1 実施の形態1
1.1 半導体装置の製造方法
図1は、実施の形態1の半導体装置の製造方法を説明する図である。
実施の形態1の半導体装置の製造方法は、図1に図示されるように、ウエハ準備工程S1、紫外線剥離テープ(UVテープ)準備工程S2、ウエハマウント工程S3、ダイシング工程S4及び紫外線(UV)照射工程S5を備える。
1.2 ウエハ準備工程
図1に図示されるウエハ準備工程S1においては、工程S11が実行される。
工程S11においては、ウエハが準備される。準備されるウエハは、半導体ウエハである。
図2は、実施の形態1の半導体装置の製造方法において準備されるウエハを模式的に説明する断面図である。
準備されるウエハ100の表面100fは、回路パターンが形成される主面である。ウエハ100の裏面100bは、回路パターンが形成される主面がある側とは反対の側にある主面である。
ウエハ100は、図2(a)に図示される反り、図2(b)に図示される反り、図2(c)に図示される歪、図2(d)に図示される歪等を有する。
ウエハ100の反りは、凸反りである。また、ウエハ100の歪は、凸歪である。このため、ウエハ100の表面100fは、凸形状を有する。また、ウエハ100の裏面100bは、凹形状を有する。
ウエハ100の反り又は歪の形態は、ウエハ100の反り又は歪の量Δ、及びウエハ100の終端の形状により分類される。反りを有するウエハ100は、図2(a)に図示される、穏やかな傾斜を有する終端を有するウエハ100、図2(b)に図示される、急峻な立ち上がりを有する終端を有するウエハ100等である。急峻な立ち上がりを有する終端は、例えば、断面視において50μm以上200μm以下の半径Rを有する。歪を有するウエハ100は、図2(c)に図示される全体に歪を有するウエハ100、図2(d)に図示される全体に歪を有するウエハ100等である。ウエハ100の反り又は歪の量Δは、基準面102からの距離が最大となる最大箇所104の基準面102からの距離である。ウエハ100の反り又は歪の量Δは、例えば、50μm以上200μm以下、又は201μm以上である。反りを有するウエハ100の表面100f及び裏面100bは、ウエハ100の広がり方向でありオリフラ方向と水平及び垂直をそれぞれなすX方向及びY方向について穏やかな傾斜を有する。したがって、反りを有するウエハ100の表面100f及び裏面100bは、円錐形状の形状を有する。下述するウエハ100の反り又は歪の吸収方法は、反りを有するウエハ100の表面100f又は裏面100bが円錐形状の形状を有する場合に好適に採用される。
ウエハ100が反り又は歪を有する理由の例を以下に列挙する。
1.ウエハ100は、単結晶又は多結晶からなる基材の上にエピタキシャル(Epi)成長等により形成された活性層を備え、トレンチ、ガードリング(GR)、チャネルストッパー等の構造を有する。
2.ウエハ100は、表層のアルミニウム(Al)-シリコン(Si)配線のメッキ、表層のフロントメタル(FM)のメッキ、裏面のバックメタライズ(BN)等のメタル構造を有する。
3.ウエハ100は、パッシベーション(PV)膜、ポリイミド(PI)膜等の最表面の保護膜を有する。
4.ウエハ100は、ウエハ100の厚さが所定の厚さになるように裏面研削等により薄くされている。
5.ウエハ100の表層のシリコン(Si)、炭化ケイ素(SiC)等の体積及び厚さが酸化により倍増する。
6.ウエハ100が製造される途上でウエハ100に複数の熱履歴が加えられウエハ100に残留応力が内在する。
7.ウエハ100のバルク自体に反りを生じさせる圧縮応力が内在する。
ウエハ100は、円形状の平面形状を有する。また、ウエハ100は、10.16cm以上20.32cm以下(4インチ以上8インチ以下)の径を有する。ただし、ウエハ100が円形状の平面形状と異なる平面形状を有してもよい。また、ウエハ100が10.16cmより小さい又は20.32cmより大きい径を有してもよい。
ウエハ100の基材は、単結晶、又は多結晶の化合物により構成される。単結晶は、シリコン(Si)等である。多結晶の化合物は、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)等である。ウエハ100の基材が単結晶、及び多結晶の化合物と異なる材質から構成されてもよい。単結晶からなる基材を有するウエハ100は、薄くされている。
1.3 UVテープ準備工程
図1に図示されるUVテープ準備工程S2においては、工程S21及びS22が実行される。
工程S21においては、基材が準備される。
続く工程S22においては、基材の上に糊材が形成される。糊材は、基材の主面の全面に渡って形成される。形成される糊材は、ゲル材質からなる。
これらにより、基材及び糊材を備え糊材が基材の上に配置されたUVテープが準備される。
準備されるUVテープは、紫外線が照射された場合に容易に剥離することができるようになるテープである。UVテープが、UVテープと異なるテープに置き換えられてもよい。例えば、UVテープが、熱が印加された場合に容易に剥離することができるようになる熱剥離テープに置き換えられてもよい。
1.4 ウエハマウント工程
図3は、実施の形態1の半導体装置の製造方法に備えられるウエハマウント工程を模式的に説明する斜視図である。
図1に図示されるウエハマウント工程S3においては、工程S31からS35までが実行される。
工程S31においては、図3(a)に図示されるように、固定板110にUVテープ112が貼り付けられる。その際には、図3(a)に図示されるように、糊材114が鉛直方向上方を向くようにUVテープ112が置かれる。また、置かれたUVテープ112の上に固定板110が置かれる。固定板110は、金属からなる。固定板110は、輪状の形状を有する。固定板110の外形は、円形状である。また、UVテープ112の、固定板110の下にある部分がUVテープ112の残余の部分から切り離されて、UVテープ112からUVテープ116が切り出され、UVテープ116及び固定板110を備える固定板付きUVテープ118が得られる。UVテープ112から切り出されることにより準備されるUVテープ116も、基材120及び糊材124を備える。糊材124は、基材120の上に配置される。また、基材120が鉛直方向上方を向くように固定板付きUVテープ118が反転される。
続く工程S32においては、ウエハ100が搬送され、凹台座126が固定される。その際には、図3(b)に図示されるように、ウエハ100の裏面100bが鉛直方向上方を向くようにウエハ100が反転される。また、固定された凹台座126の上にウエハ100が置かれる。
続く工程S33においては、ウエハ100の裏面100bに固定板付きUVテープ118が貼り付けられる。その際には、図3(b)に図示されるように、置かれたウエハ100の上に固定板付きUVテープ118がさらに置かれる。また、ウエハ100が凹台座126により真空吸着される。これにより、図3(c)に図示されるように、ウエハ100の裏面100bが糊材124に向けられるようにウエハ100が糊材124の上に配置される。
続く工程S34においては、真空引きが行われる。その際には、ウエハ100、凹台座126及び固定板付きUVテープ118を収容する真空チャンバの内部に対して真空引きが行われる。
続く工程S35においては、図3(d)に図示されるように、圧着ローラー128によりUVテープ116が圧着される。その際には、圧着ローラー128によりUVテープ116がウエハ100に向かって押さえつけられる。UVテープ116は、基材120が配置される側である裏面の側からウエハ100の裏面100bに向かって押さえつけられる。
工程S31からS35までにより、ウエハ100の搭載(マウント)が完了する。また、ウエハ100、固定板110及びUVテープ116を備えるワーク130が得られる。
1.5 ダイシング工程
図4は、実施の形態1の半導体装置の製造方法に備えられるダイシング工程を模式的に説明する斜視図である。
ダイシング工程S4においては、図1に図示される工程S41からS43までが実行される。
工程S41においては、チャックテーブル140の上にワーク130が固定される。その際には、図4(a)に図示されるように、ウエハ100の表面100fが鉛直方向上方を向くようにワーク130が反転される。また、反転されたワーク130がチャックテーブル140の上に置かれる。チャックテーブル140は、円形状の平面形状を有する。チャックテーブル140は、ダイシングソーに備えられる。チャックテーブル140は、ポーラス材質からなる。ワーク130は、チャックテーブル140により鉛直方向下方に真空吸着される。その結果として、図4(b)に図示されるように、チャックテーブル140の上にワーク130が固定される。なお、図4(b)においては、固定板110及びUVテープ116の図示が省略されている。
