JP2010150511A - エチレン系樹脂およびフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】直鎖状低密度ポリエチレンの有する衝撃強度を過度に低下させることなく透明性を高めたエチレン系樹脂を提供する。
【解決手段】以下の条件を全て満足するエチレン系樹脂。
(a)密度が890〜930kg/m3である。
(b)メルトフローレート(MFR)が0.1〜10g/10分である。
(c)流動の活性化エネルギー(Ea)が50kJ/mol未満である。
(d)Mz/Mwが3.5以上である。
(e)(Mz/Mw)/(Mw/Mn)≧0.9である。
(f)温度上昇溶離分別法によって測定される100℃以上での溶出樹脂量の割合が1重量%未満である(ただし、エチレン系樹脂の重量を100重量%とする)。
【選択図】なし

Description

本発明は、エチレン系樹脂およびフィルムに関するものである。
食品、医薬品、日用雑貨などの包装に用いられる包装材には、エチレン系樹脂を押出成形してなるフィルムやシートが多く用いられている。エチレン系樹脂において、エチレンとα−オレフィンとの直鎖状の共重合体、いわゆる直鎖状低密度ポリエチレンは、高圧法低密度ポリエチレンに比べて衝撃強度に優れる。そのため、直鎖状低密度ポリエチレンからなる包装材は、高圧法低密度ポリエチレンからなる包装材よりも薄肉とすることが可能である。
一方、直鎖状低密度ポリエチレンは、高圧法低密度ポリエチレンに比べて透明性に劣ることがある。包装材には透明性が要求されるものがあるため、直鎖状低密度ポリエチレンの透明性を改良する方法が種々検討されている。例えば、直鎖状低密度ポリエチレンに高圧法低密度ポリエチレンを5〜30重量%配合した樹脂組成物とすることが提案されている(特許文献1、2参照。)。
特公昭62−3177号公報 特開平11−181173号公報
しかしながら、上記樹脂組成物では、高圧法低密度ポリエチレンを配合することによって、透明性は改良されるものの、衝撃強度が大きく低下することがあり、必ずしも十分満足のいくものではなかった。
かかる状況のもと、本発明は、上述したような問題点を解決し、直鎖状低密度ポリエチレンの有する衝撃強度を過度に低下させることなく透明性を高めたエチレン系樹脂、および、該樹脂を押出成形してなるフィルムを提供するものである。
本発明により、直鎖状低密度ポリエチレンの有する衝撃強度を過度に低下させることなく透明性を高めたエチレン系樹脂、および、該樹脂を押出成形してなるフィルムを提供することができる。
本発明の第一は、以下の条件を全て満足するエチレン系樹脂にかかるものである。
(a)密度が890〜930kg/m3である。
(b)メルトフローレート(MFR)が0.1〜10g/10分である。
(c)流動の活性化エネルギー(Ea)が50kJ/mol未満である。
(d)Mz/Mwが3.5以上である。
(e)(Mz/Mw)/(Mw/Mn)≧0.9である。
(f)温度上昇溶離分別法によって測定される100℃以上での溶出樹脂量の割合が1重量%未満である(ただし、140℃までに溶出したエチレン系樹脂の重量の和を100重量%とする)。
本発明の第二は、上記のエチレン系樹脂を押出成形してなるフィルムにかかるものである。
本発明のエチレン系樹脂は、エチレンに基づく単量体単位とα−オレフィンに基づく単量体単位とを含む共重合体樹脂である。該α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン等があげられ、これらは単独で用いられていてもよく、2種以上を併用されていてもよい。α−オレフィンとしては、好ましくは、炭素原子数3〜20のα−オレフィンであり、より好ましくは、炭素原子数4〜8のα−オレフィンであり、更に好ましくは、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンである。
エチレン系樹脂は、上記のエチレンに基づく単量体単位およびα−オレフィンに基づく単量体単位に加え、本発明の効果を損なわない範囲において、他の単量体に基づく単量体単位を有していてもよい。他の単量体としては、例えば、共役ジエン(例えばブタジエンやイソプレン)、非共役ジエン(例えば1,4−ペンタジエン)、アクリル酸、アクリル酸エステル(例えばアクリル酸メチルやアクリル酸エチル)、メタクリル酸、メタクリル酸エステル(例えばメタクリル酸メチルやメタクリル酸エチル)、酢酸ビニル等があげられる。
エチレン系樹脂としては、例えば、エチレン−1−ブテン共重合体樹脂、エチレン−1−ヘキセン共重合体樹脂、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体樹脂、エチレン−1−オクテン共重合体樹脂、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体樹脂、エチレン−1−ブテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体樹脂、エチレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体樹脂等があげられる。好ましくは、エチレン−1−ブテン共重合体樹脂、エチレン−1−ヘキセン共重合体樹脂、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体樹脂、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体樹脂である。
エチレン系樹脂における、エチレンに基づく単量体単位の含有量は、エチレン系樹脂の全重量(100重量%)に対して、通常、50〜99.5重量%であり、好ましくは、80〜99重量%である。また、α−オレフィンに基づく単量体単位の含有量は、エチレン系樹脂の全重量(100重量%)に対して、通常、0.5〜50重量%であり、好ましくは、1〜20重量%である。
エチレン系樹脂の密度(単位はkg/m3である。)は、890〜930kg/m3である(条件(a))。エチレン系樹脂の密度は、剛性を高める観点から、好ましくは890kg/m3以上であり、より好ましくは900kg/m3以上である。また、透明性、衝撃強度を高める観点から、好ましくは925kg/m3以下であり、より好ましくは920kg/m3以下である。密度は、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った後、JIS K7112−1980に規定された水中置換法に従って測定される。
エチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR;単位はg/10分である。)は、0.1〜10g/10分である(条件(b))。エチレン系樹脂のMFRは、成形加工時の押出負荷を低減する観点から、好ましくは0.5g/10分以上であり、より好ましくは0.8g/10分以上である。また、透明性、衝撃強度を高める観点から、好ましくは5g/10分以下であり、より好ましくは3g/10分以下であり、最も好ましくは2g/10分以下である。メルトフローレートは、JIS K7210−1995に規定された方法に従い、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定される値である。
エチレン系樹脂の流動の活性化エネルギー(Ea;単位はkJ/molである。)は、50kJ/mol未満である(条件(c))。エチレン系樹脂のEaは、透明性、衝撃強度を高める観点から、好ましくは40kJ/mol以下であり、より好ましくは35kJ/mol以下である。
流動の活性化エネルギー(Ea)は、温度−時間重ね合わせ原理に基づいて、190℃での溶融複素粘度(単位:Pa・sec)の角周波数(単位:rad/sec)依存性を示すマスターカーブを作成する際のシフトファクター(aT)からアレニウス型方程式により算出される数値であって、以下に示す方法で求められる値である。すなわち、130℃、150℃、170℃、190℃、210℃の温度の中から、190℃を含む4つの温度について、夫々の温度(T、単位:℃)におけるエチレン系樹脂の溶融複素粘度−角周波数曲線を、温度−時間重ね合わせ原理に基づいて、各温度(T)での溶融複素粘度−角周波数曲線毎に、190℃でのエチレン系樹脂の溶融複素粘度−角周波数曲線に重ね合わせた際に得られる各温度(T)でのシフトファクター(aT)を求め、夫々の温度(T)と、各温度(T)でのシフトファクター(aT)とから、最小自乗法により[ln(aT)]と[1/(T+273.16)]との一次近似式(下記(I)式)を算出する。次に、該一次式の傾きmと下記式(II)とからEaを求める。
ln(aT) = m(1/(T+273.16))+n (I)
Ea = |0.008314×m| (II)
T :シフトファクター
Ea:流動の活性化エネルギー(単位:kJ/mol)
T :温度(単位:℃)
上記計算は、市販の計算ソフトウェアを用いてもよく、該計算ソフトウェアとしては、Rheometrics社製 Rhios V.4.4.4などがあげられる。
なお、シフトファクター(aT)は、夫々の温度(T)における溶融複素粘度−角周波数の両対数曲線を、log(Y)=−log(X)軸方向に移動させて(但し、Y軸を溶融複素粘度、X軸を角周波数とする。)、190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線に重ね合わせた際の移動量であり、該重ね合わせでは、夫々の温度(T)における溶融複素粘度−角周波数の両対数曲線は、角周波数をaT倍に、溶融複素粘度を1/aT倍に移動させる。
また、130℃、150℃、170℃、190℃、210℃の中から190℃を含む4つの温度でのシフトファクターと温度から得られる一次近似式(I)式を最小自乗法で求めるときの相関係数は、通常、0.99以上である。
上記の溶融複素粘度−角周波数曲線の測定は、粘弾性測定装置(例えば、Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800など。)を用い、通常、ジオメトリー:パラレルプレート、プレート直径:25mm、プレート間隔:1.2〜2mm、ストレイン:5%、角周波数:0.1〜100rad/秒の条件で行われる。なお、測定は窒素雰囲気下で行われ、また、測定試料には予め酸化防止剤を適量(例えば1000ppm)を配合することが好ましい。
エチレン系樹脂のZ平均分子量(以下、「Mz」と記載することがある。)と重量平均分子量(以下、「Mw」と記載することがある。)との比(以下、「Mz/Mw」と記載することがある。)は、3.5以上である(条件(d))。衝撃強度の観点から、Mz/Mwは、好ましくは4.5以上である。また加工性や、衝撃強度の観点からMz/Mwは25以下が好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましく、さらにより好ましくは10以下であり、もっとも好ましくは7以下である。
エチレン系樹脂の重量平均分子量(以下、「Mw」と記載することがある。)と数平均分子量(以下、「Mn」と記載することがある。)との比(以下、「Mw/Mn」と記載することがある。)は、加工性を向上させる観点から好ましくは3以上であり、さらに好ましくは4以上である。また、得られるフィルムの機械的強度の観点から、Mw/Mnは、好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下であり、さらに好ましくは8以下であり、もっとも好ましくは5以下である。なお、Mw/Mn、Mz/Mwとは、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法により測定される数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)およびZ平均分子量(Mz)より求められる値である。
エチレン系樹脂のMw/MnやMz/Mwは、次のような方法で制御することができる。例えば分子量の高い成分を製造する工程と分子量の低い成分を製造する工程とを連続して行なうことにより、本発明のエチレン系樹脂を製造する場合には、それぞれの製造工程における水素濃度または重合温度を変更する方法である。具体的には、分子量の高い成分を製造する条件を同一にした場合、分子量の低い成分を製造する際の水素濃度または重合温度を高くすると、得られるエチレン系樹脂のMw/Mnは大きくなる。同様にエチレン系樹脂のMz/Mwは、分子量の高い成分を製造する時の水素濃度を下げるか、または重合温度を低下させると、大きくすることができる。またエチレン系樹脂のMz/Mwは、分子量の高い成分を製造する工程の時間を長くし、エチレン系樹脂における分子量の高い成分の含有量を増やすことによっても、大きくすることができる。
Mz/Mwは、エチレン系樹脂に含まれる高分子量成分の分子量分布を表すものであり、Mw/Mnに比してMz/Mwが小さいことは、高分子量成分の分子量分布が狭く、非常に分子量の高い成分割合が少ないことを意味し、Mw/Mnに比してMz/Mwが大きいことは高分子量成分の分子量分布が広く、非常に分子量の高い成分割合が多いことを意味する。本発明のエチレン系樹脂は、(Mz/Mw)/(Mw/Mn)≧0.9であり(条件(e))、好ましくは(Mz/Mw)/(Mw/Mn)≧1である。また、本発明のエチレン系樹脂は、好ましくは2.5≧(Mz/Mw)/(Mw/Mn)であり、より好ましくは1.5≧(Mz/Mw)/(Mw/Mn)である。
