JP2010117530A - 紫外線照射装置及び光ファイバの被覆形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 光ファイバを被覆する紫外線硬化型樹脂を十分に硬化可能な紫外線照射装置及び光ファイバの被覆形成方法を提供する。
【解決手段】 半導体発光素子35は、矢印K1〜K4で示されるように、光ファイバFに近づいたり、離れたりするように移動し、集光レンズ34を介して集光される紫外線UVの集光位置が移動する。この集光位置は、被覆樹脂上とすることもできるし、被覆樹脂の位置からは外すこともできる。光ファイバの高速線引時には、外層C2の表面又は内層C1の表面上に集光位置を合わせるが、光ファイバの低速線引時には、外層C2の表面又は内層C1の表面上から集光位置をずらす。換言すれば、線速に応じて、半導体発光素子35の光ファイバFからの距離が変わり、低速時には照射強度が小さくなり、高速時には照射強度が高くなる。
【選択図】 図1
【解決手段】 半導体発光素子35は、矢印K1〜K4で示されるように、光ファイバFに近づいたり、離れたりするように移動し、集光レンズ34を介して集光される紫外線UVの集光位置が移動する。この集光位置は、被覆樹脂上とすることもできるし、被覆樹脂の位置からは外すこともできる。光ファイバの高速線引時には、外層C2の表面又は内層C1の表面上に集光位置を合わせるが、光ファイバの低速線引時には、外層C2の表面又は内層C1の表面上から集光位置をずらす。換言すれば、線速に応じて、半導体発光素子35の光ファイバFからの距離が変わり、低速時には照射強度が小さくなり、高速時には照射強度が高くなる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、光ファイバの表面上に塗布された樹脂を硬化させるための紫外線照射装置、及び光ファイバの被覆形成方法に関するものである。
従来、プリフォームから線引きされた裸光ファイバ、あるいは、一度ボビンに巻き取られた光ファイバ素線の表面上に、樹脂被覆を行うことが行われている。光ファイバの外周を紫外線硬化型樹脂(UV光硬化型樹脂)で被覆し、そのUV光硬化型樹脂に紫外線(UV光)を照射してUV光硬化型樹脂を硬化させている。下記特許文献1は、UV光の光源として紫外線レーザダイオード(UV−LD)または紫外線発光ダイオード(UV−LED)などの紫外線半導体発光素子を1個または複数個使用し、消費電力の低減を達成しようと試みている。
特開2003−89555号公報
しかしながら、従来の装置の場合、低速線引時において、過度の紫外線を紫外線硬化型樹脂に照射すると、紫外線硬化型樹脂からの揮発物が多量に発生して紫外線光源に付着し、照射強度が低下し、高速線引時において、十分な樹脂硬化を行うことができないという問題が生じる。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、光ファイバを被覆する紫外線硬化型樹脂を十分に硬化可能な紫外線照射装置及び光ファイバの被覆形成方法を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明にかかる紫外線照射装置は、光ファイバの表面に塗布された紫外線硬化型樹脂に、紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂を硬化させる紫外線照射装置において、紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射可能な位置に設けられた半導体発光素子と、半導体発光素子から出射された紫外線を集光する集光レンズと、紫外線の集光位置を移動させる移動手段とを備えることを特徴とする。
この装置によれば、紫外線の集光位置を移動させることができるため、紫外線硬化型樹脂上の紫外線強度を変更することができる。すなわち、光ファイバの走行速度が低速の場合には、単位面積当たりの紫外線照射時間は長くなるが、集光位置を紫外線硬化型樹脂から外して、単位面積当たりに照射される紫外線強度を低下させることで、過度の樹脂硬化と揮発物の発生を抑制する。光ファイバの走行速度が高速の場合には、単位面積当たりの紫外線照射時間は短くなるが、紫外線の集光位置を紫外線硬化型樹脂に合わせて、単位面積当たりの紫外線強度を増加させることで、好適に樹脂硬化を行うことができる。
また、移動手段は、半導体発光素子を光ファイバに対して移動させることが好ましい。このように半導体発光素子を光ファイバに対して移動させると、容易に紫外線集光位置を変更させることができる。
また、半導体発光素子の数は複数であり、各半導体発光素子は自身以外の半導体発光素子の光出射面又はその他の樹脂材料に向けて紫外線を出射しないように配置されていることが好ましい。半導体発光素子に紫外線が照射されると発振や温度上昇に伴って出力が低下し、寿命が低下する。また、その他の樹脂材料に紫外線を照射すると、これらの樹脂材料が劣化する。このような樹脂材料は、集光レンズや半導体発光素子の固定部材や接着剤を構成していることがある。本構成では、これらに紫外線が照射されないため、これらの寿命を延ばすことができる。
