JP2010121050A - コア−シェル構造粒子、組成物、誘電体組成物およびキャパシタ - Google Patents

コア−シェル構造粒子、組成物、誘電体組成物およびキャパシタ Download PDF

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Abstract

【課題】電極材料との接着力が大きく、且つ膜強度が大きい誘電体組成物を構成するコア−シェル構造粒子、これを用いた組成物、誘電体組成物及びキャパシタを提供する。
【解決手段】ペロブスカイト系結晶構造を有する高誘電率無機粒子を含有するコアと、(a)重合性基を有する樹脂を含有するシェルを有するコア−シェル構造粒子であって、シェルの平均厚さが1nm以上50nm以下であるコア−シェル構造粒子。
【選択図】 図1

Description

本発明は、コア−シェル構造粒子に関する。より詳しくは、本発明は誘電体組成物に好適に用いられるコア−シェル構造粒子、これを溶剤もしくは樹脂溶液に分散させたペースト組成物および、これを用いて得られる誘電体組成物、キャパシタに関する。
実装基板に内蔵するキャパシタ用の誘電体組成物を作製する方法として、高誘電率無機粒子を樹脂中に分散したペースト組成物を塗布、乾燥、硬化させるという方法が知られている(例えば、特許文献1〜2参照)。しかしながら、単に高誘電率無機粒子を樹脂中に分散した組成物では高誘電率無機粒子の凝集により空隙が発生し、誘電体組成物として十分な膜強度を得ることが困難であり、電極材料との接着力が不十分であるという課題があった。
特開2005−38821号公報(特許請求の範囲) 特開2004−285105号公報(特許請求の範囲)
本発明は、電極材料との接着力が大きく、且つ膜強度が大きい誘電体組成物を構成するコア−シェル構造粒子、これを用いた組成物、誘電体組成物及びキャパシタを提供することを目的とする。
すなわち本発明は、ペロブスカイト系結晶構造を有する高誘電率無機粒子を含有するコアと、(a)重合性基を有する樹脂を含有するシェルを有するコア−シェル構造粒子であって、シェルの平均厚さが1nm以上50nm以下であるコア−シェル構造粒子である。
本発明のコア−シェル構造粒子を用いることにより、比誘電率が大きく、かつ電極材料との接着力や膜強度が大きい誘電体組成物を得ることができる。
本発明のコア−シェル構造粒子は、コアと、コアの少なくとも一部を被覆するシェルを有するもので、コアがペロブスカイト系結晶構造を有する高誘電率無機粒子からなり、シェルが(a)重合性基を有する樹脂(以下、「シェル樹脂」という)からなる有機無機複合粒子である。予め高誘電率無機粒子表面を樹脂層で被膜しておくことで、高誘電率無機粒子が分散した組成物を作製する際に、高誘電率無機粒子の凝集を防ぐことができる。その結果、組成物を硬化させる際に、粒子の分散性不良による空隙の発生を抑えることができ、特に高誘電率無機粒子高充填時においても強度の高い膜を得ることができる。また、コアが電極材料と接触することがないため、電極材料との接着力に優れた誘電体組成物を得ることができる。
また、シェル樹脂の有する重合性基は硬化時に重合させることができるため、さらに強度の高い膜を得ることができる。さらに、シェルの平均厚さが1nm以上50nm以下であることで、シェル樹脂の有する重合性基の反応性を最適なものとすることができる。
本発明のコア−シェル構造粒子において、シェル樹脂は、少なくとも二種類以上の重合性基を有する化合物をコア表面で重合させることで形成される。重合性基としては炭素−炭素二重結合、アクリル基、ビニル基、エポキシ基、オキセタン基などの付加重合性のものや、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基などの縮合重合性のものが挙げられる。
少なくとも二種類以上の重合性基を有する化合物は、シェル形成時にある重合性基が消費されても他の種類の重合性基が消費されずに残る。この残存した重合性基が、ペースト組成物中で重合・硬化すると、得られる膜の強度が向上する。
このように、シェル形成時に一部の重合性基のみを反応させるためには、少なくとも二種類以上の重合性基を有する化合物は、上記の中でも反応性の異なる二種類以上の重合性基を有していることが好ましい。例えば、付加重合性の重合性基と縮合重合性の重合性基を有していること、ラジカル重合性の重合性基とカチオンまたはアニオン重合性の重合性基を有していること、光重合性の重合性基と熱重合性の重合性基を有していることなどが挙げられる。また、重合開始温度に差のある複数の熱重合性の重合性基を有していることも好ましい。中でも、炭素−炭素二重結合、アクリル基およびビニル基からなる群より選ばれる一種以上の重合性基と、エポキシ基および/またはオキセタン基を有していることが特に好ましい。
