JP2010119979A - 水処理用微生物担体 - Google Patents

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Abstract

【課題】曝気槽等に投入されて微生物による働きで溶存有機物を分解させる水処理用微生物担体における親水性を良好にし、かつCODを低くして排水処理能力を良好なものにする。
【解決手段】ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、触媒、及び適宜の添加剤からなるポリウレタン発泡原料を攪拌混合してポリオールとポリイソシアネートを反応させて得られたポリウレタン発泡体21からなる水処理用微生物担体を、ポリウレタン発泡体21の所定表面にイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー23を80g/m〜1000g/m程度付着し、硬化させた後に数mm〜70mm程度の立方体に裁断したもので構成した。
【選択図】 図1

Description

本発明は、曝気槽等に投入される水処理用微生物担体に関する。
従来、水処理には、微生物による働きで溶存有機物を分解させる方法が多用されている。前記微生物を用いる水処理においては、樹脂発泡体からなる水処理用微生物担体を、浄化槽等に設けられた曝気槽(エアレーションタンク)等へ投入し、水処理用微生物担体に保持された微生物による働きで排水中の溶存有機物を分解させている。
しかし、水処理用微生物担体に用いられている樹脂発泡体は、通常、撥水性を示すことから、担体を曝気槽等に投入しても、担体表面が水に濡れ難く、水面上に浮揚したままとなり易い。そのため、曝気槽等に投入された担体は、エアレーションによる排水の流動に応じて曝気槽等内の排水内を旋回せず、担体に保持された微生物と排水との接触効率が悪い問題がある。
特に、水処理用微生物担体をポリウレタン発泡体で構成する場合、ポリウレタン発泡体には良好な発泡を行うために整泡剤が添加されることが多く、この整泡剤によって発泡体が疎水性(撥水性)となる。そのため、ポリウレタン発泡体からなる水処理用微生物担体は、曝気槽等に投入されても、直ちに水中に沈まず、水面上に山のように盛り上がって投入作業が困難となるだけでなく、排水中を旋回するまでに時間がかかって本来の排水処理能力を充分に発揮できない問題がある。
そこで、ポリウレタン発泡体からなる水処理用微生物担体においては、ポリウレタン発泡体に親水性を付与するため、界面活性剤等を発泡体の原料中に予め添加して発泡体を成形することが考えられる。しかし、前記のように、水処理用微生物担体として用いられるポリウレタン発泡体には、疎水性を発揮する整泡剤が含まれているため、親水性を付与する界面活性剤等を添加する場合、少量の界面活性剤等では親水性を付与することができず、親水性を付与するためには界面活性剤等を大量に添加する必要がある。ところが、親水性を付与するために界面活性剤等を大量に添加すると、発泡体を形成する気泡構造が形成されなくなって発泡体が得られない問題が発生する。また、ポリウレタン発泡体が得られても、得られたポリウレタン発泡体を微生物用担体として曝気槽の排水に投入した場合、界面活性剤等の影響で泡が発生し、しかも発生した泡がポリウレタン発泡体中に保持されて泡の浮力により水中への水処理用微生物担体の沈降が阻害されやすくなる。
近年、ポリウレタン発泡体にポリプロピレングリコール、エチレングリコール、またはグリセリンを塗布したり、アセチレングリコールを塗布したりすることが提案されている。しかし、この場合、CODが(化学的酸素要求量)が高い問題がある。
また、無機系繊維、無機系微粒子、金属繊維、金属微粒子、合成樹脂の少なくとも一つからなる見かけ比重向上材が施された軟質ポリウレタンフォームの微生物固定担体が提案されている。しかし、この場合、微生物固定担体の使用中に、軟質ポリウレタンフォームから見かけ比重向上材が脱落して流失し、排水処理能力が低下するおそれがある。
特開2004−250593号公報 特開2008−100185号公報 特開2006−346551号公報 特開2002−292385号公報
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、親水性が良好でCODが低く、排水処理能力が良好な水処理用微生物担体の提供を目的とする。
本発明は、ポリウレタン発泡体の表面にイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを付着し硬化させたものからなる水処理用微生物担体に係る。
本発明によれば、ポリウレタン発泡体の表面に付着したイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーは、硬化時にポリウレタン発泡体のセルと結合し、分離し難くなる。しかも、本発明の水処理用微生物担体は、ポリウレタン発泡体の表面に塗布されて硬化したイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーによって、親水性が高く、CODが低くなる。
本発明における水処理用微生物担体は、ポリウレタン発泡体の表面にイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを塗布し硬化させたものからなる。なお、ポリウレタン発泡体においてイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを付着させる表面は、ポリウレタン発泡体の一表面に限られず、ポリウレタン発泡体の複数の表面、あるいはポリウレタン発泡体の全表面であってもよい。また、水処理用微生物担体のサイズ及び形状は適宜とされるが、一辺が数mm〜70mm程度の直方体あるいは立方体形状のものが一般的である。
ポリウレタン発泡体は、ポリオールとポリイソシアネートを発泡剤及び触媒の存在下において反応させることにより得られる公知の軟質ポリウレタン発泡体を使用することができる。また、ポリウレタン発泡体の密度は15kg/m〜70kg/mが好ましい。
ポリウレタン発泡体のポリオールは、加水分解のし難いポリウレタン発泡体とするため、ポリエーテルポリオールからなるもの、あるいはポリエーテルポリオールを主体とするものが好ましく、一部にエステル基を含むポリエーテルポリエステルポリオールを用いることもできる。ポリエーテルポリオールとしては特に制限されるものではなく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ハイドロキノン、水、レゾルシン、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、エチレンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、トリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、トリエチレンテトラアミン、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール等を出発原料として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加して得られるものなどを用いることができる。
