JP2004002832A - エチレン共重合体の混練体の製造方法 - Google Patents

エチレン共重合体の混練体の製造方法 Download PDF

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三野 直弘
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Abstract

【課題】溶融張力および流動性に優れ、衝撃強度および外観(霞み度および透視感)に優れるフィルムを成形することができるエチレン共重合体の混練体の製造方法、その製造方法によって得られるエチレン共重合体の混練体およびそのエチレン共重合体の混練体からなる成形体およびフィルムを提供する。
【解決手段】エチレン共重合体である原料ポリマーを特定の条件で混練して、エチレン共重合体の混練体を製造する方法であって、前記原料ポリマーとして、二本ロールで混練したときに特定の要件を満たすことができるエチレン共重合体を用いるエチレン共重合体の混練体の製造方法。
また、上記の製造方法によって得られるエチレン共重合体の混練体およびそのエチレン共重合体の混練体からなる成形体およびフィルム。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレン共重合体の混練体の製造方法、その製造方法によって得られるエチレン共重合体の混練体およびそのエチレン共重合体の混練体からなるフィルムまたは成形体に関するものである。さらに詳しくは、溶融張力および流動性に優れ、衝撃強度および外観(霞み度および透視感)に優れるフィルムを成形することができるエチレン共重合体の混練体の製造方法、その製造方法によって得られるエチレン共重合体の混練体およびそのエチレン共重合体の混練体からなるフィルムおよび成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エチレン共重合体は種々の方法によって、溶融成形されて、多くの用途に使用されている。溶融成形するためにエチレン共重合体には、通常、高い溶融張力が求められる。例えば、インフレーション成形においては、インフレーションバブルの安定性を確保するために、また、中空成形においては、垂れ下がりやちぎれを防止し、肉厚分布を均一にするために、そして、Tダイ成形や押出しラミ成形においては、溶融樹脂の幅落ち(ネックイン)を防止するために、高い溶融張力を有するエチレン共重合体が求められている。
【0003】
溶融張力が高く、成形性に優れたエチレン系重合体としては、例えば、特開平9−328520号公報には、密度が0.880〜0.980g/cmであり、メルトフローレート(MFR)が0.01〜100g/10分であり、溶融張力とMFRが特定の関係を満たし、流動性インデックスとMFRが特定の関係を満たし、スウェル比が1.40を超えるエチレン共重合体が記載されており、そのエチレン共重合体の具体的な混練方法としては、ハーケ社製コニカルテーパー状二軸混練機を用い、設定温度180℃で溶融押出して、造粒ペレットを製造する方法が記載されている。
しかし、上記公報に記載のエチレン共重合体からなるフィルムなどの樹脂成形体の透明性については、さらなる改良が望まれていた。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−328520号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、溶融張力および流動性に優れ、衝撃強度および外観(霞み度および透視感)に優れるフィルムを成形することができるエチレン共重合体の混練体の製造方法、その製造方法によって得られるエチレン共重合体の混練体およびそのエチレン共重合体の混練体からなる成形体およびフィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる実情に鑑み、鋭意検討の結果、本発明が上記課題を解決できることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、
エチレンと炭素数4〜20のα−オレフィンからなるエチレン共重合体である原料ポリマーを下記(要件4)を満たす条件で混練して、エチレン共重合体の混練体を製造する方法であって、前記原料ポリマーとして、二本ロールで混練したときに下記(要件1)〜(要件3)を満たすことができるエチレンと炭素数4〜20のα−オレフィンからなるエチレン共重合体を用いるエチレン共重合体の混練体の製造方法に係るものである。
(要件1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)が0.01〜200である。
(要件2)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)と190℃における溶融張力(MT、単位:cN)が下記式(1)の関係を満たす。
2×MFR−0.59<MT<20×MFR−0.59   (1)
(要件3)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)と極限粘度([η]、単位:dl/g)が下記式(2)の関係を満たす。