このような化合物の具体例としては、グリシジルメタクリレート、2−イソシアナトエチルアクリレート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、2−(2−イソシアナトエチルオキシ)エチルメタクリラート、メタクリル酸などが挙げられる。これらの中でも、実装基板用樹脂として広く用いられているエポキシ樹脂と同じ反応基をもったグリシジルメタクリレートが好ましく用いられる。グリシジルメタクリレートの不飽和結合は光や熱を利用したラジカル反応により容易に重合するため、コア粒子表面にモノマーを偏在させて重合することでシェル化することができる。シェル化した後も重合性基としてエポキシ基が残存するため、硬化剤と混ぜ合わせた後に、熱処理などによりシェル樹脂を反応させて単一のポリマーネットワークを形成することができる。
本発明のコア−シェル構造粒子のシェルはコアを完全に被膜することが好ましいが、コア−シェル構造粒子をマトリックス樹脂に分散し、ポリマーネットワークを完成させた状態で十分な強度が得られる範囲であれば、必ずしもコアを完全に被膜していなくてもよい。
本発明のコア−シェル構造粒子のシェルの平均厚さは1nm以上50nm以下である。シェル樹脂の平均厚さが50nm以下であれば硬化剤との反応率が向上し、誘電体組成物中のシェル樹脂の未反応重合性基量が減少することとなり、誘電体組成物の膜強度を高めることができる。また、高誘電率無機粒子の高充填が可能となり、比誘電率が高い誘電体組成物を得ることができる。より好ましくは30nm以下である。シェルの平均厚さが1nm以上であればコア−シェル構造粒子を含有する組成物作製時でのシェル樹脂の膨潤を抑え、組成物中においてコア−シェル構造を維持することができ、誘電体組成物の膜強度を高めることができる。より好ましくは10nm以上である。シェルの平均厚さが50nmよりも大きくなると、シェル樹脂と硬化剤との反応率が低下し、誘電体組成物中のシェル樹脂の未反応重合性基量が増加する。その結果誘電体組成物の膜強度が低下するため好ましくない。
なお、本発明においてシェルの平均厚さとは、以下のようにして得られた値をいう。すなわち、作製したコア−シェル構造粒子のTEM(透過型電子顕微鏡)観察を行い、得られたTEM写真から、測定対象としたいコア−シェル構造粒子について10箇所のシェルの厚さを測定し、最大値と最小値を除いた8つの値の平均値をシェル層の平均厚さとする。なお、複数のコア−シェル構造粒子のシェル部分が接触している場合は、接触している領域については測定点には含めないものとする。
本発明のコア−シェル構造粒子は、コアがペロブスカイト系結晶構造を有する高誘電率無機粒子を含有する。ペロブスカイト系結晶構造を有する高誘電率無機粒子とは、ペロブスカイト型結晶構造、あるいは複合ペロブスカイト型結晶構造を有する、比誘電率が50以上の無機粒子のことである。このような無機粒子として、例えばチタン酸バリウム系、チタン酸ジルコン酸バリウム系、チタン酸ストロンチウム系、チタン酸カルシウム系、チタン酸ビスマス系、チタン酸マグネシウム系、チタン酸バリウムネオジム系、チタン酸バリウム錫系、マグネシウムニオブ酸バリウム系、マグネシウムタンタル酸バリウム系、チタン酸鉛系、ジルコン酸鉛系、チタン酸ジルコン酸鉛系、ニオブ酸鉛系、マグネシウムニオブ酸鉛系、ニッケルニオブ酸鉛系、タングステン酸鉛系、タングステン酸カルシウム系、マグネシウムタングステン酸鉛系、二酸化チタン系などの無機粒子を挙げることができる。チタン酸バリウム系とは、チタン酸バリウム結晶内の一部の元素を他の元素で置換したり、結晶構造内に他の元素を侵入させたりしたチタン酸バリウムを母材とする固溶体を含めた総称である。その他のチタン酸ジルコン酸バリウム系、チタン酸ストロンチウム系、チタン酸カルシウム系、チタン酸ビスマス系、チタン酸マグネシウム系、チタン酸バリウムネオジム系、チタン酸バリウム錫系、マグネシウムニオブ酸バリウム系、マグネシウムタンタル酸バリウム系、チタン酸鉛系、ジルコン酸鉛系、チタン酸ジルコン酸鉛系、ニオブ酸鉛系、マグネシウムニオブ酸鉛系、ニッケルニオブ酸鉛系、タングステン酸鉛系、タングステン酸カルシウム系、マグネシウムタングステン酸鉛系もいずれも同様で、それぞれを母材とする固溶体を含めた総称である。
なお、ペロブスカイト型結晶構造、あるいは複合ペロブスカイト型結晶構造を有する高誘電率無機粒子は、これらのうち1種を単独で用いたり、2種以上を用いたりすることができる。より大きい誘電率を有する誘電体組成物を得る場合には、商業的利便性との両立の点から、主としてチタン酸バリウムからなる化合物を用いることが好ましい。但し、誘電特性や温度安定性を向上させる目的で、シフター、デプレッサー剤などを少量含有してもよい。
ペロブスカイト系結晶構造を有する高誘電率無機粒子は、比誘電率が50〜30000であることが好ましい。比誘電率が50以上である高誘電率無機粒子を用いると、得られる誘電体組成物の比誘電率を十分大きくすることができる。また、高誘電率無機粒子の比誘電率が30000以下であると、得られる誘電体組成物の比誘電率の温度依存性を容易に小さくすることができる。ここでいうペロブスカイト系結晶構造を有する高誘電率無機粒子の比誘電率とは、ペロブスカイト系結晶構造を有する高誘電率無機粒子を原料粉末として、加熱、焼成して得られる焼結体の比誘電率をさす。ペロブスカイト系結晶構造を有する高誘電率無機粒子の比誘電率は、例えば以下の手順によって測定する。高誘電率無機粒子とポリビニルアルコールのようなバインダー樹脂、有機溶剤もしくは水を混合して、ペースト組成物を作製したのち、ペレット成型器の中に充填して、乾燥させ、ペレット状固形物を得る。そのペレット状固形物を、例えば900〜1200℃程度で焼成することにより、バインダー樹脂を分解、除去し、ペロブスカイト系結晶構造を有する高誘電率無機粒子を焼結させ、無機成分のみからなる焼結体を得ることができる。このとき、焼結体の空隙は十分小さく、理論密度と実測密度から計算した空隙率が1%以下となっていることが必要である。この焼結体ペレットに上下電極を形成し、静電容量および寸法の測定結果から、比誘電率を計算する。
