JP2010140957A - 半導体ウエハの保持方法、チップ体の製造方法、およびスペーサ - Google Patents

半導体ウエハの保持方法、チップ体の製造方法、およびスペーサ Download PDF

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Abstract

【課題】ウエハの裏面内周部のみが研削されることで外周部に環状凸部を有し、内周部平面と環状凸部との間に段差が形成されたウエハ裏面に対して、裏面内周部にダイシング時にウエハの振動を抑えることができるスペーサを貼付し、ウエハ裏面にスペーサを介してダイシングシートを貼付する半導体ウエハの保持方法、該保持方法によるチップ体の製造方法、および該保持方法に用いられるスペーサを提供する。
【解決手段】表面に回路13が形成され、裏面外周部に環状凸部17を有する半導体ウエハ11の前記環状凸部により囲繞された領域に、粘着剤層42を有するスペーサ40を貼付し、半導体ウエハの裏面に前記スペーサを介してダイシングシート10を貼付する。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面に回路が形成され、裏面外周部に環状凸部を有する半導体ウエハの保持方法、該保持方法によるチップ体の製造方法および該保持方法に用いられるスペーサに関する。
半導体ウエハは表面に回路が形成された後、ウエハの裏面側に研削加工を施し、ウエハの厚みを調整する裏面研削工程およびウエハを所定のチップサイズに個片化するダイシング工程が行われる。近年のICカードの普及にともない、その構成部材である半導体チップの薄型化が進められている。このため、従来350μm程度の厚みであったウエハを、50〜100μmあるいはそれ以下まで薄くすることが求められるようになった。しかし、半導体ウエハは薄くなるにつれて、加工や運搬の際、破損する危険性が高くなる。
このため、図4〜図6に示すように、ウエハの裏面研削時に、裏面内周部16のみを研削し、裏面外周部に環状凸部17を残存させ、ウエハに剛性を持たせることが提案されている(特許文献1、2、3等)。ウエハ11表面には、図4に示すように、外周端から数mmの範囲には回路13が形成されていない余剰部分15があり、回路13は余剰部分を除くウエハ内周部14に形成されている。上記の環状凸部を有するウエハでは、表面の回路形成部分(ウエハ内周部14)に対応する裏面内周部16が所定の厚みまで研削され、回路が形成されていない余剰部分15に対応する裏面外周部は研削されずに残存し、環状凸部17となる。環状凸部17は比較的剛性が高いため、上記の形態に研削されたウエハ11は、安定して搬送、保管でき、また加工時の破損が少なくなる。なお、図5は環状凸部17が形成されている裏面側からの斜視図、図6は図5の断面図を示す。
上記のような半導体ウエハの裏面を下にしてテーブルに保持する場合、裏面内周部16とテーブルとの間には空間ができる。このため、半導体ウエハの裏面内周部16にダイボンド用の粘着フィルムを貼付し、その後に半導体ウエハの裏面にダイシングテープを貼付してダイシングすることが提案されている(特許文献4)。
特開2007-19379号公報 特開2007-266352号公報 特開2007-287796号公報 特開2007-73767号公報
半導体ウエハをダイシングする際には、ウエハの裏面全面をダイシングシートと呼ばれる粘着シートで固定し、ダイシングシートの外周部をリングフレームにより固定している。その後、ウエハ表面側から回路パターンを認識しつつ、回路間のストリートに沿ってダイシングを行う。ダイシング時には、ウエハをフルカットしてチップを作成し、ダイシングシートを切断しないようにダイシングの深さを設定する。この結果、生成したチップは、ダイシングシート上に保持され、その後、所定の手段によりチップのピックアップを行う。
しかし、上記のようにウエハの裏面内周部のみを研削し、外周部に環状凸部を残存させた場合には、裏面内周部16とダイシングシートとの間に空間があるために、その部分においてウエハ内周部が垂れ下がり、ダイシングを行うことが困難になる。また、裏面内周部16とダイシングシートとの間の空間に、ダイボンド用粘着フィルムを貼付した場合であっても、ダイボンド用粘着フィルムは該空間を埋めるほど厚みがないために、ウエハ内周部が垂れ下がり、ダイシングを行うことが困難であり、ウエハ割れの原因となることがある。