また、本発明に係る光ファイバの被覆形成方法は、紫外線硬化型樹脂が塗布された光ファイバに対して、上記紫外線照射装置を使用して、紫外線を照射して硬化させる光ファイバの被覆形成方法において、光ファイバの走行速度が所定値未満の場合には、紫外線硬化型樹脂上に紫外線が集光しないように紫外線を照射する工程と、光ファイバの走行速度が所定値以上の場合には、紫外線硬化型樹脂上に紫外線を集光するように紫外線を照射する工程とを備えることを特徴とする。
すなわち、上述のように、光ファイバの走行速度に応じて、光ファイバの走行方向以外の方向に集光位置を変更することで、低速時には過度の樹脂硬化と揮発物の発生を抑制し、高速時には好適に樹脂硬化を行うことができる。
本発明の紫外線照射装置及び光ファイバの被覆形成方法によれば、光ファイバを被覆する紫外線硬化型樹脂を十分に硬化することができる。
以下、実施の形態に係る紫外線照射装置及び光ファイバの被覆形成方法について説明する。なお、同一要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
図1は、線引き時の光ファイバの走行方向に沿った紫外線照射装置UVAの縦断面図であり、図2は図1に示した紫外線照射装置UVAのII−II矢印水平断面図である。なお、図1は、図2におけるI−I矢印線に沿って切った装置の断面図を示している。
図1は、線引き時の光ファイバの走行方向に沿った紫外線照射装置UVAの縦断面図であり、図2は図1に示した紫外線照射装置UVAのII−II矢印水平断面図である。なお、図1は、図2におけるI−I矢印線に沿って切った装置の断面図を示している。
まず、本実施形態に係る製造方法によって製造される光ファイバについて説明する。
本実施形態において、光ファイバ素線は裸光ファイバF1と、その表面を被覆している被覆層C1,C2とを含んで構成されている。裸光ファイバF1は、プリフォームを線引きして形成されたガラスファイバである。被覆層C1,C2は、紫外線が照射されると硬化する紫外線硬化型樹脂からなり、裸光ファイバF1の表面を保護する機能を有している。なお、被覆層C1,C2は、裸光ファイバに隣接している内層(プライマリ樹脂)C1と、その内層C1を取り巻く外層(セカンダリ樹脂)C2の2層から構成されている。
本実施形態において、光ファイバ素線は裸光ファイバF1と、その表面を被覆している被覆層C1,C2とを含んで構成されている。裸光ファイバF1は、プリフォームを線引きして形成されたガラスファイバである。被覆層C1,C2は、紫外線が照射されると硬化する紫外線硬化型樹脂からなり、裸光ファイバF1の表面を保護する機能を有している。なお、被覆層C1,C2は、裸光ファイバに隣接している内層(プライマリ樹脂)C1と、その内層C1を取り巻く外層(セカンダリ樹脂)C2の2層から構成されている。
本実施形態において、被覆層C1,C2が、顔料・染料などで着色されている場合には、識別性を付与する機能を有することもできる。また、被覆層C2の外に紫外線硬化型樹脂からなる着色層が設けられることもある。
内層C1及び外層C2に含めることができるラジカル系光重合開始剤の一例は、以下の通りであり、これらの光重合開始剤は、いずれか単独又は複数を組み合わせて用いることができる。
(1)イルガキュア907:(2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン)
(2)イルガキュア819:(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)
各光重合開始剤の化学構造式を図10(イルガキュア907:以下、I−907)、図11(イルガキュア819:以下、I−819)にそれぞれ示す。なお、「イルガキュア」は登録商標であり、上記光重合開始剤はチバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製のものである。
(1)イルガキュア907:(2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン)
(2)イルガキュア819:(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)
各光重合開始剤の化学構造式を図10(イルガキュア907:以下、I−907)、図11(イルガキュア819:以下、I−819)にそれぞれ示す。なお、「イルガキュア」は登録商標であり、上記光重合開始剤はチバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製のものである。
上述のラジカル系光重合開始剤と共に、内層C1及び外層C2に含有される樹脂材料の一例は以下の通りである。
(内層C1)
内層C1には、軟質(ヤング率が1kg/mm2以下のものを言う)の紫外線硬化型樹脂を用いることが望ましい。内層樹脂には、ポリエーテル系或いはポリエステル系ウレタンアクリレートの使用が好ましく、必要に応じて反応性希釈モノマーを含んでも良い。反応性希釈モノマーとしては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等の化合物が挙げられ、これらは1種使用しても良いし、2種以上併用しても良い。内層C1のヤング率は、例えば紫外線硬化型樹脂のポリエーテル部分の分子量及び希釈モノマーの種類により調整する。即ち、内層C1は、ポリエーテル部分の分子量を大きくすること、または直鎖状の分子量の大きな単官能希釈モノマーを選定することでヤング率を小さくすることが出来る。