本発明のエチレン系樹脂は、温度上昇溶離分別法によって測定される100℃以上での溶出樹脂量の割合が1重量%未満である(ただし、140℃までに溶出したエチレン系樹脂の重量の和を100重量%とする)(条件(f))。
エチレン系樹脂における温度上昇溶離分別法における100℃以上での溶出樹脂成分とは、高密度の成分を意味する。エチレン系樹脂が高密度の成分と低密度の成分とを含む場合、これらは結晶化開始温度が異なるため、製膜時に肌荒れを起こしてしまい、結果、得られるフィルムは透明性に劣るものとなる。温度上昇溶離分別法における100℃以上での溶出樹脂量の割合は、好ましくは0.5重量%未満であり、より好ましくは0.1重量%未満である。
温度上昇溶離分別法によって測定されるエチレン系樹脂の100℃以上での溶出樹脂量の割合は、次のように制御することができる。例えば分子量の高い成分を製造する工程と分子量の低い成分を製造する工程とを連続して行なうことにより、本発明のエチレン系樹脂を製造する場合には、それぞれの製造工程における、エチレン濃度に対するα−オレフィン濃度を変更する方法である。具体的には、重合反応器内部において、エチレン濃度に対するα−オレフィン濃度の割合を高くすることにより、高分子鎖に導入される短鎖分岐構造の割合を高めることができる。このように短鎖分岐の割合の多い分子構造を有するポリマーは結晶厚みの薄い結晶構造であるため、より低い温度で溶解させることができる。また、エチレン濃度に対するα−オレフィン濃度の割合を制御する以外に、2種類の錯体を用いて分子量の高い成分、低い成分を製造することにより、本発明のエチレン系樹脂を製造することもできる。この場合、エチレンに対するα−オレフィンの共重合性がより高い錯体を選択することで、より低い温度で融解するエチレン系樹脂を与えることができる。
本発明のエチレン系樹脂は、チーグラー系触媒、メタロセン系触媒等の中から任意の触媒を選択し、各触媒を用いて同一重合条件下でエチレンとα−オレフィンとを重合して得られるポリマーの分子量を比較した場合に、その分子量が大きく異なるような、公知のオレフィン重合用触媒を2種以上組み合わせて製造することができる。また、高分子量のエチレン・α−オレフィン共重合体を製造することができる、公知のオレフィン重合用触媒を一つ用いて、高分子量のエチレン・α−オレフィン共重合体を製造する工程と、低分子量のエチレン・α−オレフィン共重合体を製造する工程とを含む複数の反応器を用いた液相重合法、スラリー重合法、気相重合法、高圧イオン重合法等の公知の重合方法によって、エチレンとα−オレフィンとを共重合することにより製造することもできる。これらの重合法は、回分重合法、連続重合法のいずれでもよい。
本発明のエチレン系樹脂を、複数の反応器を用いて製造する場合には、高分子量成分と低分子量成分をそれぞれ異なる反応器で連続して製造する。このように連続プロセスで重合する場合、重合粒子の中には、一部の反応器を非常に短時間で通過してしまう重合粒子(以下、ショートパス重合粒子と呼ぶことがある。)が存在する。このようなショートパス重合粒子の発生を防ぐため、本発明のエチレン系樹脂を複数の反応器を用いて連続プロセスで製造する場合には、1つ目の重合反応器で高分子量成分を製造し、その後、2つ以上の反応器を連結して、低分子量成分を製造することが好ましい。一方、回分重合で本発明のエチレン系樹脂を製造する場合、2つの反応器でそれぞれ低分子量成分・高分子量成分を製造することができる。
本発明のエチレン系樹脂を回分重合にて製造する場合、複数の反応器を使用せず、1つの反応器を用い、反応器内の水素濃度を経時で変化させて、高分子量成分と低分子量成分を順次製造することもできる。
2種類以上のオレフィン重合用触媒を用いて本発明のエチレン系樹脂を製造する場合、使用するオレフィン重合用触媒としては、各触媒を用いて同一重合条件下でエチレンとα−オレフィンとを重合して得られるポリマーの分子量を比較した場合に、その分子量が大きく異なるような触媒を組み合わせて用いることが好ましい。また、重合用触媒としては、高分子量成分を製造するための触媒、低分子量成分を製造するための触媒のいずれの触媒としても、流動の活性化エネルギーが50kJ/mol未満であるような、長鎖分岐構造の少ないエチレン系樹脂を製造可能な触媒を選定することが重要である。高分子量成分に長鎖分岐構造が存在すると、緩和時間の長い成分によって、フィルム表面に肌荒れが生じ、フィルムの透明性が悪化する傾向がある。また、低分子量成分に長鎖分岐構造が存在すると、衝撃強度の低下が引き起こされる傾向がある。
本発明のエチレン系樹脂を1種類の重合触媒で製造する場合、適切な触媒としては、例えば、0.8〜1.4重量%のチタン原子、マグネシウム原子、ハロゲン原子および15−50重量%エステル化合物を含有し、BET法による比表面積が80m2/g以下である固体触媒成分を挙げることができる。該固体触媒成分に含まれるエステル化合物としては、重合活性の観点からフタル酸ジアルキルであることが好ましい。該固体触媒成分は、Si−O結合を有する有機ケイ素化合物(i)の存在下に、下記一般式[I]で表されるチタン化合物(ii)を、有機マグネシウム化合物(iii)で還元して得られる固体成分(a)、ハロゲン化化合物(b)およびフタル酸誘導体(c)の接触生成物として得ることができる。
Figure 2010150511
(上記一般式[I]において、aは1〜20の数を表し、R 2 は炭素原子数1〜20 の炭化水素基を表す。X 2 はそれぞれ、ハロゲン原子または炭素原子数1〜20 の炭化水素オキシ基を表し、全てのX 2 は同じであっても異なっていてもよい。)
Si−O結合を有する有機ケイ素化合物(i)としては、下記の一般式で表される化合物が挙げられる。
Si(OR10t11 4-t
12(R13 2SiO)uSiR14 3 、または、
(R15 2SiO)v
上記一般式において、R10は炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、R11、R12 、R13、R14およびR15はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜20の炭化水素基または水素原子を表す。tは0<t≦4 を満足する整数を表し、uは1〜1000の整数を表し、vは2〜1000の整数を表す。
かかる有機ケイ素化合物(i) としては、例えば、テトラメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリエトキシエチルシラン、ジエトキシジエチルシラン、エトキシトリエチルシラン、テトライソプロポキシシラン、ジイソプロポキシ− ジイソプロピルシラン、テトラプロポキシシラン、ジプロポキシジプロピルシラン、テトラブトキシシラン、ジブトキシジブチルシラン、ジシクロペントキシジエチルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、シクロヘキシロキシトリメチルシラン、フェノキシトリメチルシラン、テトラフェノキシシラン、トリエトキシフェニルシラン、ヘキサメチルジシロヘキサン、ヘキサエチルジシロヘキサン、ヘキサプロピルジシロキサン、オクタエチルトリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、メチルヒドロポリシロキサン、フェニルヒドロポリシロキサン等が挙げられる。
