以下、図面を用いて、本発明の具体的な実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施例である車載システムの構成図を示す。また、図2は、本実施例の車載システムを備える車両に搭載される各種スイッチの搭載位置を表した図を示す。本実施例の車載システムは、オフロード走行などに応じて適当に車両の駆動系の作動状態を切り替える駆動システム10と、オフロード走行に不慣れな運転者への運転支援を図るオフロードガイダンスシステム12と、からなる。尚、本実施例において、車両がフルタイム4輪駆動であることとする。
図1に示す如く、駆動システム10は、車両の有する駆動系の駆動方式の切り替え制御を行う4WD−ECU14と、車両の挙動制御を行うVSC−ECU16と、セカンドスタート制御を行うパワトレECU18と、を有している。各ECU14〜18はそれぞれ、マイクロコンピュータを主体に構成されており、互いに通信バス19を介して接続されている。
4WD−ECU14には、トランスファスイッチ20、センターデフロックスイッチ22、リヤデフロックスイッチ24、表示系26、及びアクチュエータ28が電気的に接続されている。トランスファスイッチ20は、駆動系の駆動方式を、車両の一般走行に適したハイレンジ(H4)と、悪路や氷雪路,砂地,泥地など、一般走行よりも大きな駆動力を必要とする走行に適したローレンジ(L4)と、の何れかに選択するためのダイヤル式スイッチであり、H4又はL4の状態を示す信号を4WD−ECU14に供給する。尚、トランスファスイッチ20は、ダイヤル式スイッチに限らず、シフトレバー式のものであってもよい。また、センターデフロックスイッチ22は、センターデフをロック状態(H4L又はL4L)とアンロック状態との何れかに選択するためのオン・オフスイッチであり、オン・オフを示す信号を4WD−ECU14に供給する。リヤデフロックスイッチ24は、リヤデフロックをロック状態とアンロック状態との何れかに選択するためのオン・オフスイッチであり、オン・オフを示す信号を4WD−ECU14に供給する。
表示系26は、L4作動表示灯と、センターデフロック(DL)作動表示灯と、リヤデフロック(RDL)作動表示灯と、を含み、運転席前方のコンビネーションメータ内に設けられている。表示系26のL4作動表示灯、センターデフロック作動表示灯、及びリヤデフロック作動表示灯はそれぞれ、4WD−ECU14からの指令により点灯又は点滅される。また、アクチュエータ28は、駆動系の駆動方式をH4とL4とで切り替えるトランスファアクチュエータと、センターデフロックをロック状態とアンロック状態とで切り替えるセンターデフロックアクチュエータと、リヤデフロックをロック状態とアンロック状態とで切り替えるリヤデフロックアクチュエータと、を含み、それぞれ4WD−ECU14からの指令により作動される。
VSC−ECU16には、VSC停止スイッチ30、A−TRC停止スイッチ32、AVSスイッチ34、クロールメインスイッチ36、クロールダイヤルスイッチ38、表示系40、及びアクチュエータ42が電気的に接続されている。VSC停止スイッチ30は、車両の旋回挙動の安定性を確保する制御(VSC制御)の作動停止を選択するためのオン・オフスイッチであり、オン・オフを示す信号をVSC−ECU16に供給する。A−TRC停止スイッチ32は、アクセル操作に伴う加速時における挙動安定性を確保する制御(A−TRC制御)の作動停止を選択するためのオン・オフスイッチであり、オン・オフを示す信号をVSC−ECU16に供給する。また、AVSスイッチ34は、快適な乗り心地と操縦性・走行安定性とを確保すべく、ショックアブソーバの減衰力制御を、一般走行に適したノーマルモードと、スポーツ走行に適したスポーツモードと、の何れかに選択するためのオン・オフスイッチであり、オン・オフを示す信号をVSC−ECU16に供給する。
クロールメインスイッチ36は、運転者のアクセル操作やブレーキ操作を伴うことなくホイルスピンやロックを最小限に抑えつつ車両を一定の低車速(例えば1km/h〜5km/h)で走行させる制御(クロール制御)を選択するためのオン・オフスイッチであり、そのオン・オフを示す信号をVSC−ECU16に供給する。また、クロールダイヤルスイッチ38は、クロール制御中における車速を多段階(例えば3段階;1km/hのローモードと、3km/hのミディアムモードと、5km/hのハイモード)に切り替えるためのダイヤル式スイッチであり、その状態を示す信号をVSC−ECU16に供給する。
表示系40は、VSC−OFF表示灯と、スリップ表示灯と、AVSスポーツ表示灯と、クロールコントロール作動表示灯と、を含み、運転席前方のコンビネーションメータ内に設けられている。表示系40の各表示灯はそれぞれ、VSC−ECU16からの指令により点灯又は点滅される。また、アクチュエータ42は、燃料噴射量や吸入空気量を可変するエンジンアクチュエータ、制動量を可変するブレーキアクチュエータ、ショックアブソーバの硬さを可変するアブソーバアクチュエータを含み、それぞれVSC−ECU16からの指令により作動される。
パワトレECU18には、セカンドスタートスイッチ50、表示系52、及びアクチュエータ54が電気的に接続されている。セカンドスタートスイッチ50は、車両の2速発進を選択するためのオン・オフスイッチであり、オン・オフを示す信号をパワトレECU18に供給する。表示系52は、セカンドスタート作動表示灯を含み、運転席前方のコンビネーションメータ内に設けられている。表示系52の表示灯は、パワトレECU18からの指令により点灯される。また、アクチュエータ54は、車両の有する変速機を含み、パワトレECU18からの指令により作動される。
以下、上記した駆動システム10の動作について説明する。
4WD−ECU14は、エンジンスタートストップスイッチがイグニションオンモードであり、変速機チェンジレバーがニュートラル位置にあり、かつ、車両が停車しているとき、トランスファスイッチ20がH4にあるかL4にあるかを判別する。そして、トランスファスイッチ20がH4又はL4にあると判別したときは、車両の駆動方式がH4又はL4となるようにトランスファアクチュエータを作動させる。
