JP2006307138A - エチレン−α−オレフィン共重合体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エチレンに基づく単量体単位と炭素原子数3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位を有し、密度(d)が906〜970kg/m3であるエチレン−α−オレフィン共重合体であって、流動の活性化エネルギーが50kJ/mol以上であり、冷キシレン可溶部の融解熱量が30J/g以上であり、メルトフローレート(MFR)と密度(d)と冷キシレン可溶部割合(CXS)とが下記式(1)の関係を充足し、メルトフローレート(MFR)と特性緩和時間(τ)とが下記式(2)の関係を充足するエチレン−α−オレフィン共重合体。
10(30.3-0.0327×d+0.354×logMFR)<CXS<20 式(1)
2<τ≦5.2×MFR-0.746 式(2)
【選択図】なし
Description
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、成形性が良好なエチレン−α−オレフィン共重合体であって、耐ブロッキング性および外観に優れた押出成形品が得られるエチレン−α−オレフィン共重合体を提供することにある。
10(30.3-0.0327×d+0.354×logMFR)<CXS<20 式(1)
2<τ≦5.2×MFR-0.746 式(2)
10(30.3-0.0327×d+0.354×logMFR)<CXS<20 式(1)
3.3<logA≦−0.0815×log(MFR)+3.96 式(3)
3.3<logA≦−0.0815×log(MFR)+3.98 式(4)
ln(aT) = m(1/(T+273.16))+n (I)
Ea = |0.008314×m| (II)
aT :シフトファクター
Ea:流動の活性化エネルギー(単位:kJ/mol)
T :温度(単位:℃)
上記計算は、市販の計算ソフトウェアを用いてもよく、該計算ソフトウェアとしては、Rheometrics社製 Rhios V.4.4.4などがあげられる。
なお、シフトファクター(aT)は、夫々の温度(T)における溶融複素粘度−角周波数の両対数曲線を、log(Y)=−log(X)軸方向に移動させて(但し、Y軸を溶融複素粘度、X軸を角周波数とする。)、190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線に重ね合わせた際の移動量であり、該重ね合わせでは、夫々の温度(T)における溶融複素粘度−角周波数の両対数曲線は、各曲線ごとに、角周波数をaT倍に、溶融複素粘度を1/aT倍に移動させる。また、130℃、150℃、170℃および190℃の4点の値から(I)式を最小自乗法で求めるときの相関係数は、通常、0.99以上である。
10(30.3-0.0327×d+0.354×logMFR)<CXS<20 式(1)
d :エチレン−α−オレフィン共重合体の密度(単位:kg/m3)
MFR:エチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート
(単位:g/10分)
(なお、該密度は、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った後、JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定される値であり、該メルトフローレートは、JIS K7210−1995に規定された方法に従い、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定される値である。)
10(30.4-0.0326×d+0.354×logMFR)<CXS<20 式(1’)
10(30.5-0.0325×d+0.354×logMFR)<CXS<20 式(1'')
(1)エチレン−α−オレフィン共重合体の試料約5gを、酸化防止剤を含む沸騰したキシレン1リットル中で溶解する。
(2)(1)で調整した沸騰キシレン溶液を2時間程度かけて室温まで冷却し、さらに25℃に20時間静置する。
(3)キシレン溶液を濾過して濾液を回収し、該濾液からキシレン溶媒を除去して、キシレン溶液中に溶解していた共重合体(冷キシレン可溶部と称する。)を取り出す。
(4)得られた冷キシレン可溶部の重量、回収した濾液量および用いた試料重量から、下記式により算出する。
冷キシレン可溶部割合(単位:重量%)
=[〔冷キシレン可溶部重量(単位:g)×(1/回収した濾液量(単位:リットル))〕
/試料重量(単位:g)]×100
2<τ≦5.2×MFR-0.746 式(2)
MFR:エチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート
(単位:g/10分)