これらの有機ケイ素化合物(i)のうち、好ましくは一般式Si(OR10t11 4 - t
表わされるアルコキシシラン化合物であり、その場合、tとして好ましくは1≦t≦4 を満足する数であり、特に好ましくはt = 4 のテトラアルコキシシランであり、最も好ましくはテトラエトキシシランである。
一般式[I]で表されるチタン化合物(ii)のR2は炭素原子数1〜20の炭化水素基である。R2としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基、フェニル基、クレジル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等のシクロアルキル基、プロペニル基等のアリル基、ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらの炭化水素基のうち、好ましくは炭素原子数2〜18のアルキル基または炭素原子数6〜18のアリール基である。更に好ましくは炭素原子数2〜18の直鎖状アルキル
基である。
一般式[I]で表されるチタン化合物(ii)のX2はそれぞれ、ハロゲン原子または炭素原子数1〜20の炭化水素オキシ基である。X2におけるハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。特に好ましくは塩素原子である。X2における炭素原子数1〜20の炭化水素オキシ基は、R2と同様に炭素原子数1〜20の炭化水素基を有する炭化水素オキシ基である。X2として特に好ましくは、炭素原子数2〜18の直鎖状アルキル基を有するアルコキシ基である。
上記一般式[I]で表されるチタン化合物(ii)におけるaは1〜20の数であり、好ましくは1≦a≦5を満足する数である。
かかるチタン化合物(ii)としては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラn − プロポキシチタン、テトラiso−プロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、テトラiso−ブトキシチタン、n−ブトキシチタントリクロライド、ジn−ブトキシチタンジクロライド、トリn−ブトキシチタンクロライド、ジn−テトライソプロピルポリチタネート(a=2〜10の範囲の混合物)、テトラn−ブチルポリチタネート(a=2〜10の範囲の混合物)、テトラn−ヘキシルポリチタネート(a=2〜10の範囲の混合物)、テトラn−オクチルポリチタネート(a=2〜10の範囲の混合物)が挙げられる。また、テトラアルコキシチタンに少量の水を反応して得られるテトラアルコキシチタンの縮合物を挙げることもできる。
チタン化合物(ii)として好ましくは、上記一般式[I]で表されるチタン化合物におけるa が1 、2 または4 であるチタン化合物である。特に好ましくは、テトラn − ブトキシチタン、テトラn − ブチルチタニウムダイマーまたはテトラn − ブチルチタニウムテトラマーである。なお、チタン化合物(ii)は単独で用いてもよいし、複数種を混合した状態で用いることも可能である。
有機マグネシウム化合物(iii)は、マグネシウム−炭素の結合を有する任意の型の有機マグネシウム化合物である。特に一般式R16MgX5( 式中、Mgはマグネシウム原子を表し、R16は炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、X5 はハロゲン原子を表わす。) で表わされるグリニャール化合物、または一般式R1718Mg( 式中、Mgはマグネシウム原子を表し、R17およびR18はそれぞれ炭素原子数1〜20の炭化水素基を表わす。) で表されるジハイドロカルビルマグネシウムが好適に使用される。ここでR17およびR18は同じであっても異なっていてもよい。R16〜R18としてはそれぞれ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tet−ブチル基、イソアミル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、フェニル基、ベンジル基等の炭素原子数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基が挙げられる。特にR16MgX5 で表されるグリニャール化合物をエーテル溶液で使用することが重合活性の点から好ましい。
ハロゲン化化合物(b)として、重合活性の観点から、四塩化チタン、メチルジクロロアルミニウム、エチルジクロロアルミニウム、テトラクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ノルマルプロピルトリクロロシランまたはテトラクロロ錫である。ハロゲン化化合物(b)は、上記化合物の中から単独で用いてもよいし、複数種を同時にあるいは逐次的に用いてもよい。
フタル酸誘導体(c)としては例えば、フタル酸ジエチル、フタル酸ジノルマルブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジイソヘプチル、フタル酸ジ( 2−エチルヘキシル) 、フタル酸ジイソデシルを挙げることができる。
また、1種類の重合触媒を用い、複数の反応器を用いて多段重合する場合には、複数の各反応器のうち、少なくとも1つの反応器での重合条件は、該反応器の重合条件で使用する触媒を用いた重合を実施したときに得られるエチレン系樹脂の極限粘度が3以上となる重合条件であることが好ましい。また、高分子量成分を与える重合反応条件において重合された高分子量成分が、本発明のエチレン系樹脂中に占める割合が、0.5重量%以上、かつ10重量%以下となるように重合することが、加工性および該樹脂を用いて得られる成形体の透明性の観点から好ましい。
さらに、1種類の重合触媒を用いて多段重合する場合には、高分子量成分を与える重合槽で得られる樹脂成分の短鎖分岐度(1000炭素当たりの分岐数)は6個以上20個以下であることが、本発明のエチレン系樹脂を用いて得られる成形体の透明性の観点から好ましい。
本発明のエチレン系樹脂を、高分子量成分を与える重合触媒と、低分子量成分を与える重合触媒を含む2種類以上の重合触媒で製造する場合、それぞれの適切な触媒としては、以下のものが挙げられる。
