JP2005097481A - エチレン重合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 押出成形加工性と押出成形品の耐ブロッキング性とのバランスに優れたエチレン−α−オレフィン共重合体を提供する。
【解決手段】 エチレンから誘導される構成単位と炭素数3〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位を含むエチレン−α−オレフィン共重合体であって、流動の活性化エネルギーが50kJ/mol以上であり、メルトフローレート(MFR;単位はg/10分である。)と密度(d;単位はkg/m3である。)と冷キシレン可溶部割合(CXS;単位は重量%である。)とが下記式(1)の関係を満たし、冷キシレン可溶部の融解熱量が30J/g以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体。
10(30.3-0.0327×d+0.354×logMFR)<CXS<20 式(1)
【選択図】 なし

Description

本発明は、エチレン−α−オレフィン共重合体に関するものである。さらに詳細には、長鎖分岐を有するような溶融張力に優れ、押出成形加工性と押出成形品の耐ブロッキング性とのバランスに優れたエチレン−α−オレフィン共重合体に関するものである。
エチレン系重合体は、汎用樹脂として多くの分野に用いられており、例えば、フィルムやシートなどの押出成形品に用いられている。そして、押出成形品については、押出しトルクや溶融張力などの成形加工性、さらには、フィルムやシートの耐ブロッキング性に優れていることが要求されている。
例えば、従来のチーグラー・ナッタ触媒系のエチレン−α−オレフィン共重合体は、押出しトルクや溶融張力などの成形加工性の面において必ずしも要求を満足するものとは言えないことがあり、さらに、べたつきやすい冷キシレン可溶部が多いため、フィルムやシートの耐ブロッキング性が不十分なことがあった。
また、例えば、特開平4−213309号公報には、溶融張力に優れかつ組成分布の狭いエチレン−α−オレフィン共重合体として、メタロセン触媒系の長鎖分岐を有するエチレン−α−オレフィン共重合体、具体的には、エチレンから導かれる構成単位および炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位からなるエチレン共重合体であって、密度が0.86〜0.95g/cm3であり、MFRが0.001〜50g/10分であり、溶融張力とMFRとが特定の関係を満たし、DSCにより測定した吸熱曲線における最大ピーク位置の温度と密度とが特定の関係を満たすエチレン−α−オレフィン共重合体が記載されている。
特開平4−213309号公報
しかし、上記の特開平4−213309号公報に記載されているエチレン系共重合体は、高い溶融張力を有するものの、押出しトルクや押出成形品の耐ブロッキング性については、必ずしも要求を満足するものとは言えないことがあり、エチレン−α−オレフィン共重合体の押出成形加工性と押出成形品の耐ブロッキング性とのバランスについては、さらなる改良が望まれている。
本発明の目的は、押出成形加工性と押出成形品の耐ブロッキング性とのバランスに優れたエチレン−α−オレフィン共重合体を提供することにある。
本発明者等は、上記のとおりの実情において、検討の結果、本発明が上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
エチレンから誘導される構成単位と炭素数3〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位を含むエチレン−α−オレフィン共重合体であって、流動の活性化エネルギーが50kJ/mol以上であり、メルトフローレート(MFR;単位はg/10分である。)と密度(d;単位はkg/m3である。)と冷キシレン可溶部割合(CXS;単位は重量%である。)とが下記式(1)の関係を満たし、冷キシレン可溶部の融解熱量が30J/g以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体に係るものである。
10(30.3-0.0327×d+0.354×logMFR)<CXS<20 式(1)
本発明によれば、押出成形加工性と押出成形品の耐ブロッキング性とのバランスに優れたエチレン−α−オレフィン共重合体を得ることができる。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンから誘導される構成単位と炭素数3〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位を含むエチレン−α−オレフィン共重合体である。
エチレンから誘導される構成単位とは、単量体であるエチレンから誘導され、エチレン−α−オレフィン共重合体に含有される単位である。炭素数3〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位とは、単量体である炭素数3〜20のα−オレフィンから誘導され、エチレン−α−オレフィン共重合体に含有される単位である。炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられる。より好ましくは、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンである。
エチレンから誘導される構成単位の含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体の全重量(100重量%)に対して、通常50〜99重量%である。炭素数3〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位の含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体の全重量(100重量%)に対して、通常1〜50重量%である。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体は、上記のエチレンから誘導される構成単位および炭素数3〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位以外の他の単量体から誘導される構成単位を含有していても良い。他の単量体としては、例えば、共役ジエン(例えばブタジエンやイソプレン)、非共役ジエン(例えば1,4−ペンタジエン)、アクリル酸、アクリル酸エステル(例えばアクリル酸メチルやアクリル酸エチル)、メタクリル酸、メタクリル酸エステル(例えばメタクリル酸メチルやメタクリル酸エチル)、酢酸ビニル等が挙げられる。