続く工程S42においては、ダイシングが行われる。その際には、ウエハ100が反り又は歪を有する状態を維持したままウエハ100に対してダイシングが行われる。また、図4(c)に図示されるように、第1のチャンネルCh(1)により、第1の方向に延びるダイシングラインに沿ってダイシングが行われる。また、図4(d)に図示されるように、第2のチャンネルCh(2)により、第1の方向と垂直をなす第2の方向に延びるダイシングラインに沿ってダイシングが行われる。ダイシングが行われる際には、ウエハ100に対してダイシングソーに備えられるダイシングブレード142の切り込み144が行われてフルカットが行われる。工程S42により、個片化された半導体装置すなわちチップが生成される。生成されたチップは、製品となる。なお、図4(c)及び図4(d)においては、固定板110及びUVテープ116の図示が省略されている。
続く工程S43においては、チップ146が洗浄される。また、洗浄されたチップ146が乾燥させられる。その際には、図4(e)に図示されるように、ワーク130がチャックテーブル140の上から洗浄及び乾燥用の回転台座148の上に移される。また、図4(f)に図示されるように、回転台座148により、移されたワーク130が回転させられながらチップ146が純水150により洗浄される。また、ワーク130が回転させられながらチップ146が乾燥させられる。なお、図4(e)においては、チャックテーブル140の上に固定されたワーク130に備えられる固定板110及びUVテープ116の図示が省略されている。
1.6 UV照射工程
図5は、実施の形態1の半導体装置の製造方法に備えられるUV照射工程を模式的に説明する斜視図である。
図1に図示されるUV照射工程S5においては、工程S51が実行される。
工程S51においては、ワーク130にUV照射が行われる。その際には、図5(a)に図示されるように、ワーク130が回転台座148から外される。また、外されたワーク130に基材120が配置される側からUV160が照射される。UV160は、積算光量が設定された光量になるまで照射される。これにより、チップ146からUVテープ116を容易に剥離することができるようになる。図5(b)に図示される、UV照射が行われたワーク130は、次工程に送られる。
2 実施の形態2
図6及び図7は、実施の形態2のウエハの反り又は歪の吸収方法を模式的に説明する図である。図6(a)は、斜視図である。図6(b)は、断面図である。図7(a)は、斜視図である。図7(b)及び図7(c)は、断面図である。
実施の形態2のウエハ100の反り又は歪の吸収方法は、UVテープ116に備えられる基材120によりウエハ100の反り又は歪を吸収する。実施の形態2のウエハ100の反り又は歪の吸収方法は、実施の形態1の半導体装置146の製造方法において採用することができる。
実施の形態2においては、図6(b)、図7(b)及び図7(c)に図示されるように、基材120が凸構造200を備える。凸構造200は、基材120の中央に配置される。凸構造200は、円形状の平面形状を有する。凸構造200は、ウエハ100の裏面100bの凹形状に適合する凸形状を有する。凸構造200は、基材120の広がり方向でありオリフラ方向と平行及び垂直をそれぞれなすX方向及びY方向について穏やかな傾斜を有する円錐形状の形状を有する。このため、凸構造200は、凸構造200の中心部から凸構造200の端部までの全体において、凸構造200の中心部から離れるにつれて連続的に低くなる高さを有する。凸構造200の最大高さ(最大厚さ)は、ウエハ100の反り又は歪の量Δに応じて決定される。凸構造200の最大高さは、例えば、1μm以上50μm以下、51μm以上100μm以下、101μm以上150μm以下、151μm以上200μm以下、又は201μm以上である。
また、実施の形態2においては、図6(b)、図7(b)及び図7(c)に図示されるように、糊材124が均一な膜厚を有する。
また、実施の形態2においては、図6(b)、図7(b)及び図7(c)に図示されるように、凸構造200の上にウエハ100が搭載される。このため、凸構造200の上にウエハ100が配置されるように、糊材124の上にウエハ100が配置されて、糊材124がウエハ100に貼り付けられる。これにより、凸構造200がウエハ100の裏面100bの凹形状に勘合する。これにより、ウエハ100の反り又は歪が矯正されることなく、ウエハ100が固定される。また、ウエハ100が反り又は歪を有する状態が維持されたまま、ウエハ100に対してダイシングが行われる。ワーク130は、矢印A1により示される方向に真空吸着される。ダイシングは、矢印A2により示される切り込み深さまで行われる。
実施の形態2によれば、ウエハ100の反り又は歪をUVテープ116に備えられる基材120により吸収することができる。このため、ウエハ100が反り又は歪を有する場合でも、ウエハ100の反り又は歪が矯正される際に生じる応力をウエハ100に内在させることなく、応力の分散が維持された状態で、ウエハ100に対してダイシングを行うことができる。これにより、得られるチップ146の側面又は裏面にチッピング、クラック等が発生することを抑制することができる。これにより、不具合品の後工程又は市場への流出を抑制することができる。また、品質の安定、歩留りの向上、製品の潜在不良の低減等による信頼性の向上を図ることができる。また、ダイシングブレード142に飛び、破損等が発生することを抑制することができる。
3 実施の形態3
図8及び図9は、実施の形態3のウエハの反り又は歪の吸収方法を模式的に説明する図である。図8は、断面図である。図9(a)は、斜視図である。図9(b)及び図9(c)は、断面図である。
実施の形態3のウエハ100の反り又は歪の吸収方法は、UVテープ116に備えられる糊材124によりウエハ100の反り又は歪を吸収する。実施の形態3のウエハ100の反り又は歪の吸収方法は、実施の形態1の半導体装置146の製造方法において採用することができる。
実施の形態3においては、図8、図9(b)及び図9(c)に図示されるように、糊材124が凸構造300を備える。凸構造300は、糊材124の中央に配置される。凸構造300は、円形状の平面形状を有する。凸構造300は、ウエハ100の裏面100bの凹形状に適合する凸形状を有する。凸構造300は、糊材124の広がり方向でありオリフラ方向と平行及び垂直をそれぞれなすX方向及びY方向について穏やかな傾斜を有する円錐形状の形状を有する。このため、凸構造300は、凸構造300の中心部から凸構造300の端部までの全体において、凸構造300の中心部から離れるにつれて連続的に低くなる高さを有する。凸構造300の最大高さは、例えば、50μm以上200μm以下である。凸構造300は、基材120の主面の全面に渡って形成された糊材310の上に凸構造300を構成する糊材312を形成することにより形成される。
また、実施の形態3においては、図8、図9(b)及び図9(c)に図示されるように、基材120が均一な膜厚を有する。
また、実施の形態3においては、図8、図9(b)及び図9(c)に図示されるように、凸構造300の上にウエハ100が搭載される。このため、凸構造300の上にウエハ100が配置されるように、糊材124の上にウエハ100が配置されて、糊材124がウエハ100に貼り付けられる。これにより、ウエハ100の裏面100bの凹形状に凸構造300が勘合する。これにより、ウエハ100の反り又は歪が矯正されることなく、ウエハ100が固定される。また、ウエハ100が反り又は歪を有する状態が維持されたまま、ウエハ100に対してダイシングが行われる。ワーク130は、矢印A1により示される方向に真空吸着される。ダイシングは、矢印A2により示される切り込み深さまで行われる。
実施の形態3によれば、ウエハ100の反り又は歪をUVテープ116に備えられる糊材124により吸収することができる。このため、ウエハ100が反り又は歪を有する場合でも、ウエハ100の反り又は歪が矯正される際に生じる応力をウエハ100に内在させることなく、応力の分散が維持された状態で、ウエハ100に対してダイシングを行うことができる。これにより、得られるチップ146の側面又は裏面にチッピング、クラック等が発生することを抑制することができる。また、ダイシングブレード142に飛び、破損等が発生することを抑制することができる。
