JP2010150170A - アルキルケテンダイマーの製造方法 - Google Patents

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文仁 鳥井
Takenori Masumoto
雄徳 増本
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Abstract

【課題】有機溶媒不存在下で不純物の少ない、高純度のアルキルケテンダイマーを収率よく製造する方法の提供。
【解決手段】有機溶媒不存在下で、脂肪酸クロライドと三級アミン混合物とを反応させてアルキルケテンダイマーを製造する方法において、三級アミン混合物がトリエチルアミンと式(1)で示す三級アミンをモル比3/2〜19/1で混合して構成され、脂肪酸クロライド1モルに対して三級アミン混合物1〜1.15モルを使用することを特徴とするアルキルケテンダイマーの製造方法。
【化1】
Figure 2010150170

(式中、Rは炭素数3〜14の炭化水素基である。)
【選択図】 なし

Description

本発明はアルキルケテンダイマーの製造方法に関し、更に詳しくは有機溶媒不存在下で高純度のアルキルケテンダイマーを収率よく得ることのできるアルキルケテンダイマーの製造方法に関する。
長鎖アルキルケテンダイマーは、中性サイズ剤(にじみ防止剤)として製紙工業において一般的に用いられている。一般にアルキルケテンダイマーは、脂肪酸クロライドと三級アミンとの脱塩化水素反応で生じるアルキルケテンが二量化反応することによって製造されているが、この際の反応液はアルキルケテンダイマーに不溶の三級アミン塩酸塩を含む高粘度のスラリーとなる。このため、反応熱の除去を容易に行う目的で、原料及び最終生成物に不活性なアルカン、シクロアルカンや芳香族炭化水素等の不活性有機溶媒を用い、反応液の粘度を低下させて製造している。
しかしながら、このような方法では、食品包装用紙の製造に用いる場合、アルキルケテンダイマー中の不活性有機溶媒を食品衛生上安全なレベルまで除去するために、高温、長時間の加熱処理が必要であり、この結果、アルキルケテンダイマーの品質が加熱により低下する欠点を有する。また、釜歩留まりが低下するとともに、有機溶媒の保管設備および有機溶媒の回収設備が必要となり、生産性が低下するという欠点を有する。更に、作業者の健康面、あるいは環境に対して悪影響を及ぼすので、設備対策が必要となる。
このため、有機溶媒を使用せずに、アルキルケテンダイマーを製造する方法が検討されてきた。しかし、上述のように三級アミン塩酸塩を含有するアルキルケテンダイマーの反応液は、高粘度のスラリーとなり、反応液の混合あるいは反応熱を除去することが困難となる。反応液の混合が不充分となると、原料の三級アミンあるいは脂肪酸クロライドが部分的に過剰になり、更にこのような条件で反応熱の除去が不充分になると、(1)三級アミンが過剰の条件では、三量体、四量体等の多量体を生成しやすくなり、(2)脂肪酸クロライドが過剰の条件では、アルキルケテンダイマーの分解を促進する、あるいは未反応の脂肪酸クロライドが残り、後処理工程において、脂肪酸および脂肪酸三級アミン塩となり、収率および純度の低下の原因となる。
これらの問題を解決するために、特許文献1では、有機溶媒不存在下で、カルボン酸クロライドをトリエチルアミン1モル当たり3モル/時以下の速度で供給を行うことにより粘度を調整しながら反応を行い、反応後に希塩酸水溶液等で処理することを特徴とする長鎖ケテンダイマーの製造法が開示されている。また、特許文献2では、激しい混合下で、カルボン酸塩化物と第三級アミンとを所定のモル比、温度、滞留時間で反応させる方法が開示されている。更に、特許文献3では、付加的な溶媒の実質的な不在下、少なくとも1.15モルの三級アミンを脂肪酸ハライド1モルに対して使用し、三級アミンを反応体及び溶媒/希釈剤として使用し、三級アミンのストリッピング、続いて三級アミンハロゲン化水素塩の分離によりケテン二量体を得ることが開示されている。
しかしながら、特許文献1〜3の製造方法では、反応に三量体、四量体等の多量体等の不純物が多く生成し、高純度のアルキルケテンダイマーが得られないという課題を有する。近年、アルキルケテンダイマーを使用した乳化剤は、輸送コストを下げる等の理由から、高濃度化が行われており、三量体、四量体等の不純物の少ない高純度のアルキルケテンダイマーが求められているので、特許文献1〜3の製造方法では、その要求に応えることが困難である。また、特許文献1〜3の製造方法は、収率の点でも更なる改善が望まれる。