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体として好ましくは、エチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体であり、より好ましくは、エチレンと炭素数5〜10のα−オレフィンとの共重合体であり、さらに好ましくは、エチレンと炭素数6〜10のα−オレフィンとの共重合体である。例えば、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体等が挙げられ、好ましくはエチレン−1−ヘキセン共重合体である。また、エチレンと炭素数6〜10のα−オレフィンと1−ブテンとの3元共重合体も好ましく、例えばエチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体等が挙げられ、より好ましくはエチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体である。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR;単位はg/10分である。)は、通常0.01〜100であり、好ましくは0.05〜20であり、より好ましくは0.1〜10であり、さらに好ましくは0.1〜6である。
本発明において、メルトフローレート(MFR;単位はg/10分である。)は、JIS K7210−1995に規定された方法に従い、190℃において、荷重21.18N(2.16Kg)で測定された値である。そして、上記のメルトフローレートの測定には、予め酸化防止剤を1000ppm配合した重合体を用いる。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、通常、890〜970kg/m3であり、JIS K6760−1981に規定された方法に従って、測定された値である。上記の密度として、好ましくは、本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体から得られるフィルムの剛性と衝撃強度のバランスの観点から、905〜940kg/m3であり、より好ましくは907〜930kg/m3である。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体は、長鎖分岐を有するような溶融張力に優れたエチレン−α−オレフィン共重合体であり、従来から知られている通常のエチレン−α−オレフィン共重合体に比べて、流動の活性化エネルギーがより高い。
このようなエチレン−α−オレフィン共重合体の流動の活性化エネルギー(Ea、単位はkJ/molである。)は、通常50kJ/mol以上である。従来から知られている通常のエチレン−α−オレフィン共重合体の流動の活性化エネルギーは、通常50kJ/molよりも低く、押出しトルクの上昇や加工安定性の不良を招くなど押出成形加工性に劣る。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の流動の活性化エネルギー(Ea)として、より好ましくは55kJ/mol以上であり、さらに好ましくは60kJ/mol以上である。また、高温で溶融粘度を低下させずに十分な成形性を得るという観点や、フィルム等の押出成形品の表面が荒れ、外観が損なわれないようにするという観点から、流動の活性化エネルギー(Ea)として、好ましくは100kJ/mol以下であり、より好ましくは90kJ/mol以下である。
流動の活性化エネルギー(Ea)は、粘弾性測定装置として、Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800を用いて、下記の条件(1)〜(4)で測定される各温度T(単位はKである。)における動的粘弾性データを、温度−時間重ね合わせ原理に基づいてシフトさせて190℃での動的粘度(η;単位はPa・secである。)の剪断速度(ω:単位はrad/secである。)依存性を示すマスターカーブを作成する際のシフトファクター(aT)のアレニウス型方程式から算出される数値であって、成形性の指標となるものである。
各温度T(K)における動的粘弾性データの測定条件
(1)ジオメトリー:パラレルプレート、直径25mm、プレート間隔:1.5〜2mm
(2)ストレイン:5%
(3)剪断速度:0.1〜100rad/sec
(4)温度:190、170、150、130℃
また、サンプルには予めイルガノックス1076などの酸化防止剤を、適量(例えば1000ppm以上)配合し、測定はすべて窒素下で実施する。
シフトファクター(aT)のアレニウス型方程式
log(aT)=Ea/R(1/T−1/T0
(Rは気体定数であり、T0は基準温度(463K)である。)
また、計算ソフトウェアには、Rheometrics社 Rhios V.4.4.4を使用し、アレニウス型プロットlog(aT)−(1/T)において、直線近似をした時に得られる相関係数r2が0.99以上であるときのEa値を、本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の流動の活性化エネルギーとする。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体は、冷キシレン可溶部割合(CXS)が若干多いにもかかわらず、その冷キシレン可溶部の結晶性が高いため、耐ブロッキング性が良好なエチレン−α−オレフィン共重合体である。なお、密度が低い場合、CXSは通常多くなり、また、MFRが高い場合も、CXSは通常多くなる。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の冷キシレン可溶部割合は、下記の式(1)の関係を満たすものである。
10(30.3-0.0327×d+0.354×logMFR)<CXS<20 式(1)
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体が満たすメルトフローレート(MFR)と密度(d)と冷キシレン可溶部割合(CXS)の関係として、上記の式(1)の関係より好ましい関係は、
10(30.4-0.0326×d+0.354×logMFR)<CXS<20 式(1’)
であり、さらに好ましい関係は、
10(30.5-0.0325×d+0.354×logMFR)<CXS<20 式(1”)
である。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の冷キシレン可溶部割合とは、ポリマー試料5g程度を、酸化防止剤を含む沸騰したキシレン1リットル中で溶解した後、2時間程度をかけて室温まで冷却しさらに25℃に20時間静置して不溶部を析出させ、ろ別回収したろ液部から溶媒を除去することによって可溶部を取り出し、取り出された可溶部を下記の式によって補正した値をいう。