また、実施の形態3によれば、ウエハ100が載せられるステージの側に糊材124が形成される。このため、ウエハ100とチャックテーブル140との間には、UVテ-プ116に備えられる糊材124が介在する。このため、通常行われる、図1に図示されるUV照射工程S5により糊材124を収縮硬化させることにより、ウエハ100をダイシングした後に糊材124からチップ146を容易に剥離することができる。したがって、糊材124を除去する為の特別な工程は不要である。実施の形態3は、この点で、ウエハの側に施される隙間充填層(熱流動性の樹脂)を、ウエハをダイシングした後にチップの裏面から除去する工程が必要になる特開2016-54192号公報に記載された技術と異なる。
4 実施の形態3の変形例1
図10は、実施の形態3の変形例1のウエハの反り又は歪の吸収方法を模式的に説明する図である。図10は、断面図である。
実施の形態3の変形例1のウエハ100の反り又は歪の吸収方法は、UVテープ116に備えられる糊材124に追加される追加糊材320によりウエハ100の反り又は歪を吸収する。実施の形態3の変形例1のウエハ100の反り又は歪の吸収方法は、実施の形態1の半導体装置146の製造方法において採用することができる。
実施の形態3の変形例1においては、図10に図示されるように、追加糊材320がさらに準備される。追加糊材320は、糊材124の上に配置された場合に、凸構造322を構成する。凸構造322は、糊材124の中央の上に配置される。凸構造322は、円形状の平面形状を有する。凸構造322は、ウエハ100の裏面100bの凹形状に適合する凸形状を有する。追加糊材320は、シート状の形状を有する。凸構造322は、糊材124の広がり方向でありオリフラ方向と平行及び垂直をそれぞれなすX方向及びY方向について穏やかな傾斜を有する円錐形状の形状を有する。このため、凸構造322は、凸構造322の中心部から凸構造322の端部までの全体において、凸構造322の中心部から離れるにつれて連続的に低くなる高さを有する。
また、実施の形態3の変形例1においては、図10に図示されるように、基材120が均一な膜厚を有する。また、糊材124が均一な膜厚を有する。
また、実施の形態3の変形例1においては、図10に図示されるように、凸構造322の上にウエハ100が搭載される。このため、凸構造322の上にウエハ100が配置されるように、糊材124の上に追加糊材320が配置され追加糊材320の上にウエハ100が配置されて、追加糊材320が糊材124及びウエハ100に貼り付けられる。これにより、ウエハ100の裏面100bの凹形状に凸構造322が勘合する。これにより、ウエハ100の反り又は歪が矯正されることなく、ウエハ100が固定される。また、ウエハ100が反り又は歪を有する状態が維持されたまま、ウエハ100に対してダイシングが行われる。糊材124の上に追加糊材320が配置され追加糊材320の上にウエハ100が配置される際には、ウエハ100の裏面100bに追加糊材320が貼り付けられた後に、糊材124に追加糊材320が貼り付けられてもよいし、糊材124に追加糊材320が貼り付けられた後に、ウエハ100の裏面100bに追加糊材320が貼り付けられてもよい。追加糊材320は、望ましくは、糊材124の粘着力より小さい粘着力を有する。これにより、ダイシングが行われた後にチップ146がピックアップ(P/U)される際に、追加糊材320がUVテープ116の側に残る。
また、実施の形態3の変形例1においては、図10に図示されるように、得られるワーク130が、ウエハ100、固定板110及びUVテープ116に加えて追加糊材320を備える。
実施の形態3の変形例1によれば、ウエハ100の反り又は歪を追加糊材320により吸収することができる。このため、ウエハ100が反り又は歪を有する場合でも、ウエハ100の反り又は歪が矯正される際に生じる応力をウエハ100に内在させることなく、応力の分散が維持された状態で、ウエハ100に対してダイシングを行うことができる。これにより、得られるチップ146の側面又は裏面にチッピング、クラック等が発生することを抑制することができる。また、ダイシングブレード142に飛び、破損等が発生することを抑制することができる。
5 実施の形態3の変形例2
図11は、実施の形態3の変形例2のウエハの反り又は歪の吸収方法を模式的に説明する図である。図11(a)及び図11(b)は、断面図である。
実施の形態3の変形例2のウエハ100の反り又は歪の吸収方法は、UVテープ116に追加される追加UVテープ340によりウエハ100の反り又は歪を吸収する。実施の形態3の変形例2のウエハ100の反り又は歪の吸収方法は、実施の形態1の半導体装置146の製造方法において採用することができる。
実施の形態3の変形例2においては、図11(a)及び図11(b)に図示されるように、追加UVテープ340がさらに準備される。追加UVテープ340は、UVテープ116の平面形状と異なる平面形状を有する点を除いて、UVテープ116と同様のUVテープである。追加UVテープ340も、図3に図示されるUVテープ112から切り出されることにより準備される。追加UVテープ340は、糊材124の上に配置された場合に、凸構造342を構成する。凸構造342は、糊材124の中央の上に配置される。凸構造342は、円形状の平面形状を有する。凸構造342は、ウエハ100の平面サイズよりわずかに小さい平面サイズを有し、ウエハ100の径よりわずかに小さい径を有する。凸構造342は、ウエハ100の裏面100bの凹形状に適合する凸形状を有する。追加UVテープ340の数は、ウエハ100の反り又は歪の量Δに応じて増減される。例えば、追加UVテープ340は、ウエハ100の反りの量Δが小さい場合は、図11(a)に図示されるように、ひとつの追加UVテープであり、ウエハ100の反りの量Δが大きい場合は、図11(b)に図示されるように、複数の追加UVテープである。複数の追加UVテープ340は、互いに異なる平面サイズを有し、互いに異なる径を有する。
また、実施の形態3の変形例2においては、図11(a)及び図11(b)に図示されるように、追加UVテープ340が糊材124に貼り付けられる。複数の追加UVテープ340が糊材124に貼り付けられる際には、大きい平面サイズを有する追加UVテープ340から順に複数の追加UVテープ340が糊材124の上に重ねて貼り付けられ、大きい径を有する追加UVテープ340から順に複数の追加UVテープ340が糊材124の上に重ねて貼り付けられる。
また、実施の形態3の変形例2においては、図11(a)及び図11(b)に図示されるように、基材120が均一な膜厚を有する。また、糊材124が均一な膜厚を有する。
また、実施の形態3の変形例2においては、図11(a)及び図11(b)に図示されるように、凸構造342の上にウエハ100が搭載される。このため、凸構造342の上にウエハ100が配置されて、追加UVテープ340がウエハ100に貼り付けられる。これにより、ウエハ100の裏面100bの凹形状に凸構造342が勘合する。これにより、ウエハ100の反り又は歪が矯正されることなく、ウエハ100が固定される。また、ウエハ100が反り又は歪を有する状態が維持されたまま、ウエハ100に対してダイシングが行われる。
また、実施の形態3の変形例2においては、図11(a)及び図11(b)に図示されるように、得られるワーク130が、ウエハ100、固定板110及びUVテープ116に加えて追加UVテープ340を備える。
実施の形態3の変形例2によれば、ウエハ100の反り又は歪を追加UVテープ340により吸収することができる。このため、ウエハ100が反り又は歪を有する場合でも、ウエハ100の反り又は歪が矯正される際に生じる応力をウエハ100に内在させることなく、応力の分散が維持された状態で、ウエハ100に対してダイシングを行うことができる。これにより、得られるチップ146の側面又は裏面にチッピング、クラック等が発生することを抑制することができる。また、ダイシングブレード142に飛び、破損等が発生することを抑制することができる。
また、実施の形態3の変形例2によれば、ウエハ100の反り又は歪を簡便な手法により吸収することができる。
6 実施の形態4
図12及び図13は、実施の形態4の糊材の形成方法を模式的に説明する図である。図12(a)及び図12(b)は、斜視図である。図13(a)、図13(b)、図13(c)及び図13(d)は、断面図である。
実施の形態4の糊材124の形成方法は、実施の形態3のウエハ100の反り又は歪の吸収方法とともに、実施の形態1の半導体装置146の製造方法において採用することができる。
実施の形態4においては、図12(a)、図12(b)、図13(a)、図13(b)、図13(c)及び図13(d)に図示されるように、基材120の上に第1の糊材400が形成される。その際には、塗工を行う機構により、第1の糊材400を構成する材料を基材120の上に塗工する1回目の塗工が行われる。当該材料は、基材120の主面の全面にわたって塗工される。
