JP2005097481A - エチレン重合体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 エチレンから誘導される構成単位と炭素数3〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位を含むエチレン−α−オレフィン共重合体であって、流動の活性化エネルギーが50kJ/mol以上であり、メルトフローレート(MFR;単位はg/10分である。)と密度(d;単位はkg/m3である。)と冷キシレン可溶部割合(CXS;単位は重量%である。)とが下記式(1)の関係を満たし、冷キシレン可溶部の融解熱量が30J/g以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体。
10(30.3-0.0327×d+0.354×logMFR)<CXS<20 式(1)
【選択図】 なし
Description
本発明の目的は、押出成形加工性と押出成形品の耐ブロッキング性とのバランスに優れたエチレン−α−オレフィン共重合体を提供することにある。
すなわち、本発明は、
エチレンから誘導される構成単位と炭素数3〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位を含むエチレン−α−オレフィン共重合体であって、流動の活性化エネルギーが50kJ/mol以上であり、メルトフローレート(MFR;単位はg/10分である。)と密度(d;単位はkg/m3である。)と冷キシレン可溶部割合(CXS;単位は重量%である。)とが下記式(1)の関係を満たし、冷キシレン可溶部の融解熱量が30J/g以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体に係るものである。
10(30.3-0.0327×d+0.354×logMFR)<CXS<20 式(1)
(1)ジオメトリー:パラレルプレート、直径25mm、プレート間隔:1.5〜2mm
(2)ストレイン:5%
(3)剪断速度:0.1〜100rad/sec
(4)温度:190、170、150、130℃
また、サンプルには予めイルガノックス1076などの酸化防止剤を、適量(例えば1000ppm以上)配合し、測定はすべて窒素下で実施する。
log(aT)=Ea/R(1/T−1/T0)
(Rは気体定数であり、T0は基準温度(463K)である。)
また、計算ソフトウェアには、Rheometrics社 Rhios V.4.4.4を使用し、アレニウス型プロットlog(aT)−(1/T)において、直線近似をした時に得られる相関係数r2が0.99以上であるときのEa値を、本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の流動の活性化エネルギーとする。
10(30.3-0.0327×d+0.354×logMFR)<CXS<20 式(1)
10(30.4-0.0326×d+0.354×logMFR)<CXS<20 式(1’)
であり、さらに好ましい関係は、
10(30.5-0.0325×d+0.354×logMFR)<CXS<20 式(1”)
である。
冷キシレン可溶部割合=[〔可溶部(g)×(1/ろ液量(リットル))〕/ポリマー試料全量(5g)]×100(重量%)
CXSが多すぎると、耐ブロッキング性が悪化するため、本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体においては、CXSは20重量%未満である。
また、四塩化チタンを用いて調製されたような従来から知られているチーグラー・ナッタ触媒系を用いて製造されるエチレン−α−オレフィン共重合体のCXSはやや多く、その冷キシレン可溶部の結晶性は低いため、得られるフィルムやシートがべたつき、耐ブロッキング性に劣る。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体は、長鎖分岐を有するような溶融張力の高いエチレン−α−オレフィン共重合体であり、好ましくはメルトフローレート(MFR;単位はg/10分である。)と190℃における溶融張力(MT;単位はcNである。)とが下記式(2)の関係を満たすものである。
2×MFR-0.59<MT<40×MFR-0.59 式(2)
溶融張力が低すぎると、押出成形加工性が悪化することがあり、溶融張力が高すぎると、高速での引取り加工が困難となることがある。
2.2×MFR-0.59<MT<25×MFR-0.59 式(2’)
であり、さらに好ましい関係は、
2.5×MFR-0.59<MT<15×MFR-0.59 式(2”)
である。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体は、長鎖分岐を有するようなエチレン−α−オレフィン共重合体であり、その極限粘度は、従来知られた通常のエチレン−α−オレフィン共重合体の極限粘度よりも通常低く、好ましくは極限粘度([η];単位はdl/gである。)と前記MFRとが下記式(3)の関係を満たすものであると、押出しトルクがより低く、押出成形加工性により優れる。
1.02×MFR-0.094<[η]<1.50×MFR-0.156 式(3)
1.05×MFR-0.094<[η]<1.47×MFR-0.156 式(3’)
であり、さらに好ましい関係は、
1.08×MFR-0.094<[η]<1.42×MFR-0.156 式(3”)