ペロブスカイト系結晶構造を有する高誘電率無機粒子の作製方法としては、固相反応法、水熱合成法、超臨界水熱合成法、ゾルゲル法、しゅう酸塩法、アルコキシド法などの方法が挙げられる。粒子径が小さく大きさが揃ったペロブスカイト系結晶構造を有する高誘電率無機粒子の作製が容易であるという理由から、水熱合成法、超臨界水熱合成法、ゾルゲル法のいずれかを用いることが好ましい。
ペロブスカイト系結晶構造を有する高誘電率無機粒子の粒子径は特に限定されないが、0.05μm以上であることや、1μm以下であることが好ましい。高誘電率無機粒子の粒子径が0.05μm以上であると、高誘電率無機粒子の比誘電率を大きくしやすい。高誘電率無機粒子の粒子径が1μm以下であると、コア−シェル構造粒子の比表面積が大きくなり、その結果シェル−マトリックス樹脂間のネットワークが多く形成され、膜強度が向上するとともに、キャパシタの静電容量を十分大きくできるように誘電体組成物の膜厚を薄くすることができる。
ペロブスカイト系結晶構造を有する高誘電率無機粒子の形状は、球状、略球状、楕円球状、針状、板状、鱗片状、棒状、立方体(サイコロ)状などが挙げられるが、特に、球形あるいは略球形であることが好ましい。球状あるいは略球状のペロブスカイト系結晶構造を有する高誘電率無機粒子は、比表面積が小さいために充填時に高誘電率無機粒子の凝集や樹脂流動性低下などを生じにくいからである。これらのうち1種を単独で用いたり、2種以上を用いることができる。また高誘電率無機粒子は水系溶媒中での界面活性剤分子の吸着を強めるためにシランカップリング剤などで疎水化処理されていることが好ましい。
シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどが挙げられる。
コア−シェル構造粒子の製造方法は特に限定されないが、以下のような方法により製造することができる。界面活性剤を含む水系溶剤中にペロブスカイト系結晶構造を有する高誘電率無機粒子を分散させる。界面活性剤としては、脂肪酸ナトリウム、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩などの陰イオン性界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩などの陽イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルモノグリセリルエーテルなどの非イオン性界面活性剤が挙げられ、中でもラウリル硫酸ナトリウムが好ましく、これらを2種以上含有してもよい。また、水系溶剤としては水、メタノール、エタノールなどが例として挙げられ、中でもコア粒子表面への界面活性剤分子の吸着力の観点から水が好ましい。また、これらを2種以上含有してもよい。分散方法は超音波、ホモジナイザー、ボールミル、その他のメディア分散機などを用いることで効率的に行うことができる。なお、メタノールやエタノールを用いた場合には、粒子が沈降していることがあるが、このような場合でもそのまま以下の工程に進むことが可能である。
次に、これによって得られる分散液と、少なくとも二種類以上の重合性基を有する化合物を混合する。重合性基を有する化合物は溶剤に溶解していてもよい。この時に用いられる溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが例として挙げられる。
その後、重合性基を有する化合物を重合させて高誘電率無機粒子表面にシェル層を形成する。重合方法は、重合させるべき重合性基の種類によって異なる。例えば、エポキシ基やイソシアネート基を重合させる場合は、熱重合させることが好ましい。一方、不飽和結合含有基を重合させる場合は、熱重合もしくは光重合させることが好ましい。
エポキシ基やイソシアネート基を重合させる場合は、予め硬化剤や硬化促進剤を混合しておくことが好ましい。これらは、重合性基を有する化合物の溶液に混合させた状態で添加してもよいし、重合性基を有する化合物の溶液とは別に用意して添加してもよい。重合性基がエポキシ基であれば一般にエポキシ樹脂に使用されている硬化剤を挙げることができ、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤などが例示される。また、これらの硬化剤を2種以上含有してもよい。また、重合性基がイソシアネート基であれば一般にアルコール系やアミン系の物質などが挙げられる。さらに、硬化剤とともに、または硬化剤を伴わずに硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、トリフェニルホスフィン、トリス(2,4−ペンタジオナト)コバルトなどの金属キレート化合物などが挙げられる。