続いて、図12(a)、図12(b)、図13(a)、図13(b)、図13(c)及び図13(d)に図示されるように、形成された第1の糊材400の上に第2の糊材402が形成される。その際には、塗工を行う機構により、第2の糊材402を構成する材料を第1の糊材400の上に塗工する2回目の塗工が行われる。その際には、当該材料が塗工されない領域がマスキングされる。第2の糊材402は、第1の糊材の平面サイズより小さい平面サイズを有する。このため、第2の糊材402は、凸構造300を構成する。
形成される第1の糊材400及び第2の糊材402は、糊材124を構成する。
2回目の塗工によりに形成される第2の糊材402は、複数の糊材である。複数の糊材402は、互いに異なる平面サイズを有し、互いに異なる径を有する。複数の糊材402が形成される際には、図12(a)、図13(a)及び図13(b)に図示されるように、小さい平面サイズを有する糊材402から順に複数の糊材402が第1の糊材400の上に重ねて形成され、小さい径を有する糊材402から順に複数の糊材402が第1の糊材400の上に重ねて形成される場合もあるし、図12(b)、図13(c)及び図13(d)に図示されるように、大きい平面サイズを有する糊材402から順に複数の糊材402が第1の糊材400の上に重ねて配置され、大きい径を有する糊材402から順に複数の糊材402が第1の糊材400の上に重ねて配置される場合もある。
また、実施の形態4においては、ウエハ100の反り又は歪の量Δの測定が行われる。ウエハ100の反り又は歪の量Δの測定は、複数の糊材402が第1の糊材400の上に形成される前に行われる。
また、実施の形態4においては、ウエハ100の反り又は歪の量Δの測定の結果に基づいて、複数の糊材402の平面サイズすなわち複数の糊材402の径、複数の糊材402の端の間隔、複数の糊材402の数、及び複数の糊材402を形成する順序の少なくともひとつが変更される。これにより、ウエハ100の反り又は歪の量Δに応じて、凸構造300の形状を変更することができ、凸構造322の端面の形状を変更することができる。
図13(a)に図示される第2の糊材402は、穏やかな傾斜を有する端面を有する凸構造300を構成する。当該凸構造300は、凸構造300の中心部から凸構造300の端部までの全体において、凸構造300の中心部から離れるにつれて連続的に低くなる高さを有する。当該凸構造300は、複数の糊材402の端の間隔が広く、小さい平面サイズすなわち小さい径を有する糊材402から順に複数の糊材402が第1の糊材400の上に重ねて形成された場合に得られる。
図13(b)に図示される第2の糊材402は、やや急峻な傾斜を有する端面を有する凸構造300を構成する。当該凸構造300は、凸構造300の中心部から凸構造300の端部の手前までにおいて、一定の高さを有し、凸構造300の端部の手前から凸構造300の端部までにおいて、凸構造300の中心部から離れるにつれて連続的に低くなる高さを有する。当該凸構造300は、複数の糊材402に備えられる最初の数個の糊材402の端の間隔が狭く、小さい平面サイズすなわち小さい径を有する糊材402から順に複数の糊材402が第1の糊材400の上に重ねて形成された場合に得られる。
図13(c)に図示される第2の糊材402は、やや穏やかな傾斜を有する端面を有する凸構造300を構成する。当該端面は、凹凸を有する。当該凸構造300は、凸構造300の中心部から凸構造300の端部の手前までにおいて、一定の高さを有し、凸構造300の端部の手前から凸構造300の端部までにおいて、凸構造300の中心部から離れるにつれて不連続的に低くなる高さを有する。当該凸構造300は、複数の糊材402の端の間隔が広く、大きい平面サイズすなわち大きい径を有する糊材402から順に複数の糊材402が第1の糊材400の上に重ねて形成された場合に得られる。
図13(d)に図示される第2の糊材402は、急峻な傾斜を有する端面を有する凸構造300を構成する。当該端面は、凹凸を有する。当該凸構造300は、凸構造300の中心部から凸構造300の端部の手前までにおいて、一定の高さを有し、凸構造300の端部の手前から凸構造300の端部までにおいて、凸構造300の中心部から離れるにつれて不連続的に低くなる高さを有する。ただし、図13(d)に図示される第2の糊材402においては、図13(c)に図示される第2の糊材402と比較して、凸構造300の中心部から離れるにつれて不連続的に低くなる高さを有する範囲が、狭くなっている。当該凸構造300は、複数の糊材402に備えられる最初の数個の糊材402の端の間隔が狭く、大きい平面サイズすなわち大きい径を有する糊材から順に複数の糊材402が第1の糊材400の上に重ねて形成された場合に得られる。
図14は、実施の形態4の糊材の形成方法における、凸構造の端面の形状と、ウエハの反りの量及び糊材の形成方法と、の関係を説明する図である。
図14に示されるように、実施の形態4の糊材の形成方法においては、凸構造300の端面の形状を「穏やかな傾斜」を有する形状、「やや緩やかな傾斜」を有する形状、「やや急峻な傾斜」を有する形状、及び「急峻な傾斜」を有する形状に順次に変化させることにより、凸構造300の端面の形状を「穏やか」な形状から「急峻」な形状に変化させることができる。
また、ウエハ100の反りの量が「小」から「大」へ変化した場合は、凸構造300の端面の形状は、「穏やか」な形状から「急峻」な形状に変化する。
「穏やかな傾斜」を有する形状を有する端面は、複数の糊材402の積層の数が少なくなり、複数の糊材402の直径が徐々に増減しその端の間隔が広い場合に得られる。「急峻な傾斜」を有する形状を有する端面は、複数の糊材402の積層の数が多くなり、複数の糊材402の直径が大きく、その端の間隔が狭い場合に得られる。
実施の形態4によれば、凸構造300の形状をウエハ100の反り又は歪の量Δに適合する凸形状にすることができる。これにより、得られるチップ146の側面又は裏面にチッピング、クラック等が発生することをさらに抑制することができる。また、ダイシングブレード142に飛び、破損等が発生することをさらに抑制することができる。
7 実施の形態5
図15は、実施の形態5のUVテープの圧着方法を模式的に説明する図である。図15(a)は、断面図である。図15(b)及び図15(c)は、斜視図である。
実施の形態5のUVテープ116の圧着方法は、実施の形態6又は実施の形態6の変形例1のウエハ100の反り又は歪の吸収方法とともに、実施の形態1の半導体装置146の製造方法において採用することができる。
実施の形態5においては、図15(a)に図示されるように、基材120が均一な厚さを有する。また、糊材124が均一な膜厚を有する。
また、実施の形態5においては、図15(a)及び図15(c)に図示されるように、圧着ローラー128が、本体500及び凸構造502を備える。本体500は、図15(b)に図示される通常の圧着ローラーに備えられる本体と同様に、円筒形状又は円柱形状の形状を有する。ただし、本体500の軸方向の幅Wは、図15(b)に図示される通常の圧着ローラーに備えられる本体の軸方向の幅であるウエハ100の径が入る最小限の幅より大きく、凸構造502の径が入るように決定される。凸構造502は、本体500から突出する。凸構造502は、本体500の軸方向の中央の上に配置される。凸構造502は、ウエハ100の裏面100bの凹形状に適合する凸形状を有する。
また、実施の形態5においては、図15(a)に図示されるように、圧着ローラー128によりUVテープ116がウエハ100に向かって押さえつけられる際に、ウエハ100の裏面100bの凹形状に凸構造502が勘合する。これにより、UVテープ116のウエハ100への密着性を向上することができる。これにより、ダイシングの精度を向上することができる。
なお、実施の形態5においては、ウエハ100の上に平坦なUVテープ116が置かれ、圧着ローラー128により、置かれたUVテープ116がウエハ100に向かって押さえつけられる。しかし、UVテープ116がウエハ100に向かって押さえつけられる際には、UVテープ116は柔らかいため、UVテープ116がウエハ100に向かって押さえつけられた後においても、ウエハ100の反り又は歪は矯正されず、ウエハ100の反り又は歪が矯正される際に生じる応力がウエハ100に内在することはない。したがって、ウエハ100が最大で200μmの反り又は歪の量Δを有する状態が維持されたままウエハマウント工程が終了する。
8 実施の形態6
図16及び図17は、実施の形態6のウエハの反り又は歪の吸収方法を模式的に説明する図である。図16(a)及び図16(b)は、断面図である。図17(a)は、斜視図である。図17(b)及び図17(c)は、断面図である。