1.02×MFR−0.094<[η]<1.50×MFR−0.156   (2)
(要件4)原料ポリマーを二本ロールで混練したときのメルトフローレート(MFR、単位:g/10分)とエチレン共重合体の混練体の製造時の混練比エネルギー(W、単位:kw・hr/kg)が下記式(3)の関係を満たす。
W≧0.178×MFR−0.240   (3)
また、本発明は、上記の製造方法によって得られるエチレン共重合体の混練体およびそのエチレン共重合体の混練体からなる成形体およびフィルムに係るものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるエチレン共重合体は、エチレンと炭素数4〜20のα−オレフィンの共重合体である。
炭素数が4〜20のα−オレフィンとしては、例えばブテン−1、ペンテン−1、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等が挙げられ、好ましくはブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、さらに好ましくはヘキセン−1、オクテン−1である。これらのα−オレフィンは、単独で用いてもよく、少なくとも2種を併用してもよい。
【0008】
本発明で用いられるエチレン共重合体としては、例えばエチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体等が挙げられ、好ましくはエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、さらに好ましくはエチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体である。また、3元共重合体としてエチレン−ブテン−ヘキセン共重合体、エチレン−ブテン−オクテン共重合体などが好ましい。
【0009】
本発明で用いられるエチレン共重合体のα−オレフィンの含有量は、好ましくは0.5〜30モル%であり、特に好ましくは1.0〜20モル%である。ただし、エチレン共重合体の全量を100モル%とする。
【0010】
本発明で用いられるエチレン共重合体である原料ポリマーは、重合反応器から取り出されたパウダー状の共重合体、塊状の共重合体、または、それらが造粒機によってペレット化されたペレットである。
本発明で原料ポリマーとして用いられるエチレン共重合体は、原料ポリマーに酸化や架橋を防止するために酸化防止剤を必要に応じて添加し、150℃に設定された二本ロールで原料ポリマーを10分間混練した時に、(要件1)〜(要件3)を満たすことができるエチレン共重合体である。
【0011】
本発明で原料ポリマーとして用いられるエチレン共重合体を二本ロールで混練した時のメルトフローレート(MFR、単位:g/10分)は、0.01〜200g/10分である(要件1)。好ましくは0.05〜50g/10分であり、特に好ましくは0.1〜20g/10分である。
メルトフローレート(MFR)が0.01g/10分未満の場合、製膜加工時の押出し負荷が過大になりメルトフラクチャーが発生することがあり、200g/10分を超えた場合、フイルムの機械特性が損なわれたり、製膜安定性が不充分なことがある。
【0012】
本発明で原料ポリマーとして用いられるエチレン共重合体を二本ロールで混練した時のメルトフローレート(MFR、単位:g/10分)と190℃における溶融張力(MT、単位:cN)は、下記式(1)の関係を満たす(要件2)。
2×MFR−0.59<MT<20×MFR−0.59   (1)
【0013】
一般的に、エチレン共重合体は、MFRが増大して流動性が増大する(すなわち、溶融粘度が低下する)と共に、溶融張力が低下することが知られている。
これに対して、本発明で原料ポリマーとして用いられるエチレン共重合体は、長鎖分岐のようなポリマー構造を有していると考えられ、同じMFRを有する通常の直鎖状エチレン共重合体よりも、溶融張力が高く、適切な範囲にあり、二本ロールで混練した時のメルトフローレート(MFR)と溶融張力(MT)が、上記式(1)の関係を満たすために押出し成形性に優れる。
【0014】
本発明で原料ポリマーとして用いられるエチレン共重合体のメルトフローレート(MFR)と溶融張力(MT)が、2×MFR−0.59<MTの関係を満たさない場合、製膜安定性が不充分なことがあり、MT<20×MFR−0.59の関係を満たさない場合、高速での引取加工時に膜切れなどを起こし、製膜が困難なことがある。
【0015】
本発明で原料ポリマーとして用いられるエチレン共重合体が満たすメルトフローレート(MFR)と溶融張力(MT)の関係として好ましくは、
2.2×MFR−0.59<MT<15×MFR−0.59
であり、さらに好ましくは、
2.5×MFR−0.59<MT<10×MFR−0.59
である。
【0016】
本発明で原料ポリマーとして用いられるエチレン共重合体を二本ロールで混練した時のメルトフローレート(MFR、単位:g/10分)と極限粘度([η]、単位:dl/g)が下記式(2)の関係を満たす(要件3)。
1.02×MFR−0.094<[η]<1.50×MFR−0.156   (2)
