JP2013129255A - 車両走行支援装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低車速走行制御中に旋回内輪制御を実行または非実行とする場合でも車両速度の変化量を低減して運転者や同乗者の違和感を抑制できる車両走行支援装置を提供する。
【解決手段】車両走行支援装置のECU38は車輪の旋回内輪に発生させる制動力を旋回外輪に発生させる制動力より大きくして車両を旋回させる旋回内輪制御を行う旋回内輪制御ECU50と、エンジン14の大きさと各車輪にそれぞれ発生させる制動力の大きさを制御して車両10を所定の目標低域車速の範囲で走行させる低車速走行制御を行う低車速走行制御ECU48とを含む。低車速走行制御ECU48は、低車速走行制御中に旋回内輪制御ECU50で旋回内輪制御の開始条件または終了条件が成立すると、旋回内輪制御の開始または終了に伴い生じる実車速と目標低域車速の範囲とのずれを修正するようにエンジン14の駆動力の大きさを決定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両走行支援装置、特に複数の走行支援を実施した場合の制御技術に関する。
近年、車両の走行を支援する装置の搭載が盛んに行われている。例えば、雪道やぬかるみ、凹凸の激しい路面等の悪路を走行する場合、微妙な速度調整が必要となることがある。このような悪路を走行する際に、運転者の運転操作を補助するべくエンジン(駆動源)とブレーキを自動制御できる車両が提案、実用化されている(特許文献1)。この制御は車両の走行状態に応じて駆動源とブレーキとが最適に制御されて、アクセルとブレーキの操作を伴うことなく所定の目標低域車速のうち運転者が指定した低速範囲の速度に走行状態が維持される。以下、このような制御を「低車速走行制御」という。この低車速走行制御を実行することにより、運転者は、低速走行時のアクセル操作やブレーキ操作から解放されハンドル操作に集中することができる。その結果、低速走行が容易かつ正確になり、悪路からの脱出容易性が高められる。また、そのような悪路における走行安全性を高めることができるようになる。
また、車両の走行を支援する装置として、旋回半径を小さくする旋回内輪制御が提案、実用化されている(特許文献2、特許文献3)。車両は、ホイールベースや車輪の最大切れ角などの車両固有の特性により最小回転半径(旋回半径)が決まっているが、状況によっては、車両特性で決まる回転半径よりも小さい回転半径での旋回が望まれる場合がある。このような要望に対し、旋回内輪の制動力が旋回外輪の制動力よりも大きくなるように制動力を制御することで車両の回頭性能を向上し回転半径を小さくしている。
特開2009−275591号公報 特開2008−126858号公報 特開2006−103517号公報
悪路走行では、車両を低速域で走行させると共に旋回半径を小さくして効率的に脱出路へ到達し脱出することが望ましい。そのため、低車速走行制御を実行すると同時に旋回内輪制御を実行したいという要望がある。しかし、低車速走行制御は、所定の低車速を維持しようとして駆動力と制動力を制御する。一方、旋回内輪制御は制動力を制御する。このとき、低車速走行制御及び旋回内輪制御はいずれも現実の車輪速度に基づくフィードバック制御で実行される。その結果、例えば、低車速走行制御と旋回内輪制御を同時に実行している状態から旋回内輪制御のみが終了した場合、それまで実行していた旋回内輪制御のための旋回内輪側の制動力が急に減少する。そのため、車速が上昇して低車速走行制御の目標低域車速の範囲を超えてしまう場合がある。この場合、実際の速度変化は僅かであるが運転者や同乗者に飛び出し感を与えてしまう場合がある。同様に、低車速走行制御のみが実行されているときに旋回内輪制御が開始されると、旋回内輪へ制動力が追加付与される。そのため、それまでの目標低域車速での走行が急に減速される場合がある。この場合も実際の速度変化は僅かであるが運転者や同乗者に急な減速感を与えてしまう場合がある。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、低車速走行制御中に旋回内輪制御を実行または非実行とする場合でも車両速度の変化量を低減して運転者や同乗者の違和感を抑制できる車両走行支援装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両走行支援装置は、車両の車輪に伝達する駆動力を発生する駆動源と、前記車輪のそれぞれに設けられて各車輪に独立した制動力を付与可能な制動機構と、前記車輪の旋回内輪に発生させる制動力を旋回外輪に発生させる制動力より大きくして前記車両を旋回させる旋回内輪制御と、前記駆動力の大きさと各車輪にそれぞれ発生させる制動力の大きさを制御して前記車両を所定の目標低域車速の範囲で走行させる低車速走行制御との少なくとも一方を行う制御部と、を含む。前記制御部は、前記低車速走行制御中における前記旋回内輪制御の開始条件または終了条件が成立すると、前記旋回内輪制御の開始または終了に伴い生じる実車速と目標低域車速の範囲とのずれを修正するように前記駆動力の大きさを決定する。
この態様によると、制御部は低車速走行制御中における旋回内輪制御の開始条件または終了条件が成立すると旋回内輪制御の開始または終了に伴い生じる実車速と目標低域車速の範囲とのずれを修正するので、実車速が目標低域車速の範囲から逸脱することが抑制できる。その結果、旋回内輪制御の開始または終了に伴う速度変化による違和感が生じることが軽減できる。
前記制御部は、前記旋回内輪制御の開始条件または終了条件の成立を操舵角が所定角度に達したか否かによって検出してもよい。この態様によれば、旋回内輪制御の開始条件や終了条件の成立を既存のセンサにより容易に検出できる。