高分子量成分を与える重合触媒としては、例えば、下記一般式(II)で表される遷移金属化合物重合触媒などを挙げることができる。
Figure 2010150511

[式中、M2は元素周期律表の第4族の遷移金属原子を表し、X 2 は、ハロゲン原子または炭素原子数1〜20 の炭化水素オキシ基を表し、全てのX 2 は同じであっても異なっていてもよい。R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の置換されていてもよいハイドロカルビル基、炭素原子数1〜20の置換されていてもよいハイドロカルビルオキシ基、炭素原子数1〜20の置換シリル基または炭素原子数1〜20の置換アミノ基であり、複数のX2は互いに同じであっても異なっていてもよく、複数のR3は互いに同じであっても異なっていてもよく、複数のR4は互いに同じであっても異なっていてもよく、Q2は、下記一般式(III)で表される架橋基を表す。
Figure 2010150511
(式中、nは1〜5の整数であり、J2は元素周期律表の第14族の原子を表し、R5は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の置換されていてもよいハイドロカルビル基、炭素原子数1〜20の置換されていてもよいハイドロカルビルオキシ基、炭素原子数1〜20の置換シリル基または炭素原子数1〜20の置換アミノ基であり、複数のR5は互いに同じであっても異なっていてもよい。)]
一般式(II)のM2は、元素周期律表の第4族の遷移金属原子を表し、例えば、チタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子などがあげられる。
一般式(II)のX2として例えば、塩素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、フェニル基、フェノキシ基、をあげられる。
一般式(II)のR3およびR4としては例えば、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基をあげられ、好ましくは、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは水素原子である。
架橋基Q2を表す一般式(III)のJ2は元素周期律表の第14族の遷移金属原子を表し、炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子などがあげられる。好ましくは、炭素原子またはケイ素原子である。また架橋基Q2を表す一般式(III)のR5は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の置換されていてもよいハイドロカルビル基、炭素原子数1〜20の置換されていてもよいハイドロカルビルオキシ基、炭素原子数1〜20の置換シリル基または炭素原子数1〜20の置換アミノ基であり、複数のR5は互いに同じであっても異なっていてもよい。
架橋基Q2を表す一般式(III)の例として例えば、メチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、ビス(シクロヘキシル)メチレン基、ジフェニルメチレン基、ジメチルシランジイル基、ビス(ジメチルシラン)ジイル基をあげることができ、より好ましくは、ジフェニルメチレン基をあげることができる。
一方、低分子量成分を与える重合触媒としては、例えば、置換基を持つシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を2個有し、かつ、このシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基が互いに結合しておらず、中心金属が第4族の遷移金属原子である遷移金属化合物重合触媒などを挙げることができる。シクロペンタジン形アニオン骨格が互いに結合している重合触媒成分を使用すると、得られる重合体は長鎖分岐を有するものとなり、強度が低下する傾向がある。第4族の遷移金属原子については、例えば、チタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子などがあげられる。
また、高分子量成分を与える重合触媒(Cat1)と低分子量成分を与える重合触媒(Cat2)の混合モル比Cat1:Cat2=x:yについては、以下の条件を満足することが好ましい。混合した触媒成分を用いて重合する重合条件と同一の重合条件下で、各触媒を単独で用いて重合を実施したときのCat1、Cat2各1gあたりの重合活性(g/g)をそれぞれACat1、ACat2とした時、得られるエチレン系樹脂の透明性を向上させる観点からACat1・x/ACat2・yが0.005以上であることが好ましい。また、加工性の観点から、ACat1・x/ACat2・yは0.12以下であることが好ましい。
高分子量成分を与える重合触媒(Cat1)と低分子量成分を与える重合触媒(Cat2)とを用いて本発明のエチレン系樹脂を製造する際の条件は、混合した触媒成分を用いて重合する重合条件と同一の重合条件下で、Cat1を用いて重合を実施したときに得られるエチレン系樹脂の極限粘度[η]が3以上となる条件であることが好ましい。
重合触媒成分として、メタロセン触媒を用いる場合には、公知の活性化用助触媒成分、担体などを組み合わせて使用することができる。
本発明のエチレン系樹脂は、必要に応じて、他の樹脂とともに各種成形に使用することができる。他の樹脂としては、本発明のエチレン系樹脂とは異なるエチレン系樹脂が挙げられる。
本発明のエチレン系樹脂には、必要に応じて、公知の添加剤を含有させてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、抗ブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、無滴剤、顔料、フィラー等があげられる。
本発明のエチレン系樹脂は、公知の成形方法、例えば、インフレーションフィルム成形法やTダイフィルム成形法などの押出成形法、中空成形法、射出成形法、圧縮成形法などにより、フィルム、シート、ボトル、トレー等に成形される。成形方法としては、押出成形法が好適に用いられる。また、本発明のエチレン系樹脂は、好適にはフィルムに成形されて用いられる。
本発明のエチレン系樹脂を押出成形してフィルムを製造する場合には、例えば160〜220℃に設定した押出機中でエチレン系樹脂を溶融混練し、180〜240℃で設定したサーキュラーダイから押出し、ブローアップ比1〜4でインフレーション成形することができる。
本発明のエチレン系樹脂は、透明性および衝撃強度に優れ、該エチレン系樹脂を成形してなる成形体は、食品包装や表面保護などの種々の用途に用いられる。
以下、実施例および比較例により本発明を説明する。