冷キシレン可溶部割合=[〔可溶部(g)×(1/ろ液量(リットル))〕/ポリマー試料全量(5g)]×100(重量%)
CXSが多すぎると、耐ブロッキング性が悪化するため、本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体においては、CXSは20重量%未満である。
一般的に、従来から知られているメタロセン触媒系を用いて製造されるエチレン−α−オレフィン共重合体のCXSは少なく、式(1)の左辺を通常は満たさない。本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体は式(1)の左辺を満たし、押出トルクが低く押出成形加工性に優れる。
また、四塩化チタンを用いて調製されたような従来から知られているチーグラー・ナッタ触媒系を用いて製造されるエチレン−α−オレフィン共重合体のCXSはやや多く、その冷キシレン可溶部の結晶性は低いため、得られるフィルムやシートがべたつき、耐ブロッキング性に劣る。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の冷キシレン可溶部の結晶性は高く、その融解熱量は30J/g以上であり、フィルムやシートなどの押出成形品がべたつくことなく耐ブロッキング性にも優れる。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の冷キシレン可溶部の融解熱量は、より好ましくは50J/g以上、さらに好ましくは70J/g以上である。なお、この値が大きすぎると、フィルムやシートなどの押出成形品の外観を損なう場合があるため、前記融解熱量は200J/g以下であることが好ましい。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の冷キシレン可溶部の融解熱量は、パーキンエルマー社製の示差走査型熱量計DSC−7型装置を用い、上記の冷キシレン可溶部割合の測定において得られた冷キシレン可溶部10mg程度をアルミパンに詰めて150℃で2分間保持した後に5℃/分で40℃まで降温し、40℃で2分間保持した後に5℃/分で昇温した時の、42℃から完全融解温度までの全吸収熱量を、アルミパンに詰めた試料重量で除した値をいう。
一般的に、エチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR)と溶融張力の間には関係があり、MFRが増大するにつれて、溶融張力が低下することが知られている。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体は、長鎖分岐を有するような溶融張力の高いエチレン−α−オレフィン共重合体であり、好ましくはメルトフローレート(MFR;単位はg/10分である。)と190℃における溶融張力(MT;単位はcNである。)とが下記式(2)の関係を満たすものである。
2×MFR-0.59<MT<40×MFR-0.59 式(2)
従来の通常のエチレン−α−オレフィン共重合体は、式(2)の左辺を通常満たさない。
溶融張力が低すぎると、押出成形加工性が悪化することがあり、溶融張力が高すぎると、高速での引取り加工が困難となることがある。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体が満たすメルトフローレート(MFR)と溶融張力(MT)の関係として、上記の式(2)の関係より好ましい関係は、
2.2×MFR-0.59<MT<25×MFR-0.59 式(2’)
であり、さらに好ましい関係は、
2.5×MFR-0.59<MT<15×MFR-0.59 式(2”)
である。
上記の式(2)における溶融張力(MT;単位はcNである。)は、東洋精機製作所等から販売されているメルトテンションテスターを用いて、190℃、押出速度5.5mm/分のピストンで、直径2.09mmφ、長さ8mmのオリフィスから溶融樹脂ストランドを押し出し、前記ストランドを直径50mmのローラーを用いて毎分40rpm/分づつ回転速度を上昇させながら巻き取ったときに、前記ストランドが切れる直前の張力値である。
一般的に、エチレン−α−オレフィン共重合体のMFRと極限粘度の間には関係があり、MFRが増大するにつれて、極限粘度が低下することが知られている。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体は、長鎖分岐を有するようなエチレン−α−オレフィン共重合体であり、その極限粘度は、従来知られた通常のエチレン−α−オレフィン共重合体の極限粘度よりも通常低く、好ましくは極限粘度([η];単位はdl/gである。)と前記MFRとが下記式(3)の関係を満たすものであると、押出しトルクがより低く、押出成形加工性により優れる。
1.02×MFR-0.094<[η]<1.50×MFR-0.156 式(3)
極限粘度([η])が低すぎると、衝撃強度が低下することがあり、極限粘度([η])が高すぎると、押出しトルクが高くなって、押出成形加工性が劣ることがある。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体が満たすメルトフローレート(MFR)と極限粘度([η])の関係として、上記の式(3)の関係より好ましい関係は、
1.05×MFR-0.094<[η]<1.47×MFR-0.156 式(3’)
であり、さらに好ましい関係は、
1.08×MFR-0.094<[η]<1.42×MFR-0.156 式(3”)
である。
上記の式(3)における極限粘度([η];単位はdl/gである。)は、熱劣化防止剤としてブチルヒドロキシトルエン(BHT)を5重量%含むテトラリン100mlに、エチレン−α−オレフィン共重合体100mgを135℃で溶解してサンプル溶液を調製し、ウベローデ型粘度計を用いて前記サンプル溶液とブランク溶液の降下時間から算出される135℃での相対粘度(ηrel)を求めた後、下式より算出されるものである。なお、ブランク溶液とは、熱劣化防止剤としてBHTを5重量%のみを含むテトラリンである。
[η]=23.3×log(ηrel)
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体は、好ましくは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定によって得られた鎖長分布曲線を、少なくとも2つの対数正規分布曲線に分割して得られる対数正規分布曲線のうち、最も高分子量である成分に相当する対数正規分布曲線のピーク位置の鎖長Aと前記MFRとが下記式(4)の関係を満たすものである。