運転者がトランスファスイッチ20をH4からL4に切り替えた場合、4WD−ECU14は、トランスファスイッチ20がH4からL4に切り替わったと判断し、車両の駆動方式がH4からL4へ切り替わるようにトランスファアクチュエータを作動させる。この場合には、トランスファアクチュエータが作動することにより、車両の駆動方式がH4からL4に切り替わる。同様に、運転者がトランスファスイッチ20をL4からH4に切り替えた場合、4WD−ECU14は、トランスファスイッチ20がL4からH4に切り替わったと判断し、車両の駆動方式がL4からH4へ切り替わるようにトランスファアクチュエータを作動させる。この場合には、トランスファアクチュエータが作動することにより、車両の駆動方式がL4からH4に切り替わる。
また、4WD−ECU14は、トランスファアクチュエータがH4とL4との切り替え作動を行っている最中であると判断したときは、表示系26のL4作動表示灯を点滅させる。そして、トランスファアクチュエータによる駆動方式のH4からL4への切り替えが完了したと判断したときは、そのL4作動表示灯を点灯させる。また、トランスファアクチュエータによる駆動方式のL4からH4への切り替えが完了したと判断したときは、そのL4作動表示灯を消灯させる。従って、H4とL4との切り替え作動中は、L4作動表示灯が点滅されるが、L4への切り替えが完了すると、以後、L4作動表示灯が点灯されると共に、H4への切り替えが完了すると、以後、L4作動表示灯が消灯される。
更に、4WD−ECU14は、エンジンスタートストップスイッチがイグニションオンモードであり、車速が所定値(例えば100km/h)以下であるとき、センターデフロックスイッチ22がオフ状態にあるかオン状態にあるかを判別すると共に、リヤデフロックスイッチ24がオフ状態にあるかオン状態にあるかを判別する。その結果、センターデフロックスイッチ22がオフ状態又はオン状態にあると判別したときは、センターデフがアンロック状態又はロック状態となるようにセンターデフロックアクチュエータを作動させる。また、リヤデフロックスイッチ24がオフ状態又はオン状態にあると判別したときは、リヤデフがアンロック状態又はロック状態となるようにリヤデフロックアクチュエータを作動させる。
センターデフがアンロック状態にあるときに運転者がセンターデフロックスイッチ22をオン操作した場合、4WD−ECU14は、センターデフロックスイッチ22がオフからオンに切り替わったと判断し、センターデフがアンロック状態からロック状態へ切り替わるようにセンターデフロックアクチュエータを作動させる。この場合には、センターデフロックアクチュエータの作動により、センターデフがロックされ、前輪と後輪とが直結されて回転駆動される。
一方、センターデフがロック状態にあるときに運転者がセンターデフロックスイッチ22をオフ操作した場合、4WD−ECU14は、センターデフロックスイッチ22がオンからオフに切り替わったと判断し、センターデフがロック状態からアンロック状態へ切り替わるようにセンターデフロックアクチュエータを作動させる。この場合には、センターデフロックアクチュエータの作動により、センターデフがアンロックされ、前輪と後輪との直結が解除される。
また、リヤデフがアンロック状態にあるときに運転者がリヤデフロックスイッチ24をオン操作した場合、4WD−ECU14は、リヤデフロックスイッチ24がオフからオンに切り替わったと判断し、リヤデフがアンロック状態からロック状態へ切り替わるようにリヤデフロックアクチュエータを作動させる。この場合には、リヤデフロックアクチュエータの作動により、リヤデフがロックされ、左右の後輪が直結されて回転駆動される。
一方、リヤデフがロック状態にあるときに運転者がリヤデフロックスイッチ24をオフ操作した場合、4WD−ECU14は、リヤデフロックスイッチ24がオンからオフに切り替わったと判断し、リヤデフがロック状態からアンロック状態へ切り替わるようにリヤデフロックアクチュエータを作動させる。この場合には、リヤデフロックアクチュエータの作動により、リヤデフがアンロックされ、左右の後輪の直結が解除される。
また、4WD−ECU14は、センターデフロックアクチュエータ又はリヤデフロックアクチュエータがアンロックとロックとの切り替え作動を行っている最中であると判断したときは、表示系26のセンターデフロック作動表示灯又はリヤデフロック作動表示灯を点滅させる。そして、センターデフロックアクチュエータによるセンターデフのロックへの切り替え又はリヤデフロックアクチュエータによるリヤデフのロックへの切り替えが完了したと判断したときは、センターデフロック作動表示灯又はリヤデフロック作動表示灯を点灯させる。また、センターデフロックアクチュエータによるセンターデフのアンロックへの切り替え又はリヤデフロックアクチュエータによるリヤデフのアンロックへの切り替えが完了したと判断したときは、センターデフロック作動表示灯又はリヤデフロック作動表示灯を消灯させる。
従って、センターデフやリヤデフのアンロックとロックとの切り替え作動中は、センターデフロック作動表示灯やリヤデフロック作動表示灯が点滅されるが、センターデフやリヤデフのロックへの切り替えが完了すると、以後、センターデフロック作動表示灯やリヤデフロック作動表示灯が点灯されると共に、センターデフやリヤデフのアンロックへの切り替えが完了すると、以後、センターデフロック作動表示灯やリヤデフロック作動表示灯が消灯される。
また、VSC−ECU16は、エンジンスタートストップスイッチがイグニションオンモードであるとき、VSC停止スイッチ30及びA−TRC停止スイッチ32それぞれがオン操作されるか否かを判別すると共に、AVSスイッチ34がノーマルモードにあるかスポーツモードにあるかを判別する。