不飽和結合含有基を重合させる場合は、重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤は、重合性基を有する化合物の溶液に混合させた状態で添加してもよいし、重合性基を有する化合物の溶液とは別に用意して添加してもよい。重合開始剤としては、加熱によりラジカルを発生する熱重合開始剤や、光によりラジカルを発生する光重合開始剤が好ましく用いられる。熱重合開始剤の例としては、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物や、過酸化ベンゾイルなどの有機過酸化物などが挙げられる。また、光重合開始剤の例としては、オキシム系、イミダゾール系、クマリン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系などが挙げられる。
樹脂形成時にエポキシ基やイソシアネート基の熱重合を行うと、反応熱により不飽和結合含有基の一部が反応してしまい、これを防ぐためにラジカル重合禁止剤などの添加が必要となる場合がある。そのため、これらのうちでも、樹脂形成時には不飽和結合含有基を重合させ、エポキシ基やイソシアネート基などの重合性基を残すことが好ましい。
重合温度を低くすることはコア−シェル構造粒子のシェル樹脂の溶融を抑制し、コア−シェル構造粒子の凝集を防ぐことができるので好ましい。一方、重合温度が低すぎると重合が十分に進まないおそれがある。したがって、重合温度は、重合を十分に進めることができ、かつコア−シェル構造粒子の凝集を防げる範囲に調整することが好ましい。重合開始剤を用いている場合には、重合開始剤の開始温度付近とすることが好ましい。
シェルが形成されてできたコア−シェル構造粒子分散液をエタノールなどの両性溶媒中と混合すると、コア−シェル構造粒子が沈殿する。この沈殿を濾過することでコア−シェル構造粒子を分離して得ることができる。なお、コア−シェル構造粒子の製造をメタノールまたはエタノール中で行った場合には、前記の通り当初から沈降していることがあるが、この場合は、反応液をそのまま濾過すればよい。
シェルの厚さは、ペロブスカイト系結晶構造を有する高誘電率無機粒子と少なくとも二種類以上の重合性基を有する化合物の混合割合によって調整することができる。一般に、少なくとも二種類以上の重合性基を有する化合物の含有割合が大きいほど、シェルの厚さが厚くなる傾向にある。また、反応温度を使用する開始剤や硬化剤の反応開始温度付近とすることで各コア−シェル構造粒子のシェルの厚さを均一にすることができる。
次に、本発明のコア−シェル構造粒子と、(b)シェル層の重合性基と反応しうる化合物を有する組成物について説明する。本発明の組成物は、(b)シェル層の重合性基と反応しうる化合物がコア−シェル構造粒子中のシェル樹脂に含まれる重合性基と反応して重合させることができるため、強度の高い膜を形成するための材料として好適に用いられる。
ここで、(b)シェル層の重合性基と反応しうる化合物とは、シェル樹脂に含まれる重合性基が不飽和結合含有基である場合には熱重合開始剤または光重合開始剤を、シェル樹脂に含まれる重合性基がエポキシ基、イソシアネート基等である場合は硬化剤を示す。熱重合開始剤、光重合開始剤、硬化剤の例としては、上記と同様のものが挙げられる。
中でも、本発明のコア−シェル構造粒子はエポキシ基やイソシアネート基などの重合性基を有していることが好ましいため、本発明の組成物は、これらの基と反応しうる硬化剤を有していることが好ましい。
本発明の組成物は、シェルの平均厚さが1nm以上50nm以下であるコア−シェル構造粒子のみを有していなければならないわけではない。例えば、前記の本発明のコア−シェル構造粒子の製造方法により、シェル厚みをほぼ均一に調整した場合であっても、シェルの平均厚さが1nm未満または50nmを越えるコア−シェル構造粒子が部分的に生じることはあり得る。しかし、こうした場合、通常その生成量は微量であるため、得られたコア−シェル構造粒子をそのまま組成物の製造に用いても問題ない。より一般的には、コア−シェル構造粒子の全量のうちシェルの平均厚さが1nm以上50nm以下であるコア−シェル構造粒子を90重量%以上含んでいるか、または組成物中のコア−シェル構造粒子のTEM観察を行い、得られたTEM写真から、無作為に100個のコア−シェル構造粒子を選択し、各粒子について10箇所のシェルの厚さを測定し、各粒子について最大値と最小値を除外した8つの値をすべて集めたときの、全800箇所の測定結果の平均が1〜50nmの範囲に入る場合には、許容される。
本発明の組成物は、さらに必要に応じて、安定化剤、分散剤、沈降防止剤、可塑剤、酸化防止剤などを含有してもよい。
本発明の組成物は、さらに(c)マトリックス樹脂を有していてもよい。マトリックス樹脂を添加することにより、作製したペースト組成物の流動性が向上するとともに、誘電体組成物に耐熱性、耐薬品性、感光性などの特性を付与することができる。(c)マトリックス樹脂は特に限定されないが、熱硬化性樹脂が好ましい。例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シロキサン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミック酸などのポリイミド前駆体樹脂、アクリル樹脂、シアネート樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂などを挙げることができる。コア−シェル構造粒子の分散性の観点から、エポキシ樹脂が好ましく用いられる。ここで、エポキシ樹脂とは、分子構造中にエポキシ基(オキシラン環)を2個以上含むプレポリマーを有する樹脂である。また、マトリックス樹脂が重合性基を有していると硬化剤の働きによりシェル−マトリックス樹脂間にポリマーネットワークが形成され、膜強度が高まるため好ましい。重合性基を有する樹脂としてはエポキシ樹脂、シアネート樹脂などが挙げられる。
