JP4636655B2 - オレフィン重合用触媒およびそれを用いたオレフィン重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はオレフィン重合用触媒およびオレフィン重合体の製造方法に関し、更に詳しくは、フィルムにした際に優れた透明性を持ち、さらに腰と強度の機械的物性、熱安定性および光安定性、耐ブロッキング性に優れたオレフィン重合体を、工業的に安定して製造可能な、オレフィン重合用触媒ならびに該触媒を用いたオレフィン重合体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エチレンとα−オレフィンとの共重合体は、従来から主にチーグラ−ナッタ系触媒により重合され、それをインフレーションフィルム成形して得られるフィルムは引張強度および衝撃強度等の機械的特性に優れているために、袋用途を中心に様々な用途に大量に使用されている。
【0003】
しかし、このエチレンとα−オレフィンとの共重合体を単独でインフレーション成形して得られるフィルムは、透明性に欠けるという問題点がある。そこで、透明性が要求される分野では、透明性の改良効果が高い高圧法で製造されたポリエチレン(HPLD)を混合することで透明性を確保してきたが、この場合、樹脂組成物の製造コストが高くなり、また、物性面では強度が低下するだけでなく、透明性の向上に伴い耐ブロッキング性が悪化するなどの問題がある。
【0004】
一方、メタロセン触媒により重合されたエチレン−α−オレフィン共重合体は、チーグラナッタ系触媒に比べて、密度が0.910以下の低密度領域では透明性に優れているが、密度の増加と共に透明性は悪化し、一般の包装用フィルムとしてよく用いられる密度0.910以上のものは、十分な透明性が得られず、透明性が要求される分野ではラジカル重合で得られるポリエチレン(HPLD)をブレンドする必要が生じる問題がある。
【0005】
更に、特開平10−168130号公報では、貯蔵弾性率、および、損失弾性率が特定の範囲にあることで透明性が改良されることが示されているが、それでも透明性が要求される分野に対して十分な性能であるとは言い難い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、フィルムにした際に非常に優れた透明性を持ち、さらに腰と強度の機械的物性、熱安定性および光安定性、耐ブロッキング性に優れたオレフィン重合体を、工業的に安定して製造可能な、オレフィン重合用触媒ならびに該触媒を用いたオレフィン重合体の製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる目的を達成するため鋭意検討を行った結果、[A]メタロセン錯体と、[B]周期律表4族原子を特定量含有し、特定の特性を有し、かつ[A]成分を活性化する機能を有する固体微粒子とからなるオレフィン重合用触媒が上記問題を解決することを見出した。
【0008】
より詳細には、上記触媒を使用することにより、オレフィン重合体中の透明性を改善させる成分と他の成分のバランスを、従来には不可能であった領域まで向上させ、フィルムにした際に非常に優れた透明性を持ち、さらに腰と強度の機械的物性、耐ブロッキング性に優れたオレフィン重合体を工業的に安定して製造可能とするのに有効な触媒と成り得ることを見出した。本発明者らはさらに、該触媒を用いたオレフィン重合体の製造方法を見出し、本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明は、下記の成分[A]、成分[B]からなるオレフィン重合用触媒を提供するものである。
【0010】
成分[A]:共役五員環配位子を少なくとも1個有する4価のチタン、ジルコニウムまたはハフニウムの遷移金属化合物、
成分[B]:下記(b−1)〜(b−4)から選ばれた一種以上を含有し、下記条件(イ)及び(ロ)を充足する固体成分、
(b−1)アルミニウムオキシ化合物が担持された微粒子状担体
(b−2)成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸が担持された微粒子状担体
(b−3)微粒子状固体酸
(b−4)層状ケイ酸塩からなる群から選ばれる固体微粒子
条件(イ):周期律表4族原子を固体成分に対して0.3重量%以上3.0重量%以下含有すること、
条件(ロ):水銀圧入法で測定される細孔半径が100〜1,000オングストロームの細孔容積が0.3mL/g以下で、かつ、細孔半径1,000〜10,000オングストロームの細孔容積が0.2mL/g以下であること。
【0011】
また、本発明は、上記触媒において成分[B]が、層状ケイ酸塩であるオレフィン重合用触媒、あるいは、成分[B]が、下記(b−4)、(b−5)および必要に応じて使用する(b−6)を接触させて得られる化合物からなるオレフィン重合用触媒を提供するものである。
【0012】
(b−4)層状ケイ酸塩
(b−5)次の(a)および(b)からなる化合物、
(a)周期律表第4族遷移金属原子から選ばれた少なくとも1種の原子の陽イオン(b)ハロゲン原子、無機酸および有機酸からなる化合物群から選ばれる化合物の陰イオン
(b−6)無機酸あるいは有機酸
さらに本発明は、含有するアルミニウム原子とマグネシウム原子のモル比(Al/Mg)が7.0以下の層状ケイ酸塩から構成された成分[B]を用いてなる上記オレフィン重合用触媒、含有するアルミニウム原子とマグネシウム原子のモル比(Al/Mg)が4.5〜6.5のスメクタイトから構成された成分[B]を用いてなる上記オレフィン重合用触媒、[C]成分として、更に有機アルミニウム化合物を含有する上記オレフィン重合用触媒、上記のオレフィン重合用触媒の存在下、オレフィンを単独重合または共重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法、オレフィン重合体が、Mc値1%以上のものであることを特徴とする上記製造方法、並びにオレフィン重合体が、Mc値5.69%以上のものであることを特徴とする上記製造方法を提供するものである。
【0013】
【発明の実施形態】
以下、本発明の共重合体を得るための方法を詳細に説明する。なお本発明の原子の周期律は1989年にIUPACにより推奨された18族方式に基づくものである。
【0014】
成分[A]:遷移金属化合物
本発明の触媒に用いられる[A]成分は、共役五員環構造配位子を少なくとも1個有する周期律表4族の遷移金属化合物である
【0015】
かかる遷移金属化合物として好ましいものは、特開平11−310612にあるような、下記一般式[1]、[2]、[3]もしくは[4]で表される化合物である。
【0016】
【化1】
【0017】
[ここで、AおよびA’は共役五員環構造を有する配位子(同一化合物内においてAおよびA’は同一でも異なっていてもよい)を、Qは2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を、ZはMと結合している窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子またはイオウ原子を含む配位子、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基を、Q’は共役五員環配位子の任意の位置とZを架橋する結合性基を、Mは周期律表4族から選ばれる金属原子を、そしてXおよびYはMと結合した水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、リン含有炭化水素基またはケイ素含有炭化水素基を、それぞれ示す。]
AおよびA’は共役五員環配位子であり、これらは同一化合物内において同一でも異なっていてもよいことは前記した通りである。この共役五員環配位子(AおよびA’)の典型例としては、共役炭素五員環配位子、すなわちシクロペンタジエニル基を挙げることができる。このシクロペンタジエニル基は水素原子を5個有するもの[C5H5]であってもよく、また、その誘導体、すなわちその水素原子のいくつかが置換基で置換されているもの、であってもよい。この置換基の一つの具体例は、炭素数1〜20、好ましくは1〜12、の炭化水素基であるが、この炭化水素基は一価の基としてシクロペンタジエニル基と結合していても、またこれが複数存在するときにそのうちの2個がそれぞれ他端(ω−端)で結合してシクロペンタジエニル基の一部とともに環を形成していてもよい。後者の代表例としてインデニル基、フルオレニル基、アズレニル基等が挙げられる。
【0018】
QおよびQ’の例示として、メチレン基、エチレン基、シリレン基、ジメチルシリレン基等が挙げられる。
【0019】
Mは、周期律表4族から選ばれる金属原子、具体的にはチタン、ジルコニウムおよびハフニウムである。特に好ましくはハフニウムである。
【0020】
Zの例示として、t−ブチルアミド、フェニルアミド、シクロヘキシルアミド等のアミド化合物が挙げられる。
【0021】
XおよびYは、各々水素、ハロゲン基、炭素数1〜20、好ましくは1〜10の炭化水素基、炭素数1〜20、好ましくは1〜10のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜20、好ましくは1〜12のリン含有炭化水素基(具体的には、例えばジフェニルホスフィン基)、あるいは炭素数1〜20、好ましくは1〜12のケイ素含有炭化水素基(具体的には、例えばトリメチルシリル基、ビス(トリメチルシリル)メチル基)である。XとYとは同一であっても異なってもよい。
これらのうちハロゲン基、炭化水素基(特に炭素数1〜8のもの)およびアミノ基が好ましい。
【0022】
従って、本発明によるオレフィン重合用触媒において、成分[A]として好ましい一般式[1]、[2]、[3]あるいは[4]で表される化合物のうち、特に好ましいものは下記内容のそれぞれの置換基を有するものである。
【0023】
A、A’=シクロペンタジエニル、n−ブチル−シクロペンタジエニル、ジメチル−シクロペンタジエニル、ジエチル−シクロペンタジエニル、エチル−n−ブチル−シクロペンタジエニル、エチル−メチル−シクロペンタジエニル、n−ブチル−メチル−シクロペンタジエニル、インデニル、2−メチル−インデニル、2−メチル−4−フェニルインデニル、テトラヒドロインデニル、2−メチル−テトラヒドロインデニル、2−メチル−ベンゾインデニル、
Q、Q’=エチレン、ジメチルシリレン、イソプロピリデン、
Z=t−ブチルアミド、フェニルアミド、シクロヘキシルアミド、
M=4族遷移金属
X、Y=塩素、メチル、ジエチルアミノ。
【0024】
本発明において、成分[A]は、同一の一般式で表される化合物群内において、および(または)異なる一般式で表される化合物間において二種以上の化合物の混合物として用いることができる。
【0025】
Mがジルコニウムである場合のこの遷移金属化合物の具体例は、特開平11−310612記載の化合物を全て例示することができるが、下記の通りである。
【0026】
(イ)一般式[1]で表される化合物、すなわち結合性基Qを有せず共役五員環配位子を2個有する遷移金属化合物、例えば
(1)ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(2)ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(3)ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(4)ビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(5)ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(6)ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(7)ビス(i−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(8)ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(9)ビス(n−ブチル−メチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(10)(シクロペンタジエニル)(エチル−メチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(11)(n−ブチルシクロペンタジエニル)(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
(12)ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(13)ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド
(14)ビス(2−メチルテトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド
(15)ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(16)ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムモノクロリド、
(17)ビス(シクロペンタジエニル)フェニルジルコニウムモノクロリド、
(18)ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
(19)(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(20)(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(21)(シクロペンタジエニル)(アズレニル)ジルコニウムジクロリド等、
(ロ)一般式[2]で表される化合物、すなわち結合性基Q、例えば(ロ−1)Q=アルキレン基のものとして、例えば、
(1)メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(2)エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(3)エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(4)エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(5)エチレンビス(2,4−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(6)エチレン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(7)エチレン(2−メチル−4−tertブチルシクロペンタジエニル)(3’−tertブチル−5’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(8)エチレン(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2’,4’,5’−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(9)エチレン−1,2−ビス(4−インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(10)エチレン1,2−ビス[4−(2,7−ジメチルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、
(11)エチレン1,2−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(12)イソプロピリデンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(13)イソプロピリデン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(14)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(15)イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(16)イソプロピリデン(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(17)ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(18)シクロヘキシリデン(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
(19)ジクロロ{1,1’−ジメチルメチレンビス[2−メチル−4−(4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ジルコニウム、
(20)ジクロロ{1,1’−トリメチレンビス[2−メチル−4−(4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ジルコニウム等、
(ロ−2)Q=シリレン基のものとして、例えば、
(1)ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(2)ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(3)ジメチルシリレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(4)ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(5)ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(6)ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(7)ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,4−ジメチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−4−シラインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(8)ジメチルシリレンビス[4−(2−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、
(9)ジメチルシリレンビス[4−(2−tertブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(10)ジメチルシリレンビス[4−(2−フェニル−3−メチルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、
(11)フェニルメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(12)フェニルメチルシリレン(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2’,4’,5’−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(13)ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(14)テトラメチルジシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(15)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(16)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(17)ジメチルシリレン(3−tertブチル−シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(18)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(19)ジメチルシリレン(ジエチルシクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(20)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル]ジルコニウムジクロリド、
(21)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス[2−i−プロピル−4−(4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ジルコニウム、
(22)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス[2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ジルコニウム、
(23)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス[2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ジルコニウム、
(24)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス[2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル]}ジルコニウム、
(25)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス[2−メチル−4−(2’,6’−ジメチル−4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ジルコニウム、
(26)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス[2−メチル−4−(1−ナフチル)−4H−アズレニル]}ジルコニウム、
(27)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス[2−i−プロピル−4−(1−ナフチル)−4H−アズレニル]}ジルコニウム、
(28)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス[2−エチル−4−(2−ナフチル)−4H−アズレニル]}ジルコニウム、
(29)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス[2−i−プロピル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4H−アズレニル]}ジルコニウム、
(30)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス[2−エチル−4−(9−アントリル)−4H−アズレニル]}ジルコニウム、
(31)ジクロロ{ジメチルシリレン−1−[2−メチル−4−(4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]−1−[2−メチル−4−(4−ビフェニリル)インデニル]}ジルコニウム、
(32)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス[2−メチル−4−(4−ビフェニリル)−4H−5,6,7,8−テトラヒドロアズレニル]−1−[2−メチル−4−(4−ビフェニリル)インデニル]}ジルコニウム等、
(ロ−3)Q=ゲルマニウム、リン、窒素、ホウ素あるいはアルミニウムを含む炭化水素基のものとして、例えば、
(1)ジメチルゲルマニウムビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(2)ジメチルゲルマニウム(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(3)メチルアルミニウムビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(4)フェニルアルミニウムビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(5)フェニルホスフィノビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(6)エチルホラノビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(7)フェニルアミノビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(8)フェニルアミノ(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド
(9)ジクロロ{1,1’−ジメチルゲルミレン[2−メチル−4−(4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ジルコニウム、等。
【0027】
(ハ)一般式[3]で表される化合物、すなわち結合性基Q’を有せず共役五員環配位子を1個有する遷移金属化合物、例えば、
(1)ペンタメチルシクロペンタジエニル−ビス(フェニル)アミノジルコニウムジクロリド、
(2)インデニル−ビス(フェニル)アミドジルコニウムジクロリド、
(3)ペンタメチルシクロペンタジエニル−ビス(トリメチルシリル)アミノジルコニウムジクロリド、
(4)ペンタメチルシクロペンタジエニルフェノキシジルコニウムジクロリド、
(5)シクロペンタジエニルジルコニウムトリクロリド、
(6)ペンタメチルシクロペンタジエニルジルコニウムトリクロリド、
(7)シクロペンタジエニルジルコニウムベンジルジクロリド、
(8)シクロペンタジエニルジルコニウムジクロロハイドライド、
(9)シクロペンタジエニルジルコニウムトリエトキシド、等。
【0028】