(なお、該メルトフローレートは、JIS K7210−1995に規定された方法に従い、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定される値である。)
2<τ≦5.1×MFR-0.746 式(2’)
2<τ≦5.0×MFR-0.746 式(2'')
η=η0/[1+(τ×ω)n]
η :溶融複素粘度(単位:Pa・sec)
ω :角周波数(単位:rad/sec)
η0:エチレン−α−オレフィン共重合体ごとに求められる定数
n :エチレン−α−オレフィン共重合体ごとに求められる定数
なお、上記マスターカーブの上記式での近似は、市販の計算ソフトウェアを用いてもよく、該計算ソフトウェアとしては、Rheometrics社製 Rhios V.4.4.4などがあげられる。
エチレン−α−オレフィン共重合体の密度が915kg/m3未満の場合
3.3<logA≦−0.0815×log(MFR)+3.96 式(3)
エチレン−α−オレフィン共重合体の密度が915kg/m3以上の場合
3.3<logA≦−0.0815×log(MFR)+3.98 式(4)
MFR:エチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート
(単位:g/10分)
(なお、該メルトフローレートは、JIS K7210−1995に規定された方法に従い、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定される値である。)
エチレン−α−オレフィン共重合体の密度が915kg/m3未満の場合
3.3<logA≦−0.0815×log(MFR)+3.95 式(3’)
エチレン−α−オレフィン共重合体の密度が915kg/m3以上の場合
3.3<logA≦−0.0815×log(MFR)+3.97 式(4’)
下記式(3'')または(4'')の関係を充足することがより好ましい。
エチレン−α−オレフィン共重合体の密度が915kg/m3未満の場合
3.3<logA≦−0.0815×log(MFR)+3.94 式(3”)
エチレン−α−オレフィン共重合体の密度が915kg/m3以上の場合
3.3<logA≦−0.0815×log(MFR)+3.96 式(4”)
(1)ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ測定によって、分子鎖長Awの対数であるlogAw(x値)に対して重量割合dW/d(logAw)(y値)がプロットされた鎖長分布曲線を測定する。なお、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ測定では、分子量標準物質として標準ポリスチレンを用い、下記式により、標準ポリスチレンの分子量を分子鎖量に換算する。
分子鎖長(オングストローム)=標準ポリスチレンの分子量/40.9
(2)x値に対して、標準偏差0.30を有し、任意の平均値(通常、ピーク位置の鎖長Aに相当する。)を有する4つの対数正規分布曲線(x−y曲線)を任意の割合で足し合わせて、合成曲線を作成する。
(3)測定された鎖長分布曲線と合成曲線とのずれの度合いとして、各x値について、測定された鎖長分布曲線のy値と合成曲線のy値との差(偏差)を求め、各x値での偏差をそれぞれ二乗し、それらを合計した値(偏差平方和)を求める。
(4)(2)で用いた対数正規分布曲線の平均値と対数正規分布曲線足し合わせ割合とを変更して、(2)と(3)を繰り返し、偏差平方和が最小値になる合成曲線を求める。
(5)(4)で得られた合成曲線を構成する4つの対数正規分布曲線のうち、ピークの分子鎖長が最も高分子量である対数正規分布曲線のピーク分子鎖長を求める。
なお、鎖長分布曲線上のプロットデータ数は、連続的な分布曲線になるよう、通常少なくとも300以上とする。また、偏差平方和は、通常、該300以上のプロットデータについて行う。
偏差平方和の最小値は、4つの対数正規分布曲線の割合がすべて0の場合の偏差平方和に対して通常0.5%以下になる。また、最も高分子量である成分に相当する対数正規分布曲線のピーク面積の割合は、共重合体全成分の面積を100%として、通常10%以上である。
2.0×MFR-0.59<MT<40×MFR-0.59 式(5)
2.2×MFR-0.59<MT<25×MFR-0.59 式(5’)
2.5×MFR-0.59<MT<15×MFR-0.59 式(5'')
1.02×MFR-0.094<[η]<1.50×MFR-0.156 式(6)
1.05×MFR-0.094<[η]<1.47×MFR-0.156 式(6’)
1.08×MFR-0.094<[η]<1.42×MFR-0.156 式(6'')
MFR:エチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート
[η]=23.3×log(ηrel)
[η]<1.20の場合
−0.91×[η]+2.262<SR<2 式(7)
[η]≧1.20の場合
1.17<SR<2 式(8)
[η]<1.23の場合
−0.91×[η]+2.289<SR<1.9 式(7’)