前記制御部は、前記低車速走行制御中に前記旋回内輪制御の終了条件が成立する場合に、前記旋回内輪制御の制御中に比べて前記低車速走行制御のための前記駆動力を低減してもよい。この態様によれば、旋回内輪制御の終了により減少する制動力に対応して駆動力を減少させる。例えば、旋回内輪制御が行われていない場合の低車速走行制御のときに必要とな駆動力に、旋回内輪制御の終了制御が完了する前に調整する。その結果、旋回内輪制御の終了時の速度変化を抑制し、車両の飛び出し感が抑制できる。
前記制御部は、前記低車速走行制御中に前記旋回内輪制御の開始条件が成立する場合に、前記旋回内輪制御の制御開始前に比べて前記低車速走行制御のための前記駆動力を増加してもよい。この態様によれば、旋回内輪制御の開始により増加する制動力に対応して駆動力を増加させる。例えば、旋回内輪制御と低車速走行制御が同時に行われた場合でも目標低域車速を維持できる駆動力に、旋回内輪制御の開始制御が完了する前に調整する。その結果、旋回内輪制御の開始時の速度変化を抑制し、車両の減速感が抑制できる。
前記低車速走行制御を実行するときの前記目標低域車速の範囲に対応するモードを複数種類の中から選択可能なモード選択部をさらに含んでもよい。前記制御部は、選択された前記目標低域車速に応じて定められた修正割合により、前記駆動力を修正してもよい。この態様によれば、運転者により選択されたモードごとの詳細な修正が可能になり、旋回内輪制御の開始または終了に伴う速度変化による違和感の抑制が効果的にできる。
本発明によれば、低車速走行制御中に旋回内輪制御を実行または非実行とする場合でも車両速度の変化を低減して運転者や同乗者の違和感を抑制できる車両走行支援装置が提供できる。
実施の形態に係る車両走行支援装置の機能ブロック図である。 実施の形態に係る車両走行支援装置における制御の前段部分を説明するフローチャートである。 実施の形態に係る車両走行支援装置における制御の中段部分を説明するフローチャートである。 実施の形態に係る車両走行支援装置における制御の後段部分を説明するフローチャートである。 実施の形態に係る車両走行支援装置における目標低域車速の範囲ごとに制御量の修正値を変化させることを説明する説明図である。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態(以下、実施形態という)にかかる車両10の車両走行支援装置12の機能ブロック図である。なお、図1において、車両走行支援装置12の説明に関係しない構成については図示を省略している。
車両10は、四輪駆動車であり、駆動源であるエンジン14、駆動力を変速する変速機16、変速機16から出力された駆動力を減速するとともに前輪18FL、18FRと後輪18RL、18RRとに駆動力を分配する役割を有するトランスファ20を備える。なお、車輪を特定しない場合には、「車輪18」と記載する。トランスファ20では、センターデファレンシャルと副変速機を含む。センターデファレンシャル(以下、センターデフという)は、前後輪に発生する回転差を吸収する。副変速機は、四輪駆動低速ギヤ(「L4」と表記する)、および四輪駆動高速ギヤ(「H4」と表記する)を選択可能である。センターデフは、フリー状態とロック状態の切り替えが可能で、フリー状態の場合、前後輪に発生する回転差を吸収して、前後輪に均等に駆動力を振り分けることで、コーナリング時の走行安定性、操縦性を向上させる。一方、ロック状態の場合、前後輪が直結状態となり各車輪に強いトラクションを得られ、ぬかるみにはまった場合や雪道での深いわだちを乗り越えられるようになる。したがって、副変速機の切り換え状態とセンターデフの切り換え状態の組合せにより様々な路面に対応する走行モードの選択ができる。副変速機のギヤの切り換えやセンターデフの切り換えは、運転席近傍に設けられたレバーまたはスイッチ等を運転者が操作することで実行される。
トランスファ20により分配された前輪駆動力は、前輪プロペラシャフト22、前輪デファレンシャル24、および前輪ドライブシャフト26を経由して、左右の前輪18FL、182FRに伝達される。トランスファ20により分配された後輪駆動力は、同様に、後輪プロペラシャフト28、後輪デファレンシャル30、および後輪ドライブシャフト32を経由して、左右の後輪18RL、18RRに伝達される。
トランスファ20には、副変速機のギヤ位置、すなわち高速ギヤ(H4)か低速ギヤ(L4)かを検知する副変速機センサ34と、センターデフがフリー状態かロック状態かを検知するセンターデフセンサ36が設けれる。それぞれの検出結果を車両10の各種装置を制御する制御部として機能する電子制御装置(以下、ECUという)38に供給する。ECU38は、副変速機やセンターデフの制御を実行するシャシーECU40の他、エンジン14の各種制御を実行するエンジンECU42、変速機16の各種制御を実行するT−ECU52、後述する油圧ブレーキ装置を制御するブレーキECU46、低車速走行制御を実行する低車速走行制御ECU48、旋回内輪制御を実行する旋回内輪制御ECU50等を含んで構成されている。これらECU40〜50には、演算ユニット(CPU)の他に、各種制御プログラムや演算マップ及び制御の実行に際して算出されるデータ等を記憶保持するメモリがそれぞれ設けられている。これらECU40〜50の入出力信号は、車内LANによって相互に伝送される。なお、以下の説明において、「ECU38の実行」という場合には、各ECU40〜50が協同して実行する場合も含まれるものとする。