実施の形態6のウエハ100の反り又は歪の吸収方法は、チャックテーブル140によりウエハ100の反り又は歪を吸収する。実施の形態6のウエハ100の反り又は歪の吸収方法は、実施の形態1の半導体装置146の製造方法において採用することができる。
実施の形態6においては、図16(a)、図16(b)、図17(b)及び図17(c)に図示されるように、凸構造600を備えるチャックテーブル140が用いられる。凸構造600は、チャックテーブル140の中央に配置される。凸構造600は、円形状の平面形状を有する。チャックテーブル140は、ウエハ100の径より2.54cm(1インチ)以上大きい径を有する。凸構造600は、ウエハ100の裏面100bの凹形状に適合する凸形状を有する。凸構造600は、チャックテーブル140の広がり方向でありオリフラ方向と平行及び垂直をそれぞれなすX方向及びY方向について穏やかな傾斜を有する円錐形状の形状を有する。このため、凸構造600は、凸構造600の中心部から凸構造600の端部までの全体において、凸構造600の中心部から離れるにつれて連続的に低くなる高さを有する。凸構造600の最大高さ(最大厚さ)は、ウエハ100の反り又は歪の量Δに応じて決定される。凸構造600の最大高さは、例えば、1μm以上50μm以下、51μm以上100μm以下、101μm以上150μm以下、151μm以上200μm以下、又は201μm以上である。チャックテーブル140は、凸構造600及び残余の部分が一体化された一体型のチャックテーブルである。このため、チャックテーブル140は、全体がポーラス材質からなる。このため、チャックテーブル140は、ワーク130を鉛直方向下方に真空吸着することができる。
また、実施の形態6においては、図16(a)、図16(b)、図17(b)及び図17(c)に図示されるように、基材120が均一な膜厚を有する。また、糊材124が均一な膜厚を有する。
また、実施の形態6においては、図16(a)、図16(b)、図17(b)及び図17(c)に図示されるように、凸構造600の上にウエハ100が搭載される。このため、凸構造600の上にウエハ100が配置されるようにチャックテーブル140の上にワーク130が固定される。これにより、ウエハ100の裏面100bの凹形状に凸構造600が勘合する。これにより、ウエハ100の反り又は歪が矯正されることなく、ウエハ100が固定される。また、ウエハ100が反り又は歪を有する状態が維持されたまま、ウエハ100に対してダイシングが行われる。ワーク130は、矢印A1により示される方向に真空吸着される。ダイシングは、矢印A2により示される切り込み深さまで行われる。
また、実施の形態6においては、図16(b)に図示されるように、チャックテーブル140の上にワーク130が載せられてからさらに固定板110が鉛直方向下方に押し下げられる。
実施の形態6によれば、ウエハ100の反り又は歪をチャックテーブル140により吸収することができる。このため、ウエハ100が反り又は歪を有する場合でも、ウエハ100の反り又は歪が矯正される際に生じる応力をウエハ100に内在させることなく、応力の分散が維持された状態で、ウエハ100に対してダイシングを行うことができる。これにより、得られるチップ146の側面又は裏面にチッピング、クラック等が発生することを抑制することができる。また、ダイシングブレード142に飛び、破損等が発生することを抑制することができる。
9 実施の形態6の変形例1
図18、図19及び図20は、実施の形態6の変形例1のウエハの反り又は歪の吸収方法を模式的に説明する図である。図18、図19、図20(a)、図20(b)及び図20(c)は、断面図である。ただし、図19、図20(a)、図20(b)及び図20(c)には、UVテープ及び固定板が点線により描かれている。
実施の形態6の変形例1のウエハ100の反り又は歪を吸収する方法は、ブロック620によりウエハ100の反り又は歪を吸収する。実施の形態6の変形例1のウエハ100の反り又は歪を吸収する方法は、実施の形態1の半導体装置146の製造方法において採用することができる。
実施の形態6の変形例1においては、図18、図19、図20(a)、図20(b)及び図20(c)に図示されるように、チャックテーブル140及びブロック620が用いられる。チャックテーブル140は、通常のチャックテーブルと同様に、平坦な上面を有する。ブロック620は、チャックテーブル140の上に配置された場合に、凸構造622を構成する。凸構造622は、円形状の平面形状を有する。凸構造622は、チャックテーブル140の中央の上に配置される。凸構造622は、ウエハ100の裏面100bの凹形状に適合する凸形状を有する。チャックテーブル140及びブロック620は、同じ材質からなり、ポーラス材質からなるが、分割されている。チャックテーブル140及びブロック620は、ワーク130を鉛直方向下方に真空吸着することができる。
また、実施の形態6の変形例1においては、図18に図示されるように、基材120が均一な膜厚を有する。また、糊材124が均一な膜厚を有する。
また、実施の形態6の変形例1においては、図18、図19、図20(a)、図20(b)及び図20(c)に図示されるように、凸構造622の上にウエハ100が搭載される。このため、凸構造622の上にウエハ100が配置されるように、チャックテーブル140の上にブロック620及びワーク130が固定される。これにより、ウエハ100の裏面100bの凹形状に凸構造600が勘合する。これにより、ウエハ100の反り又は歪が矯正されることなく、ウエハ100が固定される。また、ウエハ100が反り又は歪を有する状態が維持されたまま、ウエハ100に対してダイシングが行われる。ワーク130は、矢印A1により示される方向に真空吸着される。
実施の形態6の変形例1によれば、ウエハ100の反り又は歪をブロック620により吸収することができる。このため、ウエハ100が反り又は歪を有する場合でも、ウエハ100の反り又は歪が矯正される際に生じる応力をウエハ100に内在させることなく、応力の分散が維持された状態で、ウエハ100に対してダイシングを行うことができる。これにより、得られるチップ146の側面又は裏面にチッピング、クラック等が発生することを抑制することができる。また、ダイシングブレード142に飛び、破損等が発生することを抑制することができる。
また、実施の形態6の変形例1によれば、チャックテーブル140及びブロック620が分割されているため、ウエハ100の反り又は歪の量Δに応じてブロック620の形状を選択することができる。例えば、ウエハ100の反りの量Δが小さい場合は、図19に図示されるように、低い高さを有するブロック620が選択される。また、ウエハ100の反りの量Δが大きい場合は、図20(a)図20(b)及び図20(c)に図示されるように、高い高さを有するブロック620が選択される。
10 実施の形態6の変形例2
図21及び図22は、実施の形態6の変形例2のウエハの反り又は歪の吸収方法を模式的に説明する図である。図21(a)、図21(b)、図22(a)及び図22(b)は、断面図である。
実施の形態6の変形例2のウエハ100の反り又は歪の吸収方法は、UVテープ116に備えられる基材120又は糊材124、及びチャックテーブル140によりウエハ100の反り又は歪を吸収する。実施の形態6の変形例2のウエハ100の反り又は歪の吸収方法は、実施の形態1の半導体装置146の製造方法において採用することができる。
実施の形態6の変形例2においては、図21(a)、図21(b)、図22(a)及び図22(b)に図示されるように、基材120又は糊材124が第1の凸構造640を備える。第1の凸構造640は、基材120又は糊材124の中央に配置される。第1の凸構造640は、円形状の平面形状を有する。第1の凸構造640は、基材120又は糊材124の広がり方向でありオリフラ方向と平行及び垂直をそれぞれなすX方向及びY方向について穏やかな傾斜を有する円錐形状の形状を有する。このため、第1の凸構造640は、第1の凸構造640の中心部から第1の凸構造640の端部までの全体において、第1の凸構造640の中心部から離れるにつれて連続的に低くなる高さを有する。
また、実施の形態6の変形例2においては、図21(a)、図21(b)、図22(a)及び図22(b)に図示されるように、第1の凸構造640の上にウエハ100が搭載される。このため、第1の凸構造640の上にウエハ100が配置されるように、糊材124の上にウエハ100が配置されて、糊材124がウエハ100に貼り付けられる。これにより、ウエハ100の裏面100bの凹形状に第1の凸構造640が勘合する。
