JP2010150436A - オレフィン樹脂系塗料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 複雑な形状の基材に対しても表面過失処理が可能で、良好な基材との密着性、保持性と共に良好な表面滑性、離型性を併せ持つ塗料を提供する。
【解決手段】 本発明のオレフィン樹脂系塗料は、臨界表面張力が低いオレフィン樹脂、変性オレフィン樹脂を好ましくは炭化水素系溶媒に特定の濃度で溶解もしくは分散させた形態である。オレフィン樹脂の臨界表面張力が低いことに加え、濃度や粘度を制御することにより、上記課題を解決し得る塗料が得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、特定の表面張力値を有するオレフィン樹脂系の塗料に関する。好ましくは、脂肪族、脂環族系有機溶媒に前期特定のオレフィン樹脂を溶解または分散させた塗料に関する。
これまで、紙やフィルム等の表面滑性、離型性を得るために、ポリエチレンワックスやシリコーンオイル等のシリコーン化合物が使用されている。
しかしながら、これらポリエチレンワックスやシリコーン化合物では、基材との密着性、保持性と表面滑性の両立が困難であった。
一方、4−メチル−1−ペンテン系重合体含有樹脂組成物は、特にオレフィン基材に対し良好な密着性を示し、低い表面張力を示すため、該組成物を成形して得たフィルムは優れた離型性、アンチブロッキング性を有することがわかっている。(特許文献1など参照)
しかしながら、これまでの4−メチル−1−ペンテン系重合体樹脂組成物は、フィルムに成形し、当該フィルムを基材に貼り合せたり、共押出しで積層フィルムをとして当該用途に主に使用されてきた。このため複雑な形状の基材に対しては、4−メチル−1−ペンテン系重合体樹脂組成物を使用して表面滑性を付与することが困難であった。
特開2003−105022号公報
上記背景を鑑み、本発明は、複雑な形状の基材に対しても表面改質処理が可能で、良好な基材との密着性、保持性と良好な表面滑性、離型性を両立できるオレフィン樹脂系塗料、コーティング材を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題に対し、鋭意検討した結果、特定の臨界表面張力を有したオレフィン系樹脂を溶媒に溶解もしくは分散したときに、良好な作業性を示し、且つ、複雑な形状の基材に対しても表面滑性を付与することを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、
有機溶剤100重量部に対し、臨界表面張力が22mN/m以上28mN/m未満であるオレフィン樹脂3〜5重量部を溶解または分散してなる溶解/分散液であることを特徴とするオレフィン樹脂系塗料である。
本発明の塗料はメチルシクロヘキサン媒体中で前記オレフィン樹脂10重量%の濃度、温度45℃において溶解しており、かつ45℃での60回転粘度が1500mPa・s以下であることが好ましい
本発明の塗料は、前記オレフィン樹脂が少なくとも4−メチル−1−ペンテンを構成成分として含むオレフィン樹脂(A)、もしくは、オレフィン樹脂をヒドロシリル化して得られたシリコーン変性オレフィン樹脂(B)のいずれかであることが好ましい。
本発明の塗料は、前記4−メチル−1−ペンテンを構成成分として含むオレフィン樹脂(A)が下記(A1)〜(A3)の要件を満たすことが好ましい。
(A1)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位が40〜100重量%であり、4−メチル−1−ペンテン以外の炭素原子数が2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のオレフィンから導かれる構成単位の合計が0〜60重量%である4−メチル−1−ペンテン系重合体である、
(A2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.0〜20.0の範囲にある、
(A3)示差走査熱量計で測定した融点(Tm)が100〜245℃の範囲にある。
前記シリコーン変性オレフィン樹脂(B)は、下記(C1)〜(C6)を満たす未変性オレフィン樹脂(C)と、1分子に1個以上のSiH結合を有するハイドロジェンシリコーンとを、触媒存在下で付加反応させることにより得られることが好ましい。
(C1)エチレンと少なくとも1種のジエンとを共重合して得られる共重合体、またはエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンと少なくとも1種のジエンとを共重合して得られる共重合体
(C2)1分子あたりの不飽和基含有量が0.5〜3.0個。
(C3)密度が870〜980kg/m3
(C4)融点が70〜130℃。
(C5)数平均分子量(Mn)が400〜5,000。
(C6)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4.0以下。
前記(C1)のジエンはビニルノルボルネン(5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)であることが好ましい。
本発明のオレフィン樹脂系塗料は、特定の臨界表面張力を有しているため、複雑な形状の基材に対しても表面処理が可能で、優れた密着性と保持性を持ち、且つ、優れた表面滑性を示すことができるため、ラミネート加工等で実施される紙やフィルムなどの平面状基材の表面改質用途に限らず、マンドレル等の円柱上の基材の表面滑性、粉末冶金で使用される金属粉末等、粒子状の基材等に対しても表面滑性を付与することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の塗料は有機溶媒100重量部に対してオレフィン樹脂が3〜5重量部含まれる。好ましい下限値は5重量部、より好ましくは8重量部である。一方、好ましい上限値は40重量部、より好ましくは30重量部、特に好ましくは20重量部である。
上記上限値を超えると塗料の粘度が高すぎて塗工不良を起こす事がある。一方、下限値を下回ると塗料の粘度が低すぎて均一な塗工面が得られにくくなったり、塗工厚みが不足する事がある。
本発明の塗料は、類似用途であるコーティング材料も含んだ意味で使用されることがある。また、本発明の塗料の濃度の単位として用いられる事がある%は、使用されるオレフィン樹脂の重量と有機溶媒の重量との比に基づく値である。
臨界表面張力
本発明に用いられるオレフィン樹脂の臨界表面張力は、次のような方法にて測定した値のことである。まず、SUSプレート上にオレフィン樹脂系重合体をキャスティングする。キャスティングは、窒素雰囲気下、250℃×5分の条件にて、オレフィン樹脂系重合体をSUSプレート上に加熱溶融し、その後、常温に戻し、固化させる方法とする。本試験サンプルの表面についての臨界表面張力は、画像処理式・固液界面解析システム(協和界面科学社製Dropmaster500)を用いて、23℃、50%RHの雰囲気下で、表面張力の判明している4種類のぬれ張力試験用混合液(例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル/ホルムアミド、表面張力各31、34、37、40mN/m)を試験サンプル表面に滴下し、接触角を測定することで得る。測定は5枚の試験サンプルについて行い、その平均値を求める。この接触角θから算出されるcosθ(Y軸)と、試験用混合液の表面張力(X軸)とから得られる点(5個以上)をX−Y座標にプロットし、これらの点の最小二乗法より得られる直線と、cosθ=1との交点に対応する表面張力(X軸)を臨界表面張力(mN/m)とする。
本発明に用いられるオレフィン樹脂は、前記方法で測定した臨界表面張力が22mN/mから28mN/m、好ましくは、23〜27.5mN/m、さらに好ましくは24〜27.5mN/m、特に好ましくは24.5〜27.5mN/mであることが好ましい。臨界表面張力がこの範囲にあると、優れた離型性を付与できる。
有機溶剤への分散/溶解
本発明のオレフィン樹脂を有機溶剤に溶解、または分散させるための有機溶剤は特に限定されないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族系炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロへキサン等の脂環族炭化水素、トリクロルエチレン、ジクロルエチレン、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、プロパンジオール、フェノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンペンタノン、ヘキサノン、イソホロン、アセトフェノン等のケトン系溶媒、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等のセルソルブ類、酢酸メチル、酢酸エチル酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、ギ酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラン等のエーテル類を1種類以上選択して、使用することができる。
これらの中では、環境問題等の観点から、脂肪族系炭化水素、脂環族炭化水素が好ましく用いられる傾向がある。特に好ましくはメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンである。
本発明のオレフィン樹脂を有機溶剤に溶解、または分散させる方法は、特に限定されないが、攪拌下、オレフィン樹脂を溶媒に溶解、分散させる方法や、攪拌下、オレフィン樹脂と溶媒の混合物を昇温、完全もしくは不完全に溶解した状態から、徐々に冷却する方法などが挙げられる。
溶媒溶解性
本発明におけるオレフィン樹脂系塗料は45℃以下において有機溶剤に溶解状態にあることが好ましい。更には30℃以下で溶解状態であることが好ましい。より低い温度で溶解した状態であることによって、低い塗工温度で良好な成膜状態を得ることができる。分散状態でも塗工可能であるが、良好な成膜状態を得るためには、融点以上の焼付が必要となる場合がある。分散状態としてはメチルシクロヘキサン媒体中でオレフィン樹脂10重量%の濃度において1日静置後に沈降等の不均一状態が目視で確認されないことが好ましい。
また、前記溶解性はオレフィン樹脂の濃度によっても調整可能であるが、生産性の観点からは、8重量%以上の濃度領域で溶解することが好ましい。また、溶媒溶解性はオレフィン樹脂の構成単位、極限粘度によっても調整することが可能である。
オレフィン樹脂系塗料、コーティング材の粘度
本発明のオレフィン樹脂系塗料、メチルシクロヘキサン媒体中でオレフィン樹脂10重量%の濃度(例えばメチルシクロヘキサン100重量部に対し、オレフィン樹脂10重量部)に於いて、温度45℃での60回転粘度が1500mPa・s以下であることが好ましい。好ましい下限値は0.5mPa・s、より好ましくは1mPa・s、更に好ましくは2mPa・sである。一方好ましい上限値は1300mPa・s、より好ましくは1000mPa・s、特に好ましくは800mPa・sである。45℃での60回転粘度がこの範囲にあることによって、様々なコート方式に対応することができるため好ましい。
オレフィン樹脂
本発明におけるオレフィン樹脂は臨界表面張力が22mN/m〜28mN/mの範囲にあり、オレフィン樹脂が少なくとも4−メチル−1−ペンテンを構成成分として含むオレフィン樹脂(A)、もしくは、オレフィン樹脂をヒドロシリル化して得られたシリコーン変性オレフィン樹脂(B)であることが好ましい。
(A)4−メチル−1−ペンテンを構成成分として含むオレフィン樹脂
本発明に用いられる4−メチル−1−ペンテン系重合体は、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位が40〜100重量%、好ましくは45〜100重量%、より好ましくは50〜100重量%であり、4−メチル−1−ペンテン以外の炭素原子数が2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のオレフィンから導かれる構成単位の合計が0〜60重量%、好ましくは0〜55重量%、より好ましくは0〜50重量%である4-メチル-1-ペンテン系重合体であることが好ましい。
本発明に用いられる4-メチル-1-ペンテン系重合体に用いられる、4−メチル−1−ペンテン以外の炭素原子数2〜20のオレフィンとしては、例えば直鎖状または分岐状のα−オレフィン、環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、非共役ポリエン、官能化ビニル化合物などが挙げられる。
本発明に用いられる4-メチル-1-ペンテン系重合体に用いられる、直鎖状または分岐状のα−オレフィンとして具体的には、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素原子数2〜20、好ましくは2〜10の直鎖状のα−オレフィン;例えば3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセンなどの好ましくは5〜20、より好ましくは5〜10の分岐状のα−オレフィンが挙げられる。
環状オレフィンとしては、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、ビニルシクロヘキサンなどの炭素原子数3〜20、好ましくは5〜15のものが挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、およびα−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレンなどのモノまたはポリアルキルスチレンが挙げられる。
共役ジエンとしては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエンなどの炭素原子数4〜20、好ましくは4〜10のものが挙げられる。
非共役ポリエンとしては、例えば1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン(DMDT)、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペンル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエンなどの炭素原子数5〜20、好ましくは5〜10のものが挙げられる。
官能化ビニル化合物としては、水酸基含有オレフィン、ハロゲン化オレフィン、アクリル酸、プロピオン酸、3-ブテン酸、4-ペンテン酸、5-ヘキセン酸、6-ヘプテン酸、7-オクテン酸、8-ノネン酸、9-デセン酸などの不飽和カルボン酸類、アリルアミン、5-ヘキセンアミン、6-ヘプテンアミンなどの不飽和アミン類、(2,7-オクタジエニル)コハク酸無水物、ペンタプロペニルコハク酸無水物および上記不飽和カルボン酸類にある化合物の例示において、カルボン酸基をカルボン酸無水物基に置き換えた化合物などの不飽和酸無水物類、上記不飽和カルボン酸類にある化合物の例示において、カルボン酸基をカルボン酸ハライド基に置き換えた化合物などの不飽和カルボン酸ハライド類、4-エポキシ-1-ブテン、5-エポキシ-1-ペンテン、6-エポキシ-1-ヘキセン、7-エポキシ-1-ヘプテン、8-エポキシ-1-オクテン、9-エポキシ-1-ノネン、10-エポキシ-1-デセン、11-エポキシ-1-ウンデセンなどの不飽和エポキシ化合物類などが挙げられる。
上記水酸基含有オレフィンとしては、水酸基含有のオレフィン系化合物であれば特に制限は無いが、例えば末端水酸化オレフィン化合物が挙げられる。末端水酸化オレフィン化合物として具体的には、例えばビニルアルコール、アリルアルコール、水酸化−1−ブテン、水酸化−1−ペンテン、水酸化−1−ヘキセン、水酸化−1−オクテン、水酸化−1−デセン、水酸化−1−ドデセン、水酸化−1−テトラデセン、水酸化−1−ヘキサデセン、水酸化−1−オクタデセン、水酸化−1−エイコセンなどの炭素原子数2〜20、好ましくは2〜10の直鎖状の水酸化α−オレフィン;例えば水酸化−3−メチル−1−ブテン、水酸化−4−メチル−1−ペンテン、水酸化−3−メチル−1−ペンテン、水酸化−3−エチル−1−ペンテン、水酸化−4,4−ジメチル−1−ペンテン、水酸化−4−メチル−1−ヘキセン、水酸化−4,4−ジメチル−1−ヘキセン、水酸化−4−エチル−1−ヘキセン、水酸化−3−エチル−1−ヘキセンなどの好ましくは5〜20、より好ましくは5〜10の分岐状の水酸化α−オレフィンが挙げられる。
上記ハロゲン化オレフィンとして具体的には、塩素、臭素、ヨウ素等周期表第17族原子を有するハロゲン化α−オレフィン、例えばハロゲン化ビニル、ハロゲン化−1−ブテン、ハロゲン化−1−ペンテン、ハロゲン化−1−ヘキセン、ハロゲン化−1−オクテン、ハロゲン化−1−デセン、ハロゲン化−1−ドデセン、ハロゲン化−1−テトラデセン、ハロゲン化−1−ヘキサデセン、ハロゲン化−1−オクタデセン、ハロゲン化−1−エイコセンなどの炭素原子数2〜20、好ましくは2〜10の直鎖状のハロゲン化α−オレフィン;例えばハロゲン化−3−メチル−1−ブテン、ハロゲン化−4−メチル−1−ペンテン、ハロゲン化−3−メチル−1−ペンテン、ハロゲン化−3−エチル−1−ペンテン、ハロゲン化−4,4−ジメチル−1−ペンテン、ハロゲン化−4−メチル−1−ヘキセン、ハロゲン化−4,4−ジメチル−1−ヘキセン、ハロゲン化−4−エチル−1−ヘキセン、ハロゲン化−3−エチル−1−ヘキセンなどの好ましくは5〜20、より好ましくは5〜10の分岐状のハロゲン化α−オレフィンが挙げられる。
4-メチル-1-ペンテンとともに用いられる上記オレフィン類は1種類であっても良く、2種類以上の組み合わせで用いることもできる。4−メチル−1−ペンテンとともに用いられる上記オレフィン類として特に、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ビニルシクロヘキサン、スチレン等が好適に用いられる。
本発明に用いられる4−メチル−1−ペンテン系重合体は、臨界表面張力が22〜28mN/m,好ましくは、23〜27.5mN/m、さらに好ましくは24〜27.5mN/m、特に好ましくは24.5〜27.5mN/mであることが好ましい。臨界表面張力がこの範囲にあると、優れた離型性を付与できる。このような臨界表面張力は、4−メチル−1−ペンテン系重合体における、4−メチル−1−ペンテンの構成単位に依存し、前記好適な臨界表面張力を得るには、4−メチル−1−ペンテンの量は、40〜100重量%、好ましくは、50〜100重量%である。
本発明に用いられる4−メチル−1−ペンテン系重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.0〜20.0であり、好ましくは1.0〜10、より好ましくは1.0〜5.0であることが好ましい。更には後述するメタロセン触媒を用いた場合のMw/Mnの上限値は3.0である事が好ましい。Mw/Mnが小さくなるほど、分子量分布の低分子量領域成分の含有量を少なくなる傾向があり、塗膜表面のベタつきを抑えることができるとともに、高分子量成分の含有量を少なくできるため、溶媒に溶解もしくは分散した場合の粘度を低くすることができ、作業性が向上する。このような分子量分布は、熱分解による製造も可能であるが、好ましくはチーグラー触媒、より好ましくは、後述するメタロセン触媒を用い、4−メチル−1−ペンテン系重合体を製造することで得られる。
なお、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される、ポリスチレン換算値である。ここで、GPCによる測定は、温度:140℃、溶媒:オルトジクロロベンゼンの条件下で行う。
本発明に用いられる4−メチル−1−ペンテン系重合体は、良好な基材の表面滑性発現の観点から、デリカン溶媒中で135℃で測定した極限粘度[η]が、0.01dl/g〜3.0dl/gであることが好ましく、示差走査熱量計で測定される融点(Tm)は、[η]が0.5〜3.0dl/gの場合では、100〜245℃であることが好ましく、より好ましくは130〜240℃、さらに好ましくは140〜235℃である。特に好ましくは、140〜170℃である。[η]が0.5〜3.0dl/gの場合、4−メチル−1−ペンテンの構成単位量を40〜70重量%未満にすることにより、臨界表面張力を好適に維持したまま、融点を下げることができ、溶媒溶解性を向上することが可能となる。つまり、4−メチル−1−ペンテン系重合体の融点は4−メチル−1−ペンテンと炭素原子数2〜20のオレフィンとの共重合体である場合には、重合時の4−メチル−1−ペンテンに対する炭素原子数2〜20のオレフィンの使用量、およびその種類により融点を制御できる。例えば、4−メチル−1−ペンテンに対するオレフィンの使用量を増加すると、得られる重合体の融点を低く制御することが可能となり、焼付温度を低くすることができる、溶媒溶解性が向上する、などの利点がある。また、極限粘度[η]が3.0dl/gより高い場合、溶剤に分散、溶解した場合の塗料の粘度が高すぎ、ハンドリング性が悪くなる、良好な成膜を得ることができないなどの不具合が発生する場合がある。
一方、[η]が0.01dl/g〜0.5dl/g未満の場合、示差走査熱量計で測定される融点(Tm)は、100〜245℃であることが好ましく、より好ましくは130〜240℃、さらに好ましくは140〜235℃である。特に好ましくは、140〜170℃である。[η]が0.01dl/g〜0.5dl/g未満の場合、4−メチル−1−ペンテン単独重合体を含め、4−メチル−1−ペンテンの構成単位量に寄らず、つまり、好適な融点を維持したまま、良好な溶媒溶解性、粘度、ハンドリング性を発現することができる。また、0.01dl/g未満では低分子量体が多くなりすぎ、十分な離型効果が発現しない。
本発明に用いられる4−メチル−1−ペンテン系重合体は、オレフィン類を直接重合して得られるものであってもよく、また高分子量の4−メチル−1−ペンテン系重合体を熱分解して得られるものであってもよく、またそれら4−メチル−1−ペンテン系重合体を溶媒に対する溶解度の差で分別する溶媒分別、あるいは沸点の差で分取する分子蒸留などの方法を用いて精製したものであっても良い。
本発明に用いられる4−メチル−1−ペンテン系重合体の製造には、従来公知の触媒、例えば特開2003−105022号公報や国際公開第2006/54613号パンフレットに開示されているマグネシウム担持型チタン触媒、国際公開第01/53369号パンフレット、国際公開第01/27124号パンフレット、特開平3-193796号公報あるいは特開平02-41303号公報中に記載のメタロセン触媒などが好適に用いられる。さらに好ましくは、本発明に用いられる4−メチル−1−ペンテン系重合体の製造には、下記一般式(1)または(2)で表されるメタロセン化合物を用いたオレフィン重合触媒が好適に用いられる。
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14は水素、炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R1からR4までの隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよく、R5からR12までの隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよく、Aは一部不飽和結合および/または芳香族環を含んでいてもよい炭素原子数2〜20の2価の炭化水素基であり、AはYと共に形成する環を含めて2つ以上の環構造を含んでいてもよく、Mは周期表第4族から選ばれた金属であり、Yは炭素またはケイ素であり、Qはハロゲン、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選んでもよく、jは1〜4の整数である。)
上記一般式(1)または(2)のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14は水素、炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
炭化水素基としては、好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、または炭素原子数7〜20のアルキルアリール基であり、1つ以上の環構造を含んでいてもよい。その具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1,1−ジエチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1,1,2,2−テトラメチルプロピル、sec−ブチル、tert−ブチル、1,1−ジメチルブチル、1,1,3−トリメチルブチル、ネオペンチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシル、1−メチル−1−シクロヘキシル、1−アダマンチル、2−アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル、メンチル、ノルボルニル、ベンジル、2−フェニルエチル、1−テトラヒドロナフチル、1−メチル−1−テトラヒドロナフチル、フェニル、ナフチル、トリル等が挙げられる。
ケイ素含有炭化水素基としては、好ましくはケイ素数1〜4かつ炭素原子数3〜20のアルキルシリル基またはアリールシリル基であり、その具体例としては、トリメチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、トリフェニルシリル等が挙げられる。
なお、R1〜Rの少なくとも1つは水素以外の基である事が好ましい。R1およびRは水素であり、かつRは炭化水素基またはケイ素含有炭化水素基であることがより好ましく、Rは立体的に嵩高い置換基であることがさらに好ましく、Rは炭素原子数4以上の置換基であることが特に好ましい。
フルオレン環上のR5からR12までの隣接した置換基は、互いに結合して環を形成してもよい。そのような置換フルオレニル基として、ベンゾフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、オクタヒドロジベンゾフルオレニル、オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル等を挙げることができる。
また、R〜R12の少なくとも1つは水素以外の基である事が好ましい。好ましくは炭化水素基、ケイ素含有炭化水素から選ばれる置換基であり、より好ましくは2級もしくは3級の炭化水素置換基である。更にはR7、R6、R10、R11の内、2個以上が炭化水素基、ケイ素含有炭化水素から選ばれる置換基であることが好ましく、2級もしくは3級の炭化水素置換基であることが特に好ましい。