【0017】
一般的に、エチレン共重合体は、MFRが増大して流動性が向上する(すなわち、溶融粘度が低下する)と共に、極限粘度が低下することが知られている。
これに対して、本発明の原料として用いられるエチレン共重合体は、長鎖分岐のようなポリマー構造を有していると考えられ、同じMFRを有する通常の直鎖状エチレン共重合体よりも低い極限粘度を有し、二本ロールで混練した時のメルトフローレート(MFR)と極限粘度([η])が、上記式(2)の関係を満たすため押出しトルクが低く、押し出し加工性に優れる。
【0018】
本発明で原料ポリマーとして用いられるエチレン共重合体のメルトフローレート(MFR)と極限粘度([η])が、1.02×MFR−0.094<[η]の関係を満たさない場合、エチレン共重合体の機械的強度が低下することがあり、[η]<1.50×MFR−0.156の関係を満たさない場合、製膜加工時の押出し負荷が過大になることがある。
【0019】
本発明で原料ポリマーとして用いられるエチレン共重合体が満たすメルトフローレート(MFR)と極限粘度([η])の関係として好ましくは、
1.05×MFR−0.094<[η]<1.47×MFR−0.156
であり、さらに好ましくは、
1.08×MFR−0.094<[η]<1.42×MFR−0.156
である。
【0020】
本発明で原料ポリマーとして用いられるエチレン共重合体の密度(単位:kg/m)は、通常、890〜965であり、好ましくは900〜950であり、より好ましくは905〜935である。
【0021】
本発明で原料ポリマーとして用いられるエチレン共重合体は、長鎖分岐のようなポリマー構造を有すると考えられ、通常の直鎖状エチレン共重合体よりも高い流動の活性化エネルギーを有す。通常の直鎖状エチレン共重合体の流動の活性化エネルギー(Ea、単位:kJ/molである。)が35kJ/mol以下であるのに対し、本発明で原料ポリマーとして用いられるエチレン共重合体の流動活性化エネルギーは、好ましくは、40kJ/molより大きく、より好ましくは45kJ/mol以上であり、さらに好ましくは50kJ/mol以上である。
【0022】
上記の流動の活性化エネルギー(Ea)とは、粘弾性測定装置として、Rheometrics社製 Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800を用いて、特性緩和時間(τ)を算出する際と同一の条件で測定される各温度T(K)における動的粘弾性データを、温度−時間重ね合わせ原理に基づいてシフトするときに、下記のシフトファクター(a)のアレニウス型方程式から算出される数値であって、成形性の指標となるものである。
シフトファクター(a)のアレニウス型方程式
log(a)=Ea/R(1/T−1/T
(Rは気体定数であり、Tは基準温度(463K)である。)
【0023】
また、計算ソフトウェアには、Rheometrics社 Rhios V.4.4.4を使用し、アレニウス型プロットlog(a)−(1/T)において、直線近似をした時に得られる相関係数rが0.99以上であるときのEa値を、本発明で原料ポリマーとして用いられるエチレン共重合体の流動の活性化エネルギーとする。
【0024】
本発明で原料ポリマーとして用いられるエチレン共重合体において、GPC法によって測定された分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)として、好ましくは3.5〜20であり、さらに好ましくは5〜15である。
【0025】
本発明で原料ポリマーとして用いられるエチレン共重合体の製造方法は、下記のメタロセン系オレフィン重合用触媒を用いて、エチレンとα−オレフィンとを共重合する方法である。
エチレン共重合体の製造に用いられるメタロセン系オレフィン重合用触媒は、助触媒担体(A)、架橋型ビスインデニルジルコニウム錯体(B)および有機アルミニウム化合物(C)を接触させて得られる触媒であり、前記助触媒担体(A)はジエチル亜鉛(a)、フッ素化フェノール(b)、水(c)およびシリカ(d)を接触させて得られる担体、または、ジエチル亜鉛(a)、フッ素化フェノール(b)、水(c)、シリカ(d)およびトリメチルジシラザン(((CHSi)NH)(e)を接触させて得られる担体である。
【0026】
上記(a)、(b)、(c)各化合物の使用量は特に制限はないが、各化合物の使用量のモル比率を(a):(b):(c)=1:y:zのモル比率とすると、yおよびzが下記の関係を満足することが好ましい。
|2−y−2z|≦1
上記の関係におけるyとして好ましくは0.01〜1.99の数であり、より好ましくは0.10〜1.80の数であり、さらに好ましくは0.20〜1.50の数であり、最も好ましくは0.30〜1.00の数である。
【0027】
また、(a)に対して使用する(d)の量としては、(a)と(d)との接触により得られる粒子に含まれる(a)に由来する亜鉛原子が、得られる粒子1gに含まれる亜鉛原子のモル数にして、0.1mmol以上となる量であることが好ましく、0.5〜20mmolとなる量であることがより好ましい。