[η]≧1.23の場合
1.17<SR<1.9 式(8’)
下記式(7'')または(8'')を充足するエチレン−α−オレフィン共重合体が更に好ましい。
[η]<1.30の場合
−0.91×[η]+2.353<SR<1.8 式(7'')
[η]≧1.30の場合
1.17<SR<1.8 式(8'')
(イ)少なくとも2つの融点(単位は℃である。)を有し、最高融点(温度が最大の融点)が115℃以上であること
(ロ)1つの融点を有し、融解温度が118℃以上の成分を有すること
上記(イ)の最高融点としては、118℃以上であることが好ましい。なお、エチレン−α−オレフィン共重合体の密度が927kg/m3を超える場合、該共重合体は、通常、耐熱性に優れる。
|2−x−2y|≦1
上記式のxとしては、好ましくは0.01〜1.99の数であり、より好ましくは0.10〜1.80の数であり、さらに好ましくは0.20〜1.50の数であり、最も好ましくは0.30〜1.00の数である。
また、本重合を実施する前に、予備重合を実施し、予備重合された予備重合触媒成分を本重合の触媒成分または触媒として使用することが好ましい。
実施例および比較例での物性は、次の方法に従って測定した。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210−1995に規定された方法に従い、荷重21.18N、温度190℃の条件で、A法により測定した。
JIS K7210−1995に規定された方法に従い、荷重211.8N、温度190℃の条件でA法により測定したメルトフローレート値を、荷重21.18N、温度190℃の条件でA法により測定した値で除した値をMFRRとした。
メルトフローレート(MFR)を測定する際に、190℃において、荷重21.18Nでストランド状に押出した後に空気中で冷却して得た固体状のストランドについて、先端から1〜6mmの範囲の一点における直径D(単位はmmである。)を求め、その直径をオリフィス径2.095mm(D0)で除した値(D/D0)を算出しSRとした。
JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定した。なお、試料には、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った。
粘弾性測定装置(Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800)を用いて、下記測定条件で130℃、150℃、170℃および190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線を測定し、次に、得られた溶融複素粘度−角周波数曲線から、Rheometrics社製計算ソフトウェア Rhios V.4.4.4を用いて、190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線のマスターカーブを作成し、活性化エネルギー(Ea)を求めた。
<測定条件>
ジオメトリー:パラレルプレート
プレート直径:25mm
プレート間隔:1.5〜2mm
ストレイン :5%
角周波数 :0.1〜100rad/秒
測定雰囲気 :窒素
上記の(5)で得られた190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線のマスターカーブを用いて、Rheometrics社製計算ソフトウェア Rhios V.4.4.4により求めた。
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法を用いて、下記の条件(1)〜(8)により、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
(1)装置:Water製Waters150C
(2)分離カラム:TOSOH TSKgelGMH6−HT
(3)測定温度:140℃
(4)キャリア:オルトジクロロベンゼン
(5)流量:1.0mL/分
(6)注入量:500μL
(7)検出器:示差屈折
(8)分子量標準物質:標準ポリスチレン
上記の(7)で得られた分子量分布曲線を用いて、下記(1)〜(5)の方法で算出した。
(1)分子量分布曲線から、分子鎖長Awの対数であるlogAw(x値)に対して重量割合dW/d(logAw)(y値)がプロットされた鎖長分布曲線を求めた。なお、標準ポリスチレンの分子量は、下記式により分子鎖長に換算した。
分子鎖長(オングストローム)=標準ポリスチレンの分子量/40.9
(2)x値に対して、標準偏差0.30を有し、任意の平均値(通常、ピーク位置の鎖長Aに相当する。)を有する4つの対数正規分布曲線(x−y曲線)を任意の割合で足し合わせて、合成曲線を作成した。
(3)(1)で得られた鎖長分布曲線と(2)で得られた合成曲線との同一x値に対するy値の偏差平方和を求めた。