3.30<logA<−0.0815×log(MFR)+4.05 式(4)
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体が上記式(4)の関係を満たすと、溶融張力がより高く押出成形加工性により優れ、または、押出しトルクがより低く押出成形加工性により優れ、さらにフィルムなどの押出成形品の外観に優れる。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体が満たすメルトフローレート(MFR)と鎖長A(logA)の関係として、上記の式(4)の関係より好ましい関係は、
3.30<logA<−0.0815×log(MFR)+4.03 式(4’)
であり、さらに好ましい関係は、
3.30<logA<−0.0815×log(MFR)+4.02 式(4”)
である。
鎖長分布曲線は、以下の条件(1)〜(6)で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定によって得ることができる。
(1)装置:Water製Waters150C
(2)分離カラム:TOSOH TSKgelGMH−HT
(3)測定温度:145℃
(4)キャリア:オルトジクロロベンゼン
(5)流量:1.0mL/分
(6)注入量:500μL
鎖長分布曲線の分割は以下のとおりに行う。
初めに、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定によって、鎖長Awの対数であるlogAw(x値)に対して重量割合dW/d(logAw)(y値)がプロットされた鎖長分布曲線を実測する。プロットデータ数は、連続的な分布曲線になるよう、通常少なくとも300以上ある。次に、上記のx値に対して、標準偏差0.30を有し、任意の平均値(通常、ピーク位置の鎖長Aに相当する。)を有する4つの対数正規分布曲線(x−y曲線)を任意の割合で足し合わることによって、合成曲線を作成する。さらに、実測された鎖長分布曲線と合成曲線との同一x値に対するy値の偏差平方和が最小値になるように、平均値と割合を求める。偏差平方和の最小値は、各ピークの割合がすべて0の場合の偏差平方和に対して通常0.5%以下になる。そして、偏差平方和の最小値を与える平均値と割合が得られたときに、4つの対数正規分布曲線に分割して得られる対数正規分布曲線のうち、最も高分子量である成分に相当する対数正規分布曲線のピーク位置の鎖長AからlogAが算出される。この最も高分子量である成分に相当する対数正規分布曲線のピークの割合は、通常10%以上である。
長鎖分岐を有するようなエチレン−α−オレフィン共重合体は通常、190℃での特性緩和時間が長いが、長すぎることなく少し短めであると、溶融張力がより高く押出成形加工性により優れ、または、押出しトルクがより低く押出成形性により優れ、さらに、フィルムなどの押出成形品の外観に優れる。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体は、好ましくは、190℃での特性緩和時間(τ;単位はsecである。)と前記MFRとが下記式(5)の関係を満たすものである。
2<τ<8.1×MFR-0.746 式(5)
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体が満たすメルトフローレート(MFR)と特性緩和時間(τ)の関係として、上記の式(5)の関係より好ましい関係は、
2<τ<7.9×MFR-0.746 式(5’)
であり、さらに好ましい関係は、
2<τ<7.8×MFR-0.746 式(5”)
である。
190℃での特性緩和時間(τ)は、粘弾性測定装置として、Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800を用いて、下記の条件(1)〜(4)で測定される各温度T(単位はKである。)における動的粘弾性データを、温度−時間重ね合わせ原理に基づいてシフトさせて190℃での動的粘度(η;単位はPa・secである。)の剪断速度(ω:単位はrad/secである。)依存性を示すマスターカーブを得たのちに、そのマスターカーブを下記のクロス式で近似する際に算出される数値である。
各温度T(K)における動的粘弾性データの測定条件
(1)ジオメトリー:パラレルプレート、直径25mm、プレート間隔:1.5〜2mm
(2)ストレイン:5%
(3)剪断速度:0.1〜100rad/sec
(4)温度:190、170、150、130℃
また、サンプルには予めイルガノックス1076などの酸化防止剤を、適量(例えば1000ppm以上)配合し、測定はすべて窒素下で実施する。
クロスの近似式
η=η0/[1+(τ×ω)n
(η0およびnはそれぞれ、特性緩和時間τと同様に、測定に用いるエチレン−α−オレフィン共重合体ごとに求められる定数である。)
また、マスターカーブの作成やクロス式近似のための計算ソフトウェアには、Rheometrics社 Rhios V.4.4.4を使用する。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布としては、好ましくは3.5〜25であり、より好ましくは4.0〜20であり、さらに好ましくは7.5〜17である。分子量分布が狭すぎる場合は、押出しトルクが上昇して押出成形加工性が損なわれ、一方で、分子量分布が広すぎる場合は、フィルムなどの押出成形品のブロッキングが悪化する場合がある。上記の分子量分布とは、前記ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定によって得られた鎖長分布について、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)とを算出し、MwをMnで除した値(Mw/Mn)である。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート比(MFRR)としては、流動性の観点から高いほどよく、60以上であると、押出しトルクがより低く、押出成形加工性により優れる。
上記のメルトフローレート比(MFRR)は、JIS K7210−1995に規定された方法に従い、190℃、荷重211.82N(21.60kg)で測定されたメルトフローレート値を、荷重21.18N(2.16kg)で測定されたメルトフローレート値で除した値である。なお、上記のメルトフローレート測定には、予め酸化防止剤を1000ppm配合した重合体を用いる。