トリメチルジシラザン(((CHSi)NH)(e)を用いる場合、使用する(e)の量としては、(d)1gにつき(e)0.1mmol以上となる量であることが好ましく、0.5〜20mmolとなる量であることがより好ましい。
【0028】
架橋型ビスインデニルジルコニウム錯体(B)として、好ましくはラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシドである。
また、有機アルミニウム化合物(C)として、好ましくはトリイソブチルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウムである。
【0029】
架橋型ビスインデニルジルコニウム錯体(B)の使用量は、助触媒担体(A)1gに対し、好ましくは5×10−6〜5×10−4molである。また有機アルミニウム化合物(C)の使用量として、好ましくは、架橋型ビスインデニルジルコニウム錯体(B)のジルコニウム原子モル数に対する有機アルミニウム化合物(C)のアルミニウム原子のモル数の比(Al/Zr)で表して、1〜2000である。
【0030】
重合方法として、好ましくは、エチレン共重合体の粒子の形成を伴う重合方法であり、例えば、気相重合、スラリー重合、バルク重合であり、好ましくは、気相重合である。
気相重合反応装置としては、通常、流動層型反応槽を有する装置であり、好ましくは、拡大部を有する流動層型反応槽を有する装置である。反応槽内に攪拌翼が設置されていてもよい。
【0031】
本発明で原料ポリマーとして用いられるエチレン共重合体の製造に用いられるメタロセン系オレフィン重合用触媒の各成分を反応槽に供給する方法としては、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス、水素、エチレン等を用いて、水分のない状態で供給する方法、または、各成分を溶媒に溶解または稀釈して、溶液またはスラリー状態で供給する方法が用いられる。触媒の各成分は個別に供給してもよく、任意の成分を任意の順序にあらかじめ接触させて供給してもよい。
また、本重合を実施する前に、予備重合を実施し、予備重合された予備重合済触媒成分を本重合の触媒成分または触媒として使用することが好ましい。
【0032】
重合温度としては、通常、エチレン共重合体が溶融する温度より低い温度であり、好ましくは0〜150℃であり、より好ましくは30〜100℃である。
また、エチレン共重合体の溶融流動性を調節する目的で、水素を分子量調節剤として添加してもよい。そして、混合ガス中に不活性ガスを共存させてもよい。
【0033】
本発明であるエチレン共重合体の混練体の製造方法において、原料ポリマーを混練する条件としては、原料ポリマーを二本ロールで混練したときのメルトフローレート(MFR、単位:g/10分)とエチレン共重合体の混練体の製造時の混練比エネルギー(W、単位:kw・hr/kg)が下記式(3)の関係を満たす条件である(要件4)。
W≧0.178×MFR−0.240   (3)
【0034】
原料ポリマーを二本ロールで混練したときのメルトフローレート(MFR)とエチレン共重合体の混練体の製造時の混練比エネルギー(W)の関係として、好ましくは、
W≧0.178×MFR−0.240 +0.02
であり、より好ましくは、
W≧0.178×MFR−0.240 +0.06
である。
【0035】
上記の(要件4)におけるエチレン共重合体の混練体の製造時の混練比エネルギー(W)とは、エチレン共重合体を溶融混練する際に、エチレン共重合体の単位重量あたり(1kg)に混練装置から与えられるエネルギーであり、数値が大きいほど混練効果が大きいことを示す。例えば、押出し装置の場合、混練比エネルギー(W)は、1kgのエチレン共重合体を押出すために必要なスクリュー駆動用モーターの消費電力に、近似的に対応する。
【0036】
具体的には、下記式(5)から算出して得られる。
W=(31/2×(I−I)×E×φ)/(1000×Q)   (5)
I:混練中の負荷電流(A)
:スクリュー空回し時の負荷電流(A)
E:電圧(V)
φ:力率
Q:吐出量(kg/hr)
【0037】
一般に、長鎖分岐構造を有するエチレン共重合体の溶融時の緩和時間は、同じMFRを有する直鎖状エチレン共重合体に比べ著しく長い。そして、同じMFRを有する直鎖状エチレン共重合体と長鎖分岐構造を有するエチレン共重合体を比較した場合、長鎖分岐構造を有するエチレン共重合体は各分子同士の絡み合い状態の違いによって、MFRやSR等の溶融特性において、著しい差異を示す。
【0038】
本発明で原料ポリマーとして用いられるエチレン共重合体は、長鎖分岐のような構造を有すると考えられるため、混練比エネルギーであらわされる混練強度の大小によって各分子同士の絡み合い状態に違いが生じ、通常の直鎖状エチレン共重合体に比較して、MFRやSR等の溶融特性が変化していると推定される。
【0039】
本発明の製造方法によって得られるエチレン共重合体の混練体(混練体(1)と称する。)のメルトフローレート(MFR)およびスウェル比(SR)は、本発明の製造方法に用いられる原料ポリマーを下記(要件5)を満たす条件で混練して得られる混練体(混練体(0)と称する。)のメルトフローレート(MFR)およびスウェル比(SR)に対して、MFR/MFR>1およびSR/SR<1である。