(ニ)一般式[4]で表される化合物、すなわち結合性基Q’で架橋した共役五員環配位子を一個有する遷移金属化合物、例えば、
(1)ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)フェニルアミドジルコニウムジクロリド、
(2)ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)tertブチルアミドジルコニウムジクロリド、
(3)ジメチルシリレン(インデニル)シクロヘキシルアミドジルコニウムジクロリド、
(4)ジメチルシリレン(テトラヒドロインデニル)デシルアミドジルコニウムジクロリド、
(5)ジメチルシリレン(テトラヒドロインデニル)((トリメチルシリル)アミノ)ジルコニウムジクロリド、
(6)ジメチルゲルマン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(フェニル)アミノジルコニウムジクロリド等、が例示される。
【0029】
(ホ)また、上記(イ)〜(ニ)の化合物の「ジクロリド」部分の塩素原子の一方または両方が水素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチル基、フェニル基、ジエチルアミド基、メトキシ基等に置き換わった化合物も用いられる。
【0030】
更に、本発明では、成分[A]として上記(イ)〜(ホ)に例示したジルコニウム化合物の中心金属をジルコニウムからチタン、ハフニウムに換えた化合物も用いることができる。成分[A]としてハフニウム化合物を用いた場合、該触媒を用いて製造されるオレフィン重合体の末端ビニル基、末端ビニリデン基等の不飽和結合の総含量が少なくなり、成形加工時及び成形体としての熱および光安定性が優れる結果となるので特に好ましい。
【0031】
なお、上記例示において、シクロペンタジエニル環の二置換体は1,2−および1,3−置換体を含み、三置換体は1,2,3−および1,2,4−置換体を含む。一般式[1]で表される化合物の二置換体の中では1,3−置換体を用いた場合、上述のハフニウム化合物を用いた場合と同様、該触媒を用いて製造されるオレフィン重合体の不飽和結合の総含量が少なくなるので好ましい。
【0032】
なお、これらのメタロセン系遷移金属化合物に不斉炭素が生じる場合には、特に記載が無い場合、立体異性体の1つまたはその混合物(ラセミ体を含む)を示す。
【0033】
成分[B]:微粒子状固体成分
本発明の効果を発現するためには、成分[B]が以下の条件(イ)および(ロ)を満たすことが必要である。なお、水銀圧入法による細孔分布の測定は、島津製作所製マイクロメトリックス オートポア−9310型を使用して常法に従って行った。また、Ti、Zr、Hf、Al、Mgの各元素含有量は触媒成分として使用される状態の試料を、アルカリ融解処理および硝酸溶解処理を行ってICP分析(誘導結合高周波プラズマ発光分光分析法、ICP装置機種名:JOBIN YVON製 JY138 ULTRACE型)により測定した。
【0034】
条件(イ):周期律表4族原子を、固体成分に対して0.3重量%以上含有し、
条件(ロ):水銀圧入法で測定される細孔半径100〜1,000オングストロームの細孔容積が0.3mL/g以下であり、かつ細孔半径1,000〜10,000オングストロームの細孔容積が0.2mL/g以下であること、
条件(イ)について:
周期律表4族原子の含有形態は特に問わない。例えばイオンの形で含有されていたり、塩の形で含有されていてもよい。具体的には、次のような形態が挙げられる。
【0035】
▲1▼微粒子状担体の構成元素と置換された状態で含有されている。▲2▼微粒子状担体が金属酸化物の場合、裸の陽イオンとしてあるいは水酸化イオン等の錯イオン、多核錯イオンとして、担体上に存在する水酸基、酸素アニオン、酸素原子、アミノ基、イミノ基、窒素原子等との間にイオン結合、配位結合または共有結合を介して固定された状態で含有されている。▲3▼ハロゲン化物、硫酸塩等の金属塩や酸化物あるいは該4族金属原子を含む2種以上の金属化合物の共晶等の状態で含有されている。微粒子状担体が有機担体の場合も同様である。
【0036】
これらの含有状態をとることにより、該周期律表4族原子が、担体の表面上または細孔表面上に露出しており、かつ高度に均一に分散した状態が得られ、反応に寄与できる該4族金属原子の効率が上がると考えられる。また、別の効果として製品中のコモノマー組成分布が不均一となるような反応を防止することによって、フィルム外観の悪化を抑制することが可能になると考えられる。
【0037】
該周期律表4族原子が高度に均一に分散した状態を得るための好ましい含有状態は、上記▲1▼または▲2▼の形態であるが、形態▲3▼についてもその分散状態が好ましいものであれば、特に制限はされない。
【0038】
これらの含有形態は、工業的に既に実施されているような、いわゆる沈殿法あるいは浸漬法によって条件(イ)、(ロ)を満たすように形成することが可能である。沈殿法とは、成分元素を含む塩の混合溶液に適当な沈殿剤を加えて沈殿を形成させ、濾別、乾燥する方法であり、担体成分については、活性成分と同時に共沈させる場合と、予め調製された担体粉末を溶液中に懸濁させておく場合がある。浸漬法には、成形担体を活性成分を含む多量の溶液に浸漬して一定時間後に担体を取り出して乾燥する吸着法、担体の細孔容積と同容積の溶液を細孔内に浸み込ませる細孔充填法、担体を絶えず乾燥状態に保ち活性成分液を噴霧する噴霧法、がある。
【0039】
微粒子担体中の周期律表4族原子の含量は0.3重量%以上、好ましくは0.4重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上である。またその上限については、得られる製品の品質を損なわない限り特に重要ではないが、一般的には10重量%以下、好ましくは5.0重量%以下、より好ましくは3.0重量%以下である。
【0040】
オレフィン重合体を成形してなるフィルムの透明性を考える場合、長時間緩和成分は結晶構造の成長を抑制し、結晶サイズを微細化する働きがあり、改良効果を示す。そして、緩和時間が長いほど、重量分率が高いほど、透明性は改良されると考えられる。周期律表4族原子の含量が上記範囲より小さい場合、長時間緩和成分として製品ポリマー中に導入される分子量の非常に高い重合体成分の効果が小さく、透明性は改善されない。また、周期律表4族原子の含量が大き過ぎると、長時間緩和成分の効果が大き過ぎて溶融弾性が強く押出ヘイズが大きくなったり、低結晶成分の増加により透明性が悪化したり、ゲル、ブツまたはフィッシュアイが増加したりして成形体の外観が悪くなる等、好ましくない現象が起こる場合がある。
【0041】
条件(ロ)について:
成分[B]の水銀圧入法で測定される細孔半径100〜1,000オングストロームの細孔容積は、0.30mL/g以下、好ましくは0.20mL/g以下、より好ましくは0.15mL/g以下である。また細孔半径1,000〜10,000オングストロームの細孔容積は、0.2mL/g以下好ましくは0.12mL/g以下、より好ましくは0.10mL/g以下である。また、0.01mL/g以上であることが望ましい。
【0042】
細孔容積がこの範囲にないと、上述の4族原子の含有形態が不均一となり、上述の高分子量重合体成分を製品ポリマー中に均一に分散した状態で導入することができず、ゲル、ブツまたはフィッシュアイが増加したり、さらには製品中のコモノマー組成分布が不均一となるような反応による低結晶成分の増加によって透明性が悪化したりする。
【0043】
また、成分[B]は、水銀圧入法で測定した細孔半径40〜10,000オングストロームの範囲での最頻細孔半径が400オングストローム未満、好ましくは200オングストローム未満、更に好ましくは100オングストローム未満であることも望ましい特性の一つである。
【0044】
次に、[B]成分である各化合物について説明する。
【0045】
(b−1)アルミニウムオキシ化合物が担持された微粒子状担体:
まず、アルミニウムオキシ化合物について説明する(微粒子状担体については後述)。
【0046】
上記のアルミニウムオキシ化合物としては、具体的には次の一般式(5)、(6)又は(7)で表される化合物が挙げられる。
【0047】
【化2】
【0048】
上記の各一般式中、R3は、水素原子または炭化水素残基、好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6の炭化水素残基を示す。また、複数のR3はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。また、pは0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。
【0049】
一般式(5)及び(6)で表される化合物は、アルモキサンとも呼ばれる化合物であって、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと水との反応により得られる。具体的には、(a)一種類のトリアルキルアルミニウムと水から得られる、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、プロピルアルモキサン、ブチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、(b)二種類のトリアルキルアルミニウムと水から得られる、メチルエチルアルモキサン、メチルブチルアルモキサン、メチルイソブチルアルモキサン等が例示される。これらの中では、メチルアルモキサン又はメチルイソブチルアルモキサンが好ましい。
【0050】
上記のアルモキサンは、各群内および各群間で複数種併用することも可能である。そして、上記のアルモキサンは、公知の様々な条件下に調製することができる。具体的には以下の様な方法が例示できる。
(a)トルエン、ベンゼン、エーテル等の適当な有機溶剤の存在下、トリアルキルアルミニウムを直接水と反応させる方法。
(b)トリアルキルアルミニウムと結晶水を有する塩水和物、例えば、硫酸銅、硫酸アルミニウムの水和物とを反応させる方法。
(c)トリアルキルアルミニウムとシリカゲル等に含浸させた水分とを反応させる方法。
(d)トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムとを混合した後、トルエン、ベンゼン、エーテル等の適当な有機溶剤の存在下、直接水と反応させる方法。
(e)トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムとの混合物と結晶水を有する塩水和物、例えば、硫酸銅、硫酸アルミニウムとの水和物とを加熱反応させる方法。
(f)シリカゲル等に水分を含浸させ、トリイソブチルアルミニウムで処理した後、トリメチルアルミニウムで追加処理する方法。
(g)メチルアルモキサン及びイソブチルアルモキサンを公知の方法で合成し、これら二成分を所定量混合して加熱反応させる方法。
(h)ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素溶媒中に硫酸銅5水塩などの結晶水を有する塩とトリメチルアルミニウムとを添加して約−40〜40℃の温度条件下に反応させる方法。
【0051】
反応に使用する水の量は、トリメチルアルミニウムに対するモル比で通常0.5〜1.5である。上記の方法で得られたメチルアルモキサンは、線状または環状の有機アルミニウムの重合体である。
【0052】
一般式(7)で表される化合物は、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと次の一般式(8)で表されるアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることができる。一般式(8)中、R4は、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素残基またはハロゲン化炭化水素基を示す。
【0053】
R4B(OH)2 (8)
具体的には以下の様な反応生成物が例示できる。
(a)トリメチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:1の反応物
(b)トリイソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:1反応物
(c)トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の1:1:1反応物
(d)トリメチルアルミニウムとエチルボロン酸の2:1反応物
(e)トリエチルアルミニウムとブチルボロン酸の2:1反応物
(b−2)成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸が担持された微粒子担体:
まず、成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物およびルイス酸について説明する。微粒子担体は後述する。なお、上記のルイス酸のある種のものは、成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物として把握することもできる。従って、上記のルイス酸およびイオン性化合物の両者に属する化合物は、何れか一方に属するものとする。
【0054】
成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物としては、一般式(9)で表される化合物が挙げられる。
【0055】
〔K〕e+〔Z〕e- (9)
一般式(9)中、Kはカチオン成分であって、例えば、カルボニウムカチオン、トロピリウムカチオン、アンモニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ホスフォニウムカチオン等が挙げられる。また、それ自身が還元され易い金属の陽イオンや有機金属の陽イオン等も挙げられる。
【0056】
上記のカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウム、ジフェニルカルボニウム、シクロヘプタトリエニウム、インデニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、ジプロピルアンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、トリフェニルホスホニウム、トリメチルホスホニウム、トリス(ジメチルフェニル)ホスホニウム、トリス(メチルフェニル)ホスホニウム、トリフェニルスルホニウム、トリフェニルオキソニウム、トリエチルオキソニウム、ピリリウム、銀イオン、金イオン、白金イオン、銅イオン、パラジウムイオン、水銀イオン、フェロセニウムイオン等が挙げられる。
【0057】
上記の一般式(9)中、Zは、アニオン成分であり、成分(A)が変換されたカチオン種に対して対アニオンとなる成分(一般には非配位の成分)である。Zとしては、例えば、有機ホウ素化合物アニオン、有機アルミニウム化合物アニオン、有機ガリウム化合物アニオン、有機リン化合物アニオン、有機ヒ素化合物アニオン、有機アンチモン化合物アニオン等が挙げられ、具体的には次のアニオンが挙げられる。
(a)テトラフェニルホウ素、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ホウ素、テトラキス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}ホウ素、テトラキス{3,5−ジ(t−ブチル)フェニル}ホウ素、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素など
(b)テトラフェニルアルミニウム、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)アルミニウム、テトラキス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}アルミニウム、テトラキス(3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)アルミニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム等
(c)テトラフェニルガリウム、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ガリウム、テトラキス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}ガリウム、テトラキス{3,5−ジ(t−ブチル)フェニル}ガリウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウム等
(d)テトラフェニルリン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)リン等
(e)テトラフェニルヒ素、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ヒ素など
(f)テトラフェニルアンチモン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)アンチモン等(g)デカボレート、ウンデカボレート、カルバドデカボレート、デカクロロデカボレート等
また、ルイス酸、特に成分(A)をカチオンに変換可能なルイス酸としては、種々の有機ホウ素化合物、金属ハロゲン化合物などが例示され、その具体的例としては次の化合物が挙げられる。
(a)トリフェニルホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等の有機ホウ素化合物
(b)塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化臭化マグネシウム、塩化ヨウ化マグネシウム、臭化ヨウ化マグネシウム、塩化マグネシウムハイドライド、塩化マグネシウムハイドロオキシド、臭化マグネシウムハイドロオキシド、塩化マグネシウムアルコキシド、臭化マグネシウムアルコキシド等の金属ハロゲン化合物
(b−3)微粒子状固体酸
固体酸としては、アルミナ、シリカ−アルミナ等の固体酸が挙げられる。
【0058】
ここで、前述した(b−1)および(b−2)における微粒子状担体について説明する。
【0059】
本発明の微粒子状担体は、前述の条件(イ)および(ロ)を満たせば、その元素組成、化合物組成についてはとくに限定されない。例えば、無機または有機の化合物から成る微粒子状担体として、以下の化合物が挙げられる。例えば、無機担体としては、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、各種ゼオライト、マグネシア等の典型金属酸化物、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム等の典型金属ハロゲン化物、酸化銅、酸化亜鉛、酸化鉄、塩化鉄等の遷移金属化合物、活性炭、珪藻土、ケイ酸塩を除くイオン交換性層状化合物、無機ケイ酸塩等が挙げられる。あるいは、これらの混合物であってもよい。
【0060】
有機担体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜14のα−オレフィンの重合体、スチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族不飽和炭化水素の重合体などからなる多孔質ポリマーの微粒子担体が挙げられる。あるいはこれらの混合物であってもよい。
【0061】
これらの微粒子担体は、通常1μm〜5mm、好ましくは5μm〜1mm、更に好ましくは10μm〜200μmの平均粒径を有する。
【0062】
なお、ここで条件(イ)および(ロ)を測定する時期は、アルミニウムオキシ化合物あるいは、成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸が担持された後の微粒子状担体について行う。
【0063】
(b−4)層状ケイ酸塩
層状ケイ酸塩とは、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとるケイ酸塩化合物を言う。本発明では、層状ケイ酸塩は、イオン交換性であることが好ましい。ここでイオン交換性とは、層状ケイ酸塩の層間陽イオンが交換可能なことを意味する。また「層状」というのは層構造を有することを意味する。
【0064】
大部分の層状ケイ酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出するが、これら、層状ケイ酸塩は特に天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。層状ケイ酸塩の具体例としては、例えば、白水晴雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載される公知の層状ケイ酸塩であって、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト、メタハロイサイト、ハロイサイト等のカオリン族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、テニオライト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群が挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。
【0065】
これらの中では、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライト等のスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族が好ましい。
【0066】
スメクタイト族の代表的なものとしては、一般にはモンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ノントライト、ヘクトライト、ソーコナイト等である。「ベンクレイSL」(水澤化学工業社製)、「スメクトン」(クニミネ工業社製)、「モンモリロナイトK10」(アルドリッチ社製、ジュートヘミー社製)、「K−Catalystsシリーズ」(ジュートヘミー社製)等の市販品を利用することもできる。
【0067】
雲母族の代表的なものとしては、白雲母、パラゴナイト、金雲母、黒雲母、レピドライト等がある。市販品の「合成雲母ソマシフ」(コープケミカル社製)、「フッ素金雲母」、「フッ素四ケイ素雲母」、「テニオライト」(いずれもトピー工業社製)等の市販品を利用することも出来る。
【0068】
本発明では、[B]成分が層状ケイ酸塩(成分b−4)である場合においても、前述の条件(イ)および(ロ)を満たすことが必要である。さらに、条件(イ)に加えて、該ケイ酸塩中のAl原子とMg原子のモル比(Al/Mg比)が7.0以下であることが好ましい。Al/Mg比がこの範囲より大きい場合、長時間緩和成分の導入と低結晶成分の削減がなされず高度に透明性に優れたオレフィン重合体が得られない。より好ましいAl/Mg比の範囲は、4.5〜6.5である。また特に好ましい成分[B]はAl/Mg比が4.5〜6.5の間にあるスメクタイトである。
【0069】
これらのケイ酸塩は化学処理を施したものであることが好ましい。この場合、前述の条件(イ)および(ロ)の測定は、ケイ酸塩を化学処理した後に実施する。
【0070】
ここで化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と層状ケイ酸塩の結晶構造、化学組成に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。具体的には、(イ)酸処理、(ロ)アルカリ処理、(ハ)塩類処理、(ニ)有機物処理等が挙げられる。これらの処理は、表面の不純物を取り除く、層間の陽イオンを交換する、結晶構造中のAl、Fe、Mg等の陽イオンを溶出させ、その結果、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体等を形成し、表面積や層間距離、固体酸性度等を変えることができる。これらの処理は単独で行ってもよいし、2つ以上の処理を組み合わせてもよい。
【0071】
化学処理に用いられる(イ)酸としては、合目的的な無機酸あるいは有機酸、好ましくは例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸等があげられ、(ロ)アルカリとしては、NaOH、KOH、NH3等があげられる。(ハ)塩類としては、2族から14族原子からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子を含む陽イオンと、ハロゲン原子または無機酸もしくは有機酸由来の陰イオンからなる群より選ばれた少なくとも1種の陰イオン、とからなる化合物が好ましい。(ニ)有機物としては、アルコール(炭素数1〜4の脂肪族アルコール、好ましくは例えばメタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、炭素数6〜8の芳香族アルコール、好ましくは例えばフェノール)、高級炭化水素(炭素数5〜10、好ましくは5〜8、のもの、好ましくは例えばヘキサン、ヘプタン等)があげられる。また、ホルムアミド、ヒドラジン、ジメチルスルホキシド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアニリン等が好ましくあげられる。
【0072】
塩類及び酸は、2種以上であってもよい。塩類処理と酸処理を組み合わせる場合においては、塩類処理を行った後、酸処理を行う方法、酸処理を行った後、塩類処理を行う方法、及び塩類処理と酸処理を同時に行う方法がある。
【0073】