特開平5−271212号公報 特表2006−505487号公報 特開平6−256333号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、有機溶媒不存在下で不純物の少ない、高純度のアルキルケテンダイマーを収率よく製造する方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、トリエチルアミンと特定の構造の三級アミンとを特定の割合で混合した三級アミン混合物を脂肪酸クロライドに対して特定の量反応させることにより上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、有機溶媒不存在下で、脂肪酸クロライドと三級アミン混合物とを反応させてアルキルケテンダイマーを製造する方法において、三級アミン混合物がトリエチルアミンと式(1)で示す三級アミンをモル比3/2〜19/1で混合して構成され、脂肪酸クロライド1モルに対して三級アミン混合物1〜1.15モルを使用することを特徴とするアルキルケテンダイマーの製造方法である。
Figure 2010150170
(式中、Rは炭素数3〜14の炭化水素基である。)
本発明のアルキルケテンダイマーの製造方法では、トリエチルアミンと式(1)で示す三級アミンとが所定のモル比で混合された三級アミン混合物を用いて脂肪酸クロライドと反応させているので、反応液の流動性が向上する。したがって、反応工程において、三量体、四量体等の多量体等の不純物の生成が抑制されるとともに、反応終了後の中和・水洗工程において、反応副生物である三級アミン塩酸塩や未反応の三級アミンと希塩酸水溶液等の酸性水溶液との混合性が低下し難くなり、アルキルケテンダイマーと不純物との分離が容易となるので、不純物の少ない高純度のアルキルケテンダイマーを収率よく得ることができる。
本発明のアルキルケテンダイマーの製造方法は、有機溶媒不存在下で、脂肪酸クロライドと三級アミン混合物とを反応させてアルキルケテンダイマーを製造する方法である。
本発明において「有機溶媒不存在」とは、反応原料に対して不活性な有機溶媒が実質的に存在しないことを言う。反応原料に対して不活性な有機溶媒とは、反応原料や最終生成物に対して化学反応を生じない有機化合物であり、例えば、アルカン、アルケン等の脂肪族化合物、シクロアルカン、シクロアルケン等の脂環式化合物、トルエン、ベンゼン等の芳香族化合物が挙げられる。
本発明のアルキルケテンダイマーの製造方法において使用する脂肪酸クロライドは、カルボニル基に隣接する炭素原子に少なくとも1つの水素原子を持つ脂肪酸クロライドであれば特に限定されるものではないが、例えば、炭素数8〜22の飽和脂肪酸クロライド、炭素数8〜22の不飽和脂肪酸クロライドまたはこれらの混合物が好ましい。上記飽和脂肪酸クロライドとしては、カプリル酸クロライド、カプリン酸クロライド、ラウリン酸クロライド、ミリスチン酸クロライド、パルミチン酸クロライド、ステアリン酸クロライド、アラキン酸クロライド、ベヘニン酸クロライド等が挙げられる。不飽和脂肪酸クロライドとしては、ウンデシレン酸クロライド、ミリストレン酸クロライド、パルミトレイ酸クロライド、オレイン酸クロライド、エライジン酸クロライド、エルカ酸クロライド、リノール酸クロライド、リノレン酸クロライド、エイコサペンタエン酸クロライド、ドコサヘキサエン酸クロライド等が挙げられる。
本発明のアルキルケテンダイマーの製造方法において使用する三級アミン混合物は、トリエチルアミンと下記式(1)で示す三級アミンとが混合して構成されている。
Figure 2010150170
上記式(1)において、Rは炭素数3〜14の炭化水素基である。炭化水素基としては、直鎖、分岐あるいは環状の炭化水素基が挙げられる。直鎖の炭化水素基としては、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラドデシル基、分岐の炭化水素基としては、イソプロピル基、イソブチル基、環状の炭化水素基としては、シクロヘキシル基などが挙げられる。反応液の流動性を向上させて、収率および純度をより向上させる面から、Rは好ましくは炭素数3〜14の直鎖炭化水素基であり、更に好ましくは炭素数4〜12の直鎖炭化水素基である。