また、フルオレン環上のR5からR12の置換基は、合成上の容易さから左右対称、すなわちR5=R12、R6=R11、R7=R10、R8=R9であることが好ましく、無置換フルオレン、3,6−二置換フルオレン、2,7−二置換フルオレンまたは2,3,6,7−四置換フルオレンであることがより好ましい。ここでフルオレン環上の3位、6位、2位、7位はそれぞれR7、R10、R6、R11に対応する。
上記一般式(1)のR13とR14は、水素、炭化水素基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよい。好ましい炭化水素基の具体例としては、上記と同様のものを挙げることができる。
Yは炭素またはケイ素である。一般式(1)の場合は、R13とR14はYと結合し、架橋部として置換メチレン基または置換シリレン基を構成する。好ましい具体例として、例えば、メチレン、ジメチルメチレン、ジイソプロピルメチレン、メチルtert-ブチルメチレン、ジシクロヘキシルメチレン、メチルシクロヘキシルメチレン、メチルフェニルメチレン、ジフェニルメチレン、メチルナフチルメチレン、ジナフチルメチレンまたはジメチルシリレン、ジイソプロピルシリレン、メチルtert-ブチルシリレン、ジシクロヘキシルシリレン、メチルシクロヘキシルシリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルナフチルシリレン、ジナフチルシリレン等を挙げることができる。
一般式(2)の場合は、Yは一部不飽和結合および/または芳香族環を含んでいてもよい炭素原子数2〜20の2価の炭化水素基Aと結合し、シクロアルキリデン基またはシクロメチレンシリレン基等を構成する。好ましい具体例として、例えば、シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、ビシクロ[3.3.1]ノニリデン、ノルボルニリデン、アダマンチリデン、テトラヒドロナフチリデン、ジヒドロインダニリデン、シクロジメチレンシリレン、シクロトリメチレンシリレン、シクロテトラメチレンシリレン、シクロペンタメチレンシリレン、シクロヘキサメチレンシリレン、シクロヘプタメチレンシリレン等を挙げることができる。
一般式(1)および(2)のMは、周期表第4族から選ばれる金属であり、Mとしてはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムが挙げられる。
Qはハロゲン、炭素原子数1〜20の炭化水素基、アニオン配位子、または孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組み合わせで選ばれる。ハロゲンの具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素であり、炭化水素基の具体例としては、上記と同様のものを挙げることができる。アニオン配位子の具体例としては、メトキシ、tert-ブトキシ、フェノキシ等のアルコキシ基、アセテート、ベンゾエート等のカルボキシレート基、メシレート、トシレート等のスルホネート基等が挙げられる。孤立電子対で配位可能な中性配位子の具体例としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィンなどの有機リン化合物、またはテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル類が挙げられる。これらのうち、Qは同一でも異なった組み合わせでもよいが、少なくとも一つはハロゲンまたはアルキル基であるのが好ましい。
本発明における上記メタロセン化合物の具体例としては、WO01/27124中に例示される化合物が好適に挙げられるが、特にこれによって本発明の範囲が限定されるものではない。
本発明における4−メチル−1−ペンテン系重合体の製造が、メタロセン触媒を用いて行われる場合、触媒成分は
(i)上記一般式(1)または(2)で表されるメタロセン化合物と、
(ii)(ii-1) 有機金属化合物、
(ii-2) 有機アルミニウムオキシ化合物、および
(ii-3) メタロセン化合物(i)と反応してイオン対を形成する化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物、
さらに必要に応じて、
(iii)微粒子状担体
から構成される、一般に公知の方法で重合触媒として用いることが出来、例えばWO01/27124記載の方法を採用することが出来る。
本発明では、重合は溶液重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法いずれにおいても実施できる。液相重合法においては、不活性炭化水素溶媒を用いてもよく、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを挙げることができ、重合に用いる4-メチル-1-ペンテンを含んだオレフィン類自身を溶媒として用いることもできる。
重合を行うに際して、成分(i)は、反応容積1リットル当り、通常10-8〜10-2モル、好ましくは10-7〜10-3モルとなるような量で用いられる。
成分(ii-1) は、成分(ii-1) と、成分(i)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(ii-1) /M〕が、通常0.01〜5000、好ましくは0.05〜2000となるような量で用いられる。成分(ii-2) は、成分(ii-2) 中のアルミニウム原子と、成分(i)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(ii-2) /M〕が、通常10〜5000、好ましくは20〜2000となるような量で用いられる。成分(ii-3) は、成分(ii-3) と、成分(i)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(ii-3) /M〕が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
また、このようなオレフィン重合触媒を用いたオレフィンの重合温度は、通常、−50〜400℃、好ましくは10〜300℃、より好ましくは10〜250℃の範囲である。重合温度が低すぎると単位触媒あたりの重合活性が低下や反応温度保持の困難性の観点から、工業的には不利な傾向がある。
重合圧力は、通常、常圧〜10MPaゲージ圧、好ましくは常圧〜5MPaゲージ圧の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
重合に際して生成ポリマーの分子量や極限粘度[η]、重合活性を制御する目的で水素を添加することができ、その量はオレフィン1kgあたり0.001〜100000NL程度が適当である。
本発明に用いる4-メチル-1-ペンテン系重合体は、重合品である場合には、例えば、4−メチル−1−ペンテンおよび炭素原子数2〜20のオレフィンの仕込量、重合触媒の種類、重合温度、重合時の水素添加量などを調整することにより、融点、立体規則性および分子量、極限粘度[η]等を制御することで作り分けることができる。また、熱分解品については、ベースとなる熱分解前の4-メチル-1-ペンテン系重合体を熱分解する際の分解温度、分解時間を制御することで、所望の分子量、極限粘度[η]等を得ることができる。
(B)シリコーン変性オレフィン樹脂
(B)シリコーン変性オレフィン樹脂は、(C)未変性のオレフィン樹脂を製造し、それを変性することにより得られることが好ましい。
<(C)未変性のオレフィン樹脂>
本発明の(C)未変性のオレフィン樹脂は、たとえば後述するようなメタロセン触媒を用いて、オレフィンとジエンとを共重合することにより得ることができる。
(オレフィン)
本発明の(C)未変性のオレフィン樹脂の製造に用いられるオレフィンとしては、エチレンおよび炭素原子数3〜12のα−オレフィンが挙げられる。
炭素原子数3〜12のα−オレフィンとしては、たとえば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられる。これらのうち、好ましくは炭素原子数3〜10のα−オレフィン、より好ましくは炭素原子数3〜8のα−オレフィン、特に好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンが望ましい。
(ジエン)
(C)未変性のオレフィン樹脂の製造に用いられるジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン(5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)、ジシクロペンタジエン、2−メチル−1,4−ヘキサジエン、2−メチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエンなどが挙げられる。これらのなかでは、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ブタジエン、イソプレン、2−メチル−1,4−ヘキサジエンまたは2−メチル−1,6−オクタジエンが好ましい。上記の中でもノルボルネン骨格を有する化合物はは、嵩高い構造を有するために、低密度であってもオレフィン樹脂を硬くでき、オレフィン樹脂製品のブロッキングを起こしにくいため、特に好ましい。
(C)未変性のオレフィン系樹脂は、上記のようなオレフィンとジエンとを共重合して得られるが、エチレンとジエンとの共重合体、またはエチレンと炭素原子数3〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンとジエンとの共重合体であることが好ましい。
本発明で用いる(C)未変性のオレフィン樹脂は、ジエンから導かれる構成単位を0.01〜6.0モル%、好ましくは0.1〜4.0モル%の割合で含有することが望ましい。また、(C)未変性のオレフィン樹脂が炭素原子数3〜12のα−オレフィンから導かれる構成単位を含有する場合は、その含有率は0.01〜15モル%、好ましくは0.1〜12モル%が望ましい。
本発明で用いる(C)未変性のオレフィン樹脂が、ジエンから導かれる構成単位を上記の範囲の割合で含有すると、重合活性も適度に高い。
また、炭素原子数3〜12のα−オレフィンから導かれる構成単位を上記の範囲の割合で含有すると、表面のタック感が少なく、機械的特性、衝撃性に優れる成形用樹脂組成物を得ることができる。
本発明で用いる(C)未変性のオレフィン樹脂は、平均で0.5〜3.0/分子、好ましくは0.5〜2.0個/分子、より好ましくは1.0〜2.0個/分子の範囲にある不飽和基含有量を有することが望ましい。(C)未変性のオレフィン系樹脂中の不飽和基含有量が上記範囲内にあると、すべての(C)未変性のオレフィン系樹脂にシリコーンが付加する可能性が高く、シリコーン変性オレフィン樹脂の基材密着性と表面滑性の両立に有利である。
なお、(C)未変性の樹脂中の不飽和基含有量は、以下のようにして測定される。13C−NMRによる不飽和部分の炭素のピーク面積と全炭素のピーク面積とを比較することにより、1,000炭素あたりの不飽和基数Mを得ることができる。1分子あたりの不飽和基含有量は、数平均分子量Mnを用いて、Mn×M/14,000により算出することができる。本発明において、1,000炭素あたりの不飽和基数Mは、1.4〜105個、好ましくは1.4〜70個、より好ましくは2.8〜70個が望ましい。
本発明で用いる(C)未変性のオレフィン樹脂は、密度勾配管法で測定した密度が870kg/m3〜980kg/m3である事が好ましい。好ましい下限値はは890kg/m3、より好ましくは910kg/m3、である。一方好ましい上限値は、980kg/m3、好ましくは970kg/m3、より好ましくは960kg/m3である。(C)未変性のオレフィン樹脂の密度が上記範囲内にあると、表面のタック感が少なく、機械的特性、衝撃性に優れる成形用樹脂組成物を得ることができる。
本発明で用いる(C)未変性のオレフィン樹脂は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が70℃以上、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、特に好ましくは100℃以上、かつ、130℃以下、好ましくは125℃以下、より好ましくは120℃以下であることが望ましい。(C)未変性のオレフィン樹脂の融点が上記範囲内にあると、表面のタック感が少なく、機械的特性、衝撃性に優れる成形用樹脂組成物を得ることができる。
本発明で用いる(C)未変性のオレフィン樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が400〜5,000、好ましくは400〜4000、より好ましくは400〜3000、特に好ましくは1,500〜2,500の範囲にあることが望ましい。(C)未変性のオレフィン樹脂のMnが上記範囲内にあると、表面のタック感が少なくなり、シリコーン変性オレフィン樹脂の表面活性が良好となる。
本発明で用いる(C)未変性のオレフィン樹脂は、GPCで測定した重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)が4.0以下、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下であることが望ましい。
なお、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される、ポリスチレン換算値である。ここで、GPCによる測定は、温度:140℃、溶媒:オルトジクロロベンゼンの条件下で行う。
本発明で用いる(C)未変性のオレフィン樹脂は、針入硬度が15dmm(dmm=0.1mm)以下、好ましくは10dmm以下、より好ましくは3dmm以下、特に好ましくは1dmm以下であることが望ましい。なお、針入硬度はJIS K2207に準拠して測定することができる。(C)未変性のオレフィン樹脂の針入硬度が上記範囲内にあると、塗工表面の機械的特性に優れる。
つまり、本発明に係る(C)未変性のオレフィン樹脂は、(C2)不飽和基含有量が0.5〜3.0個/分子であり、(C3)密度が870〜980kg/m3であり、(C4)融点が70〜130℃であり、(C5)数平均分子量(Mn)が400〜5,000であり、(C6)Mw/Mn(Mw:重量平均分子量)が4.0以下であることが望ましい。また、針入硬度が15dmm以下であることも望ましい。
また、本発明に係る(C)未変性のオレフィン樹脂がジエンとしてビニルノルボルンネン(5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)を用いて共重合されたものであることが望ましい。
(C)未変性のオレフィン樹脂は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が通常0.01〜0.5dl/g、好ましくは0.02〜0.3dl/gの範囲にあることが望ましい。
上述したような(C)未変性のオレフィン樹脂は、たとえば周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物および/またはイオン化イオン性化合物とからなる、以下のようなメタロセン系触媒を用いて製造することができる。
<メタロセン系触媒>
(メタロセン化合物)
メタロセン系触媒を形成するメタロセン化合物は、周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物であり、具体的な例としては下記式で表される化合物が挙げられる。
1Lx
ここで、M1は周期表第4族から選ばれる遷移金属、xは遷移金属M1の原子価、Lは配位子である。M1で示される遷移金属の例としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウムなどが挙げられる。Lは遷移金属M1に配位する配位子であって、そのうち少なくとも1個の配位子Lはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子である。このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は置換基を有していてもよい。シクロペンタジエニル骨格を有する配位子Lとしては、たとえば、シクロペンタジエニル基;メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n−またはi−プロピルシクロペンタジエニル基、n−、i−、sec−またはt−ブチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、メチルベンジルシクロペンタジエニル基等のアルキルまたはシクロアルキル置換シクロペンタジエニル基;インデニル基;4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基;フルオレニル基などが挙げられる。このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子Lの水素は、ハロゲン原子またはトリアルキルシリル基などで置換されていてもよい。
上記のメタロセン化合物が、配位子Lとしてシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を2個以上有する場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子同士が、エチレン、プロピレン等のアルキレン基;イソプロピリデン、ジフェニルメチレン等の置換アルキレン基;シリレン基またはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基等の置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子(シクロペンタジエニル骨格を有しない配位子)Lとしては、炭素原子数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルフォン酸含有基(−SO31)、ハロゲン原子または水素原子などが挙げられる。ここで、R1はアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アリール基、ハロゲン原子で置換されたアリール基またはアルキル基で置換されたアリール基である。
(メタロセン化合物の例−i)
上記式 M1Lx で表されるメタロセン化合物が、たとえば遷移金属の原子価が4である場合(x=4)、より具体的には下記式で表される。
2 k3 l4 m5 n1
ここで、M1は周期表第4族から選ばれる遷移金属、R2はシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)、R3、R4およびR5はそれぞれ独立にシクロペンタジエニル骨格を有する基または有しない基(配位子)である。kは1以上の整数であり、k+l+m+n=4である。
上記式 R2 k3 l4 m5 n1 において、M1がジルコニウムであり、かつシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも2個含むメタロセン化合物としては、たとえば、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1−メチル−3−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。これらの化合物において1,3−位置換シクロペンタジエニル基を1,2−位置換シクロペンタジエニル基に置き換えた化合物も用いることができる。
また、メタロセン化合物として、上記式 R2 k3 l4 m5 n1 において、R2、R3、R4およびR5のうち少なくとも2個の基、たとえばR2およびR3が、シクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であり、この少なくとも2個の基がアルキレン基、置換アルキレン基、シリレン基または置換シリレン基などを介して結合されているブリッジタイプのメタロセン化合物を使用することもできる。このとき、R4およびR5は、それぞれ独立に、前述したシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子Lと同様のものである。
このようなブリッジタイプのメタロセン化合物としては、エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
(メタロセン化合物の例−ii)
メタロセン化合物の例としては、下記式(3)で表される特開平4−268307号公報に記載のメタロセン化合物が挙げられる。
ここで、M1は周期表第4族遷移金属であり、具体的にはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムが挙げられる。R11およびR12はそれぞれ独立に、水素原子;炭素原子数1〜10のアルキル基;炭素原子数1〜10のアルコキシ基;炭素原子数6〜10のアリール基;炭素原子数6〜10のアリーロキシ基;炭素原子数2〜10のアルケニル基;炭素原子数7〜40のアリールアルキル基;炭素原子数7〜40のアルキルアリール基;炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基;またはハロゲン原子である。R11およびR12は、塩素原子であることが好ましい。
上記式(3)中、R13およびR14はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン化されていてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基、−N(R202、−SR20、−OSi(R203、−Si(R203または−P(R202である。ここで、R20はハロゲン原子、好ましくは塩素原子;炭素原子数1〜10、好ましくは1〜3のアルキル基;または炭素原子数6〜10、好ましくは6〜8のアリール基である。R13およびR14は、特に水素原子であることが好ましい。
上記式(3)中、R15およびR16の具体例は、水素原子を除いてR13およびR14と同じもので定義される。R15およびR16は、互いに同じでも異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。R15およびR16は、好ましくはハロゲン化されていてもよい炭素原子数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、トリフルオロメチル等が挙げられ、特にメチルが好ましい。
上記式(3)中、R17としては、
=BR21、=AlR21、−Ge−、−Sn−、−O−、−S−、=SO、=SO2、=NR21、=CO、=PR21、=P(O)R21などが挙げられる。
ここで、M2はケイ素、ゲルマニウムまたは錫であり、好ましくはケイ素またはゲルマニウムである。R21、R22およびR23はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のフルオロアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数6〜10のフルオロアリール基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基、または炭素原子数7〜40のアルキルアリール基である。「R21とR22と」または「R21とR23と」は、それぞれ、それらが結合する原子と一緒になって環を形成してもよい。また、R17は、=CR2122、=SiR2122、=GeR2122、−O−、−S−、=SO、=PR21または=P(O)R21であることが好ましい。R18およびR19はそれぞれ独立に、R21と同じものが例示できる。mおよびnはそれぞれ独立に、0、1または2、好ましくは0または1であり、m+nは0、1または2、好ましくは0または1である。
上記式(3)で表されるメタロセン化合物の例としては、たとえば、rac−エチレン(2−メチル−1−インデニル)2−ジルコニウム−ジクロライド、rac−ジメチルシリレン(2−メチル−1−インデニル)2−ジルコニウム−ジクロライドなどが挙げられる。これらのメタロセン化合物は、たとえば、特開平4−268307号公報に記載の方法で製造することができる。
(メタロセン化合物の例−iii)
メタロセン化合物として、下記式(4)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
式(4)中、M3は、周期表第4族の遷移金属原子を示し、具体的にはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムなどである。R24およびR25はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基を示す。R24は炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチルまたはプロピルの炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましい。R25は水素原子または炭化水素基が好ましく、特に水素原子、またはメチル、エチルもしくはプロピルの炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましい。R26、R27、R28およびR29はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基を示す。これらの中で、水素原子、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基であることが好ましい。R26とR27、R27とR28、R28とR29のうち少なくとも1組は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、単環の芳香族環を形成していてもよい。
また芳香族環を形成する基以外に、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基が2個以上ある場合には、これらが互いに結合して環状になっていてもよい。なおR29が芳香族基以外の置換基である場合、水素原子であることが好ましい。X1およびX2はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素原子含有基またはイオウ原子含有基を示す。Yは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR30−、−P(R30)−、−P(O)(R30)−、−BR30−または−AlR30−を示す。ここで、R30は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である式(6)において、R26とR27、R27とR28、R28とR29のうち少なくとも1組が互いに結合して形成する単環の芳香族環を含み、M3に配位する配位子としては、たとえば次式で表されるものが挙げられる。

