター67、ビームスプリッター70、集光レンズ71、シリンドリカルレンズ72、サーボ用ディテクター73以外の光学部材が該当する。また、第5実施形態においては、第2サーボ手段の一実施形態を構成する主なる機構部品としては、光ビームをタンジェンシャル方向に移動させるアクチュエーターとして機能する可動ミラーアクチュエーター16bおよびスピンドルモーター33、トラッキングアクチュエーターとして機能するトラッキング用ピエゾ素子60およびスライド送りモーター56、フォーカスアクチュエーターとして機能するフォーカス用ピエゾ素子55が該当する。また、第5実施形態においては、第2サーボ手段の一実施形態を構成する制御部としては、制御部100が該当する。
また、第1サーボ手段と第2サーボ手段の各々を構成する各々の機構部材は共通化されており、第1サーボ手段と第2サーボ手段の各々を構成する各々の制御部は、制御部100として共通化されている。より具体的には、第1サーボ手段および第2サーボ手段のラジアルサーボ部の機構部材は光ビームをタンジェンシャル方向に移動させるアクチュエーターとして機能する可動ミラーアクチュエーター16bおよびスピンドルモーター33、第1サーボ手段および第2サーボ手段のトラッキングサーボ部の機構部材はトラッキングアクチュエーターとして機能するトラッキング用ピエゾ素子60およびスライド送りモーター56、第1サーボ手段および第2サーボ手段のフォーカスサーボ部の機構部材はフォーカスアクチュエーターとして機能するフォーカス用ピエゾ素子55が各々、該当する。
(第6実施形態のホログラム記録再生装置)
図22に示す第6実施形態のホログラム記録再生装置6を示す。ホログラム記録再生装置6を構成する光学部材で第3実施形態および第5実施形態におけると同様の構成を有し、同一の作用を奏する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
赤色光ビームを用いるサーボ系については、第5実施形態と同様であるので説明を省略する。青色光ビームを用いるサーボ系については第3実施形態と同様であるので、説明を省略する。
第6の実施形態によって得られる効果は、第5実施形態によって生じる効果と第3実施形態によって生じる効果とを併せもつものであり、赤色光ビームによるサーボ動作から、記録再生をおこなう直前に青色光ビームによるサーボ動作に切り替えることによって安定したサーボ特性と良好な記録再生特性とを得ることができるものである。また、赤色光ビームによるフォーカスサーボ動作を常時、維持しながら、赤色光ビームによるトラッキングサーボ動作または赤色光ビームによるトラッキングサーボ動作およびタンジェンシャルサーボ動作から、記録再生をおこなう直前に青色光ビームによるトラッキングサーボ動作または青色光ビームによるトラッキングサーボ動作およびタンジェンシャルサーボサーボ動作に切り替えることによって、フォーカスサーボの動作に過渡応答を生じることがない安定したサーボ特性と良好な記録再生特性とを得ることができるものである。
第6実施形態においては、第1サーボ手段の一実施形態を構成する光学部品としては、主要光学部品としての、サーボ用レーザー光源68、グレーティング61、コリメートレンズ65、ビームスプリッター67、ビームスプリッター70、集光レンズ71、シリンドリカルレンズ72、サーボ用ディテクター73に加え、フーリエ変換レンズ29、ミラー30、フーリエ変換レンズ31、フーリエ変換レンズ62、フーリエ変換レンズ63、シリンドリカルレンズ53、サーボ用ディテクター54、レーザー光源10、アイソレーター11、シャッター12、空間変調器25、イメージセンサー32以外の光学部材が該当する。また、第6実施形態においては、第1サーボ手段の一実施形態を構成する主なる機構部品としては、光ビームをタンジェンシャル方向に移動させるアクチュエーターとして機能する可動ミラーアクチュエーター16bおよびスピンドルモーター33、トラッキングアクチュエーターとして機能するトラッキング用ピエゾ素子60およびスライド送りモーター56、フォーカスアクチュエーターとして機能するフォーカス用ピエゾ素子55が該当する。また、第6実施形態においては、第1サーボ手段の一実施形態を構成する制御部としては、制御部100が該当する。