Rの炭素数が3未満の場合は、式(1)の三級アミンの揮発性が高く、反応時の取り扱いが困難になり、設備上の対応が必要になるおそれがある。一方、Rの炭素数が14を超える場合は、反応液の流動性が低下し、アルキルケテンダイマーの収率および純度が低下するおそれがある。
また、三級アミン混合物におけるトリエチルアミンと式(1)の三級アミンのモル比は、3/2〜19/1であり、好ましくは7/3〜23/2、更に好ましくは4/1〜9/1である。トリエチルアミンと式(1)の三級アミンのモル比が本発明の範囲を外れる場合は、反応液の流動性が低下し、アルキルケテンダイマーの収率および純度が低下するおそれがある。
トリエチルアミンと式(1)の三級アミンとが混合して構成された三級アミン混合物は、脂肪酸クロライド1モルに対して、1〜1.15モル使用し、好ましくは1.03〜1.12モル使用する。三級アミン混合物の量が1モル未満であると、未反応の脂肪酸クロライドが残存し、中和・水洗工程および脱水工程において脂肪酸に分解し、あるいはアルキルケテンダイマーの分解を促進し、純度および収率が低下するおそれがある。また、三級アミン混合物の量が1.15モルを超えると、アルキルケテンの三量体、四量体等の副生成物が生成し、得られるアルキルケテンダイマーの純度が低下するおそれがある。脂肪酸クロライドと三級アミン混合物との反応は、通常、50〜70℃で既知の設備を用いて行なうことができる。
脂肪酸クロライドと三級アミン混合物との反応が終了した後、脂肪酸クロライドと三級アミン混合物との反応により生成した三級アミン塩酸塩および過剰の三級アミンを中和・水洗により除去する。三級アミン塩酸塩および過剰の三級アミンを中和するに際してはアミン価を測定して行い、塩酸水溶液等の酸性水溶液を用いて中和・水洗を行う。中和・水洗は、通常、50〜70℃で攪拌して行う。その後、静置して分層させ、下層を除去した後、水分を減圧留去する。更に、必要に応じて、残存し得る三級アミン塩酸塩や固体残渣を除去するために、濾過を行なっても良い。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお、以下に示す実施例および比較例における純度はモノメチルアミン(MMA)による定量法〔油化学:p279、第8巻第7号(1959)〕により測定し、遊離脂肪酸はアルキルケテンダイマーをアセトン/水=5/4溶液に分散させ、NaOH水溶液により滴定して測定した。
また、実施例および比較例にてトリエチルアミンと組み合わせて使用する式(1)で示す三級アミンを表1(A成分)に、三級アミン比較成分を表2(B成分)に、脂肪酸クロライドを表3(C成分)に示した。
(実施例1)
(株)神鋼環境ソリューション製のフルゾーン攪拌翼(翼径:0.06m)、ジャケット、温度計、滴下装置、還流冷却管、真空ポンプを備えた容量2.0Lの反応槽(槽径:0.1m)にトリエチルアミン205.5g(2.03モル)、ジメチルイソプロピルアミン19.7g(0.23モル)を仕込み、350rpmで攪拌しながら内温を55℃に昇温した。次に、1618クロライド600.0g(2.05モル、パルミチン酸クロライドとステアリン酸クロライドのモル比1:1.67の混合物)を内温60±2℃に保ちながら1時間に渡って滴下した。滴下終了後、内温60±2℃に保ちながら1時間保持した。1618クロライド滴下中および滴下終了後の1時間反応工程において反応混合物の流動性は良好であった。次いで、アミン価を測定したところ6.7であった。下記式(2)より算出した2%の塩酸水溶液215.8gを加え、内温60±2℃に保ちながら三級アミン塩酸塩が溶解するまで攪拌した。溶解までに約3分間要した。続いて1時間に渡って静置、下層の三級アミン塩酸塩溶液を除去した。
なお、塩酸水溶液による三級アミン塩酸塩の溶解時間は、反応液(反応物スラリー)の流動性と相関しており、アルキルケテンダイマーの純度や収率とも相関している。すなわち、反応液の流動性が良好であれば、塩酸水溶液との混合性も良好であり、三級アミン塩酸塩の溶解時間、言い換えれば中和・水洗工程に要する時間が短い。しかし、反応液の流動性が悪いと、塩酸水溶液との混合性も悪くなるので、中和・水洗工程に長時間を要することになり、反応物の乳化が生じたり、アルキルケテンダイマーの脱炭酸反応が生じたりして、アルキルケテンダイマーの収率および純度の低下を引き起こす。