ポリウレタン発泡体のポリイソシアネートは特に制限されるものではなく、芳香族系、脂環式、脂肪族系の何れでもよく、また、1分子中に2個のイソシアネート基を有する2官能のイソシアネート、あるいは1分子中に3個以上のイソシアネート基を有する3官能以上のイソシアネートであってもよく、それらを単独であるいは複数組み合わせて使用してもよい。
例えば、2官能のイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、m−フェニレンジイソシネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)、2,4’−ジフェニルメタンジアネート(2,4’−MDI)、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2’−MDI)、キシリレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネートなどの芳香族系のもの、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環式のもの、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、リジンイソシアネートなどの芳香族系のものを挙げることができる。
また、3官能以上のイソシアネートとしては、1−メチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,5−トリメチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、ビフェニル−2,4,4’−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート、メチルジフェニルメタン−4,6,4’−トリイソシアネート、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’テトライソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、ポリメリックMDI等を挙げることができる。
発泡剤としては、水が好適である。水の添加量はポリオール100重量部に対して1.5〜5重量部程度が一般的である。
触媒としては、ポリウレタン発泡体用として公知のものを用いることができ、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノモルフォリン、N−エチルモルホリン、テトラメチルグアニジン等のアミン触媒や、スタナスオクトエートやジブチルチンジラウレート等の錫触媒やフェニル水銀プロピオン酸塩あるいはオクテン酸鉛等の金属触媒(有機金属触媒とも称される。)を挙げることができる。触媒の一般的な量は、ポリオール100重量部に対して0.2〜5重量部程度である。
その他、整泡剤、顔料などの添加剤を適宜配合することができる。整泡剤は、ポリウレタン発泡体に用いられるものであればよく、シリコーン系整泡剤、含フッ素化合物系整泡剤および公知の界面活性剤を挙げることができる。顔料は、求められる色に応じたものが用いられる。
なお、本発明のポリウレタン発泡体は、前記ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、触媒、及び適宜の添加剤からなるポリウレタン発泡原料を攪拌混合して前記ポリオールとポリイソシアネートを反応させ、発泡させる公知の発泡方法によって製造される。
前記ポリウレタン発泡体の表面に塗布されるイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーは、ポリイソシアネートを化学量論的に過剰量にしてポリオールと反応させて得られるものである。前記イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーのポリイソシアネートは、特に制限されるものではなく、芳香族系、脂環式、脂肪族系の何れでもよく、また、1分子中に2個のイソシアネート基を有する2官能のイソシアネート、あるいは1分子中に3個以上のイソシアネート基を有する3官能以上のイソシアネートであってもよく、それらを単独であるいは複数組み合わせて使用してもよく、前記ポリウレタンフォームで説明したものを挙げることができる。特にトリレンジイソシアネート(TDI)が好ましい。
また、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーで使用されるポリオールとしては、特に制限されるものではなく、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールの何れか一方、あるいはそれらの二種以上を用いることができる。特に、ポリエーテルポリオールが好ましく、EO比率(エチレンオキサイド比率)が40モル%以上、より好ましくは50モル%〜100モル%のポリオールが好ましい。EO比率が40モル%以上のポリオールを用いたイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーは、水処理用微生物担体の親水性が一層良好なものになる。
前記イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーは、前記ポリウレタン発泡体の表面に付着後硬化させられる。前記イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーは、湿分硬化性を有するため、水分をポリウレタン発泡体のイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーの付着面に噴霧等で供給することが好ましい。また、前記イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーは加熱により硬化が促進するため、前記イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーの付着面を加熱することが好ましい。前記ポリウレタン発泡体の表面へのイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーの付着は、ロールコータなどの公知の付着方法あるいは塗布方法で行われる。前記ポリウレタン発泡体の表面に対するイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーの付着量は、80g/m〜1000g/m程度が好ましい。80g/mより少ない場合には親水性向上効果が少なくなり、一方、1000g/mより多い場合にはポリウレタン発泡体の表面にイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーがフィルム状で形成され、水処理用微生物担体の親水性向上効果が少なくなる。より好ましい塗布量は、100g/m〜600g/mである。