本実施形態において、ECU38は車両10の走行支援として、例えば、車両10のハンドルの操舵角とホイールベースとによって定まる旋回半径より小さな旋回半径で車両10を旋回させるような旋回内輪制御を実行する。旋回内輪制御の場合、車輪18の内輪に発生させる制動力を外輪に発生させる制動力より大きくする。内輪に対して外輪を多く回転させることにより車両10の回頭性能を向上させる。旋回内輪制御は、車両10の構造で定まる最小旋回半径よりさらに小さな旋回半径での旋回が可能になるので、Uターンや駐車時等大きく車両10を旋回させる必要がある場合に有効である。また、悪路走行中など車両10を大きく旋回させて適切な走行路(脱出路)に導く場合等にも有効である。この場合、走行支援装置は、エンジン14、エンジンECU42、車輪速センサ50、ブレーキECU46、ディスクブレーキ74、旋回内輪制御ECU50等により構成されることになる。
また、ECU38は、エンジン14の駆動力の大きさと各車輪18にそれぞれ発生させる制動力の大きさを制御して車両10を所定の目標低域車速の範囲で走行させるような走行支援を行う低車速走行制御を実行する。低車速走行制御における目標低域車速は、例えば1〜5km/hの範囲で、定められて複数の「モード」の中から運転者が選択可能である。この「モード」は例えば「モード1」から「モード4」がある。「モード1」の場合、目標低域車速の範囲として、車速が1〜1.5km/hになる制御が行われる。「モード2」の場合、目標低域車速の範囲として、車速が2〜2.5km/hになる制御が行われる。「モード3」の場合、目標低域車速の範囲として、車速が3〜4km/hになる制御が行われる。「モード4」の場合、目標低域車速の範囲として、車速が4〜5km/hになる制御が行われる。このモードの選択は、後述する低車速走行制御スイッチ70のモード選択スイッチ70bによって行われる。一例として、目標低域車速の範囲として、3〜4km/hである「モード3」が運転者によって選択された場合を考える。この場合、ECU38は、車輪速センサ52のなかで最も遅い車輪速度を基準として、その基準車輪の車輪速度が3km/hを下回った場合には、エンジンECU42を介してエンジン14の駆動力を増加し、3km/hを超えた場合には、駆動力を減少するように制御する。つまり、駆動力の調節により目標低域車速の範囲である3km/h(下限車輪速度)を逸脱しないような制御ができる。また、ECU38は「モード3」の場合、車輪18の車輪速度が4km/hを超えた場合に、ブレーキECU46を介して、ディスクブレーキ74に対する油圧を上昇させて制動力を発生させ、車輪速度が4km/hを下回った場合に油圧を低下させて制動力を消失または低減させる。その結果、制動力の調節により目標低域車速の範囲である4km/h(上限車輪速度)を超えないように制御できる。結果として、目標低域車速の範囲を継続的に維持して安定的な低車速走行ができるようにしている。このように、低車速走行制御は、アクセル操作やブレーキ操作が不要で所定の超低車速で車両10が自動制御されるので、例えば、悪路走行中などでハンドル操作に集中することが必要な場合などに有効である。この場合、走行支援装置は、エンジン14、エンジンECU42、車輪速センサ50、ブレーキECU46、ディスクブレーキ74、低車速走行制御ECU48等により構成されることになる。なお、旋回内輪制御と低車速走行制御とは、それぞれ独立的に実行することもできるし、同時に実行することもできる。
ECU38には、各種センサからの検出信号が提供される。
例えば、前輪18FL、18FR及び後輪18RL、18RRの近傍には、各車輪18の車輪速度を検出する車輪速センサ52が取り付けられる。また、エンジン14にはエンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ54が設けられる。車室内には運転者のアクセルペダルの踏み具合を検出するアクセル操作量センサ56が設けられる。また、運転者のブレーキペダルの踏み具合を検出するブレーキ操作量センサ58、運転者によるシフトレバーの操作位置を検出するシフト位置センサ60が設けられる。さらに、車両10の水平方向に対する傾斜角、すなわち、上り勾配角及び下り勾配角を検出する勾配センサ62、ハンドルの舵角を検出する舵角センサ64が設けられている。これら各センサの検出信号は、イグニッション(IG)ONの状態で、ECU38へ提供可能な状態になる。
なお、ECU38には、センターデフをフリー状態にするかロック状態にするかを運転者に選択させるセンターデフロックスイッチ66、旋回内輪制御を実行するか否かを運転者に選択させる旋回内輪制御要求スイッチ68が接続されている。さらに、ECU38には、低車速走行制御を実行するときに操作する低車速走行制御スイッチ70が接続されている。
車両10は、制動装置として油圧ブレーキ装置72を備える。油圧ブレーキ装置72は、前輪18FL、18FR、後輪18RL、18RRにそれぞれ設けられるディスクブレーキ74に油圧を伝達して、その車輪18に制動力を付与する。前述したように、各車輪18には、車輪速センサ52が備えられている。
シャシーECU40は、副変速機センサ34、センターデフセンサ36からの検出信号、及び副変速機のギヤの切換レバーやセンターデフの切換スイッチの状態にしたがって、副変速機のギア選択やセンターデフのロック状態等を制御する。
エンジンECU42は、各種センサからの信号に基づき、エンジン14に要求される出力(要求出力)を算出するとともに、エンジン14の各種制御を実行する。具体的には、アクセル操作量センサ56に基づき把握されるアクセルペダルの操作量等に応じて図示しない燃料噴射弁の燃料噴射量及び噴射時期を調整すること等により、エンジン出力を調整する。また、低車速走行制御の実行中には、低車速走行制御ECU48で算出された要求駆動力が得られるように、エンジン14の出力を得るべく各種制御を実行する。例えば、この場合も吸入空気量や燃料噴射量等を調整することでエンジン出力を調整する。