したがって、本発明は、ウエハの裏面内周部のみが研削され、外周部に環状凸部を有し、内周部平面と環状凸部との間に段差が形成されたウエハ裏面に対して、裏面内周部にダイシング時にウエハの振動を抑えることができるスペーサを貼付し、ウエハ裏面にスペーサを介してダイシングシートを貼付する半導体ウエハの保持方法、該保持方法によるチップ体の製造方法、および該保持方法に用いられるスペーサを提供することを目的としている。
このような課題の解決を目的とした本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)表面に回路が形成され、裏面外周部に環状凸部を有する半導体ウエハの前記環状凸部により囲繞された領域に、粘着剤層を有するスペーサを貼付し、
半導体ウエハの裏面に、前記スペーサを介して、ダイシングシートを貼付する半導体ウエハの保持方法。
(2)上記(1)の半導体ウエハの保持方法で半導体ウエハを保持し、半導体ウエハを個片化してチップを作製し、
前記チップをピックアップするチップ体の製造方法。
(3)基材と、その上に形成される粘着剤層とからなる粘着フィルムを単層または積層してなるスペーサ。
本発明によれば、表面に回路13が形成され、裏面外周部に環状凸部17を有する半導体ウエハ11の環状凸部により囲繞された領域にスペーサを貼付し、ウエハ裏面にスペーサを介してダイシングシートを貼付することで、ダイシング時に、ウエハの振動を抑えることができ、ウエハの破損やチッピングを起こすことなくチップ体を製造することができる。
以下本発明の好ましい態様について、図面を参照しながら、その最良の形態も含めてさらに具体的に説明する。
本発明の半導体ウエハの保持方法は、図1に示すように、表面に回路13が形成され、裏面外周部に環状凸部17を有する半導体ウエハ11の環状凸部17により囲繞された領域に、環状凸部17の内径よりもやや小さな外径のスペーサ40を貼付し、スペーサ40を介してダイシングシート10を貼付する。また、図2及び図3は本発明のスペーサ、図4は表面に回路13が形成され、裏面外周部に環状凸部17を有する半導体ウエハ11の回路面側の平面図、図5は環状凸部17が形成された裏面側からの斜視図、図6は図5の断面図を示す。
半導体ウエハ11はシリコンウエハであってもよく、またガリウム・砒素などの化合物半導体ウエハであってもよい。ウエハ表面への回路13の形成はエッチング法、リフトオフ法などの従来より汎用されている方法を含む様々な方法により行うことができる。半導体ウエハの回路形成工程において、所定の回路13が形成される。回路13は、ウエハ11の内周部14表面に格子状に形成され、外周端から数mmの範囲には回路が存在しない余剰部分15が残存する。ウエハ11の研削前の厚みは特に限定はされないが、通常は500〜1000μm程度である。
裏面研削時には、表面の回路13を保護するために回路面に、表面保護シートと呼ばれる粘着シートを貼付する。裏面研削は、ウエハ11の回路面側(すなわち表面保護シート側)をチャックテーブル等により固定し、回路13が形成されていない裏面側をグラインダーにより研削する。裏面研削時には、まず裏面全面を所定の厚みまで研削した後に、表面の回路形成部分(内周部14)に対応する裏面内周部16のみを研削し、回路13が形成されていない余剰部分15に対応する裏面領域は研削せずに残存させる。この結果、研削後の半導体ウエハ11は、裏面の内周部16のみがさらに薄く研削され、外周部分には環状の凸部17が残存する。このような裏面研削は、たとえば前記した特許文献1〜3に記載された公知の手法により行うことができる。
環状凸部17の全厚T1(図6参照)は特に限定はされず、ウエハに必要な剛性を与え、またハンドリング性を損なわない程度であればよく、一般的には400〜725μm程度である。環状凸部の幅は、余剰部分15の幅程度であり、一般的には2〜5mm程度である。また、内周部16の厚みT2はデバイスの設計に依存し、通常は25〜200μm程度である。したがって、内周部16の平面と環状凸部17との段差(T1−T2)は200〜700μm程度である。
裏面研削工程の後、研削によって生成した破砕層を除去する処理が行われてもよい。また、裏面研削工程に続いて、必要に応じ裏面にエッチング処理などの発熱を伴う加工処理や、裏面への金属膜の蒸着、有機膜の焼き付けのように高温で行われる処理を施してもよい。裏面の内周部16のみが所定の厚みにまで研削され、外周部分には環状凸部17を有するウエハ11によれば、環状凸部17の剛性が高いため、ウエハを破損することなく、搬送、保管、加工等を行うことができる。