(式中、Yは上記式(4)中のYと同じもので定義される。)
(メタロセン化合物の例−iv)
メタロセン化合物としては、また下記式(5)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
式(5)中、M3、R24、R25、R26、R27、R28およびR29は、上記(4)と同じもので定義される。R26、R27、R28およびR29のうち、R26を含む2個の基はアルキル基であることが好ましく、R26とR28、またはR28とR29がアルキル基であることが好ましい。このアルキル基は、2級または3級アルキル基であることが好ましく、ハロゲン原子、ケイ素含有基で置換されたものでもよい。ハロゲン原子、ケイ素含有基としては、R24およびR25で例示した置換基が挙げられる。R26、R27、R28およびR29のうち、アルキル基以外の基は、水素原子であることが好ましい。また、R26、R27、R28およびR29は、これらから選ばれる2種の基が互いに結合して芳香族環以外の単環あるいは多環を形成していてもよい。ハロゲン原子としては、上記R24およびR25と同様のものが挙げられる。X1、X2およびYは、前述のものと同様のものが挙げられる。
上記式(5)で表されるメタロセン化合物の具体的な例として、rac−ジメチルシリレン−ビス(4,7−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2,4,7−トリメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2,4,6−トリメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
これらの化合物において、ジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。遷移金属化合物は、通常ラセミ体として用いられるが、R型またはS型を用いることもできる。
(メタロセン化合物の例−v)
メタロセン化合物として、下記式(6)で表されるメタロセン化合物を使用することもできる。
式(6)中、M3、R24、X1、X2およびYは、上記式(4)と同じもので定義される。R24は炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチル、プロピルまたはブチルの炭素原子数1〜4のアルキル基であることが好ましい。R25は、炭素原子数6〜16のアリール基を示す。R25はフェニル、ナフチルであることが好ましい。アリール基は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基で置換されたものでもよい。X1およびX2としては、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
上記式(6)で表されるメタロセン化合物の具体的な例として、rac−ジメチルシリレン−ビス(4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−(α−ナフチル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−(β−ナフチル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−(1−アントリル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。また、これらの化合物において、ジルコニウム金属をチタニウム金属またはハフニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
(メタロセン化合物の例−vi)
メタロセン化合物として、下記式(7)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
LaM43 2 ・・・(7)
ここで、M4は周期表第4族またはランタニド系列の金属である。Laは非局在化π結合基の誘導体であり、金属M4活性サイトに拘束幾何形状を付与している基である。X3はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数20以下の炭化水素基、20以下のケイ素を含有するシリル基または20以下のゲルマニウムを含有するゲルミル基である。
この化合物の中では、次式(8)で示される化合物が好ましい。
式(8)中、M4は、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムである。X3は上記式(7)と同様のもので定義される。CpはM4にπ結合しており、かつ置換基Zを有する置換シクロペンタジエニル基である。Zは酸素、イオウ、ホウ素または周期表第4族の元素(たとえばケイ素、ゲルマニウムまたは錫)である。Yは窒素、リン、酸素またはイオウを含む配位子であり、ZとYとで縮合環を形成していてもよい。このような式(8)で表されるメタロセン化合物の具体的な例として、(ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シラン)チタンジクロリド、((t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイル)チタンジクロリドなどが挙げられる。また、このメタロセン化合物において、チタンをジルコニウムまたはハフニウムに置き換えた化合物を挙げることもできる。
(メタロセン化合物の例−vii)
メタロセン化合物としては、下記式(9)で表されるメタロセン化合物を使用することもできる。
式(9)中、M3は周期表第4族の遷移金属原子であり、具体的には、チタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。複数のR31は互いに同一でも異なっていてもよく、そのうち少なくとも1個が炭素原子数11〜20のアリール基、炭素原子数12〜40のアリールアルキル基、炭素原子数13〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数12〜40のアルキルアリール基またはケイ素含有基であるか、またはR31で示される基のうち隣接する少なくとも2個の基が、それらの結合する炭素原子とともに単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成している。この場合、R31により形成される環は、R31が結合する炭素原子を含んで全体として炭素原子数が4〜20である。複数のR31のうち、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アルキルアリール基および芳香族環、脂肪族環を形成しているR31以外のR31は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基またはケイ素含有基である。
32はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜40のアルキルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。
また、R32で示される基のうち隣接する少なくとも2個の基が、それらの結合する炭素原子とともに単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成していてもよい。この場合、R32により形成される環は、R32が結合する炭素原子を含んで全体として炭素原子数が4〜20である。複数のR32のうち、芳香族環、脂肪族環を形成しているR32以外のR32は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基またはケイ素含有基である。なお、R32で示される2個の基が単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成して構成される基にはフルオレニル基が次式のような構造を形成する基も含まれる。
32は、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、特に水素原子またはメチル、エチル、プロピルの炭素原子数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。R32を有するフルオレニル基としては、2,7−ジアルキル−フルオレニル基が好適な例として挙げられ、この場合のアルキル基としては、炭素原子数1〜5のアルキル基が挙げられる。また、R31とR32は互いに同一でも異なっていてもよい。R33およびR34はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜40のアルキルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。これらのうち、R33およびR34は、少なくとも一方が炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましい。
1およびX2はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基もしくは窒素含有基、またはX1とX2とから形成された共役ジエン残基である。X1とX2とから形成された共役ジエン残基としては、1,3−ブタジエン、2,4−ヘキサジエン、1−フェニル−1,3−ペンタジエン、1,4−ジフェニルブタジエンの残基が好ましく、これらの残基はさらに炭素原子数1〜10の炭化水素基で置換されたものでもよい。X1およびX2としては、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基またはイオウ含有基であることが好ましい。Yは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR35−、−P(R35)−、−P(O)(R35)−、−BR35−または−AlR35−を示す。ここで、R35は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。これらの2価の基のうち、−Y−の最短連結部が1個または2個の原子で構成されているものが好ましい。また、R35は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基が好ましい。Yは、炭素原子数1〜5の2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基または2価のゲルマニウム含有基であることが好ましく、2価のケイ素含有基であることがより好ましく、アルキルシリレン、アルキルアリールシリレンまたはアリールシリレンであることが特に好ましい。
(メタロセン化合物の例−viii)
メタロセン化合物としては、下記式(10)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
式(10)中、M3は周期表第4族の遷移金属原子であり、具体的にはチタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。R36はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。なお、上記アルキル基およびアルケニル基は、ハロゲン原子で置換されたものでもよい。R36は、これらのうち、アルキル基、アリール基または水素原子であることが好ましく、特にメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピルの炭素原子数1〜3の炭化水素基、フェニル、α−ナフチル、β−ナフチルなどのアリール基または水素原子であることが好ましい。R37はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜40のアルキルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。なお、上記アルキル基、アリール基、アルケニル基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基およびアルキルアリール基は、ハロゲンで置換されたものでもよい。R37はこれらのうち、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、特に水素原子またはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、tert−ブチルの炭素原子数1〜4の炭化水素基であることが好ましい。
また、上記R36とR37は互いに同一でも異なっていてもよい。R38およびR39は、いずれか一方が炭素原子数1〜5のアルキル基であり、他方は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。
これらのうち、R38およびR39は、いずれか一方がメチル、エチル、プロピルなどの炭素原子数1〜3のアルキル基であり、他方は水素原子であることが好ましい。X1およびX2はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基もしくは窒素含有基、またはX1とX2とから形成された共役ジエン残基である。これらのうち、ハロゲン原子または炭素原子数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。Yは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR40−、−P(R40)−、−P(O)(R40)−、−BR40−または−AlR40−を示す。ここで、R40は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。これらのうち、Yは、炭素原子数1〜5の2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基または2価のゲルマニウム含有基であることが好ましく、2価のケイ素含有基であることがより好ましく、アルキルシリレン、アルキルアリールシリレンまたはアリールシリレンであることが特に好ましい。
上述したメタロセン化合物は、単独であるいは2種以上を組み合せて用いられる。またメタロセン化合物は、炭化水素またはハロゲン化炭化水素などに希釈して用いてもよい。
(有機アルミニウムオキシ化合物)
有機アルミニウムオキシ化合物は、公知のアルミノオキサンであってもよく、またベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。このような公知のアルミノオキサンは、具体的には次式で表される。