T−ECU44は、各種センサからの信号に基づき、変速機16の各種制御を実行する。具体的には、車輪速センサ52からの信号に基づき把握される車両10の速度、シフト位置センサ60からの信号に基づき把握されるシフトレバーの位置、アクセル操作量センサ56からの信号に基づき把握されるアクセルペダルの操作量等に基づき、予め設定されているシフトパターンのマップにより適切な変速比を決定する。また、低車速走行制御の実行中には、低車速走行制御ECU48で算出された要求駆動力及び要求制動力が得られるような適切な変速比を決定する。そして、変速機16の変速比を決定された変速比に変更する制御を実行する。
ブレーキECU46は、各種センサからの信号に基づき、油圧の供排状態を調節して運転者の要求する制動力または、車両10を最適な状態で走行させるために算出した制動力を付与するように各ディスクブレーキ74を制御する。具体的には、車輪速センサ52からの信号に基づき把握される車両10の速度、ブレーキ操作量センサ58からの信号に基づき把握されるブレーキペダルの操作量等に基づき、要求される制動力を算出して油圧ブレーキ装置72を制御する。また、低車速走行制御の実行中には、低車速走行制御ECU48で算出された要求制動力が得られるように油圧ブレーキ装置72を制御する。同様に、旋回内輪制御の制御中には、旋回内輪制御ECU50で算出された要求制動力が得られるように油圧ブレーキ装置72を制御する。
低車速走行制御スイッチ70は、低車速走行制御の実行を要求する要求スイッチ70aと、低車速走行制御が実行される場合に、所望の低車速範囲を対応するモードを選択するモード選択スイッチ70bを含む。
このように構成される車両10において、低車速走行制御中に旋回内輪制御が開始されたり、旋回内輪制御のみが終了したりする場合がある。前述したように、旋回内輪制御は、内輪側の制動力を増加することにより旋回性能を向上させる制御であるため、単純に低車速走行制御中に旋回内輪制御を開始したり終了したりすると、低車速走行制御における目標低域車速に対する制動力の影響が顕著に現れてしまう。例えば、低車速走行制御と旋回内輪制御が同時に実行されていて、目標低域車速が維持されているときに旋回内輪制御のみが終了した場合、旋回内輪制御のための制動力が消失することになる。その結果、急に車輪速度が上がり飛び出し感を運転者や同乗者に与えてしまう場合がある。また、低車速走行制御のみが実行されていて、目標低域車速が維持されているときに旋回内輪制御が開始された場合、旋回内輪制御のための制動力が増加することになる。その結果、急に車輪速度が低下して減速感を運転者や同乗者に与えてしまう場合がある。このような低車速走行制御中の制動力の変化による速度変化は僅かであり、走行安全性の点においては特に問題にならない。しかし、低車速走行制御は、車速が例えば1〜5km/hのような超低車速の範囲で行われる制御であるため、急な速度変化による運転者や同乗者に与える違和感が顕著に現れてしまう。そこで、本実施形態の車両走行支援装置では、旋回内輪制御の開始条件または終了条件が成立すると旋回内輪制御の開始または終了に伴い生じる実車速と目標低域車速の範囲とのずれを修正するように駆動力の大きさを決定する制御を実行する。
また、低車速走行制御中に旋回内輪制御が実行されると、基本的に4輪の車輪速度が均等になるように制御しようとする目標低域車速と、旋回内輪側と旋回外輪側で車輪速度に差を設けようとする旋回内輪制御とが互いに干渉してしまう。つまり、低車速走行制御が旋回外輪側にも制動力をかけてしまい、旋回内輪制御の旋回半径を小さくする効果を妨げてしまうことがある。そこで、本実施形態の車両走行支援装置では、低車速走行制御中に旋回内輪制御が実行される場合に例外的に旋回内輪側と旋回外輪側で車輪速度に差が生じても外輪側に制動力をかけにくくする制御を実行する。
図2〜図4は、本実施形態の車両走行支援装置による制御を説明するフローチャートである。なお、図示の関係でフローチャートを3分割している。図2は前段部分、図3は中段部分、図4は後段部分である。
まず、低車速走行制御のみが実行される場合を説明する。図2〜図4に示される一連のフローチャートは、所定の制御周期で繰り返し実行される。図2に示すように、イグニッション(IG)がONされると(S100のY)、各センサが起動してECU38に各種検出信号が入力されて、ECU38において入力信号の処理が行われる(S102)。S100において、IGONでない場合(S100のN)、何もせずにフローの開始待機状態になる。ECU38に各検出信号が入力されると、低車速走行制御ECU48は、低車速走行制御許可条件が成立しているか確認する。なお、各フローチャートでは、低車速走行制御を便宜上「C走行」または「C走行制御」と表記する。低車速走行制御の許可条件としては、例えば、副変速機センサ34からの検出信号に基づき副変速機が「L4:四輪駆動低速ギア」であり、かつシフト位置センサ60からの検出信号に基づき、シフト位置が「D:ドライブ」か「R:リバース」のいずれかであることが条件となる。低車速走行制御ECU48は、低車速走行制御の許可条件が成立している場合で(S104のY)、現在、低車速走行制御中ではない場合(S106のN)、低車速走行制御の要求スイッチ70a(C走行SW)の状態を確認する(S108)。要求スイッチ70aは、例えばモーメンタリ型のスイッチで、押下されている間だけ信号を出力する。もし、要求スイッチ70aの信号が検出されない場合(S108のN)、このフローを一旦終了する。一方、S108において、要求スイッチ70aの信号が検出された場合(S108のY)、低車速走行制御ECU48は、低車速走行制御の開始処理を実行する(S110)。具体的には、低車速走行制御が可能であること示す制御開始フラグをONする。