実施例および比較例での物性は、次の方法に従って測定した。
(1)密度(単位:Kg/m3
JIS K7112−1980に規定された水中置換法に従い密度を測定した。なお、試料には、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った。
(2)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210−1995に規定された方法に従い、荷重21.18Nおよび温度190℃の条件で、A法により、メルトフローレートを測定した。
(3)短鎖分岐数(SCB)
赤外分光光度計(日本分光株式会社製 FT/IR−480plus)を用いて、赤外分光法により求めた。なお、アルキル分岐の特性吸収は、1378cm−1と1303cm−1のピークを用い、1000炭素当たりの短鎖分岐数(SCB)を求めた。
(4)極限粘度([η]、単位:dl/g)
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)を0.5g/Lの濃度で溶解したテトラリン溶液(以下、ブランク溶液と記す。)と、樹脂を濃度が1mg/mlとなるようにブランク溶液に溶解した溶液(以下、サンプル溶液と記す。)とを調製した。ウベローデ型粘度計により、135℃におけるブランク溶液とサンプル溶液の降下時間を測定した。降下時間から下記式により極限粘度[η]を求めた。
[η]=23.3×log(ηrel)
ηrel=サンプル溶液の降下時間/ブランク溶液の降下時間
(5)流動の活性化エネルギー(Ea、単位:kJ/mol)
粘弾性測定装置(Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800)を用いて、下記測定条件で130℃、150℃、170℃および190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線を測定した。次に、得られた溶融複素粘度−角周波数曲線から、Rheometrics社製計算ソフトウェア Rhios V.4.4.4を用いて、190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線のマスターカーブを作成し、流動の活性化エネルギー(Ea)を求めた。
<測定条件>
ジオメトリー:パラレルプレート
プレート直径:25mm
プレート間隔:1.5〜2mm
ストレイン :5%
角周波数 :0.1〜100rad/秒
測定雰囲気 :窒素
(6)分子量分布(Mw/Mn、Mz/Mw)
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法を用いて、下記の条件(1)〜(8)により、z平均分子量(Mz)、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、Mw/MnとMz/Mwを求めた。クロマトグラム上のベースラインは、試料溶出ピークが出現するよりも十分に保持時間が短い安定した水平な領域の点と、溶媒溶出ピークが観測されたよりも十分に保持時間が長い安定した水平な領域の点とを結んでできる直線とした。
(1)装置:Waters製Waters150C
(2)分離カラム:TOSOH TSKgelGMH6−HT 2本
(3)測定温度:152℃
(4)キャリア:オルトジクロロベンゼン
(5)流量:1.0mL/分
(6)注入量:500μL
(7)検出器:示差屈折
(8)分子量標準物質:標準ポリスチレン
(7)フィルムの透明性
ASTM1003に従って、フィルムのヘイズを測定した。ヘイズが小さいほど、フィルムの透明性が優れる。
(8)フィルムの衝撃強度
恒温槽付フィルムインパクトテスター(東洋精機製)を用い、振り子先端の貫通部形状を15mmφの半円球とし、有効試験片面積を50mmφの円形にして、23℃でのフィルムの衝撃穴開け強さを測定した。
(9)温度上昇溶離分別法によって測定される100℃以上の溶出樹脂量の測定
下記の装置を用いて、下記の条件で測定した。
装置:三菱化学社製 CFC T150A型
検出器:ニコレ−ジャパン(株)社製 Magna−IR550
波長:データ範囲 2982〜2842 cm−1カラム:昭和電工(株)社製 UT−806M 2本
溶媒:オルトジクロルベンゼン
流速:60ml/時間
試料濃度:100mg/25ml
試料注入量:0.8ml
担持条件:1℃/1分の速度で140℃から0℃まで降温した後、30分間放置して、0℃フラクションから溶出を開始した。
データ取得条件:0、30、60、80℃で溶出データを取得し85℃−105℃の温度範囲では、溶出がなくなるまで、ただし少なくとも100℃までは1℃刻みで溶出量のデータを取得し、その後は140℃まで昇温してから溶出量のデータを取得した。
実施例1
(1)成分(A1)の調製
(1−1)固体触媒成分の調製
窒素置換した撹拌機、邪魔板を備えた200L反応器に、ヘキサン80L、テトラエトキシシラン20.6kgおよびテトラブトキシチタン2.2kgを投入し、撹拌した。次に、前記攪拌混合物に、ブチルマグネシウムクロリドのジブチルエーテル溶液(濃度2.1モル/L)50Lを反応器の温度を5℃に保ちながら4時間かけて滴下した。滴下終了後、5℃で1時間、更に20℃で1時間撹拌し、濾過し、固体成分を得た。次に得られた固体成分をトルエン70Lで3回洗浄し、固体成分にトルエン63Lを加えて、スラリーとした。
撹拌機を備えた内容積210Lの反応器を窒素で置換し、固体成分のトルエンスラリーを該反応器に仕込み、テトラクロロシラン14.4kg、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)9.5kgを投入し、105℃で2時間攪拌した。次いで、固液分離し、得られた固体を、95℃にて、トルエン90Lで3回洗浄した。固体にトルエン63Lを加え、70℃に昇温し、TiCl4 13.0kgを投入し、105℃で2時間攪拌した。次いで、固液分離し、得られた固体を、95℃にて、トルエン90Lで6回洗浄し、更に、室温にて、ヘキサン90Lで2回洗浄した。洗浄後の固体を乾燥して、固体触媒成分を得た。
(1−2)予備重合触媒(XA−1)の調製
内容積3Lの撹拌機付きオートクレーブを十分乾燥し、オートクレーブを真空にし、ブタン490gおよび1−ブテン260gを仕込み、55℃に昇温した。次に、エチレンを分圧で1.0MPaとなるように加えた。トリエチルアルミニウム5.4ミリモル、実施例1(1)で生成した固体触媒成分326.4mgをアルゴンによって圧入して重合を開始した。圧力が一定となるようにエチレンをボンベより連続して供給し、ボンベの重量減少量が48.9gになるまで55℃で重合を行った。重合後、エチレンの供給を停止し、系内をパージした後、アルゴンガスで加圧状態にし、予備重合パウダーを窒素置換したアンプルに回収し、封入した。回収した予備重合パウダーの一部について、極限粘度[η]を測定し、短鎖分岐度をIRで調べたところ、[η]=9.1、1000炭素当たりの短鎖分岐度は10.4であった。