ここで、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメチル基、エチル基、特に好ましくはメチル基であり、mは2以上、好ましくは5〜40の整数である。
アルミノオキサンは式−(OAl(R’))−で表されるアルキルオキシアルミニウム単位および式−(OAl(R”))−で表されるアルキルオキシアルミニウム単位からなる混合アルキルオキシアルミニウム単位により形成されていてもよい。ここで、R’およびR”は上記Rと同様の炭化水素基を例示することができ、R’およびR”は相異なる基を表す。なお、有機アルミニウムオキシ化合物は、少量のアルミニウム以外の金属の有機化合物成分を含有していてもよい。
(イオン化イオン性化合物)
イオン化イオン性化合物(イオン性イオン化化合物、イオン性化合物と称される場合もある)としては、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物を例示することができる。ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で表される化合物が挙げられる。ルイス酸の具体的なものとしては、トリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
上記イオン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などが挙げられる。イオン性化合物としてのトリアルキル置換アンモニウム塩としては、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。イオン性化合物としてのジアルキルアンモニウム塩としては、ジ(1−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
上記イオン性化合物としては、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることもできる。
上記ボラン化合物としては、デカボラン(9)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
上記カルボラン化合物としては、4−カルバノナボラン(9)、1,3−ジカルバノナボラン(8)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
このようなイオン化イオン性化合物は、単独であるいは2種以上組み合せて用いられる。
また、メタロセン系触媒を形成する際に、有機アルミニウムオキシ化合物および/またはイオン化イオン性化合物とともに、以下のような有機アルミニウム化合物を用いてもよい。
(有機アルミニウム化合物)
必要に応じて用いられる有機アルミニウム化合物としては、分子内に少なくとも1個のAl−炭素結合を有する化合物が使用できる。このような化合物としては、たとえば下記式(13)で表される有機アルミニウム化合物および下記式(12)で表される第1属金属とアルミニウムとの錯アルキル化物などが挙げられる。
(R6mAl(OR7np4 q ・・・(13)
(式中、R6およびR7はそれぞれ独立に、炭素原子を通常1〜15個、好ましくは1〜4個含む炭化水素基である。X4はハロゲン原子である。mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3を満たす数であって、かつm+n+p+q=3である。)
(M5)Al(R6) ・・・(14)
(式中、M5はLi、NaまたはKであり、R6は上記一般式(13)のR6と同じもので定義される。)
((C)未変性のオレフィン樹脂の製造方法)
本発明において用いる(C)未変性のオレフィン樹脂は、上記メタロセン系触媒の存在下に、エチレンとジエンとを通常液相で単独重合させるか、またはエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンから選択される少なくとも1種のα−オレフィンと少なくとも1種のジエンとを共重合させることにより得られる。この際、一般に炭化水素溶媒が用いられるが、α−オレフィンを溶媒として用いてもよい。なお、ここで用いる各モノマーは、前述した通りである。
重合方法は、(C)未変性のオレフィン樹脂がヘキサンなどの溶媒中に粒子として存在する状態で重合する懸濁重合、溶媒を用いないで重合する気相重合、そして140℃以上の重合温度で、(C)未変性のオレフィン樹脂が溶剤と共存または単独で溶融した状態で重合する溶液重合が可能であり、その中でも溶液重合が経済性と品質の両面で好ましい。
重合反応は、バッチ法あるいは連続法いずれの方法で行ってもよい。重合をバッチ法で実施するに際しては、前記の触媒成分は以下の濃度条件下で用いられる。
重合系内のメタロセン化合物の濃度は、通常0.00005〜0.1ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは0.0001〜0.05ミリモル/リットルである。
<(B)シリコーン変性オレフィン樹脂>
本発明において用いる(B)シリコーン変性オレフィン樹脂は上記の(C)未変性のオレフィン樹脂をハイドロジェンシリコーンでヒドロシリル化することにより得られるが、従来のオレフィン系樹脂と比較して、成形性、離型性、潤滑性に優れることが知られている。また、熱重量測定法により、昇温温度20℃/min・大気雰囲気中で測定した熱分解開始温度が高い特徴を有する。更にはウィルヘルミー白金プレート法による180℃における表面張力が低いことが特徴である。これらの特徴を用い、良好な成形性、離型性、表面滑り性、を付与することが可能である。
反応させるシリコーンとしては、従来技術で公知のいかなるハイドロジェンシリコーンを用いてもよいが、1分子に1個以上のヒドロシリル基(SiH結合)を有するハイドロジェンシリコーンが好ましい。また、シリコーンの側鎖にヒドロシリル基を有するものが好適であるが、両末端または片末端にヒドロシリル基を有するものも使用することが可能である。コスト面から、シリコーンの側鎖のみにヒドロシリル基を有するものが最も有利である。ハイドロジェンシリコーンとオレフィン系樹脂との反応は、公知の如く、無溶剤あるいは溶剤中で、白金系触媒を使用して実施される。反応温度は30℃〜200℃であり、特に120℃〜150℃であることが好ましい。オレフィン系樹脂の融点は120℃程度なので、反応温度を120℃以上とすることが、反応系を均一にする点で好ましい。ハイドロジェンシリコーンとオレフィン樹脂との反応モル比は、通常は、ハイドロジェンシリコーンに対してオレフィン樹脂が1.05〜1.2倍モル程度の小過剰となるような条件で実施されることが多いが、これに限定されるものではない。具体的には、キシレンなどの高沸点溶剤下で反応を行い、溶剤を減圧溜去してシリコーン変性オレフィン樹脂を得ることができる。
また、ハイドロジェンシリコーンとして、加水分解性の基を1分子中に2個以上有するシランあるいはシロキサン化合物を使用してもよい。この場合、その加水分解性の基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、;ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基などのケトオキシム基;アセトキシ基などのアシルオキシ基;イソプロペニルオキシ基、イソブテニルオキシ基などのアルケニルオキシ基;N−ブチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基などのアミノ基;N−メチルアセトアミド基などのアミド基などが挙げられる。これらのうち、アルコキシ基、ケトオキシム基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基が好ましい。
本発明を実施例により更に詳しく説明する。
(臨界表面張力)
臨界表面張力測定用の試験サンプルの調整は以下の通りとし、それぞれ臨界表面張力を測定した。SUSプレート上にオレフィン樹脂系重合体をキャスティングした。キャスティングは、窒素雰囲気下、250℃×5分の条件にて、オレフィン樹脂系重合体をSUSプレート上に加熱溶融し、その後、常温に戻し固化させる方法とした。本試験サンプルの表面について、臨界表面張力を測定した。臨界表面張力は、以下の方法により測定した。画像処理式・固液界面解析システム(協和界面科学社製Dropmaster500)を用いて、23℃、50%RHの雰囲気下で、試験サンプル表面に表面張力の判明している4種類のぬれ張力試験用混合液(例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル/ホルムアミド、表面張力各31、34、37、40mN/m)を滴下し、接触角を測定した。測定は5枚の試験サンプルについて行い、その平均値を求めた。この接触角θから算出されるcosθ(Y軸)と、試験用混合液の表面張力(X軸)とから得られる点(5個以上)をX−Y座標にプロットし、これらの点の最小二乗法より得られる直線と、cosθ=1との交点に対応する表面張力(X軸)を臨界表面張力(mN/m)とした。
(密度)
密度勾配管法で測定した。
(融点)
融点は、示差走査型熱量計(DSC:パーキンエルマー社製 Diamond DSC装置)を用いて、試料約5mgをアルミパンに詰めて280℃まで昇温し、280℃で5分間保持した後、10℃/分で30℃まで冷却し、30℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温する際の吸熱ピークを融点とした。
(分子量(分布))
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。条件を下記する。
装置 :ゲル浸透クロマトグラフAlliance GPC2000型(Waters社製)
溶剤 :o−ジクロロベンゼン
カラム:TSKgelカラム(東ソー社製)×4
流速 :1.0mL/分
試料 :0.15mg/mL o−ジクロロベンゼン溶液
温度 :140℃
分子量換算:PE換算/汎用較正法
なお、汎用較正の計算には、以下に示すMark−Houwink粘度式の係数を用いた。
ポリスチレン(PS)の係数:KPS=1.38×10-4、 aPS=0.70
ポリエチレン(PE)の係数:KPE=5.06×10-4、 aPE=0.70
(極限粘度)
デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した。サンプル約20mgをデカリン15mllに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度として求めた。
[η]= lim(ηsp/C) (C→0[分子量])