(要件5)原料ポリマーを二本ロールで混練したときのメルトフローレート(MFR、単位:g/10分)と混練比エネルギー(W、単位:kw・hr/kg)が下記式(4)の関係を満たす。
W<0.178×MFR−0.240   (4)
【0040】
MFR/MFRの範囲として、好ましくは5>MFR/MFR>1であり、より好ましくは2>MFR/MFR>1.01である。MFRがMFR/MFR>1の関係を満たさない場合、フィルムの透明性が不十分なことがある。
SR/SRの範囲として、好ましくは0.1<SR/SR<1であり、より好ましくは0.5<SR/SR<0.99である。SRがSR/SR<1の関係を満たさない場合、フィルムの透明性が不十分なことがある。
【0041】
本発明のエチレン共重合体の混練体の製造方法において、混練とは、エチレン共重合体である原料ポリマーを加工時に取り扱いを良くするために、原料ポリマーを溶融混練して、均一な粒状などに成形することである。また、本発明におけるエチレン共重合体の混練体とは、原料ポリマーを各種の混練機を用いて混練して得られるペレットや塊状物である。また、原料ポリマーを溶融混練した後、溶融混練された原料ポリマーを連続的にフィルム等の成形体に成形する場合、エチレン共重合体の混練体とは、溶融混練された原料ポリマーである。
混練に用いられる混練機としては、例えば、単軸混練機、二軸混練機、バンバリーミキサー等が挙げられる。
【0042】
本発明の製造方法で得られるエチレン共重合体の混練体には、必要に応じて、中和剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、耐候剤、防曇剤、防錆剤等の添加剤や、本発明で原料として用いられるエチレン共重合体以外の高分子化合物を添加してもよい。
【0043】
本発明の製造方法で得られるエチレン共重合体の混練体の用途としては、例えば、フィルム、パイプ、チューブ類、繊維、容器類、日用雑貨品、キャップ類、大型成形品等が挙げられ、好ましくはフィルムである。
【0044】
フィルム、パイプ、チューブ類、容器類、繊維の成形方法としては、例えば、押出し成形方法が挙げられ、容器類の成形方法としては、例えば、ブロー成形方法等が挙げられ、日用雑貨品、キャップ類の成形方法としては、例えば、射出成形方法等が挙げられ、大型成形品の成形方法としては、例えば、回転成形方法等が挙げられる。
【0045】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例に基づき詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
(1)メルトフローレート(MFR)、極限粘度([η])およびメルトテンション(MT)の測定用サンプルの調整
重合により得られたパウダー状のエチレン共重合体50〜100gにBHT1000ppm、カルシウムステアレート1000ppmをそれぞれ添加し、日新科学株式会社製HR−20F型テストロール機、ロール寸法75φ×200L mm、ロール回転、後ろロール17rpm、前ロール14rpm、前後比1:1.2、ロール加熱カートリッジヒーター使用200V、1.5kw 2本、駆動電気、200V、0.75kwを用い、150(±5)℃の条件で10分間混練した。得られたサンプルをMFR、[η]およびメルトテンションの測定に供した。
【0046】
(2)エチレン共重合体の造粒(混練法1)
田辺プラスチック(株)製、40mmφ、L/D=28、フルフライトスクリュー単軸混練機を用い、窒素雰囲気下、150℃、スクリュー回転数80rpmの条件で造粒を実施した。この際得られたモーター負荷(A)、樹脂吐出量(kg・hr)を用いて混練の比エネルギーを算出した。混練比エネルギーの算出に際し、本混練機の力率(φ)は0.85とおいて計算を実施した。本混練法1を採用したサンプルの物性値(ブラベンダートルク,テンサイル衝撃強度、フィルムの光学特性)測定については、本混練法1によって、ペレット化されたエチレン共重合体の混練体を用いた。
【0047】
(3)エチレン共重合体の造粒(混練法2)
東芝機械(株)製、35mmφ同方向二軸混練機(TEM−35B)、L/D=32.8、バレル径=37mmを用い、窒素雰囲気下、150℃、スクリュー回転数150rpmの条件で造粒を実施した。この際得られたモーター負荷(A)、樹脂吐出量(kg・hr)を用いて混練の比エネルギーを算出した。混練比エネルギーの算出に際し、本混練機の力率(φ)は0.602とおいて計算を実施した。本混練法2を採用したサンプルの物性値(ブラベンダートルク,テンサイル衝撃強度、フィルムの光学特性)測定については、本混練法2によって、ペレット化されたエチレン共重合体の混練体を用いた。
【0048】
(4)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K 6760−1981に規定された方法に従って測定した。荷重2.16kg、温度190℃で行った。
【0049】
(5)スウェル比(SR)
JIS K 6760−1981に規定されたメルトフローレート測定装置を用い、190℃、荷重2.16kgでのメルトフローレート測定時に押出したストランドを23℃に冷却後した後、直径Dを測定し、オリフィスの直径Dとの比D/Dを求め、スウェル比(SR)とした。
