JP6909364B1 - 軟質ポリウレタンフォームの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1には、担体表面から内部にかけて連通した気孔を有するポリウレタン発泡体からなる水膨潤性を有する水処理用担体において、前記ポリウレタン発泡体は立方体、直方体、または円柱であり、水膨潤後の立方体または直方体の全ての辺の長さ、または水膨潤後の円柱の直径及び高さが8〜100mmであって、水膨潤後の平均気孔数が10〜50個/25mm、体積膨潤率が150〜1000%であることを特徴とする水処理担体が記載されている。
一方、スラブが小さくなると、スラブ内の中心部分と周囲部分(上面、下面、側面)では、密度、水膨潤性、及びセル構造が異なる為、物性の均質性を確保した部分が少なくなり、歩留まりが低下する。
また、通常、発泡容器上部は解放された状態である為、スラブ上部はアーチ状となり、軟質ポリウレタンフォームをスラブの底面に水平(以下、「水平方向」ともいう)にスライスしてウレタンフォームシートを作製する場合には、アーチ状の部分はスライスしたときに面積が小さく、使用できる範囲が少ないため生産効率が低下する等の課題を有していた。
[1]水処理用微生物固定化担体に用いられる軟質ポリウレタンフォームの製造方法であって、
ウレタンプレポリマー及びポリイソシアネート化合物(a)を含む混合溶液を、発泡容器に注入し、発泡させて、軟質ポリウレタンフォームを得る工程を有し、
前記発泡容器の前記混合溶液が接する壁面の温度TWが、21〜60℃であり、
前記軟質ポリウレタンフォームは、水膨潤時の膨潤密度が25〜70kg/m3であり、水膨潤時の平均気孔数が9〜30個/25mmであり、絶乾状態の体積に対する水膨潤時の体積の比で表される体積膨潤率が110〜1000%である、軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
[2]前記軟質ポリウレタンフォームを得る工程において、前記発泡容器の上面に蓋をする、上記[1]に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
[3]前記軟質ポリウレタンフォームの高さが、300mm〜1200mmである、上記[1]又は[2]に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
[4]前記軟質ポリウレタンフォームの体積が、0.03〜0.8m3である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
[5]前記混合溶液を、注入速度5〜200kg/minで注入する、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
[6]前記混合溶液を、発泡容器の壁面に沿わせて注入する、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
[7]前記混合溶液の温度TSと前記壁面の温度TWの差の絶対値が、0〜40である上記[1]〜[6]のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
前記製造方法は、ウレタンプレポリマー及びポリイソシアネート化合物(a)を含む混合溶液を、発泡容器に注入し、発泡させて、軟質ポリウレタンフォームを得る工程を有し、前記発泡容器の前記混合溶液が接する壁面の温度TWが、21〜60℃である。
前記軟質ポリウレタンフォームは、水膨潤時の膨潤密度が25〜70kg/m3であり、水膨潤時の平均気孔数が9〜30個/25mmであり、絶乾状態の体積に対する水膨潤時の体積の比で表される体積膨潤率が110〜1000%である。
ここで、本発明で言う「水膨潤時」とは、軟質ポリウレタンフォームを25℃の水に1時間浸漬させた状態を指す。
また、本発明で言う「膨潤密度」とは、絶乾状態の質量を水膨潤時の体積で除した値として求められる値を指す。前記膨潤密度は、具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
また、前記「絶乾状態」とは、軟質ポリウレタンフォームを100℃で乾燥させて、質量の減少が見られなくなった状態を指す。絶対乾燥状態と言う場合もある。
また、本発明で言う「体積膨潤率」とは、絶乾状態の体積に対する水膨潤時の体積の比で表される値を指す。また、「絶乾状態の体積」は、軟質ポリウレタンフォームの気孔も含むものとし、該軟質ポリウレタンフォームの絶乾状態の外形の寸法に基づいて求められる体積とする。更に、「水膨潤時の体積」とは、軟質ポリウレタンフォームの気孔及びこれに吸収された水も含むものとし、該軟質ポリウレタンフォームが膨潤した状態の外形の寸法に基づいて求められる体積とする。例えば、軟質ポリウレタンフォームが直方体状である場合は、直方体の縦、横及び高さの3辺の長さの積として算出される値を、該軟質ポリウレタンフォームの体積とする。