(1−3)本重合
内容積3Lの撹拌機付きオートクレーブを十分乾燥し、オートクレーブを真空にし、ブタン620gおよび1−ブテン130gを仕込み、70℃に昇温した。次に、エチレンを分圧で0.6MPaとなるように、水素を分圧で0.2MPaとなるように加えた。トリエチルアルミニウム1.7ミリモル、(1−2)で生成した予備重合触媒(XA−1)を3.75g、アルゴンによって圧入して重合を開始した。圧力が一定となるようにエチレンをボンベより連続して供給し、70℃で3時間重合を行った。重合により、エチレン−1−ブテン共重合体(以下、エチレン系樹脂(A1)と記す。)を197g得た。重合体(A1)の物性値を表1に示した。
(2)フィルム加工
エチレン系樹脂(A1)に、酸化防止剤(住友化学(株)製 スミライザーGP)1000ppmおよびステアリン酸カルシウム800ppmを配合し、インフレーションフィルム成形機(ランドキャッスル社製、単軸押出機(径15mmφ)、ダイス(ダイ径125mmφ、リップギャップ2.0mm))により、加工温度200℃、押出量150g/hr、フロストライン高さ20mm、ブロー比2.0、フィルム引取速度2.2m/minの加工条件で厚み20μmのインフレーションフィルムを成形した。得られたフィルムの物性評価結果を表2に示した。
実施例2
(1)成分(A2)の調製
(1−1)予備重合触媒(XA−2)の調製
内容積3Lの撹拌機付きオートクレーブを十分乾燥し、オートクレーブを真空にし、ブタン550gおよび1−ブテン200gを仕込み、55℃に昇温した。次に、エチレンを分圧で0.6MPaとなるように加えた。トリエチルアルミニウム1.7ミリモル、実施例1(1−1)で生成した固体触媒成分193.7mgをアルゴンによって圧入して重合を開始した。圧力が一定となるようにエチレンをボンベより連続して供給し、ボンベの重量減少量が19.0gになるまで55℃で重合を行った。重合後、エチレンの供給を停止し、系内をパージした後、アルゴンガスで加圧状態にし、予備重合パウダーを窒素置換したアンプルに回収し、封入した。回収した予備重合パウダーの一部について、極限粘度[η]を測定し、短鎖分岐度をIRで調べたところ、[η]=8.1、1000炭素当たりの短鎖分岐度は11.5であった。
(1−2)本重合
内容積3Lの撹拌機付きオートクレーブを十分乾燥し、オートクレーブを真空にし、ブタン530gおよび1−ブテン105gを仕込み、70℃に昇温した。次に、エチレンを分圧で0.5MPaとなるように、水素を分圧で0.2MPaとなるように加えた。トリエチルアルミニウム1.7ミリモル、(1−1)で生成した予備重合触媒(XA−2)を4.44g、アルゴンによって圧入して重合を開始した。圧力が一定となるようにエチレンをボンベより連続して供給し、70℃で2時間重合を行った。重合により、エチレン−1−ブテン共重合体(以下、エチレン系樹脂(A2)と記す。)を208.5g得た。エチレン系樹脂(A2)の物性値を表1に示した。
(2)フィルム加工
エチレン系樹脂(A1)に替えてエチレン系樹脂(A2)を用いた以外は実施例1と同様にして、インフレーションフィルムを成形した。得られたフィルムの物性評価結果を表2に示した。
実施例3
(1)成分(A3)の調製
(1−1)予備重合触媒(XA−3)の調製
内容積3Lの撹拌機付きオートクレーブを十分乾燥し、オートクレーブを真空にし、ブタン502gおよび1−ブテン262gを仕込み、70℃に昇温した。次に、エチレンを分圧で0.6MPaとなるように加えた。トリエチルアルミニウム1.7ミリモル、実施例1(1−1)で生成した固体触媒成分223.3mgをアルゴンによって圧入して重合を開始した。圧力が一定となるようにエチレンをボンベより連続して供給し、ボンベの重量減少量が65.5gになるまで70℃で重合を行った。重合後、エチレンの供給を停止し、系内をパージした後、アルゴンガスで加圧状態にし、予備重合パウダーを窒素置換したアンプルに回収し、封入した。回収した予備重合パウダーの一部について、極限粘度[η]を測定したところ、[η]=4.9であった。
(1−2)本重合
内容積3Lの撹拌機付きオートクレーブを十分乾燥し、オートクレーブを真空にし、ブタン620gおよび1−ブテン130gを仕込み、70℃に昇温した。次に、エチレンを分圧で0.6MPaとなるように、水素を分圧で0.3MPaとなるように加えた。トリエチルアルミニウム1.7ミリモル、(1−1)で生成した予備重合触媒(XA−3)を3.81g、アルゴンによって圧入して重合を開始した。圧力が一定となるようにエチレンをボンベより連続して供給し、70℃で2時間重合を行った。重合により、エチレン−1−ブテン共重合体(以下、エチレン系樹脂(A3)と記す。)を62g得た。エチレン系樹脂(A3)の物性値を表1に示した。
(2)フィルム加工
エチレン系樹脂(A1)に替えてエチレン系樹脂(A3)を用いた以外は実施例1と同様にして、インフレーションフィルムを成形した。得られたフィルムの物性評価結果を表2に示した。
実施例4
(1)成分(A4)の調製
(1−1)予備重合触媒(XA−4)の調製
内容積3Lの撹拌機付きオートクレーブを十分乾燥し、オートクレーブを真空にし、ブタン490gおよび1−ブテン260gを仕込み、55℃に昇温した。次に、エチレンを分圧で1.0MPaとなるように加えた。トリエチルアルミニウム1.7ミリモル、実施例1(1−1)で生成した固体触媒成分194.4mgをアルゴンによって圧入して重合を開始した。圧力が一定となるようにエチレンをボンベより連続して供給し、ボンベの重量減少量が70.0gになるまで55℃で重合を行った。重合後、エチレンの供給を停止し、系内をパージした後、アルゴンガスで加圧状態にし、予備重合パウダーを窒素置換したアンプルに回収し、封入した。回収した予備重合パウダーの一部について、極限粘度[η]を測定し、短鎖分岐度をIRで調べたところ、[η]=12.5、1000炭素当たりの短鎖分岐度は6.9であった。
(1−2)本重合
内容積3Lの撹拌機付きオートクレーブを十分乾燥し、オートクレーブを真空にし、ブタン620gおよび1−ブテン130gを仕込み、70℃に昇温した。次に、エチレンを分圧で0.6MPaとなるように、水素を分圧で0.25MPaとなるように加えた。トリエチルアルミニウム1.7ミリモル、(1−1)で生成した予備重合触媒(XA−4)を5.40g、アルゴンによって圧入して重合を開始した。圧力が一定となるようにエチレンをボンベより連続して供給し、70℃で3.5時間重合を行った。重合により、エチレン−1−ブテン共重合体(以下、エチレン系樹脂(A4)と記す。)を92g得た。エチレン系樹脂(A4)の物性値を表1に示した。
