JP2010138255A - ポリエーテル変性ポリシロキサン化合物およびこれを含有する放射線硬化性組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水酸基末端ポリシロキサンの水酸基をエチレンオキシドもしくはプロピレンオキシドを付加させ、各末端基に少なくとも1つのエチレンオキシドを有するポリアルキレンオキシド変性ポリシロキサンとし、前記ポリアルキレンオキシド変性ポリシロキサンの両末端をエステル化して(メタ)アクリロイル基を導入した新規なポリエーテル変性ポリシロキサン化合物を提供し、またこれを含んだ放射線硬化性組成物を提供すること。合成した化合物についての図1のIRチャートには、メタクリロイル基およびウレタン結合に起因する(−CO−)1715cm−1のピークが見られる。
【選択図】図1
Description
(合成方法)
本発明のポリエーテル変性ポリシロキサン化合物は、〔化2〕に示す水酸基末端ポリシロキサンを原料として合成することができる。〔化2〕に示す水酸基末端ポリシロキサンは、例えばチッソ(株)製の「サイラプレーンFM−4411」(〔化2〕中のq=9)、同じく「FM−4421」(〔化2〕中のq=63)、同じく「FM−4425」、信越化学工業(株)製「X−22−4272」、「X−22−4952」などの商品名で入手が可能である。
本発明の放射線硬化性組成物は、上記製造方法によって得られる、上記一般式〔化1〕で示される新規なポリエーテル変性ポリシロキサン化合物を含むものであるが、前記化合物以外の放射線硬化性化合物を含んでもよい。ここでいう放射線とは、可視光線、紫外線、電子線をいうが、なかでも電子線或いは紫外線によって硬化が生じる樹脂組成物が一般的である。
1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する具体的な多官能性モノマーとしては、1、4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールビスβ‐(メタ)アクリロイルオキシプロピネート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(2−ヒドロキシエチル)イソシアネートジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、2、3‐ビス(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシメチル[2.2.1]ヘプタン、ポリ1、2−ブタジエンジ(メタ)アクリレート、1、2−ビス(メタ)アクリロイルオキシメチルヘキサン、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカンエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、10−デカンジオール(メタ)アクリレート、3、8−ビス(メタ)アクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.10]デカン、水素添加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2、2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、1、4−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、ヒドロキシピバリンサンエステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、エポキシ変成ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。多官能モノマーは、一種類のみを使用しても良いし、二種類以上を併用しても良い。また、必要で有れば単官能モノマーと併用して共重合させることもできる。
光開始剤としては、例えばジフェニルケトンベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、4−ヒドロキシシクロフェニルケトン、ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、アントラキノン、フルオレン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クノルロアセトフェノン、4、4−ジメトキシアセトフェノン、4、4−ジアミノベンゾフェノンなどを単独または混合で0.1〜10重量%を使用することができる。具体的に市販されている光開始剤としては、商品名「イルガキュアー184」(チバファインケミカルズ社製)などを挙げることができる。0.1重量%より少ない場合硬化速度が遅く、10重量%より多い場合は非経済的である。そして、光刺激剤は、光開始剤と共に使用するものであり、例えばトリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ−ベンゾ酸、イソアミル−4−ジメチルアミノベンゾエートなどが使用される。
放射線硬化性組成物は、放射線硬化組成物の塗工適性向上(粘度調整)のために、更に有機溶剤を含有させてなることが好ましい。かかる有機溶剤の種類としては、放射線硬化組成物を溶解することができ、前記フィルム基材を侵さないものであれば特段の制限はされないが、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系およびエチルセロソルブ等のセロソルブ系の有機溶剤を用いることができる。