(4)(2)で用いた対数正規分布曲線の平均値と対数正規分布曲線足し合わせ割合とを変更して(2)と(3)の工程を繰り返し、4つの対数正規分布曲線の割合がすべて0の場合の偏差平方和をTとして、偏差平方和が0.005×T以下となる合成曲線を求めた。
(5)(4)で得られた合成曲線を構成する4つの対数正規分布曲線のうち、ピークの分子鎖長が最も高分子量である対数正規分布曲線のピーク分子鎖長を求めた。
下記(1)〜(4)の工程を行って求めた。
(1)エチレン−α−オレフィン共重合体の試料約5gを、酸化防止剤を含む沸騰したキシレン1リットル中で溶解した。
(2)(1)で調整した沸騰キシレン溶液を2時間程度かけて室温まで冷却し、さらに25℃に20時間静置した。
(3)キシレン溶液を濾過して濾液を回収し、該濾液からキシレン溶媒を除去して、キシレン溶液中に溶解していた共重合体(冷キシレン可溶部と称する。)を取り出した。
(4)得られた冷キシレン可溶部の重量、回収した濾液量および用いた試料重量から、下記式により算出した。
冷キシレン可溶部割合(単位:重量%)
=[〔冷キシレン可溶部重量(単位:g)×(1/回収した濾液量(単位:リットル))〕
/試料重量(単位:g)]×100
約10mgの試料を用い、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製の示差走査型熱量計DSC−7型)にて、下記条件で融解曲線を測定した。
<測定条件>
150℃で2分間保持した後、5℃/分で150℃から40℃まで降温し、40℃で2分間保持した。次に、5℃/分で40℃から150℃まで昇温した。
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)を0.5g/Lの濃度で溶解したテトラリン溶液(以下、ブランク溶液と称する。)と、エチレン−α−オレフィン共重合体を濃度が1mg/mlとなるようにブランク溶液に溶解した溶液(以下、サンプル溶液と称する。)とを調整し、ウベローデ型粘度計により、ブランク溶液とサンプル溶液の135℃での降下時間を測定し、該降下時間から135℃での相対粘度(ηrel)を求めた後、下記式から算出した。
[η]=23.3×log(ηrel)
(12)フィッシュアイ数(単位:個/m2)
インフレーションフィルム成形機(住友重機モダン社製、フルフライトタイプスクリューの単軸押出機(径40mmφ、L/D=26)、ダイス(ダイ径75mmφ、リップギャップ1mm))を用い、加工温度170℃、押出量12.5kg/hr、ブロー比1.8の加工条件で厚み30μのインフレーションフィルムを成形した。得られたフィルムについて、(株)安川電機製作所製LAZER EYE−1000を用いてフライングスポット透過光受光方式、検査幅300mmの条件で、1m2当たりの大きさ0.2mm以上のフィルム欠陥(フィッシュアイ)の数を測定した。
(12)で得られたフィルムのべたつき度合いを触感により下記の通り評価した。
○:べたつかない
△:ややべたつく
×:かなりべたつく
(14)樹脂圧力(単位:MPa)
インフレーションフィルム成形機(プラコー社製、フルフライトタイプスクリューの単軸押出機(径30mmφ、L/D=28)、ダイス(ダイ径50mmφ、リップギャップ0.8mm)、二重スリットエアリング)を用い、加工温度170℃、押出量5.5kg/hr、フロストラインディスタンス(FLD)200mm、ブロー比1.8の加工条件で厚み80μのインフレーションフィルムを成形する際の押出機の樹脂圧力を測定した。該樹脂圧力が低いほど、成形性に優れる。
東洋精機製作所製 メルトテンションテスターを用いて、温度が190℃の条件で、9.5mmφのバレルに充填した溶融樹脂を、ピストン降下速度5.5mm/分(剪断速度7.4sec-1)で、径が2.09mmφ、長さ8mmのオリフィスから押出し、該押し出された溶融樹脂を、径が50mmφの巻き取りロールを用い、40rpm/分の巻き取り上昇速度で巻き取り、溶融樹脂が破断する直前における張力値を測定した。この値が大きいほど成形性に優れる。
(1)助触媒担体の調製
窒素置換した撹拌機を備えた反応器に、窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製 Sylopol948;平均粒子径=55μm;細孔容量=1.67ml/g;比表面積=325m2/g)2.8kgとトルエン24kgとを入れて、撹拌した。その後、5℃に冷却した後、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン0.91kgとトルエン1.43kgとの混合溶液を反応器内の温度を5℃に保ちながら33分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間、95℃で3時間攪拌し、ろ過した。得られた固体成分をトルエン21kgで6回、洗浄を行った。その後、トルエンを6.9kg加えスラリーとし、一晩静置した。