耐熱性の観点から、本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の密度が927kg/m3以下の場合、好ましくは、少なくとも2個の融点(単位は℃である。)が存在し、最高融点(Tmax)は115℃以上であり、より好ましくは118℃以上であるか、融点が1個しか存在しない場合であっても少なくとも118℃以上の融解成分が存在する。本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の密度が927kg/m3を超える場合には、通常は耐熱性に優れる。
上記の融点とは、パーキンエルマー社製の示差走査型熱量計DSC−7型装置を用い、試料8〜12mgをアルミパンに詰めて150℃で2分間保持した後に5℃/分で40℃まで降温し、40℃で2分間保持した後に5℃/分で150℃まで昇温した時に観測される融解ピーク温度をいう。その中で最も高い温度の融解ピーク位置の温度を最高融点Tmaxとする。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法は、下記のメタロセン系オレフィン重合用触媒を用いて、水素の共存下でエチレンとα−オレフィンとを共重合する方法である。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造に用いられるメタロセン系オレフィン重合用触媒は、助触媒担体(A)、架橋型ビスインデニルジルコニウム錯体(B)および有機アルミニウム化合物(C)を接触させて得られる触媒であり、前記助触媒担体(A)はジエチル亜鉛(a)、フッ素化フェノール(b)、水(c)、シリカ(d)および(e)トリメチルジシラザン(((CH33Si)2NH)を接触させて得られる担体である。
上記(a)、(b)、(c)各化合物の使用量は特に制限はないが、各化合物の使用量のモル比率を(a):(b):(c)=1:y:zのモル比率とすると、yおよびzが下記の式を満足することが好ましい。
|2−y−2z|≦1
上記の式におけるyとして好ましくは0.01〜1.99の数であり、より好ましくは0.10〜1.80の数であり、さらに好ましくは0.20〜1.50の数であり、最も好ましくは0.30〜1.00の数である。
また、(a)に対して使用する(d)の量としては、(a)と(d)との接触により得られる粒子に含まれる(a)に由来する亜鉛原子が、得られる粒子1gに含まれる亜鉛原子のモル数にして、0.1mmol以上となる量であることが好ましく、0.5〜20mmolとなる量であることがより好ましい。(d)に対して使用する(e)の量としては、(d)1gにつき(e)0.1mmol以上となる量であることが好ましく、0.5〜20mmolとなる量であることがより好ましい。
架橋型ビスインデニルジルコニウム錯体(B)として、好ましくはラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシドである。
また、有機アルミニウム化合物(C)として、好ましくはトリイソブチルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウムである。
架橋型ビスインデニルジルコニウム錯体(B)の使用量は、助触媒担体(A)1gに対し、好ましくは5×10-6〜5×10-4molである。また有機アルミニウム化合物(C)の使用量として、好ましくは、架橋型ビスインデニルジルコニウム錯体(B)のジルコニウム原子モル数に対する有機アルミニウム化合物(C)のアルミニウム原子のモル数の比(Al/Zr)で表して、1〜2000である。
重合方法として、好ましくは、エチレン−α−オレフィン共重合体の粒子の形成を伴う連続重合方法であり、例えば、連続気相重合、連続スラリー重合、連続バルク重合であり、好ましくは、連続気相重合である。
気相重合反応装置としては、通常、流動層型反応槽を有する装置であり、好ましくは、拡大部を有する流動層型反応槽を有する装置である。反応槽内に攪拌翼が設置されていてもよい。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造に用いられるメタロセン系オレフィン重合用触媒の各成分を反応槽に供給する方法としては、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス、水素、エチレン等を用いて、水分のない状態で供給する方法、各成分を溶媒に溶解または稀釈して、溶液またはスラリー状態で供給する方法が用いられる。触媒の各成分は個別に供給してもよく、任意の成分を任意の順序にあらかじめ接触させて供給してもよい。
また、本重合を実施する前に、予備重合を実施し、予備重合された予備重合触媒成分を本重合の触媒成分または触媒として使用することが好ましい。
重合温度としては、通常、共重合体が溶融する温度未満であり、好ましくは0〜150℃であり、より好ましくは30〜100℃である。
また、共重合体の溶融流動性を調節する目的で、水素を分子量調節剤として添加してもよい。そして、混合ガス中に不活性ガスを共存させてもよい。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体は、長鎖分岐のようなポリマー構造を有すると考えられる。そして、長鎖分岐のようなポリマー構造としては、緊密に絡み合った構造が好ましいと考えられる。そして、そのような緊密に絡み合った構造によって、従来のエチレン−α−オレフィン共重合体よりも高い流動の活性化エネルギーが得られ、押出成形性がさらに向上すると考えられる。
前述のように、長鎖分岐のようなポリマー構造が、緊密に絡み合った構造であると考えられるエチレン−α−オレフィン共重合体の流動の活性化エネルギー(Ea、単位はkJ/molである。)としては、低温で溶融張力を上昇させ、十分な成形性を得るという観点から、好ましくは、60kJ/mol以上であり、より好ましくは63kJ/mol以上であり、さらに好ましくは66kJ/mol以上である。また、高温で溶融粘度が低下させずに、十分な成形性を得るという観点や、フィルム等の押出成形品の表面が荒れ、外観が損なわれないようにするという観点から、Eaは、好ましくは100kJ/mol以下であり、より好ましくは90kJ/mol以下である。
一般的に、エチレン重合体の極限粘度([η])とスウェル比(SR)の間には関係があること、例えば、極限粘度が低下するにつれて、スウェル比が増大することが知られている。
長鎖分岐のようなポリマー構造が、緊密に絡み合った構造であると考えられる本発明の好ましいエチレン−α−オレフィン共重合体としては、スウェル比(SR)と極限粘度([η];単位はdL/g)とが下記式(6)または式(7)の関係を満たすものである。
[η]<1.20の場合、
−0.91×[η]+2.262<SR<2 式(6)
[η]≧1.20の場合、
1.17<SR<2 式(7)