塩類及び酸による処理条件は、特には制限されないが、通常、塩類および酸濃度は、0.1〜50重量%、処理温度は室温〜沸点、処理時間は、5分〜24時間の条件を選択して、層状ケイ酸塩を構成している物質の少なくとも一部を溶出する条件で行うことが好ましい。また、塩類及び酸は、トルエン、n−ヘプタン、エタノール等の有機溶媒中、または塩類、酸が処理温度において液体状であれば、無溶媒で用いることもできるが、好ましくは水溶液として用いられる。
【0074】
層状ケイ酸塩(成分b−4)は、上記条件(イ)(ロ)を満たすように、周期律表4族遷移金属原子から選ばれた少なくとも1種の原子の陽イオンと、ハロゲン原子、無機酸および有機酸の陰イオンとからなる化合物によって処理されたものが用いられる。
【0075】
ここで、周期律表4族遷移金属原子から選ばれた少なくとも1種の原子の陽イオンと、ハロゲン原子、無機酸および有機酸の陰イオンとからなる化合物による処理とは、先述の塩類処理と同様の方法によって実施されるものであり、詳細には下記工程[I]〜[III]からなるものである。
【0076】
[工程I]少なくとも、層状ケイ酸塩と該4族遷移金属化合物をスラリー化して反応を行う工程。
【0077】
[工程II]反応後、固体生成物を、洗液のpHが3〜7になるまで水で洗浄する工程。
【0078】
[工程III]洗浄された該4族遷移金属化合物処理固体成分を乾燥する工程。
【0079】
工程Iで用いられる、周期律表4族遷移金属原子から選ばれた少なくとも1種の原子の陽イオンと、ハロゲン原子、無機酸および有機酸の陰イオンとからなる化合物とは、具体的には、TiF4、TiCl4、TiBr4、TiI4、TiOCl2、Ti(SO4)2、TiO(SO4)、Ti(NO3)4、TiO(NO3)2、Ti3(PO4)4、Ti(ClO4)4、Ti(CO3)2、Ti(OCOH)2、Ti(OCOCH3)4、Ti(OCOC2H5)4、Ti(OCOC3H7)4、Ti((COO)2)2、Ti(CH2(COO)2)2、TiBrCl3 、TiF3、TiCl3、TiBr3、TiI3、Ti(NO3)3、Ti(ClO4)3、Zr(OOCCH3)4、Zr(CH3COCHCOCH3)4、Zr(CO3)2、Zr(NO3)4、Zr(SO4)2、ZrF4、ZrCl4、ZrBr4、ZrI4、ZrOCl2、ZrO(NO3)2、ZrO(ClO4)2、ZrO(SO4)、Hf(OOCCH3)4、Hf(CO3)2、Hf(NO3)4、Hf(SO4)2、HfO(SO4)、HfOCl2、HfF4、HfCl4、HfBr4、HfI4、等が挙げられる。
【0080】
これらのうち、好ましいのは、水溶性又は酸性水溶液に可溶性の化合物である。ここで酸性水溶液とは、pH6以下、好ましくはpH3以下の水溶液を意味する。これらの化合物は単独で用いても、二種類以上を同時に、および/または、連続して用いてもよい。また、その効果を妨げないのならば、酸処理、塩処理等先述の化学処理の前、又は後、又は同時に実施することもできる。
【0081】
塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、酢酸、シュウ酸、安息香酸、ステアリン酸、プロピオン酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等の有機酸を新たに追加して、同時に酸処理を行うことは、該4族遷移金属化合物の溶解を促進して層状ケイ酸塩上の該化合物の分散状態に濃度分布が生じるのを防止するので、不均質な活性点の形成を防ぐ上で特に好ましい。
【0082】
工程Iの反応条件は、先述の塩類処理の処理条件と同様の方法によって実施されるものであり、特には制限されない。
【0083】
次に、工程IIでは、前記工程Iで得られた固体生成物を洗液のpHが3〜7になるまで水で洗浄する。洗浄が不十分または過ぎて前記pHの範囲から外れると触媒の活性が低下したり、共重合体の性能が不十分となることがある。洗浄は特に制限はないが、デカンテーション、遠心分離洗浄、濾紙・濾布上での注水等、通常公知の方法で行われる。また、温度も室温〜沸点の間で任意に選択される。こうして洗浄された固体成分は引き続き乾燥工程IIIに供される。
【0084】
本発明に使用する層状ケイ酸塩は通常吸着水および層間水が含まれる。本発明においては、これらの吸着水および層間水の除去を工程IIIの乾燥で行う。ここで吸着水とは層状ケイ酸塩の表面あるいは結晶破面に吸着された水で、層間水は結晶の層間に存在する水である。
【0085】
通常、層状ケイ酸塩(成分b−4)は加熱処理によりこれらの吸着水及び/又は層間水を除去したものが用いられることになり望ましい。層状ケイ酸塩の吸着水および層間水の加熱処理方法は特に制限されないが、加熱脱水、気体流通下の加熱脱水、減圧下の加熱脱水および有機溶媒との共沸脱水等の方法が用いられる。
【0086】
具体的な乾燥方法としては、密閉容器に充填し減圧加熱脱水する方法、あるいは、一般的に工業的に用いられる回分式あるいは連続式のいわゆるロータリー・キルンを使用して加熱下、乾燥窒素等を流通させて乾燥する方法等を挙げることができる。
【0087】
加熱の際の温度は、層間水が残存しないように、50℃以上、好ましくは100℃以上、特に好ましくは150℃以上であるが、構造破壊を生じるような高温条件(例えば800℃以上)は好ましくない。好ましくは400℃未満、更に好ましくは300℃未満である。
【0088】
加熱時間は、乾燥しようとする層状ケイ酸塩の量、加熱前の水分含量、乾燥機の脱水能力等によっても異なるが、通常、0.5分以上、好ましくは1分以上、特に好ましくは3分以上である。その際、除去した後の成分(b−4)の水分含有率が、温度200℃、圧力1mmHgの条件下で2時間脱水した場合の水分含有率を0重量%とした時、3重量%以下、好ましくは1重量%以下であることが必要である。
【0089】
工業的に好ましい乾燥の実施形態としては、工程IIで得られた溶媒(主には水分)含量の多い層状ケイ酸塩を温度50〜150℃の間で水分含量5%程度以下まで予備的に乾燥を行う予備乾燥工程、次に、予備乾燥された層状ケイ酸塩を、窒素等の不活性ガス流通下、あるいは減圧で加熱処理を行って、所定の水分含有率まで乾燥する本乾燥工程を経るというものである。予備乾燥工程で、層状ケイ酸塩の凝集塊が生成した場合は、所定の粒径までほぐして粒子状とした後、この粒子状層状ケイ酸塩を本乾燥工程に処するのが好ましい。
【0090】
本発明の層状ケイ酸塩(成分b−4)は、以上の条件を満たす限りにおいては、上記工程[I]〜[III]、更には他の化学処理を行う場合にはその処理工程も含めて、これら全ての工程の前、間、後のいずれの時点においても、粉砕、造粒、分粒、分別等によって粒子性状を制御することができる。その方法は合目的的な任意のものでありうる。特に造粒法について示せば、例えば噴霧造粒法、転動造粒法、圧縮造粒法、撹拌造粒法、ブリケッティング法、コンパクティング法、押出造粒法、流動層造粒法、乳化造粒法および液中造粒法等が挙げられる。特に好ましい造粒法は、上記の内、噴霧造粒法、転動造粒法および圧縮造粒法である。
なお、成分[B]に周期律表4族原子を含有させる手段としては、微粒子状担体あるいは微粒子状固体酸について層状ケイ酸塩の場合と同様の手段を用いることができる。
上述の成分[B]の中で、特に好ましいものは、(b−4)層状ケイ酸塩である。
【0091】
本発明のα−オレフィン重合用触媒は、微粒子担体以外の任意成分として、例えば、H2O、メタノール、エタノール、ブタノール等の活性水素含有化合物、エーテル、エステル、アミン等の電子供与性化合物、ホウ酸フェニル、ジメチルメトキシアルミニウム、亜リン酸フェニル、テトラエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のアルコキシ含有化合物を含むことができる。
【0092】
また、上記以外の任意成分としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリ低級アルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムセスキクロリド等のハロゲン含有アルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムヒドリド等のアルキルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジメチルアルミニウムブトキシド等のアルコキシ含有アルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムフェノキシド等のアリールオキシ含有アルキルアルミニウム等が挙げられる。
【0093】
本発明のα−オレフィン重合用触媒において、アルミニウムオキシ化合物、成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸は、成分(B)として、それぞれ単独使用される他、これらの3成分を適宜組み合わせて使用することができる。また、上記の低級アルキルアルミニウム、ハロゲン含有アルキルアルミニウム、アルキルアルミニウムヒドリド、アルコキシ含有アルキルアルミニウム、アリールオキシ含有アルキルアルミニウムの1種または2種以上は、任意成分ではあるが、アルミニウムオキシ化合物、イオン性化合物またはルイス酸と併用してα−オレフィン重合用触媒中に含有させるのが好ましい。
【0094】
また、本発明では、上述の成分[A]、[B]に加えて、必要に応じて使用する成分[C]下記の式で表される有機アルミニウム化合物と組み合わせることにより、オレフィン重合用触媒として使用できる。
【0095】
成分[C]:有機アルミニウム化合物
成分[C]として用いられる有機アルミニウム化合物の例としては、
AlR8 jX3-j (10)
(式(10)中、R8 はC1-20の炭化水素基、Xは水素、ハロゲン、アルコキシ基、jは0<j≦3の数)で示されるトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウムまたはジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムメトキシド等のハロゲンもしくはアルコキシ含有アルキルアルミニウムである。またこの他、メチルアルミノキサン等のアルミノキサン等も使用できる。これらのうち特にトリアルキルアルミニウムが好ましい。
【0096】
本発明では、[A]成分、[B]成分及び必要に応じて[C]成分を接触させて触媒とする。[A]成分、[B]成分、必要に応じて[C]成分の接触は特に限定されないが、以下のような接触順序で接触させることができる。
【0097】
▲1▼[A]成分と[B]成分を接触させる。
【0098】
▲2▼[A]成分と[B]成分を接触させた後に[C]成分を添加する。
【0099】
▲3▼[A]成分と[C]成分を接触させた後に[B]成分を添加する。
【0100】
▲4▼[B]成分と[C]成分を接触させた後に[A]成分を添加する。
【0101】
その他、三成分を同時に接触してもよいし、[A]成分と[C]成分の接触生成物に、[B]成分と[C]成分の接触生成物を接触させる方法も採り得る。更には、アルミニウムオキシ化合物や、成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸を、(b−1)や(b−2)の形態に制限されることなく、任意の方法において別途使用することができる。
【0102】
触媒各成分の接触に際し、または接触の後にポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体、シリカ、アルミナ等の無機酸化物の固体を共存させ、あるいは接触させてもよい。
【0103】
接触は窒素等の不活性ガス中、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素溶媒中で行ってもよい。接触温度は、−20℃〜溶媒の沸点の間で行い、特に室温から溶媒の沸点の間で行うのが好ましい。
【0104】
各触媒成分の使用量は、[C]成分1g当たり[A]成分が0.0001〜10mmol、好ましくは0.001〜5mmolである。[B]成分が(b−1)の場合、[A]成分中の遷移金属と[B]成分中のアルミニウムの原子比が1:1〜100,000、好ましくは5〜10,000であり、[B]成分が(b−2)の場合、[A]成分中の遷移金属と(b−2)成分のモル比が通常0.1〜1,000、好ましくは0.5〜100、更に好ましくは1〜50の範囲である。また、[A]成分中の遷移金属と[C]成分中のアルミニウムの原子比は、1:0.01〜1,000,000、好ましくは0.1〜100,000である。
【0105】
重合の前に、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等のオレフィンを予備的に重合し、必要に応じて洗浄したものを触媒として用いることもできる。このエチレン等による予備的な重合は不活性溶媒中、上記各成分の接触下にエチレン等を供し、固体触媒成分1g当たり0.01〜1000g、好ましくは0.1〜100gの重合体が生成するように行うことが望ましい。予備重合温度は−50〜100℃、好ましくは0〜100℃であり、予備重合時間は0.1〜100時間、好ましくは0.1〜20時間である。
【0106】