【0050】
(6)極限粘度([η]、単位:dl/g)
極限粘度[η]は、熱劣化防止剤としてBHTを5重量%含むテトラリン100mlにエチレン重合体樹脂100mgを135℃で溶解したサンプル溶液を調製し、ウベローデ型粘度計を用いて前記サンプル溶液とブランク溶液の降下時間から算出される135℃での相対粘度(ηrel)を求めた後、下式(6)から算出した。
[η]=23.3×log(ηrel)   (6)
【0051】
(7)メルトテンション(MT、単位:cN)
東洋精機製作所製 メルトテンションテスターを用いて、190℃、降下速度5.5mm/分のピストンで、径2.09mmφ、長さ8mmのオリフィスから押出された溶融樹脂を、40rpm/分の巻取り上昇速度で巻き取ったときの張力値を測定した。
【0052】
(8)テンサイル衝撃強度(Tensil、単位:kJ/m)
ASTM D1822−68に従って測定した。
【0053】
(9)ブラベンダートルク(Br−T、単位:N・m)
ブラベンダー社製ブラベンダープラスチコーダーPLV−151を用い、ミキシング部容積60cc、樹脂量40g、温度160℃、回転数60rpmにて混練し、30分後のトルクを測定した。
【0054】
(10)フィルム加工法
前述の造粒ペレットを試料とし、プラコー社製、30mmφ、L/D=28、フルフライトタイプスクリューの単軸押出し機、50mmφ、リップギャップ0.8mmのダイス、二重スリットエアリングを用い、加工温度170℃、押出量5.5kg/hr、フロストラインディスタンス(FLD)200mm、ブロー比1.8の条件で製膜して厚み30μのフィルムを得た。
【0055】
(11)ヘイズ(霞み度)
ASTM D1003に規定された方法に従った。この値が小さいほど透明性が優れることを示す。
【0056】
(12)LSI(透視感)
成形フィルムを23±2℃、50±5%RHで24時間以上状態調整した後、東洋精機社製LSI試験機により±0.4゜〜1.2゜の散乱透過光を測定し、透視感の尺度とした。この値が小さいほど透視感が優れることを示す。
【0057】
(13)メルトフローレート比(MFRR)
JIS K 6760−1981に規定された方法に従った。荷重2.16kg、温度190℃で得られたMFR値を、荷重21.6kg、温度190℃で得られたMFR値で除した値を求め、メルトフローレート(MFRR)とした。
【0058】
(14)密度(d、単位:Kg/m
JIS K 7112−1980中、A法に規定された方法に従った。
【0059】
実施例1
助触媒担体(A)の調製
窒素置換した5リットルの四つ口フラスコに、テトラヒドロフラン1.50リットル、ジエチル亜鉛のヘキサン溶液(2.0mol/リットル)1.350リットル(2.70mol)を入れ、5℃に冷却した。これに、ペンタフルオロフェノール 199g(1.08mol)をテトラヒドロフラン 500mlに溶解させた溶液を60分間で滴下した。滴下終了後、5℃で60分攪拌し、28分間かけて45℃まで温度を上げ、60分間攪拌を行った。その後、氷浴で20℃まで温度を下げ、HO 45.2g(2.51mol)を90分間で滴下した。その後、20℃で60分間攪拌し、24分間かけて45℃まで昇温して60分間攪拌を実施した。その後、20℃から50℃に昇温しながら、減圧にて溶媒留去を120分実施し、その後120℃にて8時間減圧乾燥実施した。その結果、固体生成物434.6gを得た。
窒素置換した5リットルの四つ口フラスコに、上記固体生成物 434.6g、テトラヒドロフラン3リットルを入れ、攪拌を行った。これに窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製Sylopol948;平均粒子径=61μm;細孔容量=1.61ml/g;比表面積=296m/g)334.3gを入れた。40℃に加熱し、2時間攪拌を行った後、静置し、固体成分を沈降させ、沈降した固体成分の層と上層のスラリー部分との界面が見えた時点で上層のスラリー部分を取り除いた。洗浄操作として、これに、テトラヒドロフラン3リットルを加え、攪拌を行った後、静置し、固体成分を沈降させ、同様に界面が見えた時点で上層のスラリー部分を取り除いた。以上の洗浄操作を計5回繰り返した。その後、減圧下、120℃で8時間乾燥を行うことにより、助触媒担体(A)521.2gを得た。
【0060】
予備重合
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付きオートクレーブにトリイソブチルアルミニウムを濃度2.5mmol/リットルで含んだブタン96リットルと、常温常圧の水素として40リットルを仕込んだ後、オートクレーブを40℃まで昇温した。さらにエチレンをオートクレーブ内のガス相圧力で0.2MPa分だけ仕込み、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム 250mmol、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド36mmol、続いて、上記助触媒担体(A)243gを投入して重合を開始した。最初の1時間は、エチレン1.2kg/時間と常温常圧の水素として5.0リットル/時間を供給して、重合温度は上記助触媒担体(A)投入後、1時間目から30分間かけて40℃から50℃へ昇温した。また成分(B)投入後1時間目から、エチレン5.6kg/時間と、常温常圧の水素として14.9リットル/時間を供給して、50℃で重合を実施した。このようにして合計4時間の予備重合を実施した。重合終了後、エチレン、ブタン、水素ガスをパージした後に、溶媒をろ過して、生成した固体を室温にて真空乾燥し、上記助触媒担体(A)1g当り54.6gのポリエチレンが予備重合された予備重合触媒成分を得た。前記ポリエチレンの極限粘度[η]は1.54dl/gであった。
