JP2010135010A - 記憶装置および潤滑剤移着量の算出方法 - Google Patents

記憶装置および潤滑剤移着量の算出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ヘッドスライダに対する潤滑剤の移着を抑制することができる記憶装置および潤滑剤移着量の計算方法を提供する。
【解決手段】媒体対向面34および記憶媒体14の表面には無数の空気分子53が存在する。潤滑剤の蒸発に基づき潤滑剤分子52は空気分子53と衝突する。潤滑剤分子52は弾き飛ばされる。空気分子53の働きで媒体対向面34への潤滑剤分子52の移着は抑制される。媒体対向面34および記憶媒体14の表面の間の気圧pが増大すれば、空気分子53の数は増大する。また、浮上量hが増大すれば、空気分子53の数は増大する。本発明では気圧pと浮上量hとの積phが所定値以上に設定されることから、潤滑剤の移着量は抑制される。その結果、ヘッドスライダ22は長期間にわたって安定的に浮上することができる。また、潤滑剤移着量の算出に空気分子53の存在を考慮することにより、潤滑剤分子52の移着量は高い精度で算出される。
【選択図】図6

Description

本発明は、表面に潤滑剤を保持する記憶媒体上を浮上するヘッドスライダを備える記憶装置に関する。
ハードディスク駆動装置(HDD)では、磁気情報の書き込み時や読み出し時に磁気ディスク上をヘッドスライダが浮上する。このとき、潤滑剤は例えば蒸発に基づきヘッドスライダの媒体対向面に移着する。移着した潤滑剤が媒体対向面で塊になると、潤滑剤の塊は磁気ディスクの表面に落下する。こうした塊はヘッドスライダとの接触を引き起こす。ヘッドクラッシュが発生してしまう。
特開平8−279120号公報 特開2003−109340号公報 特開2000−348303号公報 特開2006−196137号公報 特開平7−21717号公報 特開2002−175676号公報 Bruno Marchon, Tom Karis, Qing Dai and Remmelt Pit, "A Model for Lubricant Flow From Disk to Slider",IEEE Transactions on Magnetics,Vol.39,No.5, September 2003, p.2447-p.2449 Yansheng Ma and Bo Liu, "Lubricant transfer from disk to slider in hard disk drives", Applied Physics Letters, 90, 143516, 2007 Bo Zhang and Akira Nakajima, "Hydrodynamic Lubrication of Slider Air Bearings with the Pumping Effect", in Proc. Micromechatronics for Information and Precision Equipment, Santa Clara, CA, Jun. 2006
前述のように、磁気ディスクおよびヘッドスライダの間で潤滑剤が移動することは広く知られるものの、磁気ディスクからヘッドスライダへの潤滑剤の移着自体を抑制する方法についてはいずれの文献にも開示されていない。
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、ヘッドスライダに対する潤滑剤の移着を抑制することができる記憶装置および潤滑剤移着量の計算方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、記憶装置は、表面に潤滑剤を保持する記憶媒体と、前記記憶媒体との相対移動に基づき媒体対向面で前記記憶媒体の表面に向き合わせられるヘッドスライダとを備え、前記記憶媒体の表面および前記媒体対向面の間に規定される気圧p[atm]と、前記記憶媒体の表面から規定される前記媒体対向面の浮上量h[nm]との積ph[atm・nm]は、潤滑剤の分子量Mnに対して
Figure 2010135010
の数式を満たすことを特徴とする。