このようにして得られた固体触媒成分は、洗浄せずにそのまま重合反応に用いてもよく、また洗浄した後に用いてもよい。更に不活性炭化水素等の溶媒中で行われた場合はスラリーのまま使用してもよいし、溶媒を留去乾燥して粉末状にしてから使用してもよい。
【0107】
オレフィンの重合反応は、上記で得られた固体触媒成分を用いて行われるが、必要に応じて有機アルミニウム化合物を用いる。この際、用いられる有機アルミニウム化合物としては、前記[C]成分と同様な化合物が挙げられる。この際に用いられる有機アルミニウム化合物の量は、触媒成分[A]中の遷移金属対有機アルミニウム化合物中のアルミニウムのモル比が1:0〜10000になるように選ばれる。
【0108】
本発明においてオレフィン重合体は、オレフィンの単独重合体のほか、オレフィンの共重合体、オレフィンと他の共重合可能なモノマーとの共重合体を含み、上記のようなオレフィン重合用固体触媒により重合できるオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ビニルシクロアルカン、スチレンあるいはこれらの誘導体等が挙げられる。また、共重合は通常公知のランダム共重合やブロック共重合にも好適に適用できる。
【0109】
重合反応は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、シクロヘキサン等の不活性炭化水素や液化α−オレフィン等の溶媒存在下、あるいは不存在下に行われる。温度は、−50〜250℃であり、圧力は特に制限されないが、好ましくは、常圧〜約2000kgf/cm2の範囲である。また、重合系内に分子量調節剤として水素を存在させてもよい。
【0110】
本発明によるオレフィン重合用触媒の存在下、エチレンを炭素数3〜20のα−オレフィンと共重合することによって、従来には例を見ない非常に優れた透明性を有し、従来のエチレン系樹脂組成物をも上回る透明性を発揮するインフレーション成形フィルムとなるエチレン−α−オレフィン共重合体を製造することができる。十分な透明性を発揮するインフレーション成形フィルムを得るためには、密度が、0.900〜0.955、好ましくは0.910〜0.945g/cm3であり、190[℃]、2.16[kg]加重におけるメルトインデックスMI[g/10min]が、0.01〜100、好ましくは0.1〜10のエチレン−α−オレフィン共重合体を製造することが好ましい。
【0111】
透明性に対して改良成分となる長時間緩和成分をMc値、透明性に対して悪化成分となる低結晶成分をWl値として次のように定義し、透明性に優れるエチレン−α−オレフィン共重合体の特徴を明確化することが可能である。比較例に示した公知の共重合体と比較すると、本発明の触媒系で得られる該共重合体が、長時間緩和成分量と低結晶成分量のバランスに優れていることがわかる。本発明におけるオレフィン重合用触媒を使用すれば、このMc値が1%以上であり、Mc値とWl値の関係が次の式を満たすオレフィン重合体を製造することが可能となり、透明性に優れたインフレーション・フィルムを得ることができる。
【0112】
Mc値:GPC−MALLS測定から得られた結果を散乱角度0°に外挿したRayleigh ratio値を用いたクロマトグラムにおいて、本測定から計算した分子量が100万以上の成分のクロマトグラムの面積分率[%]。
【0113】
Wl値:CFC測定における74[℃]以下の溶出成分割合[%]
なお、密度の測定はJIS K7112に準拠し、メルトインデックス測定時に得られるストランドを100[℃]で1時間熱処理し、さらに室温で1時間放置した後に密度勾配管法で測定したものをいう。
【0114】
MIの測定はJIS K6760に準拠し、190[℃]、2.16[kg]加重で測定したものをいう。
【0115】
GPC−MALLS測定とMc値の定義:
本発明において、透明性改良効果はGPC−MALLS測定から求められるMc値を用いて現される。この値は、(イ)の測定装置、条件、較正により得られるデータを、(ロ)のようにデータ処理することで求められる。
【0116】
(イ)データの測定
[装置]
GPC:Waters社製、150CV(RI検出器を含む)
MALLS:Wyatt社製、DAWN・DSP(フローセル:F2セル)
(データ処理ソフト:Wyatt社製、ASTRA Version4.50)
[条件]
カラム:昭和電工社製、Shodex UT−806M (3本)
溶媒:0.2w/v%BHT(BHT=Butylated Hydroxytoluene)含有、1,2,4−Trichlorobenzene(和光純薬、HPLCグレード)
流量:0.5ml/min(実際には測定試料中のBHTの溶出体積で補正)
測定温度:140℃(注入部、カラム部、検出器(RIおよびDAWN)部)
注入量:0.3mL
試料濃度:2mg/mL
試料調製:試料溶液を140℃に設定した空気浴中で3〜5時間加熱して溶解[較正]
MALLSの各検出器の感度補正の等方散乱物質としてNIST・SRM−1483を用いた。
【0117】
MALLSとRI検出器とのdelay volumeは東ソー(株)製の標準ポリスチレン(F10)を用いて測定した。
【0118】
溶媒の屈折率は1.502、Rayleigh ratioは3.570×10-5をそれぞれ用いた。
【0119】
(ロ)Mc値の算出
このように測定されたデータから得られる、散乱角度を0°に外挿したRayleigh ratio値を用いたクロマトグラムにおいて、分子量が100万以上の成分のクロマトグラムの面積分率Mc(%)は以下の計算により求めた。
【0120】
MALLSの90°散乱のクロマトグラムにおけるピークとして検出されている全領域を計算対象として指定し、データ処理ソフトASTRAを用いて分子量を計算する。ここで、分子量は注入重量とdn/dc(−0.104ml/g)の値を用い、Zimmプロット(1次近似)から求めた。また、GPCにより分離された各溶出成分の散乱角度0°に外挿したRayleigh ratio R(0)iを数式(1)により計算した。
【0121】
R(0)i=KciMi ・・・数式(1)
ここで、ciとMiはASTRAを用いた計算によって得られた溶出成分iの濃度と分子量である。また、Kは数式(2)によって計算される光学定数である。
【0122】
K={4π2×n×dn/dc}/{λ4/NA} ・・・数式(2)
ここで、
π:円周率=3.14、
n:溶媒の測定条件における屈折率=1.502
dn/dc:試料の測定条件における屈折率濃度増分=−0.104[ml/g]
λ:光源の真空中における波長=632.8×10-7[cm]
NA:アボガドロ数=6.022×1023[/mol]
より、K=9.976×10-8[cm2・mol/g2]となる。
【0123】
一方、前述のZimm plotから得られた各溶出成分の分子量と溶出体積の関係線から分子量が100万における溶出体積V(1M)を読みとり、溶出体積とR(0)iとのクロノトグラムにおけるV(1M)以上の高分子量成分の面積分率を計算した。
【0124】
(3)CFC測定とWl値の定義
本発明において透明性を悪化させる成分はCFC測定により得られる74℃までの溶出割合Wl(wt%)として定義される。この値の測定は以下の装置と条件で行った。なお、GPCカラムは、東ソー(株)製の単分散ポリスチレン(A−2500、A−5000、F−1、F−2、F−4、F−10、F−20、F−40、F−80、F−280)を用いて較正した。分子量はこの較正曲線より得られた値を下記の粘度式により補正した。
【0125】
[η]=0.000108×M0.723 (PS) 数式(3)
[η]=0.000392×M0.733 (PE) 数式(4)
また、TREFの測定温度は、0、10、20、30、40、45、49、52、55、58、61、64、67、70、73、76、79、82、85、88、91、94、97、100、102、120、140℃の27区分である。74℃以下に溶出する成分の重量分率は、CFC装置(T−150A)付属のデータ処理機を用いて求めた。
[装置]
CFC:ダイアインスツルメント社製、T−150A
検出器:FOXBORO社製、MIRAN・1A赤外検出器(測定波長:3.42μm、フローセル:KBr製、光路長::1.5mm、スリット:2mm)
[条件]
GPCカラム:昭和電工社製 Shodex UT−806M (3本)
溶媒:ο−Dichlorobenzene(和光純薬製、試薬特級)
流量:1.0mL/min
測定温度:140℃(注入部、カラム部、検出器部)
注入量:0.4mL
試料濃度:3mg/mL
試料調製:試料溶液を140℃に設定した空気浴中で3〜5時間加熱して溶解。
【0126】
測定操作:1℃/分の降温速度で0℃まで冷却することにより、TREFカラムの充填剤に試料をコーティングした。0℃で30分間保持した後、0℃で溶出する成分をGPCカラムに導入して分子量分布を測定した。GPCカラムに導入後、TREFカラムの温度を10℃に上げ、この温度で48分間保持させた後、この温度で溶出した成分をGPCカラムへ導入した。以降、各測定温度での測定はこの操作が繰り返される。
【0127】
<1H−NMRによる不飽和結合の測定方法>
分子鎖中に不飽和結合を多く含むオレフィン重合体は、加熱成形時に架橋や重合体主鎖の切断が起こりやすくなり、流動性低下による加工性の悪化やヤケ等による色づきやゲルの発生といった問題が生じやすかったり、光分解反応による劣化・崩壊を容易に起こすことが知られている(特開平8−34819、同11−343312)。本発明によるオレフィン重合用触媒は、この不飽和結合の含有量が少なく、熱及び光安定性に優れるオレフィン重合体を製造することが可能である。
【0128】
なお、不飽和結合数は、特開平11−310612に記載の1H−NMR法によって測定した。
【0129】
各不飽和結合種の含有数の定量は、下記の帰属に従って対応するピークの面積と、飽和アルキル鎖由来のピーク(0.4〜2.8ppm)の面積の比から、炭素数1000個当たりの含有数として算出して行った。
【0130】
不飽和結合種 化学シフト(ppm、テトラメチルシラン基準)
ビニル基(2H) 4.85〜5.00
ビニリデン基(2H) 4.65〜4.75
トランスビニレン基(2H) 5.40〜5.50
三置換不飽和結合(1H) 5.10〜5.30
【0131】
【実施例】
次に実施例により本発明を具体的に示すが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0132】
実施例1
(1)粘土鉱物のマグネシウム塩処理
市販の膨潤性モンモリロナイトの造粒分級品(「ベンクレイSL」、水澤化学社製、平均粒径27μm)20Kgを硫酸マグネシウムの硫酸水溶液(硫酸マグネシウム濃度6.9重量%、硫酸濃度11.2重量%)187Kg中に分散させ、90℃で7時間撹拌した。これを脱塩水にて濾過・洗浄した後、得られた固体ケーキを110℃で10時間乾燥した。得られた乾燥モンモリロナイト中の塊状物を目開き75μmの篩によって取り除き、篩を通過した粒子を10Kg得た。
【0133】
(2)粘土鉱物のチタニウム塩処理
純水516gに市販の硫酸チタニウムの硫酸水溶液(和光純薬(株)社製30%硫酸チタン(IV)溶液、硫酸13%含有)364gを溶解させた後、これに上記(1)で得られたマグネシウム塩処理モンモリロナイト粒子75.8gを分散させ、90℃で3時間攪拌した。これを脱塩水にてpH3まで濾過・洗浄した後、得られた含水固体ケーキを110℃で10時間予備乾燥して、全て流れ性の良い粒子状のチタニウム塩処理モンモリロナイト77.8gを得た。この予備乾燥モンモリロナイト粒子を更に200℃で2時間減圧乾燥した。このチタニウム塩処理モンモリロナイト中のTi原子含量は1.10重量%であった。
【0134】
(3)チタニウム塩処理モンモリロナイトの有機Al処理
窒素雰囲気下、2Lフラスコに(2)で得たチタニウム塩処理モンモリロナイト粒子50gを入れ、n−ヘプタン59mLに分散させてスラリーとした。次いで、室温において撹拌下、トリエチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液(濃度0.622mol/L)241mLを添加した。室温で1時間接触させた後、上澄み液を抜き出し、固体部をn−ヘプタンで洗浄した。
【0135】
(4)触媒調製および予備重合
窒素雰囲気下、容量10Lの誘導攪拌装置付き反応器にn−ヘプタン3.0L、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド0.400mmol(0.197g)をn−ヘプタン300mlで溶液として添加し、55℃で10分間攪拌した。引き続きトリエチルアルミニウム48.0mmol(5.48g)を添加して、更に10分間攪拌を続けた。次に温度を保持したまま、上記(3)で得たTi塩処理モンモリロナイト粒子50gをn−ヘプタン900mLでスラリー化して反応器へ導入して10分間攪拌を継続した。系の温度を60℃とした後、エチレンガスを1.3NL/分の速度で286分間導入して予備重合を行った。エチレンの供給を停止し、反応器内容物を窒素雰囲気下において全て15L槽型振動式減圧乾燥機に抜き出した。ヘプタン5Lを反応器に追加して反応器内に残存した内容物を全て乾燥機に抜き出した。乾燥機に移送した予備重合触媒スラリーを静置して上澄み液約5Lを除去した後、ここへビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリドの固体粉末を8.40mmol(4.18g)添加し、振動溶解させた。10分振動を続けた後、70℃に加熱しながら減圧乾燥を行って溶媒を除去した。この結果、予備重合触媒粉末378gを回収した。使用した触媒の成分、触媒物性を表1示す。