[合成例1] 4−メチル−1−ペンテン系樹脂(A−1)
攪拌機付きステンレス製耐圧オートクレーブ中に窒素雰囲気下で、4-メチル-1−ペンテン400ml、1−デセン4ml、水素3000ml、特開2003−105022号公報の実施例4に記載の予備重合触媒をチタン原子換算で0.004mmolとトリエチルアルミニウムを0.5mmolとからなるオレフィン重合用触媒を装入し、重合反応を行い、58gの4-メチル-1-ペンテン系重合体(A−1)を得た。重合温度は40℃、重合時間は2時間とした。
このようにして得られた4−メチル−1−ペンテン/1−デセン共重合体は4−メチル−1−ペンテンの含有量が95.9重量%、融点が231℃、極限粘度[η]が1.14g/dl、GPCで測定したMw=272000、Mn=76300であり、Mw/Mn=3.56であった。

[合成例2]4−メチル−1−ペンテン系樹脂(A−2)
固体状チタン触媒は特開2008−144155記載の方法で調製を行った。乾燥窒素気流下で内容積1.5リットルのオートクレーブに、室温でノルマルヘキサン320ml、4−メチル−1−ペンテン350ml、1−ヘキセン80ml、2.25mmolのトリエチルアルミニウム(東ソー・ファインケム社製)、0.5625mmolの2−イソブチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパンを装入した。装入後、水素125mlを導入し60℃に保った。ついで固体状チタン触媒成分をチタン原子換算で0.0225mmolを加え、オートクレーブ内を60℃に保ちながら0.5時間重合を行った。メタノールをオートクレーブ内に導入して重合を終了し、重合液をメタノール中に注ぎ込みポリマーを析出させ回収した。得られたポリマーは減圧下130℃で10時間乾燥し、40.7gの重合体(A−2)が得られた。このようにして得られた4−メチル−1−ペンテン/1−ヘキセンランダム共重合体は4−メチル−1−ペンテンの含有量が54.6重量%、融点が164℃、極限粘度[η]が2.15g/dl、GPCで測定したMw=699000、Mn=57000であり、Mw/Mn=12.26であった。