続いて、低車速走行制御ECU48は、低車速走行制御のためのエンジン制御用の目標車体速度の演算を実行する(S112)。具体的には、モード選択スイッチ70bのモード選択内容にしたがいエンジン制御用の目標車体速度の演算を実行する。例えば、低車速走行制御のためにモード選択スイッチ70bにより「モード3」が選択されている場合、低車速走行制御ECU48はエンジンECU42に対して、車体速度が3km/hになるように駆動力を要求することになる。ただし、車両10が下り勾配の路面に存在して坂下に向かい走行している場合、降坂による速度増加が生じるので、選択されている「モード」に対応する駆動力より少ない要求をエンジンECU42に出す必要がある。逆に、車両10が登り勾配の路面に存在して坂上に向かい走行している場合、登坂による速度減少が生じるので、選択されている「モード」に対応する駆動力より多い要求をエンジンECU42に出す必要がある。そこで、低車速走行制御ECU48は、モード選択スイッチ70bで選択されている「モード」と勾配センサ62からの検出信号と車輪速センサ52で検出可能な走行方向等に基づき、エンジン制御用の目標車体速度を演算する。
S106において、現在、低車速走行制御中の場合(S106のY)、要求スイッチ70aの信号が検出された場合(S114のY)、つまり、運転者が低車速走行制御を終了しようとして要求スイッチ70aを押下した場合、低車速走行制御ECU48は低車速走行制御の終了処理を実行する(S116)。具体的には、現在ON状態の低車速走行制御の制御開始フラグをOFFする処理を行い、一旦このフローを終了する。また、現在、低車速走行制御中であり、要求スイッチ70aの信号が検出されない場合(S114のN)、つまり、運転者が低車速走行制御の継続を希望している場合、S112に移行する。そして、現在のモード選択スイッチ70bで選択されている「モード」と勾配センサ62からの検出信号と車輪速センサ52で検出可能な走行方向等に基づき、エンジン制御用の目標車体速度を演算する。
S104において、低車速走行制御の許可条件が成立していない場合(S104のN)、低車速走行制御の終了処理を実行する(S116)。具体的には、低車速走行制御の制御開始フラグがOFFであれば、そのままOFFを維持する制御を行い、前回処理で制御開始フラグがON状態であった場合はOFFする制御を行い、このフローを終了する。
続いて、図3を参照して低車速走行制御のみが実行される場合の後続の処理を説明する。
図2のS112でエンジン制御用の目標車体速度が演算できたら、低車速走行制御ECU48は、旋回内輪制御ECU50を参照して車両10が旋回内輪制御の実行中であるか確認する(S200)。なお、各フローチャートでは、旋回内輪制御を便宜上「TA制御」と表記する。旋回内輪制御が実行中であるか否かは、後述する旋回内輪制御の許可条件の成否とハンドルの操舵角によって判定する。例えば、旋回内輪制御の許可条件が成立している場合で、舵角センサ64から提供される操舵角が所定角以上、例えばハンドルの中立位置から左または右に300°以上転舵された場合に旋回内輪制御の実行中であるとする。旋回内輪制御の許可条件が成立していても舵角がハンドルの中立位置から左または右に300°より少ない場合は旋回内輪制御は非実行であるとする。なお、旋回内輪制御が実行中であるか否かの基準となる舵角の300°は、一例であり、実験等により適宜決定することができる。ただし、前述したように旋回内輪制御の場合、内輪側の制動力を増加させる。例えば、旋回内輪制御開始/終了の基準の舵角を比較的小さな100°等にすると、旋回の初期の段階や旋回の終盤の段階、つまり車両10が比較的直進に近い走行を行っている場合に内輪側の制動力が増加し、引き摺り感が出てしまう。もともと、旋回半径を小さくしたい場合、運転者はハンドルをロック位置(最大舵角)付近まで転舵するので、それを考慮して旋回内輪制御開始/終了の基準の舵角を比較的大舵角に設定することが望ましい。
S200において、旋回内輪制御の実行中でない場合(S200のN)、すなわち、低車速走行制御のみを実行する場合、低車速走行制御ECU48は、低車速走行制御における各車輪の上限車輪速度を演算する(S202)。前述したように、低車速走行制御は所定の極低車速を維持するように駆動力と制動力を調整する制御である。そのため、駆動力の制御による車輪速度と制動力の制御による車輪速度とを同じ目標車輪速度にした場合、制動により車輪速度が落ちると直ちに駆動力が増加し、駆動力を増加すると直ちに制動力が増加するようになり目標車輪速度の前後で制御のハンチングを生じてしまう。そこで、本実施形態では、前述したように、モードごとに目標低域車速の範囲を定め、駆動力の目標車輪速度を範囲中の下限車輪速度に設定し、制動力の目標車輪速度を範囲中の上限車輪速度に設定している。例えば、駆動力の目標車輪速度である下限車輪速度が3km/hの場合、制動力の目標車輪速度である上限車輪速度は、4km/hに設定する。なお、低車速走行制御と旋回内輪制御とが行われる場合、旋回内輪側と旋回外輪側とで目標車輪速度が異なるが、低車速走行制御のみが行われる場合、各車輪18の目標車輪速度は基本的には同じ値に設定される。
そして、前回の制御周期の処理で旋回内輪制御が行われていない場合(S204のN)、つまり、前回の制御周期の処理のときに低車速走行制御のみが行われていた場合、低車速走行制御ECU48は、低車速走行制御用のエンジン14の目標駆動力(目標エンジントルク)を演算する(S206)。例えば、「モード3」の場合、車輪速度が3km/hになるようなエンジン14の目標エンジントルクを算出する。さらに、低車速走行制御ECU48は、車輪速度が4km/hを超えないようにするように各車輪18のブレーキ圧力要求値を演算する(S208)。
続いて、図4を参照して低車速走行制御のみが実行される場合の後続の処理を説明する。