本発明の組成物を用いて作製した誘電体組成物中の高誘電率無機粒子の含有率は50重量%以上90重量%以下であることが好ましい。誘電体組成物中の高誘電率無機粒子の含有率が50重量%以上であると、キャパシタ用の誘電体組成物として用いるのに比誘電率が十分大きくなりやすく好ましい。誘電体組成物中の高誘電率無機粒子の含有率が90重量%以下であると、誘電体組成物の膜強度が大きくなりやすく好ましい。
誘電体組成物中の(c)マトリックス樹脂の含有量は40重量%以下が好ましい。誘電体組成物中の(c)マトリックス樹脂の含有量が40重量%以下であると、キャパシタ用の誘電体組成物として用いるのに比誘電率が十分大きくなりやすく好ましい。
本発明の組成物は、ペースト状でもよいし、いわゆるシート状であってもよい。ペースト組成物として用いる場合は、コア−シェル構造粒子と(b)シェル層の重合性基と反応する化合物とを溶剤もしくはマトリックス樹脂溶液と混合し分散させることで、ペースト組成物を得ることができる。溶剤もしくは(c)マトリックス樹脂もしくはマトリックス樹脂溶液へコア−シェル構造粒子を分散させる方法は特に限定されず、例えば、超音波分散、ボールミル、ロールミル、クレアミックス、ホモジナイザー、メディア分散機などの方法を用いることができるが、特に、分散性の点でボールミル、ホモジナイザーを用いることが好ましい。
シェル樹脂やマトリックス樹脂溶液に用いる溶剤としては、樹脂を溶解するものを適宜選択すればよい。例えば、エタノール、i−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、イソブチルアルコール、メトキシメチルブタノールなどのアルコール類、クロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のセロソルブエステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールエステル類、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、アニソールなどのエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどのケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、テトラヒドロフラン、イソホロン、トリクロロエチレン、乳酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどを挙げることができ、これらを2種以上含有してもよい。
また、このようにして得られたペースト組成物を基材上に塗布し、乾燥させることで、組成物をシート状に形成することができる。このシートは、溶剤が揮発した未硬化シートであり、いわゆるBステージシートである。基材は、金属、ガラス、セラミックス、樹脂などシートを支持することができるものであれば何でもよく、公知の材料を用いることができる。また、Bステージシートとして用いる場合は、表面保護のため離型フィルムを有していてもよい。離型フィルムは、PET等のポリエチレン性フィルムなど公知のものが用いられる。
次に、本発明のキャパシタについて説明する。本発明のキャパシタは、電極間に本発明の組成物を硬化させて得られる誘電体組成物が存在してなるものである。
上部電極および下部電極は金属箔が好ましく、銅、アルミニウム、金、銀、ステンレス、ニッケル、クロムなどが挙げられる。これらの中でも、銅または銅を含む合金を好ましく用いることができる。その他、上部電極および/または下部電極にはメッキ、蒸着やスパッタリング法などで形成した銅、アルミニウム、金、銀、ステンレス、ニッケル、クロムなどを含む金属層や導電性粒子を樹脂に分散させた導電性ペーストなども用いることができる。
本発明のキャパシタを得る方法として、例えば以下のような方法がある。まず、ペースト組成物を作製し、そのペースト組成物を基板上に形成された電極上に塗布し、加熱などにより脱溶剤する。続いて、金属箔や電極が形成された基板をラミネートし、樹脂重合のための熱処理を行い、キャパシタを形成する。
基板としてはシリコンウェハ、セラミックス類、ガリウムヒ素、有機系回路基板、無機系回路基板、およびこれらの基板に回路の構成材料が配置されたが挙げられるが、これらに限定されない。有機系回路基板の例としては、ガラス布・エポキシ銅張積層板などのガラス基材銅張積層板、ガラス不織布・エポキシ銅張積層板などのコンポジット銅張積層板、ポリエーテルイミド樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリサルフォン系樹脂基板などの耐熱・熱可塑性基板、ポリエステル銅張フィルム基板、ポリイミド銅張フィルム基板などのフレキシブル基板が挙げられる。また、無機系回路基板の例は、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ素基板などのセラミック基板、アルミニウムベース基板、鉄ベース基板などの金属系基板が挙げられる。