内層C1には、軟質(ヤング率が1kg/mm2以下のものを言う)の紫外線硬化型樹脂を用いることが望ましい。内層樹脂には、ポリエーテル系或いはポリエステル系ウレタンアクリレートの使用が好ましく、必要に応じて反応性希釈モノマーを含んでも良い。反応性希釈モノマーとしては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等の化合物が挙げられ、これらは1種使用しても良いし、2種以上併用しても良い。内層C1のヤング率は、例えば紫外線硬化型樹脂のポリエーテル部分の分子量及び希釈モノマーの種類により調整する。即ち、内層C1は、ポリエーテル部分の分子量を大きくすること、または直鎖状の分子量の大きな単官能希釈モノマーを選定することでヤング率を小さくすることが出来る。
(外層C2)
外層C2には、硬質(ヤング率が10kg/mm2以上のものを言う)の紫外線硬化型樹脂を用いることが望ましい。外層樹脂には、ポリエーテル系或いはポリエステル系ウレタンアクリレートの使用が好ましく、必要に応じて反応性希釈モノマーを含んでも良い。反応性希釈モノマーとしては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等の化合物が挙げられ、これらは1種使用しても良いし、2種以上併用しても良い。外層C2は、ポリエステル又はポリエーテル部分の分子量を小さくすること、ウレタン基濃度を上げること、またはベンゼン環等の剛直な分子構造を有するモノマーや多官能モノマーを選定することでヤング率を大きくすることが出来る。
外層C2には、硬質(ヤング率が10kg/mm2以上のものを言う)の紫外線硬化型樹脂を用いることが望ましい。外層樹脂には、ポリエーテル系或いはポリエステル系ウレタンアクリレートの使用が好ましく、必要に応じて反応性希釈モノマーを含んでも良い。反応性希釈モノマーとしては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等の化合物が挙げられ、これらは1種使用しても良いし、2種以上併用しても良い。外層C2は、ポリエステル又はポリエーテル部分の分子量を小さくすること、ウレタン基濃度を上げること、またはベンゼン環等の剛直な分子構造を有するモノマーや多官能モノマーを選定することでヤング率を大きくすることが出来る。
図1を参照すると、紫外線照射装置UVAは、透明管31、複数の半導体発光素子35からなる紫外線光源、集光レンズ34及びこれらを収容する筐体33を備えている。筐体33の形状は筒状であり、半導体発光素子35を固定するためのマウント基台36が、筐体を貫通する貫通孔において、スライド可能に支持されている。透明管31は、その長手方向が光ファイバF1の走行方向に一致するように配置されている。そして、2種類の樹脂が内層C1及び外層C2として塗布された光ファイバF1が透明管31の中心軸に沿って移動する。
透明管31は、紫外線に対して透光性を有していれば、特に限定されないが、例えば石英管が好適に用いられる。透明管31内を冷却するため、透明管31内に不活性ガス(使用温度でほぼ不活性なガス)が矢印GINで示すように導入され、透明管31内を通って、矢印GOUTで示されるように透明管31から排気される。この不活性ガスとしては、例えば窒素ガスが安価にて用いられる。
また、透明管31内に不活性ガスを導入すると、以下のような二次的な効果も生じる。まず、透明管31内に不活性ガスを導入すると、内部の酸素が追い出され、樹脂の表面の硬化が促進される。次に、透明管31内に窒素などの不活性ガスを流すことによって、樹脂の揮発成分を除去することができるので、透明管31内面の曇りを防止することができる。すなわち、樹脂に紫外線を照射すると、硬化反応熱や輻射熱によって樹脂の低分子量成分が揮発し、この揮発成分が透明管31の内面に付着して硬化し、透明管31の内面が曇り、紫外線が遮られてしまう傾向があるが、本形態では、不活性ガスにより揮発成分を除去することができる。更に、不活性ガスの流れを層流に近づけることによって、透明管31内での光ファイバの振動を抑制することも可能となる。
なお、紫外線硬化型樹脂が硬化するときに雰囲気中の酸素濃度が0.5(vol%)以上となると、紫外線硬化型樹脂の硬化が不十分となる。したがって、光ファイバに塗布された紫外線硬化型樹脂を硬化するときは、その周囲の酸素濃度を下げるために窒素などのガスが流される。このガスに含まれる酸素含有率は0.5vol%未満であり、これにより、樹脂表面の硬化阻害作用が抑制される。なお、酸素により硬化が阻害される樹脂は、アシルフォスフィンオキサイド系、チタノセン系、等の光重合開始剤を含むラジカル重合系樹脂である。
透明管31の図面上側に位置する塗布装置側の端部には、不活性ガスを矢印GINの方向に導入するためのガス導入口が形成されている。ガス導入口にはガス導入管INAが接続されており、不活性ガスがガス導入管INAを介して透明管31内に導入される。また、ガス導入管INAが接続されている端部と反対側の透明管31の端部には、ガス排出口が形成されている。ガス排出口にはガス排出管OUTAが接続されており、不活性ガス及び揮発した樹脂の成分がガス排出管OUTAを介して排出される。なお、これらのガス導入管INA及びガス排出管OUTAの周囲は封止されていてもよいが、封止されていなくてもよい。