上記のように、混合溶液を壁面の温度が制御された発泡容器に注し、発泡させることにより、バッチ法により、密度、水膨潤性、及びセル構造の均質性に優れる軟質ポリウレタンフォームを、効率的に製造することができる。
軟質ポリウレタンフォームを得る工程は、ウレタンプレポリマー及びポリイソシアネート化合物(a)を含む混合溶液を、発泡容器に注入し、発泡させて、前記軟質ポリウレタンフォームを得る工程であり、前記発泡容器の前記混合溶液が接する壁面の温度TW(以後、壁面の温度TWとも言う。)は、21〜60℃である。なお、壁面の温度TWは、混合溶液を注入し、発泡が完了するまで、21〜60℃の範囲内である。
混合溶液は、ウレタンプレポリマー及びポリイソシアネート化合物(a)を含む。
ウレタンプレポリマーは、ポリオール化合物と、該ポリオール化合物の水酸基に対して、イソシアネート基のモル当量比が過剰となる量、好ましくは110%以上のポリイソシアネート化合物(b)とを反応させて得られるポリマーであり、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有している。前記ウレタンプレポリマーは、1種単独であっても、2種以上を併用してもよい。
このようなプレポリマーを原料化合物として用いることにより、水膨潤性に優れかつ密度、セル構造のバラつきが小さく、均質性に優れた軟質ポリウレタンフォームが得られやすい。
ポリエーテルポリオールも、ポリエステルポリオールも、いずれも親水性を付与し得るが、ポリエステルポリオールに比べて、ポリエーテルポリオールの方が耐加水分解性に優れている。本発明においては、製造される軟質ポリウレタンフォームが、水処理用微生物固定化担体として水中で用いられるものであるため、該軟質ポリウレタンフォームの耐久性の観点から、ポリエーテル系ウレタンプレポリマーがポリエステル系ウレタンプレポリマーよりも好ましい。
また、ウレタンプレポリマーは、取り扱いやすさ等の観点から粘度が高すぎないことが好ましく、その粘度は、スピンドル型粘度計での25℃における測定値が、300〜9500mPa・sであることが好ましく、300〜9000mPa・sであることがより好ましく、更に好ましくは300〜8500mPa・sである。
EO−PO共重合体におけるEOとPOとのモノマー組成比は、質量比で70/30〜30/70であることが好ましく、より好ましくは65/35〜40/60、更に好ましくは60/40〜50/50である。
ポリイソシアネート化合物(a)は、特に限定されるものではなく、具体例としては、前記ウレタンプレポリマーの合成に用いられるポリイソシアネート化合物(b)について例示したものと同様のものが挙げられる。ポリイソシアネート化合物(a)は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、ポリイソシアネート化合物(a)は、前記ウレタンプレポリマーの合成に用いられるポリイソシアネート化合物(b)と同じであっても、異なっていてもよい。
ポリイソシアネート化合物(a)は、耐久性(弾力性及び耐摩耗性)に優れる水処理用微生物固定化担体用の軟質ポリウレタンフォームを得る観点から、好ましくはトルエンジイソシアネートである。
発泡剤としては、例えば、水、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)、ハイドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)、炭酸ガス、シクロペンタン等の炭化水素等が挙げられる。これらの発泡剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。前記発泡剤の中でも、取り扱い容易性やコスト、環境保全等の観点から、水が好ましい。
混合溶液中の発泡剤の種類、含有量は、水処理用微生物固定化担体の微生物固定化性能に影響を与える軟質ポリウレタンフォームの気孔サイズ等を考慮して適宜設定することができる。
硬化剤としては、例えば、水;グリセリン、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール等の多価アルコール;エタノールアミン類、ポリエチレンポリアミン類等のアミン化合物等が挙げられる。また、前記多価アルコールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等を開環重合させたポリオール類、前記アミン化合物に少量のプロピレンオキサイドを付加したもの等も挙げられる。これらの硬化剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。前記硬化剤の中でも、反応性、取り扱い容易性やコスト等の観点から、水が好ましい。
混合溶液中の硬化剤の含有量は、水処理用微生物固定化担体の微生物固定化性能や強度に影響を与える、軟質ポリウレタンフォームの柔軟性や弾力性、強度等を考慮して、適宜設定することができる。