裏面研削工程後、図1に示すように、ウエハ11の研削面側の環状凸部17により囲繞された領域に、環状凸部17の内径よりもやや小さな外径のスペーサ40を貼付し、スペーサ40を介して、ウエハ裏面にダイシングシート10を貼付してウエハ11のダイシングを行う。ダイシングは回路13を個片化するように、ウエハ表面に形成されたダイシングストリートDS(図4参照)に沿って行われる。なお、ウエハ表面に貼付されている表面保護シートは、ダイシングシート10の貼付前に剥離してもよく、ダイシングシート10の貼付後に剥離してもよい。また、ダイシング工程の終了後に個片化されたチップ表面から回路を保護していた表面保護シートを剥離してもよい。
本発明に係る半導体ウエハの保持方法において、スペーサ40のウエハ裏面内周部16への貼付は、スペーサ40のみをマウンターと呼ばれる装置(貼合装置)によりウエハ裏面内周部16に貼付し、その後にスペーサ40を介してウエハ裏面にダイシングシート10を貼付する方法や、スペーサ40をダイシングシート10に貼付し、スペーサ40をウエハ裏面内周部16に嵌合するようにマウンターと呼ばれる装置により貼付する方法により行われる。特に、これらの貼付は、真空(減圧雰囲気)下で行うことが好ましい。
スペーサ40は、粘着剤層42を有する。粘着剤層42は基材41の片面に形成され、基材41は、後述する樹脂フィルムの単層または樹脂フィルムを積層して形成される。樹脂フィルムの積層数は特に限定はされず、図3においては、スペーサ40は、樹脂フィルム41e,41f,41g,41hを積層した4層の樹脂フィルム積層体上に粘着剤層42を形成してなる。積層する樹脂フィルムの材質は、同じでもよいし、異なっていてもよい。
また、スペーサ40は、樹脂フィルム上に粘着剤層を形成した粘着フィルムを積層することにより形成してもよい。粘着フィルムの積層数は特に限定はされず、図2においては、スペーサ40は、樹脂フィルム41a,41b,41c,41d上に粘着剤層42a(42),42b,42c,42dを形成した4層の粘着フィルムからなる。つまり、スペーサ40は、ウエハ11の裏面内周部16への貼付面に粘着剤層42を形成していればよい。積層する粘着フィルムを構成する樹脂フィルム及び粘着剤層の材質は、同じでもよいし、異なっていてもよい。
スペーサ40の厚みは、半導体ウエハ11の裏面内周部16の平面と環状凸部17との間の段差(T1−T2)により適宜に選択され、好ましくは該段差の95〜105%、特に好ましくは該段差の97〜100%である。
スペーサ40の外径は、半導体ウエハ11の環状凸部17の内径により適宜に選択され、好ましくは該内径の95〜100%である。
スペーサ40のヤング率は、1000MPa以上が好ましく、さらに好ましくは、1000〜10000MPa、特に好ましくは2000〜6500MPaの範囲である。スペーサ40のヤング率が上記範囲にあると、ウエハをダイシングする際の振動を抑制し、ウエハ割れやチッピングを防ぐことができる。また、ヤング率が10000MPaよりも大きい場合、ウエハのダイシングには影響しないが、ダイシング後、スペーサを剥離しにくいことがある。
スペーサ40に用いられる樹脂フィルムの材質は、上記物性を満足する限り特に限定はされないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリウレタンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、フッ素樹脂フィルム、およびその水添加物または変性物等からなるフィルムなどが用いられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。上記の基材は1種単独でも良いし、さらにこれらを2種類以上組み合わせた複合フィルムであっても良い。
また、後述するように、粘着剤層42を紫外線硬化型粘着剤で形成し、粘着剤を硬化するために照射するエネルギー線として紫外線を用いる場合には、紫外線に対して透明である樹脂フィルムが好ましい。なお、エネルギー線として電子線を用いる場合には透明である必要はないので、上記のフィルムの他、これらを着色した透明フィルム、不透明フィルム等を用いることができる。
また、樹脂フィルムの上面、すなわち粘着剤層42が設けられる側の樹脂フィルム表面には粘着剤との密着性を向上するために、コロナ処理を施したり、プライマー層を設けてもよい。また、粘着剤層42とは反対面に各種の塗膜を塗工してもよい。スペーサ40は、上記のような樹脂フィルムを用い、その上に粘着剤層42を設けることで製造される。