である。
[η]=23.3×log(ηrel)
3.30<logA<−0.0815×log(MFR)+4.05 式(4)
3.30<logA<−0.0815×log(MFR)+4.03 式(4’)
であり、さらに好ましい関係は、
3.30<logA<−0.0815×log(MFR)+4.02 式(4”)
である。
(1)装置:Water製Waters150C
(2)分離カラム:TOSOH TSKgelGMH−HT
(3)測定温度:145℃
(4)キャリア:オルトジクロロベンゼン
(5)流量:1.0mL/分
(6)注入量:500μL
初めに、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定によって、鎖長Awの対数であるlogAw(x値)に対して重量割合dW/d(logAw)(y値)がプロットされた鎖長分布曲線を実測する。プロットデータ数は、連続的な分布曲線になるよう、通常少なくとも300以上ある。次に、上記のx値に対して、標準偏差0.30を有し、任意の平均値(通常、ピーク位置の鎖長Aに相当する。)を有する4つの対数正規分布曲線(x−y曲線)を任意の割合で足し合わることによって、合成曲線を作成する。さらに、実測された鎖長分布曲線と合成曲線との同一x値に対するy値の偏差平方和が最小値になるように、平均値と割合を求める。偏差平方和の最小値は、各ピークの割合がすべて0の場合の偏差平方和に対して通常0.5%以下になる。そして、偏差平方和の最小値を与える平均値と割合が得られたときに、4つの対数正規分布曲線に分割して得られる対数正規分布曲線のうち、最も高分子量である成分に相当する対数正規分布曲線のピーク位置の鎖長AからlogAが算出される。この最も高分子量である成分に相当する対数正規分布曲線のピークの割合は、通常10%以上である。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体は、好ましくは、190℃での特性緩和時間(τ;単位はsecである。)と前記MFRとが下記式(5)の関係を満たすものである。
2<τ<8.1×MFR-0.746 式(5)
2<τ<7.9×MFR-0.746 式(5’)
であり、さらに好ましい関係は、
2<τ<7.8×MFR-0.746 式(5”)
である。
(1)ジオメトリー:パラレルプレート、直径25mm、プレート間隔:1.5〜2mm
(2)ストレイン:5%
(3)剪断速度:0.1〜100rad/sec
(4)温度:190、170、150、130℃
また、サンプルには予めイルガノックス1076などの酸化防止剤を、適量(例えば1000ppm以上)配合し、測定はすべて窒素下で実施する。
η=η0/[1+(τ×ω)n]
(η0およびnはそれぞれ、特性緩和時間τと同様に、測定に用いるエチレン−α−オレフィン共重合体ごとに求められる定数である。)
また、マスターカーブの作成やクロス式近似のための計算ソフトウェアには、Rheometrics社 Rhios V.4.4.4を使用する。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造に用いられるメタロセン系オレフィン重合用触媒は、助触媒担体(A)、架橋型ビスインデニルジルコニウム錯体(B)および有機アルミニウム化合物(C)を接触させて得られる触媒であり、前記助触媒担体(A)はジエチル亜鉛(a)、フッ素化フェノール(b)、水(c)、シリカ(d)および(e)トリメチルジシラザン(((CH3)3Si)2NH)を接触させて得られる担体である。
|2−y−2z|≦1
上記の式におけるyとして好ましくは0.01〜1.99の数であり、より好ましくは0.10〜1.80の数であり、さらに好ましくは0.20〜1.50の数であり、最も好ましくは0.30〜1.00の数である。
また、有機アルミニウム化合物(C)として、好ましくはトリイソブチルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウムである。
気相重合反応装置としては、通常、流動層型反応槽を有する装置であり、好ましくは、拡大部を有する流動層型反応槽を有する装置である。反応槽内に攪拌翼が設置されていてもよい。
また、本重合を実施する前に、予備重合を実施し、予備重合された予備重合触媒成分を本重合の触媒成分または触媒として使用することが好ましい。
また、共重合体の溶融流動性を調節する目的で、水素を分子量調節剤として添加してもよい。そして、混合ガス中に不活性ガスを共存させてもよい。
長鎖分岐のようなポリマー構造が、緊密に絡み合った構造であると考えられる本発明の好ましいエチレン−α−オレフィン共重合体としては、スウェル比(SR)と極限粘度([η];単位はdL/g)とが下記式(6)または式(7)の関係を満たすものである。
[η]<1.20の場合、
−0.91×[η]+2.262<SR<2 式(6)
[η]≧1.20の場合、
1.17<SR<2 式(7)
[η]<1.23の場合、
−0.91×[η]+2.289<SR<1.9
[η]≧1.23の場合、
1.17<SR<1.9
であり、さらに好ましい関係は、
[η]<1.30の場合、
−0.91×[η]+2.353<SR<1.8
[η]≧1.30の場合、
1.17<SR<1.8
である。