【0136】
(5)エチレン−1−ブテン共重合
上記(4)の予備重合触媒を使用してエチレン−ブテン気相共重合を行った。
即ちエチレンとブテンと水素の混合ガス(ブテン/エチレン=3.2%、水素/エチレン=0.034%)が循環する連続式気相重合反応器に固体触媒成分として569mg/hr、トリイソブチルアルミニウムとジエチルアルミニウムエトキシドを各々0.62g/hr、0.67g/hrを、間欠的に供給した。重合反応の条件は83℃、エチレン分圧18kg/cm2、平均滞留時間7.4時間であった。生成ポリエチレンの平均重合レートは7.6Kg/hであった。
【0137】
(6)添加剤配合
得られたエチレン−α−オレフィン共重合体に添加剤として、酸化防止剤を配合し、これを口径20mmの単軸押出機を用いて、混練・造粒した。
【0138】
(7)フィルム成形
口径30mmの単軸押出機を用いて、以下の運転条件においてインフレーション成形を行った。
【0139】
スクリュ:口径30mm、L/D=25、フルフライトタイプ
スクリュ回転数 :約27[rpm]
ダイ:スパイラルマンドレルダイ、口径25mm、Lip幅2.0mm
樹脂温度:180[℃]
フィルムサイズ:折り径78[mm]、厚み20[μm]
(8)評価
エチレン−α−オレフィン共重合体のMc値とWl値と、フィルムのHazeは表2に示す。
【0140】
なお、フィルムのHazeはJIS K7105に準拠し、東洋精機製作所製積分球式光線透過率測定装置を用いて測定した。
【0141】
実施例2
(1)粘土鉱物のジルコニウム塩処理
純水900gに市販の硫酸ジルコニウム(IV)四水和物(三津和化学(株)社製)427g、硫酸125gを溶解させた後、実施例1(1)で得られたマグネシウム塩処理モンモリロナイト粒子200gを分散させ、90℃で3時間攪拌した。これを脱塩水にてpH3まで濾過・洗浄した後、得られた含水固体ケーキを110℃で10時間予備乾燥して、全て流れ性の良い粒子状のジルコニウム塩処理モンモリロナイト216gを得た。この予備乾燥モンモリロナイト粒子を更に200℃で2時間減圧乾燥した。このジルコニウム塩処理モンモリロナイト中のZr原子含量は0.55重量%であった。
【0142】
(2)ジルコニウム塩処理モンモリロナイトの有機Al処理、触媒調製および予備重合
実施例1(3)(4)と同様にして行った。ただし、チタニウム塩処理モンモリロナイトのかわりに、上記(1)で得たジルコニウム塩処理モンモリロナイトを使用した。この結果、予備重合触媒粉末393gを回収した。
【0143】
(3)エチレン−1−ブテン共重合
上記(2)の予備重合触媒を使用してエチレン−ブテン気相共重合を行った。
即ちエチレンとブテンと水素の混合ガス(ブテン/エチレン=3.2%、水素/エチレン=0.031%)が循環する連続式気相重合反応器に固体触媒成分として770mg/hr、トリイソブチルアルミニウムとジエチルアルミニウムエトキシドを各々0.62g/hr、0.89g/hrを、間欠的に供給した。重合反応の条件は83℃、エチレン分圧18kg/cm2、平均滞留時間7.6時間であった。生成ポリエチレンの平均重合レートは7.6Kg/hであった。得られた共重合体は実施例1(6)〜(8)と同様に添加剤を配合した後、フィルムを成形、評価した。得られた重合体及びフィルムの基礎物性を表2、3に示した。
【0144】
実施例3
実施例1(4)で得られた予備重合触媒を使用してエチレン−1−ブテン気相共重合を行った。すなわちエチレンとブテンと水素の混合ガス(ブテン/エチレン=2.3モル%、水素/エチレン=0.050モル%)が流通する連続式気相重合反応器に固体触媒成分として42.9mg/hr、トリイソブチルアルミニウムとジエチルアルミニウムエトキシドを各々100mg/hr、65.7mg/hrを、間欠的に供給した。重合反応の条件は83℃、エチレン分圧18kg/cm2、平均滞留時間4.2時間であった。生成ポリエチレンの平均重合レートは289g/hであった。得られた共重合体は実施例1(6)〜(8)と同様に添加剤を配合した後、フィルムを成形、評価した。得られた重合体及びフィルムの基礎物性を表2、3に示した。
【0145】
実施例4
実施例3と同様にしてエチレン−1−ブテン気相共重合を行った。ただし、混合ガスの組成は、ブテン/エチレン=2.3モル%、水素/エチレン=0.033モル%であり、固体触媒成分として26.4mg/hr、トリイソブチルアルミニウムとジエチルアルミニウムエトキシドを各々100mg/hr、65.7mg/hrを、間欠的に供給した。重合反応の条件は83℃、エチレン分圧18kg/cm2、平均滞留時間3.6時間であった。生成ポリエチレンの平均重合レートは332g/hであった。得られた共重合体は実施例1(6)〜(8)と同様に添加剤を配合した後、フィルムを成形、評価した。得られた重合体及びフィルムの基礎物性を表2、3に示した。
【0146】
実施例5
(1)粘土鉱物のチタニウム塩処理
市販の硫酸チタニル水溶液(堺化学工業(株)社製TRE、Lot No.90302、TiO2として7.5重量%、SO4として25.6%含有)958gと硫酸51.2gの混合液に、実施例1(1)で得られたマグネシウム塩処理モンモリロナイト粒子150gを分散させ、90℃で3時間攪拌した。これを脱塩水にてpH3まで濾過・洗浄した後、得られた含水固体ケーキを110℃で10時間予備乾燥して、全て流れ性の良い粒子状のチタニウム塩処理モンモリロナイト155.1gを得た。この予備乾燥モンモリロナイト粒子を更に200℃で2時間減圧乾燥した。このチタニウム塩処理モンモリロナイト中のTi原子含量は0.96重量%であった。
【0147】
(2)触媒調製および予備重合
窒素雰囲気下、容量10Lの誘導攪拌装置付き反応器にn−ヘプタン6.65L、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド12.0mmol(5.90g)をn−ヘプタン300mLに分散して添加し、55℃で10分間攪拌した。引き続きトリエチルアルミニウム96.0mmol(10.96g)を添加して、更に10分間攪拌を続けた。次に温度を保持したまま、(1)で得たTi塩処理モンモリロナイト粒子100gをn−ヘプタン900mlでスラリー化して反応器へ導入して10分間攪拌を継続した。系の温度を60℃とした後、エチレンガスを10NL/分の速度で85分間導入して予備重合を行った。エチレンの供給を停止し、反応器内容物を窒素雰囲気下において全て15L槽型振動式減圧乾燥機に抜き出した。ヘプタン5Lを反応器に追加して反応器内に残存した内容物を全て乾燥機に抜き出した。乾燥機に移送した予備重合触媒スラリーを静置して上澄み液約5Lを除去した後、ここへビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリドの固体粉末を11.2mmol(5.50g)添加し、振動溶解させた。10分振動を続けた後、70℃に加熱しながら減圧乾燥を行って溶媒を除去した。この結果、予備重合触媒粉末1084gを回収した。
【0148】
(3)エチレン−1−ブテン共重合
上記(4)の予備重合触媒を使用してエチレン−ブテン気相共重合を行った。
即ちエチレンとブテンと水素の混合ガス(ブテン/エチレン=3.7%、水素/エチレン=0.032%)が循環する連続式気相重合反応器に固体触媒成分として315mg/hr、トリイソブチルアルミニウムとジエチルアルミニウムエトキシドを各々1.23g/hr、0.11g/hrを、間欠的に供給した。重合反応の条件は90℃、エチレン分圧18kg/cm2、平均滞留時間6.3時間であった。生成ポリエチレンの平均重合レートは9.0Kg/hであった。得られた共重合体は実施例1(6)〜(8)と同様に添加剤を配合した後、フィルムを成形、評価した。得られた重合体及びフィルムの基礎物性を表2、3に示した。
【0149】
実施例6
実施例5(2)の予備重合触媒を使用して実施例5(3)と同様にしてエチレン−ブテン気相共重合を行った。ただし、水素/エチレン比は0.041%、固体触媒成分の供給量は320mg/hrであった。生成ポリエチレンの平均重合レートは8.6Kg/hであった。得られた共重合体は実施例1(6)〜(8)と同様に添加剤を配合した後、フィルムを成形、評価した。得られた重合体及びフィルムの基礎物性を表2、3に示した。
【0150】
実施例7
3Lオートクレーブにn−ヘプタン1.5L、トリエチルアルミニウム2.5mmol、実施例1(2)で得たモンモリロナイト粒子100mg、および1−ブテン80mLを加え、80℃に昇温した。ついでビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド8μmolをヘプタン溶液としてエチレンとともに導入し、全圧を22Kg/cm2−Gに保って50分間重合を行った。得られたエチレン−1−ブテン共重合体は115gであった。得られた共重合体は実施例1(6)〜(8)と同様に添加剤を配合した後、フィルムを成形、評価した。得られた重合体及びフィルムの基礎物性を表2、3に示した。
【0151】
比較例1
(1)粘土鉱物の化学処理
硫酸亜鉛7水和物0.2kgを溶解させた脱塩水3.2kgに、合成雲母(コープケミカル社製ME−100)1kgを分散させ、室温で1時間攪拌処理し、ろ過した。脱塩水で洗浄した後、固形分濃度を25%に調製し、該スラリーを噴霧乾燥機に導入し、球状の造粒々子を得た。この粒子を更に温度200℃で2時間減圧乾燥した。
【0152】
(2)触媒調製および予備重合
容量10Lの誘導攪拌装置付き反応器にn−ヘプタン3.22L、(1)で得られた合成雲母の粒子121gを導入した。これに813mLのトルエンに溶解したビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド9.68mmolの溶液を添加し、25℃で10分間攪拌した。引き続きトリエチルアルミニウム26.5mmolを添加し、系の温度を80℃とした。10分後エチレンガスを導入し、2.0時間反応を続けた。この間に生成したポリエチレンは277gであった。
【0153】
(3)エチレン−1−ブテン共重合
上記(2)の予備重合触媒を使用してエチレン−1−ブテン気相共重合を行った。即ちエチレンとブテンとの混合ガス(ブテン/エチレン=6.3モル%)が循環する連続式気相重合反応器に固体触媒成分として451mg/hr、トリエチルアルミニウムを、630mg/hrを間欠的に供給した。重合反応の条件は88℃、エチレン分圧18kg/cm2、平均滞留時間5.3時間であった。生成ポリエチレンの平均重合レートは7.5Kg/hrであった。得られた共重合体は実施例1(6)〜(8)と同様に添加剤を配合した後、フィルムを成形、評価した。得られた重合体及びフィルムの基礎物性を表2、3に示した。
【0154】
比較例2
(1)粘土鉱物のクロム塩処理
純水1000gに市販の硝酸クロム(III)9水和物80gを溶解させた後、実施例1(1)で得られたマグネシウム塩処理モンモリロナイト粒子200gを分散させ、90℃で3時間攪拌した。これを脱塩水にて十分濾過・洗浄した後、得られた含水固体ケーキを110℃で10時間予備乾燥して、全て流れ性の良い粒子状のクロム塩処理モンモリロナイト258gを得た。この予備乾燥モンモリロナイト粒子を更に200℃で2時間減圧乾燥した。
【0155】
(2)クロム塩処理モンモリロナイトの有機Al処理
窒素雰囲気下、300mLフラスコに(1)で得たクロム塩処理モンモリロナイト粒子8.47gを入れ、n−ヘプタン10mLに分散させてスラリーとした。次いで、室温において撹拌下、トリエチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液(濃度0.622mol/L)40.8mLを添加した。室温で1時間接触させた後、上澄み液を抜き出し、固体部をn−ヘプタンで洗浄し、最後にn−ヘプタンを追加して全量が100mLのスラリー液とした。
【0156】
(3)触媒調製および予備重合