旋回内輪制御ECU50は、旋回内輪制御を許可するための条件が成立しているか否かを確認する(S300)。この場合の旋回内輪制御を許可するための条件とは、例えば、センターデフがフリー状態であることとすることができる。センターデフがロックされている場合は、前後輪に発生する回転差を吸収できない状態になっているので、旋回内輪制御を実行しない。S300において、旋回内輪制御を許可するための条件が成立していない場合(S300のN)、すなわちセンターデフがロック状態の場合は、旋回内輪制御を実行しないように旋回内輪制御の終了処理を実行する(S302)。例えば、前回の制御周期の処理で旋回内輪制御が実行されていた場合は、旋回内輪制御実行用のフラグをOFFして、旋回内輪制御を完全終了させる制御を実行する。また、前回の制御周期の処理で旋回内輪制御が実行されていない場合は、旋回内輪制御実行用のフラグをOFFのまま維持する制御を実行する。そして、低車速走行制御ECU48は、S206で算出された低車速走行制御用のエンジン14の目標駆動力(目標エンジントルク)を出力するようにエンジンECU42に要求すると共に、S208で算出した各車輪18のブレーキ圧力要求値に基づく制動力を出力できるようにブレーキECU46に要求を出す(S304)。その結果、運転者が選択したモードに基づく目標低域車速の範囲内の超低車速を維持する低車速走行制御が実行される。
続いて、低車速走行制御中に旋回内輪制御の開始が準備される場合を説明する。
S300において、旋回内輪制御を許可するための条件が成立している場合であって(S300のY)、今回の制御周期で旋回内輪制御が実行されていない場合(S306のN)、旋回内輪制御ECU50は、旋回内輪制御要求スイッチ68がONされたか確認する(S308)。旋回内輪制御要求スイッチ68は、例えばモーメンタリ型のスイッチで、押下されている間だけ信号を出力する。もし、旋回内輪制御要求スイッチ68のONが確認されない場合(S308のN)、S304に移行し、低車速走行制御ECU48は、低車速走行制御のみを実行するためのエンジントルクの出力をエンジンECU42に要求するとともに、ブレーキ圧力の出力をブレーキECU46に要求する。
一方、旋回内輪制御要求スイッチ68のONが確認された場合(S308のY)、旋回内輪制御ECU50は旋回内輪制御を実行するための処理を実行する(S310)。具体的には、旋回内輪制御を実行可能にする許可フラグをONして、旋回内輪制御をスタンバイ状態にする。実際に旋回内輪制御を実行するか否かは、例えば、運転者がハンドルを大きく転舵して大きな旋回を要求しているか否かで判断できる。例えば、ハンドルの舵角が中立位置から300°以上転舵された場合、運転者が車両10を大きく旋回させることを望むことを示す。この場合に旋回を効率的に行えるように旋回内輪制御を開始する。したがって、舵角>所定値(例えば、300°)の場合(S312のY)、旋回内輪制御ECU50は、旋回内輪制御用に例えば、リア旋回内輪のブレーキ圧要求値を演算する(S314)。この場合、旋回内輪制御ECU50は、リア旋回内輪の車輪速度が「0km/h」になるようなブレーキ圧要求値を算出する。そして、低車速走行制御ECU48は、選択された「モード」の目標低域車速の範囲で車両10を走行させられるように、S208で算出した低車速走行制御用のブレーキ圧力要求値と旋回内輪制御を実行するために算出したブレーキ圧力要求値との調停を実行する(S316)。そして、低車速走行制御ECU48は、低車速走行制御及び旋回内輪制御を実行するためエンジントルクの出力をエンジンECU42に要求し、調停されたブレーキ圧力の出力をブレーキECU46に要求する。
なお、S312において、舵角>所定角(例えば300°)ではない場合は(S312のN)、旋回内輪制御が実行スタンバイ状態であっても旋回内輪制御のためのリア旋回内輪に関するブレーキ圧力要求値の演算は行わず、S304に移行する。そして、低車速走行制御ECU48は、低車速走行制御のみを実行するためエンジントルクの出力をエンジンECU42に要求し、低車速走行制御のみを実行するためブレーキ圧力の出力をブレーキECU46に要求する。
S306において、今回の制御周期で旋回内輪制御が実行されている場合で(S306のY)、旋回内輪制御要求スイッチ68のONが確認されない場合(S318のN)、つまり、運転者が旋回内輪制御の継続を要求する場合はS312に移行する。そして、旋回内輪制御ECU50は、今回の制御周期の車両状態に基づく旋回内輪制御のためのリア旋回内輪に関するブレーキ圧力要求値の演算を行い、それ以降の処理を実行する。また、S318において、今回の制御周期で旋回内輪制御要求スイッチ68のONが確認された場合(S318のY)、つまり、運転者が旋回内輪制御の終了を要求した場合はS302に移行する。つまり、ONになっていた旋回内輪制御の実行フラグをOFFにして(S302)、S304に移行する。低車速走行制御ECU48は、低車速走行制御のみを実行するためエンジントルクの出力をエンジンECU42に要求し、ブレーキ圧力の出力をブレーキECU46に要求する。
図3に戻って、低車速走行制御中に旋回内輪制御が終了する場合及び開始される場合の処理について説明する。
S204において、前回の制御周期の処理で旋回内輪制御が行われていた場合(S204のY)、今回の制御周期の制御における目標エンジントルクを減少させる処理を実行する(S210)。つまり、今回の制御周期の処理では旋回内輪制御が行われていないが、前回の制御周期の処理で旋回内輪制御が行われていた場合、今回の制御周期で旋回内輪制御が終了したことになり、旋回内輪制御のための制動力が消失することになる。したがって、旋回内輪制御の終了に伴い、実車速と目標低域車速の範囲とにずれが生じる。その結果、低車速走行制御中にも拘わらず車輪速度が増加して運転者や同乗者に飛び出し感を与えてしまう原因になる可能性がある。そこで、低車速走行制御ECU48はこのずれ量を修正するように駆動力の大きさ(目標エンジントルク)を減少させる減少修正処理を実行する。この場合、低車速走行制御ECU48は、今回の制御周期における目標エンジントルクを、前回の制御周期における目標エンジントルクに所定のゲインAを掛けて求める。