第6実施形態においては、第2サーボ手段の一実施形態を構成する光学部品としては、主要光学部品としての、ビームスプリッター51、フーリエ変換レンズ62、フーリエ変換レンズ63、シリンドリカルレンズ53、サーボ用ディテクター54に加え、サーボ用レーザー光源68、グレーティング61、コリメートレンズ65、ビームスプリッター67、ビームスプリッター70、集光レンズ71、シリンドリカルレンズ72、サーボ用ディテクター73以外の光学部材が該当する。また、第6実施形態においては、第2サーボ手段の一実施形態を構成する主なる機構部品としては、光ビームをタンジェンシャル方向に移動させるアクチュエーターとして機能する可動ミラーアクチュエーター16bおよびスピンドルモーター33、トラッキングアクチュエーターとして機能するトラッキング用ピエゾ素子60およびスライド送りモーター56、フォーカスアクチュエーターとして機能するフォーカス用ピエゾ素子55が該当する。また、第5実施形態においては、第2サーボ手段の一実施形態を構成する制御部としては、制御部100が該当する。
(第7実施形態のホログラム記録再生装置)
図23に示す第7実施形態のホログラム記録再生装置7を示す。ホログラム記録再生装置7を構成する光学部材で第1実施形態および第5実施形態におけると同様の構成を有し、同一の作用を奏する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
赤色光ビームを用いるサーボ系については、第5実施形態と同様であるので説明を省略する。青色光ビームを用いるサーボ系については第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
第7の実施形態によって得られる効果は、第5実施形態によって生じる効果と第1実施形態によって生じる効果とを併せもつものであり、赤色光ビームによるサーボ動作から、記録再生をおこなう直前に青色光ビームによるサーボ動作に切り替えることによって安定したサーボ特性と良好な記録再生特性とを得ることができるものである。また、赤色光ビームによるフォーカスサーボ動作を常時、維持しながら、赤色光ビームによるトラッキングサーボ動作または赤色光ビームによるトラッキングサーボ動作およびタンジェンシャルサーボ動作から、記録再生をおこなう直前に青色光ビームによるトラッキングサーボ動作または青色光ビームによるトラッキングサーボ動作およびタンジェンシャルサーボサーボ動作に切り替えることによって、フォーカスサーボの動作に過渡応答を生じることがない安定したサーボ特性と良好な記録再生特性とを得ることができるものである。光学部材としてシリンドリカルレンズ53を用いる場合には、ホログラムからの再生光を検出してフォーカスサーボをおこなうことができる。また、第7実施形態の変形例としては、穴あきトロイダルレンズ153または穴あきシリンドリカルレンズを用いる場合には、青色光ビームの反射光からフォーカス誤差信号を得ることができる。
第7実施形態においては、第1サーボ手段の一実施形態を構成する光学部品としては、主要光学部品としての、サーボ用レーザー光源68、グレーティング61、コリメートレンズ65、ビームスプリッター67、ビームスプリッター70、集光レンズ71、シリンドリカルレンズ72、サーボ用ディテクター73に加え、フーリエ変換レンズ29、ミラー30、集光レンズ52、シリンドリカルレンズ53、穴あきトロイダルレンズ153、穴あきシリンドリカルレンズ253、サーボ用ディテクター54、サーボ用ディテクター154、レーザー光源10、アイソレーター11、シャッター12、空間変調器25、フーリエ変換レンズ29、ミラー30、フーリエ変換レンズ31、イメージセンサー32以外の光学部材が該当する。また、第7実施形態においては、第1サーボ手段の一実施形態を構成する主なる機構部品としては、光ビームをタンジェンシャル方向に移動させるアクチュエーターとして機能する可動ミラーアクチュエーター16bおよびスピンドルモーター33、トラッキングアクチュエーターとして機能するトラッキング用ピエゾ素子60およびスライド送りモーター56、フォーカスアクチュエーターとして機能するフォーカス用ピエゾ素子55が該当する。また、第7実施形態においては、第1サーボ手段の一実施形態を構成する制御部としては、制御部100が該当する。