VSC制御が作動可能状態にあるときに運転者がVSC停止スイッチ30を押下した場合、VSC−ECU16は、VSC停止スイッチ30がオフからオンに切り替わったと判断し、VSC制御が実行されずに停止されるようにエンジンアクチュエータ及びブレーキアクチュエータの作動を制限すると共に、表示系40のVSC−OFF表示灯を点灯させる。この場合には、以後、エンジンアクチュエータ及びブレーキアクチュエータを用いたVSC制御の作動が停止されると共に、VSC−OFF表示灯が点灯される。
一方、VSC制御が作動停止状態にあるときに運転者がVSC停止スイッチ30を押下した場合、VSC−ECU16は、VSC停止スイッチ30がオンからオフに切り替わったと判断し、VSC制御が再開されるようにエンジンアクチュエータ及びブレーキアクチュエータの作動制限を解除すると共に、VSC−OFF表示灯を消灯させる。この場合には、以後、エンジンアクチュエータ及びブレーキアクチュエータを用いたVSC制御の作動が許可されると共に、VSC−OFF表示灯が消灯される。
A−TRC制御が作動可能状態にあるときに運転者がA−TRC停止スイッチ32を押下した場合、VSC−ECU16は、A−TRC停止スイッチ32がオフからオンに切り替わったと判断し、A−TRC制御が実行されずに停止されるようにエンジンアクチュエータ及びブレーキアクチュエータの作動を制限すると共に、スリップ表示灯を点灯させる。この場合には、以後、エンジンアクチュエータ及びブレーキアクチュエータを用いたA−TRC制御の作動が停止されると共に、スリップ表示灯が点灯される。
一方、A−TRC制御が作動停止状態にあるときに運転者がA−TRC停止スイッチ32を押下した場合、VSC−ECU16は、A−TRC停止スイッチ32がオンからオフに切り替わったと判断し、A−TRC制御が再開されるようにエンジンアクチュエータ及びブレーキアクチュエータの作動制限を解除すると共に、スリップ表示灯を消灯させる。この場合には、以後、エンジンアクチュエータ及びブレーキアクチュエータを用いたA−TRC制御の作動が許可されると共に、スリップ表示灯が消灯される。
また、ショックアブソーバの減衰力制御がノーマルモードにあるときに運転者がAVSスイッチ34を押下した場合、VSC−ECU16は、AVSスイッチ34の切り替え操作が行われたと判断し、減衰力制御がノーマルモードからスポーツモードへ切り替わるようにアブソーバアクチュエータを作動させると共に、AVSスポーツ表示灯を点灯させる。この場合には、アブソーバアクチュエータが作動することにより、ショックアブソーバの減衰力制御がスポーツモードに切り替わると共に、AVSスポーツ表示灯が点灯される。
一方、ショックアブソーバの減衰力制御がスポーツモードにあるときに運転者がAVSスイッチ34を押下した場合、VSC−ECU16は、AVSスイッチ34の切り替え操作が行われたと判断し、減衰力制御がスポーツモードからノーマルモードへ切り替わるようにアブソーバアクチュエータを作動させると共に、AVSスポーツ表示灯を消灯させる。この場合には、アブソーバアクチュエータが作動することにより、ショックアブソーバの減衰力制御がノーマルモードに切り替わると共に、AVSスポーツ表示灯が消灯される。
また、VSC−ECU16は、エンジンが回転し、変速機チェンジレバーが駐車位置及びニュートラル位置以外にあり、トランスファスイッチ20がL4にあり、セカンドスタートスイッチ50が2速発進モードになく、かつ、パーキングブレーキが解除されているとき、クロールメインスイッチ36がオン操作されるか否かを判別すると共に、クロールダイヤルスイッチ38がローモード(岩や意志などの上を走行するときに適する。)、ミディアムモード(瓦礫の坂を降りるときや雪のこぶなどの上を走行するときに適する。)、ハイモード(瓦礫の坂を登るときや雪,泥,ぬかるみ,砂利,草地などの上を走行するときに適する。)の何れのモード位置にあるかを判別する。
そして、運転者がクロールメインスイッチ36をオン操作した場合、VSC−ECU16は、クロールメインスイッチ36がオフからオンへ切り替わったと判断し、以後、クロール制御が実行されるようにエンジンアクチュエータ及びブレーキアクチュエータを作動させると共に、クロールコントロール作動表示灯を点灯させかつスリップ表示灯を点滅させる。この場合には、エンジンアクチュエータ及びブレーキアクチュエータを用いたクロール制御が作動されると共に、クロールコントロール作動表示灯が点灯されかつスリップ表示灯が点滅される。尚、VSC−ECU16は、クロール制御を、クロールダイヤルスイッチ38のモード位置に応じた一定車速で作動させる。
一方、クロール制御の作動中に運転者がクロールメインスイッチ36をオフ操作した場合、VSC−ECU16は、クロールメインスイッチ36がオンからオフへ切り替わったと判断し、以後、クロール制御が停止されるようにエンジンアクチュエータ及びブレーキアクチュエータの作動を制限すると共に、クロールコントロール作動表示灯を消灯させかつスリップ表示灯を消灯させる。尚、VSC−ECU16は、クロール制御の作動中に変速機チェンジレバーが駐車位置に切り替わったときやトランスファスイッチ20がH4に切り替わったときも、クロール制御が停止されるようにエンジンアクチュエータ及びブレーキアクチュエータの作動を制限すると共に、クロールコントロール作動表示灯を消灯させかつスリップ表示灯を消灯させる。この場合には、エンジンアクチュエータ及びブレーキアクチュエータを用いたクロール制御の作動が停止されると共に、クロールコントロール作動表示灯が消灯されかつスリップ表示灯が消灯される。
更に、パワトレECU18は、エンジンスタートストップスイッチがイグニションオンモードであるとき、セカンドスタートスイッチ50がオフ状態にあるかオン状態にあるかを判別する。その結果、セカンドスタートスイッチ50がオフ状態にあると判別したときは、通常どおり車両発進が1速から実行されるようにアクチュエータ54を作動させる。