粘着剤層42は、再剥離性を有する弱粘性の粘着剤、あるいは紫外線硬化型粘着剤により形成されることが好ましい。
また、粘着剤層42の厚みは、好ましくは3〜20μm、さらに好ましくは5〜10μmの範囲にある。粘着剤層42の厚みが薄すぎる場合には、充分な粘着力が得られない場合がある。一方、粘着剤層42の厚みが厚すぎる場合には、ウエハ11のダイシング時にウエハが振動し、チッピングが発生するおそれがある。
粘着剤層42は、従来より公知の種々の粘着剤により形成され得る。このような粘着剤としては、何ら限定されるものではないが、たとえばゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル等の粘着剤が用いられる。また、エネルギー線硬化型や加熱発泡型、水膨潤型の粘着剤も用いることができる。エネルギー線硬化(紫外線硬化、電子線硬化等)型粘着剤としては、特に紫外線硬化型粘着剤を用いることが好ましい。なお、粘着剤層42には、その使用前に粘着剤層を保護するために剥離シートが積層されていてもよい。
剥離シートは、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂からなるフィルムまたはそれらの発泡フィルムや、グラシン紙、コート紙、ラミネート紙等の紙に、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル基含有カルバメート等の剥離剤で剥離処理したものを使用することができる。
樹脂フィルム表面に粘着剤層42を設ける方法は、剥離シート上に所定の膜厚になるように塗布し形成した粘着剤層を樹脂フィルム表面に転写しても構わないし、樹脂フィルム表面に直接塗布して粘着剤層42を形成しても構わない。
スペーサ40は、上記したような特定の物性を満たすため、ウエハをダイシングする際に、ウエハ11およびチップ12を確実に保持し、ウエハ内周部の垂れ下がりを防止して振動を抑制し、ウエハ割れやチッピングを防ぐことができる。
ダイシングシート10は、基材1と、その片面に形成された粘着剤層2とからなる。ダイシングシート10は、スペーサ40を介してウエハ裏面に貼付でき、ウエハ11を保持できるものであれば、特に限定はされない。
ダイシングシート10に用いられる基材1の材質は、特に限定はされないが、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム、高密度ポリエチレン(HDPE)フィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、フッ素樹脂フィルム、およびその水添加物または変性物等からなるフィルムが用いられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。上記の基材は1種単独でもよいし、さらにこれらを2種類以上組み合わせた複合フィルムであってもよい。
また、後述するように、粘着剤層2を紫外線硬化型粘着剤で形成し、粘着剤を硬化するために照射するエネルギー線として紫外線を用いる場合には、紫外線に対して透明である基材が好ましい。なお、エネルギー線として電子線を用いる場合には透明である必要はないので、上記のフィルムの他、これらを着色した透明フィルム、不透明フィルム等を用いることができる。
また、基材1の上面、すなわち粘着剤層2が設けられる側の基材表面には粘着剤との密着性を向上するために、コロナ処理を施したり、プライマー層を設けてもよい。また、粘着剤層2とは反対面に各種の塗膜を塗工してもよい。ダイシングシート10は、上記のような基材上に粘着剤層を設けることで製造される。
粘着剤層2は、従来より公知の種々の粘着剤により形成され得る。このような粘着剤としては、何ら限定されるものではないが、たとえばゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル等の粘着剤が用いられる。また、エネルギー線硬化型や加熱発泡型、水膨潤型の粘着剤も用いることができる。エネルギー線硬化(紫外線硬化、電子線硬化等)型粘着剤としては、特に紫外線硬化型粘着剤を用いることが好ましい。なお、粘着剤層2には、その使用前に粘着剤層を保護するために剥離シートが積層されていてもよい。
剥離シートは、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂からなるフィルムまたはそれらの発泡フィルムや、グラシン紙、コート紙、ラミネート紙等の紙に、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル基含有カルバメート等の剥離剤で剥離処理したものを使用することができる。