こうした記憶装置では、ヘッドスライダは媒体対向面で記憶媒体の表面に向き合う。媒体対向面および記憶媒体の表面には無数の空気分子が存在する。潤滑剤の蒸発に基づき記憶媒体から媒体対向面に向かう潤滑剤分子は空気分子と衝突する。潤滑剤分子は弾き飛ばされる。空気分子の働きで媒体対向面への潤滑剤分子の移着は抑制される。媒体対向面および記憶媒体の表面の間に規定される気圧pが増大すれば、空気分子の数は増大する。また、記憶媒体の表面からの媒体対向面の浮上量hが増大すれば、空気分子の数は増大する。本発明では、気圧pと浮上量hとの積phは数式に基づき所定値に設定される。その結果、潤滑剤分子の移着量が抑制される。こうしてヘッドスライダは長期間にわたって安定的に浮上することができる。しかも、気圧pや浮上量hが調整されればよいことから、潤滑剤分子の移着の抑制にあたってヘッドスライダに新たな部品は追加されなくて済む。追加の余計なコストは必要とされない。加えて、積phの算出にあたって空気分子の存在が考慮される。したがって、媒体対向面に対する潤滑剤分子の移着量は従来に比べて高い精度で算出される。
潤滑剤移着量の算出方法は、記憶媒体の表面およびヘッドスライダの媒体対向面の間に規定される気圧p[atm]と、前記記憶媒体の表面から規定される前記媒体対向面の浮上量h[nm]との積ph[atm・nm]に基づき前記媒体対向面に対する前記記憶媒体上の潤滑剤の移着量を算出することを特徴とする。こうした算出方法によれば、媒体対向面に対する潤滑剤分子の移着量は従来に比べて高い精度で算出される。
以上のように、記憶装置および潤滑剤移着量の計算方法は、ヘッドスライダに対する潤滑剤の移着を抑制することができる。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
図1は本発明に係る記憶装置の一具体例すなわちハードディスク駆動装置(HDD)11の内部構造を概略的に示す。このHDD11は筐体すなわちハウジング12を備える。ハウジング12は箱形のベース13およびカバー(図示されず)から構成される。ベース13は例えば平たい直方体の内部空間すなわち収容空間を区画する。ベース13は例えばAl(アルミニウム)といった金属材料から鋳造に基づき成形されればよい。カバーはベース13の開口に結合される。カバーとベース13との間で収容空間は密閉される。カバーは例えばプレス加工に基づき1枚の板材から成形されればよい。
収容空間には、記憶媒体としての1枚以上の磁気ディスク14が収容される。磁気ディスク14はスピンドルモータ15の回転軸に装着される。スピンドルモータ15は例えば5400rpmや7200rpm、10000rpm、15000rpmといった高速度で磁気ディスク14を回転させることができる。ここでは、例えば磁気ディスク14は垂直磁気記録ディスクに構成される。すなわち、磁気ディスク14上の記録磁性膜では磁化容易軸は磁気ディスク14の表面に直交する垂直方向に設定される。
収容空間にはキャリッジ16がさらに収容される。キャリッジ16はキャリッジブロック17を備える。キャリッジブロック17は、垂直方向に延びる支軸18に回転自在に連結される。キャリッジブロック17には、支軸18から水平方向に延びる複数のキャリッジアーム19が区画される。キャリッジブロック17は例えば押し出し成型に基づきAl(アルミニウム)から成型されればよい。
個々のキャリッジアーム19の先端にはヘッドサスペンション21が取り付けられる。ヘッドサスペンション21はキャリッジアーム19の先端から前方に延びる。ヘッドサスペンション21の先端にはフレキシャが張り合わせられる。フレキシャにはいわゆるジンバルばねが区画される。こうしたジンバルばねの働きで浮上ヘッドスライダ22はヘッドサスペンション21に対してその姿勢を変化させることができる。後述されるように、浮上ヘッドスライダ22にはヘッド素子すなわち電磁変換素子が搭載される。
磁気ディスク14の回転に基づき磁気ディスク14の表面で気流が生成されると、気流の働きで浮上ヘッドスライダ22には正圧すなわち浮力および負圧が作用する。浮力および負圧とヘッドサスペンション21の押し付け力とが釣り合うことで磁気ディスク14の回転中に比較的に高い剛性で浮上ヘッドスライダ22は浮上し続けることができる。
こういった浮上ヘッドスライダ22の浮上中にキャリッジ16が支軸18回りで回転すると、浮上ヘッドスライダ22は磁気ディスク14の半径線に沿って移動することができる。その結果、浮上ヘッドスライダ22上の電磁変換素子は最内周記録トラックと最外周記録トラックとの間でデータゾーンを横切ることができる。こうして浮上ヘッドスライダ22上の電磁変換素子は目標の記録トラック上に位置決めされる。