窒素雰囲気下、容量1Lの誘導攪拌装置付き反応器にn−ヘプタン770mlと(2)で得たスラリー液を全量反応器へ導入した。続いてビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド0.0677mmol(33.3mg)をヘプタン溶液(16.7mL)として添加し、30℃で10分間攪拌した。引き続きトリエチルアルミニウム8.13mmol(0.929g)をヘプタン溶液(13.7mL)として添加して、60℃に速やかに昇温した。10分間攪拌を続けた後、温度を60℃に保持したまま、エチレンガスを0.45NL/分の速度で105分間導入して予備重合を行った。エチレンの供給を停止し、反応器内容物を窒素雰囲気下において全て2Lフラスコに抜き出した。ヘプタン500mLを反応器に追加して反応器内に残存した内容物を全てフラスコに抜き出した。フラスコに移送した予備重合触媒スラリーを静置して上澄み液約900mLを除去した後、ここへビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリドの固体粉末を0.950mmol(467mg)添加し、撹拌溶解させた。10分撹拌を続けた後、70℃に加熱しながら減圧乾燥を行って溶媒を除去した。この結果、予備重合触媒粉末68.0gを回収した。
【0157】
(4)エチレン−1−ブテン共重合
上記(4)の予備重合触媒を使用してエチレン−1−ブテン気相共重合を行った。すなわちエチレンとブテンと水素の混合ガス(ブテン/エチレン=2.3モル%、水素/エチレン=0.05モル%)が流通する連続式気相重合反応器に固体触媒成分として31.1mg/hr、トリイソブチルアルミニウムとジエチルアルミニウムエトキシドを各々100mg/hr、65.7mg/hrを、間欠的に供給した。重合反応の条件は83℃、エチレン分圧18kg/cm2、平均滞留時間4.5時間であった。生成ポリエチレンの平均重合レートは264g/hであった。得られた共重合体は実施例1(6)〜(8)と同様に添加剤を配合した後、フィルムを成形、評価した。得られた重合体及びフィルムの基礎物性を表2、3に示した。
【0158】
比較例3
(1)粘土鉱物の化学処理
硫酸亜鉛7水和物15.0kgを脱塩水105.0kgに溶解させ、そこに合成雲母(コープケミカル社製、ソマシフ、ME−100F)30.0kgを添加、分散後18時間攪拌し、脱塩水でろ過・洗浄した。硝酸クロム(III)9水和物4.8kgを脱塩水7.5kgに溶解させた水溶液を添加、室温で18時間攪拌した。このとき、スラリー濃度が20.0重量%となるように調製した。ろ過・脱塩水にて洗浄した後、固形分濃度19.0重量%となるように調製した。そこに合成スメクタイト(コープケミカル社製、SWN)をスラリー中の全固形分に対して5重量%となるように添加し、十分分散した後、該スラリーを噴霧乾燥機にて乾燥・造粒し、球状の造粒々子を得た。この粒子を更に温度200℃で2時間減圧乾燥した。
【0159】
(2)触媒調製および予備重合
上記(1)で得られた合成雲母の粒子を使用して、比較例2(3)と同様にして触媒調製および予備重合を実施し、予備重合触媒粉末372gを回収した。
【0160】
(3)エチレン−1−ブテン共重合
上記(2)の予備重合触媒を使用してエチレン−1−ブテン気相共重合を行った。即ちエチレンとブテンとの混合ガス(ブテン/エチレン=3.2モル%)が循環する連続式気相重合反応器に固体触媒成分として359mg/hr、トリエチルアルミニウムを1138mg/hrを間欠的に供給した。重合反応の条件は83℃、エチレン分圧18kg/cm2、平均滞留時間7.6時間であった。生成ポリエチレンの平均重合レートは7.9Kg/hrであった。得られた共重合体は実施例1(6)〜(8)と同様に添加剤を配合した後、フィルムを成形、評価した。得られた重合体及びフィルムの基礎物性を表2、3に示した。
【0161】
比較例4
(1)粘土鉱物の化学処理
市販のモンモリロナイト50gを振動ボールミルによって4時間粉砕し、9%の硫酸水溶液350ml中に分散させ90℃で2時間撹拌し、脱塩水で洗浄した後、乾燥して硫酸処理モンモリロナイトを得た。次いで、このものを1Lフラスコに20g分取し、その後、市販の硫酸ジルコニウム(IV)四水和物20gを溶解させた脱塩水400mL中に分散させ、90℃で3時間撹拌した。処理後、この固体成分を脱塩水で洗浄し、乾燥を行って化学処理モンモリロナイトを得た。これを更に温度200℃で2時間減圧乾燥した。
【0162】
(2)触媒調製
100mLフラスコに上記(1)で得られた化学処理モンモリロナイト3.0gを入れ、トルエン15mLに分散させてスラリーとした。次いで室温において撹拌下、トリエチルアルミニウムを6.0mmol添加した。室温で1時間接触させた後、上澄み液を抜き出し固体部をトルエンで洗浄した。これにトルエンを加えてスラリーとした後、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液(20.0μmol/mL)を12.0mL加え、室温で1時間撹拌した。この上澄み液を抜き出し、固体成分をトルエンで洗浄して触媒成分を得た。
【0163】
(3)エチレン−1−ブテン共重合
2Lオートクレーブ中にn−ヘキサン740mL、トリエチルアルミニウム0.1mmol、前記(2)で得られた触媒成分を100mg仕込んだ。このオートクレーブに1−ブテン160mLを加え、70℃に昇温した後、エチレンを導入して全圧を25.5kg/cm2−Gに保ち、撹拌を続けて1時間重合を行った。得られたエチレン−1−ブテン共重合体は176gであった。同様に重合を繰り返し、合計1Kgの共重合体を得た。得られた共重合体は実施例1(6)〜(8)と同様に添加剤を配合した後、フィルムを成形、評価した。得られた重合体及びフィルムの基礎物性を表2、3に示した。
【0164】
比較例5
(1)粘土鉱物の化学処理
市販の硫酸チタニウムの硫酸水溶液(和光純薬(株)社製30%硫酸チタン(IV)溶液、硫酸13%含有)960gに合成雲母(コープケミカル社製、ソマシフ、ME−100F)200gを添加、90℃で3時間攪拌した。ろ過・脱塩水にて洗浄した後、固形分濃度20重量%となるように水スラリーを調製した。該スラリーを噴霧乾燥機にて乾燥・造粒し、球状の造粒々子を得た。この粒子を更に温度200℃で2時間減圧乾燥した。
【0165】
(2)エチレン−1−ブテン共重合
上記(1)のチタニウム塩処理合成ウンモ粒子100mgを使用して、実施例7と同様にしてエチレン−1−ブテン共重合を行った。得られたエチレン−1−ブテン共重合体は103gであった。同様に重合を繰り返し、合計1Kgの共重合体を得た。得られた共重合体は実施例1(6)〜(8)と同様に添加剤を配合した後、フィルムを成形、評価した。得られた重合体及びフィルムの基礎物性を表2、3に示した。
【0166】
比較例6
(1)粘土鉱物の化学処理
硫酸ジルコニウム(IV)四水和物529gを脱塩水3.68kgに溶解させ、そこに合成雲母(コープケミカル社製、ソマシフ、ME−100F)1.0kgを添加、90℃で2時間攪拌した。ろ過・脱塩水にて洗浄した後、固形分濃度20重量%となるように水スラリーを調製した。該スラリーを噴霧乾燥機にて乾燥・造粒し、球状の造粒々子を得た。この粒子を更に温度200℃で2時間減圧乾燥した。
【0167】
(2)エチレン−1−ブテン共重合
上記(1)のジルコニウム塩処理合成ウンモ粒子100mgを使用して、実施例7と同様にしてエチレン−1−ブテン共重合を行った。得られたエチレン−1−ブテン共重合体は127gであった。同様に重合を繰り返し、合計1Kgの共重合体を得た。得られた共重合体は実施例1(6)〜(8)と同様に添加剤を配合した後、フィルムを成形、評価した。得られた重合体及びフィルムの基礎物性を表2、3に示した。
【0168】
比較例7
(1)触媒調製
容量10Lの誘導攪拌装置付き反応器にn−ヘプタン5.0L、Witco社製メチルアルミノキサン担持SiO2 (Al含量22.3重量%)100gを導入した。25℃にて600mLのトルエンに溶解したジメチルシリレンビス(4,5,6,7,−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド 3.30mmolの溶液とトリ(イソブチル)アルミニウム149mmolを添加し、系の温度を5分間かけて40℃とした。温度を40℃に保ったままエチレンガスを導入し、1.0時間反応を続けた。この間に生成したポリエチレンは689gであった。
【0169】
(2)エチレン−ヘキセン共重合
上記(1)の予備重合触媒を使用してエチレン−ヘキセン気相共重合を行った。即ちエチレンとヘキセンとの混合ガス(ヘキセン/エチレン=1.0%)が循環する連続式気相重合反応器に固体触媒成分として786mg/hr、トリエチルアルミニウム1327mg/hrを、間欠的に供給した。重合反応の条件は80℃、エチレン分圧18kg/cm2、平均滞留時間4.0時間であった。生成ポリエチレンの平均重合レートは9.9kg/hrであった。得られた共重合体は実施例1(6)〜(8)と同様に添加剤を配合した後、フィルムを成形、評価した。得られた重合体の基礎物性を表2、3に示した。
【0170】
比較例8
(1)触媒調製
比較例8(1)と同様にして予備重合触媒を製造した。ただしジメチルシリレンビス(4,5,6,7,−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリドに換えて、 ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドを使用した
(2)エチレン−1−ヘキセン共重合
比較例8(2)と同様にしてエチレン−ヘキセン気相共重合を行った。ただし触媒は上記(1)で得たものを使用し、循環する混合ガス中のエチレンとヘキセンの比を1.8%とした。得られた共重合体は実施例1(6)〜(8)と同様に添加剤を配合した後、フィルムを成形、評価した。得られた重合体の基礎物性を表2、3に示した。
【0171】
【表1】
【0172】
【表2】
【0173】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の理解を助けるためのフローチャート図
Claims (9)
- 下記の成分[A]及び成分[B]からなることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
成分[A]:共役五員環配位子を少なくとも1個有する4価のチタン、ジルコニウムまたはハフニウムの遷移金属化合物、
成分[B]:下記(b−1)〜(b−4)から選ばれた一種以上を含有し、下記条件(イ)及び(ロ)を充足する固体成分、
(b−1)アルミニウムオキシ化合物が担持された微粒子状担体
(b−2)成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸が担持された微粒子状担体
(b−3)微粒子状固体酸
(b−4)層状ケイ酸塩からなる群から選ばれる固体微粒子
条件(イ):周期律表4族原子を固体成分に対して0.3重量%以上3.0重量%以下含有すること、
条件(ロ):水銀圧入法で測定される細孔半径が100〜1,000オングストロームの細孔容積が0.3mL/g以下で、かつ、細孔半径1,000〜10,000オングストロームの細孔容積が0.2mL/g以下であること、 - 成分[B]固体成分が、層状ケイ酸塩である請求項1に記載のオレフィン重合用触媒。
- 成分[B]固体成分が、下記成分(b−4)、(b−5)および必要に応じて使用する成分(b−6)を接触させて得られる化合物からなる請求項1または2に記載のオレフィン重合用触媒。
(b−4)層状ケイ酸塩
(b−5)次の(a)および(b)からなる化合物
(a)周期律表第4族遷移金属原子から選ばれた少なくとも1種の原素の陽イオン、
(b)ハロゲン原子、無機酸および有機酸からなる化合物群から選ばれる化合物の陰イオン、
(b−6)無機酸あるいは有機酸 - 含有するアルミニウム原子とマグネシウム原子のモル比(Al/Mg)が7.0以下の層状ケイ酸塩から構成された成分[B]を用いてなる請求項2または3に記載のオレフィン重合用触媒。
- 含有するアルミニウム原子とマグネシウム原子のモル比(Al/Mg)が4.5〜6.5のスメクタイトから構成された成分[B]を用いてなる請求項2または3に記載のオレフィン重合用触媒。
- 成分[C]として、更に有機アルミニウム化合物を含有することを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載のオレフィン重合用触媒。
- 請求項1〜6いずれかに記載のオレフィン重合用触媒の存在下、オレフィンを単独重合または共重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
- オレフィン重合体が、GPC−MALLS測定から得られた結果を散乱角度0°に外挿したRayleigh ratio値を用いたクロマトグラムにおいて、本測定から計算した分子量が100万以上の成分のクロマトグラムの面積分率(Mc値)1%以上のものであることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
- オレフィン重合体が、GPC−MALLS測定から得られた結果を散乱角度0°に外挿したRayleigh ratio値を用いたクロマトグラムにおいて、本測定から計算した分子量が100万以上の成分のクロマトグラムの面積分率(Mc値)5.69%以上のものであることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
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