紫外線光源を構成する半導体発光素子35としては、紫外線レーザダイオード(UV−LD)又は紫外線発光ダイオード(UV−LED)が用いられる。半導体発光素子35は、例えば図示しない制御装置に電気的に接続され、該制御装置により半導体発光素子35への供給電力が制御されても良い。半導体発光素子35の前面には集光レンズ34が固定されており、好ましくは2層の樹脂被覆上でスポット径φ1mm程度または1mm幅×12mm長のラインビーム形状(長方形、楕円形)が得られる。紫外線硬化型樹脂を硬化するためには、照射する紫外線UVの照射強度が5000〜7000mW/cm2であることが好ましい。
半導体発光素子35は、自身の発熱によりかなりの高温(〜100℃)となり、高温劣化により照射強度が低下し、且つ自身の寿命を大きく減少させる。これを防ぐため、半導体発光素子35は、これが固定されるマウント用基台36、放熱金属板36M、放熱フィン36Fに熱的に接続されている。マウント用基台36、放熱金属板36M、及び放熱フィン36Fに用いることができる金属としては、CuやAlが列挙される。これらは半導体発光素子35において発生した熱を、マウント用基台36を介して奪い、半導体発光素子35の温度を約60℃に保持することが可能となる。これにより、半導体発光素子35も長寿命化する。
筺体33には、光ファイバFの長手方向に垂直な方向に延びる貫通孔が形成されており、この貫通孔内において、マウント基台36がスライドすることによって、半導体発光素子35が水平方向に移動する。半導体発光素子35は、矢印X1、X2,X3で示されるように(図2参照)、光ファイバFに近づいたり、離れたりするように移動し、集光レンズ34を介して集光される紫外線UVの集光位置が移動する。この集光位置は、被覆樹脂上とすることもできるし、被覆樹脂の位置からは外すこともできる。光ファイバの高速線引時には、外層C2の表面又は内層C1の表面上に集光位置を合わせるが、光ファイバの低速線引時には、外層C2の表面又は内層C1の表面上から集光位置をずらす。
光源を移動させるため、放熱フィン36Fの基端部は、移動機構(移動手段)70に固定されている。移動機構70を水平面内において移動させることで、放熱フィン36Fと共に半導体発光素子35を移動させ、集光位置を移動させることができる。
半導体発光素子35であるUV−LEDは、単一で狭い(±5nm)発光波長を有するが、本システムの紫外線照射装置UVAには、発光スペクトルのピーク値を与える波長(中心波長)が異なる2種類以上の半導体発光素子35を、一つの紫外線照射装置UVAに同時に搭載している。例えば、図面の上から奇数番目の半導体発光素子35が第1の発光スペクトルを有しており(第1の半導体発光素子)、偶数番目の半導体発光素子35が第2の発光スペクトル(第2の半導体発光素子)を有している。なお、複数の紫外線照射装置UVAを光ファイバの走行方向に沿って配置した場合には、第1の紫外線照射装置UVAに、第1の半導体発光素子35を搭載し、第2の紫外線照射装置UVAに、第2の半導体発光素子35を搭載してもよい。
より具体的には、第1及び第2スペクトルのピーク値を与える波長(ピーク波長)λ1、λ2は、それぞれ、紫外線硬化型樹脂に含まれる光重合開始剤の吸収スペクトルのピーク値を与える波長λ3±10nmの範囲内、又は吸収スペクトルのショルダー値を与える波長λ4±10nmの範囲内に存在する。すなわち、これらは以下の関係式を有している。
・λ3−10nm≦λ1≦λ3+10nm
・λ3−10nm≦λ2≦λ3+10nm
・λ4−10nm≦λ1≦λ4+10nm
・λ4−10nm≦λ2≦λ4+10nm
・λ3−10nm≦λ1≦λ3+10nm
・λ3−10nm≦λ2≦λ3+10nm
・λ4−10nm≦λ1≦λ4+10nm
・λ4−10nm≦λ2≦λ4+10nm
図8は、光重合開始剤の種類と、ピーク値を与える波長λ3及びショルダー値を与える波長λ4を示す表である。
例えば、樹脂中に光重合開始剤としてI−819が用いられている場合、その吸収波長のピーク位置λ3は280〜300nm、ショルダー位置λ4は365nmであるから、半導体発光素子35としては、(A)290±10nm、(B)365±10nmの範囲に発光波長のピーク位置λ1、λ2を有する2種類のUV−LEDを用いればよい。
このようなUV−LEDは、以下のような材料から構成することができる。
(A)290nm±10nm
活性層:InAlGaN、InGaN、AlGaN、GaN、C、等
基板:Al2O3、GaN、SiC、Si、等
(B)365nm±10nm
活性層:InAlGaN、InGaN、AlGaN、GaN、C、等
基板:Al2O3、GaN、SiC、Si、等
(A)290nm±10nm
活性層:InAlGaN、InGaN、AlGaN、GaN、C、等
基板:Al2O3、GaN、SiC、Si、等
(B)365nm±10nm
活性層:InAlGaN、InGaN、AlGaN、GaN、C、等
基板:Al2O3、GaN、SiC、Si、等
また、内層C1および外層C2の樹脂中にI−819という光重合開始剤が用いられている場合には、中心波長λ1、λ2が、それぞれ(C)365±5nm及び(D)395±5nmのLEDを使用してもよい。
このようなUV−LEDは、以下のような材料から構成することができる。
(C)365nm±5nm
活性層:InAlGaN、InGaN、AlGaN、GaN、C、等