また、実施の形態6の変形例2においては、図21(a)、図21(b)、図22(a)及び図22(b)に図示されるように、第2の凸構造642を備えるチャックテーブル140が用いられる。第2の凸構造642は、チャックテーブル140の中央に配置される。第2の凸構造642は、円形状の平面形状を有する。第2の凸構造642は、チャックテーブル140の広がり方向でありオリフラ方向と平行及び垂直をそれぞれなすX方向及びY方向についてカーブした傾斜を有する側面を有する円柱状の形状を有し、台形状の断面形状を有する。このため、第2の凸構造642は、第2の凸構造642の中心部から第2の凸構造642の端部の手前までにおいて、一定の高さを有し、第2の凸構造642の端部の手前から第2の凸構造642の端部までにおいて、第2の凸構造642の中心部から離れるにつれて連続的に低くなる高さを有する。
第1の凸構造640及び第2の凸構造642を上下に重ね合わせたものは、ウエハ100の裏面100bの凹形状に適合する凸形状を有する。
第1の凸構造640は、ウエハ100の平面サイズより小さい平面サイズを有し、ウエハ100の径より小さい径を有する。第2の凸構造642は、ウエハ100の平面サイズより大きい平面サイズを有し、ウエハ100の径より大きい径を有する。
また、実施の形態6の変形例2においては、図21(a)、図21(b)、図22(a)及び図22(b)に図示されるように、第1の凸構造640及び第2の凸構造642の上にウエハ100が搭載される。このため、第1の凸構造640及び第2の凸構造642の上にウエハ100が配置されるように、チャックテーブル140の上にワーク130が固定される。これにより、ウエハ100の裏面100bの凹形状に第1の凸構造640及び第2の凸構造642が勘合する。これにより、ウエハ100の反り又は歪が矯正されることなく、ウエハ100が固定される。また、ウエハ100が反り又は歪を有する状態が維持されたまま、ウエハ100に対してダイシングが行われる。ワーク130は、矢印A1により示される方向に真空吸着される。ダイシングは、矢印A2により示される切り込み深さまで行われる。第1の凸構造640及び第2の凸構造642は、第1の凸構造640と第2の凸構造642との間に隙間が生じず側面に段差が形成されないように重ね合わされる。これにより、ワーク130を鉛直方向下方に真空吸着することができる。
実施の形態6の変形例2によれば、ウエハ100の反り又は歪を基材120又は糊材124、及びチャックテーブル140により吸収することができる。このため、ウエハ100が反り又は歪を有する場合でも、ウエハ100の反り又は歪が矯正される際に生じる応力をウエハ100に内在させることなく、応力の分散が維持された状態で、ウエハ100に対してダイシングを行うことができる。これにより、得られるチップ146の側面又は裏面にチッピング、クラック等が発生することを抑制することができる。また、ダイシングブレード142に飛び、破損等が発生することを抑制することができる。
実施の形態6の変形例2は、ウエハ100の反り又は歪の量Δが大きい場合に好適に採用される。例えば、実施の形態6の変形例2は、ウエハ100の反り又は歪の量Δが201μm以上である場合に好適に採用される。
11 実施の形態7
図23及び図24は、実施の形態7のダイシング方法を説明する図である。図23(a)、図23(b)、図23(c)、図23(d)及び図23(e)は、断面図である。図24(a)、図24(b)、図24(c)、図24(d)及び図24(e)は、斜視図である。
実施の形態7のダイシング方法は、実施の形態6の変形例1のウエハ100の反り又は歪の吸収方法とともに、実施の形態1の半導体装置146の製造方法において採用することができる。
実施の形態7においては、図23(a)に図示されるように、チャックテーブル140の上にブロック620及びワーク130が載せられる。また、図23(b)及び図24(a)に図示されるように、ブロック620及びワーク130が載せられた後に、第1のチャンネルCh(1)により、ウエハ100の外周部の一部に対してダイシングが行われる。また、図23(c)及び図24(b)に図示されるように、ウエハ100の外周部の一部に対してダイシングが行われた後に、ワーク130及びチャックテーブル140の間からブロック620が外される。また、図24(c)に図示されるように、ブロック620が外された後に、チャックテーブル140の上にワーク130が再び載せられる。また、図23(d)及び図24(d)に図示されるように、ブロック620が外された後に、第1のチャンネルCh(1)により、ウエハ100の残余部に対してダイシングが行われる。また、図23(e)及び図24(e)に図示されるように、第1のチャンネルCh(1)によりウエハ100の残余部に対してダイシングが行われた後に、第2のチャンネルCh(2)により、ウエハ100の全体に対してダイシングが行われる。
第1のチャンネルCh(1)によりウエハ100の外周部の一部に対してダイシングが行われる場合は、下述する実施の形態9のダイシング方法が好適に採用される。第1のチャンネルCh(1)によりウエハ100の残余部に対してダイシングが行われる場合は、下述する実施の形態8のダイシング方法が好適に採用される。
実施の形態7においては、凸構造622を構成するブロック620、及びチャックテーブル140を用いるダイシングと、平坦な上面を有するチャックテーブル140のみを用いるダイシングと、が併用される。
実施の形態7によれば、クラックが発生しやすいウエハ100の外周に対して、ウエハ100の反り又は歪が矯正される際に生じる応力をウエハ100に内在させることなく、ダイシングが行われる。これにより、クラックが発生しやすいウエハ100の外周から得られるチップ146の側面又は裏面にチッピング、クラック等が発生することを抑制することができる。
12 実施の形態8
図25は、実施の形態8のダイシング方法を模式的に説明する図である。図25は、断面図である。
実施の形態8のダイシング方法は、実施の形態2、実施の形態3、実施の形態3の変形例1、実施の形態3の変形例2、実施の形態6、実施の形態6の変形例1又は実施の形態6の変形例2のウエハ100の反り又は歪の吸収方法とともに、実施の形態1の半導体装置146の製造方法において採用することができる。
実施の形態8においては、図25に図示される省略部分Aの付近に、凸構造200、凸構造300、凸構造322、凸構造324、凸構造600、凸構造622、又は第1の凸構造640及び第2の凸構造642の組が設けられる。
また、実施の形態8においては、図25に図示されるように、ダイシングが行われる際に、ウエハ100の表面100fの側からダイシングブレードの切り込みが行われる。その際には、複数のダイシングラインについて、矢印A2により示される、基材120の厚さtの範囲内に収まる一定の切り込み深さまでダイシングブレードの切り込みが行われる。一定の切り込み深さは、固定された切り込み深さである。実施の形態2、実施の形態3、実施の形態3の変形例1又は実施の形態3の変形例2のウエハ100の反り又は歪の吸収方法とともに実施の形態8のダイシング方法が採用される場合は、基材120の厚さtは、凸構造200、凸構造300、凸構造322又は凸構造324がある部分を除いて、従来の基材の厚さと同程度であってもよい。しかし、実施の形態6、実施の形態6の変形例1又は実施の形態6の変形例2とともに実施の形態8のダイシング方法が採用される場合は、基材120の厚さtは、切り込み深さが基材120の厚さtの範囲内に収まるように厚くされる。基材120の厚さtを厚くする程度は、ウエハ100の反り又は歪の量Δの程度である。
実施の形態8によれば、ウエハ100の表面100fの側からダイシングブレードの切り込みが行われる場合に、ウエハ100の反り又は歪を矯正せず応力が分散している状態で、ダイシングを精度よく行うことができる。
13 実施の形態9
図26は、実施の形態9のダイシング方法を模式的に説明する図である。図26は、断面図である。
実施の形態9のダイシング方法は、実施の形態2、実施の形態3、実施の形態3の変形例1、実施の形態3の変形例2、実施の形態6、実施の形態6の変形例1又は実施の形態6の変形例2のウエハ100の反り又は歪の吸収方法とともに、実施の形態1の半導体装置146の製造方法において採用することができる。
実施の形態9においては、図26に図示される省略部分Aの付近に、凸構造200、凸構造300、凸構造322、凸構造324、凸構造600、凸構造622、又は第1の凸構造640及び第2の凸構造642の組が設けられる。