(2)フィルム加工
エチレン系樹脂(A1)に替えてエチレン系樹脂(A4)を用いた以外は実施例1と同様にして、インフレーションフィルムを成形した。得られたフィルムの物性評価結果を表2に示した。
実施例5
(1)成分(A5)の調製
内容積3Lの撹拌機付きオートクレーブを十分乾燥し、オートクレーブを真空にし、ブタン620gおよび1−ブテン130gを仕込み、70℃に昇温した。次に、エチレンを分圧で0.6MPaとなるように、水素を分圧で0.2MPaとなるように加えた。トリエチルアルミニウム1.7ミリモル、実施例3の(1−1)で生成した予備重合触媒(XA−3)を6.9g、アルゴンによって圧入して重合を開始した。圧力が一定となるようにエチレンをボンベより連続して供給し、70℃で3時間重合を行った。重合により、エチレン−1−ブテン共重合体(以下、エチレン系樹脂(A5)と記す。)を144g得た。エチレン系樹脂(A5)の物性値を表1に示した。
(2)フィルム加工
エチレン系樹脂(A1)に替えてエチレン系樹脂(A5)を用いた以外は実施例1と同様にして、インフレーションフィルムを成形した。得られたフィルムの物性評価結果を表2に示した。
比較例1
(1)成分(A6)の調製
(1−1)予備重合触媒(XA−6)の調製
内容積3Lの撹拌機付きオートクレーブを十分乾燥し、オートクレーブを真空にし、ブタン750gを仕込み、70℃に昇温した。次に、エチレンを分圧で0.6MPaとなるように加えた。トリエチルアルミニウム4.6ミリモル、実施例1(1−1)で生成した固体触媒成分296.4mgをアルゴンによって圧入して重合を開始した。圧力が一定となるようにエチレンをボンベより連続して供給し、ボンベの重量減少量が36.0gになるまで70℃で重合を行った。重合後、エチレンの供給を停止し、系内をパージした後、アルゴンガスで加圧状態にし、予備重合パウダーを窒素置換したアンプルに回収し、封入した。回収した予備重合パウダーの一部について、極限粘度[η]を測定したところ、[η]=9.5であった。
(1−2)本重合
内容積3Lの撹拌機付きオートクレーブを十分乾燥し、オートクレーブを真空にし、ブタン620gおよび1−ブテン130gを仕込み、70℃に昇温した。次に、エチレンを分圧で0.6MPaとなるように、水素を分圧で0.3MPaとなるように加えた。トリエチルアルミニウム1.7ミリモル、(1−1)で生成した予備重合触媒(XA−6)を7.95g、アルゴンによって圧入して重合を開始した。圧力が一定となるようにエチレンをボンベより連続して供給し、70℃で75分重合を行った。重合により、エチレン−1−ブテン共重合体(以下、エチレン系樹脂(A6)と記す。)を170g得た。エチレン系樹脂(A6)の物性値を表1に示した。
(2)フィルム加工
エチレン系樹脂(A1)に替えてエチレン系樹脂(A6)を用いた以外は実施例1と同様にして、インフレーションフィルムを成形した。得られたフィルムの物性評価結果を表2に示した。
比較例2
エチレン系樹脂(A1)に替えて直鎖状低密度ポリエチレン(住友化学(株)製 スミカセンL FS240;以下、エチレン系樹脂(A7)と記す。物性値を表1に示した。)を用いた以外は、実施例1のフィルム加工と同様に行った。得られたフィルムの物性評価結果を表2に示した。
実施例6
(1)成分(A8)の調製
(1−1)予備重合触媒(XA−7)の調製
内容積5Lの撹拌機付きオートクレーブを十分乾燥し、オートクレーブを真空にし、ブタン1000gおよび1−ブテン200gを仕込み、50℃に昇温した。次に、エチレンを分圧で0.3MPaとなるように加えた。トリエチルアルミニウム6.0ミリモル、実施例1(1−1)で生成した固体触媒成分525.1mgをアルゴンによって圧入して重合を開始した。圧力が一定となるようにエチレンをボンベより連続して供給した。ボンベの重量減少量が25gになったところで、水素を0.3MPa導入した。その後さらに圧力が一定となるようにエチレンをボンベより連続して供給し、ボンベの重量減少が25gとなったところで、再び水素を0.3MPa導入した。その後さらに圧力が一定となるようにエチレンをボンベより連続して供給しボンベの重量減少が28gとなったところで、エチレンの供給を停止し、系内をパージした後、アルゴンガスで加圧状態にし、予備重合パウダーを窒素置換したアンプルに回収し、封入した。回収した予備重合パウダーの一部について、極限粘度[η]を測定し、短鎖分岐度をIRで調べたところ、[η]=3.4、1000炭素当たりの短鎖分岐度は24.1であった。
なお同様の実験を行い、最初にボンベが25g重量減少した一段階目でエチレンの供給を停止し、系内をパージした後、アルゴンガスで加圧状態にし、予備重合パウダーを窒素置換したアンプルに回収し、封入した。回収した予備重合パウダーの一部について、極限粘度[η]を測定し、短鎖分岐度をIRで調べたところ、[η]=7.3、1000炭素当たりの短鎖分岐度は20.1であった。
(1−2)本重合
内容積5Lの撹拌機付きオートクレーブを十分乾燥し、オートクレーブを真空にし、ブタン1033g、1−ブテン217g、トリエチルアルミニウム6.7ミリモルを仕込み、70℃に昇温した。次に、水素を分圧で0.2MPaとなるように、エチレンを分圧で0.6MPaとなるように加えた。トリエチルアルミニウム2.8ミリモル、(1−1)で生成した予備重合触媒(XA−7)を10.7g、アルゴンによって圧入して重合を開始した。圧力が一定となるようにエチレンをボンベより連続して供給し、70℃で60分間重合を行った。重合により、エチレン−1−ブテン共重合体(以下、エチレン系樹脂(A8)と記す。)を171g得た。重合体(A8)の物性値を表1に示した。
(2)フィルム加工
エチレン系樹脂(A1)に替えてエチレン系樹脂(A8)を用いた以外は実施例1と同様にして、インフレーションフィルムを成形した。得られたフィルムの物性評価結果を表2に示した。
Figure 2010150511
Figure 2010150511

Claims (2)

  1. 以下の条件を全て満足するエチレン系樹脂。
    (a)密度が890〜930kg/m3である。
    (b)メルトフローレート(MFR)が0.1〜10g/10分である。
    (c)流動の活性化エネルギー(Ea)が50kJ/mol未満である。
    (d)Mz/Mwが3.5以上である。
    (e)(Mz/Mw)/(Mw/Mn)≧0.9である。
    (f)温度上昇溶離分別法によって測定される100℃以上での溶出樹脂量の割合が1重量%未満である(ただし、エチレン系樹脂の重量を100重量%とする)。
  2. 請求項1に記載のエチレン系樹脂を押出成形してなるフィルム。
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