このときに用いるゲインAの例を図5(a)に示す。図5(a)に示すように、ゲインAは、目標低域車速の範囲(モード)に応じて変化する1.0以下の値であり、目標低域車速の範囲(モード)の速度が小さいほど1.0に近い値のゲインAを用い、目標低域車速の範囲(モード)の速度が大きくなるほど1.0から離れた値のゲインAを用いる。つまり、目標低域車速の範囲の中でも速度が小さい場合、旋回内輪制御に必要になる制動力が小さいため、また、車輪速度自体も遅いので旋回内輪制御のための制動力が消失しても増加する車輪速度が小さい。したがって、1.0に対して変化割合の少ないゲインAを用いて、目標エンジントルクの減少修正幅を小さくしている。逆に目標低域車速の範囲の中でも速度が大きい場合、旋回内輪制御に必要になる制動力が大きいため、その制動力の消失により増加する車輪速度が大きい。したがって、1.0に対して変化割合の大きなゲインAを用いて、目標エンジントルクの減少修正幅を大きくしている。このように、旋回内輪制御の終了するタイミングで、その終了に伴い生じる実車速と目標低域車速の範囲とのずれを修正するように目標エンジントルクを修正することで、旋回終了時の車輪速度の増加、つまり飛び出し感の発生を効果的に抑制できる。そして、低車速走行制御ECU48は、車輪速センサ52からの車輪速度に基づいてモードで定められた目標低域車速を超えない状態を維持するような各車輪18のブレーキ圧力要求値を演算する(S208)。例えば「モード3」の場合は、車輪速度が4km/hを超えないように各車輪18のブレーキ圧力要求値を演算する。そして、図4のフローの処理を実行する。
S200において、旋回内輪制御が実行中である場合(S200のY)、すなわち、低車速走行制御と旋回内輪制御が同時に行われ、極低車速を維持しながら旋回半径を小さくする制御が行われていることになる。この場合、旋回内輪制御のために内輪側に制動力が付与されると、内外輪の車輪速度差が大きくなる。つまり、内輪側の車輪速度に対して外輪側の車輪速度が大きくなろうとする。一方、低車速走行制御は、基本的に4輪の車輪速度が均等になるようにして目標低域車速を維持するように制動力を制御する。そのため、旋回内輪制御により外輪側の車輪速度が大きくなると、外輪側に制動がかかりやすくなり、内外輪の車輪速度差を減少させてしまう。つまり、低車速走行制御は旋回内輪制御の旋回半径の縮小効果を低減させてしまう可能性がある。そこで、本実施形態では、低車速走行制御中に旋回内輪制御が行われる場合、低車速走行制御において外輪側に制動力が掛かりにくくして、旋回内輪制御における内外輪の車輪速度差が小さくなることを抑制している。その結果、低車速走行制御中でも旋回内輪制御が効果的に実行できるようにしている。具体的には、旋回内輪制御が行われない場合と比較して低車速走行制御のモードに対応する上限車輪速度のうち外輪側の上限車輪速度をかさ上げする修正処理を実行する(S212)。
この場合、低車速走行制御ECU48は、低車速走行制御のモードに対応する外輪側の上限車輪速度を、低車速走行制御のモードに対応する内輪側の上限車輪速度に所定量のかさ上げを実行することで算出する。このときに用いるかさ上げ速度の例を図5(b)に示す。図5(b)に示すように、目標低域車速の範囲(モード)の速度が小さいほどかさ上げ速度Bを大きく、目標低域車速の範囲(モード)の速度が大きくなるほどかさ上げ速度Bを小さくする。低車速走行制御において、運転者が目標低域車速の範囲(モード)として、より低速側を選択するのは、路面(悪路)がスリップしやすく、ゆっくりと走行して走破しようと感じている場合が多い。そのため、低車速走行制御における低車速側のモードは、上述したように、少しでも車輪がスリップした場合は直ちに制動力を付与して路面をグリップできるように、制動力が付与される上限車輪速度を低めに設定している。したがって、旋回内輪制御による内外輪の車輪速度差が生じた場合、早めに制動力が掛かってしまう。そのため、低車速走行制御中に旋回内輪制御を実行して旋回効率を向上させる場合、目標低域車速の範囲(モード)の速度が小さいほど外輪側の上限車輪速度のかさ上げ速度Bを大きくしている。一方、低車速走行制御において、目標低域車速の範囲(モード)の速度が大きい場合、すなわち、ある程度の速度で悪路を走破しようと運転者が考えている場合、速度があるため多少車輪がスリップしても走行が可能になる。そこで、頻繁な制動力制御が実行されることを回避するために制動力が付与される上限車輪速度を高めに設定している。したがって、旋回内輪制御による内外輪の車輪速度差が生じた場合は比較的遅めに制動力が掛かる。そのため、低車速走行制御中に旋回内輪制御を実行して旋回効率を向上させる場合、目標低域車速の範囲(モード)の速度が大きいほど外輪側の上限車輪速度のかさ上げ速度Bを小さくして低車速走行制御のための制動力制御が必要以上に緩慢になることを防止している。
低車速走行制御ECU48は、前回の制御周期の処理でも旋回内輪制御が実行されている場合(S214のN)、S206に移行して、低車速走行制御用のエンジン14の目標駆動力(目標エンジントルク)を演算する。例えば、「モード3」の場合、最も遅い車輪18の車輪速度が3km/hになるようなエンジン14の目標エンジントルクを算出し、S208において、内輪の車輪速度が4km/hを超えないように、また、外輪がかさ上げ後の車輪速度を超えないように各車輪18のブレーキ圧力要求値を演算する。そして、図4のフローの処理を実行する。