また、金属箔付きBステージシートを電極が形成された基板に貼り合わせ、熱処理により硬化させることでキャパシタを得ることもできる。金属箔付きBステージシートは、あらかじめ別の基材上に形成したBステージシートに金属箔をラミネートし、基材を剥離することで得られる。あるいは、直接金属箔上にペースト組成物を塗布、乾燥してBステージシートを形成してもよい。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中のコア−シェル構造粒子および誘電体組成物の評価は以下の方法により行った。各実施例および比較例で用いた材料および評価方法は以下の通りである。
<無機粒子>
“BTO−150−S02” 商品名:チタン酸バリウム、戸田工業株式会社製、平均粒子径0.15μm
“BT−01” 商品名:チタン酸バリウム、堺化学工業株式会社製、平均1次粒子径0.1μm
“BT−02” 商品名:チタン酸バリウム、堺化学工業株式会社製、平均1次粒子径200nm
“BT−05” 商品名:チタン酸バリウム、堺化学工業株式会社製、平均1次粒子径0.5μm
“BT−07” 商品名:チタン酸バリウム、堺化学工業株式会社製、平均1次粒子径0.7μm。
<シェル樹脂原料>
“ライトエステルG” 商品名:グリシジルメタクリレート、共栄社化学株式会社製
“カレンズAOI” 商品名:2−イソシアナトエチルアクリレート、昭和電工株式会社製
“ライトエステルA” 商品名:メタクリル酸、共栄社化学株式会社製
“ライトエステルE” 商品名:エチルメタクリレート、共栄社化学株式会社製
“ライトエステルIB”商品名:イソブチルメタクリレート、共栄社化学株式会社製
<硬化剤>
“2PZ” 商品名:イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤、四国化成工業株式会社製
“1B2PZ” 商品名:イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤、四国化成工業株式会社製
“2E4MZ” 商品名:イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤、四国化成工業株式会社製
“リカシッドMH” 商品名:酸無水物系エポキシ樹脂硬化剤、新日本理化株式会社製
“3075W” 商品名:アミン系エポキシ樹脂硬化剤、ジャパンエポキシレジン株式会社製
“3160S” 商品名:アミン系エポキシ樹脂硬化剤、ジャパンエポキシレジン株式会社製。
<マトリックス樹脂>
“エピコート828” 商品名:エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン株式会社製。
“PW−1000” 商品名:ポリイミドコーティング剤、東レ株式会社製、固形分40wt%。
“PW−1200” 商品名:ポリイミドコーティング剤、東レ株式会社製、固形分40wt%。
“PW−2100” 商品名:ポリイミドコーティング剤、東レ株式会社製、固形分40wt%。
“PW−3000” 商品名:ポリイミドコーティング剤、東レ株式会社製、固形分40wt%。
“エピコート4004P” 商品名:エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン株式会社製
“エピコート1256” 商品名:エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン株式会社製
“エピコート152” 商品名:エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン株式会社製
“エピクロン1055” 商品名:エポキシ樹脂、DIC株式会社製
“エピクロン7050” 商品名:エポキシ樹脂、DIC株式会社製
“エピクロン2050” 商品名:エポキシ樹脂、DIC株式会社製。
<シェルの平均厚さの測定>
作製したコア−シェル構造粒子をH−7100FA((株)日立製作所製)を用いてTEM観察を行い、得られたTEM写真から測定対象としたいコア−シェル構造粒子について10箇所のシェルの厚さを測定し、最大値と最小値を除いた8つの値の平均値をシェルの平均厚さとした。なお、粒子同士がシェル樹脂を介して接触している場合には、接触している部分については測定個所には含めなかった。
<誘電特性>
測定用電極は直径10mmの円形パターンとした。測定対象領域の1MHzにおける静電容量をインピーダンスアナライザ4294Aおよびサンプルホルダー16451B(共にアジレントテクノロジー社製)を用いて、JIS K 6911(2006)に準じて誘電体組成物の比誘電率を測定した。
<ピール強度>