[合成例3]4−メチル−1−ペンテン系樹脂(A−3)
充分に窒素置換したガラス製フラスコにイソプロピル(3−t−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド0.5μmolを加え、そこへ助触媒として東ソー・ファインケム社製MMAO(製品名MMAO−3A)のヘキサン溶液をAl原子換算で0.25mmolを添加することにより触媒溶液を得た。
撹拌器を備え、充分に窒素置換した内容積1リットルのガラス製オートクレーブにデカン400ml、4−メチル−1−ペンテン100mlを装入し、これに水素(6リットル/時間)を流通させ、30℃で10分間放置した。その後、トリイソブチルアルミニウム0.25mmol、引き続き、上記で調製した触媒溶液を加え重合を開始した。水素(6リットル/時間)を連続的に供給し、常圧下、30℃で1時間重合を行った後、少量のメタノールを添加し重合を停止した。重合液を4リットルのメタノール/アセトン混合液(体積比4/1)に注ぎ込み、濾過により重合体を回収した。得られた重合体は減圧下80℃で10時間乾燥し、15.5gの重合体(A−3)が得られた。このようにして得られた4−メチル−1−ペンテン重合体は4−メチル−1−ペンテンの含有量が100重量%、融点が212℃、極限粘度[η]が0.08dl/g、GPCで測定したMw=9040、Mn=4650であり、Mw/Mn=1.94であった。