そして、運転者がセカンドスタートスイッチ50をオン操作した場合、パワトレECU18は、セカンドスタートスイッチ50がオフからオンに切り替わったと判断し、車両発進が2速から実行されるようにアクチュエータ54を作動させると共に、表示系52のセカンドスタート作動表示灯を点灯させる。この場合には、アクチュエータ54を用いた2速発進(セカンドスタート制御)が実行されると共に、セカンドスタート作動表示灯が点灯される。
一方、セカンドスタートモード中に運転者がセカンドスタートスイッチ50をオフ操作した場合、パワトレECU18は、セカンドスタートスイッチ50がオンからオフに切り替わったと判断し、車両発進が1速から実行されるようにセカンドスタートモードを解除すると共に、表示系52のセカンドスタート作動表示灯を消灯させる。尚、パワトレECU18は、エンジンスタートストップスイッチがアクセサリモード又はロックモードになったときも、セカンドスタートモードを解除すると共に、セカンドスタート作動表示灯を消灯させる。この場合には、アクチュエータ54を用いた通常どおりの1速発進が実行されると共に、セカンドスタート作動表示灯が消灯される。
図3は、本実施例のオフロードガイダンスシステム12において選択可能な各走行モードを表した図を示す。尚、図3には、走行モードを選択可能なモード選択スイッチをタッチディスプレイに表示した様子が示されている。
図1に示す如く、オフロードガイダンスシステム12は、マイクロコンピュータを主体に構成されたオフロードガイダンスECU60を有している。オフロードガイダンスECU60は、上記したECU14〜18とそれぞれ通信バス19を介して通信接続されており、相互に通信データを授受することが可能である。
オフロードガイダンスECU60には、モード選択スイッチ62及びオフロードガイダンス開始スイッチ64が電気的に接続されている。モード選択スイッチ62及びオフロードガイダンス開始スイッチ64はそれぞれ、図3に示す如く、例えばセンターパネルに配設された運転者に視認可能及び操作可能なマルチディスプレイにタッチ操作可能に表示される。尚、これらのスイッチ62,64は、ディスプレイにタッチ操作可能に表示されるものに限らず、ハード的にセンターパネルやセンターコンソールなどに配設されるものであってもよい。
モード選択スイッチ62は、車両の走行時における走行モードを複数の中から一つだけ選択するためのスイッチであり、例えば図3に示す如く、通常走行に適したノーマルモードと、深雪やぬかるみ路での走行に適した深雪/泥濘路モードと、砂漠での走行に適した砂漠モードと、雪,泥,砂の登坂路での走行に適した雪泥砂登坂モードと、モーグルでの走行に適したモーグルモードと、岩石での走行に適した岩石モードと、のノーマルモードを含めた6つの走行モードを選択可能なスイッチである。また、オフロードガイダンス開始スイッチ64は、オフロードガイダンスを開始するために運転者に押下されるスイッチであり、例えば図3に示す“ENTER”ボタンである。各スイッチ62,64の信号は、オフロードガイダンスECU60に供給される。尚、図3には、走行モードとして深雪/泥濘路モードが選択されている状況が示されている。
オフロードガイダンスECU60には、また、表示系66が電気的に接続されている。表示系66は、上記のマルチディスプレイであり、適宜、後述の如くオフロードガイダンスのための表示を行う。尚、マルチディスプレイの表示画面は、階層的に設けられるものであればよく、スイッチ62,64を上位層にかつ表示系66の画面を下位層に、それぞれ表示するものであってもよい。
以下、図4乃至図7を参照して、上記したオフロードガイダンスシステム12の基本的な動作について説明する。図4は、本実施例のオフロードガイダンスシステム12においてオフロードガイダンスECU60が基本的な動作を実現すべく実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。図5は、各走行モードにおける車両の推奨駆動位置と入力データ状態と表示内容との関係をそれぞれ表した図を示す。図6は、車両の駆動系が推奨駆動位置にない場合における入力データ状態と表示内容との関係を表した図を示す。図7は、走行モードが切り替わる際の一例のタイムチャートを示す。
本実施例において、オフロードガイダンスECU60は、エンジンスタートストップスイッチがオフモードからイグニションオンモードに移行した際に起動される。そして、起動後、マルチディスプレイにモード選択スイッチ62とオフロードガイダンス開始スイッチ64とをタッチ操作可能に表示する。尚、起動初期は、モード選択スイッチ62がノーマルモードを選択した状態となり、その選択されたノーマルモードが白黒反転して点灯表示される。
オフロードガイダンスECU60は、車速が所定値(例えば8km/h)以下であることを前提に、モード選択スイッチ62が操作されることで選択の走行モードが切り替わり、かつ、その後にオフロードガイダンス開始スイッチ64が押下された状態にあるか否かを判別する(ステップ100)。その結果、否定判定がなされる場合は、以後、何ら処理を進めることなく今回のルーチンを終了するが、肯定判定がなされる場合は、オフロードガイダンスが制御実行されるべき状態にあるとして、まず次に、車両の駆動系が推奨駆動位置にないか否かを判別する(ステップ102)。
オフロードガイダンスECU60は、予め、図5に示す如き各走行モードごとに車両の駆動系の推奨駆動位置と入力データ状態と表示内容との関係を記憶装置に格納している。例えば、走行モードが砂漠モードであるときは、駆動系の駆動方式がH4モードにありかつセンターデフがロック状態にあること(H4L)が推奨され、また、走行モードが雪泥砂登坂モードであるときは、駆動系の駆動方式がL4でありかつセンターデフがロック状態にあること(L4L)が推奨されることとなる。
オフロードガイダンスECU60は、選択されている走行モードについて、記憶装置に格納された上記の関係と、4WD−ECU14から通信バス19を介して供給される各入力スイッチ20〜24の状態や各アクチュエータ28の状態を示す信号とに基づいて、駆動系の推奨駆動位置と現実の駆動位置との間に乖離が生じているか否か、すなわち、車両の駆動系が推奨駆動位置にないか否かの判別を行う(ステップ102)。
