JP2010149650A - 車両用操舵装置、車両用操舵装置付き車両および車両用操舵方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 転舵角の推定値としての推定転舵角と実転舵角との偏差である転舵角偏差が増加している場合には、転舵角偏差が増加していない場合よりも大きな操舵反力を操舵部に付与するようにした。
【選択図】 図2
Description
まず、構成を説明する。
〔全体構成〕
図1は、実施例1の車両用操舵装置を適用した車両1の全体構成図である。この車両1は、前輪2FL,2FRと後輪3RL,3RRのうち、前輪2が転舵を行う操向輪となっている。また実施例1の車両用操舵装置は、操舵機構16と転舵機構17とが機械的に切り離された、いわゆる、ステア・バイ・ワイヤ・システムである。
転舵モータ9の制御は、以下のような処理によって行われる。
ステアリング13の操舵角を操舵角センサ19で検出し、第1電子コントロールユニット14aにおいて操舵角センサ19で検出した操舵角に基づいて目標転舵角θtを演算する。この目標転舵角θtは、操舵角に対する目標転舵角θtが予め定められたマップを参照する事により演算される。尚、操舵角に対する目標転舵角θtのマップは、例えば車速が高いほど操舵角に対する目標転舵角θtを小さく、また車速が低いほど操舵角に対する目標転舵角θtを大きくする等、車両の状態等に基づいて変更されるものであっても良い。
第1、第2電子コントロールユニット14a,14bの角度サーボ系は、ロバストモデルマッチング手法を用いた方法で構成される。この方法では、あらかじめ与えておいた所望の特性と一致させるためのモデルマッチング補償器により、目標転舵角θtに対し所定の規範応答特性を実現するための駆動指令値を演算し、ロバスト補償器により外乱成分に応じた補償電流が演算される。これにより、外乱発生時においても実転舵角θaが規範応答特性で追従可能な、耐外乱性に優れた制御系が実現できる。
図2は第3電子コントロールユニット14cにおいて行われる操舵軸モータ8の制御処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS2では、実転舵角θaを微分した実転舵角速度dθa/dtを演算して、ステップS3へ移行する。
θe=Lp・θt
ステップS4では、推定転舵角θeの微分値である推定転舵角速度dθe/dtを演算して、ステップS5へ移行する。
TH1=G1・F1+G2・F2+G3・F3+G4・F4+G5・S1+G6・S2+G7・S3
尚、G1〜G7は実験等によって予め設定されたゲインである。
TH2=K・(θe−θa)
TH3=C・(dθe/dt−dθa/dt)
尚、上式は
TH3=C・d/dt(θe-θa)
であっても良い。
尚、以下では第3操舵反力TH3と第1操舵反力及び第2操舵反力とを区別する為、第3操舵反力TH3を付加反力TH3と記載する。また、推定転舵角θeと実転舵角θaとの偏差を、以下では転舵角偏差とも記載する。
尚、所定の変化速度SLは、付加反力TH3の変化速度が大きすぎる事により操舵反力変化が急激となり、運転者に違和感を与える可能性が有る値を予め実験等によって求めて設定した値である。
ステップS13では、付加反力TH3にフィルタSを乗算したものを新たな付加反力TH3として、ステップS15へ移行する。このフィルタSは、付加反力TH3の変化速度を抑制し、急激な付加反力TH3の立ち上がりを抑制する。
ステップS14では、付加反力TH3を0(ゼロ)として、ステップS15へ移行する。
ステップS15では、第1操舵反力TH1、第2操舵反力TH2、付加反力TH3の合計から操舵軸モータ8の駆動指令値を演算して処理を終了する。
推定転舵角θeと実転舵角θaとの偏差(θe-θa)の正負の符号と、目標転舵角θtと実転舵角θaとの偏差(θt-θa)の正負の符号とが同一であるときには、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS8→ステップS9へと移行し、推定転舵角θeと実転舵角θaとの偏差(θe-θa)の正負の符号と、目標転舵角θtと実転舵角θaとの偏差(θt-θa)の正負の符号とが同一でない場合はステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS8→ステップS14へと移行する。
ステップS9において、推定転舵角θeと実転舵角θaとの偏差(θe-θa)の符号と、偏差の微分値(dθe/dt-dθa/dt)の符号とが同一であるときには、ステップS10へと移行する。
一方、ステップS10において、付加反力TH3がリミッタTLより以下であるときには、ステップS11へと移行する。
ステップS5において第1操舵反力TH1、ステップS7において第2操舵反力TH2を演算する。第1操舵反力TH1、第2操舵反力TH2は、操舵機構16と転舵機構17とが機械的に連結している(すなわちステア・バイ・ワイヤ・システムではない)車両用操舵装置において、ステアリングシャフト18に作用する操舵反力を模擬したものである。