基板:Al2O3、GaN、SiC、Si、等
(D)395nm±5nm
活性層:InAlGaN、InGaN、AlGaN、GaN、C、等
基板:Al2O3、GaN、SiC、Si、等
(C)365nm±5nm
活性層:InAlGaN、InGaN、AlGaN、GaN、C、等
基板:Al2O3、GaN、SiC、Si、等
(D)395nm±5nm
活性層:InAlGaN、InGaN、AlGaN、GaN、C、等
基板:Al2O3、GaN、SiC、Si、等
上述のように、一つのLEDから出る波長の幅が狭いので、一種類のLEDを使用するのでは樹脂の硬化性が不十分であるが、二種類以上のLEDを使用して紫外線硬化型樹脂の吸収ピーク波長の近くのある程度幅のある波長の光を照射すると、紫外線硬化型樹脂を十分に硬化させることができる。
半導体発光素子35は、樹脂が塗布された光ファイバを中心として複数個配置されている。外層C2上でスポット径φ1mm程度または1mm幅×12mm長程度のラインビーム形状に集光するので、光ファイバの周囲全てに紫外線を照射するには、周囲方向に複数点から紫外線を照射する必要がある。例えば、図1に示した例では、1つの水平面内において、3個の半導体発光素子35が配置される。なお、水平面は光ファイバの走行方向に垂直である。この3個の光源を1セットとし、一つの紫外線照射装置UVAには、光ファイバの走行方向に沿って数セットの光源が並べて配置されている。
図1には、5セットの光源が描かれているが、セット数は照射される紫外線エネルギーの総量により決定される。5セットとは限らない。これより多くのセット数を並べても、少ないセット数を並べても構わない。2種類以上の紫外線光源を一つの紫外線照射装置に同時に搭載する場合には、このセット毎に、発光波長のピーク位置が異なる紫外線光源を交互に並べて配置することができる。
反対側の半導体発光素子35に紫外線UVが当たると、その半導体発光素子35の温度が上昇したり、不要な発振が生じることで、照射量が減り、かつ寿命が短くなるので、好ましくない。そこで、図2に記載のように、光ファイバを挟んで反対側に半導体発光素子35が位置しないように、半導体発光素子35を配置する。例えば図2のように、1つの水平面内において、120°間隔で半導体発光素子35を配置する。すなわち、紫外線UVの出射方向は、水平面内において、120度の角度を成している。換言すれば、1つの水平面内の第1、第2及び第3の半導体発光素子35は、自身以外の半導体発光素子35の光出射面に向けて紫外線を出射しないように配置されている。
また、各半導体発光素子35はその他の樹脂材料に向けて紫外線を出射しないように配置されている。樹脂材料に紫外線を照射すると、これらの樹脂材料が劣化する。このような樹脂材料は、集光レンズや半導体発光素子の固定部材や接着剤を構成している。本例では、半導体発光素子35の底面を固定する接着剤であるとする。本構成では、これらに紫外線が照射されないため、これらの寿命を延ばすことができる。
図3は、上記光源の分解斜視図である。
長方形のセラミックスからなるマウント基台36は、すり鉢状の凹部を有しており、この凹部の底面上に半導体発光素子35が固定されている。半導体発光素子35上には、半導体発光素子35を収容する凹部を有する集光レンズ34が設けられており、集光レンズ34はマウント基台36の凹部内に嵌っている。マウント基台36の凹部の内面には必要に応じてAgやAlなどからなる反射膜が形成されることが好ましい。
(第2実施形態)
(第2実施形態)
図4は、線引き時の光ファイバの走行方向に沿った紫外線照射装置UVAの縦断面図であり、図5は図4に示した紫外線照射装置UVAのV−V矢印水平断面図である。なお、図4は、図5におけるIV−IV矢印線に沿って切った装置の断面図を示している。
この実施形態に係る装置の第1実施形態の装置との相違点は、半導体発光素子35の配置のみである。図5に示した例では、1つの水平面内において、4個の半導体発光素子35が傾斜して配置される。この4個の光源を1セットとし、一つの紫外線照射装置UVAには、光ファイバの走行方向に沿って数セットの光源が並べて配置されている。
図4には、5セットの光源が描かれているが、セット数は照射される紫外線エネルギーの総量により決定される。5セットとは限らない。これより多くのセット数を並べても、少ないセット数を並べても構わない。2種類以上の紫外線光源を一つの紫外線照射装置に同時に搭載する場合には、このセット毎に、発光波長のピーク位置が異なる紫外線光源を交互に並べて配置することができる。
反対側の半導体発光素子35に紫外線UVが当たると、その半導体発光素子35の温度が上昇したり、不要な発振が生じることで、照射量が減り、かつ寿命が短くなり、また、半導体発光素子35の周辺の樹脂材料が劣化するので、好ましくない。そこで、図4に記載のように、半導体発光素子35を水平面に対して傾けて、反対側の半導体発光素子35に紫外線UVが当たらないようにしてある。換言すれば、図4及び図5に示したように、1つの水平面内の第1、第2、第3及び第4の半導体発光素子35は、自身以外の半導体発光素子35の光出射面に向けて紫外線を出射しないように配置されている。