例えば、選択されている走行モードがモーグルモードである状況では、トランスファがL4モードになく(L4状態信号OFF)、センターデフがアンロック状態にあり(センターデフロック状態信号OFF)、又はリヤデフロックがロック状態にある(リヤデフロック状態信号ON)か否かの判別を行う。また、選択されている走行モードが岩石モードである状況では、トランスファがL4モードになく(L4状態信号OFF)、センターデフがアンロック状態にあり(センターデフロック状態信号OFF)、又はリヤデフロックがアンロック状態にある(リヤデフロック状態信号OFF)か否かの判別を行う。
そして、車両の駆動系が推奨駆動位置にないと判別した場合、次に、表示系66のマルチディスプレイの表示を下位層に切り替えて、車両の駆動系として推奨される推奨駆動位置の情報すなわちその推奨駆動位置を実現させるための入力スイッチ20〜24の操作方法をそのマルチディスプレイに表示して運転者に提示する(ステップ104)。例えば走行モードとして深雪/泥濘路モードが選択されているときにセンターデフがアンロック状態にあることで車両の駆動系が推奨駆動位置にない場合は、その推奨駆動位置である駆動系の駆動方式がH4モードになりかつセンターデフがロック状態になるようにすなわちトランスファスイッチ20がH4モードに選択操作されかつセンターデフロックスイッチ22がロック状態に選択操作されるように、“H4Lを選択して下さい”という文字を表示系66にガイダンス表示する。
また、車両の駆動系が推奨駆動位置にないと判別した場合、走行モードの切り替えが未だ確定されていないとして、その際に選択されている走行モードを表示系66に点滅表示させると共に、走行モードが遷移状態にあることを示すモード遷移中信号を通信バス19に送出する。
オフロードガイダンスECU60は、駆動系の推奨駆動位置の情報(スイッチ20〜24の操作方法)の表示系66へのガイダンス表示を開始すると、駆動切り替えガイダンスカウンタを起動して、そのガイダンス表示を所定時間(例えば60秒)T1継続させる。そして、その所定時間T1内に、4WD−ECU14から通信バス19を介して供給される各入力スイッチ20〜24の状態に変化があるか否かに基づいて、駆動系の推奨駆動位置への切り替え操作が開始されたか否かを判別する。
4WD−ECU14は、アクチュエータ28が切り替え作動を行っている最中は、表示系26のL4作動表示灯やセンターデフロック作動表示灯,リヤデフロック作動表示灯を点滅させる。そして、オフロードガイダンスECU60は、上記切り替え操作が開始されたと判別した場合は、駆動切り替えガイダンスカウンタをカウント停止し、マルチディスプレイへの上記のガイダンス表示を停止すると共に、上記した所定時間T1内に、4WD−ECU14から通信バス19を介して供給される各アクチュエータ28の状態を示す信号に変化があるか否かに基づいて、駆動系の推奨駆動位置への切り替えが完了したか否かを判別する(ステップ106)。
オフロードガイダンスECU60は、予め、図6に示す如き車両の駆動系が推奨駆動位置にない場合における入力データ状態と表示内容との関係を記憶装置に格納している。例えば、センターデフロックは、車両の加減速走行や後退により実現され易くなり、トランスファのL4モードは、車両を停めて変速機チェンジレバーがニュートラル位置にすれば実現され易くなり、リヤデフロックは、車両を少し直進走行させて停止させれば実現され易くなる。
オフロードガイダンスECU60は、上記ステップ106の判別の結果、上記した所定時間T1内に駆動系の推奨駆動位置への切り替えが完了しないと判別した場合は、実現されない推奨駆動位置を基に、記憶装置に格納された上記の関係を参照して、マルチディスプレイにその実現を容易にする操作上のテクニックやヒント(車両の操作方法)を表示して運転者に提示する(ステップ108)。例えば、センターデフがロックされるべきであるにもかかわらず、表示系26のセンターデフロック作動表示灯が点滅されてそのセンターデフのロックへの切り替えが完了しないとき(DLインジケータ点滅要求ON時)は、“加減速走行又は後退してください”という文字を表示系66にガイダンス表示する。
オフロードガイダンスECU60は、駆動系の推奨駆動位置への切り替え操作が開始されると、駆動切り替え点滅中カウンタを起動する。そして、駆動系の推奨駆動位置への切替操作開始後、所定時間(例えば300秒)T2内に、4WD−ECU14から通信バス19を介して供給される各アクチュエータ28の状態を示す信号に変化があるか否かに基づいて、駆動系の推奨駆動位置への切り替えが完了したか否かを判別する(ステップ110)。その結果、所定時間T2内に駆動系の推奨駆動位置への切り替えが完了しないと判別した場合は、選択される走行モードをノーマルモードに戻し(ステップ112)、そのノーマルモードを表示系66に点灯表示させると共に、走行モードがノーマルモードにあることを示すモード信号を通信バス19に送出する。
また、オフロードガイダンスECU60は、上記ステップ102において車両の駆動系が推奨駆動位置にあると判別した場合、及び、上記ステップ106又は108において駆動系の推奨駆動位置への切り替えが完了したと判別した場合は、走行モードを選択されたものに確定して、その走行モードを表示系66に点灯表示させると共に、その走行モードを示すモード信号を通信バス19に送出する。
このように、本実施例のオフロードガイダンスシステム12においては、モード選択スイッチ62により選択される走行モードごとに、駆動システム12においてスイッチ20〜24の操作により実現されるべき車両の推奨駆動位置が設定されると共に、更に、オフロードガイダンス開始スイッチ64が押下された際に車両の現実の駆動系がその推奨駆動位置にない場合は、駆動系がその推奨駆動位置に切り替わるべきであるとして、スイッチ20〜24の操作方法が運転者に提示される。