実施の形態9においては、図26に図示されるように、ダイシングが行われる際に、ウエハ100の表面100fの側からダイシングブレードの切り込みが行われる。その際には、複数のダイシングラインの各ラインについて、切り込み深さの補正が行われ、矢印A2により示される、可変の切り込み深さまでダイシングブレードの切り込みが行われ、複数のダイシングラインについて、基材120に対して一定の切り込み深さまで切り込みが行われる。切り込み深さの補正は、ウエハ100の反り又は歪の量Δに応じて行われる。
実施の形態9によれば、ウエハ100の表面100fの側からダイシングブレードの切り込みが行われる場合に、ウエハ100の反り又は歪を矯正せず応力が分散している状態で、ダイシングを精度よく行うことができる。
14 実施の形態10
図27及び図28は、実施の形態10のウエハの反り又は歪の吸収方法を模式的に説明する図である。図27(a)は、斜視図である。図27(b)は、断面図である。図28(a)は、斜視図である。図28(b)及び図28(c)は、断面図である。
実施の形態10のウエハ100の反り又は歪の吸収方法は、UVテープ116に備えられる基材120によりウエハ100の反り又は歪を吸収する。実施の形態10のウエハ100の反り又は歪の吸収方法は、ウエハ100の表面100fが糊材124に向けられるように変形された実施の形態1の半導体装置146の製造方法において採用することができる。
実施の形態10においては、図27(b)、図28(b)及び図28(c)に図示されるように、凹形状を有するウエハ100の裏面100bが鉛直方向上方に向けられる。また、凸形状を有するウエハ100の表面100fが鉛直方向下方に向けられる。このため、凸形状を有するウエハ100の表面100fが糊材124に向けられるように、糊材124の上にウエハ100が配置される。
また、実施の形態10においては、図27(b)に図示されるように、ウエハ100の表面100fを保護する保護膜1000がさらに準備される。
また、実施の形態10においては、図27(b)、図28(b)及び図28(c)に図示されるように、基材120が凹構造1002を備える。凹構造1002は、基材120の中央に配置される。凹構造1002は、円形状の平面形状を有する。凹構造1002は、ウエハ100の表面100fの凸形状に適合する凹形状を有する。凹構造1002は、基材120の広がり方向でありオリフラ方向と平行及び垂直をそれぞれなすX方向及びY方向について穏やかな傾斜を有する円錐形状の形状を有する。このため、凹構造1002は、凹構造1002の中心部から凹構造1002の端部までの全体において、凹構造1002の中心部から離れるにつれて連続的に低くなる高さを有する。凹構造1002の最大高さ(最大厚さ)は、ウエハ100の反り又は歪の量Δに応じて決定される。凹構造1002の最大高さは、例えば、1μm以上50μm以下、51μm以上100μm以下、101μm以上150μm以下、151μm以上200μm以下、又は201μm以上である。基材120の厚さtは、凹構造1002がある部分においても基材120が十分な厚さを有するように厚くされる。
また、実施の形態10においては、図27(b)、図28(b)及び図28(c)に図示されるように、糊材124が均一な膜厚を有する。
凸形状を有するウエハ100の表面100fが糊材124に向けられる場合は、糊材124に凹構造を設けることよりも、基材120に凹構造1002を設けることが好適である。その理由は、次のとおりである。糊材124に凹構造が設けられた場合は、凹構造がある部分においても糊材124が十分な厚さを有するように糊材124の厚さが厚くされる。しかし、糊材124の厚さが厚くされた場合は、糊材124がその機能を十分に発揮することができなくなる。また、糊材124の厚さが厚くされた場合は、凹構造により糊材124の厚さが部分的に薄くされても、UVテープ116に占める糊材124が増加する。このため、UVテープ116のコストが上昇する。また、糊材124に凹構造を設けることは、UVテープ116の製造上困難である。また、糊材124の厚さが厚くされた場合は、糊材124の厚さが基材120の厚さより厚くなり、次工程で行われるダイボンドにおいてエキスパンド(EXP)を行うことが困難になる。
また、実施の形態10においては、図27(b)、図28(b)及び図28(c)に図示されるように、凹構造1002の上にウエハ100が搭載される。このため、凹構造1002の上にウエハ100が配置されるように、糊材124の上にウエハ100が配置されて、糊材124がウエハ100に貼り付けられる。これにより、ウエハ100の表面100fの凸形状が凹構造1002に勘合する。これにより、ウエハ100の反り又は歪が矯正されることなく、ウエハ100が固定される。また、ウエハ100が反り又は歪を有する状態が維持されたまま、ウエハ100に対してダイシングが行われる。ワーク130は、矢印A1により示される方向に真空吸着される。
実施の形態10によれば、ウエハ100の反り又は歪をUVテープ116に備えられる基材120により吸収することができる。このため、ウエハ100が反り又は歪を有する場合でも、ウエハ100の反り又は歪が矯正される際に生じる応力をウエハ100に内在させることなく、応力の分散が維持された状態で、ウエハ100に対してダイシングを行うことができる。これにより、得られるチップ146の側面又は裏面にチッピング、クラック等が発生することを抑制することができる。また、ダイシングブレード142に飛び、破損等が発生することを抑制することができる。
15 実施の形態11
図29は、実施の形態11のウエハの反り又は歪の吸収方法を模式的に説明する図である。図29は、断面図である。
実施の形態11のウエハ100の反り又は歪の吸収方法は、チャックテーブル140によりウエハ100の反り又は歪を吸収する。実施の形態11のウエハ100の反り又は歪の吸収方法は、ウエハ100の表面100fが糊材124に向けられるように変形された実施の形態1の半導体装置146の製造方法において採用することができる。
実施の形態11においては、図29に図示されるように、凹形状を有するウエハ100の裏面100bが鉛直方向上方に向けられる。また、凸形状を有するウエハ100の表面100fが鉛直方向下方に向けられる。このため、凸形状を有するウエハ100の表面100fが糊材124に向けられるように、糊材124の上にウエハ100が配置される。
また、実施の形態11においては、ウエハ100の表面100fを保護する図示されない保護膜がさらに準備される。
また、実施の形態11においては、図29に図示されるように、凹構造1100を備えるチャックテーブル140が用いられる。凹構造1100は、チャックテーブル140の中央に配置される。凹構造1100は、円形状の平面形状を有する。凹構造1100は、ウエハ100の表面100fの凸形状に適合する凹形状を有する。凹構造1100は、チャックテーブル140の広がり方向でありオリフラ方向と平行及び垂直をそれぞれなすX方向及びY方向について穏やかな傾斜を有する円錐形状の形状を有する。このため、凹構造1100は、凹構造1100の中心部から凹構造1100の端部までの全体において、凹構造1100の中心部から離れるにつれて連続的に低くなる高さを有する。凹構造1100の最大高さ(最大厚さ)は、ウエハ100の反り又は歪の量Δに応じて決定される。凹構造1100の最大高さは、例えば、1μm以上50μm以下、51μm以上100μm以下、101μm以上150μm以下、151μm以上200μm以下、又は201μm以上である。チャックテーブル140は、一体型のチャックテーブルである。このため、チャックテーブル140は、全体がポーラス材質からなる。このため、チャックテーブル140は、ワーク130を鉛直方向下方に真空吸着することができる。チャックテーブル140の厚さtは、凹構造1100がある部分においても十分な厚さを有するように厚くされる。
また、実施の形態11においては、図29に図示されるように、凹構造1100の上にウエハ100が搭載される。このため、凹構造1100の上にウエハ100が配置されるように、チャックテーブル140の上にワーク130が固定される。これにより、ウエハ100の表面100fの凸形状が凹構造1100に勘合する。これにより、ウエハ100の反り又は歪が矯正されることなく、ウエハ100が固定される。また、ウエハ100が反り又は歪を有する状態が維持されたまま、ウエハ100に対してダイシングが行われる。
図30は、実施の形態11のウエハの反り又は歪の吸収方法における、ウエハの径とチャックテーブルの径との関係を模式的に説明する図である。図30は、断面図である。
チャックテーブル140は、図30に図示されるように、ウエハ100の径より2.54cm(1インチ)以上大きい径を有する。