筺体33には、光ファイバFの長手方向に垂直な方向から傾斜した方向に延びる貫通孔が形成されており、この貫通孔内において、マウント基台36がスライドすることによって、半導体発光素子35が矢印K1,K2,K3,K4で示されるように(図5参照)、XY平面内においては水平に移動するが、この移動方向はZ軸方向の成分も有している。半導体発光素子35は、矢印K1〜K4で示されるように、光ファイバFに近づいたり、離れたりするように移動し、集光レンズ34を介して集光される紫外線UVの集光位置が移動する。この集光位置は、被覆樹脂上とすることもできるし、被覆樹脂の位置からは外すこともできる。光ファイバの高速線引時には、外層C2の表面又は内層C1の表面上に集光位置を合わせるが、光ファイバの低速線引時には、外層C2の表面又は内層C1の表面上から集光位置をずらす。換言すれば、線速に応じて、半導体発光素子35の光ファイバFからの距離が変わり、低速時には照射強度が小さくなり、高速時には照射強度が高くなる。
光源を移動させるため、放熱フィン36Fの基端部は、移動機構70に固定されている。移動機構70を矢印K1〜K4に示す方向に移動させることで、放熱フィン36Fと共に半導体発光素子35を移動させ、集光位置を移動させることができる。
次に、本実施形態に用いられる光ファイバ素線の製造装置について図6及び図7を用いて説明する。なお、図6又は図7において、符号6,7,10,11,12は紫外線照射装置を示しており、図1又は図4に示した紫外線照射装置UVAは、これらの紫外線照射装置の代表として示されている。
図6は、光ファイバ素線を製造する第1の製造装置を示す図である(タンデムコーティング方式)。
この製造装置は、プリフォーム1を収容する線引炉2、強制冷却装置3、外径測定器4、第1の塗布装置5、紫外線照射装置6,7、外径測定器8、第2の塗布装置9、紫外線照射装置10,11,12、外径測定器13、気泡センサ14、ガイドローラ15、キャプスタン16、巻き取りボビン17を、光ファイバの通過経路に沿う順番に備えている。
図7は、光ファイバ素線を製造する第2の製造装置を示す図である(デュアルコーティング方式)。
この製造装置は、プリフォーム1を収容する線引炉2、強制冷却装置3、外径測定器4、第1の塗布装置5、第2の塗布装置9、偏肉測定器20、紫外線照射装置6,7,10,11、外径測定器13、気泡センサ14、ガイドローラ15、キャプスタン16、巻き取りボビン17を、光ファイバの通過経路に沿う順番に備えている。
上述の製造装置においては、プリフォーム1から引き出された光ファイバFの走行方向は鉛直方向に設定されている。線引炉2は、石英ガラスを主成分とするプリフォーム1を線引きして裸光ファイバF1(光ファイバF)を形成するための装置である。線引炉2は、線引炉2内にセットされるプリフォーム1を挟んで(或いは囲んで)配置されるヒーターを有している。プリフォーム1は、その端部がヒーターにより加熱されて溶融し、線引きされて光ファイバFとなる。線引きされた光ファイバFは、所定の走行方向に沿って移動する。
強制冷却装置3は、線引きされた光ファイバFを冷却するための装置である。強制冷却装置3は、光ファイバFを十分に冷却するために所定の走行方向に沿って所定の長さを備えている。強制冷却装置3は、光ファイバFを冷却するために例えば図示しない吸気口及び排気口を備え、この吸気口及び排気口から冷却用ガスを導入することによって光ファイバFを冷却する。
塗布装置5,9は、裸光ファイバに樹脂を塗布するための装置である。塗布装置5,9には紫外線によって硬化する2種類の液状の樹脂が保持されており、塗布装置の樹脂中を裸光ファイバが通過することによって裸光ファイバの表面に内層樹脂(プライマリ樹脂5A)と外層樹脂(セカンダリ樹脂9A)が塗布される。
図6に示した例では、これらの樹脂が異なる時期に塗布してから順次硬化され(タンデムコーティング)、図7に示した例では、これらの樹脂が同時に塗布されてから同時に硬化される(デュアルコーティング)。但し、タンデムコーティング方式の場合はデュアルコーティング方式に比べてスペース効率が悪くなる。
紫外線照射装置6.7.10,11,12は、裸光ファイバの表面に塗布された2種類の樹脂に紫外線を照射して硬化させるための装置である。表面に2種類の樹脂が塗布された裸光ファイバが紫外線照射装置を通過することによって、裸光ファイバ及び2層の被覆層を有する光ファイバ素線が形成される。
ガイドローラ15は、2種類の樹脂が塗布された光ファイバが所定の走行方向に沿って移動するように光ファイバを案内するための装置である。キャプスタン16に引き取られた光ファイバ素線は、ガイドローラ15により走行方向が変更されて巻き取りボビン17へ送られる。巻き取りボビン17は、完成した光ファイバ素線を巻き取るための装置である。
上述の構成では、樹脂被覆の表層部から内部まで十分な硬化特性を持たせることが可能となり、ファイバの品質を良好に保つことができる。特に、短波長側の紫外線が樹脂表面の硬化を促進する。例えば、光重合開始剤がI−819の場合、280〜300nmの範囲内にピークを有する紫外線を各半導体発光素子から照射すると、紫外線硬化型樹脂の表面がまず硬化する。先に表面を硬化させて、その後に別の紫外線照射装置で、例えば、365nm±10nmの範囲内においてピークを有する紫外線を各半導体発光素子から照射し、紫外線硬化型樹脂の内部を硬化させることができる。