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付きオートクレーブに、上記助触媒担体(A1)0.70kgを投入し、水素を常温常圧として3リットルと、1−ブテンを20gと、ブタンを80リットルとを仕込んだ後、オートクレーブを40℃まで昇温した。さらにエチレンをオートクレーブ内のガス相圧力で0.03MPa分仕込み、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム210mmolとラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド70mmolを投入して重合を開始した。42℃へ昇温するとともに、エチレンと水素を連続で供給しながらさらに50℃まで昇温し、合計で4時間の予備重合を実施した。重合終了後、エチレン、ブタン、水素ガスなどをパージして残った固体を室温にて真空乾燥し、上記助触媒担体(A1)1g当り13gのエチレン−1−ブテン共重合体が予備重合された予備重合触媒成分を得た。
上記で得た予備重合触媒成分を用い、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ヘキセンの共重合を実施し、エチレン−1−ヘキセン共重合パウダーを得た。重合条件としては、重合温度を82℃、重合圧力を2MPa、エチレンに対する水素モル比を0.7%、エチレンに対する1−ヘキセンモル比を1.4%とした。重合中はガス組成を一定に維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素を連続的に供給した。また、上記予備重合済触媒成分とトリイソブチルアルミニウム、およびトリエチルアミン(トリイソブチルアルミニウムに対するモル比3%)とを連続的に供給し、流動床の総パウダー重量80kgを一定に維持した。平均重合時間4hrであった。得られたエチレン−1−ヘキセン共重合パウダーに酸化防止剤(住友化学社製 スミライザーGP)750ppmをブレンドし、押出機(神戸製鋼所社製 LCM50)を用いて、フィード速度50kg/hr、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度50%、サクション圧力0.1MPa、樹脂温度200〜230℃の条件で造粒することによりエチレン−1−ヘキセン共重合体を得た。得られたエチレン−1−ヘキセン共重合体を用いた物性評価の結果を表1に示した。
(1)予備重合触媒の調製
実施例1の(1)助触媒担体の調製および(2)予備重合触媒成分の調製と同様にして、予備重合触媒成分を得た。
上記で得た予備重合触媒成分を用い、実施例1と同様にして、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ヘキセンの共重合を実施した。得られたエチレン−1−ヘキセン共重合パウダーに酸化防止剤をブレンドせずに、実施例1と同様にして造粒してエチレン−1−ヘキセン共重合体を得た。得られたエチレン−1−ヘキセン共重合体を用いた物性評価の結果を表1に示した。
(1)助触媒担体の調製
窒素置換した5リットルの四つ口フラスコに、テトラヒドロフラン1.5リットル、ジエチル亜鉛のヘキサン溶液(ジエチル亜鉛濃度:2mol/リットル)1.35リットル(ジエチル亜鉛量:2.7mol)を入れ、5℃に冷却した。これに、ペンタフルオロフェノール0.2kg(1mol)をテトラヒドロフラン500mlに溶解させた溶液を60分間で滴下した。滴下終了後、5℃で60分攪拌し、28分間かけて45℃まで温度を上げ、60分間攪拌を行った。その後、氷浴で20℃まで温度を下げ、水45g(2.5mol)を90分間で滴下した。その後、20℃で60分間攪拌し、24分間かけて45℃まで昇温して60分間攪拌を実施した。その後、20℃から50℃に昇温しながら、減圧にて溶媒留去を120分実施し、その後120℃にて8時間減圧乾燥実施した。その結果、固体成分0.43kgを得た。
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付きオートクレーブにトリイソブチルアルミニウムを濃度2.5mmol/リットルで含んだブタン80リットルと、常温常圧として28リットルの水素を仕込んだ後、オートクレーブを40℃まで昇温した。さらにエチレンをオートクレーブ内のガス相圧力で0.3MPa分仕込み、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム200mmol、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド28mmol、続いて、助触媒担体(A2)0.2kgを投入して重合を開始した。40℃から50℃へ昇温するとともに、エチレンと水素を連続で供給しながら、合計4時間の予備重合を実施した。重合終了後、エチレン、ブタン、水素をパージし、溶媒をろ過して、生成した固体を室温にて真空乾燥し、助触媒担体(A2)1g当り60gのポリエチレンが予備重合された予備重合触媒成分を得た。