前記無機フィラーとしては、例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナ、活性炭、ゼオライト等が挙げられる。前記無機フィラーは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。無機フィラーは、嵩体積が小さい方が好ましく、この観点から比重の大きい硫酸バリウムが好ましい。
また、前記無機フィラーは、製造される軟質ポリウレタンフォーム中での均一な分散性等の観点から、平均粒径が0.1〜100μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜70μm、更に好ましくは1〜50μmである。
なお、本発明で言う「平均粒径」とは、レーザ回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径(D50)を指す。具体的には、レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置「MT3300」(マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定されたD50値とする。
本発明で用いられる発泡容器は、特に限定されるものではないが、混合溶液が接する壁面の温度TWは、混合溶液を注入し、発泡が完了するまで、21〜60℃の範囲内である。
水処理用微生物固定化担体に用いられるような軟質ポリウレタンフォームは、一般に、発泡する際、発熱を伴う。軟質ポリウレタンフォームのスラブの中心部分は、発泡時の発熱が内部にこもって温度が高くなるが、スラブの側面に近い部分(発泡容器の壁面に近い部分)では中心部分よりも温度が低くなるため、反応速度が中心部分と側面に近い部分で異なり、その結果、軟質ポリウレタンフォームの密度、水膨潤性、及びセル構造等の物性が中心部分と側面に近い部分で異なる現象が生じやすい。一方、軟質ポリウレタンフォームのスラブの中心部分よりも発泡容器の温度が高い場合には、反応速度が中心部分よりも側面に近い部分で早くなり、その結果、軟質ポリウレタンフォームの密度、水膨潤性、及びセル構造等の物性が中心部分と側面に近い部分で異なる現象が生じやすく、全体的にも密度が低下してしまう。壁面の温度TWを上記範囲とすることで、壁面部分に存在する混合溶液の急激な温度低下や温度上昇を抑制することが可能となり、その結果、物性の均質性に優れる軟質ポリウレタンフォームを、効率的に製造することができる。
混合溶液の温度TSと壁面の温度TWの差の絶対値は、密度、水膨潤性、及びセル構造の均質性に優れる軟質ポリウレタンフォームを得る観点、及び軟質ポリウレタンフォームを効率的に製造する観点から、好ましくは0〜30℃であり、より好ましくは0〜25℃である。
軟質ポリウレタンフォームを得る工程において、このような発泡容器を用い、発泡容器の上面に蓋をすることで、所望の形状である軟質ポリウレタンフォームを製造することが可能となり、軟質ポリウレタンフォームを効率的に製造することができる。
蓋の温度は、特に限定されるものではなく、温度を調節しなくてもよく、発泡容器の混合溶液が接する壁面と同様の温度等、適宜所望の温度に調節してもよい。
また、発泡容器の形状が立方体型や直方体型であることで、軟質ポリウレタンフォームの形状も立方体や直方体として得られる。その結果、所望の水処理用微生物固定化担体に用いる為に軟質ポリウレタンフォームを切断する場合、廃棄する部分が少なくなり、効率的に製造することができる。
発泡容器に混合溶液を注入する際、混合溶液を発泡容器の壁面に沿わせて注入することが好ましい。このように注入することで、注入中の混合溶液を既に注入された混合溶液の下方に注入することができ、既に注入された混合溶液に含まれる発泡により形成された気泡が、後から注入された混合溶液に、押し潰されることを抑制することができる。その結果、より密度、水膨潤性、及びセル構造の均質性に優れる軟質ポリウレタンフォームを、効率的に製造することができる。
発泡容器に混合溶液を注入する際の注入速度は、密度、水膨潤性、及びセル構造の均質性に優れる軟質ポリウレタンフォームを得る観点から、好ましくは5〜200kg/min、より好ましくは50〜150kg/min、更に好ましくは75〜125kg/minである。
本発明により得られる軟質ポリウレタンフォームは、ウレタンプレポリマー及びポリイソシアネート化合物(a)を含む混合溶液を発泡容器に注入し、発泡させることにより得られるものであり、水膨潤時の膨潤密度が25〜70kg/m3であり、水膨潤時の平均気孔数が9〜30個/25mmであり、絶乾状態の体積に対する水膨潤時の体積の比で表される体積膨潤率が110〜1000%である。
水膨潤時の膨潤密度が25kg/m3未満の軟質ポリウレタンフォームは、樹脂量が少なすぎて、強度が低く、変形しやすく、これを用いて製造した水処理用微生物固定化担体は、処理槽のスクリーンの目詰まりや、変形してスクリーンを通過し処理槽から漏出する等の不都合を生じるおそれがある。また、樹脂量が少ないと、物理摩耗に対して弱く、体積減少(消耗)が早くなる。