塩酸(g)=(アミン価×全仕込量(g)×36.5×1.2)/(56.11×1000×0.02)・・・式(2)
更に90℃、0.80kPaで1時間脱水後、濾過を行い、アルキルケテンダイマー498.6gを得た。得られたアルキルケテンダイマーの純度は93.9重量%、遊離脂肪酸が0.8重量%、アルキルケテンの三量体、四量体及びその他不明成分は5.3重量%であった。
(実施例2〜10)
表4に示すアミンと脂肪酸クロライドを用いて実施例1と同様に操作を行い、表4に示す結果を得た。
(比較例1)
(株)神鋼環境ソリューション製のフルゾーン攪拌翼(翼径:0.06m)、ジャケット、温度計、滴下装置、還流冷却管、真空ポンプを備えた容量2.0Lの反応槽(槽径:0.1m)にトリエチルアミン218.0g(2.15モル)を仕込み、350rpmで攪拌しながら内温を55℃に昇温した。次に1618クロライド600.0g(2.05モル)を内温60±2℃に保ちながら1時間に渡って滴下した。1618クロライド滴下開始約45分から徐々に粘度が増加し、反応液の流動性が徐々に低下し、かろうじて反応液が混合されている状況であった。滴下終了後、内温60±2℃に保ちながら1時間保持した。次いでアミン価を測定したところ7.5であった。次に、式(2)より算出した2%の塩酸水溶液239.4gを加え、内温60±2℃に保ちながら三級アミン塩酸塩が溶解するまで攪拌した。溶解までに約6分間要した。続いて、1時間に渡って静置、下層の三級アミン塩酸塩溶液を除去した。更に、90℃、1.06kPaで1時間脱水後、ろ過を行い、アルキルケテンダイマー479.8gを得た。得られたアルキルケテンダイマーの純度は88.8重量%、遊離脂肪酸が0.6重量%、アルキルケテンの三量体、四量体及びその他不明成分は10.6重量%であった。
(比較例2〜4)
表5に示すアミンを用いて比較例1と同様に操作を行い、表5に示す結果を得た。反応の際、1618クロライド滴下開始約40分から徐々に粘度が増加し、滴下開始約50分には攪拌翼と反応壁の間で流動性が悪化し、滴下している1618クロライドは滴下直後、反応混合物中で筋状の痕跡を残し、混合状態の低下が確認された。また、2%の塩酸水溶液を加えた際、三級アミン塩酸塩が溶解するまでに約8分間要した。
(比較例5)
表5に示すアミンを用いて比較例1と同様に操作を行い、表5に示す結果を得た。反応の際、1618クロライド滴下開始約40分から徐々に粘度が増加し、滴下開始約45分には攪拌翼と反応壁の間で流動性が悪化し、混合状態の低下が確認された。また、2%の塩酸水溶液を加えた際、三級アミン塩酸塩が溶解するまでに約10分間要した。続いて3時間に渡って静置を行った。しかしながら、有機層と水層の分離はできず、以後の操作は実施できなかった。
(比較例6)
表5に示すアミンを用いて比較例5と同様の操作を行い、表5に示す結果を得た。反応の際、1618クロライド滴下開始約40分から徐々に粘度が増加し、滴下開始約45分には攪拌翼と反応壁の間で流動性が悪化し、混合状態の低下が確認された。また、2%の塩酸水溶液を加えた際、三級アミン塩酸塩が溶解するまでに約10分間要した。続いて3時間に渡って静置を行った。しかしながら、有機層と水層の分離はできず、以後の操作は実施できなかった。
(比較例7)
表5に示すアミンを用い、脱水を100℃、0.67kPaで1時間行った以外は、比較例1と同様に操作を行い、表5に示す結果を得た。2%の塩酸水溶液を加えた際、三級アミン塩酸塩が溶解するまでに約8分間要した。
(比較例8)
表5に示すアミンを用い、4.0Lの反応容器を用いた以外は、比較例1と同様に操作を行い、表5に示す結果を得た。反応の際、1618クロライド滴下中および滴下終了後1時間反応工程において反応混合物の流動性は良好であった。しかしながら、2%の塩酸水溶液を加えた際、三級アミン塩酸塩が溶解するまでに約10分間要した。
(比較例9)