上記で得た予備重合触媒成分を用い、実施例1と同様にして、重合時のエチレンに対する水素モル比を0.3%程度、エチレンに対する1−ヘキセンモル比を1.8%程度に調整して、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ヘキセンの共重合を実施し、エチレン−1−ヘキセン共重合パウダーを得た。得られたエチレン−1−ヘキセン共重合パウダーに、カルシウムステアレート1000ppm、酸化防止剤(住友化学社製 スミライザーGP)1800ppmをブレンドし、単軸押出機(田辺プラスチック(株)製、40mmφ、L/D=28、フルフライトスクリュー)を用いて、温度150℃、スクリュー回転数80rpmの条件で造粒することによりエチレン−1−ヘキセン共重合体を得た。得られたエチレン−1−ヘキセン共重合体を用いた物性評価の結果を表1に示した。
(1)助触媒担体の調製
攪拌機およびジャケットを有する内容積180リットルのSUS製反応機を窒素置換した後、窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製 Sylopol948;細孔容量=1.65ml/g;比表面積=298m2/g、平均粒径=58μm)9.7kgおよびトルエン100リットルを投入した。2℃に冷却後、PMAOのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製 PMAO−s)を23.3kg(Al原子として75.9mol)を62分間で滴下した。滴下終了後、5℃にて30分間攪拌し、95℃まで2時間かけて昇温を行い、95℃にて4時間攪拌を行った。その後、40℃まで温度を下げ、窒素置換した攪拌機およびジャケットを有する内容積180リットルのSUS製反応機へ移送した。シリカ由来成分を50分間かけて沈降させ、上層のスラリー成分を取り除いた。その後、洗浄操作として、トルエン100リットルを加えて10分間攪拌した後、約45分間かけて沈降させ、上層のスラリー成分を取り除いた。上記洗浄操作を計3回繰り返した。次いで、窒素置換した内容積430リットルのSUS製のろ過機(フィルター、攪拌機およびジャケットを有するろ過機)へ、トルエン120リットルにてスラリーを移送した。10分間攪拌しろ過を行い、トルエン100リットルを加えて再度10分間攪拌し、ろ過を行った。更に、洗浄操作として、ヘキサン100リットルを加えて10分間攪拌し、ろ過を行った。この洗浄操作を計2回繰り返した。ヘキサン70リットルにて、窒素置換した内容積210リットルのSUS製乾燥器(攪拌機およびジャケットを有する乾燥器)へスラリーを移送した。次いで、ジャケット温度80℃にて窒素流通乾燥を7.5時間行うことにより、固体成分(以下、助触媒担体(S)と称する。)12.6kgを得た。
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付きオートクレーブにトリイソブチルアルミニウムを濃度2.5mmol/リットルで含んだブタン120リットルと、常温常圧として40リットルの水素とを仕込んだ後、オートクレーブを47℃まで昇温した。さらにエチレンをオートクレーブ内のガス相圧力で0.3MPa分仕込み、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム300mmol、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド15mmol、続いて、助触媒担体(S)0.25kgを投入して重合を開始し、エチレンと水素を連続で供給しながら、合計4時間の予備重合を実施した。重合終了後、エチレン、ブタン、水素をパージし、生成した固体を室温にて真空乾燥し、助触媒担体(S)1g当り33gのポリエチレンが予備重合された予備重合触媒成分を得た。
上記で得た予備重合触媒成分を用い、実施例1と同様にして、重合時のエチレンに対する水素モル比を0.15%、エチレンに対する1−ヘキセンモル比を1.8%に調整して、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ヘキセンの共重合を実施し、エチレン−1−ヘキセン共重合パウダーを得た。得られたエチレン−1−ヘキセン共重合パウダーを比較例1と同様にして造粒することによってエチレン−1−ヘキセン共重合体を得た。得られたエチレン−1−ヘキセン共重合体を用いた物性評価の結果を表1に示した。
(1)助触媒担体の調製
窒素置換した3リットルの四つ口フラスコに、窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製 Sylopol948;平均粒子径=61μm;細孔容量=1.70ml/g;比表面積=291m2/g)0.2kgとトルエン1.2リットルとを入れた。5℃に冷却した後、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン84.4ml(0.4mmol)とトルエン115mlとの混合溶液を25分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間、95℃で3時間攪拌し、ろ過した。その後、95℃でトルエン1.2リットルにて4回、フィルターを用いた洗浄を行った。その後、トルエンを1.2リットル加えスラリーとし、一晩静置した。