フィルムの成形方法としては、例えば、本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体を溶融し、円形ダイから押出し、筒状に膨らませてフィルムを作製し、このフィルムを巻き取るインフレーションフィルム成形加工法や、本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体を溶融し、直線状ダイから押出してフィルムを作製し、このフィルムを巻き取るTダイフィルム成形加工法などが挙げられる。
実施例中の押出成形品の外観については、下記の方法で得たフィルムを用いて評価した。
エチレン−α−オレフィン共重合体を試料とし、プラコー社製、30mmφ、L/D=28、フルフライトタイプスクリューの単軸押出し機、50mmφ、リップギャップ0.8mmのダイス、二重スリットエアリングを用い、加工温度170℃、押出量5.5kg/hr、フロストラインディスタンス(FLD)200mm、ブロー比1.8の条件で製膜して厚み80μのフィルムを得た。また、押出成形加工時の押出しトルクの指標として、フィルム加工時の押出機における樹脂圧を計測した。
目視によって、上記で得たフィルム表面上の突起物(フィッシュアイ)の多さを観測した。フィッシュアイが1m2当たり100個以下の場合は○、100〜1000個の場合は△、1000個を超える場合は×とした。
上記で得たフィルムのべたつき度合いについて、べたつきにくいものを○、ややべたつくものを△、かなりべたつくものを×とした。
[触媒成分の調製]
(1)シリカの処理
窒素置換した3リットルの四つ口フラスコに、窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製 Sylopol948;平均粒子径=61μm;細孔容量=1.70ml/g;比表面積=291m2/g)0.2kgを入れ、次いでフラスコ壁面に付着したシリカを洗い流しつつ、トルエン1.2リットルを入れた。5℃に冷却した後、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン84.4ml(0.4mmol)とトルエン115mlの混合溶液を25分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間、95℃で3時間攪拌し、ろ過した。その後、95℃でトルエン 1.2リットルにて4回、フィルターを用いた洗浄を行った。その後、トルエンを1.2リットル加えた後、一晩静置した。
上記で得られたスラリーに、ジエチル亜鉛のヘキサン溶液(2.00mol/リットル)0.550リットル(1.10mol)を入れ5℃に冷却した。これに、ペンタフルオロフェノール 105g(0.570mol)をトルエン 173mlに溶解させた溶液を65分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間攪拌した。その後、40℃に加熱し、1時間攪拌した。氷浴で5℃にした後、H2O 14.9g(0.828mol)を90分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1.5時間、40℃で2時間攪拌した。その後、室温にて一晩静置した。その後80℃で2時間攪拌した後、静置し、固体成分を沈降させ、沈降した固体成分の層と上層のスラリー部分との界面が見えた時点で上層のスラリー部分を取り除き、次いで残りの液成分をフィルターにてろ過した後、トルエン 1.7リットルを加え95℃で2時間攪拌した。その後、95℃でトルエン 1.7リットルにて4回、室温でヘキサン 1.7リットルにて2回、それぞれ攪拌したのち、静置し、固体成分を沈降させ、沈降した固体成分の層と上層のスラリー部分との界面が見えた時点で上層のスラリー部分を取り除き、次いで残りの液成分をフィルターにてろ過する洗浄を行った。その後、固体成分を減圧下、室温で3時間乾燥を行うことにより、助触媒担体(A)0.39kgを得た。
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付きオートクレーブにトリイソブチルアルミニウムを濃度2.5mmol/リットルで含んだブタン100リットルと、1−ブテン0.5リットル、常温常圧の水素として8リットルを仕込んだ後、オートクレーブを23℃まで昇温した。さらにエチレンをオートクレーブ内のガス相圧力で0.2MPa分だけ仕込み、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム 250mmol、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド30mmol、続いて、上記助触媒担体(A)0.20kgを投入して重合を開始した。30℃へ昇温するとともに、エチレンと水素を連続で供給しながら、30℃で合計4時間の予備重合を実施した。重合終了後、エチレン、ブタン、水素ガスなどをパージして残った固体を室温にて真空乾燥し、上記助触媒担体(A)1g当り58gのエチレン−1−ブテン共重合体が予備重合された予備重合触媒成分を得た。