基材1表面に粘着剤層2を設ける方法は、剥離シート上に所定の膜厚になるように塗布し形成した粘着剤層2を基材1表面に転写しても構わないし、基材1表面に直接塗布して粘着剤層2を形成しても構わない。
チップ体の製造方法は、本発明の半導体ウエハの保持方法を用い、半導体ウエハ11を個片化(ダイシング)してチップを作製し、チップをピックアップする。一例としてウエハ11のダイシング時にはダイシングシート10の周辺部をリングフレーム5により固定した後、ダイシングブレード3などの回転丸刃を用いるなどの公知の手法によりウエハ11のチップ化を行い、チップをピックアップする方法などが挙げられる。本発明に係るチップ体の製造方法によれば、ダイシング時のウエハの振動を抑え、ウエハおよびチップを確実に保持できるため、チップの歩留まりが向上し、またチップの飛散によるダイシング装置の破損を防止できる。なお、スペーサ40の粘着剤層42を紫外線硬化型粘着剤で形成しておけば、チップ12のピックアップに先立ち、粘着剤層42に紫外線を照射し粘着力を低下させることで、チップ12のピックアップを容易に行うことができる。
また、ダイシング終了後に、ダイシングシート10上に整列しているチップ群を、ピックアップ用の他の粘着シートに転写した後に、チップのピックアップを行ってもよい。
ピックアップされたチップ12はその後、常法によりダイボンド、樹脂封止がされ半導体装置が製造される。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例においては、下記の形状を有するシリコンウエハ及び下記の粘着剤組成物を用いた。また、実施例および比較例におけるスペーサのヤング率及びダイシング適性は以下のように評価した。
(ウエハ形状)
外径:150mm
環状凸部の内径:145mm
内周部厚み:100μm
環状凸部厚み:400μm
(粘着剤組成物A)
ブチルアクリレート90重量部、アクリル酸10重量部からなるアクリル共重合体(重量平均分子量600,000)のトルエン30重量%溶液に対し、多価イソシアナート化合物(コロネートL(日本ポリウレタン社製))1重量部を混合し、粘着剤組成物Aを得た。
(粘着剤組成物B)
ブチルアクリレート80重量部、メチルメタクリレート15重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5重量部からなるアクリル共重合体(重量平均分子量600,000)のトルエン30重量%溶液に対し、多価イソシアナート化合物(コロネートL(日本ポリウレタン社製))3重量部を混合し、粘着剤組成物Bを得た。
(粘着剤組成物C)
ブチルアクリレート75重量部、メチルメタクリレート17重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート8重量部からなるアクリル共重合体(重量平均分子量580,000)のトルエン30重量%溶液に対し、多価イソシアナート化合物(コロネートL(日本ポリウレタン社製))5重量部を混合し、粘着剤組成物Cを得た。
(スペーサのヤング率)
スペーサのヤング率は、JIS K7161:1994に準拠し、島津製作所社製オートグラフを用いて、引張速度200mm/minで測定した(サンプルサイズ:15mm×100mm)。
(ダイシング条件)
ウエハのダイシングは、株式会社ディスコ社製ダイシング装置(型番:DFD651)を用い、切断速度80mm/秒、チップサイズ2mm角、ダイシングシートへの切り込み深さ30μmで行った。
(ダイシング適性)
ダイシング中のチップの飛散やウエハの割れ、チップ端部の欠け(チッピング)の有無を検査し、チップが飛散した場合やウエハが割れた場合、チッピングが発生した場合を「不良」とした。
<実施例1>
(スペーサの作製)
樹脂フィルムとして、厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、樹脂フィルム上に粘着剤組成物Aを、乾燥後の厚みが25μmになるように塗布した後に、乾燥(100℃、1分間)させ、粘着剤層を有する粘着フィルムAを得た。
次いで、粘着フィルムAの粘着剤層を、別に用意した粘着フィルムAの樹脂フィルムに貼り合わせた。この工程を合計2回繰り返し、総厚225μmの積層粘着フィルムAを得た。