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付きオートクレーブにトリイソブチルアルミニウムを濃度2.5mmol/リットルで含んだブタン100リットルと、1−ブテン0.5リットル、常温常圧として8リットルの水素を仕込んだ後、オートクレーブを23℃まで昇温した。さらにエチレンをオートクレーブ内のガス相圧力で0.2MPa分仕込み、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム250mmol、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド30mmol、続いて、上記助触媒担体(A3)0.20kgを投入して重合を開始した。30℃へ昇温するとともに、エチレンと水素を連続で供給しながら、30℃で合計4時間の予備重合を実施した。重合終了後、エチレン、ブタン、水素などをパージして残った固体を室温にて真空乾燥し、助触媒担体(A3)1g当り58gのエチレン−1−ブテン共重合体が予備重合された予備重合触媒成分を得た。
上記で得た予備重合触媒成分を用い、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ヘキセンの共重合を実施し、エチレン−1−ヘキセン共重合パウダーを得た。重合条件としては、重合温度を85℃、重合圧力を2MPa、ガス線速度を0.24m/秒、エチレンに対する水素モル比を0.8%、エチレンに対する1−ヘキセンモル比を1.5%とした。重合中はガス組成を一定に維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素を連続的に供給した。また、上記予備重合済触媒成分とトリイソブチルアルミニウムを連続的に供給し、流動床の総パウダー重量80kgを一定に維持した。平均重合時間4hrであった。得られたエチレン−1−ヘキセン共重合パウダーに、酸化防止剤(住友化学社製 スミライザーGP)1800ppm、カルシウムステアレート1000ppmをブレンドし、押出機(神戸製鋼所社製 LCM100)を用いて、フィード速度350kg/hr、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度4.2mm、サクション圧力0.2MPa、樹脂温度200〜230℃の条件で造粒することによりエチレン−1−ヘキセン共重合体を得た。得られたエチレン−1−ヘキセン共重合体を用いた物性評価の結果を表1に示した。
Claims (2)
- エチレンから誘導される単量体単位と炭素原子数3〜20のα−オレフィンから誘導される単量体単位を有し、密度(d)が906〜970kg/m3であるエチレン−α−オレフィン共重合体であって、流動の活性化エネルギー(Ea)が50kJ/mol以上であり、冷キシレン可溶部の融解熱量が30J/g以上であり、メルトフローレート(MFR;単位はg/10分である。)と密度(d;単位はkg/m3である。)と冷キシレン可溶部割合(CXS;単位は重量%である。)とが下記式(1)の関係を充足し、メルトフローレート(MFR;単位はg/10分である。)と特性緩和時間(τ;単位は秒である。)とが下記式(2)の関係を充足するエチレン−α−オレフィン共重合体。
10(30.3-0.0327×d+0.354×logMFR)<CXS<20 式(1)
2<τ≦5.2×MFR-0.746 式(2) - エチレンから誘導される単量体単位と炭素原子数3〜20のα−オレフィンから誘導される単量体単位を有し、密度(d)が906〜970kg/m3であるエチレン−α−オレフィン共重合体であって、流動の活性化エネルギー(Ea)が50kJ/mol以上であり、冷キシレン可溶部の融解熱量が30J/g以上であり、メルトフローレート(MFR;単位はg/10分である。)と密度(d;単位はkg/m3である。)と冷キシレン可溶部割合(CXS;単位は重量%である。)とが下記式(1)の関係を充足し、高分子量成分鎖長(A;単位はオングストロームである。)とメルトフローレート(MFR;単位はg/10分である。)とが、密度が915kg/m3未満の場合は下記式(3)の関係を充足し、密度が915kg/m3以上の場合は下記式(4)の関係を充足するエチレン−α−オレフィン共重合体。
10(30.3-0.0327×d+0.354×logMFR)<CXS<20 式(1)
3.30<logA≦−0.0815×log(MFR)+3.96 式(3)
3.30<logA≦−0.0815×log(MFR)+3.98 式(4)
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