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体が、上記の式(6)または式(7)の関係を満たす場合には、押出しトルクが低く、押出成形加工時の安定性に優れ、さらに、フィルム等の押出成形品の表面に荒れが発生することもなく、外観に優れたものになる。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体が満たす式(6)または(7)の関係として、好ましい関係は、
[η]<1.23の場合、
−0.91×[η]+2.289<SR<1.9
[η]≧1.23の場合、
1.17<SR<1.9
であり、さらに好ましい関係は、
[η]<1.30の場合、
−0.91×[η]+2.353<SR<1.8
[η]≧1.30の場合、
1.17<SR<1.8
である。
上記の式(6)または式(7)におけるスウェル比(SR)は、メルトフローレート(MFR)を測定する際に、190℃において、荷重21.18N(2.16Kg)でストランド状に押出した後に空気中で冷却して得た固体状のストランドについて、先端から1〜6mmの範囲の一点における直径D(単位はmmである。)を求め、その直径をオリフィス径2.095mm(D0)で除した値(D/D0)である。直径Dは、3つのストランド試料の平均値として求める。
本発明の好ましいエチレン−α−オレフィン共重合体、すなわち、流動の活性化エネルギー(Ea)が60kJ/mol以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体、または、上記式(6)または式(7)の関係を満たすエチレン−α−オレフィン共重合体であって、長鎖分岐のようなポリマー構造として緊密に絡み合った構造を有していると考えられるエチレン−α−オレフィン共重合体は、前記のメタロセン系オレフィン重合用触媒を用いて、水素の共存下でエチレンとα−オレフィンとを共重合した後に、次の連続押出造粒方法で混練する方法によって、製造することができる。
方法の一つは、米国特許5、451、106号公報に記載されているUtracki等が開発した伸長流動混練(EFM)ダイを備えた押出機を用いて連続的にストランドを成形し、そのストランドを連続的にカットし、ペレットとして製造する方法である。また、方法の一つは、ギアポンプを有する異方向二軸スクリューを備えた押出機を用いて連続的にストランドを成形し、そのストランドを連続的にカットし、ペレットとして製造する方法である。後者は、スクリュー部からダイまでの間に滞留部があることが好ましい。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の用途として、好ましくは、フィルムやシートなどの押出成形品である。
フィルムの成形方法としては、例えば、本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体を溶融し、円形ダイから押出し、筒状に膨らませてフィルムを作製し、このフィルムを巻き取るインフレーションフィルム成形加工法や、本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体を溶融し、直線状ダイから押出してフィルムを作製し、このフィルムを巻き取るTダイフィルム成形加工法などが挙げられる。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体には、必要に応じて、公知の添加剤を含有させてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、抗ブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、無滴剤、顔料、フィラー等が挙げられる。
次に本発明を実施例および比較例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
実施例中の押出成形品の外観については、下記の方法で得たフィルムを用いて評価した。
(1)フィルム加工
エチレン−α−オレフィン共重合体を試料とし、プラコー社製、30mmφ、L/D=28、フルフライトタイプスクリューの単軸押出し機、50mmφ、リップギャップ0.8mmのダイス、二重スリットエアリングを用い、加工温度170℃、押出量5.5kg/hr、フロストラインディスタンス(FLD)200mm、ブロー比1.8の条件で製膜して厚み80μのフィルムを得た。また、押出成形加工時の押出しトルクの指標として、フィルム加工時の押出機における樹脂圧を計測した。
(2)フィッシュアイ
目視によって、上記で得たフィルム表面上の突起物(フィッシュアイ)の多さを観測した。フィッシュアイが1m2当たり100個以下の場合は○、100〜1000個の場合は△、1000個を超える場合は×とした。
(3)耐ブロッキング性
上記で得たフィルムのべたつき度合いについて、べたつきにくいものを○、ややべたつくものを△、かなりべたつくものを×とした。
実施例1
[触媒成分の調製]
(1)シリカの処理
窒素置換した3リットルの四つ口フラスコに、窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製 Sylopol948;平均粒子径=61μm;細孔容量=1.70ml/g;比表面積=291m2/g)0.2kgを入れ、次いでフラスコ壁面に付着したシリカを洗い流しつつ、トルエン1.2リットルを入れた。5℃に冷却した後、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン84.4ml(0.4mmol)とトルエン115mlの混合溶液を25分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間、95℃で3時間攪拌し、ろ過した。その後、95℃でトルエン 1.2リットルにて4回、フィルターを用いた洗浄を行った。その後、トルエンを1.2リットル加えた後、一晩静置した。
(2)助触媒担体(A)の合成
上記で得られたスラリーに、ジエチル亜鉛のヘキサン溶液(2.00mol/リットル)0.550リットル(1.10mol)を入れ5℃に冷却した。これに、ペンタフルオロフェノール 105g(0.570mol)をトルエン 173mlに溶解させた溶液を65分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間攪拌した。その後、40℃に加熱し、1時間攪拌した。氷浴で5℃にした後、H2O 14.9g(0.828mol)を90分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1.5時間、40℃で2時間攪拌した。その後、室温にて一晩静置した。その後80℃で2時間攪拌した後、静置し、固体成分を沈降させ、沈降した固体成分の層と上層のスラリー部分との界面が見えた時点で上層のスラリー部分を取り除き、次いで残りの液成分をフィルターにてろ過した後、トルエン 1.7リットルを加え95℃で2時間攪拌した。その後、95℃でトルエン 1.7リットルにて4回、室温でヘキサン 1.7リットルにて2回、それぞれ攪拌したのち、静置し、固体成分を沈降させ、沈降した固体成分の層と上層のスラリー部分との界面が見えた時点で上層のスラリー部分を取り除き、次いで残りの液成分をフィルターにてろ過する洗浄を行った。その後、固体成分を減圧下、室温で3時間乾燥を行うことにより、助触媒担体(A)0.39kgを得た。