また、上記粘着フィルムAとは別に、樹脂フィルムとして、厚み50μmのPETフィルムを用い、樹脂フィルム上に粘着剤組成物Bを、乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布した後に、乾燥(100℃、1分間)させ、粘着剤層を有する粘着フィルムBを作製した。
積層粘着フィルムAの粘着剤層を、粘着フィルムBの樹脂フィルムに貼り合わせ、直径143mmの円形にくりぬき、総厚300μmのスペーサを得た。
(ダイシングシートの作製)
粘着剤組成物Cを、シリコーン系剥離処理した厚み38μmのPETフィルム(SP−PET3811(S)(リンテック社製))上に、乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布し、乾燥(100℃、1分間)させ、粘着剤層を形成した。ダイシングシートの基材として、厚み80μmのポリ塩化ビニルフィルムを用い、粘着剤層を、基材に貼り合わせて転写し、剥離処理したPETフィルムを剥がして、総厚90μmのダイシングシートを得た。
上記スペーサを用い、真空貼合装置(RAD3800m/12(リンテック社製))により、スペーサの粘着剤層をウエハの裏面内周部に貼付した。次いで、スペーサを介して、上記ダイシングシートをウエハ裏面に貼付し、ダイシングシート面を平坦なチャックテーブル上に保持してウエハのダイシングを行い、チップをピックアップした。スペーサのヤング率及びダイシング適性を表1に示す。
<実施例2>
スペーサに用いる樹脂フィルムをポリイミドフィルムとした以外は実施例1と同様の方法でスペーサ及びダイシングシートを得、評価を行った。スペーサのヤング率及びダイシング適性を表1に示す。
<実施例3>
スペーサに用いる樹脂フィルムをポリエチレンナフタレートフィルムとした以外は実施例1と同様の方法でスペーサ及びダイシングシートを得、評価を行った。スペーサのヤング率及びダイシング適性を表1に示す。
<比較例1>
スペーサを用いず、平坦なチャックテーブル上にダイシングシートを介してウエハを保持し、実施例1と同様にダイシングを行った。ダイシング適性を表1に示す。
<比較例2>
スペーサを用いず、ウエハの裏面内周部と嵌合する形状のステンレス板を配置したチャックテーブル上にダイシングシートを介してウエハを保持し、実施例1と同様にダイシングを行った。ダイシング適性を表1に示す。
Figure 2010140957
実施例1〜3のスペーサを用いた場合は、ダイシング工程でも問題なく使用可能であった。
スペーサを用いず、平坦なチャックテーブルにウエハを保持してダイシングを行った場合(比較例1)には、ウエハの裏面内周部とチャックテーブルの間に空間があるため、ウエハ内周部がダイシング中にチャックテーブル側に垂れ下がり、ダイシングブレードがウエハを切り込むことができず、チップを個片化することができなかった。また、ウエハ割れが生じた。
スペーサを用いずに、ウエハの裏面内周部と嵌合する形状のステンレス板を配置したチャックテーブルに、ウエハを保持してダイシングを行った場合(比較例2)には、ウエハ内周部がチャックテーブルに固定されないため、ダイシング時にウエハが振動し、チッピングが生じた。
本発明に係るチップの保持方法、及び該保持方法を用いたダイシング方法を示す。 本発明に係るスペーサを示す。 本発明に係るスペーサを示す。 半導体ウエハの回路形成面の平面図を示す。 裏面外周部に環状凸部が形成された半導体ウエハの斜視図を示す。 図5の断面図を示す。
符号の説明
1…ダイシングシートの基材
2…ダイシングシートの粘着剤層
3…ダイシングブレード
5…リングフレーム
10…ダイシングシート
11…半導体ウエハ(ウエハ)
12…半導体チップ(チップ)
13…回路
14…回路表面内周部
15…余剰部分
16…裏面内周部
17…環状凸部
40…スペーサ
41…基材
41a〜41h…樹脂フィルム
42…粘着剤層
42a〜42d…粘着剤層

Claims (3)

  1. 表面に回路が形成され、裏面外周部に環状凸部を有する半導体ウエハの前記環状凸部により囲繞された領域に、粘着剤層を有するスペーサを貼付し、
    半導体ウエハの裏面に、前記スペーサを介して、ダイシングシートを貼付する半導体ウエハの保持方法。
  2. 請求項1の半導体ウエハの保持方法で半導体ウエハを保持し、半導体ウエハを個片化してチップを作製し、
    前記チップをピックアップするチップ体の製造方法。
  3. 基材と、その上に形成される粘着剤層とからなる粘着フィルムを単層または積層してなるスペーサ。
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