【0061】
連続気相重合
上記で得た予備重合触媒成分を用い、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ヘキセンの共重合を実施した。重合条件は、温度85℃、全圧2MPa、ガス線速度0.24m/s、エチレンに対する水素モル比は0.37%、エチレンに対する1−ヘキセンモル比は2.0%で、重合中はガス組成を一定に維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素を連続的に供給した。上記予備重合触媒成分を196g/hr、トリイソブチルアルミニウムを28mmol/hrの割合で連続的に供給し、流動床の総パウダー重量80kgを一定に維持するよう、平均重合時間4hr、19kg/hrの生産効率でエチレン/1−ヘキセン共重合体を得た。
【0062】
エチレン共重合体の造粒
得られたエチレン共重合体にカルシウムステアレート1000ppm、Irgnox1076(チバガイギー社製)2000ppm、P−EPQ(チバガイギー社製)1600ppmをブレンドし、先に記した混練法1((要件5)を満足する混練方法)により造粒を実施しエチレン共重合体の混練体を得た。さらに、得られたペレットをさらに二回、計三回、同条件((要件4)を満足する混練方法)で造粒混練してエチレン共重合体の混練体を得た。混練を繰り返し実施した際の混練比エネルギーは一回当たりの混練比エネルギー×混練回数として算出した。
【0063】
実施例2〜8
連続気相重合条件を表1に示した条件にして、それ以外については実施例1と同様の条件で実施した。
【0064】
実施例9
実施例1と同様の方法でエチレン共重合体を製造し、得られた共重合体を実施例1と同様の条件で造粒混練を4回繰り返し、エチレン共重合体の混練体を得た。混練を繰り返し実施した際の混練比エネルギーは一回当たりの混練比エネルギー×混練回数として算出した。
【0065】
実施例10
連続気相重合条件を表1に示した条件にして、それ以外の重合条件については実施例1と同様の条件でエチレン共重合体を製造した。得られたエチレン共重合体に実施例1と同種、同量の添加剤をブレンドし、混練法2により、吐出量16kg/hr、最小クリアランス0.13mmの条件で造粒を実施しエチレン共重合体の混練体を得た。スクリューセグメントは図1のType−Aとなるように組み立てた。
【0066】
実施例11
実施例10と同様のエチレン共重合体と添加剤をブレンドし、混練法2により、吐出量8kg/hr、最小クリアランス0.13mmの条件で造粒を実施した。スクリューセグメントは図1のType−Aとなるように組み立てた。
【0067】
比較例1
住友化学工業株式会社製 高圧法低密度ポリエチレン スミカセンF200の製品ペレットを用いて、その物性値を測定した。
【0068】
比較例2
住友化学工業株式会社製 メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン スミカセンE FV205の製品ペレットを用いて、その物性値を測定した。
【0069】
比較例3
実施例10と同様のエチレン共重合体と添加剤をブレンドし、混練法2により、吐出量8kg/hr、最小クリアランス0.13mmの条件で造粒を実施した。スクリューセグメントは図1のType−Bとなるように組み立てた。
【0070】
比較例4
実施例1と同様のエチレン共重合体と添加剤をブレンドし、混練法1により造粒を1回実施しエチレン共重合体の混練体を得た。
【0071】
図1中、最上段の1〜10の数字はバレルのブロックを示す。数字が小さいほうがホッパー側、大きいほうがダイス出口側を示す。ここでVent holeは、脱気用の吸引口を示す。図1中Pitchとはスクリューのフィード部に刻まれた溝のピッチを示し、lengthとはセグメントの長さを示す。数値の単位はmmである。混練部はニーディングディスクからなり、ニーディングとは混練用のセグメントを示す。ニーディングディスクは、ダイス方向に対してLの場合は樹脂を押し戻す方向、Rは樹脂を送る方向、Nは樹脂の搬送を誘起しない形態で並んでおり、それぞれの混練効果を得るために使用するセグメントである。
【0072】
【表1】
Figure 2004002832
【0073】
【表2】
Figure 2004002832
【0074】