[予備重合触媒の調製]
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付きオートクレーブにトリイソブチルアルミニウムを濃度2.5mmol/リットルで含んだブタン100リットルと、1−ブテン0.5リットル、常温常圧の水素として8リットルを仕込んだ後、オートクレーブを23℃まで昇温した。さらにエチレンをオートクレーブ内のガス相圧力で0.2MPa分だけ仕込み、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム 250mmol、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド30mmol、続いて、上記助触媒担体(A)0.20kgを投入して重合を開始した。30℃へ昇温するとともに、エチレンと水素を連続で供給しながら、30℃で合計4時間の予備重合を実施した。重合終了後、エチレン、ブタン、水素ガスなどをパージして残った固体を室温にて真空乾燥し、上記助触媒担体(A)1g当り58gのエチレン−1−ブテン共重合体が予備重合された予備重合触媒成分を得た。
[重合]
上記で得た予備重合触媒成分を用い、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ヘキセンの共重合を実施した。重合条件は、温度85℃、全圧2MPa、ガス線速度0.24m/秒、エチレンに対する水素モル比は0.8%、エチレンに対する1−ヘキセンモル比は1.5%で、重合中はガス組成を一定に維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素を連続的に供給した。上記予備重合済触媒成分とトリイソブチルアルミニウムを連続的に供給し、流動床の総パウダー重量80kgを一定に維持するよう、平均重合時間4hr、23kg/hrの生産効率でエチレン−1−ヘキセン共重合パウダーを得た。上記で得たエチレン−1−ヘキセン共重合パウダーに、カルシウムステアレート1000ppm、スミライザーGP(住友化学社製)1800ppmをブレンドしたものを、神戸製鋼所社製LCM100押出機を用いて、フィード速度350kg/hr、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度4.2mm、サクション圧力0.2MPa、樹脂温度200〜230℃条件で造粒することによりエチレン−1−ヘキセン共重合体を得た。得られたエチレン重合体は、表1に示すような物性値およびフィルム押出成形性を示した。
実施例2
[予備重合触媒の調製]
実施例1と同様にして、助触媒担体(A)1g当り16gのエチレン−1−ブテン共重合体が予備重合された予備重合触媒成分を得た。
[重合]
上記で得た予備重合触媒成分を用い、実施例1と同様にして、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ブテンと1−ヘキセンの3元共重合を実施した。得られたエチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体は、表1に示すような物性値およびフィルム外観を示した。
比較例1
[触媒成分]
助触媒担体(A’)の調製
窒素置換した5リットルの四つ口フラスコに、テトラヒドロフラン1.5リットル、ジエチル亜鉛のヘキサン溶液(2mol/リットル)1.35リットル(2.7mol)を入れ、5℃に冷却した。これに、ペンタフルオロフェノール 0.2kg(1mol)をテトラヒドロフラン 500mlに溶解させた溶液を60分間で滴下した。滴下終了後、5℃で60分攪拌し、28分間かけて45℃まで温度を上げ、60分間攪拌を行った。その後、氷浴で20℃まで温度を下げ、水 45g(2.5mol)を90分間で滴下した。その後、20℃で60分間攪拌し、24分間かけて45℃まで昇温して60分間攪拌を実施した。その後、20℃から50℃に昇温しながら、減圧にて溶媒留去を120分実施し、その後120℃にて8時間減圧乾燥実施した。その結果、固体生成物0.43kgを得た。
窒素置換した5リットルの四つ口フラスコに、上記固体生成物 0.43kg、テトラヒドロフラン3リットルを入れ、攪拌を行った。これに窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製Sylopol948;平均粒子径=61μm;細孔容量=1.61ml/g;比表面積=296m2/g)0.33kgを入れた。40℃に加熱し、2時間攪拌を行った後、静置し、固体成分を沈降させ、沈降した固体成分の層と上層のスラリー部分との界面が見えた時点で上層のスラリー部分を取り除いた。洗浄操作として、これに、テトラヒドロフラン3リットルを加え、攪拌を行った後、静置し、固体成分を沈降させ、同様に界面が見えた時点で上層のスラリー部分を取り除いた。以上の洗浄操作を計5回繰り返した。その後、減圧下、120℃で8時間乾燥を行うことにより、助触媒担体(A’)0.52kgを得た。
[予備重合触媒の調製]
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付きオートクレーブにトリイソブチルアルミニウムを濃度2.5mmol/リットルで含んだブタン80リットルと、常温常圧の水素として28リットルを仕込んだ後、オートクレーブを40℃まで昇温した。さらにエチレンをオートクレーブ内のガス相圧力で0.3MPa分だけ仕込み、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム 200mmol、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド28mmol、続いて、上記で得た助触媒担体(A’)0.2kgを投入して重合を開始した。40℃から50℃へ昇温するとともに、エチレンと水素を連続で供給しながら、合計4時間の予備重合を実施した。重合終了後、エチレン、ブタン、水素ガスをパージした後に、溶媒をろ過して、生成した固体を室温にて真空乾燥し、上記助触媒担体(A’)1g当り60gのポリエチレンが予備重合された予備重合触媒成分を得た。
[重合]