例えば、走行モードとして深雪/泥濘路モードが選択されている状況では、オフロードガイダンス開始スイッチ64が押下された際にトランスファがL4モードにある或いはセンターデフがアンロック状態にあることで車両の駆動系が推奨駆動位置にない場合は、駆動系の駆動方式がH4モードになりかつセンターデフがロック状態になるようにすなわちトランスファスイッチ20がH4モードに選択操作されかつセンターデフロックスイッチ22がロック状態に選択操作されるように、“H4Lを選択して下さい”という文字が表示系66にガイダンス表示される。
かかるガイダンス表示がなされれば、運転者は、例えば深雪路や砂漠路で実現すべき駆動系の駆動位置(トランスファやセンターデフ,リヤデフの位置)を予め知らなくても、そのガイダンス表示を見ることで、その駆動位置が実現されるようにスイッチ20〜24を操作し易くなる。従って、本実施例のシステムによれば、モード選択スイッチ62により選択された走行モードに合致する車両の駆動系の推奨駆動位置をスイッチ20〜24の操作により実現させ易くすることが可能となっており、選択走行モードに応じた推奨駆動位置の実現性を向上させることが可能となっている。
尚、本実施例において、選択されている走行モードに対して車両の駆動系が推奨駆動位置にある場合は、何ら運転者のスイッチ操作の必要性はなく、上記したガイダンス表示はなされない。従って、上記したガイダンス表示が不必要に行われるのを防止することが可能となっており、必要なときすなわち駆動系が推奨駆動位置にないときにのみガイダンス表示がなされることで、その推奨駆動位置への実現性を向上させることが可能となる。
また、本実施例のオフロードガイダンスシステム12においては、上記の如く推奨駆動位置を実現させるためにスイッチ20〜24の操作方法の運転者への提示が開始された後、その開始時点から所定時間T1が経過しても、駆動系の推奨駆動位置への切り替えが完了しないとき、その推奨駆動位置が実現され易くなるように車両の操作方法が運転者に提示される。例えば、センターデフがロックされるべきであるにもかかわらず、センターデフのロックへの切り替えが完了しないとき(DLインジケータ点滅要求ON時)は、“加減速走行又は後退してください”という文字が表示系66にガイダンス表示される。
かかるガイダンス表示がなされれば、運転者は、例えばセンターデフをアンロックからロックに移行させる際の車両操作テクニック上のカンやコツを予め知らなくても、そのガイダンス表示を見ることで、スイッチ20〜24の操作によって駆動系の推奨駆動位置を実現させ易くするうえで行うべき車両操作を実施し易くなる。従って、本実施例のシステムによれば、車両の駆動系をスイッチ20〜24の操作により推奨駆動位置に実現させるうえで有効な車両状況を形成し易くすることが可能となっており、選択走行モードに応じた推奨駆動位置の実現性を更に向上させることが可能となっている。
尚、本実施例において、推奨駆動位置を実現させるためにスイッチ20〜24の操作方法が運転者に提示された後、駆動系の推奨駆動位置への切り替え操作が開始されてから所定時間T2が経過しても、駆動系の推奨駆動位置への切り替えが完了しないとき、選択される走行モードが自動的にノーマルモードに切り替えられ戻される。このため、走行モードの選択後、その走行モードに応じた推奨駆動位置を実現させるためのスイッチ20〜24の操作方法が運転者に提示された後も、長時間に亘って駆動系がその推奨駆動位置に切り替わらない状態(未完了状態)が続くのを防止することが可能となっている。
また、本実施例において、オフロードガイダンスECU60は、車速が所定値を超えるときは、オフロードガイダンス開始スイッチ64が押下されても、そのスイッチ操作を受け付けず、オフロードガイダンスが制御実行されるべき状態にないとする。尚、オフロードガイダンス開始スイッチ64が押下されてオフロードガイダンスが制御開始された後、走行モードの遷移中に、車速が所定値を超えることとなるときには、選択される走行モードを自動的にノーマルモードに切り替えて戻すこととしてもよい。また、これらの場合には、オフロードガイダンスECU60は、運転者に再度のオフロードガイダンスを促すべく、マルチディスプレイに、例えば“停止してからもう一度オフロードガイダンス開始スイッチを操作してください”という文字をガイダンス表示してもよい。
かかる構成によれば、車速がある程度上がった後に、その車速が上がる直前時点まで推奨されていた推奨駆動位置に駆動系が切り替わるのを防止することが可能になっていると共に、新たなオフロードガイダンスを促すことが可能になっている。
次に、図8及び図9を参照して、上記したオフロードガイダンスシステム12の上記した基本的な動作とは異なる動作について説明する。図8は、本実施例のオフロードガイダンスシステム12においてオフロードガイダンスECU60がかかる動作を実現すべく実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。また、図9は、各駆動システム10における各個別機能スイッチ30〜38,50ごとにオフロードガイダンスの制御実行中に入力操作が無効とされる条件とその無効時における表示内容との関係をそれぞれ表した図を示す。
本実施例において、VSC−ECU16及びパワトレ18はそれぞれ、予め、走行モードごとに、VSC制御、A−TRC制御、ショックアブソーバの減衰力制御、及びセカンドスタート制御のそれぞれの作動許可有無の情報並びに作動許可のときは更にその制御内容をそれぞれ記憶装置に格納している。例えば、走行モードが深雪/泥濘路モードであるときは、VSC制御及びA−TRC制御がそれぞれ禁止され、減衰力制御のノーマルモードが許可され、セカンドスタート制御が許可される。一方、走行モードが砂漠モードであるときは、VSC制御、A−TRC制御、及びセカンドスタート制御がそれぞれ禁止され、減衰力制御のノーマルモードが許可される。