[合成例4]4−メチル−1−ペンテン系樹脂(A−4)
充分に窒素置換したガラス製フラスコにイソプロピル(3−t−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド1μmolを加え、そこへ助触媒として東ソー・ファインケム社製MMAO(製品名MMAO−3A)のヘキサン溶液をAl原子換算で0.5mmolを添加することにより触媒溶液を得た。
撹拌器を備え、充分に窒素置換した内容積1リットルのガラス製オートクレーブにデカン567ml、4−メチル−1−ペンテン180ml、1−デセン3mlを装入し、これに水素(6リットル/時間)を流通させ、30℃で10分間放置した。その後、トリイソブチルアルミニウム0.375mmol、引き続き、上記で調製した触媒溶液を加え重合を開始した。水素(6リットル/時間)を連続的に供給し、常圧下、30℃で1時間重合を行った後、少量のメタノールを添加し重合を停止した。重合液を4リットルのメタノール/アセトン混合液(体積比4/1)に注ぎ込み、濾過により重合体を回収した。得られた重合体は減圧下80℃で10時間乾燥し、36.4gの重合体(A−4)が得られた。このようにして得られた4−メチル−1−ペンテン重合体は4−メチル−1−ペンテンの含有量が96.9重量%、融点が208℃、極限粘度[η]が0.11dl/g、GPCで測定したMw=12000、Mn=5740であり、Mw/Mn=2.09であった。

[合成例5]4−メチル−1−ペンテン系樹脂(A−5)
充分に窒素置換したガラス製フラスコにイソプロピル(3−t−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド1μmolを加え、そこへ助触媒として東ソー・ファインケム社製MMAO(製品名MMAO−3A)のヘキサン溶液をAl原子換算で0.5mmolを添加することにより触媒溶液を得た。
攪拌器を備え、充分に窒素置換した内容積1リットルのガラス製オートクレーブにデカン561ml、4−メチル−1−ペンテン180ml、高純度のヘキサデセンとオクタデセンとの混合物である三菱化学社製ダイアレンD168(登録商標)(9ml)を装入し、これに水素(6リットル/時間)を流通させ、30℃で10分間放置した。その後、トリイソブチルアルミニウム0.375mmol、引き続き、上記で調製した触媒溶液を加え重合を開始した。水素(6リットル/時間)を連続的に供給し、常圧下、30℃で1時間重合を行った後、少量のメタノールを添加し重合を停止した。重合液を4リットルのメタノール/アセトン混合液(体積比4/1)に注ぎ込み、濾過により重合体を回収した。得られた重合体は減圧下80℃で10時間乾燥し、37.6gの重合体(A−5)が得られた。このようにして得られた4−メチル−1−ペンテン重合体は4−メチル−1−ペンテンの含有量が93.5モル%、融点が192℃、極限粘度[η]が0.13dl/g、GPCで測定したMw=15900、Mn=4010であり、Mw/Mn=3.97であった。


[合成例6]4−メチル−1−ペンテン系樹脂(A−6)
攪拌装置、窒素導入管、コンデンサーを備えた1.5Lステンレス製熱分解装置に合成例1で得た重合体(A−1)を200g入れ、系内を充分に窒素置換した。窒素雰囲気にて熱分解装置を350℃まで昇温し樹脂を溶融した後、攪拌を開始した。系内の樹脂温度が所定温度に達してから2時間加熱し熱分解を実施した。その後、常温まで冷却することにより、4-メチル-1-ペンテン系ポリマーの熱分解物(A−6)を得た。重合体は極限粘度[η]が0.23dl/g、GPCで測定したMw=28900、Mn=7060であり、Mw/Mn=4.10であった。

[合成例7]4−メチル−1−ペンテン系樹脂(A−7)
攪拌装置、窒素導入管、コンデンサーを備えた1.5Lステンレス製熱分解装置に合成例2で得た重合体(A−2)を200g入れ、系内を充分に窒素置換した。次に、窒素を流入したまま熱分解装置を所定温度まで昇温し樹脂を溶融した後攪拌を開始した。系内の樹脂温度が所定温度に達してから2時間加熱し熱分解を実施した。その後、熱分解装置を250℃まで冷却した後、4-メチル-1-ペンテン系ポリマーの熱分解物(A−7)を得た。重合体は極限粘度[η]が0.14dl/g、GPCで測定したMw=16780、Mn=5450であり、Mw/Mn=3.08であった。