キャリッジブロック17には例えばボイスコイルモータ(VCM)23といった動力源が接続される。このVCM23の働きでキャリッジブロック17は支軸18回りで回転することができる。こうしたキャリッジブロック17の回転に基づきキャリッジアーム19およびヘッドサスペンション21の揺動は実現される。
図1から明らかなように、キャリッジブロック17上には、フレキシブルプリント基板ユニット24が配置される。フレキシブルプリント基板ユニット24は、フレキシブルプリント基板25に実装されるヘッドIC(集積回路)26を備える。ヘッドIC26は電磁変換素子の読み出し素子および書き込み素子に接続される。接続にあたってフレキシャ27が用いられる。フレキシャ27はフレキシブルプリント基板ユニット24に接続される。フレキシャ27は配線パターンを備える。配線パターンは浮上ヘッドスライダ22およびフレキシブルプリント基板25を相互に接続する。
磁気情報の読み出し時には、このヘッドIC26から電磁変換素子の読み出し素子に向けてセンス電流が供給される。読み出し素子には例えばCPP構造読み取り素子が用いられる。同様に、磁気情報の書き込み時には、ヘッドIC26から電磁変換素子の書き込み素子に向けて書き込み電流が供給される。書き込み素子には例えば単磁極ヘッド素子が用いられる。センス電流の電流値は特定の値に設定される。ヘッドIC26には、収容空間内に配置される小型の回路基板28や、ベース13の底板の裏側に取り付けられるプリント回路基板(図示されず)から電流が供給される。
図2は本発明の第1実施形態に係る浮上ヘッドスライダ22を示す。この浮上ヘッドスライダ22は、例えば平たい直方体に形成されるスライダ本体31を備える。スライダ本体31の空気流出側端面には非磁性膜すなわち素子内蔵膜32が積層される。この素子内蔵膜32に前述の電磁変換素子33が組み込まれる。スライダ本体31は例えばAl−TiC(アルチック)といった硬質の非磁性材料から形成されればよい。素子内蔵膜32は例えばAl(アルミナ)といった比較的に軟質の絶縁非磁性材料から形成されればよい。
浮上ヘッドスライダ22は媒体対向面すなわち浮上面34で磁気ディスク14に向き合う。浮上面34には平坦なベース面35すなわち基準面が規定される。磁気ディスク14が回転すると、スライダ本体31の前端から後端に向かって浮上面34には気流36が作用する。
浮上面34には、前述の気流36の上流側すなわち空気流入側でベース面35から立ち上がる1筋のフロントレール37が形成される。フロントレール37はベース面35の空気流入端に沿ってスライダ幅方向に延びる。同様に、浮上面34には、気流の下流側すなわち空気流出側でベース面35から立ち上がるリアセンターレール38が形成される。リアセンターレール38はスライダ幅方向の中央位置に配置される。リアセンターレール38はスライダ本体31から素子内蔵膜32まで延びる。
フロントレール37の頂上面にはいわゆる空気軸受け面(ABS)39が規定される。空気軸受け面39の空気流入端は段差41でフロントレール37のステップ面42に接続される。ステップ面42は空気軸受け面39より一段低いレベルで広がる。ステップ面42はフロントレール37の空気流入端側に規定される。空気軸受け面39はフロントレール37の空気流出端側に規定される。
同様に、リアセンターレール38の頂上面にはいわゆる空気軸受け面(ABS)43が規定される。空気軸受け面43の空気流入端は段差44でリアセンターレール38のステップ面45に接続される。ステップ面45は空気軸受け面43より一段低いレベルで広がる。ステップ面45はリアセンターレール38の空気流入端側に規定される。空気軸受け面43はリアセンターレール38の空気流出端側に規定される。
磁気ディスク14の回転に基づき生成される気流36は浮上面34に受け止められる。このとき、段差41、44の働きで空気軸受け面39、43には比較的に大きな正圧すなわち浮力が生成される。しかも、フロントレール37の後方すなわち背後には大きな負圧が生成される。これら浮力および負圧のバランスに基づき浮上ヘッドスライダ22の浮上姿勢は確立される。
図3を併せて参照し、リアセンターレール38は、浮上面34の空気流入端の中央位置および浮上面34の空気流出端の中央位置を結ぶ前後方向中心線L上に配置される。スライダ幅方向に規定されるリアセンターレール38の幅は前後方向中心線Lに沿って空気流入端から空気流出端まで等しく規定される。すなわち、リアセンターレール38の側面で規定されるリアセンターレール38の輪郭線は前後方向中心線Lに平行に延びる。