前記水処理用微生物担体の製造方法の第1例として図1の方法を示す。図1の方法においては、まず(1A)のように、ポリエチレンテレフタレート等からなるプラスチックフィルム11の上面にイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー23を塗布し、次に(1B)のように、前記プラスチックフィルム11のイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー23上にポリウレタン発泡体21を載置し、前記プラスチックフィルム11上のイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー23を前記ポリウレタン発泡体21の表面に付着させる。その後(1C)のように、前記ポリウレタン発泡体21を前記プラスチックフィルム11から剥がし、前記ポリウレタン発泡体21におけるイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー23の付着面に水分25を噴霧し、その後(1D)のように、前記イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー23の付着面をヒータ等の加熱手段17で加熱することによりイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー23を硬化させ、その後に所定寸法に裁断して(1E)に示す本発明の水処理用微生物担体20を得る。
前記水処理用微生物担体の製造方法の第2例として図2の方法を示す。図2の方法においては、ベルトコンベア41によって一方向へポリウレタン発泡体51を搬送し、前記搬送中のポリウレタン発泡体51の上面にコーターロール43によってイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー53を塗布して付着させ、その後にポリウレタン発泡体51のイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー53の付着面に水分55を噴霧する。その後にヒータ等の加熱手段47でイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー53の付着面を加熱することによりイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー53を硬化させ、その後に所定寸法に裁断して本発明の水処理用微生物担体を得る。
図1の方法によって、密度35kg/mのエーテル系ポリウレタン発泡体(品番:AQ−1、株式会社イノアックコーポレーション製)の一表面に、表1に示すイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー(1)〜(4)を表2に示す量付着させ、次に110℃で15分間加熱し、その後に所定寸法の立方体に裁断して実施例の水処理用微生物担体を得た。また、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを付着させてない比較例1と、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーに代えてエチレングリコール(EG)をポリウレタン発泡体の一表面に付着させた比較例2を作成した。比較例1及び比較例2で用いたポリウレタン発泡体は、実施例で用いたポリウレタン発泡体と同一である。
Figure 2010119979
表1におけるポリオールPEG−600は三洋化成工業株式会社製、ポリオールGR−2505は株式会社ADEKA製である。また、ポリイソシアネートT−80(2,4−TDI/2,6−TDI=80/20)は、日本ポリウレタン工業株式会社製、ポリイソシアネートフォームライトNE−5000B(ポリメリックMDI NCO%=32%)は、BASF INOAC ポリウレタン株式会社製である。
Figure 2010119979
実施例及び比較例の水処理用微生物担体に対して親水性とCODの測定を行った。測定結果は、表2の下部に示す通りである。
親水性の測定は、図3の(3A)に示すように、容器61に収容した水Wの表面に水処理用微生物担体70を浮かべ、24時間後に(3B)のように水処理用微生物担体70における水面下の高さt1を測定し、全体の高さtに対する水没割合[t1/t×100](%)を計算し、水没割合が50%以下の場合には親水性に劣るとして×にし、50%〜70%以下の場合に親水性が良好として○にし、70%〜の場合には親水性が極めて良好として◎にした。なお、親水性の測定に使用した水処理用微生物担体の寸法は20mm×20mm×20mmである。また、図3の(3A)に示すように、実施例においてはイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーの付着面73が水面側となるようにして水処理用微生物担体70を水面に浮かべた。符号71はポリウレタン発泡体を示す。
CODの測定は、10mm×10mm×10mmの寸法に裁断した実施例及び比較例の水処理用微生物担体に対して、過マンガン酸カリウムを用いる公知の方法によって行った。なお、測定条件は、体積充填率を20%とし、室温で24時間保持し、ポリウレタン発泡体を除去して水のCODを測定した(JIS K0102準拠)。CODの判定はCOD値が20以下の場合には○、20を超える場合に×とした。
表2から分かるように、実施例品は親水性が良好でCODも低いものであった。それに対し、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを付着させてない比較例1は、CODは低かったが親水性に劣っていた。また、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーに代えてエチレングリコールを付着させた比較例2は、親水性は良好であったが、CODが高いものであった。
このように、本発明の水処理用微生物担体は、親水性が良好でCODが低く、排水処理能力が良好なものである。
水処理用微生物担体の製造方法の第1例を示す概略図である。 水処理用微生物担体の製造方法の第2例を示す概略図である。 親水性測定方法の概略を示す図である。
符号の説明
20 水処理用微生物担体
21,51 ポリウレタン発泡体
23,53 イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー

Claims (1)

  1. ポリウレタン発泡体の表面にイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを付着し硬化させたものからなる水処理用微生物担体。
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