第7実施形態においては、第2サーボ手段の一実施形態を構成する光学部品としては、主要光学部品としての、ビームスプリッター51、集光レンズ52、シリンドリカルレンズ53、穴あきトロイダルレンズ153、穴あきシリンドリカルレンズ253、サーボ用ディテクター54、サーボ用ディテクター154に加え、サーボ用レーザー光源68、グレーティング61、コリメートレンズ65、ビームスプリッター67、ビームスプリッター70、集光レンズ71、シリンドリカルレンズ72、サーボ用ディテクター73以外の光学部材が該当する。また、第7実施形態においては、第2サーボ手段の一実施形態を構成する主なる機構部品としては、光ビームをタンジェンシャル方向に移動させるアクチュエーターとして機能する可動ミラーアクチュエーター16bおよびスピンドルモーター33、トラッキングアクチュエーターとして機能するトラッキング用ピエゾ素子60およびスライド送りモーター56、フォーカスアクチュエーターとして機能するフォーカス用ピエゾ素子55が該当する。また、第7実施形態においては、第2サーボ手段の一実施形態を構成する制御部としては、制御部100が該当する。
上述の実施形態においてホログラム記録媒体は円盤状であるとして説明をしてきたが、ホログラム記録媒体の形状が如何なる形状であっても、上述の実施形態において採用した技術は適用が可能である。例えば、ホログラム記録媒体が長方形のカードとして構成されている場合には、このようなカードをスピンドルモーターで回転させることなく、光ビームとカード形状のホログラム記録媒体との相対位置を2次元の直交する2方向に変化させることによってカードの所定位置にホログラムを記録再生することができる。また、光学部材については、実施形態でしました具体的な部材以外であっても同様の作用と効果とを奏することができ、種々の置き換えの変形例を実施することが可能である。例えば、可動ミラーユニットに替えて、AOD、AOMを用いるものであっても良い。
なお、本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、その発明の技術的思想の範囲内で様々に変形して実施することが可能である。
1、2、3、4、5、6、7 ホログラム記録再生装置、10 レーザー光源、11 アイソレーター、12 シャッター、13、14、21、24、29、31、62、63 フーリエ変換レンズ、16 可動ミラーユニット、16a 可動ミラー、16b 可動ミラーアクチュエーター、20、27 偏光ビームスプリッター、22 ピンホール、25 空間変調器、25a 参照光領域、25b 信号光領域、26 1/4波長板、28、52、71、129、131 集光レンズ、30 ミラー、32 イメージセンサー、33 スピンドルモーター、33a ターンテーブ、34 可動部、35、53、72 シリンドリカルレンズ、36 集光レンズユニット、48、148 ホログラム記録媒体、51 ビームスプリッター、54、154 サーボ用ディテクター、55 フォーカス用ピエゾ素子、56 スライド送りモーター、57a、57b 歯車、58 スピンドルモーター移動台、60 トラッキング用ピエゾ素子、61、80 グレーティング、65 コリメートレンズ、67、70 ビームスプリッター、68 サーボ用レーザー光源、73 サーボ用ディテクター、100 制御部、126 液晶偏光回折素子、148a、148g プラステック基板、148b 記録層、148c、148e ギャップ層、148d ダイクロイック膜、148f 反射膜、153 穴あきトロイダルレンズ、154 サーボ用ディテクター、253 シリンドリカルレンズ、D−1、D+1 トラッキング用フォトディテクタ、SD1 タンジェンシャル誤差信号、SD2 ラジアル(トラッキング)誤差信号、SD3 フォーカス誤差信号、A1、B1、C1、D1、DA、DB、DC、DD、DA2、DB2、DC2、DD2 ディテクター、A2、B2、C2、D2、DA3、DB3、DC3、DD3 領域、SS 出力和信号、SA、SB、SC、SD 信号