図4に示されるように、電磁変換素子33は読み出し素子47および書き込み素子48を備える。読み出し素子47および書き込み素子48の間には発熱体すなわちヒータ49が組み込まれる。ヒータ49は例えばW(タングステン)やTiW(チタンタングステン)といった電熱線で構成される。ヒータ49に電力が供給されると、ヒータ49は発熱する。ヒータ49の熱でヒータ49とともに読み出し素子47や書き込み素子48、素子内蔵膜32は熱膨張する。その結果、図5に示されるように、リアセンターレール38の頂上面で素子内蔵膜32やスライダ本体31は隆起する。いわゆる突き出しが形成される。電磁変換素子33は磁気ディスク14に向かって変位する。突き出しの突き出し量に応じて電磁変換素子33の浮上量hは決定される。
磁気ディスク14は表面に潤滑膜51を保持する。潤滑膜51の膜厚は例えば1nm程度に設定される。潤滑膜51は例えばパーフルオロポリエーテル(PFPE)といった潤滑剤から形成される。図6に示されるように、浮上ヘッドスライダ22の浮上面34および磁気ディスク14の表面の間には潤滑剤の蒸発に基づき潤滑剤分子52が存在する。その一方で、浮上面34および磁気ディスク14の表面の間には無数の空気分子53が存在する。ここでは、空気分子53にはN(窒素)分子とO(酸素)分子とが含まれる。潤滑剤分子52は浮上面34に到達するまでに空気分子53に衝突する。潤滑剤分子52は弾き飛ばされる。その結果、空気分子53は浮上面34への潤滑剤分子52の移着を妨げる。
ここで、発明者は浮上面34および磁気ディスク14の表面の間の潤滑剤分子52および空気分子53の挙動を解析した。解析にあたってDSMC(Direct Simulation Monte Carlo)法が用いられた。解析の実施にあたって第1〜第3モデルが設定された。第1、第2および第3モデルでは、潤滑剤分子52の分子量Mnはそれぞれ2510、4500および6500に設定された。潤滑剤分子52はいずれのモデルでも剛体球として想定された。その一方で、空気分子53中では、N(窒素)分子とO(酸素)分子との割合は例えば80[%]:20[%]に設定された。
DSMC法による解析の結果、図7に示されるように、浮上面34および磁気ディスク14の表面の間に規定される気圧p[atm]と浮上量h[nm]との積ph[atm・nm]に基づき、浮上面34への潤滑剤分子52の到達率αが規定されることが判明した。到達率αは、磁気ディスク14からの潤滑剤分子52の蒸発量の総量に対する浮上面34への潤滑剤分子52の移着量の割合で表される。10すなわち1は100[%]に相当する。いずれのモデルでも積phが増大するにつれて到達率αは減少した。したがって、浮上面34および磁気ディスク14の表面の間で気圧pや浮上量hが調整されると、浮上面34への潤滑剤分子52の到達率αを調整することができることが判明した。
ここで、気圧pが増大すると、浮上面34および磁気ディスク14の表面の間で空気分子53の数は増大する。したがって、気圧pが増大すると潤滑剤分子52は空気分子53に衝突しやすくなると考えられる。その結果、浮上面34への潤滑剤分子52の到達率αは減少する。浮上面34への潤滑剤分子52の移着は抑制される。その一方で、浮上量hが増大すると、浮上面34および磁気ディスク14の表面の間で空気分子53の数は増大する。したがって、浮上量hが増大すると潤滑剤分子52は空気分子53に衝突しやすくなると考えられる。こうして浮上面34への潤滑剤分子52の到達率αは減少する。その結果、浮上面34への潤滑剤分子52の移着は抑制される。
発明者はDSMC法による解析結果に基づき到達率αを定式化した。到達率αは以下の数式(1)で表される。なお、Cは定数項を示す。
Figure 2010135010
この数式(1)から、到達率αは、積phと所定の定数項Cとの和に反比例する関係を有することがわかる。積phが定数項Cに比べて小さく設定されると、到達率αは1に漸近する。その一方で、数式(1)から、積phが定数項Cに比べて大きいと、到達率αは積phに反比例することがわかる。積phすなわち気圧pや浮上量hが増大するにつれて到達率αは低減される。したがって、積phが定数項C以上に設定されることが、到達率αの低減にあたって重要であることが明らかになった。