上記で得た予備重合触媒成分を用い、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ヘキセンの共重合を実施した。重合条件は、温度85℃、全圧2MPa、ガス線速度0.24m/秒、エチレンに対する水素モル比は0.8%、エチレンに対する1−ヘキセンモル比は1.5%で、重合中はガス組成を一定に維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素を連続的に供給した。上記予備重合済触媒成分とトリイソブチルアルミニウムを連続的に供給し、流動床の総パウダー重量80kgを一定に維持するよう、平均重合時間4hr、23kg/hrの生産効率でエチレン−1−ヘキセン共重合パウダーを得た。上記で得たエチレン−1−ヘキセン共重合パウダーに、カルシウムステアレート1000ppm、スミライザーGP(住友化学社製)1800ppmをブレンドしたものを、神戸製鋼所社製LCM100押出機を用いて、フィード速度350kg/hr、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度4.2mm、サクション圧力0.2MPa、樹脂温度200〜230℃条件で造粒することによりエチレン−1−ヘキセン共重合体を得た。得られたエチレン重合体は、表1に示すような物性値およびフィルム押出成形性を示した。
[予備重合触媒の調製]
実施例1と同様にして、助触媒担体(A)1g当り16gのエチレン−1−ブテン共重合体が予備重合された予備重合触媒成分を得た。
[重合]
上記で得た予備重合触媒成分を用い、実施例1と同様にして、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ブテンと1−ヘキセンの3元共重合を実施した。得られたエチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体は、表1に示すような物性値およびフィルム外観を示した。
[触媒成分]
助触媒担体(A’)の調製
窒素置換した5リットルの四つ口フラスコに、テトラヒドロフラン1.5リットル、ジエチル亜鉛のヘキサン溶液(2mol/リットル)1.35リットル(2.7mol)を入れ、5℃に冷却した。これに、ペンタフルオロフェノール 0.2kg(1mol)をテトラヒドロフラン 500mlに溶解させた溶液を60分間で滴下した。滴下終了後、5℃で60分攪拌し、28分間かけて45℃まで温度を上げ、60分間攪拌を行った。その後、氷浴で20℃まで温度を下げ、水 45g(2.5mol)を90分間で滴下した。その後、20℃で60分間攪拌し、24分間かけて45℃まで昇温して60分間攪拌を実施した。その後、20℃から50℃に昇温しながら、減圧にて溶媒留去を120分実施し、その後120℃にて8時間減圧乾燥実施した。その結果、固体生成物0.43kgを得た。
窒素置換した5リットルの四つ口フラスコに、上記固体生成物 0.43kg、テトラヒドロフラン3リットルを入れ、攪拌を行った。これに窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製Sylopol948;平均粒子径=61μm;細孔容量=1.61ml/g;比表面積=296m2/g)0.33kgを入れた。40℃に加熱し、2時間攪拌を行った後、静置し、固体成分を沈降させ、沈降した固体成分の層と上層のスラリー部分との界面が見えた時点で上層のスラリー部分を取り除いた。洗浄操作として、これに、テトラヒドロフラン3リットルを加え、攪拌を行った後、静置し、固体成分を沈降させ、同様に界面が見えた時点で上層のスラリー部分を取り除いた。以上の洗浄操作を計5回繰り返した。その後、減圧下、120℃で8時間乾燥を行うことにより、助触媒担体(A’)0.52kgを得た。
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付きオートクレーブにトリイソブチルアルミニウムを濃度2.5mmol/リットルで含んだブタン80リットルと、常温常圧の水素として28リットルを仕込んだ後、オートクレーブを40℃まで昇温した。さらにエチレンをオートクレーブ内のガス相圧力で0.3MPa分だけ仕込み、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム 200mmol、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド28mmol、続いて、上記で得た助触媒担体(A’)0.2kgを投入して重合を開始した。40℃から50℃へ昇温するとともに、エチレンと水素を連続で供給しながら、合計4時間の予備重合を実施した。重合終了後、エチレン、ブタン、水素ガスをパージした後に、溶媒をろ過して、生成した固体を室温にて真空乾燥し、上記助触媒担体(A’)1g当り60gのポリエチレンが予備重合された予備重合触媒成分を得た。
上記のようにして得た予備重合触媒成分を用い、実施例1と同様にして、重合時のエチレンに対する水素モル比を0.3%程度、エチレンに対する1−ヘキセンモル比は1.8%程度で調整し、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ヘキセンの共重合を実施することによって、エチレン−1−ヘキセン共重合パウダーを得た。このようにして得たエチレン−1−ヘキセン共重合パウダーに、カルシウムステアレート1000ppm、スミライザーGP(住友化学社製)1800ppmをブレンドしたものを、田辺プラスチック(株)製、40mmφ、L/D=28、フルフライトスクリュー単軸押出し機によって、150℃、スクリュー回転数80rpmの条件で造粒することによりエチレン−1−ヘキセン共重合体を得た。得られたエチレン−1−ヘキセン共重合体は、表1に示すような押出成形性および物性値を示した。