一方、S214において、前回の制御周期の処理で旋回内輪制御が非実行の場合(S214のY)、今回の制御周期で旋回内輪制御が開始されることになる。つまり、旋回内輪制御のために新たな制動力が内輪側の車輪18に付与されることになり、低車速走行制御中の車両10が急に減速することになる。これは、運転者や同乗者に違和感を与えてしまう原因になる。そこで、低車速走行制御ECU48は、この減速量(実車速と目標低域車速の範囲とのずれ量)を修正するように駆動力の大きさ(目標エンジントルク)を増加させる増加修正処理を実行する(S216)。この場合、低車速走行制御ECU48は、今回の制御周期における目標エンジントルクを、前回の制御周期における目標エンジントルクに所定のゲインCを掛けて求める。このときに用いるゲインCの例を図5(c)に示す。図5(c)に示すように、ゲインCは1.0以上の値であり、目標低域車速の範囲(モード)の速度が小さいほどゲインCが大きく、目標低域車速の範囲(モード)の速度が大きくなるほどゲインCが小さくなる。つまり、目標低域車速の範囲の中でも速度が小さい場合、制動力付与により車両10が停止しやすく速度低下の影響が大きい。したがって、目標エンジントルクの増加修正割合を大きくしている。逆に目標低域車速の範囲の中でも速度が大きい場合、ある程度の速度があるため制動力付与による車両10の速度低下の影響が小さい。したがって、目標エンジントルクの増加修正割合を小さくしている。このように、旋回内輪制御の開始するタイミングで、その開始に伴い生じる実車速と目標低域車速の範囲とのずれを修正するように目標エンジントルクを修正することで、旋回開始時の車輪速度の減速感の発生を効果的に抑制できる。そして、低車速走行制御ECU48は、S208において、例えば「モード3」の場合、内輪の車輪速度が4km/hを超えないように、また、外輪がかさ上げ後の車輪速度を超えないように各車輪18のブレーキ圧力要求値を演算する。そして、図4のフローの処理を実行する。
なお、図5(a)〜(c)のゲインA、かさ上げ量B、ゲインCの変化は便宜上直線で示しているが、モードごとに段階的に変化することになる。
以上説明した処理を所定の制御周期で繰り返し実行することにより、低車速走行制御中に旋回内輪制御を開始または終了する場合でも車両速度の変化を低減して運転者や同乗者の違和感を抑制できる。
上述の実施形態における旋回内輪制御では、旋回内輪側の前後輪に対して制動力の付加制御を行ってもよいし、旋回内輪後輪のみに制動力を付加する制御を行ってもよい。一方、旋回外輪側の上限車輪速度のかさ上げ制御は、旋回により外輪前後の車輪速度が大きくなるので、前後輪に対して実行することが望ましい。
また、上述の実施形態では、4輪駆動車に車両走行支援装置を適用した例を説明したが、例えば、FF車両に本実施形態の車両走行支援装置を適用しても同様の効果を得ることができる。
上述した実施形態では、ゲインA、かさ上げ量B、ゲインCを用いた修正処理は各モードに対応して実行する例を説明したが、例えば、特定のモードのときのみ修正処理を実行するようにしてもよい。例えば、ゲインAは高速側のモードの時のみ適用するようにしてもよい。また、かさ上げ量Bは、低速側のモードの時のみ適用するようにしてもよい。
以上、本発明を上述の実施形態を参照して説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、実施形態や変形例の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。
10 車両、 12 車両走行支援装置、 14 エンジン、 18 車輪、 38 ECU、 42 エンジンECU、 46 ブレーキECU、 48 低車速走行制御ECU、 50 旋回内輪制御ECU、 52 車輪速センサ、 68 旋回内輪制御要求スイッチ、 70 低車速走行制御スイッチ、 72 油圧ブレーキ装置、 74 ディスクブレーキ。

Claims (5)

  1. 車両の車輪に伝達する駆動力を発生する駆動源と、
    前記車輪のそれぞれに設けられて各車輪に独立した制動力を付与可能な制動機構と、
    前記車輪の旋回内輪に発生させる制動力を旋回外輪に発生させる制動力より大きくして前記車両を旋回させる旋回内輪制御と、前記駆動力の大きさと各車輪にそれぞれ発生させる制動力の大きさを制御して前記車両を所定の目標低域車速の範囲で走行させる低車速走行制御との少なくとも一方を行う制御部と、
    を含み、
    前記制御部は、前記低車速走行制御中における前記旋回内輪制御の開始条件または終了条件が成立すると、前記旋回内輪制御の開始または終了に伴い生じる実車速と目標低域車速の範囲とのずれを修正するように前記駆動力の大きさを決定することを特徴とする車両走行支援装置。
  2. 前記制御部は、前記旋回内輪制御の開始条件または終了条件の成立を操舵角が所定角度に達したか否かによって検出することを特徴とする請求項1記載の車両走行支援装置。
  3. 前記制御部は、前記低車速走行制御中に前記旋回内輪制御の終了条件が成立する場合に、前記旋回内輪制御の制御中に比べて前記低車速走行制御のための前記駆動力を低減することを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両走行支援装置。
  4. 前記制御部は、前記低車速走行制御中に前記旋回内輪制御の開始条件が成立する場合に、前記旋回内輪制御の制御開始前に比べて前記低車速走行制御のための前記駆動力を増加することを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両走行支援装置。
  5. 前記低車速走行制御を実行するときの前記目標低域車速の範囲に対応するモードを複数種類の中から選択可能なモード選択部をさらに含み、
    前記制御部は、選択された前記目標低域車速に応じて定められた修正割合により、前記駆動力を修正することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両走行支援装置。
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