前輪2の切り込み(切り増し)や切り戻しから保舵へ移行するときなどのように、ステアリング13の操舵速度を減速すると、操舵角θsに応じて設定した推定転舵角θeに対して実転舵角θaがオーバシュートすることがある。その場合、推定転舵角θeと実転舵角θaとの偏差(転舵角偏差)の微分値に基づいて演算している付加反力TH3は、切り込みや切り戻しを続ける方向に操舵反力が発生するように値が演算されてしまう。そのため、ステアリング13に作用する操舵反力が不安定となり、運転者に違和感を与えてしまう。
ステップS7、ステップS12、ステップS13では、付加反力TH3を演算している。第1操舵反力TH1、第2操舵反力TH2が操舵反力を模擬したものであるのに対して、付加反力TH3はステアリング13の操舵角に応じて演算した目標転舵角θtの変位速度が大きく、推定転舵角θeの変化速度が転舵モータ9による前輪2の最大転舵速度を超えているときに、運転者によるステアリング13の操舵速度を抑制させるために付与する付加的な抵抗力(付加反力)である。付加反力TH3の詳細については後述する。
ここで第2操舵反力TH2、付加反力TH3の演算に用いた重み係数K,Cを車速に応じて設定する。図5は重み係数K,Cのマップである。図5に示すように、重み係数K,Cを低車速では低く設定し、高車速では高く設定している。このように設定することにより低車速では操舵反力を小さくすることができ、低車速時には運転者は小さな操舵力でステアリング13を操舵することが可能となる。そのため、たとえば車庫入れ等のように前輪2の転舵角を大きくするようなときでも、運転者は楽に操舵を行うことができる。一方、高車速では操舵反力を大きくすることができ、高車速時には、運転者はステアリング13を操舵するために大きな操舵力が必要となる。そのため、高車速走行時の直進安定性を確保することができる。
ステアリング13の操舵角に応じて設定する推定転舵角θeの変化速度が、転舵モータ9による前輪2の転舵角の速度を超えると、推定転舵角θeと実転舵角θaとの差が累積してしまう。推定転舵角θeと実転舵角θaとの差が累積すると、推定転舵角θeと実転舵角θaとの偏差に応じて演算している第2操舵反力TH2が大きくなるため、運転者に過大な操舵反力を付与することとなり、操舵量や操舵反力が増えているにも関わらず転舵量が増加しないため運転者に違和感を与えるおそれがあった。
この構成により、付加反力TH3が急激に増大することを抑制することが可能となり、運転者に与える違和感を抑制することができる。
この構成により、付加反力TH3によりステアリングシャフト18に作用する抵抗力(反力)の粘性が強すぎることを防止し、また運転者に余計な操作負担を与えることを防ぐことができる。
次に実施例1の効果について、以下に列記する。
よって、転舵角偏差が実際に生じ始める前に、付加反力TH3を発生させることができ、転舵角偏差の拡大を抑制することができる。
よって、付加反力TH3が急増することを抑制し、運転者へ与える違和感を抑制することができる。
よって、付加反力TH3が大幅に増加することを抑制し、運転者へ与える違和感を抑制することができる。
転舵角偏差の正負の符号と転舵角偏差の変化速度の正負の符号とが一致しないときは、転舵角偏差が小さくなる方向に変位しているときである。このときは付加反力TH3を発生させないことで、運転者に余計な操作負担を与えることを防ぐことができる。
転舵角偏差が増加していない場合には、操舵感を良好にすることが可能となり、転舵角偏差が増加しているときには、運転者による操作部の操舵速度を抑えることが可能となるため、運転者へ与える違和感を抑制することができる。
よって、ステアリングと前輪とを機械的に連結した車両においてステアリングに作用する反力を模して操舵反力を求めることが可能となるため、操作感を良好にすることができる。
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例1に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
9a,9b 転舵モータ(転舵アクチュエータ)
8 操舵軸モータ(操舵軸アクチュエータ)
10a,10b 転舵モータ回転角センサ(転舵角検出手段)
13 ステアリング(操作部)
14a 第1電子コントロールユニット(目標転舵角演算手段、転舵角制御手段)
14b 第2電子コントロールユニット(目標転舵角演算手段、転舵角制御手段)
14c 第3電子コントロールユニット(操舵反力演算手段)
18 ステアリングシャフト
Claims (12)
- 運転者が操舵操作する操舵部と、
該操舵部とは機械的に分離した操向輪を転舵する転舵アクチュエータと、
前記操向輪の実際の転舵角である実転舵角を検出する転舵角検出手段と、
前記操舵部の操舵角に応じて前記操向輪の目標転舵角を演算する目標転舵角演算手段と、
前記操向輪の転舵角が前記目標転舵角となるように前記転舵アクチュエータを制御する転舵角制御手段と、
前記操舵部に付与する操舵反力を算出する操舵反力算出手段と、
前記操舵反力算出手段で算出された操舵反力に基づいて前記操舵部に操舵反力を付与する反力アクチュエータと、
を備え、
前記操舵反力算出手段は、前記目標転舵角に対する転舵角の応答遅れに基づいて前記操向輪の転舵角の推定値である推定転舵角を算出し、算出した前記推定転舵角と前記転舵角検出手段によって検出された前記実転舵角との偏差である転舵角偏差が増加している場合には、前記転舵角偏差が増加していない場合よりも大きな操舵反力を算出することを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1に記載した車両用操舵装置において、