上記のようにして得た予備重合触媒成分を用い、実施例1と同様にして、重合時のエチレンに対する水素モル比を0.3%程度、エチレンに対する1−ヘキセンモル比は1.8%程度で調整し、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ヘキセンの共重合を実施することによって、エチレン−1−ヘキセン共重合パウダーを得た。このようにして得たエチレン−1−ヘキセン共重合パウダーに、カルシウムステアレート1000ppm、スミライザーGP(住友化学社製)1800ppmをブレンドしたものを、田辺プラスチック(株)製、40mmφ、L/D=28、フルフライトスクリュー単軸押出し機によって、150℃、スクリュー回転数80rpmの条件で造粒することによりエチレン−1−ヘキセン共重合体を得た。得られたエチレン−1−ヘキセン共重合体は、表1に示すような押出成形性および物性値を示した。
比較例2
[触媒成分]
攪拌機およびジャケットを有する内容積180リットルのSUS製反応機を窒素置換した後、窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製 Sylopol948;細孔容量=1.65ml/g;比表面積=298m2/g、平均粒径=58μm)9.7kgおよびトルエン100リットルを投入した。2℃に冷却後、PMAOのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製 PMAO−s)を23.3kg(Alあたり75.9mol)を62分間で滴下した。滴下終了後、5℃にて30分間攪拌し、95℃まで2時間かけて昇温を行い、95℃にて4時間攪拌を行った。その後、40℃まで温度を下げ、窒素置換した攪拌機およびジャケットを有する内容積180リットルのSUS製反応機へ移送した。シリカ由来成分を50分間かけて沈降させ、上層のスラリー成分を取り除いた。その後、トルエン100リットルを加えて10分間攪拌した後、約45分間かけて沈降させ、上層のスラリー成分を取り除いた。上記洗浄操作を計3回繰り返した。次いで、トルエン 120リットルにて窒素置換したフィルター、攪拌機およびジャケットを有する内容積430リットルのSUS製のろ過機へスラリーを移送した。10分間攪拌しろ過を行い、トルエン100リットルを加えて再度10分間攪拌し、ろ過を行った。更に、ヘキサン100リットルを加えて10分間攪拌し、ろ過を行った。この洗浄操作を計2回繰り返した。ヘキサン70リットルにて、窒素置換した攪拌機およびジャケットを有する内容積210リットルのSUS製乾燥器へスラリーを移送した。次いで、ジャケット温度80℃にて窒素流通乾燥を7.5時間行うことにより、触媒成分(S)12.6kgを得た。
[予備重合触媒の調製]
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付きオートクレーブにトリイソブチルアルミニウムを濃度2.5mmol/リットルで含んだブタン120リットルと、常温常圧の水素として40リットルを仕込んだ後、オートクレーブを47℃まで昇温した。さらにエチレンをオートクレーブ内のガス相圧力で0.3MPa分だけ仕込み、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム300mmol、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド15mmol、続いて、上記で得た触媒成分(S)0.25kgを投入して重合を開始し、エチレンと水素を連続で供給しながら、合計4時間の予備重合を実施した。重合終了後、エチレン、ブタン、水素ガスをパージした後に、生成した固体を室温にて真空乾燥し、上記触媒成分(S)1g当り33gのポリエチレンが予備重合された予備重合触媒成分を得た。
[重合]
上記で得た予備重合触媒成分を用い、実施例1と同様にして、重合時のエチレンに対する水素モル比0.15%、エチレンに対する1−ヘキセンモル比は1.8%の条件下において連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ヘキセンの共重合を実施することによってエチレン−1−ヘキセン共重合パウダーを得た後に、比較例1と同様にして造粒することによってエチレン−1−ヘキセン共重合体を得た。得られたエチレン−1−ヘキセン共重合体は、表1に示すように、実施例に比べて溶融張力が低い一方で、高いMFRを有するにも関わらずフィルム加工時の樹脂圧は同等以上を示し、押出成形加工性が劣っていた。
比較例3
従来のチーグラー・ナッタ触媒系のエチレン−α−オレフィン共重合体であるFS150A(住友化学製)は、前記のフィルム加工条件では樹脂圧が高すぎたため、リップギャップを2.0mmに温度を200℃に変更して実施した。表1に示すように、実施例に比べてフィルム加工条件を変更したにも関わらずフィルム加工時の樹脂圧が高く押出成形加工性が劣り、耐ブロッキング性のバランスにおいて劣っている。
表1に示したように、本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体は、溶融張力や押出成形時の樹脂圧で代表される押出しトルクすなわち押出成形加工性と押出成形品の耐ブロッキング性とのバランスにおいて優れていることが分かる。
Figure 2005097481

Claims (2)

  1. エチレンから誘導される構成単位と炭素数3〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位を含むエチレン−α−オレフィン共重合体であって、流動の活性化エネルギーが50kJ/mol以上であり、メルトフローレート(MFR;単位はg/10分である。)と密度(d;単位はkg/m3である。)と冷キシレン可溶部割合(CXS;単位は重量%である。)とが下記式(1)の関係を満たし、冷キシレン可溶部の融解熱量が30J/g以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体。
    10(30.3-0.0327×d+0.354×logMFR)<CXS<20 式(1)
  2. メルトフローレート(MFR;単位はg/10分である。)と190℃における溶融張力(MT;単位はcNである。)とが下記式(2)の関係を満たし、前記MFRと極限粘度([η];単位はdl/gである。)とが下記式(3)の関係を満たす請求項1記載のエチレン−α−オレフィン共重合体。
    2×MFR-0.59<MT<40×MFR-0.59 式(2)
    1.02×MFR-0.094<[η]<1.50×MFR-0.156 式(3)
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