(A−1)〜(A−7)7のオレフィン樹脂性状を表1に示す。
<合成例8>シリコーン変性オレフィン樹脂(B-1)
原料オレフィン樹脂(C-1)の調製
充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブにヘキサン1000ml、ビニルノルボルネン(5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン)50mlを装入し、水素を0.3MPa(ゲージ圧)となるまで導入した。次いで、系内の温度を150℃に昇温した後、トリイソブチルアルミニウム0.3ミリモル、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.004ミリモル、(t-ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド(シグマアルドリッチ社製)0.02ミリモルをエチレンで圧入することにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を2.9MPa(ゲージ圧)に保ち、150℃で20分間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンおよびビニルノルボルネンをパージした。得られたポリマー溶液を、100℃減圧下で一晩乾燥した。以上のようにして1,000炭素あたりの不飽和基数が11.8個、ビニルノルボルネン含有量が10.1重量%(不飽和基含有量(平均)=1.1個/分子)であり、密度が956kg/m3であり、融点が117℃であり、針入硬度が1以下であり、Mnが1,300であり、Mwが3,700であり、Mw/Mnが2.8である不飽和基含有ポリエチレン系樹脂(C-1)を得た。
シリコーン変性オレフィン樹脂(B-1)の調製
次に、ポリエチレン系樹脂(C-1)130gを、下記の平均構造式で表される片末端ハイドロジェンシリコーン(1)310g、キシレン2Lおよび塩化白金酸の3%イソプロパノール溶液0.5gとともにキシレン還流下で5時間反応させた。減圧、加熱下で溶剤を留去してシリコーン変性オレフィン樹脂(B-1)を得た。

<合成例9>シリコーン変性オレフィン樹脂(B-2)
原料オレフィン樹脂(C-2)の調製
充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブにヘキサン950mlおよびプロピレン50ml、イソプレン70mlを装入し、水素を0.2MPa(ゲージ圧)となるまで導入した。次いで、系内の温度を150℃に昇温した後、トリイソブチルアルミニウム0.3ミリモル、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.004ミリモル、(t-ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド(シグマアルドリッチ社製)0.02ミリモルをエチレンで圧入することにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を2.9MPa(ゲージ圧)に保ち、150℃で20分間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンおよびプロピレンをパージした。得られたポリマー溶液を、100℃減圧下で一晩乾燥した。以上のようにして1,000炭素あたりの不飽和基数が6.0個、イソプレン含有量が2.4重量%(不飽和基含有量(平均)=1.5個/分子)であり、密度が915kg/m3であり、融点が104℃であり、針入硬度が4であり、Mnが3,500であり、Mwが5,600であり、Mw/Mnが1.6である不飽和基含有ポリエチレン系樹脂(C-2)を得た。
シリコーン変性オレフィン樹脂(B-2)の調製
ポリエチレン系樹脂(C-1)をポリエチレン系樹脂(C-2)350gに変更した以外は、合成例8と同様にしてシリコーン変性オレフィン樹脂(B-2)を得た。

<合成例10>シリコーン変性オレフィン樹脂(B-3)
原料オレフィン樹脂(C-3)の調製
充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブにヘキサン970mlおよびプロピレン30ml、ビニルノルボルネン(5-ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン)50mlを装入し、水素を0.3MPa(ゲージ圧)となるまで導入した。次いで、系内の温度を150℃に昇温した後、トリイソブチルアルミニウム0.3ミリモル、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.004ミリモル、(t-ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド(シグマアルドリッチ社製)0.02ミリモルをエチレンで圧入することにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を2.9MPa(ゲージ圧)に保ち、150℃で20分間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンおよびビニルノルボルネンをパージした。得られたポリマー溶液を、100℃減圧下で一晩乾燥した。以上のようにして1,000炭素あたりの不飽和基数が12.8個、ビニルノルボルネン含有量が11.0重量%(不飽和基含有量(平均)=1.1個/分子)であり、密度が919kg/m3であり、融点が107℃であり、Mnが1,200であり、針入硬度が13であり、Mwが3,900であり、Mw/Mnが3.3である不飽和基含有ポリエチレン系樹脂(C-3)を得た。
シリコーン変性オレフィン樹脂(B-2)の調製
ポリエチレン系樹脂(C-1)をポリエチレン系樹脂(C-3)120gに変更した
以外は、合成例8と同様にしてシリコーン変性オレフィン樹脂(B-3)を得た。

オレフィン樹脂
ポリエチレン系ワックス(エクセレックス30050B;三井化学(株)製)をC−4とした。
ポリプロピレン系ワックス(ハイワックスNP055;三井化学(株)社製)をC−5とした。

(B−1)〜(B−3)、(C−1)、(C−4)、(C−5)の臨界表面張力および(C−1)〜(C−5)の樹脂性状(密度、融点、分子量(分布)、不飽和基含有数)を表2に示す。
実施例1〜10、比較例1〜3
実施例1〜10として、合成例1〜10で得られた樹脂であるA−1〜A−7、B−1〜B−3を用いた塗料を以下のように調製し評価した。
比較例1〜3として、C−1、C−4,C−5の樹脂を用いた塗料を同様に調製、評価した。
(溶媒分散液の調整)
攪拌装置、コンデンサーを備えた300mlの枝付きナスフラスコに、合成例1〜10で得られたオレフィン樹脂系重合体、および比較例1〜3のオレフィン系樹脂を10gとメチルシクロヘキサン100gを入れ、100℃に加熱したオイルバスにセットした。攪拌しながらフラスコ系内を100℃まで昇温し30分間保持した。その後、オイルバスを外し攪拌しながら室温で徐冷した。

(塗工サンプルの調整)
メチルシクロヘキサンに分散/溶解させたオレフィン樹脂系塗料を40℃に調整し、12cm×16cmに切り出したポリイミドフィルム上に、バーコーターNo12を用い塗布した。室温乾燥で塗工面が白濁した場合は、250℃に昇温したエアーオーブンに20秒間保持し焼き付けをした。得られた膜厚は約3μmとした。

(溶媒溶解性)
メチルシクロヘキサン媒体中でオレフィン樹脂10重量%の濃度に於いて、45℃における溶解状態を目視にて判定した。○:溶解、×:不溶
(塗料粘度)
メチルシクロヘキサン媒体中でオレフィン樹脂10重量%の濃度に於いて、45℃における60回転粘度をB型粘度計で測定した。
(静置安定性)
メチルシクロヘキサン媒体中でオレフィン樹脂10重量%の濃度に於いて、室温で1日静置した後の状態を目視で判定した。○:初期状態同等、△:沈降する。
(塗工性(面感))
常温、あるいは250℃焼付後の塗膜表面を目視で観測した。◎:平滑、○:若干の凹凸が見られるがほぼ平滑、△:凹凸が見られる。
(離型性)
170℃x5MPax30分の条件にてコート面同士の離型力を評価した。
○:容易に剥離
×:剥離時に抵抗有り
結果を表3、表4に示す

Claims (6)

  1. 有機溶剤100重量部に対し、臨界表面張力が22mN/m以上28mN/m未満であるオレフィン樹脂3〜50重量部を溶解または分散してなる溶解/分散液であることを特徴とするオレフィン樹脂系塗料
  2. メチルシクロヘキサン媒体中で前記オレフィン樹脂10重量%の濃度、温度45℃において溶解しており、かつ45℃での60回転粘度が1500mPa・s以下であることを特徴とする請求項1記載のオレフィン樹脂系塗料
  3. オレフィン樹脂が少なくとも4−メチル−1−ペンテンを構成成分として含むオレフィン樹脂(A)、もしくは、オレフィン樹脂をヒドロシリル化して得られたシリコーン変性オレフィン樹脂(B)のいずれかであることを特徴とする請求項1記載のオレフィン樹脂系塗料
  4. 前記4−メチル−1−ペンテンを構成成分として含むオレフィン樹脂(A)が下記(A1)〜(A3)
    (A1)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位が40〜100重量%であり、4−メチル−1−ペンテン以外の炭素原子数が2〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のオレフィンから導かれる構成単位の合計が0〜60重量%である4−メチル−1−ペンテン系重合体である、
    (A2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.0〜20.0の範囲にある、
    (A3)示差走査熱量計で測定した融点(Tm)が100〜245℃の範囲にある、
    を満たすことを特徴とする請求項3記載のオレフィン樹脂系塗料
  5. 前記シリコーン変性オレフィン樹脂(B)が、下記(C1)〜(C6)を満たす未変性オレフィン樹脂(C)と、1分子に1個以上のSiH結合を有するハイドロジェンシリコーンとを、触媒存在下で付加反応させることにより得られることを特徴とする請求項3に記載のオレフィン樹脂系塗料
    (C1)エチレンと少なくとも1種のジエンとを共重合して得られる共重合体、またはエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンと少なくとも1種のジエンとを共重合して得られる共重合体
    (C2)1分子あたりの不飽和基含有量が0.5〜3.0個。
    (C3)密度が870〜980kg/m3
    (C4)融点が70〜130℃。
    (C5)数平均分子量(Mn)が400〜5,000。
    (C6)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4.0以下。
  6. 前記(C1)のジエンがビニルノルボルネン(5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)であることを特徴とする請求項5記載のオレフィン樹脂系塗料
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