また、VSC−ECU16は、予め、走行モードごとに、クロール制御の作動許可有無の情報並びに作動許可のときは更に設定車速の情報をそれぞれ記憶装置に格納している。例えば、走行モードが深雪/泥濘路モードであるときは、クロール制御自体が禁止され、一方、走行モードが雪泥砂登坂モードであるときはクロール制御がハイモードで作動許可され、また、走行モードが岩石モードであるときはクロール制御がローモードで作動許可される。
オフロードガイダンスECU60は、走行モードとしてノーマルモード以外のモードが選択されることでオフロードガイダンス制御を開始すると、その選択された走行モードを示すモード信号又は走行モードの遷移中を示すモード遷移中信号を通信バス19を介して各ECU16,18へ送信する。
ECU16,18は、オフロードガイダンスECU60からモード遷移中信号又はノーマルモード以外の走行モードを示すモード信号を受信している場合(ステップ200の肯定判定時)、オフロードガイダンス制御が実行中であるとして、個別機能スイッチ30〜34,50による信号入力を無効とする(ステップ202)。例えば、パワトレECU16は、セカンドスタートスイッチ50がオン操作されても、その操作を受け付けず、その結果として、セカンドスタート制御の実行停止を維持する。
尚、個別機能スイッチ30〜34,50の操作に係る制御(VSC制御、A−TRC制御、ショックアブソーバのスポーツモードでの減衰力制御、及びセカンドスタート制御)の実行中に、オフロードガイダンスECU60からモード遷移中信号を受信した場合は、オフロードガイダンス制御が開始されたとして、その個別機能スイッチ30〜34,50の操作に係る制御を中止すると共に、以後、個別機能スイッチ30〜34,50による信号入力を無効とする(ステップ202)。
かかる構成においては、オフロードガイダンスが制御実行されないときは、通常どおり、各個別機能スイッチ30〜34,50の入力操作が有効となり、その操作による制御のオン・オフ切り替えが可能となる一方、オフロードガイダンスが制御実行されるときは、各個別機能スイッチ30〜34,50の入力操作が無効となり、その操作による制御のオン・オフ切り替えが不可能となる。
また、ECU16,18は、オフロードガイダンスECU60からノーマルモード以外の走行モードを示すモード信号を受信する場合、記憶装置に格納されている、その走行モードにおけるVSC制御、A−TRC制御、ショックアブソーバの減衰力制御、及びセカンドスタート制御のそれぞれの作動許可有無の情報を参照して、その走行モードについて作動許可される制御と作動制限される制御とを区分けし、以後、その作動許可制御を実行しかつその作動制限制御を作動制限する。例えば、走行モードが深雪/泥濘路モードであるときは、セカンドスタート制御を実行する。
かかる構成においては、走行モードが選択されるごとに、その選択された走行モードについて駆動系の推奨駆動位置への切り替えが完了した場合、以後オフロードガイダンス制御の実行中は、個別機能スイッチ30〜34,50の入力操作が無くても、駆動システム10の各制御(VSC制御、A−TRC制御、ショックアブソーバの減衰力制御、及びセカンドスタート制御)が予め定められた制御内容で実行され或いは制限されることとなる。
従って、本実施例のシステムによれば、ノーマルモード以外の選択された走行モードについて駆動系の推奨駆動位置への切り替えが完了した場合、以後オフロードガイダンス制御の実行中は、その走行モードに応じて自動的に駆動システム10の上記した制御を実行し或いは制限しつつ、各個別機能スイッチ30〜34,50の入力操作に基づく制御切り替えを禁止することが可能となる。
このため、オフロードガイダンス制御の実行中は、車両を、各個別機能スイッチ30〜34,50の入力操作に基づく制御切り替えによって走行モードにあまり適さない走行状態とするのを防止しつつ、選択された走行モードに対応した最適な走行状態を実現することが可能となっている。更に、この場合は、ノーマルモード以外の走行モードの選択に伴う制御の自動切替と各個別機能スイッチ30〜34,50の入力操作に伴う手動切替とを調停することができ、その自動切替と手動切替とで制御干渉が発生するのを防止することが可能となっている。
更に、ECU16は、オフロードガイダンスECU60からノーマルモード以外の走行モードを示すモード信号を受信した場合、記憶装置に格納されているクロール制御の作動許可有無の情報を参照して、その走行モードについてクロール制御の作動が許可されているか否かを判別する。そして、肯定判定がなされる場合は、更に、記憶装置に格納されているクロール制御の設定車速モードの情報を参照して、クロール制御が実行される際の設定車速モードを選択し、その設定車速モードでのクロール制御を作動許可状態とする。例えば、走行モードが岩石モードであるときは、ローモードでのクロール制御を作動許可状態とする。
ECU16は、オフロードガイダンスECU60からノーマルモード以外の走行モードを示すモード信号を受信した場合、その走行モードが何れであってもクロールダイヤルスイッチ38による信号入力を無効とする。また、その走行モードがクロール制御の作動を禁止するものであるときは、クロールメインスイッチ36による信号入力を無効とする一方、その走行モードがクロール制御の作動を許可するものであるときは、クロールメインスイッチ36による信号入力を有効とする。
かかる構成においては、選択された走行モードがクロール制御の作動を許可するものであり、かつ、その走行モードについて駆動系の推奨駆動位置への切り替えが完了した場合、その後オフロードガイダンス制御の実行中においてクロールメインスイッチ36がオン操作されたときに、クロール制御がその走行モードに対して予め定められた設定車速モードで実行されることとなる。
従って、本実施例のシステムによれば、選択された走行モードがクロール制御の作動を許可するものでありその走行モードについて駆動系の推奨駆動位置への切り替えが完了した場合、その後オフロードガイダンス制御の実行中に、クロールメインスイッチ36の入力操作に基づくクロール制御の切り替えを許可することができ、クロール制御を実行させることができる。このため、オフロードガイダンス制御の実行中でも、選択された走行モードによっては、車両をクロール制御により一定の低車速で走行させることが可能となる。