ここで、前述の図7から明らかなように、積phが概ね10すなわち100[atm・nm]の値をとる点を境に曲線の傾きが著しく変化する。到達率αが最大値すなわち10をとる場合に第1〜第3モデルには漸近線Aが設定される。同様に、到達率αが最小値をとる場合、第1〜第3モデルにはそれぞれ漸近線A〜Aが設定される。このとき、漸近線Aと漸近線A〜Aとの間に交点n〜nが確立される。交点n〜nで到達率αの傾きが変化することから、交点n〜nの値は定数項Cに相当することがわかる。ここでは、定数項Cは分子量Mnに応じて変化する。交点nの定数項Cの値は103.2を示した。交点nの定数項Cの値は130.5を示した。交点nの定数項Cの値は154.7を示した。
このとき、分子量Mnと定数項Cとの関係が算出された。その結果、図8に示されるように、分子量Mnの増大に比例して定数項Cは増大することが判明した。分子量Mnおよび定数項Cの関係は1次関数で表される。この関係に基づき定数項Cは以下の数式(2)で表される。
Figure 2010135010
前述のように、積phは定数項C以上に設定されることが必要であることから、以下の数式(3)が導き出される。
Figure 2010135010
この数式(3)から図9に示す浮上量hおよび気圧pの関係が導き出される。図9の例では、潤滑剤分子52は例えば2510の分子量を有する場合が想定される。このとき、浮上量hおよび気圧pは斜線領域の範囲に設定される。浮上量hおよび気圧pは例えば空気軸受け面39、43で前述の範囲内に設定される。ここでは、浮上面34の全面にわたって浮上量hおよび気圧pが前述の範囲内に設定されればよい。本実施形態では、例えば突き出しの突き出し量の調整に基づき浮上量hが設定される。その他、例えば空気軸受け面43の形状に基づき気圧pが設定される。
以上のようなHDD11では、浮上面34および磁気ディスク14の表面の間で浮上量hおよび気圧pの積phは所定値以上に設定される。その結果、浮上面34への潤滑剤分子52の移着は抑制される。こうして浮上ヘッドスライダ22は長期間にわたって安定的に浮上することができる。しかも、浮上面34への潤滑剤分子52の移着の抑制にあたって浮上ヘッドスライダ22には新たな部品は追加されなくて済む。追加の余計なコストは必要とされない。また、積phの算出にあたって空気分子53の存在が考慮される。したがって、浮上面34に対する潤滑剤分子52の移着量は従来に比べて高い精度で算出される。
図10は本発明の第2実施形態に係る浮上ヘッドスライダ22aの構造を概略的に示す。この浮上ヘッドスライダ22aでは、リアセンターレール38は、前記方向中心線Lに沿って空気流入端から空気流出端に向かうにつれてスライダ幅方向に規定される幅を減少させる。図11を併せて参照し、リアセンターレール38の側面でリアセンターレール38の輪郭線が規定される。リアセンターレール38から空気流出端側に延びる輪郭線の延長線55a、55bは前後方向中心線Lに所定の交差角θで交差する。交差角θはスキュー角の最大角より大きく設定される。なお、輪郭線55a、55bの両方で同じ交差角θが設定されてもよく、異なる交差角θが設定されてもよい。なお、スキュー角は、前後方向中心線Lと磁気ディスク14のダウントラック方向との交差角で表される。その他、前述の浮上ヘッドスライダ22と均等な構成や構造には同一の参照符号が付される。
こうした浮上ヘッドスライダ22aによれば、磁気ディスク14上で浮上ヘッドスライダ22aがいずれの半径方向位置に配置されても、リアセンターレール38に向かって流入する気流36は必ずステップ面45および空気軸受け面43に作用する。すなわち、ベース面35およびステップ面45の間の段差と、ステップ面45および空気軸受け面43の間の段差との両方を経由して気流36は空気軸受け面43に作用する。その結果、磁気ディスク14上のいずれの半径方向位置でも空気軸受け面43で十分に大きな正圧すなわち浮力が生成される。こうして浮上面34すなわち空気軸受け面43および磁気ディスク14の表面の間で大きな気圧pが生成される。浮上面34に対して潤滑剤分子52の移着は抑制される。
(付記1) 表面に潤滑剤を保持する記憶媒体と、
前記記憶媒体との相対移動に基づき媒体対向面で前記記憶媒体の表面に向き合わせられるヘッドスライダとを備え、
前記記憶媒体の表面および前記媒体対向面の間に規定される気圧p[atm]と、前記記憶媒体の表面から規定される前記媒体対向面の浮上量h[nm]との積ph[atm・nm]は、潤滑剤の分子量Mnに対して
Figure 2010135010
の数式を満たすことを特徴とする記憶装置。
(付記2) 付記1に記載の記憶装置において、前記積phは前記ヘッドスライダの媒体対向面の全面にわたって前記数式を満たすことを特徴とする記憶装置。