[触媒成分]
攪拌機およびジャケットを有する内容積180リットルのSUS製反応機を窒素置換した後、窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製 Sylopol948;細孔容量=1.65ml/g;比表面積=298m2/g、平均粒径=58μm)9.7kgおよびトルエン100リットルを投入した。2℃に冷却後、PMAOのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製 PMAO−s)を23.3kg(Alあたり75.9mol)を62分間で滴下した。滴下終了後、5℃にて30分間攪拌し、95℃まで2時間かけて昇温を行い、95℃にて4時間攪拌を行った。その後、40℃まで温度を下げ、窒素置換した攪拌機およびジャケットを有する内容積180リットルのSUS製反応機へ移送した。シリカ由来成分を50分間かけて沈降させ、上層のスラリー成分を取り除いた。その後、トルエン100リットルを加えて10分間攪拌した後、約45分間かけて沈降させ、上層のスラリー成分を取り除いた。上記洗浄操作を計3回繰り返した。次いで、トルエン 120リットルにて窒素置換したフィルター、攪拌機およびジャケットを有する内容積430リットルのSUS製のろ過機へスラリーを移送した。10分間攪拌しろ過を行い、トルエン100リットルを加えて再度10分間攪拌し、ろ過を行った。更に、ヘキサン100リットルを加えて10分間攪拌し、ろ過を行った。この洗浄操作を計2回繰り返した。ヘキサン70リットルにて、窒素置換した攪拌機およびジャケットを有する内容積210リットルのSUS製乾燥器へスラリーを移送した。次いで、ジャケット温度80℃にて窒素流通乾燥を7.5時間行うことにより、触媒成分(S)12.6kgを得た。
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付きオートクレーブにトリイソブチルアルミニウムを濃度2.5mmol/リットルで含んだブタン120リットルと、常温常圧の水素として40リットルを仕込んだ後、オートクレーブを47℃まで昇温した。さらにエチレンをオートクレーブ内のガス相圧力で0.3MPa分だけ仕込み、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム300mmol、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド15mmol、続いて、上記で得た触媒成分(S)0.25kgを投入して重合を開始し、エチレンと水素を連続で供給しながら、合計4時間の予備重合を実施した。重合終了後、エチレン、ブタン、水素ガスをパージした後に、生成した固体を室温にて真空乾燥し、上記触媒成分(S)1g当り33gのポリエチレンが予備重合された予備重合触媒成分を得た。
上記で得た予備重合触媒成分を用い、実施例1と同様にして、重合時のエチレンに対する水素モル比0.15%、エチレンに対する1−ヘキセンモル比は1.8%の条件下において連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ヘキセンの共重合を実施することによってエチレン−1−ヘキセン共重合パウダーを得た後に、比較例1と同様にして造粒することによってエチレン−1−ヘキセン共重合体を得た。得られたエチレン−1−ヘキセン共重合体は、表1に示すように、実施例に比べて溶融張力が低い一方で、高いMFRを有するにも関わらずフィルム加工時の樹脂圧は同等以上を示し、押出成形加工性が劣っていた。
従来のチーグラー・ナッタ触媒系のエチレン−α−オレフィン共重合体であるFS150A(住友化学製)は、前記のフィルム加工条件では樹脂圧が高すぎたため、リップギャップを2.0mmに温度を200℃に変更して実施した。表1に示すように、実施例に比べてフィルム加工条件を変更したにも関わらずフィルム加工時の樹脂圧が高く押出成形加工性が劣り、耐ブロッキング性のバランスにおいて劣っている。
Claims (2)
- エチレンから誘導される構成単位と炭素数3〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位を含むエチレン−α−オレフィン共重合体であって、流動の活性化エネルギーが50kJ/mol以上であり、メルトフローレート(MFR;単位はg/10分である。)と密度(d;単位はkg/m3である。)と冷キシレン可溶部割合(CXS;単位は重量%である。)とが下記式(1)の関係を満たし、冷キシレン可溶部の融解熱量が30J/g以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体。
10(30.3-0.0327×d+0.354×logMFR)<CXS<20 式(1) - メルトフローレート(MFR;単位はg/10分である。)と190℃における溶融張力(MT;単位はcNである。)とが下記式(2)の関係を満たし、前記MFRと極限粘度([η];単位はdl/gである。)とが下記式(3)の関係を満たす請求項1記載のエチレン−α−オレフィン共重合体。
2×MFR-0.59<MT<40×MFR-0.59 式(2)
1.02×MFR-0.094<[η]<1.50×MFR-0.156 式(3)
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