上記本発明のポリエーテル変性ポリシロキサン化合物は、フラットパネルディスプレイの液晶部に用いられるフィルム基材表面に塗布し、重合・硬化させて該フィルム基材表面をコートする用途に特に好適に用いることができる。塗布を受けるフィルム基材の材料は、特に制限されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムが挙げられる。また、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムも挙げられる。更に、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマーや前記ポリマーのブレンド物等の透明ポリマーからなるフィルム等も挙げられる。
〔合成例1〕
1000mlオートクレーブの反応器内を窒素置換した後、サイラプレーンFM−4411(チッソ(株)製、平均分子量1000)500g(0.5mol)および水酸化カリウム0.3g(0.0075mol)を仕込んだ。110℃に昇温した後、この温度を保ちながらエチレンオキシド264g(6mol)を2〜5Kg/cm2 Gの加圧下で3時間かけて送入し(以下、エチレンオキシドを送入するのに要した時間を反応時間と略記する。)反応させ、さらにエチレンオキシド送入終了後、同温度で1時間熟成を行った。得られた反応物に、85重量%リン酸0.8g(0.008mol)を加え中和し、析出したリン酸のカリウム塩を濾過で除き、ポリアルキレンオキシド変性ポリシロキサンである反応物〔化4〕を得た。
上記合成例1記載と同じ方法にて、ポリアルキレンオキシド変性ポリシロキサンである反応物〔化4〕の反応物を得た。ジムロート、温度計、窒素導入管、撹拌装置を備えた300mlのセパラブルフラスコに上記反応物 126g(0.1mol)、メタクリル酸18g(0.21mol)、トルエン50gを入れ、窒素導入管から窒素を吹き込みながら120℃で3時間反応させ生成する水を系外に排出しながら反応を進めた。反応の終点については、生成水の量で規定(3.6g)した。反応終了後、エバポレーターにてトルエンを減圧トッピングして、合成物2〔化6〕のポリエーテル変性ポリシロキサン化合物を得た。
原材料を表1記載の化合物および分量に変えた以外は、合成例1または2と同様の方法にてポリエーテル変性ポリシロキサン化合物である合成物3〔化7〕、合成物4〔化8〕を得た。
特許文献4記載の実施例1に準拠し、片末端ポリエーテル変性ポリシロキサン化合物を比較合成した。〔化9〕のハイドロジェン変性ポリシロキサン化合物(「XF40−A2346」(東芝シリコーン株式会社製)10重量部、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル(アリルアルコールへのエチレンオキシド10モル付加物) 20.26重量部、トルエン20重量部、テトラヒドロフランTHF30重量部、メチルハイドロキノン 0.018重量部をコルベン中窒素雰囲気下で混合攪拌した。その後、酢酸カリウムの10%エタノール溶液 0.025重量部、更に反応触媒としてヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物の10%イソプロピルアルコール溶液を 0.028重量部添加し、60℃まで昇温させた。赤外吸収スペクトルによりヒドロシリル基(2155cm-1付近)の未反応残量の減少経過をモニタリングしながら、10時間で反応を終了させた。その後、この反応溶液を55℃に降温し、アリルメタクリレート5.13重量部を添加混合した。FT−IRスペクトルによりヒドロシリル基のピークが消失する7時間で反応を終了させた。常温まで冷却後、活性炭を添加し、約1時間攪拌し、トルエン30重量部で希釈後、 0.8ミクロンのポリ四フッ化エチレン製メンブランフィルターにて吸引ろ過した。
比較として、ポリアルキレンオキシド変性ポリシロキサン「X22-6266」(信越化学工業(株)製)の比較化合物2を用いた。比較化合物2は〔化11〕の構造を持つものと推察される。
表2および3に示す原料を配合し放射線硬化組成物を80μmトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム(株)製)の片面に乾燥膜厚が10μmになるようにアプリケーターにて塗工した。塗工後、温風循環式乾燥機(100℃)にて30秒乾燥させた。乾燥後、岩崎電気(株)製コンベア式UV照射装置(120W/cm水銀ランプ、積算照度400mJ/cm2)で硬化させた。得られた表面塗布フィルムにつき下記試験1〜4にて塗布面の性能を試験した。
基材表面をスチールウール〔ボンスター#0000:日本スチールウール(株)製〕により1000g/cm2で10回擦り、傷の有無を目視判定した(スチールウール試験)。判定基準を以下に示す。
○:傷を確認することが出来ない。
△:数本傷を確認できる。
×:傷が多数確認できる。
基材表面を1mm角100点カット後、粘着セロハンテープ〔ニチバン(株)製工業用24mm巾セロテープ(登録商標)〕による剥離の有無を目視判定した(クロスカットテープピール試験)。
JIS K6911に準拠して行った。
基材表面に形成された塗膜表面を、黒マジック、赤マジック、赤クレヨン、青インキで汚し、その4時間後、24時間後に、エタノール/水=1/1重量比で拭き取って、その表面を目視観察し、汚染除去性を3段階評価した。
<3段階評価>
3・・・ 汚れ無し。(合格)
2・・・ 僅かな汚れあり。(合格)
1・・・ 汚れあり。(不合格)
Claims (5)
- 請求項2記載の放射線硬化性組成物に(メタ)アクリロイル基を2つ以上有するモノマーおよび光開始剤を含有させてなることを特徴とする放射線硬化性組成物。
- 請求項2または3記載の放射線硬化組成物に、有機溶剤を含有させてなることを特徴とする放射線硬化性組成物。
- 請求項1記載のポリエーテル変性ポリシロキサン化合物が0.5〜20重量部配合された放射線硬化性組成物をフィルム基材の表面に塗布し、その後硬化させて得られる表面コート層が設けられた前記フィルム基材を液晶部に具備するフラットパネルディスプレイ。
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