但し、このオフロードガイダンス制御の実行中でも、クロールダイヤルスイッチ38の入力操作は無効となり、その操作によるクロール制御のモード切替は禁止される。このため、オフロードガイダンス制御の実行中に行われるクロール制御を、クロールダイヤルスイッチ38の入力操作に基づいて任意に設定されるモードで行うのを防止しつつ、選択された走行モードに対応した最適なモードで行うことが可能となる。
本実施例において、上記の如くオフロードガイダンス制御の実行中に個別機能スイッチ30〜38,50の入力操作が無効である状況において、その入力操作無効の個別機能スイッチ30〜38,50が入力操作される(ステップ204)と、ECU16,18は、その個別機能スイッチ30〜38,50を検知して、そのスイッチ30〜38,50の識別情報と入力操作が無効である旨とを示す操作不可信号を通信バス19を介してオフロードガイダンスECU60へ送信する。
オフロードガイダンスECU60は、予め、図9に示す如き各個別機能スイッチ30〜38,50ごとに入力操作が無効とされる条件とその無効時における表示内容との関係を記憶装置に格納している。
オフロードガイダンスECU60は、ECU16,18から操作不可信号を受信した場合、まず、その操作不可信号に含まれる個別機能スイッチ30〜38,50の識別情報に基づいて、入力操作が無効とされるスイッチ30〜38,50を特定する。そして、その特定したスイッチ30〜38,50と、記憶装置に格納される上記の関係とに基づいて、その入力操作が無効とされた個別機能スイッチ30〜38,50に対して表示すべき表示内容を特定して、その表示内容を表示系66のマルチディスプレイに表示して運転者に提示する(ステップ206)。例えば、“オフロードガイダンス中のため操作出来ません”という文字を表示系66にガイダンス表示する。
このように、本実施例のシステムによれば、オフロードガイダンス制御の実行中に入力操作が無効とされて制御の切替が制限される個別機能スイッチ30〜38,50を表示系66のマルチディスプレイを通じて運転者に知らせることが可能となっている。このため、運転者は、ディスプレイ画面を見ることで、オフロードガイダンス制御の実行中に機能しなくなった個別機能スイッチ30〜38,50を知ることが可能となる。
また、この入力操作が無効とされた個別機能スイッチ30〜38,50の運転者への提示は、運転者がそのスイッチ30〜38,50を押下して入力操作したときに限りなされ、かつ、入力操作が実際になされた一つのスイッチ30〜38,50に対してなされる。このため、かかる個別機能スイッチ30〜38,50の運転者への提示が過度に行われるのを防止することが可能となっていると共に、実際の入力操作の有無に関係なく複数のスイッチ30〜38,50についての提示が同時になされることに伴う弊害(煩雑や判り難さ)を防止することが可能となっている。
尚、上記の実施例においては、個別機能スイッチ30〜38,50が特許請求の範囲に記載した「所定制御スイッチ」に、スイッチ30〜34,38,50が特許請求の範囲に記載した「特定の所定制御スイッチ」に、クロールメインスイッチ36が特許請求の範囲に記載した「切替可スイッチ」に、VSC制御、A−TRC制御、ショックアブソーバの減衰力制御、クロール制御、及びセカンドスタート制御の作動許可及び作動制限が特許請求の範囲に記載した「車両の制御状態」に、それぞれ相当している。
また、上記の実施例においては、ECU16,18が、個別機能スイッチ30〜38,50の操作により各制御の作動許可と作動制限とを切り替えることにより特許請求の範囲に記載した「手動制御状態切替手段」が、オフロードガイダンスECU60が、モード選択スイッチ62の操作により或いは自動的に走行モードを選択することにより特許請求の範囲に記載した「走行モード選択手段」が、ECU16,18が、オフロードガイダンスECU60からの指示により各制御の作動許可と作動制限とを切り替えることにより特許請求の範囲に記載した「自動制御状態切替手段」が、図8に示すルーチン中ステップ202の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「手動切替制限手段」が、ステップ206の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「制限スイッチ報知手段」が、それぞれ実現されている。
ところで、上記の実施例においては、モード選択スイッチ62により選択され得る走行モードとして、ノーマルモードを含め6つの走行モードを用いることとしたが、少なくとも2つの走行モードを有するものを用いることとすればよく、また、新たなモードを追加して用いることとしてもよい。
また、上記の実施例においては、入力操作が無効とされる個別機能スイッチとして、VSC停止スイッチ30、A−TRC停止スイッチ32、AVSスイッチ34、クロールメインスイッチ36、クロールダイヤルスイッチ38、及びセカンドスタートスイッチ50を用いることとしたが、その一部のスイッチのみを用いることとしてもよく、また、他の機能を果たす新たなスイッチを追加して用いることとしてもよい。
また、上記の実施例においては、オフロードガイダンスを、表示系66のマルチディスプレイに文字を表示して行うこととしたが、そのマルチディスプレイに、例えばトランスファの絵や立体図、そのトランスファを位置させるべき推奨駆動位置、或いは操作方向を示す矢印などを表示して行うこととしてもよい。
また、上記の実施例においては、オフロードガイダンスを、表示系66のマルチディスプレイを用いて視覚的に行うこととしたが、独立して或いは同時にスピーカを用いて音声的に行うこととしてもよい。例えば、“L4Lを選択してください”などを音声ガイダンスしてもよく、また、更に詳細に“トランスファをL4モードにし、センターデフロックスイッチをロック状態にしてください”などを音声ガイダンスしてもよい。