銅箔付きBステージ誘電体シートの誘電体シート側の面を銅箔貼りFR−4基板に貼り合わせ、175℃で1時間加熱しながらプレスした後、銅箔上にレジストパターンを形成し、塩化第2鉄溶液で銅箔をエッチング後、レジストを除去して2mm幅の銅パターンを形成した。この2mm幅の銅箔層の端を少し剥がし、該端部を“テンシロン”UTM−4−100(TOYO-BOLDWIN社製)で挟み、引っ張り速度50mm/分、90度剥離の条件で誘電体シートからの銅箔層の剥離を行い、最大剥離力(N/cm)をピール強度とした。
<反応率>
リファレンス測定として酢酸ブチル50重量部にシェル樹脂の原料として用いたモノマー100重量部と重合開始剤2重量部を添加し、加熱攪拌を行い、アクリル基を反応させてポリマー溶液を作製した。そこへ硬化剤を所定量添加して混ぜ合わせたものをDSC測定用アルミニウムセルに入れて70℃で加熱して溶剤を揮発させた後、DSC測定器(SIIテクノロジー(株)製 DSC6220)を用いて、以下の条件で測定を行い、ピーク面積値を求めた。次に、各実施例および比較例で作製したペースト組成物を175℃で1時間加熱して得られた誘電体組成物について同様の条件でDSC測定を行い、得られたピーク面積値を用いて以下の式で反応率を算出した。なお、リファレンスに用いたモノマー、重合開始剤および硬化剤は、各実施例および比較例ごとに対応するものを用いた。
反応率=((リファレンスのピーク面積値−誘電体組成物のピーク面積値)/リファレンスのピーク面積値)×100(%)
測定条件は窒素下、昇温速度5℃/min、最高温度200℃。
<膜強度>
各実施例および比較例で得られたBステージ誘電体シートに割れがなければ膜強度判定を○とし、割れが存在すれば膜強度判定を×とした。
<5%重量減温度>
各実施例および比較例で得られたペーストをシリコンウェハ上にスピンコートし、窒素雰囲気化で加熱し、キュアを行った。キュア温度は実施例1〜29は200℃で1時間、実施例30〜45は320℃で1時間とした。得られたキュア膜を削り取りTG−DTA用アルミセルに入れてTG−DTA測定器(SIIテクノロジー(株)製 TG/DTA6200)以下の条件で測定を行い、5%重量減少温度を求めた。
測定条件は大気中、昇温速度5℃/min、最高温度600℃。
<膜厚>
塗膜の膜厚は、塗膜と基板の段差をサーフコム1400(東京精密(株)製)を用いて触針法により測定することで求めた。
実施例1
三口フラスコにラウリル硫酸ナトリウム0.89g(フィラーに対して2wt%)、純水500gを添加し、攪拌して溶解させた。そこへチタン酸バリウムBTO−150−S02 44.4gを添加し、80℃で2時間攪拌して分散を行った。そこへグリシジルメタクリレート5.6gにアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.11g(モノマーに対して2wt%)を溶解させた溶液を滴下し、その後80℃で6時間攪拌し、グリシジルメタクリレートの重合を行い、コア−シェル構造粒子水中分散液を得た。次にエタノール中にコア−シェル構造粒子水中分散液を滴下し、コア−シェル構造粒子を凝集させた。この液を1μmフィルターでろ過し、ろ物を乾燥することでシェルの平均厚さ15nm、コア含有率(コア−シェル構造粒子におけるコアの重量割合を示したもの)88.3重量%のコア−シェル構造粒子粉末45gを得た。次に酢酸ブチル9.0gにコア−シェル構造粒子粉末を45g、硬化剤2PZ(四国化成工業(株)製)を0.26g添加して混ぜ合わせ、ペースト組成物を作製した。
ペースト組成物をマイクロバーコーター(井上金属工業(株)製)を用いて、ロール状の厚さ18μmの銅箔(三井金属鉱業(株)製、TQ−VLP)上に塗布後の膜厚が10μmとなるように塗布後、脱溶剤し、さらに膜表面はカバーフィルムをラミネートし、ロール状の銅箔付きBステージ誘電体シートを作製した。カバーフィルムは12μm厚のポリプロピレンフィルムを用いた。銅箔の搬送速度は1.4m/分、乾燥温度は120℃とした。ロール状に巻き取った際にムラや割れは生じなかった。
銅箔貼りFR−4基板の表面銅箔を黒化処理した後に、前記の銅箔付きBステージ誘電体シートの誘電体シート側の面を貼り合わせ、175℃で1時間加熱しながらプレスし、評価用サンプルを作製した。
評価用サンプルを用い、もともとBステージ誘電体シート側に形成されていた銅箔のピール強度を測定したところ4.5N/cmであった。評価用サンプルの、むき出しとなっている黒化処理部の表層のみを0.1Nの硫酸でエッチングし銅が表面に出るようにして下部とり出し電極とした。次にもともとBステージ誘電体シート側に形成されていた銅箔を直径10mmの円形パターンを形成するようにレジストと塩化第二鉄でエッチングして上部電極とし、キャパシタを形成した。キャパシタの誘電体組成物の比誘電率を測定したところ59であった。
実施例2〜20
表1に示す組成のコア−シェル構造粒子を実施例1と同様の方法で製造し、実施例1と同様の方法で表2に示す組成でキャパシタを形成し、評価結果を表1〜2に示した。なお、表2中、高誘電率粒子の含有量(重量%)は、コア−シェル構造粒子、硬化剤およびマトリックス樹脂(固形分のみ)に占める無機粒子(コア)の割合を算出したものである。
実施例21