樹脂の表面が硬化していればガイドローラで方向を光ファイバの走行方向を変えることができるので、後から紫外線を照射する紫外線照射装置は、図6又は図7において縦に並んでいる紫外線照射装置10,11,(12)の一部を、ガイドローラ15の下流でキャプスタン16の直前までに、配置することができる。例えば、図6のタンデムコート型のシステムの場合、紫外線照射装置10,11,12の一部をガイドローラ15の下流に設置すると、その分のスペースは冷却装置を延長するなど光ファイバの冷却にあてることができ、冷却長を延長することにより、光ファイバの線速を上げることができる。
また、紫外線照射装置は、光ファイバの樹脂被覆層の硬化状態に応じて何台使用しても良い。また、図6及び図7では光ファイバの線引の例を示したが、ボビンに巻き取られた光ファイバを繰り出して、その上にさらに紫外線硬化型樹脂を被覆する場合も、紫外線を照射して前記紫外線硬化型樹脂を硬化することは同様にできる。
また、上述のように、実施形態にかかる光ファイバの被覆形成方法は、紫外線硬化型樹脂が塗布された光ファイバに対して紫外線を照射して硬化させる光ファイバの被覆形成方法において、光ファイバの走行速度が所定値未満の場合(初期の速度上昇の場合)には、紫外線硬化型樹脂上に紫外線が集光しないように紫外線を照射する工程と、光ファイバの走行速度が所定値以上の場合(定常速度の場合)には、紫外線硬化型樹脂C1,C2上に紫外線を集光するように紫外線を照射する工程とを備える。
すなわち、上述のように、光ファイバの走行速度に応じて、集光位置を変更することで、低速時には過度の樹脂硬化と揮発物の発生を抑制し、高速時には好適に樹脂硬化を行うことができる。なお、ピーク波長の異なる2種類の紫外線は、同時に照射されることが好ましいが、別々に照射されてもよく、また、連続光であっても、パルス光であってもよい。なお、パルス光の場合には、各パルスの紫外線照射タイミングをずらすことも可能である。
以下実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
上記紫外線照射装置を用いたデュアルコーティング方式の線引法により、二層被覆光ファイバを製造した。得られた二層被覆光ファイバは、外径125μmφのガラスファイバ外周に、内層200μmφ、外層240μmφの二層の紫外線硬化型樹脂を塗布硬化させた。
内層樹脂に含まれる光重合開始剤はI−819の一種類、外層樹脂に含まれる光重合開始剤は、I−819の一種類を用いた。これらの被覆樹脂の組合せに対して、紫外線光源として、一つの紫外線照射装置にUV−LED(発光波長のピーク位置が365±5nm、395nm±5nmの2種類)を用いて硬化させた。図1、図2に示したように、1つの水平面内において、120度の角度を成した3個の光源を1セットとし、1つの紫外線照射装置において、光ファイバの走行方向に沿って5セットの光源を配置した。このうち、1,3,5番目の光源セットをピーク波長365nmの光源、2,4番目の光源セットをピーク波長395nmの光源とした。1つの光源の照射強度は約6000mW/cm2である。透明管内に導入される冷却用の不活性ガスとしては窒素ガスを用いた。その際の、硬化性をゲル分率によって評価した。
ゲル分率とは、樹脂がどの程度硬化しているかを示す指標であり、初期の重量をW0として、この被覆から未硬化ゲル成分を溶剤抽出させた後の被覆重量をWとするとき、ゲル分率=(W/W0)×100%の式で示される。従って、ゲル分率は高い方が好ましい。被覆としては、一般に90%以上のゲル分率が好ましい。
図9は、実験結果を示す図表である。
図中のf(mm)は、光ファイバから半導体発光素子までの距離を示しており、θ(°)は、水平面からの光軸の傾斜角、T(hr)は、紫外線照射強度が初期値の80%にまで低下するまでの点灯時間を示し、光ファイバを100km線引した時点において、PG(%)は高線速時の被覆のゲル分率を示している。低線速時の線速は500m/分であり、高線速時の線速は1500m/分である。本実験では、線速が所定値の前後において、距離fを切り替えるが、所定値は複数であって距離fは段階的に切り替えることも可能である。なお、本実験における距離fを切り替える際の線速の所定値は1000m/分である。
実施例1のように、低線速時に半導体発光素子、集光レンズ及びこれらの固定部材を光ファイバから遠ざける(退避させる)ことで、照射強度の低下もなく、ゲル分率も90%以上の被覆硬化性が得られている。
一方、比較例1では、照射強度が過剰となり、必要以上の揮発成分が放出され、透明管31が曇ったため、高線速時の照射強度が低下し、被覆のゲル分率が90%を下回ることになった。
また、実施例2では、低線速時に半導体発光素子、集光レンズ及びこれらの固定部材を光ファイバから遠ざけ(退避させ)たが、半導体発光素子を対向させ、且つ、光軸の傾斜角を0°としたため、ゲル分率は95%以上の被覆硬化性が得られたが、半導体発光素子や紫外線光源の樹脂材料が紫外線の照射によって劣化し、寿命が5000時間となった。
上記実施例1,2では、低線速時の距離fを30mmとしたが、この位置に限定されるものではなく、被覆の硬化に必要十分な照射光量が得られる位置であれば、これ以上離したり近づけることも可能である。また、高線速時の距離fを10mmとしたが、紫外線硬化型樹脂上に集光するようであればこれに限定されない。