表2中、MFRR、造粒アンペア、比エネルギーは、前述の(要件5)を満たす混練条件によって得られたエチレン共重合体のMFRR、造粒時の電流値、混練比エネルギーを示す。またMFRR、造粒アンペア、比エネルギーは、前述の(要件4)を満たす混練条件によって、得られたエチレン共重合体のMFRR、造粒時の電流値、混練比エネルギーを示す。混練条件が(要件4)を満たすか(要件5)を満たすかを判定するために、下記式(7)から求めた値を基準比エネルギーとした。
W=0.178×MFR−0.240   (7)
【0075】
本発明の製造方法で得られたエチレン共重合体の混練体である実施例1〜11は、溶融張力、流動性および衝撃強度に加え、外観(霞み度および透視感)にも優れるフィルムを成形することができるエチレン共重合体の混練体であり、特に、そのエチレン共重合体の混練体からなるフィルムのHAZEおよびLSIの値が小さく、外観が改良されていることが分かる。
【0076】
これに対して、本発明で用いられる上記(要件1)〜(要件3)を満たすエチレン共重合体ではない高圧法ポリエチレンを用いた比較例1は、テンサイル衝撃強度が低く、衝撃強度が不充分なものであることが分かる。
【0077】
また、本発明で用いられる上記(要件1)〜(要件3)を満たすエチレン共重合体ではないメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンを用いた比較例2は、ブラベンダートルクが高く、メルトテンションが低く、溶融張力、流動性が不充分なものであることが分かる。
【0078】
また、本発明で用いられる上記(要件1)〜(要件3)を満たす実施例10および実施例11と同じエチレン共重合体を、上記(要件4)を満たさない混練条件で混練して得られたエチレン共重合体の混練体を用いた比較例3は、ヘイズ(霞度)およびLSI(透視感)の値が大きく外観が不十分であることが分かる。
【0079】
また、本発明で用いられる上記(要件1)〜(要件3)を満たす実施例1および実施例9と同じエチレン共重合体を、上記(要件4)を満たさない混練条件で混練して得られたエチレン共重合体の混練体を用いた比較例4は、ヘイズ(霞度)およびLSI(透視感)の値が大きく外観が不十分であることが分かる。
【0080】
【発明の効果】
以上、詳述したとおり、本発明の製造方法によって、溶融張力および流動性に優れ、衝撃強度および外観(霞み度および透視感)に優れるフィルムを成形することができるエチレン共重合体の混練体、および、そのエチレン共重合体の混練体からなる成形体およびフィルムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】同方向二軸混練機セグメントスクリュー組み立て図

Claims (4)

  1. エチレンと炭素数4〜20のα−オレフィンからなるエチレン共重合体である原料ポリマーを下記(要件4)を満たす条件で混練して、エチレン共重合体の混練体を製造する方法であって、前記原料ポリマーとして、二本ロールで混練したときに下記(要件1)〜(要件3)を満たすことができるエチレンと炭素数4〜20のα−オレフィンからなるエチレン共重合体を用いるエチレン共重合体の混練体の製造方法。
    (要件1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)が0.01〜200である。
    (要件2)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)と190℃における溶融張力(MT、単位:cN)が下記式(1)の関係を満たす。
    2×MFR−0.59<MT<20×MFR−0.59   (1)
    (要件3)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)と極限粘度([η]、単位:dl/g)が下記式(2)の関係を満たす。
    1.02×MFR−0.094<[η]<1.50×MFR−0.156   (2)
    (要件4)原料ポリマーを二本ロールで混練したときのメルトフローレート(MFR、単位:g/10分)とエチレン共重合体の混練体の製造時の混練比エネルギー(W、単位:kw・hr/kg)が下記式(3)の関係を満たす。
    W≧0.178×MFR−0.240   (3)
  2. 請求項1記載の製造方法によって得られるエチレン共重合体の混練体(混練体(1)と称する。)であって、混練体(1)のメルトフローレート(MFR)およびスウェル比(SR)が、混練体(1)の製造に用いられる原料ポリマーを下記(要件5)を満たす条件で混練して得られる混練体(混練体(0)と称する。)のメルトフローレート(MFR)およびスウェル比(SR)に対して、MFR/MFR>1およびSR/SR<1であるエチレン共重合体の混練体。
    (要件5)原料ポリマーを二本ロールで混練したときのメルトフローレート(MFR、単位:g/10分)と混練比エネルギー(W、単位:kw・hr/kg)が下記式(4)の関係を満たす。
    W<0.178×MFR−0.240   (4)
  3. 請求項2記載のエチレン共重合体の混練体からなる成形体。
  4. フィルムであることを特徴とする請求項3記載の成形体。
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