表1に示す組成のコア−シェル構造粒子を実施例1と同様の方法で製造し、得られたコア−シェル構造粒子100gに酢酸ブチル10g、硬化剤2PZ(四国化成工業(株)製)を0.39g、エピコート828(ジャパンエポキシレジン(株)製を1g添加して混ぜ合わせ、ペースト組成物を作製した。
ペースト組成物をマイクロバーコーター(井上金属工業(株)製)を用いて、ロール状の厚さ18μmの銅箔(三井金属鉱業(株)製、TQ−VLP)上に塗布後の膜厚が10μmとなるように塗布後、脱溶剤し、さらに膜表面はカバーフィルムをラミネートし、ロール状の銅箔付きBステージ誘電体シートを作製した。カバーフィルムは12μm厚のポリプロピレンフィルムを用いた。銅箔の搬送速度は1.4m/分、乾燥温度は120℃とした。ロール状に巻き取った際にムラや割れは生じなかった。
銅箔貼りFR−4基板の表面銅箔を黒化処理した後に、前記の銅箔付きBステージ誘電体シートの誘電体シート側の面を貼り合わせ、175℃で1時間加熱しながらプレスし、評価用サンプルを作製した。
評価用サンプルを用い、もともとBステージ誘電体シート側に形成されていた銅箔のピール強度を測定したところ2.9N/cmであった。評価用サンプルの、むき出しとなっている黒化処理部の表層のみを0.1Nの硫酸でエッチングし銅が表面に出るようにして下部とり出し電極とした。次にもともとBステージ誘電体シート側に形成されていた銅箔を直径10mmの円形パターンを形成するようにレジストと塩化第二鉄でエッチングして上部電極とし、キャパシタを形成した。キャパシタの誘電体組成物の比誘電率を測定したところ88であった。
実施例22〜49
表1に示す組成のコア−シェル構造粒子を実施例21と同様の方法で製造し、実施例21と同様の方法で表2に示す組成でキャパシタを形成し、評価結果を表1〜2に示した。
比較例1〜5
表3に示す組成のコア−シェル構造粒子を実施例1と同様の方法で製造し、実施例1と同様の方法で表4に示す組成でキャパシタを形成し、評価結果を表3〜4に示した。
比較例6
ポリエチレン製の容積250mlの容器に酢酸ブチル20g、エピコート828を13.3g、BTO150−S02を100g、平均粒子径5mmのジルコニアビーズ200gを入れて、ボールミル架台上で6時間、回転速度200rpmで分散し、100メッシュのステンレス製ふるいにてジルコニアビーズを分離しペースト組成物を作製した。
ペースト組成物をマイクロバーコーター(井上金属工業(株)製)を用いて、ロール状の厚さ18μmの銅箔(三井金属鉱業(株)製、TQ−VLP)上に塗布後の膜厚が10μmとなるように塗布後、脱溶剤し、さらに膜表面はカバーフィルムをラミネートし、ロール状の銅箔付きBステージ誘電体シートを作製した。カバーフィルムは12μm厚のポリプロピレンフィルムを用いた。銅箔の搬送速度は1.4m/分、乾燥温度は120℃とした。ロール状に巻き取った際にムラや割れが多数存在するのが確認できた。
銅箔貼りFR−4基板の表面銅箔を黒化処理した後に、前記の銅箔付きBステージ誘電体シートを貼り合わせ、175℃で1時間加熱しながらプレスし、評価用サンプルを作製した。
評価用サンプルを用い、もともとBステージ誘電体シート側に形成されていた銅箔のピール強度を測定したところ1.7N/cmであった。評価用サンプルの、むき出しとなっている黒化処理部の表層のみを0.1Nの硫酸でエッチングし銅が表面に出るようにして下部とり出し電極とした。次にもともとBステージ誘電体シート側に形成されていた銅箔を直径10mmの円形パターンを形成するようにレジストと塩化第二鉄でエッチングして上部電極とし、キャパシタを形成した。キャパシタの誘電体組成物の比誘電率を測定したところ57であった。
比較例7〜10
比較例6と同様の方法で表4に示す組成でキャパシタを形成し、評価結果を表4に示した。なお、表4中、高誘電率粒子の含有量(重量%)は、コア−シェル構造粒子、硬化剤およびマトリックス樹脂(固形分のみ)に占める無機粒子(コア)の割合を算出したものである。
本発明のコア−シェル構造粒子を示す。
符号の説明
1 コア−シェル構造粒子
2 コア
3 シェル

Claims (8)

  1. ペロブスカイト系結晶構造を有する高誘電率無機粒子を含有するコアと、(a)重合性基を有する樹脂を含有するシェルを有するコア−シェル構造粒子であって、シェルの平均厚さが1nm以上50nm以下であるコア−シェル構造粒子。
  2. 請求項1記載のコア−シェル構造粒子と、(b)シェルに含有される樹脂の重合性基と反応しうる化合物を含有する組成物。
  3. (c)マトリックス樹脂を含有する請求項2記載の組成物。
  4. (c)マトリックス樹脂が重合性基を有する請求項3記載の組成物。
  5. (c)マトリックス樹脂が熱硬化性樹脂を含有する請求項3または4記載の組成物。
  6. 請求項2〜5いずれか記載の組成物を硬化させて得られる誘電体組成物。
  7. 電極間に請求項2〜5いずれか記載の組成物を硬化させて得られる誘電体組成物が存在してなるキャパシタ。
  8. 界面活性剤を含む水系溶剤中にペロブスカイト系結晶構造を有する高誘電率無機粒子を分散させた後、二種類以上の重合性基を有する化合物と混合し、重合を行うことを特徴とする請求項1記載のコア−シェル構造粒子の製造方法。
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