(株)神鋼環境ソリューション製のフルゾーン攪拌翼(翼径:0.06m)、ジャケット、温度計、滴下装置、還流冷却管、真空ポンプを備えた容量2.0Lの反応槽(槽径:0.1m)にトリエチルアミン168.1g(1.66モル)、ジメチルシクロヘキシルアミン23.5g(0.18モル)を仕込み、350rpmで攪拌しながら内温を55℃に昇温した。次に1618クロライド600.0g(2.05モル)を内温60±2℃に保ちながら1時間に渡って滴下した。1618クロライド滴下開始約40分から徐々に粘度が増加し、滴下開始約50分には攪拌翼と反応壁の間で流動性が悪化し、滴下している1618クロライドは滴下直後、反応混合物中で筋状の痕跡を残し、更に1618クロライドの液だまりが確認されるようになり、混合状態の低下が確認された。滴下終了後、内温60±2℃に保ちながら1時間保持した。次いでアミン価を測定したところアミン価は検出されなかった。次に、水340.6gを加え、内温60±2℃に保ちながら三級アミン塩酸塩が溶解するまで攪拌した。溶解までに約8分間要した。続いて、1時間に渡って静置、下層の第三アミン塩酸塩溶液を除去した。更に、100℃、0.93kPaで1時間脱水後、ろ過を行い、アルキルケテンダイマー408.0gを得た。得られたアルキルケテンダイマーの純度は68.6重量%、遊離脂肪酸が14.0重量%、アルキルケテンの三量体、四量体及びその他不明成分は17.4重量%であった。
(比較例10)
表5に示すアミンを用いて比較例1と同様に操作を行い、表5に示す結果を得た。反応の際、脂肪酸クロライド滴下開始約40分から徐々に粘度が増加し、滴下開始約50分には攪拌翼と反応壁の間で流動性が悪化し、滴下している脂肪酸クロライドは滴下直後、反応混合物中で筋状の痕跡を残し、混合状態の低下が確認された。また、2%の塩酸水溶液を加えた際、三級アミン塩酸塩が溶解するまでに約6分間要した。
(比較例11)
表5に示すアミンを用いて比較例1と同様に操作を行い、表5に示す結果を得た。反応の際、脂肪酸クロライド滴下開始約40分から徐々に粘度が増加し、滴下開始約50分には攪拌翼と反応壁の間で流動性が悪化し、滴下している脂肪酸クロライドは滴下直後、反応混合物中で筋状の痕跡を残し、混合状態の低下が確認された。また、2%の塩酸水溶液を加えた際、三級アミン塩酸塩が溶解するまでに約6分間要した。
Figure 2010150170
Figure 2010150170
Figure 2010150170
Figure 2010150170
Figure 2010150170
表4に示す実施例の結果と表5に示す比較例の結果との対比から明らかなように、本発明のアルキルケテンダイマーの製造方法によれば、不純物の少ない高純度のアルキルケテンダイマーを収率よく得ることができる。特に、実施例1と実施例5の対比、又は実施例3と実施例4の対比から明らかなように、式(1)におけるRが直鎖の炭化水素基の三級アミンを用いることにより、Rが分岐あるいは環状の炭化水素基の三級アミンを用いた場合よりも、高純度のアルキルケテンダイマーが収率良く得られる。
また、トリエチルアミンのみを用いた比較例1、トリエチルアミンを用いずに他の三級アミン(表1に示す式(1)の三級アミンや表2に示す三級アミン比較成分)を単独又は複数用いた比較例2,10,11では、トリエチルアミンと三級アミン比較成分を組み合わせて用いた比較例3〜6の場合よりも、アルキルケテンダイマーの純度や収率が良好であることから、複数種の三級アミンを適宜併用するだけでは、純度や収率が向上するとは限らず、本発明で規定するトリエチルアミンと式(1)の三級アミンとの組み合わせは特異的に純度や収率が向上することが分かる。
更に、実施例1と比較例7との対比、又は実施例5と比較例5との対比から、トリエチルアミンと式(1)で示す三級アミンとのモル比や三級アミン混合物の使用量が本発明で規定する範囲内では、純度や収率が良好であることが分かる。

Claims (1)

  1. 有機溶媒不存在下で、脂肪酸クロライドと三級アミン混合物とを反応させてアルキルケテンダイマーを製造する方法において、三級アミン混合物がトリエチルアミンと式(1)で示す三級アミンをモル比3/2〜19/1で混合して構成され、脂肪酸クロライド1モルに対して三級アミン混合物1〜1.15モルを使用することを特徴とするアルキルケテンダイマーの製造方法。
    Figure 2010150170
    (式中、Rは炭素数3〜14の炭化水素基である。)
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