(付記3) 記憶媒体の表面およびヘッドスライダの媒体対向面の間に規定される気圧p[atm]と、前記記憶媒体の表面から規定される前記媒体対向面の浮上量h[nm]との積ph[atm・nm]に基づき前記媒体対向面に対する前記記憶媒体上の潤滑剤の移着量を算出することを特徴とする潤滑剤移着量の算出方法。
(付記4) 付記3に記載の潤滑剤移着量の算出方法において、潤滑剤の蒸発量の総量に対する前記移着量の比率αは、定数項Cが設定される場合に
Figure 2010135010
の数式を満たすことを特徴とする潤滑剤移着量の算出方法。
(付記5) 付記4に記載の潤滑剤移着量の算出方法において、前記定数項Cは、潤滑剤の分子量Mnに対して
Figure 2010135010
の数式に基づき算出されることを特徴とする潤滑剤移着量の算出方法。
(付記6) 媒体対向面を規定するスライダ本体と、
前記媒体対向面の空気流出端側に形成されて、空気流入端から空気流出端に向かうにつれて前記スライダ本体の幅方向に規定される幅を減少させるリアレールと、
前記リアレール上で前記リアレールの空気流入端側に規定されるステップ面と、
前記リアレール上で前記リアレールの空気流出端側に規定されて、前記ステップ面に段差で接続される空気軸受け面とを備え、
前記リアレールの側面で規定される前記リアレールの輪郭線の延長線と前記スライダ本体の前後方向中心線との交差角はスキュー角の最大角より大きいことを特徴とするヘッドスライダ。
本発明に係る記憶装置の一具体例すなわちハードディスク駆動装置(HDD)の内部構造を概略的に示す平面図である。 本発明の一具体例に係る浮上ヘッドスライダを概略的に示す拡大斜視図である。 一具体例に係る浮上ヘッドスライダを概略的に示す拡大平面図である。 突き出しの非形成時における浮上ヘッドスライダの浮上姿勢を示す断面図である。 突き出しの形成時における浮上ヘッドスライダの浮上姿勢を示す断面図である。 媒体対向面および磁気ディスクの表面の間の潤滑剤分子および空気分子の挙動を示す断面図である。 到達率と気圧および浮上量の積との関係を示すグラフである。 定数項と潤滑剤分子の分子量との関係を示すグラフである。 浮上量と気圧との関係を示すグラフである。 本発明の他の具体例に係る浮上ヘッドスライダを概略的に示す拡大斜視図である。 本発明の他の具体例に係る浮上ヘッドスライダを概略的に示す拡大平面図である。
符号の説明
11 記憶装置(ハードディスク駆動装置)、14 記憶媒体(磁気ディスク)、22 ヘッドスライダ(浮上ヘッドスライダ)、31 スライダ本体、34 媒体対向面(浮上面)、38 リアレール(リアセンターレール)、43 空気軸受け面、44 段差、45 ステップ面、52 潤滑剤(潤滑剤分子)、55a、55b 延長線。

Claims (5)

  1. 表面に潤滑剤を保持する記憶媒体と、
    前記記憶媒体との相対移動に基づき媒体対向面で前記記憶媒体の表面に向き合わせられるヘッドスライダとを備え、
    前記記憶媒体の表面および前記媒体対向面の間に規定される気圧p[atm]と、前記記憶媒体の表面から規定される前記媒体対向面の浮上量h[nm]との積ph[atm・nm]は、潤滑剤の分子量Mnに対して
    Figure 2010135010
    の数式を満たすことを特徴とする記憶装置。
  2. 請求項1に記載の記憶装置において、前記積phは前記ヘッドスライダの媒体対向面の全面にわたって前記数式を満たすことを特徴とする記憶装置。
  3. 記憶媒体の表面およびヘッドスライダの媒体対向面の間に規定される気圧p[atm]と、前記記憶媒体の表面から規定される前記媒体対向面の浮上量h[nm]との積ph[atm・nm]に基づき前記媒体対向面に対する前記記憶媒体上の潤滑剤の移着量を算出することを特徴とする潤滑剤移着量の算出方法。
  4. 請求項3に記載の潤滑剤移着量の算出方法において、潤滑剤の蒸発量の総量に対する前記移着量の比率αは、定数項Cが設定される場合に
    Figure 2010135010
    の数式を満たすことを特徴とする潤滑剤移着量の算出方法。
  5. 請求項4に記載の潤滑剤移着量の算出方法において、前記定数項Cは潤滑剤の分子量Mnに対して
    Figure 2010135010
    の数式に基づき算出されることを特徴とする潤滑剤移着量の算出方法。
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