一方、水膨潤時の膨潤密度が70kg/m3超では、原料コストが過大となるため好ましくない。
前記体積膨潤率が110%未満である軟質ポリウレタンフォームは、水との馴染みが十分とは言えず、親水性に優れているとは言い難いものである。
一方、前記体積膨潤率が1000%超の軟質ポリウレタンフォームは、水処理用微生物固定化担体として必要な耐久性能を維持することが困難となるため好ましくない。
ここで、「水膨潤時の平均気孔径」とは、水膨潤時の軟質ポリウレタンフォームの断面における1個の気孔について、長径と短径を測定し、該長径と該短径の平均値を直径とする真円とみなし、同様にして、合計50個の気孔について、それぞれ、真円とみなした場合の直径の平均値とする。
また、水中において多くの微生物を固定化させるのに適したセル構造として、前記骨格部分は、細い棒状の骨格からなる、いわゆるリブ構造であるよりも、隣接する気孔間が部分的に膜状となり壁面で区画される事で表面積が大きな、いわゆるウォール構造であることが好ましい。
ここで、本発明で言う「軟質ポリウレタンフォームの体積」は、軟質ポリウレタンフォームの気孔も含むものとし、該軟質ポリウレタンフォームの外形の寸法に基づいて求められる体積とする。
軟質ポリウレタンフォームの製造に用いた原料化合物の詳細を以下に示す。
・ウレタンプレポリマー(1):TDI変性EO−PO共重合体;EO/PO質量比:55/45、EO−PO共重合体の数平均分子量:2700(理論値)、NCO(イソシアネート基)含有量:4.5質量%、粘度(25℃):8000mPa・s
・ウレタンプレポリマー(2):TDI変性EO−PO共重合体;EO/PO質量比:50/50、EO−PO共重合体の数平均分子量:2500(理論値)、NCO(イソシアネート基)含有量:4.5質量%、粘度(25℃):8000mPa・s
・ポリイソシアネート化合物(a):TDI;「コロネート(登録商標) T−80」、東ソー株式会社製、2,4−TDI/2,6−TDI質量比:80/20
・無機フィラー:硫酸バリウム;堺化学工業株式会社製、平均粒径20〜30μm、比重4.3
・硬化剤・発泡剤:水
・整泡剤:ノニオン性界面活性剤;「ニューポール(登録商標) PE−75」、三洋化成工業株式会社製
・触媒:ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル;「Niax(登録商標) Catalyst A―1」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製
TDI変性EO−PO共重合体(ウレタンプレポリマー(1))400kg、TDI(ポリイソシアネート化合物(a))53.4kg、及び硫酸バリウム(無機フィラー)50.0kgを撹拌混合し、A1液とした。
A1液とは別に、水350kg及び整泡剤7kgを撹拌混合し、B1液とした。
次に、A1液(28℃)とB1液(14℃)をそれぞれのタンクから、配合質量比1.48(A1液/B1液)でミキシングヘッドにポンプで送液した。前記ミキシングヘッドから、A1液及びB1液の原料混合液を、内寸が縦800mm×横800mm×高さ660mm、壁面温度TWが25℃である発泡容器に吐出させ、注入完了後、発泡容器に蓋をし、2時間静置して、スラブ状の軟質ポリウレタンフォームを製造した。
上記方法にて、スラブ状の軟質ポリウレタンフォームを2回製造した。
壁面温度TWを、それぞれ表1に示す温度とし、それ以外は実施例1と同様にして、軟質ポリウレタンフォームを製造した。なお、実施例2においては5回、比較例1においては1回、比較例2においては4回、スラブ状の軟質ポリウレタンフォームを製造した。
TDI変性EO−PO共重合体(ウレタンプレポリマー(2))400kg、TDI(ポリイソシアネート化合物(a))53.4kg、及び硫酸バリウム(無機フィラー)50.0kgを撹拌混合し、A2液とした。
A2液とは別に、水350kg、整泡剤29kg、及び触媒6.7kgを撹拌混合し、B2液とした。
次に、A2液(28℃)とB2液(14℃)を用い、壁面温度TWを表1に示す温度とし、それ以外は実施例1と同様にして、軟質ポリウレタンフォームを製造した。なお、スラブ状の軟質ポリウレタンフォームを2回製造した。
<歩留まり>
上記実施例及び比較例により得られたスラブ状の軟質ポリウレタンフォームの最頂部から10mm下の位置で水平方向にスライスし、また下面から10mm上の位置で水平方向にスライスした。
続いて、水平方向に10mmの間隔でスライスし、厚さ10mmの軟質ポリウレタンフォームシートを得た。
得られたそれぞれの軟質ポリウレタンフォームシートを、縦10mm×横10mm×厚さ10mmの軟質ポリウレタンフォーム片(以下、「軟質ポリウレタンフォーム片」とも言う。)が得られるよう、厚み方向に打ち抜いた。打ち抜き後、軟質ポリウレタンフォームシートの側周面よりも10mm以上内側の領域Xの内部に全てが存在する軟質ポリウレタンフォーム片を回収し、前記領域Xよりも外側に全部又は一部が存在する軟質ポリウレタンフォーム片は取り除き、廃棄した。