前記操舵反力算出手段は前記転舵角偏差の変化速度を算出し、前記転舵角偏差が増加している場合には、前記転舵角偏差が増加していない場合の操舵反力に対して、前記転舵角偏差の変化速度が大きくなるほど増大する付加反力を加算する事により、前記転舵角偏差が増加していない場合よりも大きな操舵反力を算出することを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項2に記載の車両用操舵装置において、
前記操舵反力算出手段は、前記転舵角偏差を微分して前記転舵角偏差の変化速度を算出することを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項2又は請求項3のいずれか1項に記載の車両用操舵装置において、
前記操舵反力算出手段は、前記転舵角偏差の正負の符号と前記転舵角偏差の変化速度の正負の符号とが一致するときに、前記転舵角偏差が増加していると判定することを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両用操舵装置において、
前記操舵反力算出手段は、前記目標転舵角と前記転舵アクチュエータの応答遅れとに基づいて前記操向輪の前記推定転舵角を算出することを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項2ないし請求項5のいずれか1項に記載の車両用操舵装置において、
前記操舵反力算出手段は前記付加反力の変化速度を算出し、該算出した変化速度が予め定められた所定の変化速度より大きい場合に、前記付加反力の変化速度を抑制することを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項2ないし請求項6のいずれか1項に記載の車両用操舵装置において、
前記操舵反力算出手段は、前記付加反力を予め定められた所定の値以下に制限することを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項2ないし請求項7のいずれか1項に記載の車両用操舵装置において、
前記操舵反力算出手段は、前記目標転舵角と前記実転舵角との偏差の正負の符号と、前記転舵角偏差の符号が同一でない場合には、前記付加反力をゼロとすることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項2ないし請求項8に記載した車両用操舵装置において、
前記操舵反力算出手段は、前記転舵角偏差が増加していない場合には車両の状態、運転者の操舵状態及び前記転舵角偏差に基づいた操舵反力を算出し、前記転舵角偏差が増加している場合には、前記操舵反力に前記付加反力を加算することを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項9に記載に記載した車両用操舵装置において、
前記車両の状態はタイヤ横力、転舵モータトルク、車両ヨーレート、車両横加速度であって、運転者の操舵状態は操舵角、操舵角速度、操舵角加速度であることを特徴とする車両用操舵装置。 - 運転者が操舵操作する操舵部と、
該操舵部とは機械的に分離した操向輪を転舵する転舵アクチュエータと、
前記操向輪の実際の転舵角である実転舵角を検出する転舵角検出手段と、
前記操舵部の操舵角に応じて前記操向輪の目標転舵角を演算する目標転舵角演算手段と、
前記操向輪の転舵角が前記目標転舵角となるように前記転舵アクチュエータを制御する転舵角制御手段と、
前記操舵部に付与する操舵反力を算出する操舵反力算出手段と、
前記操舵反力算出手段で算出された操舵反力に基づいて前記操舵部に操舵反力を付与する反力アクチュエータと、
を備え、
前記操舵反力算出手段は、前記目標転舵角に対する転舵角の応答遅れに基づいて前記操向輪の転舵角の推定値である推定転舵角を算出し、算出した前記推定転舵角と前記転舵角検出手段によって検出された前記実転舵角との偏差である転舵角偏差が増加している場合には、前記転舵角偏差が増加していない場合よりも大きな操舵反力を算出することを特徴とする車両用操舵装置付き車両。 - 運転者が操作する操舵部と機械的に分離した操向輪を転舵する転舵アクチュエータと、
前記操向輪の実際の転舵角である実転舵角を検出する転舵角検出手段と、
前記操舵反力算出手段で算出された操舵反力に基づいて前記操舵部に操舵反力を付与する反力アクチュエータと、
を有し、
前記操舵部の操舵角に応じて前記操向輪の目標転舵角を演算し、前記操向輪の転舵角が前記目標転舵角となるように前記転舵アクチュエータを制御し、前記操舵部に付与する操舵反力を算出し、前記目標転舵角に対する転舵角の応答遅れに基づいて前記操向輪の転舵角の推定値である推定転舵角を算出し、算出した前記推定転舵角と前記転舵角検出手段によって検出された前記実転舵角との偏差である転舵角偏差が増加している場合には、前記転舵角偏差が増加していない場合よりも大きな操舵反力を算出することを特徴とする車両用操舵方法。
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