また、上記実施例1では、光軸の水平面からの傾斜角θを30°としたが、別の光源に紫外線が当たらない角度であれば、この角度に限定されるものではなく、光ファイバを中心に対向して配置される紫外線光源、又はその上下に配置される紫外線光源からの紫外線を浴びることがなければ何度であっても構わない。
また、複数の紫外線スペクトルを用いた場合の樹脂硬化性の優位性を検証するため、単数の紫外線スペクトルを用いて樹脂硬化を行い、樹脂硬化性を表面摩擦力にて評価した。
ここで、表面摩擦力の測定方法について説明する。
図13は表面摩擦力の測定工程を示す模式図である。先ず、直径6mmの円柱状の棒100に、図7に示す製造装置で製造された光ファイバ素線Fの一部を100回密に1層巻き付け、ファイバ群FBを形成する。光ファイバ素線Fの他の部分(長さ約1000mm)を、光ファイバ素線Fが巻かれた棒100と滑車101とにかける。この際、滑車101と棒100とは、それらの間の光ファイバ素線がほぼ水平になるように配置しておく。また、滑車101と棒100とに掛けられた光ファイバ素線の一端にはロードセル102を取り付け、他端には約3.4gの重り103を取り付ける。重り103が付けられてつり合っている状態で、ロードセル102に係る荷重を基準値としてのゼロとする。次に、500mm/min.の速さで矢印Mに沿ってロードセル102を200mm引き上げる(この際、重りも引き上げられる)。
この時、ロードセル102で測定される荷重を0.02秒間隔で取得する。ロードセル102が20mmから120mmまで移動する間に取得されたデータを、ロードセル102の移動距離10mm毎に、10の区間に分け、それらの区間の最大値を平均して被覆層の表面摩擦力、言い換えれば光ファイバ素線の表面摩擦力とする。この値が0.4Nより大きい場合、樹脂(表面)は未硬化になる傾向があり、良品の光ファイバを製造しにくくなる場合が生じやすい。表面摩擦力が0.4Nより大きくなると、ボビンに巻かれた状態で光ファイバ同士がくっついて、ボビンから光ファイバを繰り出せなくなることがある。0.4N以下ではそういう問題がない。また0.2Nより小さい場合も、必要以上に紫外線が樹脂に照射されているため、石英管内に曇りが生じやすくなる。
実施例1、2のように、複数の発光スペクトルを用いた場合、0.2Nと表面摩擦の好ましい被覆が形成されていた。また、実施例1、2において、光重合開始剤の吸収波長のピーク位置、又はショルダー位置±10nmの範囲に入る発光波長のピーク位置を持つ1種類の紫外線光源(波長395nm)を採用した場合、表面摩擦力は0.6Nとなった。
上記実施例では、一つの紫外線照射装置に複数の発光波長のピークを持つ紫外線発光ダイオードを搭載する場合を説明したが、紫外線照射装置毎に異なる発光波長のピークを持つ紫外線発光ダイオードを搭載することも出来る。また、UV−LEDに代えて、UV−LDを用いることも可能である。また、被覆された光ファイバの上にさらに樹脂を被覆する場合にも上記形態を適用することが可能である。さらに、光ファイバを束ねてテープ化する場合の樹脂被覆にも上記形態は適用することができる。このように、上記光ファイバは、素線に限らず、オーバーコートされてなる光ファイバ心線や、樹脂被覆された光ファイバなどの多様な形態の光ファイバを含んでいる。一旦、巻き取った光ファイバを再度繰り出して、樹脂被覆を行う場合にも、上述の装置は適用することができる。
F1・・・光ファイバ、C1・・・内層、C2・・・外層、35・・・半導体発光素子、34・・・集光レンズ、36・・・基台。
Claims (5)
- 光ファイバの表面に塗布された紫外線硬化型樹脂に、紫外線を照射して前記紫外線硬化型樹脂を硬化させる紫外線照射装置において、
前記紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射可能な位置に設けられた半導体発光素子と、
前記半導体発光素子から出射された紫外線を集光する集光レンズと、
前記紫外線の集光位置を移動させる移動手段と、
を備えることを特徴とする紫外線照射装置。 - 前記移動手段は、前記半導体発光素子を前記光ファイバに対して移動させることを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。
- 出射される紫外線のピーク波長が異なる半導体発光素子が複数種類含まれることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の紫外線照射装置。
- 前記半導体発光素子の数は複数であり、各半導体発光素子は自身以外の半導体発光素子の光出射面又はその他の樹脂材料に向けて紫外線を出射しないように配置されていることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の紫外線照射装置。
- 紫外線硬化型樹脂が塗布された光ファイバに対して、請求項1に記載の紫外線照射装置を使用して、紫外線を照射して硬化させる光ファイバの被覆形成方法において、
前記光ファイバの走行速度が所定値未満の場合には、前記紫外線硬化型樹脂上に紫外線が集光しないように紫外線を照射する工程と、
前記光ファイバの走行速度が所定値以上の場合には、前記紫外線硬化型樹脂上に紫外線を集光するように紫外線を照射する工程と、
を備えることを特徴とする光ファイバの被覆形成方法。
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