具体的には、回収した軟質ポリウレタンフォーム片の総重量を発泡容器に注入した混合溶液の重量で除した値に100を掛けた値を歩留まりとした。
歩留まりの評価結果をまとめて表1に示す。
上記実施例及び比較例で製造した各軟質ポリウレタンフォームについて、歩留まり評価と同様に、縦10mm×横10mm×高さ10mmである軟質ポリウレタンフォーム片を製造し、これを試料とした。
なお、それぞれにおいて、実施例により得られたスラブ状の軟質ポリウレタンフォームの中心部分(発泡容器の各壁面から300mm以上離れた位置)と発泡容器の壁面近傍(発泡容器の壁面から10〜50mmの間)に存在した試料の2種について以下の物性を評価した。
また、物性においては、1回目に製造した軟質ポリウレタンフォームについて測定した。
絶乾状態における試料の各辺の長さをノギスで測定し、測定した各辺の長さの積として算出した体積を、絶乾状態の体積Vdとみなした。
上記のようにして求めた試料の前記絶乾状態の質量Mdを、前記絶乾状態の体積Vdで除した値を絶乾密度とした。
試料を25℃の水に1時間浸漬させ、平置きで水に浸漬させた状態で、試料の各辺の長さをノギスで測定した。測定した各辺の長さの積として算出した体積を、試料の水膨潤時の体積Vwとみなした。
前記絶乾状態の質量Mdを、前記水膨潤時の体積Vwで除した値を膨潤密度とした。
前記絶乾状態の体積Vdに対する前記水膨潤時の体積Vwの比を体積膨潤率(%)として求めた。
上記において水膨潤時の体積を測定した後の試料の面中央部分を、赤色インキで着色した。着色部分に直尺を当てて、該着色部分と直尺の目盛とが含まれるように写真撮影した。撮影した写真の拡大画像において、直尺の任意の箇所の目盛の25mmの間隔位置の範囲内で、直尺との任意の平行線上に観察される気孔の個数を数えた。同様の測定を任意の3か所で行い、3回測定した気孔数の平均値を、水膨潤時の25mm当たりの平均気孔数とした。
一方、比較例1及び2においては、発泡容器の壁面温度TWが低いため、壁面近くの混合溶液がこの影響を受け、製造後の軟質ポリウレタンフォームは、中心部の高さが高く、発泡溶液の壁面周辺部の高さが低い、山状の形状であった。その結果、歩留まりが低く、また、軟質ポリウレタンフォームの中心部分と壁面近傍では、物性値の差が大きいものが多かった。
以上のように、本発明の製造方法によれば、バッチ法により、所定の水膨潤時の膨潤密度、水膨潤時の平均気孔数、及び体積膨潤率を有し、密度、水膨潤性、及びセル構造の均質性に優れた軟質ポリウレタンフォームを効率的に製造することができる。
Claims (7)
- 水処理用微生物固定化担体に用いられる軟質ポリウレタンフォームの製造方法であって、
ウレタンプレポリマー及びポリイソシアネート化合物(a)を含む混合溶液を、発泡容器に注入し、発泡させて、軟質ポリウレタンフォームを得る工程を有し、
前記発泡容器の前記混合溶液が接する壁面の温度TWが、21〜60℃であり、
前記混合溶液の温度T S と前記壁面の温度T W の差の絶対値が、0〜40℃であり、
前記軟質ポリウレタンフォームは、水膨潤時の膨潤密度が25〜70kg/m3であり、水膨潤時の平均気孔数が9〜30個/25mmであり、絶乾状態の体積に対する水膨潤時の体積の比で表される体積膨潤率が110〜1000%である、軟質ポリウレタンフォームの製造方法。 - 前記軟質ポリウレタンフォームを得る工程において、前記発泡容器の上面に蓋をする、請求項1に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
- 前記軟質ポリウレタンフォームの高さが、300mm〜1200mmである、請求項1又は2に記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
- 前記軟質ポリウレタンフォームの体積が、0.03〜0.8m3である、請求項1〜3のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
- 前記混合溶液を、注入速度5〜200kg/minで注入する、請求項1〜4のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
- 前記混合溶液を、発泡容器の壁面に沿わせて注入する、請求項1〜5のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
- 前記混合溶液の温度T S と前記壁面の温度T W の差の絶対値が、0〜30℃である請求項1〜6のいずれかに記載の軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
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