実施の形態11によれば、ウエハ100の反り又は歪をチャックテーブル140により吸収することができる。このため、ウエハ100が反り又は歪を有する場合でも、ウエハ100の反り又は歪が矯正される際に生じる応力をウエハ100に内在させることなく、応力の分散が維持された状態で、ウエハ100に対してダイシングを行うことができる。これにより、得られるチップ146の側面又は裏面にチッピング、クラック等が発生することを抑制することができる。また、ダイシングブレード142に飛び、破損等が発生することを抑制することができる。
16 実施の形態12
図31は、実施の形態12のダイシング方法を模式的に説明する断面図である。図31は、断面図である。
実施の形態12のダイシング方法は、実施の形態10又は実施の形態11のウエハ100の反りの吸収方法とともに、ウエハ100の表面100fが糊材124に向けられるように変形された実施の形態1の半導体装置146の製造方法において採用することができる。
実施の形態12においては、図31に図示される省略部分Aの付近に、凹構造1002又は凹構造1100が設けられる。
また、実施の形態12においては、図31に図示されるように、ダイシングが行われる際に、ウエハ100の裏面100bの側からダイシングブレードの切り込みが行われる。その際には、複数のダイシングラインについて、矢印A2により示される、基材120の厚さtの範囲内に収まる一定の切り込み深さまでダイシングブレード142の切り込みが行われる。一定の切り込み深さは、固定された切り込み深さである。実施の形態11のウエハ100の反りの吸収方法とともに実施の形態12のダイシング方法が採用される場合は、基材120の厚さtは、切り込み深さが基材120の厚さtの範囲内に収まるように厚くされる。基材120の厚さtを厚くする程度は、ウエハ100の反り又は歪の量Δの程度である。これにより、ウエハ100の反り又は歪により深くなった切り込み深さを吸収することができ、基材120の切り残し厚さを確保することができる。
実施の形態12によれば、ウエハ100の裏面100bの側からダイシングブレードの切り込みが行われる場合に、ウエハ100の反り又は歪を矯正せず応力が分散している状態でダイシングを精度よく行うことができる。
17 実施の形態13
図32は、実施の形態13のダイシング方法を模式的に説明する断面図である。図32は、断面図である。
実施の形態13のダイシング方法は、実施の形態10又は実施の形態11のウエハ100の反り又は歪の吸収方法とともに、ウエハ100の表面100fが糊材124に向けられるように変形された実施の形態1の半導体装置146の製造方法において採用することができる。
実施の形態13においては、図32に図示される省略部分Aの付近に、凹構造1002又は凹構造1100が設けられる。
また、実施の形態13においては、図32に図示されるように、ダイシングが行われる際に、ウエハ100の裏面100bの側からダイシングブレードの切り込みが行われる。その際には複数のダイシングラインの各ラインについて、切り込み深さの補正が行われ、矢印A2により示される、可変の切り込み深さまでダイシングブレードの切り込みが行われ、複数のダイシングラインについて、基材120に対して一定の切り込み深さまで切り込みが行われる。切り込み深さの補正は、ウエハ100の反り又は歪の量Δに応じて行われる。
実施の形態13によれば、ウエハ100の裏面100bの側からダイシングブレードの切り込みが行われる場合に、ウエハ100の反り又は歪を矯正せず応力が分散している状態で、ダイシングを精度よく行うことができる。
18 ウエハ、凸構造、チャックテーブル及び固定板の平面サイズの関係
図33は、実施の形態2、実施の形態3、実施の形態3の変形例1、実施の形態3の変形例2、実施の形態6、実施の形態6の変形例1及び実施の形態6の変形例2のウエハの反り又は歪の吸収方法におけるウエハ、凸構造、チャックテーブル及び固定板の平面サイズの関係を模式的に説明する図である。図33(a)、図33(b)及び図33(c)は、断面図である。
図33(a)、図33(b)及び図33(c)には、上述した凸構造200、凸構造300、凸構造322、凸構造324、凸構造600、凸構造622、又は第1の凸構造640及び第2の凸構造642の組が、凸構造2000として図示されている。
凸構造2000は、望ましくは、図33(a)及び図33(b)に図示されるように、ウエハ100の平面サイズより大きな平面サイズを有し、ウエハ100の径より大きな径を有し、さらに望ましくは、ウエハ100の径より2.54cm(1インチ)以上大きな径を有する。
また、チャックテーブル140は、図33(a)及び図33(b)に図示されるように、凸構造2000の平面サイズより大きな平面サイズを有し、凸構造2000の径より大きな径を有し、さらに望ましくは、凸構造2000の径より2.54cm(1インチ)以上大きな径を有する。
また、固定板110は、図33(a)及び図33(b)に図示されるように、チャックテーブル140の平面サイズより大きな平面サイズを有し、チャックテーブル140の径より大きな径を有し、さらに望ましくは、チャックテーブル140の径より2.54cm(1インチ)以上大きな径を有する。
ただし、図33(c)に図示されるように、凸構造2000の平面サイズがウエハ100の平面サイズよりと同じであることは、望ましくない。
凹構造についても、凸構造2000と同じことがいえる。
19 実施の形態14
図34から図37までは、実施の形態14のチップの形状の形成方法を模式的に説明する図である。図34(a)及び図34(b)は、ウエハの断面図である。図35(a)は、ウエハから生成された半導体チップの断面図である。図35(b)は、ウエハの中央から生成されたチップの斜視図である。図35(c)は、ウエハの外周から生成されたチップの斜視図である。図36(a)及び図36(b)は、ウエハの上面図である。図37は、ウエハから生成された半導体チップの断面図である。
ここで、ウエハ100に対してダイシングが行われる際に、図34及び図36に図示されるように、矢印A2により示される、平坦な基準面102とダイシングブレードの入射方向とが垂直をなすような入射角で、ダイシングブレード142の切り込みが行われ、ウエハ100の外周部からウエハ100の中央に向かってダイシングが行われる場合を考える。
ウエハ100に対してダイシングが行われることにより生成されるチップ146は、図35から図37までに図示されるように、表面1400及び端面1402を有する。表面1400は、回路パターンが形成される主面である。
表面1400と端面1402とがなす傾斜角は、反り又は歪が矯正されたウエハに対してダイシングが行われた場合は、90°であるが、図34に図示されるように反り又は歪が矯正されていないウエハ100に対してダイシングが行われた場合は、必ずしも90°でなく90°+5~15°となる場合がある。
反り又は歪が矯正されていないウエハ100に対してダイシングが行われた場合は、ウエハ100の反りの量Δが大きくなるほど、ウエハ100の外周からウエハ100の中央までの範囲内において90°でない傾斜角を有するチップ146が生成される範囲が広くなり、90°からの傾斜角のずれが大きくなる。一方、ウエハ100の反りの量が小さくなるほど、ウエハ100の外周からウエハ100の中央までの範囲内において90°でない傾斜角を有するチップ146が生成される範囲が狭くなり、傾斜角が小さくなる。ウエハ100の中央から生成されるチップ146の傾斜角は、90°に近くなる。
また、反り又は歪が矯正されていないウエハ100に対してダイシングが行われた場合は、チップ146が生成される位置がウエハ100の外周に近づくほど、生成されるチップ146の傾斜角の90°からのずれは大きくなる。また、チップ146が生成される位置がウエハ100の中央に近づくほど、生成されるチップ146の傾斜角は、90°に近づく。
90°でない傾斜角を有する端面は、オリフラ方向と平行をなすX方向を向く端面、及びオリフラ方向と垂直をなすY方向を向く端面のいずれにも存在する。90°+5~15°程度の傾斜角を有する端面1402と反対の側にある端面1404は、90°より小さい傾斜角を有する。この傾向は、傾斜角が90°に近づくまで、ダイシングが行われる位置がウエハ100の中央に進む間繰り返される。
反り量と傾斜角との関係を表1に整理する。また、ウエハ100における位置と傾斜角との関係を表2に整理する。また、ひとつのチップにおける傾斜角を表3に整理する。
なお、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
実施の形態は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、実施の形態がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、想定され得るものと解される。